JPH0689426A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH0689426A
JPH0689426A JP18042493A JP18042493A JPH0689426A JP H0689426 A JPH0689426 A JP H0689426A JP 18042493 A JP18042493 A JP 18042493A JP 18042493 A JP18042493 A JP 18042493A JP H0689426 A JPH0689426 A JP H0689426A
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JP
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fatty acid
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Withdrawn
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JP18042493A
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English (en)
Inventor
Minoru Hashimoto
稔 橋本
Yuichi Fukai
雄一 深井
Masahiro Fukazawa
昌広 深沢
Kazutaka Akiyama
和隆 秋山
Hisanaga Shinohara
久長 篠原
Takashi Masuda
隆 増田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Toshiba Development and Engineering Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Electronic Engineering Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 六方晶系フェライト磁性粉を含む磁気記録媒
体の、幅広い環境条件下、とくに低温低湿条件下におけ
る耐久性・走行性を向上させる。 【構成】 磁性層中の潤滑剤として、A)とB)、あるいは
A)とC)を組み合わせて使用する。さらにある種の炭化水
素の併用により、効果がより顕著になる。A)炭素数14,1
6,あるいは18の直鎖飽和脂肪酸と、少なくとも1個の水
素原子がアルコキシ基で置換されたアルコキシ置換アル
キル基を有する脂肪族1価アルコールとからなる脂肪酸
エステル。B)少なくとも1個の水素原子が炭素数1〜4
のアルキル基で置換された分岐構造を有する炭素数8〜
18の脂肪酸と、炭素数3〜6の脂肪族多価アルコールと
からなる脂肪酸エステル。C)少なくとも1個の水素原子
が炭素数1〜4のアルキル基で置換された分岐構造を有
する炭素数8〜18の脂肪酸と、少なくとも1個の水素原
子が炭素数1〜4のアルキル基で置換された分岐構造を
有する炭素数3〜20の脂肪族1価アルコールとからなる
脂肪酸エステル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体に関し、さ
らに詳しくは幅広い環境条件下での耐久性にすぐれ、高
密度での磁気記録に適した磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体は、オーディオ用、
ビデオ用、コンピュータ用などのさまざまな分野におい
て大量の情報を記録する記録媒体として多用されるよう
になってきており、これに伴ってさらに高密度記録化の
要請が高まってきている。
【0003】従来、塗布型の磁気記録媒体は、γ−フェ
ライトや鉄粉などの磁性粉を各種添加剤とともに樹脂バ
インダ中に分散させてなる磁性塗料を、ポリエステルフ
ィルムなどの非磁性基体上に塗布して得られる。そし
て、このような磁気記録媒体における磁気記録密度の大
幅な向上を図るために、基体の塗布面と垂直な方向の磁
化を用いる垂直磁気記録方式が提案されている。
【0004】このような垂直磁気記録方式により高記録
密度化が可能な磁気記録媒体として、磁化容易軸を基体
の塗布面に垂直な方向に向けやすいたとえばBaフェライ
