JPH0687080A - オーステナイト系ステンレス複合タッピンネジとドリルネジの製法 - Google Patents

オーステナイト系ステンレス複合タッピンネジとドリルネジの製法

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JPH0687080A
JPH0687080A JP23273892A JP23273892A JPH0687080A JP H0687080 A JPH0687080 A JP H0687080A JP 23273892 A JP23273892 A JP 23273892A JP 23273892 A JP23273892 A JP 23273892A JP H0687080 A JPH0687080 A JP H0687080A
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drill
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screw
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クー、ヤオ・チン
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ドリル部あるいはネジ立て部の表面が充分な硬
さをもち、中心部もまた充分な靭性を有し、きりもみ、
あるいはねじ込みに効果的であるほか、ステンレスの締
結部は耐食性を有するオーステナイト系ステンレス複合
タッピンとドリルネジの製造方法を提供する。 【構成】基材を低炭素鋼、あるいは低炭素合金鋼とし、
あらかじめ鍛造あるいは切削して成形した肩部およびネ
ジ立てのない部分またはドリル部を含む第2シャンク
に、浸炭および適当な熱処理を施した後、締結用ネジ立
てのない部分と頭部を含むオーステナイト系ステンレス
の第1シャンクを溶接し、その後、溶接により押出すバ
リと浸炭鋼の肩部を切削し、適当な幅を持つ無浸炭硬化
区を形成し、最後に、ネジ加工および焼き入れ處理を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オーステナイト系ステ
ンレス複合タッピンネジとドリルネジの製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、亜鉛メッキおよびアルミ亜鉛
メッキの研究開発と商業化により生産がなされ、鋼板の
耐用年数は10年から20年へと伸び続けている。それ
と歩みを同じくして、鋼構造、たとえば山形鋼あるいは
ネジ等のエレメントの耐腐食メッキの技術もまた著しく
進歩し、発展を遂げている。そのうち、塗装した鋼板を
固定するタッピンネジは、大気にさらされることで、最
も環境の変化を受け、はやく破壊され易く、また、施工
中に傷つけられ易いため、その耐食性がさらに重要視さ
れている。最近では、品質の要求がますます高まり、オ
ーステナイト系ステンレス複合タッピンネジとドリルネ
ジの需要も、それに応じて高まっている。オーステナイ
ト系ステンレスの冶金と機械性質により、その加工硬化
が大きく、成形の品質に差があり、窒化処理によりドリ
ルする効果と耐食性の目的の要求に応えることが難し
い。このため、米国特許第4816346号、第392
4508号、および日本公開特許公報平3−27780
4号に記載の製法および従来の方法で製造した厚さ5m
mの低炭素鋼板をドリルすることができるオーステナイ
ト系ステンレス複合タッピンとドリルネジが一般的であ
るが、問題点も多い。
【0003】
【解決しようとする技術課題】本発明は以下の問題を解
決しようとするものである。 1.窒化処理のオーステナイト系ステンレスタッピンネ
ジ 図1に示されるのは、一般に用いられているオーステナ
イト系ステンレスタッピンネジの断面図である。図中の
黒色部分Nは窒化処理部である。このタッピンネジはオ
ーステナイト系ステンレスの頭部1およびタッピンネジ
部2より構成され、窒化処理によりタッピンネジ部2の
