JPH0690532B2 - 光受容部材 - Google Patents

光受容部材

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JPH0690532B2
JPH0690532B2 JP23628585A JP23628585A JPH0690532B2 JP H0690532 B2 JPH0690532 B2 JP H0690532B2 JP 23628585 A JP23628585 A JP 23628585A JP 23628585 A JP23628585 A JP 23628585A JP H0690532 B2 JPH0690532 B2 JP H0690532B2
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淳 小池
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する技術分野〕 本発明は、光(ここでは広義の光で紫外線、可視光線、
赤外線、X線、γ線等を示す)の様な電磁波に感受性の
ある光受容部材に関する。さらに詳しくは、レーザー光
などの可干渉性光を用いるのに適した光受容部材に関す
る。
〔従来技術の説明〕
デジタル画像情報を画像として記録する方法として、デ
ジタル画像情報に応じて変調したレーザー光で光受容部
材を光学的に走査することにより静電潜像を形成し、次
いで該潜像を現像するか、更に必要に応じて転写、定着
などの処理を行なう、画像を記録する方法が知られてお
り、中でも電子写真法による画像形成法では、レーザー
として、小型で安価なHe−Neレーザーあるいは半導体レ
ーザー(通常は650〜820nmの発光波長を有する)を使用
して像記録を行なうのが一般的である。
ところで、半導体レーザーを用いる場合に適した電子写
真用の光受容部材としては、その光感度領域の整合性が
他の種類の光受容部材と比べて優れているのに加えて、
ビツカース硬度が高く、公害の問題が少ない等の点から
評価され、例えば特開昭54-86341号公報や特開昭56-837
46号公報にみられるようなシリコン原子を含む非晶質材
料(以後「a−Si」と略記する)から成る光受容部材が
注目されている。
しかしながら、前記光受容部材については、光受容層を
単層構成のa−Si層とすると、その高光感度を保持しつ
つ、電子写真用として要求される1012Ωcm以上の暗抵抗
を確保するには、水素原子やハロゲン原子、或いはこれ
等に加えてボロン原子とを特定の量範囲で層中に制御さ
れた形で構造的に含有させる必要性があり、ために層形
成に当つて各種条件を厳密にコントロールすることが要
求される等、光受容部材の設計についての許容度に可成
りの制限がある。そしてそうした設計上の許容度の問題
をある程度低暗抵抗であつても、その高光感度を有効に
利用出来る様にする等して改善する提案がなされてい
る。即ち、例えば、特開昭54-121743号公報、特開昭57-
4053号公報、特開昭57-4172号公報にみられるように光
受容層を伝導特性の異なる層を積層した二層以上の層構
成として、光受容層内部に空乏層を形成したり、或いは
特開昭57-52178号、同52179号、同52180号、同58159
号、同58160号、58161号の各公報にみられるように支持
体と光受容層の間、又は/及び光受容層の上部表面に障
壁層を設けた多層構造としたりして、見掛け上の暗抵抗
を高めた光受容部材が提案されている。
ところがそうした光受容層が多層構造を有する光受容部
材は、各層の層厚にばらつきがあり、これを用いてレー
ザー記録を行う場合、レーザー光が可干渉性の単色光で
あるので、光受容層のレーザー光照射側自由表面、光受
容層を構成する各層及び支持体と光受容層との層界面
(以後、この自由表面及び層界面の両者を併せた意味で
「界面」と称する。)より反射して来る反射光の夫々が
干渉を起こしてしまうことがしばしばある。
この干渉現象は、形成される可視画像に於いて、所謂、
干渉縞模様となつて現われ、画像不良の原因となる。殊
に階調性の高い中間調の画像を形成する場合にあつて
は、識別性の著しく劣つた阻画像を与えるところとな
る。
また重要な点として、使用する半導体レーザー光の波長
領域が長波長になるにつれ光受容層に於ける該レーザー
光の吸収が減少してくるので、前記の干渉現象が顕著に
なるという問題がある。
即ち、例えば2若しくはそれ以上の層(多層)構成のも
のであるものにおいては、それらの各層について干渉効
果が起り、それぞれの干渉が相乗的に作用し合つて干渉
縞模様を呈するところとなり、それがそのまゝ転写部材
に影響し、該部材上に前記干渉縞模様に対応した干渉縞
が転写、定着され可視画像に現出して不良画像をもたら
してしまうといつた問題がある。
こうした問題を解消する策として、(a)支持体表面を
ダイヤモンド切削して、±500Å〜±10000Åの凹凸を設
けて光散乱面を形成する方法(例えば特開昭58-162975
号公報参照)、(b)アルミニウム支持体表面を黒色ア
ルマイト処理したり、或いは、樹脂中にカーボン、着色
顔料、染料を分散したりして光吸収層を設ける方法(例
えば特開昭57-165845号公報参照)、(c)アルミニウ
ム支持体表面を梨地状のアルマイト処理したり、サンド
ブラストにより砂目状の微細凹凸を設けたりして、支持
体表面に光散乱反射防止層を設ける方法(例えば特開昭
57-16554号公報参照)等が提案されてはいる。
これ等の提案方法は、一応の結果はもたらすものの、画
像上に現出する干渉縞模様を完全に解消するに十分なも
のではない。
即ち、(a)の方法については、支持体表面に特定の凹
凸を多数設けていて、それにより光散乱効果による干渉
縞模様の現出が一応それなりに防止はされるものの、光
散乱としては依然として正反射光成分が残存するため、
該正反射光による干渉縞模様が残存してしまうことに加
えて、支持体表面での光散乱効果により照射スポットに
拡がりが生じ、実質的な解像度低下をきたしてしまう。
(b)の方法については、黒色アルマイト処理では、完
全吸収は不可能であり、支持体表面での反射光は残存し
てしまう。また、着色顔料分散樹脂層を設ける場合は、
a−Si層を形成する際、樹脂層より脱気現象が生じ、形
成される光受容層の層品質が著しく低下すること、樹脂
層がa−Si層形成の際のプラズマによつてダメージを受
けて、本来の吸収機能を低減させると共に、表面状態の
悪化によるその後のa−Si層の形成に悪影響を与えるこ
と等の問題点を有する。
(c)の方法については、例えば入射光についてみれば
光受容層の表面でその一部が反射されて反射光となり、
残りは、光受容層の内部に進入して透過光となる。透過
光は、支持体の表面に於いて、その一部は、光散乱され
て拡散光となり、残りが正反射されて反射光となり、そ
の一部が出射光となつて外部に出ては行くが、出射光
は、反射光と干渉する成分であつて、いずれにしろ残留
するため依然として干渉縞模様が完全に消失はしない。
ところで、この場合の干渉を防止するについて、光受容
層内部での多重反射が起らないように、支持体の表面の
拡散性を増加させる試みもあるが、そうしたところでか
えつて光受容層内で光が拡散してハレーシヨンを生じて
しまい結局は解像度が低下してしまう。
特に、多層構成の光受容部材においては、支持体表面を
不規則的に荒しても、第1層表面での反射光、第2層で
の反射光、支持体面での正反射光の夫々が干渉して、光
受容部材の各層厚にしたがつた干渉縞模様が生じる。従
つて、多層構成の光受容部材においては、支持体表面を
不規則に荒すことでは、干渉縞を完全に防止することは
不可能である。
又、サンドブラスト等の方法によつて支持体表面を不規
則に荒す場合は、その粗面度がロツト間に於いてバラツ
キが多く、且つ同一ロツトに於いても粗面度に不均一が
あつて、製造管理上問題がある。加えて、比較的大きな
突起がランダムに形成される機会が多く、斯かる大きな
突起が光受容層の局所的ブレークダウンをもたらしてし
まう。
又、支持体表面を単に規則的に荒したところで、通常、
支持体の表面の凹凸形状に沿つて、光受容層が堆積する
ため、支持体の凹凸の傾斜面と光受容層の凹凸の傾斜面
とが平行になり、その部分では入射光は、明部、暗部を
もたらすところとなり、また、光受容層全体では光受容
層の層厚の不均一性があるため明暗の縞模様が現われ
る。従つて、支持体表面を規則的に荒しただけでは、干
渉縞模様の発生を完全に防ぐことはできない。
又、表面を規則的に荒した支持体上に多層構成の光受容
層を堆積させた場合にも、支持体表面での正反射光と、
光受容層表面での反射光との干渉の他に、各層間の界面
での反射光による干渉が加わるため、一層構成の光受容
部材の干渉縞模様発現度合より一層複雑となる。
〔発明の目的〕
本発明は、主としてa−Siで構成された光受容層を有す
る光受容部材について、上述の諸問題を排除し、各種要
求を満たすものにすることを目的とするものである。
すなわち、本発明の主たる目的は、電気的、光学的、光
導電的特性が使用環境に殆んど依存することなく実質的
に常時安定しており、耐光疲労に優れ、繰返し使用に際
しても劣化現象を起こさず耐久性、耐湿性に優れ、残留
電位が全く又は殆んど観測されなく、製造管理が容易で
ある、a−Siで構成された光受容層を有する光受容部材
を提供することにある。
本発明の別の目的は、全可視光域において光感度が高
く、とくに半導体レーザーとのマツチング性に優れ、且
つ光応答の速い、a−Siで構成された光受容層を有する
光受容部材を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、高光感度性、高SN比特性及び
高電気的耐圧性を有する、a−Siで構成された光受容層
を有する光受容部材を提供することにある。
本発明の他の目的は、支持体上に設けられる層と支持体
との間や積層される層の各層間に於ける密着性に優れ、
構造配列的に緻密で安定的であり、層品質の高い、a−
Siで構成された光受容層を有する光受容部材を提供する
