JPH0687947B2 - 吸収液スラリーのpH制御方法 - Google Patents

吸収液スラリーのpH制御方法

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JPH0687947B2
JPH0687947B2 JP62244130A JP24413087A JPH0687947B2 JP H0687947 B2 JPH0687947 B2 JP H0687947B2 JP 62244130 A JP62244130 A JP 62244130A JP 24413087 A JP24413087 A JP 24413087A JP H0687947 B2 JPH0687947 B2 JP H0687947B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は湿式石灰石膏法排煙脱硫装置の吸収剤の供給量
を制御する吸収液スラリーのpH制御方法に関する。
〔従来の技術〕
従来、湿式石灰石膏法排煙脱硫装置における吸収液スラ
リーのpH制御は、所定のpH設定値と吸収液スラリーのpH
検出値との偏差に応じて吸収剤の供給量を増減させて吸
収液スラリーのpHが所定値を、維持する制御方式であつ
た。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところが、ボイラー負荷の急激な上昇において、pHの検
出値が突然上昇し、数分から数十分にわたつて以上に高
い値を指示する現象が見られる。この現象の様子を第3
図に一例として示した。この第3図に示すようにボイラ
ーの負荷が急激に上昇しほぼ安全に近いころに、このpH
の突変上昇が見られる。この結果、吸収剤例えば石灰石
の供給量は低減される方向に制御動作しそのため脱硫性
能が低下するという問題があつた。
〔発明の目的〕
本発明は上記の問題点を解消し、正常な脱硫性能を維持
するための吸収液スラリーのpHの制御方法を提供しよう
とするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究の結
果、このpHの突変上昇の原因を究明するに到つた。
排煙脱硫の吸収剤としては、CaCO3,Ca(OH)2,CaOのよ
うなカルシウム化合物が使用されるが、これらは通常石
灰石より得られるものである。石灰石中には微量(約30
〜100mg/kg)のマンガンを含有しているため、石灰石を
原料として得られたCaCO3,Ca(OH)又はCaOなどを主
成分とするSO2吸収液中にも微量なマンガンを必然的に
含有している。排煙脱硫装置で吸収されたSO2は、前述
した理由で吸収液中に微量存在するマンガンと次の反応
で酸化され、 Mn2++HSO3 -+H+〔Mn・SO22+・H2O (1) 2〔Mn・SO22++O2+5H2O→2MnOOH↓ +HSO3 -+SO4 2-+7H+ (2) オキシ水酸化マンガン(MnOOH)を生じ、このオキシ水
酸化マンガンはさらに次の反応を起こして酸化反応を促
進する。
2MnOOH↓+HSO3 -+3H+→2Mn2++SO4 2-+3H2O (3) 通常、ボイラー負荷が高く吸収するSO2が多いときは、
吸収液中に亜硫酸イオンが充分存在するために、オキシ
水酸化マンガンは中間的に存在するだけであるが、ボイ
ラー負荷が低く吸収するSO2が少なくなると、(2)式
の反応で生成したオキシ水酸化マンガンの一部は、次の
反応によつてマンガン酸化物として析出する。
MnOOH↓→MnOx↓+1/2H2O (4) このMnOxのxの値は通常1以上2以下の値であり、析出
したMnOxは非晶質の固体で電極表面や配管の内壁に沈着
する。このMnOxはボイラーの負荷が上昇し再びSO2の吸
収量が多くなると、次の反応によつて溶解する。
MnOx+HSO3 -+H+→Hn2++SO4 2-+H2O (5) 即ち、ボイラーが低負荷時に電極表面に沈着したMnOxが
ボイラーの負荷上昇によつて今度は溶解することにな
り、(5)式の反応で判るようにMnOxが次亜硫酸イオン
を酸化して溶解するときに水素イオンを消費し、この結
果pH電極の周りで水素イオン濃が稀薄となりpHの検出値
を高くしている訳である。
以上の知見から、ボイラー負荷の急激な上昇においてpH
の検出値が突然上昇するのは、吸収液スラリー本体のpH
が上昇しているのでなく、pH電極表面で生じている反応
によつて誤つたpHを検出しているのであるので、この現
象出現時は一時pH制御をpH突変開始時の状態で保持すべ
きであるとの結論に達した。
本発明は上記認識に基づいて完成されたものであつて、
カルシウム化合物を吸収剤として用いる湿式石灰石膏法