表面硬さを高めている。しかしながら、窒化処理により
タッピンネジ部2の表面硬さを高めているとはいえ、以
下のような欠点を有していた。すなわち、 イ.オーステナイト系ステンレスタッピンネジを窒化処
理することにより、表面に窒化物を形成するが、この窒
化物のために耐食性が低下する。 ロ.オーステナイト系ステンレスタッビンネジの窒化処
理の温度は、約600℃で、保持時間2〜4時間であ
り、このときステンレスの粒界腐食問題を生じ、耐食性
の差により破壊を被ることがある。 2.全断面が硬化し、脆さによる破壊を受けやすいオー
ステナイト系ステンレス複合ネジ タッピンとドリル機能を有するネジの製作においては、
ネジ締結部と異なる材質を別に形成する。図2はオース
テナイト系ステンレス複合タッピンとドリルネジの断面
図である。この主要な構成は、オーステナイト系ステン
レスの頭部1と締結部用ネジ3からなる締結部およびタ
ッピンネジ部2およびドリル部4からなるネジ立て部か
ら構成される。この製造方法は、締結部とネジ立てのな
い部分の基材を、まずWで溶接をして、ドリル部とネジ
部を成形加工する。最後に、焼き入れを施し、これによ
りタッピンネジ部2とドリル部4の全断面の硬さを高め
る。上記の製法および高炭素鋼の治金性質のために以下
のような欠点があった。 イ.高炭素鋼とステンレスの溶接により熱影響部は硬さ
がHV500以上の高さにまで達する。このため、裂け
目を生じやすく、ネジ部2の転造に差を生じ、ダイスの
寿命を非常に縮める。 ロ.高炭素鋼のタッピン部2とドリル部4に焼き入れを
施し、全断面の硬さをHV550〜600に高める。こ
のため、タッピンとドリルを行うとき、脆く、裂け目を
生じやすくて施工性が悪くなる。 3.炭素を受けたオーステナイト系ステンレス複合ネジ 高炭素鋼とステンレス溶接後の熱影響部の硬さが過度に
高くなり、裂け目や欠損を生じるのを防ぐため、低炭素
鋼をドリル部とタッピン部の基材とし、ステンレスの締
結部と溶接した後、再び浸炭処理をして製造する方式を
とるが、ステンレスを基材とする部分が炭化されてしま
う。図3に示すのは、もう一つのオーステナイト系ステ
ンレス複合タッピンとドリルネジの断面図である。図中
黒色で囲まれるCは浸炭区である。従来の複合タッピン
ネジとドリルネジは、主に、オーステナイト系ステンレ
スを基材とする頭部1と締結用ネジ部3からなる締結部
およびタッピンネジ部2とドリル部4からなるネジ立て
部から構成され、その製法は、主に、低炭素鋼とステン
レス基材を先ずWで溶接処理し、ネジ部2およびドリル
部4を成形加工し、最後にいっしょに浸炭処理を行って
タッピンネジ部2とドリル部4の表面硬さを上げる。こ
の方式は、基材を高炭素鋼とステンレスとするため、そ
れを溶接して硬さが高くなりすぎ、裂け目や欠損を生じ
るという前記従来の技術を改善をし、低炭素鋼を基材と
するタッピンネジ部2とドリル部4の表面を硬化するこ
とができる。しかし、オーステナイト系ステンレスの頭
部1並びに締結用ネジ部3からなる締結部は、すべて浸
炭によって炭化されてしまう。これにより、耐食性を失
う。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記のような問題を解決
するために、本発明の複合ネジの製法に関しては、あら
かじめ、オーステナイト系ステンレスを基材として、頭
部とネジ立てのない部分を含む第1シャンクを成形し、
別に、基材を低炭素鋼とする肩部、タッピンネジ立ての
ない部分および成形されたドリル部を含む第2シャンク
を成形する。または、第2シャンクとドリル部は、低炭
素鋼の基材であるが、まず、浸炭処理を施し、調質処理
を行い、その中心部と浸炭部を適当な硬さに達する。つ
ぎに、溶接方法で第1シャンクの端面を第2シャンクの
肩部の端面に溶接し、押出すバリおよび肩部を切削す
る。これにより、第2シャンクの溶接面Wから幅をLと
する無浸炭硬化区を形成する。この無浸炭硬化区の硬さ
は、溶接の熱影響を受けてわずかに高くなってはいるも
のの、HV240程度であり、後続するネジ成形加工を
