JPH0686115B2 - 印刷機の胴着脱装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は印刷機において、軸芯が移動しない胴に対し、
軸芯が移動可能な胴を接触させたり離間させたりする胴
着脱装置に関するものである。

〔従来の技術〕

オフセット印刷機や凹版印刷機など各種の印刷機は、版
胴や圧胴など軸芯が移動しない胴と、ゴム胴など軸芯が
移動可能な胴とを備えており、これらの胴には胴着脱装
置が付設されていて印刷時にはこれら両胴を接触させ、
非印刷時にはこれら両胴を離間させるように構成されて
いる。またこれら着脱が行なわれる両胴は、紙厚等にし
たがつて互の接触圧を調節する必要があるので、これら
両胴には、胴着脱装置の他に紙厚調整装置が付設されて
おり、これら両装置は従来一般に次のように構成されて
いた。

すなわち、着脱しようとする胴を偏心軸受で支持させ、
この偏心軸受の偏心部に枢着したレバーをカム機構で進
退させることにより偏心軸受を回動させてこの胴を相手
胴に対して着脱させるとともに、前記レバーをねじ機構
等を用いて伸縮自在に構成し、調節つまみ等の回動操作
によりレバーのねじ部を伸縮させることにより偏心軸受
を回動させて両胴の接触圧を調整するものである。

また、これとは別に、前記偏心軸受をさらに別の偏心軸
受で支持させ、２組の偏心軸受のうちの一方を胴着脱用
とし、他方の偏心軸受を紙厚調整用としたダブル軸受式
のものもある。

さらに、紙幣や有価証券等を印刷する印刷機には、番号
印刷装置が付設されていてこの装置内にも胴の着脱およ
び紙厚調整を行なう箇所があり、この箇所にも前記本機
側と同じような紙厚調整を兼ねた胴着脱装置が独立して
設けられている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような従来の紙厚調整を兼ねた胴着
脱装置においては、胴の着脱操作のたびに回動操作部材
である紙厚調整用のつまみが移動するので、その支持部
や連結部の構造が複雑になり、またダブル軸受式のもの
においても構造が複雑になつて安価に提供できないとい
う欠点があつた。さらに番号印刷装置を備えたものにお
いては、本機側と番号印刷装置側とにそれぞれ独立した
胴着脱装置を設けなければならないので、機構が重複す
ることにより部品点数が増え、製作費が嵩むという欠点
があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

以上のような問題点を解決するために本発明では胴用偏
心軸受の外周部に胴のほゞ接線方向に延びる屈折自在な
屈折レバーを枢着し、その他端をこの屈折レバーの延設
方向へ移動自在なねじ部材に枢着するとともに、この屈
折レバーの中央部と操作側回動部材の遊端側とを胴着脱
用レバーで連結し、かつ前記ねじ部材にフレームとの位
置関係が変わらない紙厚調用整操作軸を螺入した。

〔作 用〕

このように構成することにより、操作側回動部材を手動
で回動させるかあるいは他の胴着脱装置に連動させて回
動させると、胴着脱用レバーを介して屈折レバーが屈伸
し、これを枢着した偏心軸受が回動して胴の着脱が行な
われる。また、紙厚調整軸を回動させると、屈折レバー
の一端が枢着されたねじ部材が移動し、屈折レバーを介
して偏心軸受が回動し紙厚調整が行なわれる。

〔実施例〕

本実施例は本発明に係る胴着脱装置を印刷機のゴム胴と
番号胴とに実施した例を示し、第１図はその側面図、第
２図は同じく展開縦断面図、第３図は本発明を実施した
番号印刷装置付単色刷枚葉輪転印刷機の概要側面図であ
る。図において印刷機１の給紙装置２は、紙３を積載し
て自動昇降する紙積台４を備えており、紙３は図示しな
いサツカ装置で１枚ずつ吸引されて差板５上へ送り出さ
れる。６は給紙胴、７は圧胴であつて、互に対接して配
設されており、差板５上の紙３は、給紙胴６の爪に咥え
られたのち、圧胴７の爪に咥え替えられて圧胴７の周面
に添接される。一方、印刷ユニツト８には、前記両胴6,
7の他に圧胴７に対接するゴム胴９と、これに対接する
版胴10とが設けられており、版胴10の周面には刷版が巻
き付けられている。11はインキ壺12とその内部で回転す
る壺ローラ13と、多数のローラ群14とからなるインキ装
置であつて、インキ壺12内のインキは、壺ローラ13の回
転によつて引き上げられ、ローラ群14間で転移される間
に各方向にならされ版胴10上の版面へ供給される。また
15は水舟16と、その内部で回転する水元ローラ17と、複
数個のローラ群18とからなる給水装置であつて、水舟16
内の湿し水は、ローラ群18で各方向へならされて版胴10
上の版面へ絵供給される。そしてインキと湿し水とで版
面に形成された画像は、ゴム胴９のブランケツト面に転
写され、さらにゴム胴９と圧胴７との間を通過する紙３
に転写されて印刷が施される。19は圧胴７に対接する排
紙胴であつて、これと回転上の左右のスプロケット20
と、排紙装置21に設けた左右のスプロケツト22との間に
は排紙チェーン23がそれぞれ張架されており、左右の排
紙チエーン23間に一定間隔で支架をされた複数個の各爪
竿上には、複数組の排紙爪がそれぞれ軸方向に並設され
ている。そして、圧胴７の周面に巻付けられた印刷後の
紙３は、排紙胴19に添接されながら排紙爪に咥え替えら
れ、排紙チエーン23が矢印方向に走行することにより搬
送される。この搬送終端部下方には、紙積台24が配設さ
れており、排紙爪の咥えから解放された紙３は、落下し
て紙積台24上に積載される。