ことにある。
本発明の更に他の目的は、可干渉性単色光を用いる画像
形成に適し、長期の繰り返し使用にあつても、干渉縞模
様と反転現像時の斑点の現出がなく、且つ画像欠陥や画
像のボケが全くなく、濃度が高く、ハーフトーンが鮮明
に出て且つ解像度の高い、高品質画像を得ることのでき
る、a−Siで構成された光受容層を有する光受容部材を
提供することにある。
〔発明の構成〕
本発明者らは、従来の光受容部材についての前述の諸問
題を克服して、上述の目的を達成すべく鋭意研究を重ね
た結果、下述する知見を得、該知見に基づいて本発明を
完成するに至つた。即ち、本発明の光受容部材は、支持
体上に、シリコン原子と、ゲルマニウム原子及びスズ原
子の少なくともいずれか一方とを含有する非晶質材料で
構成された感光層を少なくとも有する多層構成の光受容
層を有する光受容部材であって、前記支持体の表面に、
窪みの幅Dが500μm以下で窪みの曲率半径Rと幅Dと
が0.035≦D/Rとされた複数の球状痕跡窪みによる凹凸を
有し、かつ、該球状痕跡窪み内に更に0.5〜20μmの微
小な凹凸を有していることを特徴とする。
ところで、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果得た知見
は、概要、支持体上に複数の層を有する光受容部材にお
いて、前記支持体表面に、複数の球状痕跡窪みによる凹
凸を設け、かつ、該球状痕跡窪み内に更に微小な複数の
凹凸形状を設けることにより、画像形成時に現われる干
渉縞模様の問題が著しく解消されるというものである。
この知見は、本発明者らが試みた各種の実験により得た
事実関係に基づくものである。
このところを、理解を容易にするため、図面を用いて以
下に説明する。
第1図は、本発明に係る光受容部材100の層構成を示す
模式図であり、微小な複数の球状痕跡窪みによる凹凸形
状を有し、かつ、該球状痕跡窪み内に更に微小な複数の
凹凸形状を有する支持体101上に、その凹凸の傾斜面に
沿つて、第一の層102自由表面103を有する及び第二の層
102″とからなる光受容層102を備えた光受容部材を示し
ている。
第2及び4図は、本発明の光受容部材において干渉縞模
様の問題が解消されるところを説明するための図であ
る。
第3図は、表面を規則的に荒した支持体上に多層構成の
光受容層を堆積させた従来の光受容部材の一部を拡大し
て示した図である。該図において、301は第一の層、302
は第二の層、303は自由表面、304は第一の層と第二の層
の界面をそれぞれ示している。第3図に示すごとく、支
持体表面を切削加工等の手段により単に規則的に荒した
だけの場合、通常は、支持体の表面の凹凸形状に沿つて
光受容層が形成されるため、支持体表面の凹凸の傾斜面
と光受容層の凹凸の傾斜面とが平行関係をなすところと
なる。
このことが原因で、例えば、光受容層が第一の層301
と、第二の層302との2つの層からなる多層構成のもの
である光受容部材においては、例えば次のような問題が
定常的に惹起される。即ち、第一の層と第二の層との界
面304及び自由表面303とが平行関係にあるため、界面30
4での反射光Re1と自由表面での反射光Re2とは方向が一
致し、第二の層の層厚に応じた干渉縞が生じる。
第2図は、複数の球状痕跡窪みによる凹凸形状を有する
支持体上に、多層構成の光受容層を堆積させた光受容部
材の一部を拡大して示した図である。該図において、20
1は第一の層、202は第二の層、203は自由表面、204は第
一の層と第二の層との界面をそれぞれ示している。第2
図に示すごとく、支持体表面を複数の微小な球状痕跡窪
みによる凹凸形状を設けた場合、該支持体上に設けられ
る光受容層は、該凹凸形状に沿つて堆積するため、第一
の層201と第二の層202との界面204、及び自由表面203
は、各各、前記支持体表面の凹凸形状に沿つて、球状痕
跡窪みによる凹凸形状に形成される。界面204に形成さ
れる球状痕跡窪みの曲率半径をR1、自由表面に形成され
る球状痕跡窪みの曲率半径R2とすると、R1とR2とはR1
R2となるため、界面204での反射光と、自由表面203での
反射光とは、各々異なる反射角度を有し、即ち、第2図
におけるθ1、θ2が、θ1≠θ2であつて、方向が異なる
うえ、第2図に示すl2、l2、l3を用いてl1+l2−l3で表
わされるところの波長のずれも一定とはならずに変化す
るため、いわゆるニュートンリング現象に相当するシエ
アリング干渉が生起し、干渉縞は窪み内で分散されると
ころとなる。これにより、こうした光受容部材を介して
現出される画像は、ミクロ的には干渉縞が仮に現出され
ていたとしても、それらは視覚にはとられない程度のも
のとなる。
即ち、かくなる表面形状を有する支持体の使用は、その
上に多層構成の光受容層を形成してなる光受容部材にあ
つて、該光受容層を通過した光が、層界面及び支持体表
面で反射し、それらが干渉することにより、形成される
画像が縞模様となることを効率的に防止し、優れた画像
を形成しうる光受容部材を得ることにつながる。
第4図は、第1図に示す本発明の光受容部材における支
持体表面の一部を拡大した図である。第4図に示すごと
く、本発明の光受容部材における支持体表面は、球状痕
跡窪み403内の表面の一部分乃至全体に、更に微小な凹
凸乃至凹凸群404が形成されている。この様な更に微小
な凹凸乃至凹凸群404を設けた場合、第2図を用いて記
述したところの干渉防止効果に加えて、該微小凹凸404
による散乱効果がもたらされて、これにより干渉縞模様
の発生がより一層確実に防止される。
ところで、従来技術においては、前述したごとく、支持
体表面をランダムに荒らすことで乱反射させ、干渉縞模
様の発生を防止していた。しかし、この様な場合充分な
干渉縞模様の発生を防止する効果が得られないばかりで
なく、画像転写後のクリーニングにおいて、例えばブレ
ードを用いてクリーニングする場合にも問題が生ずる。
即ち、光受容層の表面は、支持体上に設けられた凹凸に
沿つた凹凸が生ずるため、ブレードが光受容層の凹凸の
凸部に主としてあたり、クリーニング性が悪く、また、
光受容層の凸部とブレード表面の摩耗が大きくなり、結
果的に両者の耐久性がよくなく問題がある。
これに対し、本発明の光受容部材においては、散乱効果
をもたらす微小な凹凸形状が、球状痕跡窪み(凹部)内
に存在するため、クリーニング時において、ブレードが
光受容層の凹部に接触するということがなくなり、ブレ
ードや光受容層表面に大きな負荷がかからないという利
点も有している。
さて、本発明の光受容部材の支持体表面に設けられる球
状痕跡窪みによる凹凸形状の曲率半径、幅、及び該球状
痕跡窪み内の微小な凹凸の高さは、こうした本発明の光
受容部材における干渉縞の発生を防止する作用効果を効
率的に得るについて重要である。本発明者らは、各種実
験を重ねた結果以下のところを究明した。
即ち、球状痕跡窪みによる凹凸形状の曲率半径をR、幅
をDとした場合、次式: を満足する場合には、各々の痕跡窪み内にシエアリング
干渉によるニュートンリングが0.5本以上存在すること
となる。さらに次式: を満足する場合には、各々の痕跡窪み内にシエアリング
干渉によるニュートンリングが1本以上存在することと
なる。
こうしたことから、光受容部材の全体に発生する干渉縞
を、各々の痕跡窪み内に分散せしめ、光受容部材におけ
る干渉縞の発生を防止するためには、前記 を0.035、好ましくは0.055以上とすることが望ましい。
また、 の上限は、望ましくは0.5とされる。というのは、 が0.5より大きくなると、窪みの幅Dが相対的に大きく
なり、画像ムラ等を派生し易い状況となるためである。
また、痕跡窪みによる凹凸の幅Dは、大きくとも500μ
m程度以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10
0μm以下とするのが望ましい。Dが500μmを超える
と、画像ムラを派生しやすくなるとともに、解像力をこ
えてしまうおそれがあり、こうした場合には、効率的な
干渉縞防止効果が得られにくくなる。
球状痕跡窪み内に形成される微小凹凸の高さ、即ち、球
状痕跡窪み内の表面粗さγmaxは、0.5〜20μmの範囲で
あることが好ましい。γmaxが0.5μm以下である場合に
は散乱効果十分に得られず、また、20μmをこえると、
球状痕跡窪みによる凹凸と比較して、球状痕跡窪み内の
微小凹凸が大きくなりすぎ、痕跡窪みが球状をなさなく
なつたりして、干渉縞模様の発生を防止する効果が十分
に得られなくなる。また、こうした支持体上に設けられ
る光受容層の不均一性を増長することともなり、画像欠
陥を生じやすくなるため、好ましくない。
上述のような特定の表面形状の支持体上に形成される光
受容層は、シリコン原子と、ゲルマニウム原子又はスズ
原子の少なくともいずれか一方とを含有するアモルフア
ス材料で構成され、特に望ましくはシリコン原子(Si)
と、ゲルマニウム原子(Ge)又はスズ原子(Sn)の少な
くともいずれか一方と、好ましくは水素原子(H)とハ
ロゲン原子(X)の少なくともいずれか一方とを含有す
るアモルフアス材料〔以下、「a−Si(Ge,Sn)(H,
X)」と表記する。〕で構成され、さらに必要に応じて
伝導性を制御する物質を含有せしめることができる。そ
して、該光受容層は、多層構造を有しており、特に好ま
しくは、伝導性を制御する物質を含有する電荷注入阻止
層を構成層の1つとして有するか、または/及び障壁層
を構成層の1つとして有することが望ましく、さらに、
後で詳述するように、干渉を防止することを目的とし
て、光受容層の支持体側の端部にゲルマニウム原子又は
/及びスズ原子を比較的多量に含有する局在領域を形成
せしめることが望ましく、こうした構成の本発明の光受
容部材は支持体上に複数の層による複数の界面が形成さ
れることとなる。
本発明の光受容部材の光受容層の作成については、本発
明の前述の目的を効率的に達成するために、その層厚を
光学的レベルで正確に制御する必要があることから、グ
ロー放電法、スパツタリング法、イオンプレーテイング