進めるのに有利で、裂け目が生じることも防止される。
最後に、ネジを転造し、焼き入れを施して炭素を受けた
欠点を解決したステンレス複合ネジが得られる。
【0005】
【作用】本発明の低炭素鋼の基材を浸炭処理の後、浸炭
層深さが約0.3mmとなったとき、肩部の外径Dは、
第2シャンクの外径dに2倍の浸炭層深さを加えたもの
に等しいか、あるいはそれより大きく、また、肩部の幅
Mは、第2シャンクの溶接熱影響部の幅に2倍の浸炭層
深さを加えたものに等しいか、あるいはそれより大き
い。例を挙げると、もし溶接熱影響部の幅が約2mmの
とき、肩部の幅Mは、約2.6mmであり、肩部の端面
が溶接されると、この0.3mmほどの浸炭層は、押し
出されて、押出すバリとなる。そのため、肩部を溶接
後、切削すると、肩部の両側の浸炭層を除く、第2シャ
ンクの溶接面Wから幅2mmの無浸炭硬化区が形成され
る。これは、浸炭鋼あるいは高炭素鋼が溶接後に、熱の
影響により、硬度が高くなりすぎ、裂け目を生じる問題
を有効に解決する。また、本発明の低炭素鋼の第2シャ
ンクは溶接前に、浸炭処理によって完成され、これによ
り、オーステナイト系ステンレスの頭部と締結部の耐食
性低下の一因となる浸炭処理により炭化の欠点を解決し
た。なお、本発明では、低炭素鋼を基材とし、適当な肩
部を設けることにより、軸方向への圧力を受けるのに適
し、軸方向の電流が流れるのに有利である。
【0006】
【実施例】次に、実施例に関して、図を参照して説明す
る。図4に示されるのは、本発明のオーステナイト系ス
テンレス複合タッピンとドリルネジの断面図である。図
中、太線にて囲まれる部分Cは、浸炭区である。主な構
成は、オーステナイト系ステンレスを基材とする頭部5
と締結用ネジ部6とからなる締結部A、および、基材を
低炭素鋼とし、浸炭処理されたタッピンネジ部7とドリ
ル部8とからなるネジ立て部Bから成っている。
【0007】製造過程に関し、さらに詳しく説明する
と、図5に示されるように、あらかじめ、オーステナイ
ト系ステンレスを基材として、頭部51とネジ部未成形
の第1シャンク61からなる部分を成形し、別に、図6
に示されるように、基材を低炭素鋼とする肩部9、タッ
ピンネジ部未成形の第2シャンク71、および成形され
たドリル部81からなる部分を成形する。肩部9の外径
Dは、第2シャンク71の外径dに2倍の浸炭層深さを
加えたものに等しいか、あるいはそれより大きく、肩部
9の幅Mは、第2シャンク71の溶接熱影響部の幅に2
倍の浸炭層深さを加えたものに等しいか、あるいはそれ
より大きい。また、第2シャンク71とドリル81は、
その低炭素鋼の基材であるが、図7に示されるように、
浸炭処理の後、調質処理を行い、その中心部Eの硬さ
は、約HV180に達し、浸炭部Cの硬さは約HV22
0に達する。
【0008】そうすると、溶接方法で、図5に示される
第1シャンク61の端面を図7に示されるように半製品
の肩部の端面に溶接し、図8のような断面を形成させ、
後に、図8に示されるように、押出すバリ62および肩
部9を切削し、図9のような断面の形状を形成し、これ
により、第2シャンクの溶接面Wから幅をLとする無浸
炭硬化区を形成する。この無浸炭硬化区の硬さは、溶接
の影響を受けてわずかに高くなってはいるのものの、H
V240程度であり、後続する成形加工を進めるのに有
利である。さらに、最後にネジ部の成形を行い、焼き入
れ処理をして、最終的に図4に示される製品となる。
【0009】本発明のオーステナイト系ステンレス複合
タッピンとドリルネジの別の実施例としては、ドリル部
を含まないタッピンネジへの応用が挙げられる。その最
終的な完成品の断面図は図10に示される。その構造
は、オーステナイト系ステンレスを基材とする頭部5と
締結用ネジ部6および低炭素鋼を基材とし、浸炭処理を
施したタッピンネジ部7からなる。製造方法は、ドリル
部を含まない点を除けば、上記オーステナイト系ステン
レス複合タッピンとドリルネジの製造方法と完全に同じ
である。
【0010】本発明の低炭素鋼の基材を浸炭処理の後、
浸炭層深さが約0.3mmとなったとき、肩部9の外径