排煙脱硫装置の吸収液スラリーのpHを検出して吸収剤の
供給量を制御するpH制御に際し、吸収液pHの検出信号が
急激に上昇し、かつ、ボイラーの出力もしくはボイラー
燃量流量が所定値以上の場合に吸収液スラリーのpH制御
の設定値を所定時間だけ吸収液スラリーのpH検出値と同
値とすることを特徴とする吸収液スラリーのpH制御方法
である。
本発明を更に具体的に云えば、pHの検出値の微分値を監
視し、この微分値がボイラー出力が所定値以上の条件下
で急増の場合、これを前記反応によるpH検出値異常とみ
なし、pH制御上の偏差増大を抑えるために所定時間だけ
pH制御の設定値をpHの検出値に等しい値とする方法であ
る。
なお、pHの変化(正の)は、pH制御における制御定数
(PID)の設定不良、高負荷から低負荷へボイラー負荷
した場合にもみられ、その微分値(△(pH)/△t)は
0.01〜0.03(pH/min)であるが、本発明でいう吸収液pH
の急激な上昇とは、このような上昇を意味するものでは
なく、前述したMnOxの亜硫酸による溶解に伴う時に生ず
る例えば0.08pH/minのような急激なpHの上昇を意味する
ものである。
また所定時間は各プラントによつて定まるものであつ
て、一義的に定めることができないが、操業に当つて
は、実際のプラントにおいて、このpHの突変現象がどの
位の時間にわたつて出現するかを確認しておき、その確
認した時間に合せて決定すべきものである。
このようにすることによりpH制御出力の急激な低減によ
る脱硫性能の低下を防止できるものである。
〔実施例〕
本発明によるpH制御ロジツクの一具体例を第1図によつ
て説明する。
第1図において、1はpH検出値、2は微分演算器、3は
判別演算器、4,5,は論理演算器、6はタイマー、7は設
定値選択器、8は外部入力、9は判別演算器、10,11は
論理演算器、12は設定値選択器である。
吸収液スラリーのpH値1を微分演算器2で演算し、その
演算値yが設定微分値Yより大きいかを判別演算器3で
判別させ、その結果演算値yが大きい場合で、かつ、外
部入力8としてのボイラー負荷(もしくはボイラーへの
燃料)xが所定の値Xより高い場合にはタイマー6を動
作し、pH設定値をpH検出値に選択器7で変更する。又タ
イマー6が一旦動作すると設定時間タイムアツプする迄
でこの制御を継続させる。上記の条件以外の状態では設
定値選択器12が動作し本来のpH設定値で制御を行なう。
本発明により、制御した結果の一例を第2図に示した。
定格ボイラー出力600MW(処理ガス流量1,720,000万m3/H
r)のボイラーに設けた湿式石灰石膏法排煙脱硫装置に
おけるボイラー負荷変動時の状態を示したもので、pH検
出値の突変上昇時も吸収剤の流量は影響を受けることな
く、安定して供給できこの結果脱硫性能も安定して確保
できた。なお、このときのpH値の微分値の設定値=0.08
〔pH〕/分、タイマ設定30分、ボイラー負荷の設定値40
%としたときの例を示した。
(比較例) 第3図は従来のpH制御を行なつたときの状態を示したも
ので、pH検出値の突変上昇によつて吸収剤の供給量が低
減しその結果脱硫性能の低下を引き起こした。
〔発明の効果〕
本発明によつて、pH電極表面での特異現象によるpH誤指
示を無視でき、この結果脱硫性能を損うことなく排煙処
理を可能とした。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の吸収液スラリーのpH制御方法のpH制御
ロジツクの一具体例の説明図、第2図は本発明の一実施
例により吸収液スラリーのpH制御した結果の一例を示す
図表、第3図は従来のpH制御法を実施したときの状態を
示す図表である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルシウム化合物を吸収剤として用いる湿
    式石灰石膏法排煙脱硫装置の吸収液スラリーのpHを検出
    して吸収剤の供給量を制御するpH制御に際し、吸収液pH
    の検出信号が急激に上昇し、かつ、ボイラーの出力もし
    くはボイラー燃量流量が所定値以上の場合に吸収液スラ
    リーのpH制御の設定値を所定時間だけ吸収液スラリーの
    pH検出値と同値とすることを特徴とする吸収液スラリー
    のpH制御方法。
JP62244130A 1987-09-30 1987-09-30 吸収液スラリーのpH制御方法 Expired - Fee Related JPH0687947B2 (ja)

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