トなどの六方晶系フェライト超微粒子と、樹脂バインダ
を主成分とする磁性塗料を、基体に塗布した磁気記録媒
体が研究開発されている。
【0005】ところで、たとえばフロッピーディスクな
どの磁気記録媒体は、その記録容量の増大につれ利用分
野がさらに拡大し、その重要性や価値も高まってきてい
る。そして、従来、常温・常湿の環境下で使用される場
合がほとんどであった磁気記録媒体は、パーソナルワー
ドプロセッサやパーソナルコンピュータなどの機器の普
及に伴い、近年では高温・多湿から低温・低湿までさま
ざまな環境条件下においても使用されるようになってい
る。そのため、磁気記録媒体の耐久性やデータの保存信
頼性に対する要求も一層厳しくなってきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したよ
うな垂直磁気記録方式により磁性粉の充填密度を向上さ
せた高密度磁気記録媒体において、その特性を活かし記
録・再生を行うにあたっては、磁気ヘッドと磁気記録媒
体のスペ−シングを極力小さくすることが望まれる。し
たがって、記録密度の高い磁気記録媒体ほど、媒体表面
の平滑性の向上が望まれている。
【0007】しかしその半面、磁気記録媒体表面の平滑
性が向上するほど、磁気ヘッドと磁気記録媒体間、ある
いはシリンダ、テープガイドなどと磁気記録媒体間の摩
擦係数は大きくなり、媒体がダメージを受けやすく、記
録・再生出力に乱れや低下を引起こし走行性や耐久性が
損われる傾向にある。しかもこの傾向は、温度や湿度な
どの使用環境が変わった場合さらに強く現れ、しばしば
深刻な問題を引き起こしている。とくに、0℃以下の低
温あるいは10%以下の低湿度などの環境下では、ヘッド
の研磨性や潤滑性の低下、塗膜の脆性の増大などの影響
を受け、磁気記録媒体の耐久性や走行性が著しく劣化す
るという問題があった。
【0008】こうした問題点を解決するため、従来は磁
性層の形成に用いる樹脂バインダなどの開発、あるいは
添加剤として用いられる研磨材、潤滑剤、塗膜補強材な
どの添加量の調節という手段が、主として採られてい
た。研磨材としては、たとえばアルミナ、酸化クロム、
α−酸化鉄、あるいは炭化ケイ素などの微粒子が用いら
れている。また、潤滑剤としては一般に高級脂肪酸、脂
肪酸エステル、脂肪酸アミド、シリコーンオイル、フッ
素化シリコーンオイル、油脂などが、磁性層に、あるい
は補助的に基体と磁性層との間に設けた中間層などに添
加されて用いられている。
【0009】しかしながら、これら添加剤の添加量の調
節にあたって、添加量を大きくした場合には磁性粉の充
填密度が小さくなり媒体の出力低下につながることか
ら、その増量には限度があった。その他に、研磨材の場
合には多量の添加によりヘッドの損傷が引き起こされる
という不都合があった。また、潤滑剤の場合には、多量
の添加により高温時に樹脂バインダの可塑化や、磁性層
表面への潤滑剤の湧出(ブリーディング)などが生じや
すくなり、高温時の媒体の耐久性や走行性が損なわれる
などの不都合が生じていた。さらに、添加量は多くなく
とも潤滑剤と樹脂バインダとの適合性が悪い場合にも、
同様の不都合が生じていた。このように、添加剤の添加
量の調節のみでは、高密度磁気記録媒体の各特性を各種
環境条件下で確保することは非常に困難であった。
【0010】したがって、これまでにも、低温時に耐久
性や走行性が低下することの少ない磁気記録媒体を得る
ために、添加剤使用量の検討ではなく、たとえば特開平
2−24825号などのように、潤滑剤として使用可能
な化合物の種類の検討もなされている。しかしながらこ
れまでのところ、潤滑剤として提案されているのはいず
れも比較的粘性の高い化合物である。粘性の高い化合物
は、磁性層を構成する磁性粉や樹脂バインダとの相溶性
が概してよくないため、六方晶系フェライト粉のように
微細な粒子を高密度に充填させて高記録密度化に対応さ
せた磁性層に対する潤滑剤としては不向きであった。
【0011】本発明はこのような課題に対処してなされ
たものであり、低温・低湿時にも潤滑性が低下せず高温
・多湿時にもブリーディングなどを起こすことなく、し
かも磁性粉を高密度に充填した磁性層にも良好に適用可
能な潤滑剤を使用することにより、幅広い環境条件下に
おいて高い耐久性・走行性を有する高密度磁気記録媒体
