JPH0691889A - サーマル・インクジェット・プリンタのインク供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 サーマル・インクジェット・プリンタにおけ
る印字ヘッドに液体インクを供給する装置において、所
望範囲の背圧をコピーカートリッジの寿命以上に調和の
ある方法で印字ヘッドに対して付与し、さらに、コピー
カートリッジの連続使用中においても比較的調和のある
レベルの背圧を維持すること。 【構成】 通気ポート（１４）及び出口ポート（１６）
を有する単一のチャンバ（１３）を形成するハウジング
（１２）を有する、液体インクをサーマル・インクジェ
ット印刷装置に供給する装置。媒体（１８）はチャンバ
（１３）の少なくとも一部を占め、媒体（１８）は若干
の液体インクを保持する。スカベンジャ部材（２０）は
出口ポート（１６）を横切って配設され、媒体（１８）
の毛管力より大きな毛管力を付与する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】本発明はサーマル・インクジェット・プリ
ンタにおける印字ヘッドに液体インクを供給する装置に
関するものである。

【０００２】現在のサーマル・インクジェット印刷にお
いて、印字ヘッドは、一方の端部が比較的小さなインク
供給室、即ちマニホルドに連通し、他方の端部がノズル
と称される開口部を有する、米国特許第４，４６３，３
５９号において開示されているような、ひとつ以上のイ
ンクが満たされた通路を備えている。熱エネルギー発生
器、通常は抵抗器がノズルから所定間隔をおいて各通路
内に配設されている。抵抗器は個々に電流パルスを受け
て瞬間的にインクを蒸気化して、インクの小滴を噴出す
るバブルを形成する。バブルが大きくなるにつれて、イ
ンクはノズルから膨張し、メニスカスとしてインクの表
面張力により囲まれる。バブルが崩壊し始めると、ノズ
ルとバブルとの間にまだあったインクは崩壊しつつある
バブルに向かって移動し、ノズルにおけるインクの体積
収縮の原因となり、膨張するインクを小滴として分離す
る。バブルが大きくなるときのインクのノズルからの加
速によって、紙等の記録媒体に向かって実質的に直線方
向のインクの小滴の運動量及び速度が付与される。イン
クの小滴は抵抗器が作動されるときだけ噴出されるの
で、この一般的な形式のサーマル・インクジェット印刷
は「ドロップ−オン−デマンド」印刷として知られてい
る。

【０００３】この技術分野における一般的なエンドユー
ザ用の製品は前もって組み込まれた、通常使い捨ての形
態のカートリッジである。このカートリッジはインク供
給装置を収容する密閉容器と、これに作動的に取付けら
れた、直線又はマトリクス配列の通路を有する印字ヘッ
ドとを備えている。概して、カートリッジはプリンタの
電子制御装置に接続するターミナルを含んでいる。抵抗
器、電子温度センサ、及び入力信号をイメージ操作のヒ
ータのために変換するデジタル手段のような、カートリ
ッジ自体の電子部品は印字ヘッドのインク通路に関連付
けられている。プリンタの一般的な設計において、カー
トリッジは、イメージが表示される用紙に対する印字ヘ
ッドを保持しており、用紙上を横切って列状に周期的に
移動し、タイプライタのようにイメージを形成する。用
紙上をその全幅を横切って延びる直線配列の通路が移動
する、全幅直線配列も周知である。一般的にカートリッ
ジは必要とする消費者によって購入され、インクの供給
がなくなるまで、もしくは、等しくより重要でないとし
ても、カートリッジ内のインク量がインクの印字ヘッド
に対する背圧を使用範囲内に維持するのに不十分になる
まで使用される。

【０００４】本発明の一実施態様において、液体インク
をサーマル・インクジェット印刷装置に供給する装置
は、通気ポート及び出口ポートを有する単一のチャンバ
を形成するハウジングを有する。媒体は少なくともチャ
ンバの一部を占め、媒体は若干の液体インクを保持する
ものである。スカベンジャ部材は出口ポートを横切って
配設され、媒体の毛管力より大きな毛管力を付与する。

