JPH0691849B2 - 靴の中底または靴底 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、安定感のある快適な着用感をもたらしながら
歩行時の衝撃を吸収するとともに足裏を刺激してマッサ
ージ効果のある靴の中底または靴底に関するものであ
る。

（従来の技術） 従来からこの種の靴の中底または靴底には、上下両側に
チャンバーを形成し、各チャンバー内は横長の傾斜した
ブレードによって細分化されており、中空の底板の縁部
の上下両面に二枚のシートの外周を溶着させ、その内部
に液体を注入し密封し、この液体は上下両チャンバー内
を循環するように構成し、このような靴を履いて歩行す
る時は、体重の移動による足の圧力で液体がシート内を
移動し、このような液体の循環作用によって足裏をマッ
サージするものがある。したがって、この液体は循環時
にはブレードによって逆流が防止され、一方向のみに流
れるものである（特開平１−284205号公報）。

（発明が解決しようとする課題） しかし、この従来例では構造が複雑で、製造コストが高
くなり、液体の循環のみでの足裏の刺激が少なくマッサ
ージ効果も少ない。

そこで、本願出願人は、足裏の刺激を高めるため、底板
の上面に凹部を形成し、この凹部内に横長のブレードを
一方向に傾斜させて形成した中底を靴に入れ歩行したと
ころ、このブレードによる足裏への刺激が強くなり過
ぎ、長時間の快適な歩行が困難であった。

そこで本発明の目的は、ブレードによる足裏の刺激を流
体の移動によって緩和し、それにより足の裏側を長時間
全面的に刺激しても快適な歩行が可能な靴の中底または
靴底を提供することにある。

（課題を解決するための手段） 本発明の特徴は、底板と、この底板の凹部内に設けてあ
る複数のブレードと、このブレードのそれぞれの外端と
上記底板の縁部の内端とを連結しているウェブと、上記
ブレードの中間部に穿設してある溝部と、上記底板の縁
部の上面に貼着してある可撓性質のカバーと、上記底板
と上記カバーによって囲まれた空間に注入されている流
体とからなり、上記ブレードは、上記底板内にこの底板
の長手方向と直交する方向に設けてあり、同一方向に傾
斜しかつ上記底板の凹部の深さよりわずかに高い高さを
有し、上記ウェブは、上記ブレードより小さく上記流体
の移動を可能とし、上記溝部は、上記流体の移動を可能
とする大きさのものであるところにある。

（作用） したがって本発明によると、歩行者の体重の移動によ
り、流体は各ブレードの間の間隙を往復移動し、さらに
ウェブと溝部を上部ブレードの方向と直交する方向に往
復移動し、流体の自由で急激な移動をコントロールして
安定感のある快適な着用感をもたらしながらブレードに
よる足裏の刺激を緩和させ、かつ流体により歩行時の足
裏への衝撃が分散吸収されるものである。

（実施例） 以下図面を参照して、本発明を中底に適用した実施例に
ついて説明する。

第１図において、中底Ａは、熱可塑性樹脂を素材とする
もので、靴底の外形を有する底板１を有し、この底板の
上面には、縁部11を除いてほとんどの面積を占める凹部
12が形成してあり、この凹部の底面の上面には、複数の
ブレード13…が一体的に形成してある。さらに、ブレー
ド13…のそれぞれの両端はウェブ14になっており、この
ウェブが底板１の縁部11の内端とを連結している。さら
にブレード13の中間部には、溝部13aが穿設してあり、
底板１の縁部11の上面には、可撓性質のカバー２（第２
図では省略）が高周波により溶着してあり、そのため底
板１とこのカバーによって囲まれた空間は、密閉状態に
なっており、この空間には流体が注入され密封されてい
る。

ブレード13…は、底板１内にこの底板の長手方向（第１
図上下方向）と直交する方向（第１図左右方向）に設け
てあり、第２図示のように同一方向に傾斜し、かつ上記
凹部よりわずかに高い高さを有し、ウェブ14は、第４図
示のようにブレード13より小さく流体の移動を可能とし
ている。

溝部13aは、第５図示のように流体の移動を可能とする
大きさのものである。

したがって、歩行者の体重の移動により各ブレード13
…、ウェブ14…は潰され、それによって流体は、この各
ブレードの間の間隙を第４図左右方向に往復移動し、さ
らにこのウェブと溝部13a…をブレードの方向と直交す
る方向、すなわち、第１図上下方向に往復移動し、自由
で急激な移動がコントロールされるため、安定感のある
快適な着用感をもたらしながら歩行時の足裏への衝撃を
吸収するものである。また、ウェブ14…によってブレー
ド13…は屈曲し易くなっているため、流体の移動は円滑
に行われる。そして、ブレードが傾斜状に形成されてい
るため生じる適度の剛性により足裏が刺激され、さら
に、前記した流体の移動によりこのブレードの剛性によ
る刺激が緩和されるため、長時間の着用においても苦痛
を生じることなく、足裏を継続的にマッサージできる。

（発明の効果） 以上の構成を有する本発明は、ブレードによって足裏を
刺激するものであるが、この刺激は、流体の移動によっ
て緩和され、またブレード、ウェブ及び溝部により流体
の自由な移動がコントロールされ、そのため安定感のあ
る快適な着用感が生じ、また効果的な歩行時の衝撃吸収
が行なえ長時間の歩行も快適であり、足裏のマッサージ
効果を高めることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は一部切欠正面図、第２図は第１図ａ−ａ線断面
図、第３図は第１図ｂ−ｂ線拡大断面図、第４図は第１
図ｃ−ｃ線拡大断面図、第５図は溝部の拡大正面図であ
る。 １……底板、 11……縁部、 12……凹部、 13……ブレード、 14……ウェブ、 13a……溝部、 ２……カバー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】底板（１）と、複数のブレード（13）と、
   ウェブ（14）と、カバー（２）と、流体とからなり、 上記底板は、靴底の外形をし、かつこの底板の上面に足
   裏に相当する形状の凹部（12）が形成してあり、 上記ブレードは、上記底板の上記凹部内に一体的に設け
   てあるもので、この底板の長手方向と直交する同一方向
   に傾斜して形成してあり、かつ上記凹部の深さよりわず
   かに高い高さを有し、 前記ブレードの中間部には、前記流体の移動を可能とす
   る大きさの溝部（13a）が穿設してあり、 上記ウェブは、上記ブレードのそれぞれの外端と上記底
   板の縁部（11）の内端とを連結し、かつ上記ブレードよ
   り小さく上記流体の移動を可能とするものであり、 前記カバーは、前記底板の上面の縁部に貼着してある可
   撓性質のものであり、 前記流体は、前記底板と前記カバーによって囲まれた空
   間に注入され密封されている ことを特徴とする靴の中底または靴底。