を提供することを、その目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体
は、非磁性支持体上に六方晶系フェライト磁性粉と樹脂
バインダとを含む磁性層を形成してなる磁気記録媒体に
おいて、前記磁性層は潤滑剤として、 (A)炭素数14,16,あるいは18の直鎖飽和脂肪
酸と、少なくとも1個の水素原子がアルコキシ基で置換
されたアルコキシ置換アルキル基を有する脂肪族1価ア
ルコールとからなる脂肪酸エステル、および (B)少なくとも1個の水素原子が炭素数1〜4のアル
キル基で置換された分岐構造を有する炭素数8〜18の
脂肪酸と、炭素数3〜6の脂肪族多価アルコールとから
なる脂肪酸エステルを含有していること、あるいは、潤
滑剤として、 (A)炭素数14,16,あるいは18の直鎖飽和脂肪
酸と、少なくとも1個の水素原子がアルコキシ基で置換
されたアルコキシ置換アルキル基を有する脂肪族1価ア
ルコールとからなる脂肪酸エステル、および (C)少なくとも1個の水素原子が炭素数1〜4のアル
キル基で置換された分岐構造を有する炭素数8〜18の
脂肪酸と、少なくとも1個の水素原子が炭素数1〜4の
アルキル基で置換された分岐構造を有する炭素数3〜2
0の脂肪族1価アルコールを含有していること、を特徴
としている。
【0013】本発明において潤滑剤として使用される脂
肪酸エステル(A)としては、たとえば、ステアリン酸
ブトキシエチル(C1735COOC2 4 OC
4 9 )、パルミチン酸ブトキシエチル(C1531CO
OC2 4 OC4 9 )、ステアリン酸ジエトキシオク
チル(C1735COOC8 15(C2 5 O)2 )、ミ
リスチン酸ブトキシエチル(C1328COOC2 4
4 9 )などがあげられる。
【0014】また、脂肪酸エステル(B)の一方の構成
材料である分岐構造を有する炭素数8〜18の脂肪酸と
しては、たとえばイソオクチル酸(C7 15COO
H)、イソペラルゴン酸(C8 17COOH)、ネオデ
カン酸(C9 19COOH)、イソパルミチン酸(C15
31COOH)、イソステアリン酸(C1735COO
H)、イソオレイン酸(C1733COOH)などのイソ
−脂肪酸があげられる。なお、ここで接頭語イソは、同
数炭素原子の直鎖化合物名に対して、側鎖を備えて分岐
構造を有する異性体名を表すために使用されている。以
下の文中においても同様である。
【0015】脂肪酸エステル(B)のもう一方の構成材
料である脂肪族多価アルコールとしては、たとえばプロ
ピレングリコール(炭素数3、2価アルコール)、グリ
セリン(炭素数3、3価アルコール)、トリメチロール
プロパン(炭素数6、3価アルコール)、ペンタエリス
リトール(炭素数5、4価アルコール)などがあげられ
る。
【0016】脂肪酸エステル(C)の一方の構成材料で
ある分岐構造を有する炭素数8〜18の脂肪酸として
は、上記した脂肪酸エステル(B)の一方の構成材料で
ある脂肪酸と同様に、たとえばイソオクチル酸、イソペ
ラルゴン酸、ネオデカン酸、イソパルミチン酸、イソス
テアリン酸などが使用可能である。
【0017】また、脂肪酸エステル(C)のもう一方の
構成材料である分岐構造を有する脂肪族一価アルコール
としては、たとえばイソプロピルアルコール(C3 7
OH)、イソオクチルアルコール(C7 15OH)、イ
ソセチルアルコール(C1633OH)、イソステアリル
アルコール(C1837OH)、イソアラキルアルコール
(C2041OH)、あるいは2−エチルヘキシルアルコ
ール{CH3 (CH23 CH(C2 5 )CH2
H}などがあげられる。なお、上記した脂肪酸とアルコ
ールを組み合わせて得られる脂肪酸エステル(C)の中
で、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸
イソセチル、ネオデカン酸イソアラキルはとくに好まし
い。
【0018】本発明の磁気記録媒体において、磁性層中
の潤滑剤として、上記した脂肪酸エステル(A)と脂肪
酸エステル(C)との組み合わせにさらに加えて、
(D)分岐構造および/または不飽和結合を有する炭素
数18〜30の炭化水素を、含有させるようにしてもよ
い。炭化水素(D)としては、たとえばスクアレン(C
3050)、プリスタン(C1838)、ザメン(C
1836)、ヘキサデセン(C1632)、ガズセン、ラウ
