JPH0687932A - マレイミド系共重合体の製造方法 - Google Patents

マレイミド系共重合体の製造方法

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JPH0687932A
JPH0687932A JP23748092A JP23748092A JPH0687932A JP H0687932 A JPH0687932 A JP H0687932A JP 23748092 A JP23748092 A JP 23748092A JP 23748092 A JP23748092 A JP 23748092A JP H0687932 A JPH0687932 A JP H0687932A
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JP
Japan
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maleimide
monomer
copolymer
solvent
reaction system
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JP23748092A
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English (en)
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Kazuchika Fujioka
和親 藤岡
Minoru Yamaguchi
稔 山口
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 芳香族ビニル系単量体およびマレイミド系単
量体を必須成分とする単量体成分を溶媒に溶解した状態
でラジカル重合させて組成分布が狭くかつ乳化剤を含ま
ないマレイミド系共重合体を、高温かつ高真空を必要と
する脱溶媒工程を経ずに得る。 【構成】 単量体成分は溶解するがマレイミド系共重合
体は溶解しない溶媒(S)を反応系に供給する単量体成
分の総量100重量部に対して50〜500重量部の割
合で反応系に仕込んでおき、ラジカル重合により生成し
たマレイミド系共重合体を溶媒から析出させる。溶媒
(S)は、C5 〜C8 の脂肪族炭化水素およびC1 〜C
4 のアルコール類からなる群から選ばれる1種以上であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、芳香族ビニル系単量
体とマレイミド系単量体を必須成分とする単量体成分を
ラジカル重合するマレイミド系共重合体の製造方法に関
する。さらに詳しくは、この発明は、使用する単量体は
溶解するが生成したマレイミド系共重合体は溶解しない
溶媒を予め所定量反応系に仕込んでおき、単量体を溶媒
に溶解した状態でラジカル重合させ、生成したマレイミ
ド系共重合体を反応液から析出させるマレイミド系共重
合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単
量体、ならびに、必要に応じて他の単量体を共重合して
得られるマレイミド系共重合体は、優れた耐熱性を持
ち、そのまま耐熱性材料として用いられたり、ABS樹
脂やナイロン樹脂とのアロイや各種樹脂材料の耐熱性向
上剤としても検討されている。
【0003】マレイミド系共重合体は、従来、懸濁重
合、乳化重合、溶液重合等の方法により製造されてい
る。これらの中でも、懸濁重合法は、生成した共重合体
を反応系から単離するのが容易である。しかし、懸濁重
合法では、芳香族ビニル系単量体とマレイミド系単量体
は交互共重合性が強いので、交互共重合体の生成が先行
し、その後、残留する一方の単量体の単独重合体が生成
する。このため、得られたマレイミド系共重合体は、非
常に広い組成分布を有する。
【0004】他方、溶液重合法や乳化重合法では、各単
量体の逐次添加を工夫することにより、組成分布の狭い
マレイミド系共重合体を得ることが検討されている。乳
化重合法では、得られる共重合体の軟化温度が高くなる
と、乳濁液からの共重合体の分離が困難であり、しか
も、乳化剤等の添加剤が残留しやすく着色したり、透明
性が低下したりするという問題がある。
【0005】溶液重合法では、米国特許第2,971,
939号で示されるように芳香族ビニル系単量体を予め
反応系に仕込み、マレイミド系単量体の添加速度を調整
することによって交互共重合体の生成を防止することが
できる。しかしながら、溶液重合法によれば、反応液か
ら溶剤や未反応単量体を除去して固体状の重合体を得る
ためには、高温度かつ高真空を必要とする脱溶剤工程が
必要となり、プロセスや装置が複雑になり、コスト的に
不利であると共に、マレイミド系共重合体は、一般に、
高いTg(ガラス転移温度)を有するため、溶融温度が
極めて高く、脱溶媒工程での処理温度を高くする必要が
あり、熱劣化や着色を起こしやすいという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】溶液重合法は上に述べ
たような問題点を有するものの、懸濁重合法に対して