このような印刷機１には、全体を符号25で示す番号印刷
装置が付設されている。この装置は、圧胴７に対接する
番号胴26を備えており、その外周部には回転のたびごと
に数字が送られる番号器（図示せず）が装着されてい
る。番号胴26には、インキ壺27とローラ群28とからなる
インキ装置29が付設されており、このインキ装置29から
インキを供給された番号器が、圧胴７に添接される紙３
に圧接されることにより一連の番号印刷が施される。

そして、この印刷機には、版胴10と圧胴７に対するゴム
胴９の胴着脱装置と、圧胴７に対する番号胴26の胴着脱
装置とが互に連動して動作されるようにして配設されて
おり、各胴着脱装置には、それぞれ紙厚調整装置が付設
されている。すなわち、左右のフレーム30には偏心軸受
31が軸支されており、この偏心軸受31の外径芯Ｆと内径
芯F₁とは、図に符号ｔで示すだけ偏心されており、その
内孔には、番号胴26の両端軸32がボールベアリング33を
介して軸支されている。34はスペーサ、35,36はベアリ
ング押え、37はシール材、38はスナツプリングである。
また、偏心軸受31の鍔部には、フレーム30に固定された
ガイド40が係合されている。一方、偏心軸31の上方に
は、ストツプ軸41がフレーム30に軸支されて配設されて
おり、このストツプ軸41は、図示しないカム機構により
所定の角度だけ正方向と逆方向とへそれぞれ回動するよ
うに構成されている。42は片側のフレーム近傍に位置し
てストツプ軸41に固定されたカムレバー、43は２又状に
形成されてストツプ軸41の両端部に軸着された操作側回
動部材としての連動レバーである。偏心軸受31の外周部
には、胴の接線方向へ延びる屈折レバー44がピン45によ
つて枢着されており、この屈折レバー44は、レバー44a
とレバー44bとをピン46で枢着することにより、中央部
において屈折自在に形成されている。屈折レバー44の延
設方向には、コ字状に形成されて連結板47で連結された
軸受48がボルト49によつてフレーム30に固定されてお
り、屈折レバー44の他端は、軸受48内に摺動自在に設け
られたスタツド50に回動自在に枢着されている。屈折レ
バー44の屈折部であるピン46には、胴着脱用レバー51の
一端がレバー44a,44bと重ねられて枢着されており、そ
の他端は前記連動レバー43の一方の遊端部にピン52で枢
着されている。このように構成することにより、連動レ
バー43が回動すると、胴着脱用レバー51を介して屈折レ
バー44が屈伸し、偏心軸受31が回動してその偏心作用に
より番号胴26が圧胴７に対して着脱されるように構成さ
れている。さらに、前記軸受48に設けた孔48aには、紙
厚調整用操作軸53のねじ部が挿入されていてその先端部
がスタツド50の角頭部に設けられたねじ孔に螺入されて
おり、またダブルナツト54によつて軸方向への移動を規
制されている。操作軸53の頭部にはつまみ55が固定され
ており、これを把持して回動操作することによりスタツ
ド50がねじ作用で進退し、屈折レバー44を介し偏心軸受
31が回動して両胴26,7の接触圧すなわち紙厚調整がなさ
れるように構成されている。56と57は操作軸53を固定す
る止ねじとナツトであつて、止ねじ56と操作軸53との間
には、ねじ山を保護するためのこま58が介挿されてい
る。

以上のように構成された胴着脱装置と紙厚調整装置と
は、これと全く同構成のものがゴム胴９にも設けられて
おり、その胴着脱レバー51は、連動レバー43の他方の遊
端部43aに枢着されている。