ランなどが使用可能である。これらのうち、スクアレ
ン、ヘキサデセン、ラウランの使用はより好ましい。さ
らに、炭化水素(D)としては、たとえば9−メチルノ
ナデカン(C2040)、2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル
テトラコサン(C3064)、2,6,10,14-テトラメチルペ
ンタデカン、α−オレフィンオリゴマー、あるいはイソ
パラフィンなども使用可能である。なかでも9-メチルノ
ナデカンと、2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサ
ンはより好ましい。
【0019】これら炭化水素をさらに含有させることに
より、通常の温度湿度条件下での耐久性を確保しつつ低
湿度における耐久性をより一層改善することができる。
また、併用する研磨材の量も軽減することができる。
【0020】本発明の磁気記録媒体で使用可能な研磨材
としては、たとえば酸化クロム、アルミナ、α−酸化
鉄、炭化ケイ素、酸化チタン、酸化セリウム、コランダ
ム、ダイヤモンドなど、モース硬度6以上で平均粒径
0.5μm 以下の微粉末があげられる。なかでも、酸化ク
ロム、アルミナが好ましい。ここで、大粒径の研磨材を
使用した場合には、高密度磁気記録においてノイズを増
加させ、ヘッドクラッシュを引き起こし、媒体表面粗さ
を増加させることになる。
【0021】また、磁性層中の上記研磨材の含有量は、
磁性粉末100重量部に対して3〜15重量部の範囲内
であることが好ましい。上記したように炭化水素(D)
の併用により通常の研磨材使用量より少なくすることが
できる。3重量部以下の含有量ではヘッド研磨性の不足
や媒体強度の低下により幅広い使用環境下での安定した
走行性や耐久性が損なわれる傾向が認められる。また、
多量の研磨材を含有することは磁性層中の磁化の減少に
繋がり、良好な高密度記録特性が得られなくなる。
【0022】本発明の磁気記録媒体は、たとえばポリエ
ステルフィルムのような可とう性を有する非磁性支持体
上に磁性層を設けて構成したものであり、形態としては
磁気テープ、フロッピーディスク、磁気カードなどが例
示される。また、磁性層はたとえばBaフェライトのよう
な六方晶系フェライト粉と樹脂バインダとを主体とし、
潤滑剤や研磨材の他さらに必要に応じて、分散剤、帯電
防止剤、硬化剤などの各種添加物を配合したものであ
る。なお、非磁性支持体上に設けられる磁性層は1層と
は限らず、重層構造になっていてもよい。
【0023】本発明において使用可能な六方晶系フェラ
イトとしては、たとえば下記に示す一般式 AO・2(M1 O)・Fe16-x2 x 24 (ただし、式中AはBa, Sr, Ca, Pbから選ばれた少なく
とも1種の元素を表し、M1 はZnあるいはNiを表し、M
2 はCo,Ti,Niから選ばれた少なくとも1種の元素を表
し、x は0.6 〜 2.2の範囲の数を表す)で示されるBaフ
ェライトなどの六方晶フェライトがあげられる。
【0024】なお、六方晶系フェライトの微粉末は、六
角板状の単結晶であり、その磁化容易軸は板面と垂直な
方向にあり、たとえばガラス結晶化法(特開昭56−6
7904号、同56−155022号公報など参照)に
より製造することができる。また、その形状などは、高
密度磁気記録に適したものであれば特に限定されるもの
ではないが、比表面積が20〜60 m2 /gで、かつ平均粒子
径が30nm〜 150 nm の強磁性粉末を使用した場合、磁性
粉末の高分散、高充填が容易に達成されるので、本発明
による効果も顕著になる。
【0025】本発明において樹脂バインダは、六方晶系
フェライト微粉末を分散、保持し、かつ非磁性支持体上
に結合させるために必要な成分であって、六方晶系フェ
ライト微粉末および非磁性支持体と親和性のある樹脂バ
インダであれば、特に材料限定されるものではない。こ
のような樹脂バインダとしては、たとえば塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニル
アルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マ
レイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共