は、マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体の交互
共重合体の生成を防ぎやすいという利点を有し、しか
も、乳化重合法に対しては、乳化剤を使用する必要がな
く物性の優れた共重合体を得ることができるという利点
を有している。
【0007】そこで、発明者らは、これらの溶液重合法
における利点を活かし、しかも、脱溶剤工程が不要にな
る重合方法を見出すことを考えたのである。この発明
は、組成分布が狭くかつ乳化剤を含まないマレイミド系
共重合体を、高温かつ高真空を必要とする脱溶媒工程を
経ずに得ることができるマレイミド系共重合体の製造方
法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明は、芳香族ビニル系単量体(a)およびマ
レイミド系単量体(b)を必須成分とする単量体成分を
溶媒に溶解した状態でラジカル重合させてマレイミド系
共重合体を製造するにあたり、単量体成分は溶解するが
マレイミド系共重合体は溶解しない溶媒(S)を、反応
系に供給する単量体成分の総量100重量部に対して5
0〜500重量部の割合で反応系に仕込んでおき、ラジ
カル重合により生成したマレイミド系共重合体を溶媒か
ら析出させることを特徴とするマレイミド系共重合体の
製造方法を提供する。
【0009】この発明では、単量体(a)および
(b)、ならびに、必要に応じて使用される単量体
(c)を溶媒に溶解した状態で重合を行ってマレイミド
系共重合体を生成させるのであるが、生成した共重合体
が溶媒から析出するように、使用する単量体は溶解する
が生成するマレイミド系共重合体は溶解しない溶媒
(S)を予め反応系に仕込んでおくのである。
【0010】予め反応系に仕込んでおく溶媒(S)の量
は、反応系に供給する単量体成分の総量100重量部に
対して50〜500重量部の割合になっている必要があ
り、80〜200重量部の割合が好ましい。このような
割合になっていると、単量体を溶媒に溶解して反応系に
逐次添加することにより反応系の溶媒の組成が変化して
いっても、マレイミド系共重合体が反応系の溶媒から析
出するのである。50重量部未満では単量体とともに添
加される溶媒および未反応単量体により反応系の溶媒組
成が変動し、マレイミド系共重合体が析出しなくなると
いう問題があり、500重量部を越えると重合速度が遅
くなるとともに反応液中の共重合体濃度が低すぎて生産
性が低下するという問題がある。
【0011】予め反応系に仕込んでおく溶媒(S)は、
単量体成分は溶解するがマレイミド系共重合体は溶解し
ない溶媒であれば特に限定されないが、たとえば、炭素
数5〜8の(C5 〜C8 の)脂肪族炭化水素、炭素数1
〜4の(C1 〜C4 の)アルコール類、四塩化炭素、エ
ーテル類などのうちの、いずれか1種の単独溶媒、また
は、2種以上の混合溶媒である。中でも、単量体成分の
溶解性が高くかつマレイミド系共重合体を析出させやす
いという理由から、C5 〜C8 の脂肪族炭化水素および
1 〜C4 のアルコール類から選ばれた1種または2種
以上が好ましい。
【0012】C5 〜C8 の脂肪族炭化水素は、炭素数が
5から8までのいずれかである、脂肪族飽和炭化水素お
よび環式飽和炭化水素であり、たとえば、n−ヘプタ
ン、n−ヘキサン、n−ペンタン、シクロヘキサン、n
−オクタン、および、これらの異性体である。脂肪族炭
化水素であっても、炭素数4以下のものは、常温で気体
であるためラジカル重合の際の溶媒として用いることが
できず、炭素数9以上のものは、マレイミド系共重合体
が溶解しやすくなり、安定な析出状態が得られにくくな
るおそれがある。炭素数5から8までのいずれかであっ
ても脂肪族炭化水素でなければ、やはりマレイミド系共
重合体が溶解しやすくなるおそれがある。
【0013】C1 〜C4 のアルコール類は、たとえば、
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、
イソプロパノール等である。アルコール類であっても、
炭素数5以上のものは、反応中にマレイミド系共重合体
が膨潤したり凝集したりして反応中の攪拌が困難になる
か、あるいは、分離工程を経て得られる重合体中に残留
しやすくなるおそれがある。
【0014】この発明で用いられる芳香族ビニル系単量
体(a)は、下式(I):
【0015】
【化1】
【0016】〔式中、R1 、R2 およびR3 は、それぞ
れ、独立に水素または炭素数1〜5のアルキル基、R4
はアリール基または置換アリール基である。〕で表され
る芳香族ビニル化合物であり、たとえば、スチレン;o
−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルス
チレン(o−,m−,p−メチルスチレンをビニルトル
エンとも言う)、1,3−ジメチルスチレン、2,4−
ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−第3級ブチル
スチレンなどのアルキルスチレン;α−メチルスチレ
ン、α−エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチ
レン;ビニルナフタレン;o−クロロスチレン、m−ク
ロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4−ジブロモ
スチレンなどのハロゲン化スチレン;2−メチル−4−
クロロスチレンなどのハロゲン化アルキルスチレン等が
挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を使用す
ることができる。生産性および物性のバランスの点から
は、特に、スチレン、ビニルトルエンおよびα−メチル
スチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用い
るのが望ましい。なお、芳香族ビニル系単量体(a)を
用いずに、脂肪族ビニル系単量体を用いると、単量体の
反応性が低く、また得られた共重合体の耐熱性が低く、
かつ吸湿性が大きいという問題がある。
【0017】この発明で用いられるマレイミド系単量体
(b)は、下式(II):
【0018】
【化2】
【0019】〔式中、R5 は水素、または、炭素数1〜
15の、アルキル基、シクロアルキル基、置換アルキル
基、アリール基もしくは置換アリール基である。〕で表
されるマレイミド化合物であり、たとえば、マレイミ
ド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N
−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、
N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N
−ターシャリブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマ
レイミド、N−フェニルマレイミド、N−クロルフェニ
ルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ブ
ロモフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N
−ラウリルマレイミド、2−ヒドロキシエチルマレイミ
ド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メトキシ
フェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミ
ド、N−ニトロフェニルマレイミド等を挙げることがで
き、これらのうちの1種または2種以上を使用すること
ができる。
【0020】この発明では、必要に応じて、単量体
(a)および単量体(b)と共重合可能なその他の単量
体(c)を用いることができる。単量体(c)は、単量
体(a)および単量体(b)以外の、エチレン性不飽和
結合を持つ化合物であり、たとえば、耐衝撃性、耐溶剤
性、相溶性を向上させるという目的で使用される。単量
体(c)としては、たとえば、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリ
ロニトリル等の不飽和ニトリル類;シクロアルキル基お
よびベンジル基を含む、炭素数1〜18のアルキル基を
有する(メタ)アクリル酸エステル(たとえば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブ
チル、(メタ)アクリル酸ターシャリブチル、(メタ)
アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、
(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−
エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)
アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ベンジル等);エチレン、プロ
ピレン、イソブチレン、ジイソブチレン等のオレフィン
類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハ
ロゲン化ビニル類;メチルビニルエーテル、ブチルビニ
ルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル等の飽和モノカルボン酸のビニルエステル
類;酢酸アリル、プロピオン酸アリル等の飽和脂肪族モ
ノカルボン酸のアリルエステル類またはメタリルエステ
ル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニル
ベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ
ート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ
ート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプ
ロピレンオキサイド付加物のジメタクリレート、ハロゲ
ン化ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロ
ピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、イ
ソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、イソシア
ヌレートのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサ
イド付加物のジまたはトリ(メタ)アクリレート等の多
価(メタ)アクリレート類;ジアリルフタレート、トリ
アリルイソシアヌレート等の多価アリレート類;グリシ
ジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテ
ル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フ
マル酸あるいはこれらの半エステル化物等が挙げられ、
目的に応じて1種または2種以上が用いられるが、それ
らの種類および使用量はこの発明の目的を逸脱しない範
囲で選択すればよい。
【0021】単量体成分は、芳香族ビニル系単量体
(a)とマレイミド系単量体(b)を必須成分とし、必
要に応じて、その他の単量体(c)を有する。芳香族ビ
ニル系単量体(a)の使用量は、35〜60wt%の範囲
が好ましく、40〜60wt%の範囲がより好ましい。マ
レイミド系単量体(b)の使用量は、40〜65wt%の
範囲が好ましく、40〜60wt%の範囲がより好まし
い。単量体(c)の使用量は、0〜25wt%の範囲が好
ましく、0〜20wt%の範囲がより好ましい。ただし、
単量体(a)、(b)および(c)の合計量は100wt
%である。単量体(a)の使用量が上記範囲を上回る
と、生成するマレイミド系共重合体の耐熱性が低下する
とともに、熱可塑性樹脂と配合する際の相溶性が低下
し、下回るとマレイミド系共重合体の加工性および/ま
たは耐衝撃性が低下する。単量体(b)の使用量が上記
範囲を上回ると生成するマレイミド系共重合体の成形加
工性が悪くなるとともに耐衝撃性が低下し、下回るとマ
レイミド系共重合体が樹脂組成物に充分な耐熱性を付与
することができなくなる。単量体(c)の使用量が上記
範囲を上回ると、生成するマレイミド系共重合体の加工
性や耐衝撃性等における物性のバランスが得られにくく
なる。
【0022】この発明では、単量体成分を溶媒に溶解し
た状態でラジカル重合させる。単量体のラジカル重合は
適宜行うことができるが、下記またはのやり方によ
り行うのが好ましい。 反応系に予め仕込んでおいた溶媒(S)に対して、
単量体(a)および(b)のそれぞれの全量を逐次添加
して溶解させながらラジカル重合を行う。
【0023】 単量体(a)の一部と溶媒(S)とを
反応系に仕込み、単量体(a)の一部が溶媒(S)に溶
解してなる溶液に対して、単量体(b)の全量と単量体
(a)の残量を逐次添加して溶解させながらラジカル重
合を行う。ここで単量体を逐次添加するとは、単量体を
一度に添加するのではなく、滴下のように連続的または
断続的に添加したり、一定時間間隔ごとに複数回に分け
て添加したりすることである。
【0024】単量体(c)は、予め反応系に仕込んでお
く溶媒に溶解してもよいし、単量体(a)および(b)
とは別々に供給してもよいし、単量体(a)および/ま
たは(b)と混合して供給してもよく、特に限定はな
い。使用する単量体(c)の共重合性を考慮して初期仕
込み分と徐々に供給する分との割り振りを設定すれば共
重合体中に均質に存在させることができる。
【0025】反応系に逐次添加する単量体は、液体であ
る場合にはそのまま供給してもよいが、必要に応じて
〔特に、固体の単量体(主に、マレイミド系単量体であ
る。)である場合〕溶媒または他の単量体に溶解して供
給してもよい。ここで使用される溶媒は、該単量体を溶
解し、かつ、予め反応系に仕込んでおく溶媒(S)と相
溶するものであれば特に限定はなく、たとえば、予め反
応系に仕込んでおく溶媒と同じでも異なっていてもいず
れでもよく、あるいは、単量体成分は溶解するがマレイ
ミド系共重合体は溶解しない溶媒でも単量体成分もマレ
イミド系共重合体も溶解する溶媒でもいずれでもよい。
仮に、マレイミド系共重合体が溶解する溶媒を使用して
も、予め反応系に仕込んでおく溶媒を上記特定の範囲内
の量に設定しておくことにより、マレイミド系共重合体
の析出が妨げられることはない。逐次添加する単量体を
溶解するための溶媒の使用量は、上記特定の溶媒の使用
量を越えない範囲が好ましい。これは、反応系の溶媒組
成が変動した場合でもマレイミド系共重合体が析出状態
で得られるようにするためである。逐次添加する単量体
を溶解するための溶媒は、前記溶媒(S)のほかに、た
とえば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳
香族溶媒;メチルエチルケトン(MEKと略す)、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン;
ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメ
チルスルフォキシドなどの極性を有する有機溶媒が例示
され、これらのうちの、いずれか1種の単独溶媒、また
は、2種以上の混合溶媒である。
【0026】この発明の方法によれば、マレイミド系共
重合体は反応系の溶媒から析出し、スラリー状態で得ら