Dは、第2シャンク71の外径dに2倍の浸炭層深さを
加えたものに等しいか、あるいはそれより大きく、ま
た、肩部9の幅Mは、第2シャンクの溶接熱影響部の幅
に2倍の浸炭層深さを加えたものに等しいか、あるいは
それより大きい。例を挙げると、もし溶接熱影響部の幅
が約2mmのとき、肩部9の幅Mは、約2.6mmであ
り、肩部の端面が溶接されると、この0.3mmほどの
浸炭層は、押し出されて、押出すバリとなる。そのた
め、肩部を溶接後、切削すると、肩部の両側の浸炭層を
除く溶接面から幅2mmの無浸炭硬化区が形成される。
これは、浸炭鋼あるいは高炭素鋼が溶接後に、熱の影響
により、硬さが高くなりすぎ、裂け目を生じる問題を有
効に解決するものである。また、溶接方法と溶接条件が
異なると、熱影響部も異なってくるが、このため、肩部
の幅と無浸炭硬化区の設計は、それにあわせて随時変化
させる。本発明では、低炭素鋼を基材とし、適当な肩部
を設けることにより、軸方向への圧力を受けるのに適
し、軸方向の電流が流れるのに有利である。なお、本発
明の低炭素鋼基材はまた、低炭素合金鋼に代えることも
できる。さらに、肩部の形状も、丸形、多角形など用途
に合った形状にすることができる。
【0011】図11は、本発明のオーステナイト系ステ
ンレス複合タッピンとドリルネジの焼き入れ処理後の品
質分析の分析点を示した図であるが、頭部5と締結用ネ
ジ部6は、その基材をオーステナイト系ステンレスと
し、タッピンネジ部7およびドリル部8は、1022低
炭素鋼をその基材として使用している。
【0012】この分析点ごとに、冶金と機械性質を測
り、これを従来の製造法による同材質のタッピンとドリ
ルネジと比較し、
【0013】図12は、図11のタッピンネジ部7上の
X点からY点の硬さ分布図であり、結果は、同図に示さ
れる通り、中心部の硬さは約HV370、表面硬さHV
650、有効浸炭層深さは約0.32mmであり、中心
部が充分に靭性を有し、表面の硬さもまた充分であり、
タッピンネジとしての需要に応ずる品質である。
【0014】図13は、図11のドリル部8上のQ点か
らP点に至る硬さの分布図であり、結果は、同図に示さ
れる通り、中心部の硬さは約HV370、表面硬さHV
645、有効浸炭層深さは約0.28mmであり、中心
部が充分に靭性を有し、表面の硬さもまた充分であり、
ドリルとしての需要に応ずる品質である。
【0015】図14は、図11の無浸炭硬化区L中のM
点からN点に至る硬さの分布図であり、結果は、同図に
示される通り、最高硬さは約HV370、第2シャンク
溶接面Wの無浸炭硬化区の幅Lは、約2mmであり、溶
接部周辺の強度を増す。さらに、図11のA部金属組織
について観察すると、炭化されず、また極めて良好な耐
食性を有することがわかった。
【0016】以上のような品質の分析結果をもとに、本
発明の製法によるオーステナイト系ステンレス複合タッ
ピンとドリルネジが、確実に以下のような効果を有し、
実用的であることが証明される。 1.タッピンネジ部およびドリル部の基材を低炭素合金
鋼とし、浸炭により製成することにより、硬化の目的を
達することができるが、かつ、オーステナイト系ステン
レスの頭部と締結用ネジ部から構成される締結部は、窒
化處理により耐食性の低下を免れる。 2.低炭素鋼あるいは低炭素合金鋼を基材とするタッピ
ンネジ部およびドリル部は、溶接の前に、浸炭処理によ
って完成され、これにより、オーステナイト系ステンレ
スの頭部と締結用ネジ部を含む締結部の耐食性低下の一
因となる浸炭処理による炭化の欠点を解決した。 3.溶接後、浸炭鋼の肩部を切削することにより、表面
に適当な幅の無浸炭硬化区を形成し、溶接後の硬さをH
V240に抑え、溶接熱の影響により硬さが高くなりす
ぎ、裂け目が生じることを防ぎ、ネジ部形成の難度を減
らし、製造の費用を削減する。 4.低炭素鋼あるいは低炭素合金鋼を基材とするタッピ
ンネジ部およびドリル部は、溶接の前に、浸炭処理によ
って完成され、高炭素鋼を基材とした場合の全断面硬化
により、脆く、裂け目を生ずる現象を無くし、高い安全