重合体、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル
系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、あるいは
ニトロセルロースなどの高分子材料が例示される。ま
た、これらに水酸基、スルホン基、アミノ基、カルボキ
シル基、その他の官能基およびこれらの塩を分子鎖に導
入した高分子材料はとくに好ましい材料である。なお、
これらの樹脂バインダのほかに、多価イソシアネートの
ような硬化剤を添加して、塗膜を硬化させることがより
好ましい。その他、光硬化型樹脂、放射線硬化型樹脂な
どを添加して塗膜を硬化させるようにしてもよい。さら
に、これらの樹脂バインダは、単独または2種以上を混
合して用いることができる。
【0026】
【作用】本発明の磁気記録媒磁体においては、磁性層中
に潤滑剤として、直鎖飽和脂肪酸のエステル(A)と、
分岐構造を有する脂肪酸のエステル(B)または(C)
とを組み合わせて使用している。一般に、分岐構造を有
する脂肪酸のエステルは、同じ分子量の直鎖状の化合物
に比較して融点が低い。しかもそのような化合物を融点
の高い直鎖飽和脂肪酸のエステルと併用することによ
り、分子量の大きさにに比較して融点の低い、したがっ
て粘性の低い潤滑剤が得られることになる。
【0027】そのため、本発明に係わるこのような潤滑
剤は、六方晶フェライト粉末を高密度に充填した磁性層
中の磁性粉や樹脂バインダとも良く馴染み、塗膜に適度
の可塑効果を付与して塗膜の脆性を改善する。また、融
点が低いため、低温においても潤滑効果を失いにくい。
したがって媒体の良好な耐久性が確保できる。一方、こ
のような潤滑剤は粘性が低い割りには分子量が大きいた
め、製造工程中あるいは保管中にも揮発するおそれが少
なく、長期間にわたり媒体の耐久性が維持可能である。
【0028】また、上記した脂肪酸エステルにさらに加
えて、保湿効果の高い炭化水素を併用することにより、
潤滑剤の揮発がより一層抑えられる。
【0029】したがって、本発明によれば、磁気記録媒
磁体の高記録密度化と耐久性・走行性の向上との両立が
可能となる。
【0030】
【実施例】以下本発明の具体的な実施例について説明す
る。
【0031】実施例1 まず、以下の材料組成物をニーダ中に秤り込んで混練分
散させ、磁性塗料を作製した。
【0032】 その後、フィルターで濾過して夾雑物を除去して磁性塗
料を得た。この磁性塗料に、硬化剤としてポリイソシア
ネート系硬化剤(商品名C−3041、日本ポリウレタ
ン社製)を3重量部加えてよく混合した。
【0033】次いで、グラビアコーターを使用してこの
混合物を厚さ75μm 厚ポリエステルフィルム上に乾燥膜
厚 2.0μm となるように塗装した。次いで、スーパーカ
レンダにて表面平滑処理を施し、加熱工程で塗膜を硬化
させた。
【0034】上記手順を経て得られた磁気記録媒体原反
を、3.5 インチ径の円盤状に打ち抜き、実施例1の磁気
ディスク媒体を作製した。そして、これを後述する特性
評価に供した。
【0035】なお、以下に示す実施例についても同様の
特性評価に供した。
【0036】実施例2〜7 脂肪酸エステルAおよび脂肪酸エステルBとして、本発
明にしたがっているが実施例1とは異なった種類の化合
物を用いた他は実施例1と同様にして、磁気ディスク媒
体実施例2〜7を作製した。なお、これらの実施例にお
いて脂肪酸エステルAおよび脂肪酸エステルBとして用
いられた化合物の種類は、後に示す表1に記載してあ
る。
【0037】実施例8 まず、以下の材料組成物をニーダ中に秤り込んで混練分
散し、さらにサンドミルにて分散し、磁性塗料を作製し
た。
【0038】 その後、実施例1と同様にして磁気ディスク媒体実施例
8を作製した。
【0039】実施例9〜15 脂肪酸エステルAおよび脂肪酸エステルCとして、本発
明にしたがっているが実施例8とは異なった種類の化合
物を用いた他は実施例8と同様にして、磁気ディスク媒
体実施例9〜15を作製した。なお、これらの実施例に
おいて脂肪酸エステルAおよび脂肪酸エステルCとして
用いられた化合物の種類は、後に示す表2に記載してあ
る。
【0040】実施例16 まず、以下の材料組成物をニーダ中に秤り込んで混練分
散させ、磁性塗料を作製した。
