JPH0687537U - 中空壁パネルの横目地構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 水の建物内への浸入を確実に防止する。 【構成】 一対の中空壁パネル１２を、それぞれの下端
面を躯体側のアングル材１１に支持させた状態で上下に
突き合わせて接合し、一対の中空壁パネル１２がなす横
目地Ｍ₁ を、その外部側に横一次シール材１３を充填す
ると共に、横一次シール材１３より内部側に横目地Ｍ₁
の長さに応じて連続して封止部材２０を介在させる。こ
の封止部材２０は、立辺２１と立辺２１の下端から略直
角に延出された横辺２２と、横辺２２の先端から略直角
に垂下された取付辺２３とからなる防水パン２４と、取
付辺２３に嵌め入れたガスケット２５とから構成される
もので、立辺２１を中空壁パネル１２のアングル材１１
側の面に当接させ、かつ横辺２２をアングル材１１とア
ングル材１１上の中空壁パネル１２の下端面との間に介
装させた状態で、ガスケット２５を横目地Ｍ₁ に配置す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は例えば押し出し成型中空壁パネルの横目地構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

例えば一側端面が平面視略凸状に形成され、他側端面が平面視略凹状に形成さ れてなる押し出し成型中空壁パネルを複数枚、躯体に取り付けた際に、これら各 中空壁パネル相互によって形成される縦目地、横目地にはそれぞれ、気密、水密 を目的として、中空壁パネルの取り付け後、つまり目地形成後にポリサルファイ ド系シーラ等からなる一次シール材が充填される。

【０００３】 また縦目地の一次シール材より内部側には、つまり中空壁パネルの凸状部分の 突部とその中空壁パネルに隣接する中空壁パネルの凹状部分の溝部との間には、 シリコンスポンジやクロロプレンスポンジ等からなるガスケットが、中空壁パネ ルの取り付け前に上記した中空壁パネルの突部あるいは溝部に予め接着しておく ことで二次シール材として配置される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが上記した目地構造では、横目地の内部側に二次シール材が配置されて いないため、中空壁パネルの層間変位や気圧等によって横目地に充填された一次 シール材が破断した場合、横目地から浸入した水は容易に建物内に入ってしまう という問題があった。 また、横目地の外部側に破断することなく一次シール材が充填されていても、 縦目地に充填された一次シール材が破断して縦目地から水が浸入してしまうと、 その水は中空壁パネルの下端面を伝って横目地の内部側にまで回り込み、さらに 建物内に入り込んでしまうという問題があった。

【０００５】 また縦目地の最も内部側には何も充填されておらず、しかも中空壁パネルは上 下方向に中空部を有しているため、その縦目地や中空部分から水が浸入した場合 にも、水は横目地を介して建物内に浸入することもあった。 本考案は上記課題に鑑みてなされたものであり、水の建物内への浸入を完全に 防止することができる壁パネルの横目地構造を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために本考案は、一対の中空壁パネルを、それぞれの下端 面を躯体側のアングル材に支持させた状態で上下に突き合わせて接合し、前記一 対の中空壁パネルがなす横目地を、その外部側に一次シール材を充填すると共に 、該一次シール材より内部側に前記横目地の長さに応じて連続して封止部材を介 在させることにより封止した横目地構造であって、前記封止部材は、立辺と、該 立辺の下端から略直角に延出された横辺と、該横辺の先端から略直角に垂下され た取付辺とからなる防水パンと、前記取付辺に嵌め入れたガスケットとからなる もので、前記防水パンの立辺を前記中空壁パネルの前記アングル材側の面に当接 させ、かつ前記横辺を前記アングル材とそのアングル材上の中空壁パネルの下端 面との間に介装させた状態で、前記ガスケットを前記横目地に配置したものであ る。

【０００７】

【作用】

本考案によれば、封止部材のガスケットを横目地の一次シール材より内部側に 密着させた状態で配置するので、前記横目地は完全に封止される。その結果、前 記一次シール材が破断して前記横目地に水が回り込んでも、また縦目地の外部側 の一次シール材が破断して前記縦目地から水が浸入しても、前記ガスケットによ りいずれの浸入は阻止され、斯かる水は建物内に入り込むことはない。

