JPH0692903B2 - 口火流量計測装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ガス器具の常時点火・燃焼している口火（パ
イロットバーナ）のガス流量を計測し、登録する口火流
量計測装置に関する。

従来の技術 従来のこの種の口火流量計測装置は、第５図に示すよう
に、ガス供給ライン中に設けられた通過ガス量に応じて
信号を発する流量測定手段１と、前記流量測定手段１か
ら送られる流量信号でガス流量を演算する流量演算部２
と、設定された許容流量範囲内か否かを判定する許容流
量範囲判定部３と、前記流量演算部の値が前記許容流量
範囲内のとき口火として登録する口火流量登録部とから
構成されていた。

すなわち、口火流量の登録開始が設定されると、許容流
量範囲判定部３では流量演算部２にて演算された流量
が、あらかじめ設定されている許容ガス流量範囲か否か
を判定し、許容流量範囲内のガス流量が検出されたとき
口火流量登録部４に口火として登録していた。

第６図にて、登録された口火流量と他のガス流量との関
係を示す。横軸にガス流量、縦軸に時間をとっている。
この時間は、ガス漏洩量とガス爆発限界の関係から、ガ
スが継続して使用出来る制限範囲を示しており、階段状
に図示されている部分が使用時間遮断レベルである。横
軸のQlからQhの範囲が設定された許容流量範囲であり、
Qlが演算結果から口火として登録された流量である。こ
こで、実際にガス器具を利用するときにはガス圧力の変
動分を見越して、登録された口火流量に、口火と見なす
許容流量範囲±△Qlを設定する。

このように、例えば、ガスメータに対しては、Qh以上の
ガス流量領域には使用時間遮断レベルを適用してガス事
故を未然に防ぐ安全手段とし、また、Qh未満の小流量領
域にはガス配管系のガス漏洩を検知すべく１カ月以上連
続してガスが流れている場合には内管漏洩と見なす等の
手段を適用していた。そして、口火が登録されている場
合には、口火流量と見なす許容流量範囲Ql±△Qlのガス
流量が検出されたときガス漏洩とは見なさず、計時して
いる内管漏洩検知タイマーをクリアーしていた（例え
ば、特開昭62-147338号公報）。ここで、ガス流量Qhは
通常のガス器具燃焼量の最小値、Qlは流量測定手段にて
検出可能な最小流量値を示している。

発明が解決しようとする課題 しかしながら上記のような構成では、口火流量の登録開
始が設定された場合、設定された許容流量範囲内のガス
流量が検知されるまで口火流量登録部は登録待の状態を
維持していた。それ故、口火流量登録時は、作業者が実
際にガス器具の口火だけが燃焼している状態を持って登
録作業を実施するため長い時間を要したり、あるいは、
登録の指示作業のみをまず行い、翌日出向いて登録の確
認作業を実施するという手間をかけていた。さらに、後
者の場合、未だ登録されていないときには、さらに、時
間をかけて確認作業を必要としていた。

本発明はかかる従来の課題を解消するもので、所定期間
に観測される許容された流量範囲の最小値を口火流量と
して登録することで一層使い勝手の良い口火流量計測装
置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段 上記課題を解決するために本発明の口火流量計測装置で
は、ガス供給ライン中の通過ガス量に応じて信号を発す
る流量測定手段と、前記流量測定手段からの信号に応じ
てガス流量を演算する流量演算部と、所定期間を計時す
るタイマーと、前記流量演算部の信号が第１の所定値を
越えると前記タイマーに計時開始の起動信号を送る起動
信号印加手段と、前記タイマー作業中の前記流量演算部
の信号の最小値を記憶する最小流量記憶部と、前記所定
期間経過後の前記最小流量記憶部の値が設定された許容
流量範囲内か否かを判定する許容流量範囲判定部と、前
記最小流量記憶部の値が前記許容流量範囲内のとき口火
として登録する口火流量登録部とを備えたものである。

作用 本発明は上記した構成によって、第１の所定流量以上の
流量が検出された時点からタイマーの計時が開始され、
そのタイマーのカウント期間中の最小流量値が口火とし
て登録されるのである。

実施例 以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
第１図は本発明の口火流量計測装置の機能ブロック図で
あり、第５図と同一番号のものは同一機能を有する構成
要素である。５は所定期間を計時するタイマー、６は前
記流量演算部２の信号が第１の所定値を越えると前記タ
イマー５に計時開始の起動信号を送る起動信号印加手
段、７は前記タイマー作動中の前記流量演算部の信号の
最小値を記憶する最小流量記憶部、８は前記所定期間経
過後の前記最小流量記憶部の値が設定された許容流量範
囲内か否かを判定する許容流量範囲判定部である。