れるため、溶液重合法によって高分子量重合体を得よう
とする際にみられる著しい粘度上昇が防止できる上に、
脱溶媒工程においても高い溶融粘度状態で重合体を取り
扱う必要もないため、熱劣化などの心配がなく、特に分
子量の大きいマレイミド系共重合体を製造するのに有利
である。
【0027】この発明の製造方法により得られるマレイ
ミド系共重合体の組成は、反応系における単量体モル比
(b)/(a)によって決定される。すなわち、この単
量体モル比が大きいほどマレイミド系単量体単位(B)
の含有量が高いマレイミド系共重合体が生成し、この単
量体モル比が小さいほど芳香族ビニル系単量体単位
(A)の含有量が高いマレイミド系共重合体が生成す
る。この発明においても、重合体が溶媒に溶解した状態
で生成する溶液重合法と同様に、使用する単量体の共重
合性比を考慮してそれぞれの単量体の供給方法を工夫す
ることによって共重合体の組成をコントロールすること
ができる。
【0028】なお、この発明では、反応系にラジカル重
合開始剤、連鎖移動剤などを存在させてもよい。重合開
始剤としては、たとえば、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサ
イド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキ
シアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、
t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキ
シ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ
ラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−
ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどの過酸
化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチル
バレロニトリル、アゾビス−1−シクロヘキサンカルボ
ニトリルなどのアゾ化合物など、マレイミド系単量体と
芳香族ビニル系単量体の共重合に通常用いられる化合物
が、通常の使用量で使用される。重合開始剤は、その全
量を反応系に予め仕込んでおいてもよいし、反応時に逐
次供給するようにしてもよい。
【0029】この発明では、重合反応時は不活性ガス
(通常、窒素ガス)により反応系内の溶存酸素を除去し
て重合を行う。これは、酸素が重合禁止剤として作用す
るからである。重合は、たとえば、温度60〜200℃
で1〜20時間行う。反応系に入れた全単量体の重合転
化率は、たとえば50〜95wt%となるようにするのが
好ましい。逐次導入する単量体のすべてを供給し終わっ
た後、必要に応じてそのままの温度・雰囲気でまたはそ
れらの少なくとも1つを適宜変えて重合反応を継続させ
てもよい。
【0030】重合反応が始まると、生成したマレイミド
系共重合体が反応液から析出してくる。反応を終えた
後、反応液を冷却し、析出した固体のマレイミド系共重
合体を濾別、遠心分離、デカンテーション、スプレード
ライ、フィルタープレスなどにより液と分離した後、乾
燥を行い、粉末状のマレイミド系共重合体を得ることが
できる。
【0031】上記のようにして製造されたマレイミド系
共重合体は、好ましくは、芳香族ビニル系単量体単位
(A)35.0〜60.0wt%、マレイミド系単量体単
位(B)40.0〜65.0wt%、および、その他の単
量体単位(C)0〜25wt%から構成されている。芳香
族ビニル系単量体単位(A)は、上記芳香族ビニル系単
量体(a)から、マレイミド系単量体単位(B)は上記
マレイミド系単量体(b)から、その他の単量体単位
(C)は上記その他の単量体(c)からそれぞれ導かれ
る。芳香族ビニル系単量体単位(A)、マレイミド系単
量体単位(B)およびその他の単量体単位(C)の配列
は、ランダムであっても、ブロック部分を有していても
かまわない。
【0032】この発明の製造方法により得られたマレイ
ミド系共重合体は、たとえば、重量平均分子量5万〜1
00万、数平均分子量2万〜30万、温度240℃にお
ける粘度1,000〜10,000,000ポイズ、ガ
ラス転移温度130〜220℃という物性を有する。こ
の発明の製造方法により得られるマレイミド系共重合体
は、高い耐熱性を持つとともに優れた成形性(流動性)
も持っていることから、他の1種類以上の熱可塑性樹脂
と混練し、樹脂組成物として用いることもできる。たと
えば、メチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレー
ト−スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレ
ンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹
脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、塩化ビニル樹脂、
塩素化塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹
脂、アクリロニトリル−メチルメタクリレート樹脂、ス
チレン−メタクリル酸樹脂、スチレン−メタクリル酸−
アクリロニトリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの
改質剤として用いると、耐熱性が向上する。特に、AB
S樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹
脂)、MBS樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン
−スチレン樹脂)などに代表されるゴム変性樹脂や、ポ
リアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ
ブチレンテレフタレート樹脂等の結晶性樹脂との混和性
に優れている。2軸押出機などの装置を用い、通常の作
動条件で、これらの樹脂とマレイミド系共重合体の重量
比が10:90〜90:10の割合でブレンドすると、
これらの樹脂の特徴を損なうことなく耐熱性が向上し、
しかも成形加工性に優れた樹脂組成物となるので好まし
い。
【0033】上記の樹脂組成物は、マレイミド系共重合
体とその他の熱可塑性樹脂以外にも、必要に応じてヒン
ダードフェノール系酸化防止剤やホスファイト系安定剤
を熱安定性の改良を目的に、ベンゾフェノン系やヒンダ
ードアミン系紫外線吸収剤を耐候性の改良に、また、ア
ミド系の滑剤や金属石鹸類を成形加工性改良を目的とし
て配合使用することができる。さらに炭酸カルシウム、
硫酸カルシウム、タルク、マイカ、ベントナイト、ガラ
ス繊維等の無機充填剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤な
どの添加剤を配合することができる。これらは、1また
は2以上を含有することができる。これらの含有量は、
必要に応じて適宜設定すればよい。
【0034】上記の樹脂組成物は、たとえば、射出成
形、押出成形、真空成形などの成形法により所定の成形
品を与えることができる。たとえば、コンソールボック
ス、スピーカーボックス、インスツルメントパネル等の
自動車内装部品、ホイルカバーやエアスポイラー等の自
動車外装部品、ワードプロセッサやパーソナルコンピュ
ータのハウジング等の電気・電子部品などに使用され
る。
【0035】
【作用】この発明では、芳香族ビニル系単量体(a)お
よびマレイミド系単量体(b)を必須成分とする単量体
成分を溶媒に溶解した状態でラジカル重合させてマレイ
ミド系共重合体を製造するので、反応系には系を安定さ
せるための乳化剤のような薬剤を添加する必要がなくな
る。しかも、反応系には上記特定の溶媒(S)を反応系
に供給する単量体成分の総量100重量部に対して50
〜500重量部の割合で仕込んでおくので、単量体成分
を他の溶媒に溶解させて反応系に導入することにより反
応系の溶媒組成が変動したとしても、生成したマレイミ
ド系共重合体が溶媒へ溶解するのが防止され、固体とな
って析出する。析出したマレイミド系共重合体は、濾
別、遠心分離、デカンテーションなどの操作により、反
応液から容易に分離することができる。
【0036】なお、溶液状態での重合では、マレイミド
系共重合体の組成は、反応系中の単量体(a)、(b)
および(c)の比率のみにより規定されるので、組成分
布を狭くすることができる。
【0037】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。
なお、特に断らない限り「部」は「重量部」、「%」は
「重量%」である。 −実施例1〜2− コンデンサー、攪拌機および3つの滴下ロートを備えた
重合反応槽に、表1に示す量の溶媒(S)に表1に示す
量の単量体(a)(スチレンを使用した)と開始剤(表
1に示すものを用いた)を溶解してなる単量体溶液を仕
込み、内部を窒素で置換した。重合反応槽内部を表1に
示した重合温度に昇温し、表1に示す、重合開始剤およ
び単量体(a)の残量と、単量体(b)(N−フェニル
マレイミドを使用した)の全量とを別々の滴下ロートか
ら表1に示す時間にわたって均一に滴下して、ラジカル
重合を行って、析出したマレイミド系共重合体を含む反
応液を得た。得られた反応液を濾別、乾燥することによ
り、マレイミド系共重合体を得た。
【0038】−比較例1− 実施例1において、溶媒(S)の使用量を単量体成分の
総量100部に対して45部に変え、表1に示すような
配合にしたこと以外は実施例1と同様に重合を行った。
その結果は、重合途中で生成した共重合体が凝集し、攪
拌が困難となった。
【0039】−比較例2− 実施例1において、溶媒(S)を使用量を単量体成分の
総量100部に対して600部に変え、表1に示すよう
な配合にしたこと以外は実施例1と同様に重合を行っ
た。その結果は、共重合体の生成速度がおそく、生産性
の悪いものであった。
【0040】−比較例3− 実施例1において、溶媒(S)代わりにマレイミド系共
重合体の製造に通常用いられる溶媒であるトルエンを用
いたこと以外は実施例1と同様に重合を行った。得られ
た反応液は、マレイミド系共重合体を溶解しており、マ
レイミド系共重合体を反応液から分離するのは困難であ