【0041】 その後、実施例1と同様にして磁気ディスク媒体実施例
16を作製した。
【0042】実施例17〜28 脂肪酸エステルA、脂肪酸エステルC、および炭化水素
Dとして、本発明にしたがっているが実施例16とは異
なった種類の化合物を用いた他は実施例16と同様にし
て、ディスク状媒体実施例17〜28を作製した。な
お、これらの実施例において脂肪酸エステルAおよび脂
肪酸エステルC、および炭化水素Dとして用いられた化
合物の種類は、後に示す表3に記載してある。
【0043】このようにして得られた実施例1〜28の
ディスク状磁気記録媒体について、その耐久性の評価を
行った。評価に際しては、(株)東芝社製 3.5インチ用
300rpmの両面ヘッドディスクドライブを使用し、環
境条件を変えて走行試験を行った。走行試験に際して
は、出力が初期書き込み出力に対して 30 %低下した時
点を検出し、この時点までの走行パス数の大小をもって
媒体の耐久性の判定を行った。測定時の環境条件として
は、「温度30℃湿度5%」、「温度50℃湿度90%」、お
よび「サイクル」の3通りを設定した。なお、ここで
「サイクル」とは、52℃50%と 5℃10%の2つの条件を
24時間サイクルで繰り返すように設定した環境条件を表
している。
【0044】上記3つの環境条件下における実施例1〜
28の耐久性評価結果を、潤滑剤として使用した化合物
の種類と合わせて表1〜3に示した。数値の単位は万パ
スである。
【0045】
【表1】
【表2】
【表3】 比較例1〜8 次いで本発明の比較例として、脂肪酸エステルAを欠く
もの(比較例3,5)、脂肪酸エステルAに相当すると
して使用されている化合物が本発明にしたがっていない
もの(比較例2,6)、脂肪酸エステルBあるいはCを
欠くもの(比較例2,4,7,8)、および、脂肪酸エ
ステルBあるいはCに相当するとして使用されている化
合物が本発明にしたがっていないもの(比較例1,3)
の磁気ディスク媒体を、実施例と同様に作製した。
【0046】そして、これら比較例1〜8について実施
例と同様にして耐久性の評価を行った。その評価結果
を、使用した潤滑剤の種類と合わせて表4に示した。
【0047】
【表4】 表1〜4からも明らかなように、本発明によれば3つの
設定環境条件のいずれにおいても、磁気記録媒体の耐久
性が格段に向上している。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
磁気記録媒体の磁性層中に潤滑剤として、2種の脂肪酸
エステルを組み合わせて使用している。2種の脂肪酸エ
ステルの種類を適切に選択し組み合わせることにより、
分子量の大きさに比較して融点が低く粘性の小さい潤滑
剤が得られる。得られた潤滑剤は、低温・低湿時にも潤
滑性が低下せず高温・多湿時にもブリーディングなどを
起こすおそれがなく、しかも磁性粉を高密度に充填した
磁性層にも良好に適用可能である。
【0049】したがって、本発明によれば、常温・常湿
環境における耐久性を確保しつつ、低湿時の耐久性を改
善することができる。すなわち幅広い環境条件下におい
て高い耐久性・走行性を有する高密度磁気記録媒体を提
供しうる。
【0050】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 40:18 (72)発明者 深沢 昌広 兵庫県姫路市余部区上余部50番地 株式会 社東芝姫路工場内 (72)発明者 秋山 和隆 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝堀川町工場内 (72)発明者 篠原 久長 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝堀川町工場内 (72)発明者 増田 隆 神奈川県川崎市川崎区日進町7番地1 東 芝電子エンジニアリング株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に六方晶系フェライト磁
    性粉と樹脂バインダとを含む磁性層を形成してなる磁気
    記録媒体において、前記磁性層は潤滑剤として、 (A)炭素数14,16,あるいは18の直鎖飽和脂肪
    酸と、少なくとも1個の水素原子がアルコキシ基で置換
    されたアルコキシ置換アルキル基を有する脂肪族1価ア