【０００８】 またこのとき、封止部材の防水パンを、その立辺を中空壁パネルのアングル材 側の面に当接させ、かつ横辺を前記アングル材とそのアングル材上の中空壁パネ ルの下端面との間に介装させるので、つまり前記横目地の前記ガスケットより内 部側にあっては、前記横辺により、前記アングル材上の中空壁パネルの下端面が 完全に覆われるため、前記縦目地から浸入した水は前記横辺によっても阻止され 、水がさらに建物内に入り込んだり、下側の中空壁パネルにまで流れ込むことが ない。さらに前記中空壁パネルの中空部分や、前記縦目地の最も内部側から水が 浸入した場合にも、この横辺によって阻止されることとなるため、完璧な防水機 能が果たされる。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案に係る中空壁パネルの横目地構造の実施例を図面に基づいて説明 する。 図１は中空壁パネルを建物躯体に取り付けた状態を示した正面図であり、図２ は図１におけるＸ−Ｘ線断面図、図３は図１におけるＹ−Ｙ線断面図である。 図中１１は固定辺１１ａと固定辺１１ａの先端から略直角に延出された支持辺 １１ｂとからなるＬ字形の躯体側のアングル材であり、アングル材１１は中空壁 パネル１２を取り付ける建物の面の上下方向に所定の間隔で、かつその建物の面 の幅方向に亘って連続的に設けられている。

【００１０】 そして複数の中空壁パネル１２が、それぞれの下端面をこの各アングル材１１ の支持辺１１ｂに支持させた状態で上下、左右に突き合わされて接合されている 。 なお中空壁パネル１２は例えばその一側端面が平面視略凸状に形成され、他側 端面が平面視略凹状に押し出し成型されてなり、中空壁パネル１２を左右に突き 合わせる際には、中空壁パネル１２の凸状部分に、この中空壁パネル１２に隣接 する中空壁パネル１２の凹状部分が嵌め入れられる。

【００１１】 これら中空壁パネル１２相互がなす横目地Ｍ₁ には、外部側に横一次シール材 １３が充填されており、横一次シール材１３より内部側には横目地Ｍ₁ の長さに 応じて連続して封止部材２０が介在されている。

【００１２】 この封止部材２０は図４に示したように、長尺状の防水パン２４と長尺状のガ スケット２５とから構成されている。防水パン２４は、立辺２１と、立辺２１の 下端から略直角に延出された横辺２２と、横辺２２の先端から略直角に垂下され た取付辺２３とからなり、またガスケット２５は、例えば断面略矩形をなし、か つ上面の略中央にはその長さ方向に亘って取付辺２３用の溝２６が形成されたも ので、防水パン２４の取付辺２３をガスケット２５の溝２６に嵌め入れた状態で 一体化されている。

【００１３】 また防水パン２４は例えばステンレス鋼からなり、ガスケット２５はクロロプ レンスポンジやシリコンスポンジ等の発泡材を成型することによって形成される 。さらにガスケット２５の内部には、必要に応じ、その長さ方向に亘って中空部 が形成される。従ってガスケット２５は極めて弾性に富むものとなっている。 そしてこのような封止部材２０は、予め中空壁パネル１２の取り付け前に、防 水パン２４の立辺２１を硬質パッキング１７を介して各アングル材１１の固定辺 １１ａに取り付けると共に、横辺２２を各アングル材１１の支持辺１１ｂ上に載 置し、ガスケット２５をアングル材１１の支持辺１１ｂの先端側に配置しておく ことで、中空壁パネル１２の取り付けと同時に横目地Ｍ₁ に設けられる。

【００１４】 つまり、封止部材２０を予め各アングル材１１に上記した状態で取り付けてお き、中空壁パネル１２を、その下端面を封止部材２０を介してアングル材１１の 支持辺１１ｂに支持させて配置すると、防水パン２４の立辺２１が中空壁パネル １２のアングル材１１側の面に当接し、かつ横辺２２がアングル材１１の支持辺 １１ｂと上側の中空壁パネル１２の下端面との間に介装された状態で、ガスケッ ト２５が横目地Ｍ₁ に配置される。

【００１５】 なお、封止部材２０のガスケット２５の大きさは、ガスケット２５を横目地Ｍ ₁ に配置した状態において中空壁パネル１２の下端面、上端面にピッタリと密着 するように予め設定されている。従って、一対の中空壁パネル１２がなす横目地 Ｍ₁ の横一次シール材１３より内部側にはガスケット２５が密着状態で配置され 、横目地Ｍ₁ が完全に封止される。 また横目地Ｍ₁ のガスケット２５より内部側においては、防水パン２４の横辺 ２２により上側の中空壁パネル１２の下端面が完全に覆われて遮断される。

【００１６】 続いて以上のように封止部材２０が配置された横目地Ｍ₁ の封止部材２０より 外部側には、上記した横一次シール材１３が、ポリサルファイド系シーラ等の充 填材を横目地Ｍ₁ に充填することにより形成される。さらに、横目地Ｍ₁ のアン グル材１１の支持辺１１ｂの下面側には、耐火パッキング１６が設けられる。

【００１７】 一方、中空壁パネル１２相互がなす縦目地Ｍ₂ には、外部側に縦一次シール材 １４が充填され、縦目地Ｍ₂ の縦一次シール材１４より内部側には、つまり中空 壁パネル１２の凸状部分の突部とその中空壁パネルに隣接する中空壁パネル１２ の凹状部分の溝部との間には、縦二次シール材１５が介装される。