った。
【0041】−比較例4− 表1に示す単量体混合物を水中に懸濁させ、通常の方法
で懸濁重合を行った。その結果は、生成共重合体にTg
が2つ観測された。
【0042】
【表1】
【0043】上記実施例および比較例で得られたマレイ
ミド系共重合体について、共重合体構造単位の種類と含
有量、共重合体の重量平均分子量、ガラス転移温度およ
び外観を次のようにして調べた。それらの結果を表2に
示した。共重合体構造単位の種類と含有量は、赤外分析
および元素分析により調べた。共重合体の重量平均分子
量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒にしたゲル
浸透クロマトグラフィー(GPC)の溶出曲線からポリ
スチレンの標準重合体を基準として算出した。
【0044】ガラス転移温度は、理学電気株式会社製の
DSC−8230を用い、窒素気流下でα−アルミナを
リファレンスとして昇温速度5℃/分で測定したDSC
曲線から中点法で求めた。外観は、得られた共重合体を
目視によって観察して調べた。
【0045】
【表2】
【0046】表1〜2にみるように、実施例1〜2で
は、単一のガラス転移温度を有する均質なマレイミド系
共重合体を着色することなく得ることができた。これに
対し、比較例1では、重合反応途中に共重合体が凝集し
たため、共重合体を得ることができなかった。比較例2
では、得られた共重合体は非常に少なく、生産性が悪か
った。比較例3では、濾過などの方法による共重合体の
分離は困難であった。比較例4では、得られた共重合体
は淡黄色に着色しており、また、ガラス転移温度が2つ
観測され、組成分布が広い共重合体であった。
【0047】
【発明の効果】この発明の製造方法によれば、組成分布
が狭く、乳化剤を含まないマレイミド系共重合体を、高
温かつ高真空を必要とする脱溶媒工程を経ずに得ること
ができるので、コスト的に有利であり、透明性に優れ着
色されていないマレイミド系共重合体が生成し、マレイ
ミド系共重合体中の高沸点不純物が少ない。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニル系単量体(a)およびマレ
    イミド系単量体(b)を必須成分とする単量体成分を溶
    媒に溶解した状態でラジカル重合させてマレイミド系共
    重合体を製造するにあたり、単量体成分は溶解するがマ
    レイミド系共重合体は溶解しない溶媒(S)を、反応系
    に供給する単量体成分の総量100重量部に対して50
    〜500重量部の割合で反応系に仕込んでおき、ラジカ
    ル重合により生成したマレイミド系共重合体を溶媒から
    析出させることを特徴とするマレイミド系共重合体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 反応系に仕込んでおく溶媒が、炭素数5
    〜8の脂肪族炭化水素および炭素数1〜4のアルコール
    類からなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載
    のマレイミド系共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 単量体成分が、芳香族ビニル系単量体
    (a)35〜60wt%、マレイミド系単量体(b)40
    〜65wt%およびこれらと共重合可能な他の単量体
    (c)0〜25wt%〔ただし、(a)、(b)および
    (c)の合計量は100.0wt%である。〕からなる請
    求項1または2記載のマレイミド系共重合体の製造方
    法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002030120A (ja) * 2000-07-17 2002-01-31 Denki Kagaku Kogyo Kk 超高耐熱マレイミド系共重合体
US6835282B2 (en) 1998-10-16 2004-12-28 Grain Processing Corporation Paper web with pre-flocculated filler incorporated therein
WO2004101636A3 (en) * 2003-05-16 2005-02-17 Lg Chemical Ltd A method for preparing styrene and maleimide copolymer using super critical fluid
US9436020B2 (en) 2012-12-05 2016-09-06 Empire Technology Development Llc Luminance adjustment film and illuminating device including photothermal conversion material
WO2021251295A1 (ja) * 2020-06-08 2021-12-16 日産化学株式会社 上層膜形成組成物及び相分離パターン製造方法

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