法等の真空堆積法が通常使用されるが、これらの他、光
CVD法、熱CVD法等を採用することもできる。
以下、図示の実施例にしたがつて本発明の光受容部材の
具体的内容を説明するが、本発明の光受容部材はそれら
実施例により限定されるものではない。
第1図は、本発明の光受容部材の層構成を説明するため
に模式的に示した図であり、図中、100は光受容部材、1
01は支持体、102′は第一の層、102″は第二の層、103
は自由表面を示している。
支持体 本発明の光受容部材における支持体101は、その表面が
光受容部材に要求される解像力よりも微小な凹凸を有
し、しかも該凹凸は、複数の球状痕跡窪みによるもので
あり、かつ、該球状痕跡窪み内には更に微小な複数の凹
凸が形成されているものである。
以下に、本発明の光受容部材における支持体の表面の形
状及びその好適な製造例を、第4及び5図により説明す
るが、本発明の光受容部材における支持体の表面形状及
びその製造法は、これらによつて限定されるものではな
い。
第4図は、本発明の光受容部材における支持体の表面の
形状の典型的一例を、その凹凸形状の一部を部分的に拡
大して模式的に示すものである。
第4図において401は支持体、402は支持体表面、403は
球状痕跡窪みによる凹凸形状、404は該球状痕跡窪み内
に設けられた更に微小な凹凸形状を示している。
さらに第4図は、該支持体表面形状を得るのに好ましい
製造方法の1例をも示すものでもあり、403′は、表面
に微小な凹凸形状404′を有する剛体球を示しており、
該剛体球403′を支持体表面402より所定高さの位置より
自然落下させて支持体表面402に衝突させることによ
り、窪み内に微小な凹凸形状404を有する、球状痕跡窪
みによる凹凸形状403を形成しうることを示している。
そして、ほぼ同一径R′の剛体球403′を複数個用い、
それらを同一の高さhより、同時あるいは逐次、落下さ
せることにより、支持体表面402に、ほゞ同一の曲率半
径R及びほゞ同一の幅Dを有する複数の球状痕跡窪み40
3を形成することができる。
第5図は、前述のごとくして表面に、複数の球状痕跡窪
みによる凹凸形状の形成された支持体のいくつかの典型
例を示すものである。該図において、501は支持体、502
は支持体表面、503は、窪み内に複数の更に微小な凹凸
形状を有する球状痕跡窪み(なお、第5図においては球
状痕跡窪み内に形成される更に微小な複数の凹凸形状は
図示していないが、球状痕跡窪み503内には各々更に微
小な凹凸形状を有しているものとする。)、503′は表
面に微小な凹凸形状を有する剛体球(同様にして、表面
の微小な凹凸形状は図示していないが、剛体球の表面に
は、微小な凹凸形状を有しているものとする。)をそれ
ぞれ示している。
第5(A)図に示す例では、支持体501の表面502の異な
る部位に、ほぼ同一の径の複数の球体503′、503′、…
をほぼ同一の高さより規則的に落下させてほぼ同一の曲
率半径及びほぼ同一の幅の複数の痕跡窪み503、503、…
を互いに重複し合うように密に生じせしめて規則的に凹
凸形状を形成したものである。なおこの場合、互いに重
複する窪み503、503、…を形成するには、球体503′の
支持体表面502への衝突時期が、互いにずれるように球
体503′、503′、…を自然落下せしめる必要のあること
はいうまでもない。
また、第5(B)図に示す例では、異なる径を有する二
種類の球体503′、503′、…をほぼ同一の高さ又は異な
る高さから落下させて、支持体501の表面502に、二種の
曲率半径及び二種の幅の複数の窪み503、503、…を互い
に重複し合うように密に生じせしめて、表面の凹凸の高
さが不規則な凹凸を形成したものである。
更に、第5(C)図(支持体表面の正面図および断面
図)に示す例では、支持体501の表面502に、ほぼ同一の
径の複数の球体503′、503′、…をほぼ同一の高さより
不規則に落下させ、ほぼ同一の曲率半径及び複数種の幅
を有する複数の窪み503、503、…を互いに重複し合うよ
うに生じせしめて、不規則な凹凸を形成したものであ
る。
以上のように、本発明の光受容部材の支持体の表面に球
状痕跡窪みによる凹凸形状を形成せしめ、かつ、該球状
痕跡窪み内に更に微小な複数の凹凸形状を形成せしめる
については、表面に微小な凹凸形状を有する剛体球を支
持体表面に落下させる方法が、好ましい例として挙げら
れるが、この場合、剛体球の径、落下させる高さ、剛体
球と支持体表面の硬度、剛体球の表面の凹凸の形状及び
大きさ、あるいは落下せしめる剛体球の量等の諸条件を
適宜選択することにより、支持体表面に所望の平均曲率
半径及び平均幅を有する球状痕跡窪み、あるいは該球状
痕跡窪み内に所望の大きさ及び形状の凹凸を、所定の密
度で形成することができる。即ち、上記諸条件を選択す
ることにより、支持体表面に形成される凹凸形状の凹凸
の高さや凹凸のピツチ、あるいは凹凸形状の凹部に形成
される更に微小な凹凸形状の凹凸の高さや凹凸のピツチ
等を、目的に応じて自在に調節することが可能であり、
所望の凹凸形状を有する支持体を得ることができる。
そして、光受容部材の支持体を凹凸形状表面のものにす
るについて、旋盤、フライス盤等を用いたダイヤモンド
バイトにより切削加工して作成する方法の提案がなされ
ていてそれなりに有効な方法ではあるが、該方法にあつ
ては切削油の使用、切削により不可避的に生ずる切粉の
除去、切削面に残存してしまう切削油の除去が不可欠で
あり、結局は加工処理が煩雑であつて効率のよくない等
の問題を伴うところ、本発明にあつては、支持体の凹凸
表面形状を前述したように球状痕跡窪みにより形成する
ことから上述の問題は全くなくして所望の凹凸形状表面
の支持体を効率的且つ簡便に作成できる。
本発明に用いる支持体101は、導電性のものであつて
も、また電気絶縁性のものであつてもよい。導電性支持
体としては、例えば、NiCr、ステンレス、Al、Cr、Mo、
Au、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pb等の金属又はこれ等の合金
が挙げられる。
電気絶縁性支持体としては、ポリエステル、ポリエチレ
ン、ポリカーボネート、セルロース、アセテート、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフイルム又はシ
ート、ガラス、セラミツク、紙等が挙げられる。これ等
の電気絶縁性支持体は、好適には少なくともその一方の
表面を導電処理し、該導電処理された表面側に光受容層
を設けるのが望ましい。
例えば、ガラスであれば、その表面に、NiCr、Al、Cr、
Mo、Au、Ir、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pb、In2O3、SnO2、I
TO(In2O3+SnO3)等から成る薄膜を設けることによつ
て導電性を付与し、或いはポリエステルフイルム等の合
成樹脂フイルムであれば、NiCr、Al、Ag、Pb、Zn、Ni、
Au、Cr、Mo、Ir、Nb、Ta、V、Tl、Pt等の金属の薄膜を
真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパツタリング等でその表
面に設け、又は前記金属でその表面をラミネート処理し
て、その表面に導電性を付与する。支持体の形状は、円
筒状、ベルト状、板状等任意の形状であることができる
が、用途、所望によつて、その形状は適宜に決めること
のできるものである。例えば、第1図の光受容部材100
を電子写真用像形成部材として使用するのであれば、連
続高速複写の場合には、無端ベルト状又は円筒状とする
のが望ましい。支持体の厚さは、所望通りの光受容部材
を形成しうる様に適宜決定するが、光受容部材として可
撓性が要求される場合には、支持体としての機能が充分
発揮される範囲内で可能な限り薄くすることができる。
しかしながら、支持体の製造上及び取扱い上、機械的強
度等の点から、通常は、10μ以上とされる。
次に、本発明の光受容部材を電子写真用の光受容部材と
して用いる場合について、その支持体表面の製造装置の
1例を第6(A)図及び第6(B)図を用いて説明する
が、本発明はこれによつて限定されるものではない。
電子写真用光受容部材の支持体としては、アルミニウム
合金等に通常の押出加工を施して、ボートホール管ある
いはマンドレル管とし、更に引抜加工して得られる引抜
管に、必要に応じて熱処理や調質等の処理を施した円筒
状(シリンダー状)基体を用い、該円筒状基体に第6
(A)、(B)図に示した製造装置を用いて、支持体表
面に凹凸形状を形成せしめる。
支持体表面に前述のような凹凸形状を形成するについて
用いる球体としては、例えばステンレス、アルミニウ
ム、鋼鉄、ニツケル、真鍮等の金属、セラミツク、プラ
スチツク等の各種剛体球を挙げることができ、とりわけ
耐久性及び低コスト化等の理由により、ステンレス及び
鋼鉄の剛体球が望ましい。そしてそうした剛体球の硬度
は、支持体の硬度よりも高くても、あるいは低くてもよ
いが、球体を繰返し使用する場合には、支持体の硬度よ
りも高いものであることが望ましい。
本発明の支持体表面に前述のごとき特定形状を形成する
には、上述のような各種剛体球の表面に凹凸を有するも
のを使用する必要があり、こうした表面に凹凸を有する
剛体球は、例えばエンボス、波付け等の塑性加工処理を
応用する方法、地荒し法(梨地法)等の粗面化方法な
ど、機械的処理により凹凸を形成する方法、酸やアルカ
リによる食刻処理等化学的法により凹凸を形成する方法
などを用いて剛体球を処理することにより作製すること
ができる。また更にこの様に凹凸を形成した剛体球表面
に、電解研摩、化学研摩、仕上げ研摩等、又は陽極酸化
皮膜形成、化成皮膜形成、めつき、ほうろう、塗装、蒸
着膜形成、CVD法による膜形成などの表面処理を施して
凹凸形状(高さ)、硬度などを適宜調整することができ
る。
第6(A)、(B)図は、製造装置の一例を説明するた
めの模式的な断面図である。図中、601は支持体作成用