性と施工性を提供することができる。 5.低炭素鋼あるいは低炭素合金鋼を基材とする肩部に
より、溶接時に軸方向へかかる力を受け、軸方向への電
流の流れに有効である。
【0017】以上述べたように、本発明の製法によるオ
ーステナイト系ステンレス複合タッピンドリルネジは、
ドリル部あるいはネジ立て部の表面が充分な硬さをも
ち、中心部もまた充分な靭性を有しており、きりもみ、
あるいはねじ込みに効果的であるほか、ステンレスの締
結部は耐食性を有している。ゆえに、本発明は優れた産
業上の利用価値を有している。
【0018】
【発明の効果】本発明のオーステナイト系ステンレス複
合タッピンとドリルネジの製法は、ネジの材料費を節約
できるばかりではなく、従来の製造方法によるとドリル
部の基材の性質の違いにより破壊が生じたり、鍛造がで
きない場合があり、また、窒化処理により、ステンレス
の耐食性が低下したり、さらに、溶接後、全体を浸炭処
理する場合、ステンレスが炭化され、表面の耐食性が低
下するなどの欠点があるが、これらの諸欠点を解決する
ことができる。本発明は、適当な低炭素鋼の肩部を設け
ることにより、溶接時に軸方向にかかる圧力を受けるの
に有利であり、軸方向の電流の流れに有効で、部品を自
動送りしやすくなる。以上のように、本発明の製法によ
るオーステナイト系ステンレス複合タッピンとドリルネ
ジは、ドリル部あるいはネジ立て部の表面が充分な硬さ
をもち、中心部もまた充分な靭性を有しており、きりも
み、あるいはねじ込みに効果的であるほか、ステンレス
の締結部は耐食性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の窒化處理後のオーステナイト系ステンレ
スタッピンネジの断面図である。
【図2】従来の全断面硬化のオーステナイト系ステンレ
ス複合タッピンとドリルネジの断面図である。
【図3】従来の炭化されたオーステナイト系ステンレス
複合タッピンとドリルネジの断面図である。
【図4】本発明のオーステナイト系ステンレス複合タッ
ピンとドリルネジの断面図である。
【図5】本発明に係る成形前のオーステナイト系ステン
レスの第1シャンクの断面図である。
【図6】同じく成形前の第2シャンク断面図である。
【図7】本発明の成形後の浸炭、および調質処理を施し
た第2シャンクの断面図である。
【図8】本発明の溶接後の、肩部と押出すバリ未切削状
態における断面図である。
【図9】本発明の押出すバリおよび肩部切削状態におけ
る断面図である。
【図10】本発明の製造法によりオーステナイト系ステ
ンレス複合タッピンネジの完成後の断面図である。
【図11】本発明のオーステナイト系ステンレス複合タ
ッピンとドリルネジの品質分析点を示す説明図である。
【図12】図11のX点からY点の硬さ分布図である。
【図13】図11のQ点からP点の硬さ分布図である。
【図14】図11の無浸炭硬化区L中のM点からN点の
表面硬さ分布図である。
【符号の説明】
図1において 1・・・頭部 2・・・タッピンネジ部 N・・・窒化処理部 図2および図3において 1・・・頭部 2・・・締結用ネジ部 3・・・タッピンネジ部 4・・・ドリル部 W・・・溶接部 図4〜図11において 5・・・頭部 6・・・締結用ネジ部 7・・・タッピンネジ部 8・・・ドリル部 9・・・肩部 d・・・第2シャンクのネジ立てのない部分の外径 D・・・肩部の外径 M・・・肩部の幅 C・・・浸炭層 51・・頭部 61・・第1シャンク 71・・第2シャンク 81・・ドリル部 62・・押出すバリ部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】
発明が解決しようとする課題】本発明は以下の問題を
解決しようとするものである。 1.窒化処理のオーステナイト系ステンレスタッピンネ
ジ 図1に示されるのは、一般に用いられているオーステナ
イト系ステンレスタッピンネジの断面図である。図中の
黒色部分Nは窒化処理部である。このタッピンネジはオ
ーステナイト系ステンレスの頭部1およびタッピンネジ