【０００５】図１は本発明に含まれるカートリッジの部
分立面図である。

【０００６】図２は本発明に含まれる図１のようなカー
トリッジの分解図である。

【０００７】図３はカートリッジのインク量の機能とし
ての液体インクの背圧を示すグラフ図である。

【０００８】図４は図３のグラフ図の詳細図である。

【０００９】図５はサーマル・インクジェット印刷装置
の立面図である。

【００１０】図１はカートリッジ１０の部分立面図であ
る。カートリッジ１０はハウジング１２の形態の主要部
を有している。ハウジング１２は一般的に軽量だが耐久
性のあるプラスチックから作られている。ハウジング１
２には液体インクを貯蔵するチャンバ１３が形成されて
おり、さらにその中には大気に開口した通気ポート１
４、及び出口ポート１６が形成されている。出口ポート
１６（図１の切欠部に図示されているような）の端部
に、要点は上述したようなインクジェット印字ヘッド１
００、及び特にそのインク供給マニホルドがある。ここ
にそれぞれ符号１８の３つの分割部分に示されたインク
浸潤媒体はハウジング１２のチャンバ１３の大部分を占
めている。尚、媒体については後で詳細に説明される。

【００１１】図２はカートリッジ１０の分解図であっ
て、カートリッジ１０の種々の要素がどのように顧客に
よる取替え可能なコンパクトなユニットに組み立てられ
ているかが示されている。本発明の実際の実施例におい
て有用なカートリッジ１０の他の部品にはヒートシンク
２４及び、通気ポート１４を通じてハウジング１２の内
部の通気を可能とする開口２９を有するカバー２８が含
まれている。実際の設計においては一般的に印字ヘッド
100 の加熱素子の選択的作動のための搭載回路用空間が
含まれている。

【００１２】図１及び２において、通気ポート１４から
ハウジング１２の内部の中心に向かって延びる管３０が
媒体１８の各部の開口部を通っているのが示されてい
る。管３０の目的及び機能は、ここに同時に出願され
た、クロス−リファレンス特許出願の代理人整理番号Ｄ
／９１７３９、「サーマル・インク・ジェット・プリン
タのインク供給カートリッジの通気ポート（Air Vent f
or an Ink Supply Cartridge in a Thermal Ink-jet Pr
inter)」において詳細に説明されている。

【００１３】本発明の好適な実施例において、媒体１８
（材料の３つの部分として示された）はポリエステル繊
維の針で縫われたニードルフェルトの形状をしている。
ニードルフェルトは例えばニードル・ルームの作用によ
って物理的に相互に結合された繊維により作られるが、
更に浸漬又は蒸気加熱によってマット状にすることもで
きる。本発明による好適な実施例において、ニードルフ
ェルトの密度は立方センチメートル当たり０．０６ない
し０．１３グラムの間である。媒体１８を形成するこの
ポリエステルのニードルフェルトの最適密度は０．０９
５グラム／立方センチメートルであることが知られてい
る。この最適な密度は上記のような液体インクを保持す
るために最も有利な体積効率をもたらすものである。こ
の目的に適したタイプのフェルトはニューヨーク州メジ
ナのビーエムピー・オブ・アメリカ（BMP of America）
によって製造されている。

【００１４】所望範囲内の液体インクの背圧を与え、一
方では有効な体積効率及び可搬性を与えるために、ニー
ドルフェルトを形成するポリエステル繊維は２種類が混
じりあったタイプで、ポリエステル繊維の第１のタイプ
がポリエステルの第２のタイプより細さが大きくあるべ
きことがわかっている。特に、ニードルフェルトの有利
な構成は６デニール及び１６デニールのポリエステル繊
維に略等しい割合を有している。

【００１５】媒体１８は、フェルトが内壁に対して適正
な接触及び圧縮を付与するようにハウジング１２の閉所
内に詰められている。本発明の商業的に実施されたある
実施例において、媒体１８は３層のニードルフェルトを
積層し、各層の厚さを1/2 インチ（１２．７ｍｍ）とし
て、これらをハウジング１２内部に詰めることにより形
成されている。

【００１６】また、高毛管圧を与える材料からできた、
スカベンジャ２０として示される部材がハウジング１２
内に配置されている。スカベンジャ２０は、媒体１８と
印字ヘッド１００のマニホルドに連通する出口ポート１
６との間で多孔性毛管隔壁として働く比較的小さな部材
である。本発明の好適な実施例において、スカベンジャ
２０は企図するインクの流れ方向に５０％までフェルト
状にされた（熱及び圧力で圧縮された）アコースティッ
ク・メラミン・フォームから作られている。メラミン・
フォームのひとつの好適なタイプはミネソタ州、ミネア
ポリスのイルブルック・ユーエスエー（Illbruck USA)
によって製造され、ウィルテック（Wiltec.)の商品名で
販売されている。スカベンジャ２０は更に符号２２で示
されたフィルタクロスを含むことが好ましく、このフィ
ルタクロスは多孔性溶融薄層接着剤を使用してメラミン
に接着される。一般に、フィルタクロス２２の好適な材
料はモノフィラメント・ポリエステル・スクリーニング
・ファブリックである。このフィルタクロスには幾つか
の実際的な利益がある。一般的に、スカベンジャ２０を
出口ポート１６の開口部に保持するために特定の構造
（ワイヤメッシュのような）を必要としない。更に、フ
ィルタクロス２２と出口ポート１６との間には接着剤は
不要である。フィルタクロスによって付与される高毛管
力によって、フィルタクロス２２のスカベンジャ２０に
対する平面度（ひだや隆起がない）、スカベンジャ２０
の出口ポート１６に対する圧縮及びスカベンジャ２０の
浸潤のため、フィルタクロス２２と出口ポート１６の間
にインクの膜が生じる。この膜が出口ポート１６からの
空気を阻止する働きをする。

