JPH0693885B2 - 電磁血流計プローブ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） この発明は、血流を測定する電磁血流計のプローブに係
り、特に血液回路に組み込まれた電極部の使い捨てを可
能にした分離型の電磁血流計プローブに関するものであ
る。

（従来の技術） 第３図は従来の電磁血流計プローブの構成を示す図であ
る。このプローブは、電極部と励磁コイル部とが一体的
に構成されており、本体（１）の内部に電極（２）、励
磁コイル（３）及び鉄心（４）が設けられている。そし
て、本体（１）の中央部には血管壁（５）が通される穴
が開いており、またコード（６）によって図外の血流計
に接続されるようになっている。（７）は血管壁（５）
の内部を通る血流、（８）はこの血流（７）に表われる
磁束、（９）は血管内径をそれぞれ示している。

上記励磁コイル（３）によって血流に磁界が与えられる
と、その血流速度に比例した起電力が発生する。この起
電力は、血管壁（５）の両側に位置する二つの電極
（２）によって検出され、コード（６）を通して接続さ
れた血流計に入力される。そして、この血流計で増幅さ
れ、血流量の検出値として記録、表示される。

ここで、上述の電磁血流計の原理は、ファラデーの電磁
誘導の法則により説明される。すなわち、第４図に示す
ように上記磁界と直角方向に血液が流れると、この磁界
及び血流に対して直角な方向の起電力efが生じる。この
起電力efの大きさは、次式で表わされる。

ef＝BDV×10^-8［Ｖ］ …（イ） B:磁界密度 ［GAUSS］ D:電極間距離 ［cm］ V:血流の平均速度 ［cm/s］ したがって、磁束密度Ｂと電極間距離Ｄを一定にすれ
ば、上記起電力efを測定することにより、平均流速Ｖが
判り、次式によって流量Ｑも求めることができる。

Ｑ＝πD²V/4 …（ロ） （発明が解決しようとする課題） しかしながら、上記のような従来の電磁血流計プローブ
にあっては、磁束密度が変化すると感度が変わるので電
極に対する励磁コイルの機械的位置を固定することが必
要で、電極部と励磁コイル部を分離することは困難であ
り、磁束密度を一定にするために電極と励磁コイルを一
体に設けているので、例えば人工透析装置や人工心臓、
人工心肺などの血液回路の流量測定を行う場合、血液回
路に組み込む時にチューブ等の血液回路部品は使い捨て
にすることができるが、プローブ本体は高価なものであ
るので使い捨てにすることができないという問題点があ
った。また、再使用する場合には、血液回路部品とは別
に減菌処理を行わなければならず、組み込みが煩わしい
という問題点があった。

この発明は、このような問題点に着目してなされたもの
で、電極部を血液回路部品と共に使い捨てにすることが
でき、組み込み時の煩わしさがない電磁血流計プローブ
を得ることを目的としている。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） この発明の電磁血流計プローブは、血流が通る中空のボ
ビンに電極を設けた電極部と、その血流に磁界を与える
励磁コイルを本体内部に有した励磁コイル部とを備え、
前記電極部のボビンと励磁コイル部の本体とにそれぞれ
互いの装着時の位置を固定する位置決め機構を設けたも
のである。

（作用） この発明の電磁血流計プローブにおいては、電極を有し
た電極部に励時コイル部が着脱自在に装着され、この時
電極部の中空のボビンと励磁コイル部の本体に設けられ
た位置決め機構により、電極部と励磁コイル部との機械
的位置が固定される。

（実施例） 第１図はこの発明の一実施例による電磁血流計プローブ
の構成を示す図である。このプローブは、互いに着脱自
在に装着される電極部Ｉ及び励磁コイル部IIと接続コー
ド部IIIから構成されている。

