JPH0688504A - タービン高速バルブ制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】高速バルブ制御時、再熱器内部の急激な圧力上
昇を生ぜしめないタービン高速バルブ制御装置の提供。 【構成】再熱器５を有する再熱形式の発電用復水型蒸気
タービンにおいて、再熱器より中圧タービン２あるいは
低圧タービン３に蒸気を導く再熱ライン１０より復水器
６へ通ずるバイパスライン１６およびその流量を制御す
るバイパス弁１７を備え、前記タービンに接続された発
電機４の送電系統の事故発生を検知して、前記再熱ライ
ンに設置された流量制御を行うインタセプト弁１１に急
速閉路指令を発すると同時に、再熱器内の蒸気圧力の上
昇を抑制すべくこれと連動して前記バイパス弁に開指令
を与える高速バルブ制御回路を備える。タービン高速バ
ルブ制御時にインタセプト弁が急閉されても、これに連
動してバイパス弁が開状態となるため、再熱器の発生蒸
気のうちの規定流量がバイパスラインに流され、再熱器
の内部における圧力上昇を抑制することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、発電用のタービンシス
テム、特にタービンの出力を高速に制御するタービン高
速バルブ制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、発電用のタービンシステムにおい
て、その発電した電力を送電する送電系統の事故発生を
検知して、タービンの出力を高速に制御するタービン高
速バルブ制御装置が知られている。このようなタービン
高速バルブ制御装置を図４の構成図を参照して説明す
る。

【０００３】図４に示すように、従来のタービン高速バ
ルブ制御装置は、高圧タービン１、中圧タービン２およ
び低圧タービン３と発電機４、ならびに蒸気発生器（図
示せず）および再熱器５、復水器６および主蒸気ライン
７、主蒸気弁８、高圧排気ライン９、再熱ライン１０、
インタセプト弁１１とから構成されている。この高速バ
ルブ制御装置において、中圧タービン２に流入する再熱
蒸気圧力を検出する圧力検出器１３、発電機４の出力
（または電流）を検出する検出器１４、ならびに送電系
統の系統故障を検出する検出器１５の各検出信号１３
ａ，１４ａ，１５ａが入力される高速バルブ制御回路１
２は、系統故障が起こっているか否かを判断する。また
系統故障後、系統が復帰しているか否かをインタセプト
弁制御信号１１ａにより、インタセプト弁１１の開閉を
速やかに制御する。

【０００４】次に、上記従来例の動作を図５により説明
する。ここで図５（ａ）は従来装置の制御回路１２の操
作ブロック図であり、また図５（ｂ）は、前記操作ブロ
ックに従ったインタセプト弁１１の動作特性図である。

【０００５】さて、系統故障の発生の検出には、系統故
障検出リレーにより検出する方法か、または故障時に生
ずる発電機の機械的入力（タービントルク）と電気的出
力との不平衡を検出する方法があるが、通常は後者によ
る場合が多く採用されている。図５（ａ）は後者の方法
による操作ブロックを示したものである。すなわち、機
械的入力としては、これと１対１に対応する再熱段圧力
を検出し、また、電気的出力としては、出力値そのも
の、あるいは電流値を検出し、一定の規定値を基準とし
て両者の不平衡を判断し、不平衡が生じた場合に、ター
ビン高速バルブ制御の指令がなされ、インタセプト弁を
全閉し、その後タイマー等により規定微小時間後インタ
セプト弁が開き初め、全開位置まで戻される。この制御
によるインタセプト弁の動きを図５（ｂ）に示す。すな
わち、図５（ｂ）において、ｔ1 は事故発生より、これ
を検出後高速バルブ制御の指令がなされ、実際にインタ
セプト弁が動き出すまでの遅れ時間、ｔ2 はインタセプ
ト弁全閉時間、ｔ3 は弁が開き始めるまでの開放不動時
間、ｔ4 は弁全開時間であり、ｔ1 ，ｔ2 ，ｔ3 は、制
御装置の応答特性を考慮したうえで可能な限り短い時間
に設定される。

【０００６】ところで、インタセプト弁１１を急閉する
と、中圧タービン２および低圧タービン３に供給される
蒸気流量が急激に減少するため、図６（ａ）のタービン
高速バルブ制御時のタービン出力の経時的変化の特性曲
線に示すように、中圧タービン２、低圧タービン３の出
力も急激に減少し、高圧タービン１の出力を加えたター
ビン出力が減少する。

【０００７】また、この時、再熱器５としては、発生蒸
気の流出が、インタセプト弁１１の急閉により閉塞され
るため、前記のタービン出力減少分に対応するエネルギ
ーが再熱器５の内部に蓄積されることとなる。このため
図６（ｂ）の再熱器５の内部の蒸気圧力の経時的変化の
特性曲線に示すように、再熱器５の内部の蒸気圧力は急
激に上昇する。