【００１７】図１において、スカベンジャ２０の外面の
一方の部分は媒体１８に当接し、その外面の他方の部分
は、媒体１８とハウジング１２の内壁との間の符号１５
で示される開放空間に露出していることがわかる。単一
のチャンバ１３は、所定量のインクが媒体１８へ又は媒
体から、スカベンジャ２０へ又はスカベンジャから、ま
たはチャンバ１３内の自由空間へ又は自由空間から、考
えられる限りにおいて流れることができるように設計さ
れている。即ち、チャンバ１３内を流れるインクに対す
る固体内部障壁がないということである。一般にこの配
置は、コピー・カートリッジの液体インクがゆっくりと
空になっていく間、管理可能範囲内に液体インクの背圧
を維持する働きをするものである。媒体１８のインク透
過率はインクを連続的に印字ヘッド１００に供給できる
ほど速くなく、又、媒体１８のフェルトは出口ポート１
６を通る連続したエア−フリーなインクの流れを可能と
するのに必要なシールを与えてないので、スカベンジャ
２０はインク・コンデンサとして機能することが企図さ
れており、インクはインク・デマンド率の高い条件下に
おいてさえインク・コンデンサから得ることができる。
これについては下記において詳しく説明する。

【００１８】印字ヘッドが用紙を横切り幾列かの印字幅
を移動する商業用の一般的なサーマルインクジェット印
刷装置において、８インチ（２０３ｍｍ）の印字幅を印
字する時間は約０．５秒である。カートリッジ１０が印
字幅間の方向を変える時間は約０．１秒である。スカベ
ンジャ２０は、インクが用紙上に載置されるにつれ、印
字幅の印刷間に浸潤が減少する。印字幅を印刷する間の
時間は、スカベンジャ２０がその再浸潤を許容され、平
衡背圧に復帰する「回復」時間として使われる。

【００１９】本発明の商業的に実施される実施例におい
て、媒体１８には当初６８立方センチメートルの液体イ
ンクが充填される。カートリッジの背圧が使用範囲内に
ある間、印刷目的のためには少なくとも５３立方センチ
メートルの液体インクを得ることが要求されている。ス
カベンジャ２０の一般的な容量は２立方センチメートル
である。書類の印刷中における一般的な８インチ（２０
３ｍｍ）の印字幅において、スカベンジャ２０は０．５
秒にその中の２．５％まで浸潤の減少が許容され、この
浸潤の減少により印字ヘッド１００の背圧が大きくな
る。この原理は、普通のスポンジを類推することにより
想像するのが最もよい。即ち、浸潤しているスポンジか
ら若干の液体を搾り出すことは、より浸潤の少ないスポ
ンジから同じ量の液体を搾り出すよりも、たとえ液体の
必要量が殆ど乾燥したスポンジにあるとしても、より簡
単である。どのような吸収性媒体によってもより少ない
浸潤は背圧の増大をもたらすので、この背圧により、印
刷時における用紙を横切る単一の印字幅の重要な濃度が
際だって増加される。

【００２０】しかしながら、スカベンジャ２０の浸潤の
減少により印字ヘッド１００の背圧が増大するが、スカ
ベンジャ２０からの増大した背圧は他の方向にも作用す
る。即ち、スカベンジャ２０の浸潤の減少が媒体１８に
対する負圧の原因となり、このため若干の液体インクが
媒体１８からスカベンジャ２０に移動し、これによりス
カベンジャ２０が再浸潤し、その背圧が低下する。この
ようにして、媒体１８とスカベンジャ２０の組み合わせ
は、媒体１８内のインクの供給の減少に伴う印字ヘッド
１００の背圧を安定化するための装置として機能する。