以上のように構成された印刷機の動作を説明する。印刷
に先だち、ストツプ軸41をカム機構で実線位置へ回動さ
せて屈折レバー44を直線状に伸ばすと、偏心軸受31が反
時計方向へ回動し、偏心作用により番号胴26が圧胴７に
接触する。またこれに連動して遊端部43aに連結された
胴着脱装置も動作してゴム胴９が版胴10と圧胴７とに接
触する。この場合スタツド50が静止していてつまみ55お
よび操作軸53が移動しない。次につまみ55を把持して紙
厚調整操作軸53を回動させると、そのねじ部に螺合され
たスタツド50が進退し、屈折レバー44を介し偏心軸受31
が回動て圧胴７に対する番号胴26の接触圧が紙厚にした
がつて調整される。同時に図示しないゴム胴９側のつま
みを把持して回動させると圧胴７に対するゴム胴９の接
触圧が紙厚にしたがつて調整される。この調整に際して
屈折レバー44がその延設方向に移動するが胴着脱用レバ
ー51はピン52を中心にして揺動するだけであるから、連
動レバー43が移動せず、胴着脱装置の操作側を移動させ
ることがない。こうして紙厚調整を行なつたのち、連動
レバー43が鎖線位置へくるようにストツプ軸41を時計方
向へ回動させると、胴着脱用レバー51を介して屈折レバ
ー44が第１図に鎖線で示すように屈折し、偏心軸受31が
時計方向へ回動してその偏心作用により番号胴26が圧胴
７から離間する。これと同時にゴム胴９も圧胴７から離
間する。

そこで、胴の着脱を自動に切替えて印刷作業を開始する
と、タイミング規制装置からの指令でストツプ軸41が反
時計方向へ回動し、前記と同様にして番号胴26とゴム胴
９とが胴入される。そして、給紙装置２によつて差板５
上へ供給された紙は、給紙胴６の爪から圧胴７の爪に咥
え替えられて搬送され、ゴム胴９との間を通過するとき
に絵柄が印刷されるとともに、番号胴26との間を通過す
るときに一連の番号が印刷される。印刷後の紙３は、排
紙胴19に添接されながら排紙チエーン23の排紙爪に咥え
替えられ、排紙チエーン23の走行とともに搬送されたの
ち、咥えから解放されて紙積台24上に積載される。印刷
が終るとタイミング規正装置からの指令でストップ軸41
が時計方向に回動し、番号胴26とゴム胴９とが同時に胴
抜きされる。

なお、本実施例は本発明をゴム胴と番号胴との着脱用と
して実施した例を示したが、ゴム胴のみの着脱および番
号胴のみの着脱にも同様に実施することができ、またそ
の他各種印刷機の胴着脱にも同様に実施することができ
る。

〔発明の効果〕

以上の説明により明らかなように本発明によれば、印刷
機の胴着脱装置において、フレームに軸支された胴用偏
心軸受の外周部に胴にほゞ接線方向に延びる屈折自在な
屈折レバーを枢着し、その他端をこの屈折レバーの延設
方向へ移動自在なねじ部材に枢着するとともに、この屈
折レバーの中央部と操作側回動部材の遊端側とを胴着脱
用レバーで連結し、かつ前記ねじ部材にフレームとの位
置関係が変わらない紙厚調整用操作軸を螺入することに
より、操作側回動部材を回動させると紙厚調整用の操作
側部材を移動させることなく胴の着脱が行なわれ、また
紙厚調整用操作軸を回動させると、胴着脱用の操作側部
材を移動させることなく紙厚調整が行なわれるので、胴
着脱と紙厚調整が互に干渉することなく確実に行なわれ
る。また偏心軸受が従来のようにダブル軸受でなくシン
グル軸受であるから構造が簡素化されこれを安価に提供
できるとともに、複数個の胴を同時に着脱したり紙厚調
整したりすることが容易になるので、各胴ごとに独立し
て設ける場合と比較して部品点数が減少し、コストが低
減される。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明に係る印刷機の胴着脱装置
の実施例を示し、第１図はその側面図、第２図は同じく
展開縦断面図、第３図は本発明を実施した番号印刷装置
付単色刷枚葉輪転印刷機の概要側面図である。 １……印刷機、３……紙、７……圧胴、９……ゴム胴、
25……番号印刷装置、26……番号胴、31……偏心軸受、
41……ストツプ軸、43……連動レバー、44……屈折レバ
ー、44a,44b……レバー、46……ピン、48……軸受、50
……スタツド、51……胴着用レバー、52……ピン、53…
…紙厚調整用操作軸、55……つまみ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フレームに軸支され胴の両端軸を軸支する
   偏心軸受と、この偏心軸受の外周部に枢着され胴のほゞ
   接線方向に延びて中央部を屈折自在に形成されその延設
   方向へ移動自在なねじ部材に他端が枢着された屈折レバ
   ーと、この屈折レバーの中央部に枢着されてこれとほヾ
   直交方向に延び他端を操作側回動部材の遊端側に枢着さ
   れた胴着脱用レバーと、前記ねじ部材に螺入された回動
   操作によりねじ部材を進退させ、かつフレームとの位置
   関係が変わらない紙厚調整操作軸とを設けたことを特徴
   とする印刷機の胴着脱装置。