【０００８】以上説明したように、送電線事故等が発生
し、検出器１３，１４あるいは１５により検知され、検
出信号１３ａ，１４ａあるいは１５ａにより、タービン
高速バルブ制御回路１２が作動し、インタセプト弁１１
が急閉すると、再熱器５内部の蒸気圧力の急激な上昇が
生ずるため、場合によっては、安全弁が動作したり、再
熱器５そのものの耐圧補強をすることが必要となった。
また、再熱器５の蒸気圧力の上昇を抑えようとして、イ
ンタセプト弁１１の全開時間を早くしすぎると、その開
放制御の途中において、発電機４の同期が保てなくなっ
て脱調するなどの問題があった。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】このように、系統事故
発生時に、タービン高速バルブ制御が実行され、インタ
セプト弁が急閉すると、再熱器内部の蒸気圧力が急激に
上昇するため、再熱器の耐圧補強または安全弁による圧
力逃し等、機器側または非常用の系統側にて対応する場
合が生じた。

【００１０】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は高速バルブ制御時、再熱器内部の急激な
圧力上昇を生ぜしめないタービン高速バルブ制御装置を
提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のタービン高速バルブ制御装置は、再熱器を
有する再熱形式の発電用復水型蒸気タービンにおいて、
再熱器より中圧タービンあるいは低圧タービンに蒸気を
導く再熱ラインより復水器へ通ずるバイパスラインおよ
びその流量を制御するバイパス弁を備え、前記タービン
に接続された発電機の出力を送電する送電系統の事故発
生を検知して、前記再熱ラインに設置された流量制御を
行うインタセプト弁に全閉指令を与えて、再熱器内の蒸
気圧力の上昇を抑制すべくこれと連動して前記バイパス
弁に開指令を与える高速バルブ制御回路を備えたことを
特徴とする。

【００１２】

【作用】本発明のタービン高速バルブ制御装置による
と、タービン高速バルブ制御時にインタセプト弁が急閉
されても、これに連動して制御されるバイパス弁が開状
態となるため、再熱器よりの発生蒸気のうちの規定流量
がバイパスラインに流され、再熱器の内部における蓄積
エネルギーによる圧力上昇を抑制することが可能となる
ので、高速バルブ制御時、再熱器内部の急激な圧力上昇
を生じることはない。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図により説明する。
図１は本発明の一実施例の構成図を示すものである。図
中、既に説明した図４と同一部分は同一符号を付してそ
の説明は省略する。

【００１４】図１において、１６は再熱ライン１０から
復水器６へ通じ、再熱器５で発生した蒸気を復水器６へ
逃すことを可能とする再熱蒸気バイパスライン、１７は
再熱蒸気バイパスライン１６に設置され再熱ライン１０
より復水器６へ流す蒸気流量を調節するバイパス弁、１
７ａは高速バルブ制御回路１２よりの指令は受けて前記
バイパス弁１７を制御するバイパス弁制御信号、１８は
復水器６へ流入する蒸気を前記復水器側が受け入れ可能
なように減圧および減温を行う減圧減温器である。

【００１５】今、発電機４に接続された送電線に発生し
た事故を、各検出器１３，１４，１５の検出信号１３
ａ，１４ａ，１５ａを受けた高速バルブ制御回路１２が
検知し、高速バルブ制御回路１２はインタセプト弁１１
にインタセプト弁制御信号１１ａにより急速閉路指令を
発すると同時に、バイパス弁１７にバイパス弁制御信号
１７ａを介してある規定位置までの開路指令を発した
後、規定微小時間後にインタセプト弁制御信号１１ａを
介してインタセプト弁１１に開路指令を発し、同様に規
定微小時間後にバイパス弁制御信号１７ａを介して、バ
イパス弁１７に閉路指令を発する。

【００１６】図２は、タービン高速バルブ制御装置の操
作ブロックの一例と、これによるインタセプト弁１１お
よびバイパス弁１７の動作を示したものであり、また、
図３（ａ）及び（ｂ）はそれぞれ図２の操作ブロックに
おけるタービン高速バルブ制御時のタービン出力の経時
的変化及び再熱器５の内部の蒸気圧力の経時的変化を示
したものである。次に、本実施例の作用を図２および図
３により説明する。

【００１７】まず、図２（ａ）の操作ブロックにおい
て、タービン高速バルブ制御回路１２は、検出器１３お
よび１４により検出された再熱段の圧力信号１３ａおよ
び発電機の出力（または電流）信号１４ａを常時取り入
れており、系統事故発生時、再熱段の圧力および発電機
出力（または電流）の規定値に対する大小の判別によ
り、事故発生を検知すると同時に、インタセプト弁１１
に急速閉路指令を発し、また、バイパス弁１７に開路指
令を発する。その後、各タイマー等により各規定微小時
間後にインタセプト弁１１に開路指令を、また、バイパ
ス弁１７に閉路指令を発し、系統事故前の状態に復帰さ
せる。