のアルミニウムシリンダーであり、該シリンダー601
は、予め表面を適宜の平滑度に仕上げられていてもよ
い。シリンダー601は、回転軸602に軸支されており、モ
ーター等の適宜の駆動手段603で駆動され、ほぼ軸芯の
まわりで回転可能にされている。604は、軸受602に軸支
され、シリンダー601と同一の方向に回転する回転容器
であり、該容器604の内部には、表面に凹凸形状を有す
る多数の剛体球605が収容されている。剛体球605は、回
転容器604の内壁に設けられている、突出した複数のリ
ブ606によつて担持され、且つ、回転容器604の回転によ
つて容器上部まで輸送される。回転容器の回転速度があ
る適度の速度の時に、容器壁について容器上部まで輸送
された剛体球605は、シリンダー601上に向け落下し、シ
リンダー表面に衝突し、表面に痕跡窪みを形成する。
なお、回転容器604の壁に均一に穴を穿つておき、回転
時に容器604の外部に設けたシヤワー管607より洗浄液を
噴射するようにし、シリンダー601と剛体球605及び回転
容器604を洗浄しうる様にすることもできる。このよう
にした場合、剛体球どうし、又は剛体球と回転容器との
接触等により生ずる静電気によつて付着したゴミ等を、
回転容器604外へ洗い出すこととなり、ゴミ等の付着が
ない所望の支持体を形成することができる。該洗浄液と
しては、洗浄液の乾燥むらや液だれのないものを用いる
必要があり、こうしたことから不揮発性物質単独、又は
トリクロルエタン、トリクロルエチレン等の洗浄液との
混合物を用いるのが好ましい。
光受容層 本発明の光受容部材100においては、前述の支持体101上
に光受容層102を設けるものであり、該受容層102は、a
−Si(Ge,Sn)(H,X)で構成されており、該光受容層に
は、必要に応じて伝導性を制御する物質を含有せしめる
ことが可能である。そして、本発明の光受容層は、多層
構成となつており、例えば第1図に示す例においては第
一の層102′と第二の層102″とより構成され、光受容層
の支持体側と反対の側には自由表面103を有している。
ところで、本発明の光受容部材の光受容層にゲルマニウ
ム原子及び/又はスズ原子を含有せしめる目的は、主と
して該光受容部材の長波長側における吸収スペクトル特
性を向上せしめることにある。
即ち、前記光受容層中にゲルマニウム原子又は/及びス
ズ原子を含有せしめることにより、本発明の光受容部材
は、各種の優れた特性を示すところのものとなるが、中
でも特に可視光領域をふくむ比較的短波長から比較的長
波長迄の全領域の波長の光に対して光感度が優れ光応答
性の速いものとなる。そしてこのことは、半導体レーザ
ーを光源とした場合に特に顕著である。
本発明における光受容層においては、ゲルマニウム原子
又は/及びスズ原子は、その全層領域に均一な分布状態
で含有せしめるかあるいは不均一な分布状態で含有せし
めるものである。(ここで均一な分布状態とは、ゲルマ
ニウム原子又は/及びスズ原子の分布濃度が、光受容層
の支持体表面と平行な面方向において均一であり、光受
容層の層厚方向にも均一であることをいい、又、不均一
な分布状態とは、ゲルマニウム原子又は/及びスズ原子
の分布濃度が、光受容層の支持体表面と平行な面方向に
は均一であるが、光受容層の層厚方向には不均一である
ことをいう。) そして、本発明の光受容層においては、特に支持体側の
端部にゲルマニウム原子及び/又はスズ原子を比較的多
量に均一な分布状態で含有する層(第1図における第一
の層102′)を設けるか、あるいは自由表面側よりも支
持体側の方に多く分布した状態となる様にゲルマニウム
原子又は/及びスズ原子を含有せしめることが望まし
く、こうした場合、支持体側の端部においてゲルマニウ
ム原子又は/及びスズ原子の分布濃度を極端に大きくす
ることにより、半導体レーザー等の長波長の光源を用い
た場合に、光受容層の自由表面側に近い構成層又は層領
域においては殆んど吸収しきれない長波長の光を、光受
容層の支持体と接する構成層又は層領域において実質的
に完全に吸収されるため、支持体表面からの反射光によ
る干渉が防止されるようになる。
前述のごとく、本発明の光受容層においては、ゲルマニ
ウム原子又は/及びスズ原子を全層領域において均一に
分布せしめることもでき、また層厚方向に連続的かつ不
均一に分布せしめることもできるが、以下、層厚方向の
分布状態の典型的な例のいくつかを、ゲルマニウム原子
を例として、第7乃至15図により説明する。
第7図乃至第15図において、横軸はゲルマニウム原子の
分布濃度Cを、縦軸は、光受容層の層厚を示し、tBは支
持体側の光受容層の端面の位置を、tTは支持体側とは反
対側の自由表面側の端面の位置を示す。即ち、ゲルマニ
ウム原子の含有される光受容層はtB側よりtT側に向つて
層形成がなされる。
尚、各図に於いて、層厚及び濃度の表示はそのままの値
で示すと各々の図の違いが明確でなくなる為、極端な形
で図示しており、これらの図はあくまでも理解を容易に
するための説明のための模式的なものである。
第7図には、光受容層中に含有されるゲルマニウム原子
の層厚方向の分布状態の第1の典型例が示される。
第7図に示される例では、ゲルマニウム原子の含有され
る光受容層が形成される支持体表面と光受容層とが接す
る界面位置tBよりt1の位置までは、ゲルマニウム原子の
分布濃度Cが濃度C1なる一定の値を取り乍らゲルマニウ
ム原子が光受容層に含有され、位置t1よりは濃度C2より
位置tTに至るまで徐々に連続的に減少されている。位置
tTにおいてはゲルマニウム原子の分布濃度Cは実質的に
ゼロとされる。(ここで実質的にゼロとは検出限界量未
満の場合である)。
第8図に示される例においては、含有されるゲルマニウ
ム原子の分布濃度Cは位置tBより位置tTに至るまで濃度
C3から徐々に連続的の減少して位置tTにおいて濃度C4
なる様な分布状態を形成している。
第9図の場合には、位置tBより位置t2までは、ゲルマニ
ウム原子の分布濃度Cは濃度C5と一定位置とされ、位置
t2と位置tTとの間において、徐々に連続的に減少され、
位置tTにおいて、分布濃度Cは実質的にゼロとされてい
る。
第10図の場合には、ゲルマニウム原子の分布濃度Cは位
置tBより位置tTに至るまで、濃度C6より初め連続的に徐
々に減少され、位置t3よりは急速に連続的に減少されて
位置tTにおいて実質的にゼロとされている。
第11図に示す例に於ては、ゲルマニウム原子の分布濃度
Cは、位置tBと位置t4間においては、濃度C7と一定値で
あり、位置tTに於ては、分布濃度Cはゼロとされる。位
置t4と位置tTとの間では、分布濃度Cは一次関数的に位
置t4より位置tTに至るまで減少されている。
第12図に示される例においては、分布濃度Cは位置tB
り位置t5までは濃度C8の一定値を取り、位置t5より位置
tTまでは濃度C9より濃度C10まで一次関数的に減少する
分布状態とされている。
第13図に示す例においては、位置tBより位置tTに至るま
で、ゲルマニウム原子の分布濃度Cは濃度C11より一次
関数的に減少されて、ゼロに至つている。
第14図においては、位置tBより位置t6に至るまではゲル
マニウム原子の分布濃度Cは、濃度C12より濃度C13まで
一次関数的に減少され、位置t6と位置tTとの間において
は、濃度C13の一定値とされた例が示されている。
第15図に示される例において、ゲルマニウム原子の分布
濃度Cは、位置tBにおいて濃度C14であり、位置t7に至
るまではこの濃度C14より初めはゆつくりと減少され、t
7の位置付近においては、急激に減少されて位置t7では
濃度C15とされる。
位置t7と位置t8との間においては、初め急激に減少され
て、その後は、穏やかに徐々に減少されて位置t8で濃度
C16となり、位置t8と位置t9との間では、徐々に減少さ
れて位置t9において、濃度C17に至る。位置t9と位置tT
との間においては濃度C17より実質的にゼロになる様に
図に示す如き形状の曲線に従つて減少されている。
以上、第7図乃至第15図により、光受容層中に含有され
るゲルマニウム原子又は/及びスズ原子の層厚方向の分
布状態の典型例の幾つかを説明した様に、本発明の光受
容部材においては、支持体側において、ゲルマニウム原
子又は/及びスズ原子の分布濃度Cの高い部分を有し、
端面tT側においては、前記分布濃度Cは支持体側に比べ
てかなり低くされた部分を有するゲルマニウム原子又は
/スズ原子の分布状態が光受容層に設けられているのが
望ましい。
即ち、本発明における光受容部材を構成する光受容層
は、好ましくは、上述した様に支持体側の方にゲルマニ
ウム原子又は/及びスズ原子が比較的高濃度で含有され
ている局在領域を有するのが望ましい。
本発明の光受容部材に於ては、局在領域は、第7図乃至
第15図に示す記号を用いて説明すれば、界面位置tBより
5μ以内に設けられるのが望ましい。
そして、上記局在領域は、界面位置tBより5μ厚までの
全層領域とされる場合もあるし、又、該層領域の一部と
される場合もある。
局在領域を層領域の一部とするか又は全部とするかは、
形成される光受容層に要求される特性に従つて適宜決め
られる。
局在領域はその中に含有されるゲルマニウム原子又は/
及びスズ原子の層厚方向の分布状態としてゲルマニウム
原子又は/及びスズ原子の分布濃度の最大値Cmaxがシリ
コン原子に対して、好ましくは1000 atomic ppm以上、
より好適には5000 atomic ppm以上、最適には1×104 a
tomic ppm以上とされる様な分布状態となり得る様に層
形成されるのが望ましい。
即ち、本発明の光受容部材においては、ゲルマニウム原
子又は/及びスズ原子の含有される光受容層は、支持体
側からの層厚で5μ以内(tBから5μ厚の層領域)に分
布濃度の最大値Cmaxが存在する様に形成されるのが好ま
しいものである。
本発明の光受容部材において、光受容層中に含有せしめ
るゲルマニウム原子又は/及びスズ原子の含有量は、本
発明の目的を効率的に達成しうる様に所望に従つて適宜
決める必要があり、通常は1〜6×105 atomic ppmとす