部2より構成され、窒化処理によりタッピンネジ部2の
表面硬さを高めている。しかしながら、窒化処理により
タッピンネジ部2の表面硬さを高めているとはいえ、以
下のような欠点を有していた。すなわち、 イ.オーステナイト系ステンレスタッピンネジを窒化処
理することにより、表面に窒化物を形成するが、この窒
化物のために耐食性が低下する。 ロ.オーステナイト系ステンレスタッピンネジの窒化処
理の温度は、約600℃で、保持時間2〜4時間であ
り、このときステンレスの粒界腐食問題を生じ、耐食性
の差により破壊を被ることがある。 2.全断面が硬化し、脆さによる破壊を受けやすいオー
ステナイト系ステンレス複合ネジ タッピンとドリル機能を有するネジの製作においては、
ネジ締結部と異なる材質を別に形成する。図2はオース
テナイト系ステンレス複合タッピンとドリルネジの断面
図である。この主要な構成は、オーステナイト系ステン
レスの頭部1と締結部用ネジ3からなる締結部および
炭素鋼のタッピンネジ部2およびドリル部4からなるネ
ジ立て部から構成される。この製造方法は、締結部とネ
ジ立てのない部分の基材を、まずWで溶接をして、ドリ
ル部とネジ部を成形加工する。最後に、焼き入れを施
し、これによりタッピンネジ部2とドリル部4の全断面
の硬さを高める。上記の製法および高炭素鋼の金性質
のために以下のような欠点があった。 イ.高炭素鋼とステンレスの溶接により熱影響部は硬さ
がHV500以上の高さにまで達する。このため、裂け
目を生じやすく、ネジ部2の転造に差を生じ、ダイスの
寿命を非常に縮める。 ロ.高炭素鋼のタッピン部2とドリル部4に焼き入れを
施し、全断面の硬さをHV550〜600に高める。こ
のため、タッピンとドリルを行うとき、脆く、裂け目を
生じやすくて施工性が悪くなる。 3.炭素を受けたオーステナイト系ステンレス複合ネジ 高炭素鋼とステンレス溶接後の熱影響部の硬さが過度に
高くなり、裂け目や欠損を生じるのを防ぐため、低炭素
鋼をドリル部とタッピン部の基材とし、ステンレスの締
結部と溶接した後、再び浸炭処理をして製造する方式を
とるが、ステンレスを基材とする部分が炭化されてしま
う。図3に示すのは、もう一つのオーステナイト系ステ
ンレス複合タッピンとドリルネジの断面図である。図中
黒色で囲まれるCは浸炭区である。従来の複合タッピン
ネジとドリルネジは、主に、オーステナイト系ステンレ
スを基材とする頭部1と締結用ネジ部3からなる締結部
および低炭素鋼のタッピンネジ部2とドリル部4からな
るネジ立て部から構成され、その製法は、主に、低炭素
鋼とステンレス基材を先ずWで溶接処理し、ネジ部お
びドリル部4を成形加工し、最後にいっしょに浸炭処理
を行ってタッピンネジ部2とドリル部4の表面硬さを上
げる。この方式は、基材を高炭素鋼とステンレスとする
ため、それを溶接して硬さが高くなりすぎ、裂け目や欠
損を生じるという前記従来の技術を改善をし、低炭素鋼
を基材とするタッピンネジ部2とドリル部4の表面を硬
化することができる。しかし、オーステナイト系ステン
レスの頭部1並びに締結用ネジ部3からなる締結部は、
すべて浸炭によって炭化されてしまう。これにより、耐
食性を失う。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】図11は、本発明のオーステナイト系ステ
ンレス複合タッピンとドリルネジの焼き入れ処理後の品
質分析の分析点を示した図であるが、頭部5と締結用ネ
ジ部6は、その基材をオーステナイト系ステンレスと
し、タッピンネジ部7およびドリル部8は、AISI
022低炭素鋼をその基材として使用している。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の窒化處理後のオーステナイト系ステンレ
スタッピンネジの断面図である。
【図2】従来の全断面硬化のオーステナイト系ステンレ
ス複合タッピンとドリルネジの断面図である。
【図3】従来の炭化されたオーステナイト系ステンレス
複合タッピンとドリルネジの断面図である。
【図4】本発明のオーステナイト系ステンレス複合タッ