上記構成において、起動信号印加手段６は流量演算部か
らの信号が第１の所定値Qpを越えると、タイマー５に所
定期間の計時を開始させる起動信号を出力する。最小流
量記憶部７では、前記タイマー計時中の最小流量値を記
憶更新していく。前記タイマーの計時が終了した時点
で、許容流量範囲判定部８にて最小流量記憶部７の記憶
している流量値が設定された許容流量範囲内か否かを判
定し、許容流量範囲内ならば口火として口火流量登録部
に登録する。

第２図にて、第１図に示した本発明の口火流量計測装置
の動作の一実施例をタイミングチャートにて説明する。

横軸は経過時間、縦軸はガス流量演算値を示す。ガス流
量演算値のQhからQlの領域が設定された許容流量範囲
で、Qpが第１の所定値である。横軸の時間t₀のタイミン
グで第１の所定値Qp以上の流量が検出れたので、タイマ
ー５は所定期間の計時を開始する。前記所定期間の計時
が終了する時間t₁までの期間（すなわちt₀〜t₁）では、
Qminが最小流量記憶部に記憶されている最小値で、しか
も、設定された許容流量範囲（すなわち、Qh〜Ql）内な
ので、時間t₁でQminが口火流量として登録される。

このように、本発明の口火流量計測装置によれば、第１
の所定値以上のガス流量が検出された時点から許容範囲
内の最小ガス流量を記憶していき、所定期間、例えば、
生活パターン１週間の２回分の２週間内のデータに基づ
き口火流量を登録する。それ故、ガスメータの場合には
メータ設置作業を終了し、実際にガスが流れ始めれば自
動的に口火流量の有無が判定されるうえ、口火相当のガ
ス燃焼量が登録され、内管漏洩検知に関連して有効に活
用されることが出来る。また、ガスユーザーによって
は、口火登録の有無を初期設定しておき、口火登録有と
設定されている場合に、本発明の口火流量計測装置を適
用することも出来る。

また、設定された許容流量範囲の最大値Qh（すなわち、
通常のガス器具燃焼量の最小値、例えば、500kcal）
を、第１の所定値Qpと同一レベルにすることで、ガスメ
ータを設置した家庭で実際にガス器具を使い始めたとき
から、所定期間の計時を実行させることが出来る。それ
故、時間遮断領域未満の微少なガス流量、すなわち、ガ
ス器具の利用開始か、あるいは、ガス漏洩かの識別困難
な流量で口火登録の計測をスタートさせることがなく、
確実にガス器具が使われ始めてから、それらのガス器具
に付随する口火流量が登録されるのである。

第３図では、本発明の口火流量計測装置の他の実施例の
機能ブロック図を説明する。第１図と同一番号の構成要
素は、同じ機能を有するものである。９の流量零判定部
は、タイマー計時中の最小流量記憶部の値が零か否かを
判定する機能を有し、前記流量零判定部９にて流量零と
判定されたときには、口火計測期間用のタイマー５の計
時を停止すると共に、口火無しと口火流量登録部に登録
する。

第４図は、第３図に示した本発明の口火流量計測装置の
動作の一実施例を示すタイミミングチャートである。横
軸は経過時間、縦軸はガス流量演算値を示す。横軸の時
間t₀のタイミングで第１の所定値Qp以上の流量が検出さ
れたので、タイマー５は所定期間の計時を開始する。前
記所定期間の中で、最小流量記憶部には計測された最小
ガス流量が随時、登録・更新されていく。時間t₂にて全
体のガス流量が零になったとき、流量演算部では、タイ
ミングt₃までの間に流量零値を最小流量記憶部に記憶さ
せ、前記流量零判定部９では流量零と判定して、前記タ
イミングt₃にて口火計測期間用のタイマー５の計時を停
止する。さらに、口火流量登録部に口火無しと登録する
のである。すなわち、最小流量が零になった時点でタイ
マーの計時終了を待たずに、口火登録作業は停止するの
である。