るが、好ましくは10〜3×105 atomic ppm、より好まし
くは1×102〜2×105 atomic ppmとする。
また、本発明の光受容部材において、光受容層の層厚
は、本発明の目的を効率的に達成するには重要な要因の
1つであつて、光受容部材に所望の特性が与えられるよ
うに、光受容部材の設計の際には充分な注意を払う必要
があり、通常は1〜100μとするが、好ましくは1〜80
μ、より好ましくは2〜50μとする。
本発明の光受容部材においては光受容層に伝導性を制御
する物質を、全層領域又は一部の層領域に均一又は不均
一な分布状態で含有せしめることができる。
前記伝導性を制御する物質としては、半導体分野におい
ていういわゆる不純物を挙げることができ、P型伝導性
を与える周期律表第III族に属する原子(以下単に「第I
II族原子」と称す。)、又は、n型伝導性を与える周期
律表第V族に属する原子(以下単に「第V族原子」と称
す。)が使用される。具体的には、第III族原子として
は、B(硼素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウ
ム)、In(インジウム)、Tl(タリウム)等を挙げるこ
とができるが、特に好ましいものは、B、Gaである。ま
た第V族原子としては、P(燐)、As(砒素)、Sb(ア
ンチモン)、Bi(ビスマン)等を挙げることができる
が、特に好ましいものは、P、Sbである。
本発明の光受容層に伝導性を制御する物質である第III
族原子又は第V族原子を含有せしめる場合、全層領域に
含有せしめるか、あるいは一部の層領域に含有せしめる
かは、後述するように目的とするところ乃至期待する作
用効果によつて異なり、含有せしめる量も異なるところ
となる。
すなわち、光受容層の伝導型又は/及び伝導率を制御す
ることを主たる目的にする場合には、光受容層の全層領
域中に含有せしめ、この場合、第III族原子又は第V族
原子の含有量は比較的わずかでよく、通常は1×10-3
1×103 atomic ppmであり、好ましくは5×10-2〜5×
102 atomic ppm、最適には1×10-1〜2×102 atomi pp
mである。
また、支持体と接する一部の層領域に第III族原子又は
第V族原子を均一な分布状態で含有せしめるか、あるい
は層厚方向における第III族原子又は第V族原子の分布
濃度が、支持体と接する側において高濃度となるように
含有せしめる場合には、こうした第III族原子又は第V
族原子を含有する一部の層領域あるいは高濃度に含有す
る領域は、電荷注入阻止層として機能するところとな
る。即ち、第III族原子を含有せしめた場合には、光受
容層の自由表面が極性に帯電処理を受けた際に、支持
体側から光受容層中へ注入される電子の移動をより効率
的に阻止することができ、又、第V族原子を含有せしめ
た場合には、光受容層の自由表面が極性に帯電処理を
受けた際に、支持体側から光受容層中へ注入される正孔
の移動をより効率的に阻止することができる。そして、
こうした場合の含有量は比較的多量であつて、具体的に
は、30〜5×104 atomic ppm、好ましくは50〜1×104
atomic ppm、最適には1×102〜5×103 atomic ppmと
する。さらに、該電荷注入阻止層としての効果を効率的
に奏するためには、第III族原子又は第V族原子を含有
する支持体側の端部に設けられる層又は層領域の層厚を
tとし、光受容層の層厚をTとした場合、t/T≦0.4の関
係が成立することが望ましく、より好ましくは該関係式
の値が0.35以下、最適には0.3以下となるようにするの
が望ましい。また、該層又は層領域の層厚tは、一般的
には3×10-3〜10μとするが、好ましくは4×10-3〜8
μ、最適には5×10-3〜5μとするのが望ましい。
次に光受容層に含有せしめる第III族原子又は第V族原
子の量が、支持体側においては比較的多量であつて、支
持体側から自由表面を有する側に向つて減少し、光受容
層の自由表面付近においては、比較的少量となるかある
いは実質的にゼロに近くなるように第III族原子又は第
V族原子を分布させる場合の典型的例のいくつかを、第
16図乃至第24図によつて説明するが、本発明はこれらの
例によつて限定されるものではない。各図において、横
軸は第III族原子又は第V族原子の分布濃度Cを、縦軸
は光受容層の層厚を示し、tBは支持体と光受容層との界
面位置を、tTは光受容層の自由表面側の端面の位置を示
す。
第16図は、光受容層中に含有せしめる第III族原子又は
第V族原子の層厚方向の分布状態の第一の典型例を示し
ている。該例では、第III族原子又は第V族原子を含有
する光受容層と支持体表面とが接する界面位置tBより位
置t1までは、第III族原子又は第V族原子の分布濃度C
がC1なる一定値をとり、位置t1より自由表面側の端面位
置tTまでは、第III族原子又は第V族原子の分布濃度C
が濃度C2から連続的に減少し、位置tTにおいては第III
族原子又は第V族原子の分布濃度CがC3となる。
第17図は、他の典型例の1つを示している。該例では、
光受容層に含有せしめる第III族原子又は第V族原子の
分布濃度Cは、位置tBから位置tTにいたるまで、濃度C4
から連続的に減少し、位置tTにおいて濃度C5となる。
第18図に示す例では、位置tBから位置t2までは第III族
原子又は第V族原子の分布濃度Cが濃度C6なる一定値を
保ち、位置t2から位置tTにいたるまでは、第III族原子
又は第V族原子の分布濃度Cは濃度C7から徐々に連続的
に減少して位置tTにおいては第III族原子又は第V族原
子の分布濃度Cは実質的にゼロとなる。但し、ここで実
質的にゼロとは、検出限界量未満の場合をいう。
第19図に示す例では、第III族原子又は第V族原子の分
布濃度Cは濃度は位置tBより位置tTにいたるまで、濃度
C8から連続的に徐々に減少し、位置tTにおいては第III
族原子又は第V族原子の分布濃度Cは実質的にゼロとな
る。
第20図に示す例では、第III族原子又は第V族原子の分
布濃度Cは、位置tBより位置t3の間においては濃度C9
一定値にあり、位置t3から位置tTの間においては、濃度
C9から濃度C10となるまで、一次関数的に減少する。
第21図に示す例では、第III族原子又は第V族原子の分
布濃度Cは、位置tBより位置t4にいたるまでは濃度C11
の一定値にあり、位置t4より位置tTまでは濃度C12から
濃度C13となるまで一次関数的に減少する。
第22図に示す例においては、第III族原子又は第V族原
子の分布濃度Cは、位置tBから位置tTにいたるまで、濃
度C14から実質的にゼロとなるまで一次関数的に減少す
る。
第23図に示す例では、第III族原子又は第V族原子の分
布濃度Cは、位置tBから位置t5にいたるまで濃度C15
ら濃度C16となるまで一次関数的に減少し、位置t5から
位置tTまでは濃度C16の一定値を保つ。
最後に、第24図に示す例では、第III族原子又は第V族
原子の分布濃度Cは、位置tBにおいて濃度C17であり、
位置tBから位置t6までは濃度C17からはじめはゆつくり
減少して、位置t6付近では急激に減少し、位置t6では濃
度C18となる。次に、位置t6から位置t7までははじめの
うちは急激に減少し、その後は緩かに徐々に減少し、位
置t7においては濃度C19となる。更に位置t7と位置t8
間では極めてゆつくりと徐々に減少し、位置t8において
濃度C20となる。また更に、位置t8から位置tTにいたる
までは、濃度C20から実質的にゼロとなるまで徐々に減
少する。
第16図〜第24図に示した例のごとく、光受容層の支持体
側に近い側に第III族原子又は第V族原子の分布濃度C
の高い部分を有し、光受容層の自由表面側においては、
該分布濃度Cがかなり低い濃度の部分あるいは実質的に
ゼロに近い濃度の部分を有する場合にあつては、支持体
側に近い部分に第III族原子又は第V族原子の分布濃度
が比較的高濃度である局在領域を設けること、好ましく
は該局在領域を支持体表面と接触する界面位置から5μ
以内に設けることにより、第III族原子又は第V族原子
の分布濃度が高濃度である層領域が電荷注入阻止層を形
成するという前述の作用効果がより一層効率的に奏され
る。
以上、第III族原子又は第V族原子の分布状態につい
て、個々に各々の作用効果を記述したが、所望の目的を
達成しうる特性を有する光受容部材を得るについては、
これらの第III族原子又は第V族原子の分布状態および
光受容層に含有せしめる第III族原子又は第V族原子の
量を、必要に応じて適宜組み合わせて用いるものである
ことは、いうまでもない。例えば、光受容層の支持体側
の端部に電荷注入阻止層を設けた場合、電荷注入阻止層
以外の光受容層中に、電荷注入阻止層に含有せしめた伝
導性を制御する物質の極性とは別の極性の伝導性を制御
する物質を含有せしめてもよく、あるいは、同極性の伝
導性を制御する物質を、電荷注入阻止層に含有される量
よりも一段と少ない量にして含有せしめてもよい。
さらに、本発明の光受容部材においては、支持体側の端
部に設ける構成層として、電荷注入阻止層の代わりに、
電気絶縁性材料から成るいわゆる障壁層を設けることも
でき、あるいは、該障壁層と電荷注入阻止層との両方を
構成層とすることもできる。こうした障壁層を構成する
材料としては、Al2O3、SiO2、Si3N4等の無機電気絶縁材
料やポリカーボネート等の有機電気絶縁材料を挙げるこ
とができる。
本発明の光受容部材は前記のごとき層構成としたことに
より、前記したアモルフアスシリコンで構成された光受
容層を有する光受容部材の諸問題の総てを解決でき、特
に、可干渉性の単色光であるレーザー光を光源として用
いた場合にも、現出を顕著に防止し、極めて良質な可視
画像を形成することができる。
また、本発明の光受容部材は、全可視光域に於いて光感
度が高く、また、特に長波長側の光感度特性に優れてい
るため殊に半導体レーザーとのマツチングに優れ、且つ
光応答が速く、さらに極めて優れた電気的、光学的、光