【００１８】この時のインタセプト弁１１の動きを図２
（ｂ）に示す。この動作は従来技術で説明したものと同
一である。また、バイパス弁１７の動きを図２（ｃ）に
示す。タービン高速バルブ制御回路１２の指令により、
ｔ1 の遅れ時間をもって開き初め、ｔ5 の開路時間をも
って規定開度までにバイパス弁１７が開く。その後、先
に開路指令が発せられてから規定微小時間後において閉
路指令が発せられ、バイパス弁１７は閉鎖される。ここ
でｔ6 は規定開度にバルブが開かれている間の開放不動
時間、またｔ7 はバルブの閉路時間を示す。

【００１９】この高速バルブ制御回路１２に従ったイン
タセプト弁１１およびバイパス弁１７の一連の動作によ
り、従来の装置においてはインタセプト弁１１の遮断に
より、完全に閉塞されてしまっていた再熱器５より発生
する蒸気は、その内の規定流量がバイパス弁１７および
バイパスライン１６を通して減圧減温器１８により、許
容条件まで減圧減温された後、復水器６に流入し復水器
６にて凝縮され、復水に還元される。

【００２０】したがって、再熱器５内においては、前記
の理由により発生蒸気エネルギーが完全に閉塞されるこ
とがないため、エネルギーの蓄積による圧力上昇は抑制
され、図３（ｂ）に示すような経時的変化を示す。ま
た、図３（ａ）には、この時のタービン出力の経時的変
化を示す。

【００２１】以上説明したように、本実施例によれば、
タービン高速バルブ制御時にインタセプト弁１１が急閉
されても、これに連動して制御されるバイパス弁１７が
開状態となるため、再熱器５よりの発生蒸気のうちの規
定流量がバイパスライン１６に流され、再熱器５の内部
における蓄積エネルギーによる圧力上昇を抑制すること
を可能とするタービン高速バルブ制御装置を提供するこ
とができる。

【００２２】なお、上記実施例の図２における制御機能
の詳細説明では、再熱段圧力と発電機出力（または電
流）の検知により、機械的出力と電気的出力の不平衡を
探知して、高速バルブ制御を実行するタービン高速バル
ブ制御装置の例を示しているが、図１の送電系統側にお
いて、系統故障検出器１５および系統故障検出信号１５
ａにより、系統故障を検出して高速バルブ制御を実行す
るタービン高速バルブ制御装置も可能であり、この検出
機構を用いた本装置も上記実施例と同様の効果を有す
る。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば高
速バルブ制御時にインタセプト弁が急閉されても、これ
に連動して制御されるバイパス弁が開状態となるため、
再熱器よりの発生蒸気のうちの規定流量がバイパスライ
ンに流され、再熱器の内部における蓄積エネルギーによ
る圧力上昇を抑制することが可能となるので、高速バル
ブ制御時、再熱器内部の急激な圧力上昇を生ぜしめない
タービン高速バルブ制御装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の構成図。

【図２】同図（ａ）は図１の操作ブロック図、同図
（ｂ）及び同図（ｃ）はそれぞれインタセプト弁及びバ
イパス弁の動作を示す特性図。

【図３】同図（ａ）及び同図（ｂ）はそれぞれ図１のタ
ービン出力及び再熱蒸気圧力の経時変化を示す特性図。

【図４】従来のタービン高速バルブ制御装置の構成図。

【図５】同図（ａ）は従来装置の操作ブロック図、同図
（ｂ）はインタセプト弁の動作を示す特性図。

【図６】同図（ａ）及び同図（ｂ）はそれぞれ従来装置
のタービン出力及び再熱蒸気圧力の経時変化を示す特性
図。

【符号の説明】

１…高圧タービン、２…中圧タービン、３…低圧タービ
ン、４…発電機、５…再熱器、６…復水器、７…主蒸気
ライン、８…主蒸気弁、９…高圧排気ライン、１０…再
熱ライン、１１…インタセプト弁、１１ａ…インタセプ
ト弁制御信号、１２…高速バルブ制御回路、１３…圧力
検出器、１３ａ…圧力信号、１４…出力（または電流）
検出器、１４ａ…出力（または電流）信号、１５…系統
故障検出器、１５ａ…系統故障検出信号、１６…再熱蒸
気バイパスライン、１７…バイパス弁、17ａ…バイパス
弁制御信号、１８…減圧減温器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 再熱器を有する再熱形式の発電用復水型
   蒸気タービンにおいて、再熱器より中圧タービンあるい
   は低圧タービンに蒸気を導く再熱ラインより復水器へ通
   ずるバイパスラインおよびその流量を制御するバイパス
   弁を備え、前記タービンに接続された発電機の出力を送
   電する送電系統の事故発生を検知して、前記再熱ライン
   に設置された流量制御を行うインタセプト弁に全閉指令
   を与えて、再熱器内の蒸気圧力の上昇を抑制すると共に
   これと連動して前記バイパス弁に開指令を与える高速バ
   ルブ制御回路を備えたことを特徴とするタービン高速バ
   ルブ制御装置。