このように、連続燃焼で使用する口火が無い場合には、
タイマー計時中であっても、登録すべき口火流量は無し
と判断して、内管漏洩検知対象の流量域からは除外され
ることになる。それ故、内管漏洩検知では、流量零が検
出された時点で内管漏洩カウント用のタイマーをクリア
する。すなわち、口火流量は無しと判断された時点か
ら、即、内管漏洩検知の対象期間とすることが出来るの
である。

ところで、口火登録をするか、しないかの指示は、ガス
メータ設置前、あるいは、設置現場にて実施することも
出来る。さらに、メータ利用途中にて、常時口火燃焼の
ガス器具を採用した場合にはその時点から指示すること
も可能である。その手段として、所定の設定装置をメー
タに接触させて実現したり、あるいは、電話回線等の通
信媒体を利用して指示することも出来る。

発明の効果 以上のように本発明の口火流量計測装置によれば次の効
果が得られる。

すなわち、本発明の口火流量計測装置は、ガス供給ライ
ン中の通過ガス量に応じて信号を発する流量測定手段
と、前記流量測定手段からの信号に応じてガス流量を演
算する流量演算部と、所定期間を計時するタイマーと、
前記流量演算部の信号が第１の所定値を越えると前記タ
イマーに計時開始の起動信号を送る起動信号印加手段
と、前記タイマー作動中の前記流量演算部の信号の最小
値を記憶する最小流量記憶部と、前記所定期間経過後の
前記最小流量記憶部の値が設定された許容流量範囲内か
否かを判定する許容流量範囲判定部と、前記最小流量記
憶部の値が前記許容流量範囲内のとき口火として登録す
る口火流量登録部とを備えているので、第１の所定値以
上のガス流量が検出された時点から許容範囲内の最小ガ
ス流量が記憶されていき、所定期間、例えば、生活パタ
ーン１週間の２回分の２週間内のデータに基づき口火流
量を登録する。それ故、ガスメータの場合にはメータが
設置された後、実際にガス器具が使われて所定のガスが
流れ始めれば自動的に口火流量が登録されるのである。
しかも、常時燃焼でない口火の場合には、口火流量とし
て登録する必要がないので、その判定も自動的に実現す
ることが可能である。そして、口火相当のガス燃焼量が
登録された場合には、内管漏洩検知に関連して有効に活
用することが出来るという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における口火流量計測装置の
機能ブロック図、第２図は同装置の口火計測状態を示す
図、第３図は本発明の他の実施例における口火流量計測
装置の機能ブロック図、第４図は第３図に示した同装置
の口火計測状態を示す図、第５図は従来の口火流量計測
装置の機能ブロック図、第６図は登録された口火流量と
他の流量との関係を示す図である。 １……流量測定手段、２……流量演算部、４……口火流
量登録部、５……タイマー、６……起動信号印加部、７
……最小流量記憶部、８……許容流量範囲判定部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀井 博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 浅野 一高 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 加藤 真藏 東京都町田市忠生２丁目16番４号 高圧ガ ス保安協会液化石油ガス研究所内 (72)発明者 難波 三男 東京都町田市忠生２丁目16番４号 高圧ガ ス保安協会液化石油ガス研究所内 (72)発明者 植松 烈平 東京都町田市忠生２丁目16番４号 高圧ガ ス保安協会液化石油ガス研究所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ガス供給ライン中の通過ガス量に応じて信
   号を発する流量測定手段と、前記流量測定手段からの信
   号に応じてガス流量を演算する流量演算部と、所定期間
   を計時するタイマーと、前記流量演算部の信号が第１の
   所定値を越えると前記タイマーに計時開始の起動信号を
   送る起動信号印加手段と、前記タイマー作動中の前記流
   量演算部の信号の最小値を記憶する最小流量記憶部と、
   前記所定期間経過後の前記最小流量記憶部の値が設定さ
   れた許容流量範囲内か否かを判定する許容流量範囲判定
   部と、前記最小流量記憶部の値が前記許容流量範囲内の
   とき口火として登録する口火流量登録部とを備えた口火
   流量計測装置。
2. 【請求項２】許容流量範囲判定部の許容範囲を前記第１
   の所定値未満とした特許請求の範囲第１項記載の口火流
   量計測装置。
3. 【請求項３】タイマー計時中の最小流量記憶部の値が零
   か否かを判定する流量零判定部と、前記流量零判定部に
   て流量零と判定されたときには前記タイマーの計時を停
   止すると共に、口火無しと登録する口火流量登録部とか
   ら構成された特許請求の範囲第１項記載の口火流量計測
   装置。