導電的特性、電気的耐圧性及び使用環境特性を示す。
殊に、電子写真用光受容部材として適用させた場合に
は、画像形成への残留電位の影響が全くなく、その電気
的特性が安定しており高感度で、高SN比を有するもので
あつて、耐光疲労、繰返し使用特性に長け、濃度が高
く、ハーフトーンが鮮明に出て、且つ解像度の高い高品
質の画像を安定して繰返し得ることができる。
次に本発明の光受容層の形成方法について説明する。
本発明の光受容層を構成する非晶質材質はいずれもグロ
ー放電法、スパツタリング法、或いはイオンプレーテイ
ング法等の放電現象を利用する真空堆積法によつて行わ
れる。これ等の製造法は、製造条件、設備資本投下の負
荷程度、製造規模、作製される光受容部材に所望される
特性等の要因によつて適宜選択されて採用されるが、所
望の特性を有する光受容部材を製造するに当つての条件
の制御が比較的容易であり、シリコン原子と共に炭素原
子及び水素原子の導入を容易に行い得る等のことからし
て、グロー放電法或いはスパツタリング法が好適であ
る。そして、グロー放電法とスパツタリング法とを同一
装置系内で併用して形成してもよい。
グロー放電法によつてa−SiGe(H,X)で構成される光
受容層を形成するには、シリコン原子(Si)を供給しう
るSi供給用の原料ガスと、ゲルマニウム原子(Ge)を供
給しうるGe供給用の原料ガスと、水素原子(H)又は/
及びハロゲン原子(X)を供給しうる水素原子(H)又
は/及びハロゲン原子(X)供給用の原料ガスを、内部
に減圧にしうる堆積室内に所望のガス圧状態で導入し、
該堆積室内にグロー放電を生起せしめて、予め所定位置
に設置してある所定の支持体表面上に、a−SiGe(H,
X)で構成される層を形成する。
前記Si供給用の原料ガスとなりうる物質としては、Si
H4、Si2H6、Si3H8、Si4H10等のガス状態の又はガス化し
うる水素化珪素(シラン類)が挙げられ、特に、層作成
作業時の取扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点から、Si
H4およびSi2H6が好ましい。
また、前記Ge供給用の原料ガスとなりうる物質として
は、GeH4、Ge2H6、Ge3H8、Ge4H10、Ge5H12、Ge6H14、Ge
7H16、Ge8H18、Ge9H20等のガス状態の又はガス化しうる
水素化ゲルマニウムを用いることができる。特に、層作
成作業時の取扱い易さ、Ge供給効率の良さ等の点から、
GeH4、Ge2H6、およびGe3H8が好ましい。
更に、前記ハロゲン原子供給用の原料ガスとなりうる物
質としては、多くのハロゲン化合物があり、例えばハロ
ゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲン間化合物、ハロゲン
で置換されたシラン誘導体等のガス状態の又はガス化し
うるハロゲン化合物を用いることができる。具体的に
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲンガス、Br
F、ClF、ClF3、BrF3、BrF3 IF3、IF7、ICl、IBr等のハ
ロゲン間化合物、およびSiF4、Si2F6、SiCl4、SiBr4
のハロゲン化珪素等が好ましいものとして挙げられる。
上述のごときハロゲン原子を含む珪素化合物のガス状態
のもの又はガス化しうるものを原料ガスとしてグロー放
電法により形成する場合には、Si原子供給用原料ガスと
しての水素化珪素ガスを使用することなく、所定の支持
体上にハロゲン原子を含有するa−Siで構成される層を
形成することができるので、特に有効である。
グロー放電法を用いて光受容層を形成する場合には、基
本的には、Si供給用の原料ガスとなるハロゲン化珪素と
Ge供給用の原料となる水素化ゲルマニウムとAr、H2、He
等のガスとを所定の混合比とガス流量になるようにして
堆積室に導入し、グロー放電を生起してこれ等のガスの
プラズマ雰囲気を形成することにより、支持体上に光受
容層を形成するものであるが、電気的あるいは光電的特
性の制御という点で極めて有効であるところの水素原子
(H)の含有量の制御を一層容易にするためには、これ
等のガスに更に水素原子供給用の原料ガスを混合するこ
ともできる。該水素原子供給用のガスとしては、水素ガ
スあるいは、SiH4、Si2H6、Si3H8、Si4H10等の水素化珪
素のガスが用いられる。また、水素原子供給用ガスとし
て、HF、HCl、HBr、HI等のハロゲン化物、SiH2F2、SiH2
I2、SiH2Cl2、SiHCl3、SiH2Br2、SiHBr3等のハロゲン置
換水素化珪素等のガス状態のあるいはガス化しうるもの
を用いた場合には、ハロゲン原子(X)の導入と同意に
水素原子(H)も導入されるので、有効である。
スパツタリング法によつてa−SiGe(H,X)で構成され
る光受容層を形成するには、シリコンから成るターゲツ
トと、ゲルマニウムから成るターゲツトとの二枚を、あ
るいは、シリコンとゲルマニウムからなるターゲツトを
用い、これ等を所望のガス雰囲気中でスパツタリングす
ることによつて行なう。
イオンプレーテイング法を用いて光受容層を形成する場
合には、例えば、多結晶シリコン又は単結晶シリコンと
多結晶ゲルマニウム又は単結晶ゲルマニウムとを夫々蒸
発源として蒸着ボートに収容し、この蒸発源を抵抗加熱
法あるいはエレクトロンビーム法(E.B.法)等によつて
加熱蒸着させ、飛翔蒸発物を所望のガスプラズマ雰囲気
中を通過せしめることで行ない得る。
スパツタリング法およびイオンプレーテイング法のいず
れの場合にも、形成する層中にハロゲン原子を含有せし
めるには、前述のハロゲン化物又はハロゲン原子を含む
珪素化合物のガスを堆積室中に導入し、該ガスのプラズ
マ雰囲気を形成すればよい。又、水素原子を導入する場
合には、水素原子供給用の原料ガス、例えばH2あるいは
前記した水素化シラン類又は/及び水素化ゲルマニウム
等のガス類をスパツタリング用の堆積室内に導入してこ
れ等のガス類のプラズマ雰囲気を形成すればよい。さら
にハロゲン原子供給用の原料ガスとしては、前記のハロ
ゲン化物或いはハロゲンを含む珪素化合物が有効なもの
として挙げられるが、その他に、HF、HCl、HBr、HI等の
ハロゲン化水素、SiH2F2、SiH2I2、SiH2Cl2、SiHCl3、S
iH2Br2、SiHBr3等のハロゲン置換水素化珪素、およびGe
HF3、GeH2F2、GeH3F、GeHCl3、GeH2Cl2、GeH3Cl、GeHBr
3、GeH2Br2、GeH3Br、GeHI3、GeH2I2、GeH3I等の水素化
ハロゲン化ゲルマニウム等、GeF4、GeCl4、GeBr4、Ge
I4、GeF2、GeCl2、GeBr2、GeI2等のハロゲン化ゲルマニ
ウム等々のガス状態の又はガス化しうる物質も有効な出
発物質として使用できる。
本発明の好ましい例において、形成される光受容層中に
含有される水素原子(H)の量又はハロゲン原子(X)
の量又は水素原子とハロゲン原子の量の和(H+X)
は、好ましくは0.01〜40atomic%、より好適には0.05〜
30atomic%、最適には0.1〜25atomic%とするのが望ま
しい。
グロー放電法、スパツタリング法あるいはイオンプレー
テイング法を用いて、スズ原子を含有するアモルフアス
シリコン(以下、「a−SiSn(H,X)」と表記する。)
で構成される光受容層を形成するには、上述のa−SiGe
(H,X)で構成される層の形成の際に、ゲルマニウム原
子供給用の出発物質を、スズ原子(Sn)供給用の出発物
質はかえて使用し、形成する層中へのその量を制御しな
がら含有せしめることによつて行なう。
前記スズ原子(Sn)供給用の原料ガスとなりうる物質と
しては、水素化スズ(SnH4)やSnF2、SnF4、SnCl2、SnC
l4、SnBr2、SnBr4、SnI2、SnI4等のハロゲン化スズ等の
ガス状態の又はガス化しうるものを用いることができ、
ハロゲン化スズを用いる場合には、所定の支持体上にハ
ロゲン原子を含有するa−Siで構成される層を形成する
ことができるので、特に有効である。なかでも、層作成
作業時の取扱い易さ、Sn供給効率の良さ等の点から、Sn
Cl4が好ましい。
そして、SnCl4をスズ原子(Sn)供給用の出発物質とし
て用いる場合、これをガス化するには、固体状のSnCl4
を加熱するとともに、Ar、He、等の不活性ガスを吹き込
み、該不活性ガスを用いてバブリングするのが望まし
く、こうして生成したガスを、内部を減圧にした堆積室
内に所望のガス圧状態で導入する。
グロー放電法、スパツタリング法あるいはイオンプレー
テイング法を用いて、第III族原子又は第V族原子を含
有するa−SiGe(H,X)又は/及びa−SiSn(H,X)で構
成される層又は一部の層領域を形成するには、上述のa
−SiGe(H,X)又は/及びa−SiSn(H,X)で構成される
層の形成の際に、第III族原子又は第V族原子導入用の
出発物質を、a−SiGe(H,X)又は/及びa−SiSn(H,
X)形成用の出発物質とともに使用して、形成する層中
へのそれらの量を制御しながら含有せしめることによつ
て行なう。
第III族原子導入用の出発物質として具体的には硼素原
子導入用としては、B2H6、B4H10、B5H9、B5H11、B
6H10、B6H12、B10H14等の水素化硼素、Br3、BCl3、BBr3
等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3、G
aCl3、Ga(CH3)3、InCl3、TlCl3等も挙げることができ
る。
第V族原子導入用の出発物質として、具体的には燐原子
導入用としてはPH3、P2H4等の水素化燐、PH4I、PF3、PF
5、PCl3、PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロゲン化燐が挙
げられる。この他、AsH3、AsF3、AsCl3、AsBr3、AsF5