【００１８】 縦一次シール材１４は、縦目地Ｍ₂ 形成後に目地の外部側にポリサルファイド 系シーラ等の充填材を充填することにより形成され、また縦二次シール材１５は 、シリコンスポンジやクロロプレンスポンジ等の発泡材によって例えば中空円柱 状に形成されたガスケットを、中空壁パネル１２の取り付け前に上記した中空壁 パネル１２の突部あるいは溝部に予め接着しておくことで配置される。 なお、横目地Ｍ₁ と縦目地Ｍ₂ の交差部においては、横一次シール材１３と縦 一次シール材１４は密着した状態で充填される。

【００１９】 以上のように本実施例においては、横目地Ｍ₁ の横一次シール材１３より内部 側に封止部材２０のガスケット２５を配置し、横目地Ｍ₁ を完全に封止するので 、たとえ横一次シール材１３が破断して横目地Ｍ₁ に水が回り込んでも、また縦 一次シール材１４が破断して縦目地Ｍ₂ から水が浸入しても、ガスケット２５よ り内部側への水の浸入が阻止され、水は建物内にけっして入り込むことがない。

【００２０】 また横目地Ｍ₁ のガスケット２５より内部側にあっては、アングル材１１の支 持辺１１ｂと上側の中空壁パネル１２の下端面との間に介装された防水パン２４ の横辺２２により上側の中空壁パネル１２の下端面が完全に覆われるので、縦目 地Ｍ₂ から浸入した水は横辺２２によっても阻止され、建物内への水の浸入が確 実に防止される。 さらに中空壁パネル１２の中空部分や、縦目地Ｍ₂ の最も内部側から水が浸入 した場合にも、この横辺２２で阻止されるため、建物内に入り込んだり、下側の 中空壁パネル１２にまで流れ込むことがなく、完璧な防水機能が果たされる。

【００２１】 しかも封止部材２０は、防水パン２４とガスケット２５とが一体化された長尺 状ものであり、防水パン２４をアングル材１１に予め取り付けておくことで、中 空壁パネル１２の取り付けと同時に横目地Ｍ₁ に配置することができるので、施 工性が非常に容易である。

【００２２】

【考案の効果】

以上説明したように本考案の中空壁パネルの横目地構造によれば、横目地の一 次シール材より内部側には、前記横目地の長さに応じて連続して封止部材が介在 されて、前記横目地が封止部材のガスケットで確実に封止されると共に、アング ル材上の中空壁パネルの下端面が封止部材の防水パンで完全に覆われるので、た とえ前記一次シール材が破断して横目地に水が回り込んでも、また縦目地や前記 中空壁パネルの中空部分から水が浸入しても、前記封止部材によって建物内への 水の浸入が確実に阻止され、完璧な防水機能が果たされる。

【００２３】 しかも、前記封止部材は前記防水パンと前記ガスケットとが一体化された長尺 状ものであり、前記中空壁パネルの取り付けと同時に前記横目地に配置すること ができるので、施工性が非常に容易となる。 また前記封止部材は、予め大きさが設定された定型状のものであり、前記横目 地に介在させることにより、いずれの施工者によっても確実な防水機能を発揮す るので非常に有効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】壁パネルを建物躯体に取り付けた状態を示した
正面図である。

【図２】図１におけるＸ−Ｘ線断面図である。

【図３】図１におけるＹ−Ｙ線断面図である。

【図４】封止部材の一例を示した分解斜視図である。

【符号の説明】

１１ アングル材 １２ 中空壁パネル １３ 横一次シール材 ２０ 封止部材 ２１ 立辺 ２２ 横辺 ２３ 取付辺 ２４ 防水パン ２５ ガスケット Ｍ₁ 横目地

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の中空壁パネルを、それぞれの下端
   面を躯体側のアングル材に支持させた状態で上下に突き
   合わせて接合し、前記一対の中空壁パネルがなす横目地
   を、その外部側に一次シール材を充填すると共に、該一
   次シール材より内部側に前記横目地の長さに応じて連続
   して封止部材を介在させることにより封止した横目地構
   造であって、 前記封止部材は、立辺と、該立辺の下端から略直角に延
   出された横辺と、該横辺の先端から略直角に垂下された
   取付辺とからなる防水パンと、前記取付辺に嵌め入れた
   ガスケットとからなるもので、 前記防水パンの立辺を前記中空壁パネルの前記アングル
   材側の面に当接させ、かつ前記横辺を前記アングル材と
   そのアングル材上の中空壁パネルの下端面との間に介装
   させた状態で、前記ガスケットを前記横目地に配置した
   ことを特徴とする中空壁パネルの横目地構造。