ピンとドリルネジの断面図である。
【図5】本発明に係る成形前のオーステナイト系ステン
レスの第1シャンクの断面図である。
【図6】同じく成形前の第2シャンク断面図である。
【図7】本発明の成形後の浸炭、および調質処理を施し
た第2シャンクの断面図である。
【図8】本発明の溶接後の、肩部と押出すバリ未切削状
態における断面図である。
【図9】本発明の押出すバリおよび肩部切削状態におけ
る断面図である。
【図10】本発明の製造法によりオーステナイト系ステ
ンレス複合タッピンネジの完成後の断面図である。
【図11】本発明のオーステナイト系ステンレス複合タ
ッピンとドリルネジの品質分析点を示す説明図である。
【図12】図11のX点からY点の硬さ分布図である。
【図13】図11のQ点からP点の硬さ分布図である。
【図14】図11の無浸炭硬化区L中のM点からN点の
表面硬さ分布図である。
【符号の説明】 図1において 1・・・頭部 2・・・タッピンネジ部 N・・・窒化処理部 図2および図3において 1・・・頭部2・・・タッピンネジ部 3・・・締結用ネジ部 4・・・ドリル部 W・・・溶接部C・・・浸炭層 図4〜図11において 5・・・頭部 6・・・締結用ネジ部 7・・・タッピンネジ部 8・・・ドリル部 9・・・肩部 d・・・第2シャンクのネジ立てのない部分の外径 D・・・肩部の外径 M・・・肩部の幅 C・・・浸炭層E・・・第2シャンクの中心部 51・・頭部 61・・第1シャンク 71・・第2シャンク 81・・ドリル部 62・・押出すバリ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 8/22 7516−4K

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オーステナイト系ステンレス複合タッピン
    ネジの製法に関し、基材を低炭素鋼あるいは低炭素合金
    鋼とし、あらかじめ鍛造あるいは切削して成形した肩部
    およびネジ立てのない部分とドリル部を含む第2シャン
    クに、浸炭および適当な熱処理を施した後、締結用ネジ
    立てのない部分と頭部を含むオーステナイト系ステンレ
    スの第1シャンクと溶接し、その後、溶接により押出す
    バリと第2シャンクの肩部を切削し、適当な幅を持つ無
    浸炭硬化区を形成し、最後に、ネジ加工および焼き入れ
    処理を行い、これにより、頭部を含むオーステナイト系
    ステンレスの締結用ネジ部、および浸炭鋼のタッピンネ
    ジ部とドリル部(又はタッピンネジ部)を持つ複合タッ
    ピンネジとドリルネジを製造する方法。
  2. 【請求項2】低炭素鋼あるいは低炭素合金鋼の肩部の外
    径は、第2シャンクの外径に2倍の浸炭層深さを加えた
    ものに等しいか、あるいはそれより大きく、肩部の幅
    は、溶接熱影響部の幅に2倍の浸炭層深さを加えたもの
    に等しいか、あるいはそれより大きくしたことを特徴と
    する請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス複合
    タッピンネジとドリルネジの製法。
  3. 【請求項3】低炭素鋼あるいは低炭素合金鋼の第2シャ
    ンクは、溶接後、肩部と押出すバリを切削した後、溶接
    熱影響部の幅と等しいか、あるいはそれより大きい無浸
    炭硬化区を形成することを特徴とする請求項1に記載の
    オーステナイト系ステンレス複合タッピンネジとドリル
    ネジの製法。
  4. 【請求項4】低炭素鋼あるいは低炭素合金鋼の第2シャ
    ンクは、肩部を有し、その形状は、円形、多角形あるい
    はその他用途に応じた形状にて構成されることを特徴と
    する請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス複合
    タッピンネジとドリルネジの製法。
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