SbH3、SbF3、SbF5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、BiBr5
等も第V族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙
げることができる。
以上記述したように、本発明の光受容部材の光受容層
は、グロー放電法、スパツタリング法等を用いて形成す
るが、光受容層に含有せしめるゲルマニウム原子又は/
及びスズ原子、第III族原子又は第V族原子、あるいは
水素原子及び/又はハロゲン原子の各々の含有量の制御
は、堆積室内へ流入する、各々の原子供給用出発物質の
ガス流量あるいは各々の原子供給用出発物質間のガス流
量比を制御することにより行われる。
また、光受容層形成時の支持体温度、堆積室内のガス
圧、放電パワー等の条件は、所望の特性を有する光受容
部材を得るためには重要な要因であり、形成する層の機
能に考慮をはらつて適宜選択されるものである。さら
に、これらの層形成条件は、光受容層に含有せしめる上
記の各原子の種類及び量によつても異なることもあるこ
とから、含有せしめる原子の種類あるいはその量等にも
考慮をはらつて決定する必要もある。
具体的には、a−SiGe(H,X)からなる層を形成する場
合、あるいは第III族原子又は第V族原子を含有せしめ
たa−SiGe(H,X)からなる層を形成する場合について
は、支持体温度は、通常50〜350℃とするが、より好ま
しくは50〜300℃、特に好ましくは100〜300℃とする。
そして、堆積室内のガス圧は、通常0.01〜5Torrとする
が、好ましくは、0.001〜3Torr、特に好ましくは0.1〜1
Torrとする。また、放電パワーは0.005〜50W/cm2とする
のが通常であるが、好ましくは0.01〜30W/cm2、特に好
ましくは0.01〜20W/cm2とする。
しかし、これらの、層形成を行うについての支持体温
度、放電パワー、堆積室内のガス圧の具体的条件は、通
常には個々に独立しては容易には決め難いものである。
したがつて、所望の特性の非晶質材質層を形成すべく、
相互的且つ有機的関連性に基づいて、層形成の至適条件
を決めるのが望ましい。
ところで、本発明の光受容層に含有せしめるゲルマニウ
ム原子又は/及びスズ原子、第III族原子又は第V族原
子、あるいは水素原子又は/及びハロゲン原子の分布状
態を均一とするためには、光受容層を形成するに際し
て、前記の諸条件を一定に保つことが必要である。
また、本発明において、光受容層の形成の際に、該層中
に含有せしめるゲルマニウム原子又は/及びスズ原子あ
るいは第III族原子又は第V族原子の分布濃度を層厚方
法に変化させて所望の層厚方向の分布状態を有する光受
容層を形成するには、グロー放電法を用いる場合であれ
ば、ゲルマニウム原子又は/及びスズ原子あるいは第II
I族原子又は第V族原子導入用の出発物質のガスの堆積
室内に導入する際のガス流量を、所望の変化率に従つて
適宜変化させ、その他の条件を一定に保ちつつ形成す
る。そして、ガス流量を変化させるには、具体的には、
例えば手動あるいは外部駆動モータ等の通常用いられて
いる何らかの方法により、ガス流炉系の途中に設けられ
た所定のニードルバルブの開口を漸次変化させる操作を
行えばよい。このとき、流量の変化率は線型である必要
はなく、例えばマイコン等を用いて、あらかじめ設計さ
れた変化率曲線に従つて流量を制御し、所望の含有率曲
線を得ることもできる。
また、光受容層をスパツタリング法を用いて形成する場
合、ゲルマニウム原子又はスズ原子あるいは第III族原
子又は第V族原子の層厚方向の分布濃度を層厚方向で変
化させて所望の層厚方向の分布状態を形成するには、グ
ロー放電法を用いた場合と同様に、ゲルマニウム原子又
はスズ原子あるいは第III族原子又は第V族原子導入用
の出発物質をガス状態で使用し、該ガスを堆積室内へ導
入する際のガス流量を所望の変化率に従つて変化させ
る。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例1乃至10に従つて、より詳細に説
明するが、本発明はこれ等によつて限定されるものでは
ない。
各実施例においては、光受容層をグロー放電法を用いて
形成した。第25図はグロー放電法による本発明の光受容
部材の製造装置である。
図中の2502、2503、2504、2505、2506のガスボンベに
は、本発明の夫々の層を形成するための原料ガスが密封
されており、その一例として、たとえば、2502はSiH4
ス(純度99.999%)ボンベ、2503はH2で希釈されたB2H6
ガス(純度99.999%、以下B2H6/H2と略す。)ボン
ベ、2504はSi2H6ガス(純度99.999%)ボンベ、2505はG
eH4ガス(純度99.999%)ボンベ、2506は不活性ガス(H
e)ボンベである。そして、2506′はSnCl4が入つた密封
容器である。
これらのガスを反応室2501に流入させるにはガスボンベ
2502〜2506のバルブ2522〜2526、リークバルブ2535が閉
じられていることを確認し又、流入バルブ2512〜2516、
流出バルブ2517〜2521、補助バルブ2532、2533が開かれ
ていることを確認して、先ずメインバルブ2534を開いて
反応室2501、ガス配管内を排気する。次に真空計2536の
読みが約5×10-6torrになつた時点で、補助バルブ253
2、2533、流出バルブ2517〜2521を閉じる。
基体シリンダー2537上に光受容層102を形成する場合の
一例をあげる。ガスボンベ2502よりSiH4ガス、ガスボン
ベ2505よりGeH4ガスの夫夫をバルブ2522、2525を開いて
出口圧ゲージ2527、2530の圧を1kg/cm2に調整し、流入
バルブ2512、2515を徐々に開けて、マスフロコントロー
ラ2507、2510内に流入させる。引き続いて流出バルブ25
17、2520、補助バルブ2532を徐々に開いてガスを反応室
2501内に流入させる。このときのSiH4ガス流量、GeH4
ス流量の比が所望の値になるように流出バルブ2517、25
20を調整し、又、反応室2501内の圧力が所望の値になる
ように真空計2536の読みを見ながらメインバルブ2534の
開口を調整する。そして基体シリンダー2537の温度が加
熱ヒーター2538により50〜400℃の範囲の温度に設定さ
れていることを確認された後、電源2540を所望の電力に
設定して反応室2501内にグロー放電を生起せしめるとと
もに、マイクロコンピユーター(図示せず)を用いて、
あらかじめ設計された変化率線に従つて、GeH4ガス流量
とSiH4ガス流量の比を制御しながら、基体シリンダー25
37上に先ず、ゲルマニウム原子を含有する光受容層を形
成する。
光受容層中にハロゲン原子を含有せしめる場合には、上
記のSiH4ガスやGeH4ガスにかえて例えばSiF4ガスやGeF4
ガスを反応室に送り込めばよい。
夫々の層を形成する際に必要なガスの流出バルブ以外の
流出バルブは全て閉じることは言うまでもない。
また、光受容層中にスズ原子を含有せしめる場合にあつ
て、原料ガスとしてSnCl4を出発物質としたガスを用い
る場合には、2506′に入れられた固体状SnCl4を加熱手
段(図示せず)を用いて加熱するとともに、該SnCl4
にAr、He等の不活性ガスボンベ2506よりAr、He等の不活
性ガスを吹き込み、バブリングする。発生したSnCl4
ガスは、前述のSiH4、GeH4ガス等と同様の手順により反
応室内に流入させる。
試験例1 径0.6mmのSUSステンレス製剛体球に化学的処理を施して
表面を食刻して凹凸を形成せしめた。使用する処理剤と
しては、塩酸、フツ酸、硫酸、クロム酸等の酸、苛性ソ
ーダ等のアルカリを挙げることができる。本試験例にお
いては、濃塩酸1に対して純水1〜4の容量比で混合し
た塩酸溶液を用い、剛体球の浸漬時間、酸濃度等を変化
させ、凹凸の形状を適宜調整した。
試験例2 試験例1の方法によつて処理された剛体球(表面凹凸の
高さγmax=5μm)を用い、第6(A)、(B)図に
示した装置を用いて、アルミニウム合金製シリンダー
(径60mm、長さ298mm)の表面を処理し、凹凸を形成さ
せた。
真球の径R′、落下高さhと痕跡窪みの曲率半径R、幅
rとの関係を調べたところ、痕跡窪みの曲率半径Rと幅
rとは、真球の径R′と落下高さh等の条件により決め
られることが確認された。また、痕跡窪みのピツチ(痕
跡窪みの密度、また凹凸のピツチ)は、シリンダーの回
転速度、回転数乃至は剛体真球の落下量等を制御して所
望のピツチに調整することができることが確認された。
更に、RおよびDの大きさについて検討した結果、Rが
0.1mm未満であると、剛体球を小さく軽くして落下高さ
を確保しなければならず、痕跡窪みの形成をコントロー
ルしにくくなるため好ましくないこと、Rが0.2mmを超
えると、剛体球を大きく重くして、落下高さを調節する
ため、例えばDを比較的小さくしたい場合に落下高さを
極端に低くする必要があるなど、痕跡窪みの形成をコン
トロールしにくくなるため好ましくないこと、更に、D
が0.02mm未満であると剛体球を小さく軽くして落下高さ
を確保しなければならず、痕跡窪みの形成をコントロー
ルしにくくなるため好ましくないことが、夫々確認され
た。
更に、形成された痕跡窪みを調べたところ、痕跡窪み内
には、剛体球の表面凹凸形状に応じた微小な凹凸が形成
されていることが確認された。
実施例1 試験例2と同様にアルミニウム合金製シリンダーの表面
を処理し、第1A表上欄に示すD、及び を有するシリンダー状Al支持体(シリンダーNo.101〜10
6)を得た。
次に該Al支持体(シリンダーNo.101〜106)上に、以下
の第1B表に示す条件で、第25図に示した製造装置により
光受容層を形成した。
これらの光受容部材について、第26図に示す画像露光装
置を用い、波長780nm、スポツト径80μmのレーザー光
を照射して画像露光を行ない、現像、転写を行なつて画
像を得た。得られた画像の干渉縞の発生状況は第1A表下