上記電極部Ｉは、血流が通る中空のボビン（10）と、こ
のボビン（10）に設けた電極（11）と、この電極（11）
に接続された電極コネクタ（12）とから構成され、ボビ
ン（10）には励磁コイル部IIの装着時の位置決め用のガ
イド（13）及び突起（14）が設けられている。励磁コイ
ル部IIは、電極部Ｉのボビン（10）に固定されるコ字状
のコイル部本体（15）と、ボビン（10）内部を通る血流
に磁界を与える励磁コイル（16）と、コア（鉄心）（1
7）と、励磁コイル（16）に接続された励磁コイルコネ
クタ（18）とから構成され、励磁コイル（16）及びコア
（17）は本体（15）の内部に設けられており、また本体
（15）には上記ボビン（10）の突起（14）と係合する凹
み（19）が設けられ、更にコ字状の本体（15）の開口端
を覆う固定板（20）が蝶番状に取り付けられている。
（21）はこの固定板（20）に突出して設けられた係止片
で、本体（15）に設けられた固定溝（22）に嵌め込まれ
る。また接続コード部IIIは、電極部Ｉのコネクタ（1
2）と接続される電極コネクタ（23）と、励磁コイル部I
Iのコネクタ（18）と接続される励磁コイルコネクタ（2
4）と、図外の血流計と接続されるコネクタ（25）とを
備えている。

上記のように構成された分離型の電磁血流計プローブに
おいては、先ず中空のボビン（10）を血液回路に接続す
る。この時、電極（11）と電極コネクタ（12）は、この
ボビン（10）によって機械的に固定され、且つ電気的に
絶縁されている。次に、コイル部本体（15）を図の矢印
のように上記ボビン（10）に装着する。その際、ボビン
（10）とコイル部本体（15）にはそれぞれ互いの装着時
の位置を固定する位置決め機構としてガイド（13）、突
起（14）及び凹み（19）が設けられているので、コイル
部本体（15）を上記ガイド（13）に沿ってボビン（10）
に取り付け、凹み（19）にボビン（10）の突起（14）を
合わせることにより、簡単に位置決めして装着すること
ができ、且つ電極（11）と励磁コイル（16）の機械的位
置を固定することができる。次に、固定板（20）を回転
させて係止片（21）固定溝（22）に嵌め込む。これによ
り、電極部Ｉと励磁コイル部IIとが一体的に固定され
る。その後、接続コード部IIIの各コネクタ（23）〜（2
5）を各々のコネクタ（12），（18）及び血流計に接続
し、これで血流測定の準備が完了する。

上記血流測定時の動作に従来と同様であり、励時コイル
（16）によってボビン（10）内を通る血流に磁界が与え
られると、その血流速度に応じた起電力が発生する。そ
して、この起電力が電極（11）によって取り出され、接
続コード部IIIを通して血流計に入力され、ここで増幅
された後、血流の検出値として記録、表示される。

このように、電極部Ｉと励磁コイル部IIとを分離し、且
つ装着時の互いの機械的位置を一定に保つことができる
ので、従来の精度を維持しながら低コスト化を図ること
ができる。すなわち、安価な電極部Ｉのみを血液回路部
品と共に使い捨てにすることができ、また励磁コイル部
IIは再使用が可能である。また、電極部Ｉを血液回路に
組み込んだ状態で減菌処理を行うことができるので、組
み込み時の煩わしさがなくなる。

第２図はこの発明の他の実施例を示す構成図である。こ
の実施例は、電極部Ｉのコネクタ12Aをボビン（10）か
ら引き出したコードの先に取り付けると共に、励磁コイ
ル部IIのコネクタをなくし、直接コードで血流計に接続
するようにしたものである。

このような構成としても、上記実施例と同様の作用効果
が得られる。

［発明の効果］ 以上のように、この発明によれば、電極部と励磁コイル
部とを分離し、且つ電極部のボビンと励磁コイル部の本
体とに互いの装着時の位置を固定する位置決め機構を設
けたので、電極部を血液回路部品と共に使い捨てにする
ことができ、組み込み時の煩わしさがないという効果が
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す構成図、第２図はこ
の発明の他の実施例を示す構成図、第３図は従来の電磁
血流計プローブを示す構成図、第４図は電磁血流計の原
理を示す説明図である。 Ｉ……電極部、II……励磁コイル部 III……接続コード部、10……中空のボビン 11……電極、14……突起（位置決め機構） 15……コイル部本体、16……励磁コイル 19……凹み（位置決め機構）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武田 朴 東京都新宿区西落合１丁目31番４号 日本 光電工業株式会社内 (72)発明者 杉本 祐次 東京都新宿区西落合１丁目31番４号 日本 光電工業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】血流が通る中空のボビンに電極を設けた電
   極部と、その血流に磁界を与える励磁コイルを本体内部
   に有した励磁コイル部とを備え、前記電極部のボビンと
   励磁コイル部の本体とにそれぞれ互いの装着時の位置を
   固定する位置決め機構を設けたことを特徴とする電磁血
   流計プローブ。