    ルコールとからなる脂肪酸エステル、および (B)少なくとも1個の水素原子が炭素数1〜4のアル
    キル基で置換された分岐構造を有する炭素数8〜18の
    脂肪酸と、炭素数3〜6の脂肪族多価アルコールとから
    なる脂肪酸エステル、 を含有していることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体上に六方晶系フェライト磁
    性粉と樹脂バインダとを含む磁性層を形成してなる磁気
    記録媒体において、前記磁性層は潤滑剤として、 (A)炭素数14,16,あるいは18の直鎖飽和脂肪
    酸と、少なくとも1個の水素原子がアルコキシ基で置換
    されたアルコキシ置換アルキル基を有する脂肪族1価ア
    ルコールとからなる脂肪酸エステル、および (C)少なくとも1個の水素原子が炭素数1〜4のアル
    キル基で置換された分岐構造を有する炭素数8〜18の
    脂肪酸と、少なくとも1個の水素原子が炭素数1〜4の
    アルキル基で置換された分岐構造を有する炭素数3〜2
    0の脂肪族1価アルコールとからなる脂肪酸エステル、 を含有していることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記磁性層は潤滑剤として、さらに (D)分岐構造および/または不飽和結合を有する炭素
    数18〜30の脂肪族炭化水素を含有していることを特
    徴とする特許請求の範囲請求項2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 脂肪族炭化水素(D)が、スクワレン、
    ヘキサデセン、ラウラン、9-メチルノナデカン、あるい
    は2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサンの群から
    選ばれた少なくとも1つの化合物であることを特徴とす
    る特許請求の範囲請求項3記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 脂肪酸エステル(A)が、ステアリン酸
    ブトキシエチルであることを特徴とする特許請求の範囲
    請求項1、2、3、あるいは4記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 脂肪酸エステル(A)が、パルミチン酸
    ブトキシエチルであることを特徴とする特許請求の範囲
    請求項1、2、3、あるいは4記載の磁気記録媒体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001001402A1 (fr) * 1999-06-28 2001-01-04 Teijin Limited Support d'enregistrement magnetique
JP2001520302A (ja) * 1997-10-20 2001-10-30 モービル・オイル・コーポレイション イソパラフィン系潤滑油ベースストック組成物
US10675720B2 (en) 2011-02-01 2020-06-09 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. High Cr Ni-based alloy welding wire, shielded metal arc welding rod, and weld metal formed by shielded metal arc welding
US11732332B2 (en) * 2019-05-28 2023-08-22 Kabushiki Kaisha Toshiba Nickel-base alloy welding material, welding material for nuclear reactor, nuclear power apparatus and nuclear power structure, and method of repairing nuclear power apparatus and nuclear power structure

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