欄に示すとおりであつた。
なお、第26(A)図は露光装置の全体を模式的に示す平
面略図であり、第26(B)図は露光装置の全体を模式的
に示す側面略図である。図中、2601は光受容部材、2602
は半導体レーザー、2603はfθレンズ、2604はポリゴン
ミラーを示している。
次に、比較として、従来のダイヤモンドバイトにより表
面処理されたアルミニウム合金製シリンダー(径60mm、
長さ298mm、凹凸ピツチ100μm、凹凸の深さ3μm)を
用いて、前述と同様にして光受容部材を作製した。得ら
れた光受容部材を電子顕微鏡で観察したところ、支持体
表面と光受容層の層界面及び光受容層の表面とは平行を
なしていた。この光受容部材を用いて、前述と同様にし
て画像形成をおこない、得られた画像について前述と同
様の評価を行なつた。その結果は、第1A表下欄に示すと
おりであつた。
実施例2 第2B表に示す層形成条件に従つて光受容層を形成した以
外はすべて実施例1と同様にして、Al支持体(シリンダ
ーNo.101〜107)上に光受容層を形成した。なお、光受
容層形成時におけるSiF4ガス及びGeF4ガスのガス流量は
第27図に示す流量変化線に従つて、マイクロコンピユー
ター制御により、自動的に調整した。
得られた光受容部材について、実施例1と同様にして画
像を形成したところ、得られた画像における干渉縞の発
生状況は、第2A表下欄に示すとおりであつた。
実施例3 第3A表上欄に示す表面凹凸の高さ(γmax)の剛体球を
用いた以外はすべて実施例1と同様にして、球状痕跡窪
み(D=450±50(μm)、 を有するAl支持体(シリンダーNo.301〜306)を得た。
次に該Al支持体(シリンダーNo.301〜306)上に、以下
の第3B表に示す条件で、第25図に示した製造装置を用い
て光受容層を形成した。
得られた光受容部材について、実施例1と同様にして画
像形成を行なつたところ、得られた画像における干渉縞
の発生状況は、第3A表下欄に示すとおりであつた。
実施例4 第4B表に示す層形成条件に従つて光受容層を形成した以
外は、すべて実施例3と同様にして、Al支持体(シリン
ダーNo.301〜306)上に光受容層を形成した。なお、光
受容層形成時におけるSiF4ガス及びGeF4ガスのガス流量
は第28図に示す流量変化線に従つて、マイクロコンピユ
ーター制御により、自動的に調整した。
得られた光受容部材について実施例1と同様にして画像
を形成したところ、得られた画像における干渉縞の発生
状況は、第4A表下欄に示すとおりであつた。
実施例5〜10 実施例1のAl支持体(シリンダーNo.103〜106)上に、
第5〜10表に示す層形成条件に従つて光受容層を形成し
た以外はすべて実施例1と同様にして光受容部材を作製
した。なお、実施例5〜10において、光受容層形成時に
おける使用ガスの流量は、各々、第29〜34図に示す流量
変化線に従つて、マイクロコンピユーター制御により自
動的に調整した。
得られた光受容部材について、実施例1と同様にして画
像形成をおこなつた。
得られた画像は、いずれも干渉縞の発生が観察されず、
そして極めて良質のものであつた。
〔発明の効果の概略〕 本発明の光受容部材は前記のごとき層構成としたことに
より、前記したアモルフアスシリコンで構成された光受
容層を有する光受容部材の諸問題の総てを解決でき、特
に、可干渉性の単色光であるレーザー光を光源として用
いた場合にも、干渉現象により形成画像における干渉縞
模様の現出を顕著に防止し、きわめて良質な可視画像を
形成することができる。
また、本発明の光受容部材は、全可視光域に於いて光感
度が高く、また、特に長波長側の光感度特性に優れてい
るため殊に半導体レーザーとのマツチングに優れ、且つ
光応答が速く、さらに極めて優れた電気的、光学的、光
導電的特性、電気的耐圧性及び使用環境特性を示す。
殊に、電子写真用光受容部材として適用させた場合に
は、画像形成への残留電位の影響が全くなく、その電気
的特性が安定しており高感度で、高SN比を有するもので
あつて、耐光疲労、繰返し使用特性に長け、濃度が高
く、ハーフトーンが鮮明に出て、且つ解像度の高い高品
質の画像を安定して繰返し得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の光受容部材の1例を模式的に示した図
であり、第2及び3図は、本発明の光受容部材における
干渉縞の発生の防止の原理を説明するための部分拡大図
であり、第2図は、支持体表面に球状痕跡窪みによる凹
凸が形成された光受容部材において、干渉縞の発生が防
止しうることを示す図、第3図は、従来の表面を規則的
に荒した支持体上に光受容層を堆積させた光受容部材に
おいて、干渉縞が発生することを示す図である。第4及
び5図は、本発明の光受容部材の支持体表面の凹凸形状
及び該凹凸形状を作製する方法を説明するための模式図
である。第6図は、本発明の光受容部材の支持体に設け
られる凹凸形状を形成するのに好適な装置の一構成例を
模式的に示す図であつて、第6(A)図は正面図、第6
(B)図は縦断面図である。第7〜15図は、本発明の光
受容層におけるゲルマニウム原子又はスズ原子の層厚方
向の分布状態を表わす図であり、第16〜24図は、本発明
の光受容層における第III族原子又は第V族原子の層厚
方向の分布状態を表わす図であり、各図において、縦軸
は光受容層の層厚を示し、横軸は各原子の分布濃度を表
わしている。第25図は、本発明の光受容部材の光受容層
を製造するための装置の1例で、グロー放電法による製
造装置の模式的説明図である。第26図はレーザー光によ
る画像露光装置を説明する図である。第27乃至34図は、
本発明の光受容層形成におけるガス流量比の変化状態を
示す図であり、縦軸は光受容層の層厚、横軸は使用ガス
のガス流量を示している。 第1乃至第3図について、 100……光受容部材、101……支持体、102……光受容
層、102′、201、301……第一の層、102″、202、302…
…第二の層、103、203、303……自由表面、204、304…
…第一の層と第二の層との界面 第4、5図について、 401、501……支持体、402、502……支持体表面、403、5
03……球状痕跡窪み、403′、503′……表面に凹凸形状
を有する剛体球、404……球状痕跡窪み内に形成された
微小凹凸球状、404′……剛体球表面に形成された凹凸
形状 第6図について、 601……シリンダー、602……回転軸(受)、603……駆
動手段、604……回転容器、605……表面に凹凸形状を有
する剛体球、606……容器内壁に設けられたリブ、607…
…シヤワー管 第25図について、 2501……反応室、2502〜2506……ガスボンベ、2506′…
…SnCl4槽、2507〜2511……マスフロコントローラ、251
2〜2516……流入バルブ、2517〜2521……流出バルブ、2
522〜2526……バルブ、2527〜2531……圧力調整器、253
2、2533……補助バルブ、2534……メインバルブ、2535
……リークバルブ、2536……真空計、2537……基体シリ
ンダー、2538……加熱ヒーター、2539……モーター、25
40……高周波電源 第26図について、 2601……光受容部材、2602……半導体レーザー、2603…
…fθレンズ、2604……ポリゴンミラー。
フロントページの続き (72)発明者 小池 淳 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−58436(JP,A) 特開 昭60−31144(JP,A) 特開 昭54−145539(JP,A) 特開 昭54−145540(JP,A) 米国特許4432220(US,A) 米国特許3269066(US,A)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に、シリコン原子と、ゲルマニウ
    ム原子及びスズ原子の少なくともいずれか一方とを含有
    する非晶質材料で構成された感光層を少なくとも有する
    多層構成の光受容層を有する光受容部材であって、前記
    支持体の表面に、窪みの幅Dが500μm以下で窪みの曲
    率半径Rと幅Dとが0.035≦D/Rとされた複数の球状痕跡
    窪みによる凹凸を有し、かつ、該球状痕跡窪み内に更に
    0.5〜20μmの微小な凹凸を有していることを特徴とす
    る光受容部材。
  2. 【請求項2】前記光受容層が、周期律表第III族または
    第V族に属する原子を含有している特許請求の範囲第1
    項に記載の光受容部材。
  3. 【請求項3】前記光受容層が、周期律表第III族または
    第V族に属する原子を含有する電荷注入阻止層を構成層
    の1つとして有する特許請求の範囲第1項に記載の光受
    容部材。
  4. 【請求項4】前記光受容層が、構成層の1つとして障壁
    層を有する特許請求の範囲第1項に記載の光受容部材。
  5. 【請求項5】前記球状痕跡窪みの凹凸が、同一の曲率半
    径の球状痕跡窪みによる凹凸形状である特許請求の範囲
    第1項に記載の光受容部材。
  6. 【請求項6】前記球状痕跡窪みの凹凸が、同一の曲率半
    径及び幅の窪みによる凹凸形状である特許請求の範囲第
    1項に記載の光受容部材。
  7. 【請求項7】前記球状痕跡窪みが、前記支持体の表面に
    複数の剛体球を自然落下させて得られた前記剛体球の痕
    跡窪みによる凹凸形状である特許請求の範囲第1項に記
    載の光受容部材。
  8. 【請求項8】前記球状痕跡窪みは、ほぼ同一径の剛体球
    をほぼ同一の高さから落下させて得られた前記剛体球の
    痕跡窪みによる凹凸形状である特許請求の範囲第7項に
    記載の光受容部材。
  9. 【請求項9】前記支持体が、金属体である特許請求の範
    囲第1項に記載の光受容部材。
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