【００２１】図３および４は、本発明による好適な実施
例から製作されたカートリッジ１０の性能を示し、印字
ヘッド１００で保持される背圧がコピー・カートリッジ
１０のインク・レベルの大部分の使用可能範囲に維持さ
れていることが示されている。図３において、Ｘ軸は印
字ヘッド１００を通り供給されるインク量（即ち、カー
トリッジが空になるに伴う）を示し、一方、Ｙ軸は印字
ヘッドにおける、概して液体インクのミリメートルに匹
敵する水におけるミリメートルで表わした背圧を示して
いる。図３において明らかにわかるように、本発明の好
適な実施例では、背圧は、５５ｃｃ以上のインクが供給
される点まで、１２．５ｍｍから１２５ｍｍまでの最良
の範囲に維持される。好適な実施例において、カートリ
ッジ１０には当初６８ｃｃのインクが充填されので、不
十分な背圧のために適度な小量のインクのみが無駄にな
るだけである。図３のグラフには２本の線があるが、実
線は印字ヘッド１００におけるカートリッジの「静的毛
管圧」であり、一方、実線上方の点線は、図５に示す装
置上の用紙のような印刷書類の一般的な文章における、
記録紙上を横切る個々の印字幅の印刷時に発生する瞬間
的な背圧を示している。

【００２２】図４は図３のグラフの一部の詳細図であっ
て、連続使用もしくは実質的連続使用時におけるコピー
カートリッジ１０の背圧の一般的な動きを示している。
図１に示すような形式のサーマルインクジェット印刷装
置において、印字ヘッド１００がコピー用紙上に一連の
平行な印字幅のイメージを印刷するようにコピー用紙上
を横切って往復移動する。記録紙上を横切る各印字幅は
一般的に０．５秒持続し、一方各列の端部の転向時間は
約０．１秒である（一般的に商業用の実施例において
は、印字ヘッド１００はコピーカートリッジ１０がどち
らの方向へ移動しているときにもインクを記録紙に噴射
する）。上記のように、液体インクは１印字幅の印刷時
にコピーカートリッジから引き出され、スカベンジャ２
０はコピーカートリッジ１０の瞬間的な方向転換時に実
質的に再浸潤される。スカベンジャ２０（及び、範囲を
拡げて媒体１８を含む全インク供給手段）がわずかでも
浸潤が減少したとき、背圧が発生する。コピーカートリ
ッジ１０の実質的な連続使用時において、スカベンジャ
２０の周期的な浸潤の減少及び再浸潤は背圧の増大及び
再補正の周期的なパターンに変換される。これは図４に
おいて見ることができる。

【００２３】図４において、増大部（ａ）及び減少部
（ｂ）を有する鋸刃パターンを形成する細い点線は、実
線（静的毛管背圧）と図３において見ることのできる概
してより大きな点線によって示された局部的最大圧との
間の背圧の実際の連続的時間における動きを示してい
る。各鋸刃パターンにおいて、（ａ）部により示される
瞬間的増大は、インク供給装置が印字幅を印刷中にイン
クを停止するに伴う背圧の増加を表わしている。各鋸刃
パターンの比較的急な下降部（ｂ）は転向時間における
スカベンジャ２０の比較的急な再浸潤を示している。媒
体１８の浸潤の減少に加えて、符号１０のようなカート
リッジの背圧の他の原因は、媒体１８、スカベンジャ２
０及び他の部品間の種々の剪断力を起因とする、カート
リッジ１０の種々の要素を介して流れるインクの「イン
ピーダンス」である。又、剪断力は、例えば媒体１８の
フェルト及びスカベンジャ２０のフォーム内に顕微鏡的
レベルで存在する。

【００２４】このように、本発明の構造及び材料は、所
望範囲の背圧をコピーカートリッジの寿命以上に調和の
ある方法で印字ヘッドに対して付与するばかりでなく、
コピーカートリッジの連続使用中においても比較的調和
のあるレベルの背圧を維持するものであることがわか
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に含まれるカートリッジの部分立面図
である。

【図２】 本発明に含まれる図１のようなカートリッジ
の分解図である。

【図３】 カートリッジのインク量の機能としての液体
インクの背圧を示すグラフ図である。

【図４】 図３のグラフ図の詳細図である。

【図５】 サーマル・インクジェット印刷装置の立面図
である。

【符号の説明】

１２ ハウジング、１３ チャンバ、１４ 通気ポー
ト、１６ 出口ポート、１８ 媒体、２０ スカベンジ
ャ部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 通気ポート及び出口ポートを有する単一
   のチャンバを形成するハウジングと、 前記チャンバの少なくとも一部を占め、多量の液体イン
   クを保持する媒体と、 前記出口ポートを横切って配設され、前記媒体の毛管力
   より大きい毛管力を付与するスカベンジャ部材とを含
   む、サーマル・インクジェット印刷装置に液体インクを
   供給する装置。