JPH0684A - 殺虫性タンパク質の遺伝子、該遺伝子で形質転換されたイネ科植物及びその製造方法 - Google Patents

殺虫性タンパク質の遺伝子、該遺伝子で形質転換されたイネ科植物及びその製造方法

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JPH0684A
JPH0684A JP4304926A JP30492692A JPH0684A JP H0684 A JPH0684 A JP H0684A JP 4304926 A JP4304926 A JP 4304926A JP 30492692 A JP30492692 A JP 30492692A JP H0684 A JPH0684 A JP H0684A
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dna
plant
ser
leu
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JP4304926A
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Hideya Fujimoto
英也 藤本
Kimiko Ito
紀美子 伊藤
Mikihiro Yamamoto
幹博 山本
Isao Shimamoto
功 島本
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Mitsubishi Corp
Mitsubishi Kasei Corp
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Mitsubishi Corp
Mitsubishi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 Bacillus thuringiensisBt)由来の殺虫性
結晶タンパク質をイネ科植物で有効的に発現させ得る合
成遺伝子を作成し,この遺伝子を導入して殺虫性を有す
る形質転換されたイネを得る。 【効果】 本発明の殺虫性タンパク質をコードする遺伝
子は、Bt毒素様のタンパク質をコードし、イネ科植物の
コドンに改変されたものであることから、イネ科植物で
高発現し、かかる遺伝子を導入して形質転換されたイネ
科植物は、殺虫性を有する作物としての有用性が期待で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、殺虫性タンパク質の合
成遺伝子、該遺伝子を導入して得られたイネ科植物及び
その製造方法に関し、詳細には微生物農薬として知られ
るバチルス・スリンジェンシス変種クルスタキHD-1(Bac
illus thuringiensis var. kurustakiHD-1)由来の結晶
タンパク質(δーエンドトキシン)様物質をコードする
合成遺伝子及び該遺伝子を導入することによる耐虫性植
物イネ科植物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
微生物そのものまたは微生物が産生する物質を利用した
微生物農薬に関する研究が活発に進められている。例え
ばバチルス・スリンジェンシス(Bacillus thuringiensi
s):以下「Bt」と略記することもある)は、幾つもの害
虫に対して高い毒性を有することが見いだされている、
グラム陽性の細菌であり(Angus,T.A, Nature, 174, 54
5, 1954)、産生する毒素として、αーエキソトキシン、
βーエキソトキシン、γーエキソトキシン、δーエンド
トキシンが知られている。中でもδーエンドトキシンは
Bt菌が胞子形成時に産生するタンパク質の結晶封入体と
して特に注目され、現在利用されている。各種のBt菌株
の結晶タンパク質は宿主の範囲が狭く、極めて選択的な
微生物殺虫剤として有用であり、人や環境に対する害作
用が少ないなどの特徴をもつ。Bt菌の宿主の範囲は、鱗
翅目、双翅目、鞘翅目の昆虫であり、産生する結晶タン
パク質の昆虫殺虫スペクトラムによって大きく5つの型
に分類されている。
【0003】かかる結晶タンパク質に関する遺伝子工学
的研究もめざましく進歩しており、植物へ導入すること
による耐虫性作物の育種に関する研究も行われている。
例えば、Plant Genetic Systems社(ベルギー)は、Bt
の殺虫タンパク質遺伝子を組み込んだ耐性タバコの作出
に成功した(Vaeckら, Nature, 328: 33-37,1987)。この
論文では、Btの殺虫タンパク質遺伝子の全域よりも3'末
端側を約半分欠如した遺伝子を導入した方が、効率よく
該タンパク質を発現した。
【0004】またMonsanto社は、ほぼ同様の手法によ
、Btの殺虫タンパク質遺伝子をトマトに導入すること
に成功した(Fischhoff et al., Bio/Technology, 5, 80
7-813,1987)。しかし、これらの論文ではウエスタン法
でタンパク質を検出できておらず、天然のBt殺虫性タン
パク質遺伝子を導入しても十分にBtの殺虫性タンパク質
を発現させることは困難だと思われる。
【0005】ここで遺伝子の翻訳に注目すると、Viotti
ら(Bio-chim. Biophys. Acta, 517,125ー132, 1978)の報
告によれば、グルタミン,ロイシンおよびアラニンが豊
富な貯蔵タンパク質であるゼインを活発に合成するトウ
モロコシの胚乳は、これら3つのアミノ酸に対する翻訳
活性を受容するレベルがトウモロコシの胚のtRNAよりも
高いという特徴がある。このことは、特定の植物組織の
tRNA集団が、ゼインの様な高度に発現されるタンパク質
が最適に翻訳されるように構築されていることを示して
いる。
【0006】Wilburらは高等植物とバクテリアでコドン
使用率の違いについて報告している(PlantPhysiol. 92,
1-11,1990)。高等植物においてコドンXCGとXUA使用率
は双子葉植物でそれぞれ1.8%, 3.2%、単子葉植物でそれ
ぞれ6.3%, 1.4%であり、コドンXXCとXXGの和の使用率
(以下、「コドンXXC/G使用率」と略す。ここでXは同
一または異なっていてもよく、それぞれ独立してA、
G、CまたはTの任意の塩基を表す)が双子葉植物では
45%であるのに対して、単子葉植物では73.5%にも達して
いる。即ち、イネ科植物等の単子葉植物においては、翻
訳される遺伝子中でGC含量が双子葉植物に比較して高い
ことが確認されている。一方バクテリアは種によって偏
りがあるが、Bt毒素遺伝子(δーエンドトキシン)では、
例えばB.t.var kurustaki HD-1(cryIA(b))ではコドンXC
GとXUA使用率がそれぞれ10.4%, 3.3%、コドンXXC/G使用
率は24.4%であり、天然型の遺伝子は植物組織中のtRNA
集団では、十分に翻訳しにくい状態であることが推定さ
れる。
【0007】Monsanto社のFrederickにより(Bio/Techno
logy, 8, 939-942, 1990)、ワタにおいて、3'末端を切
り取り、コドンを改変した遺伝子でBt毒素を多く発現さ
せた最初の報告がなされた。Bt菌の毒素タンパク質(δ
−エンドトキシン)を変化させずに化学合成した遺伝子
をカリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター
(35Sプロモーターの増幅領域を付加した)の下流に
つないでアグロバクテリウムを介して導入された。導入
した合成遺伝子はB.t. var kurustaki HD-1(cryIA(b))
とHD-73(cryIA(c))であり、それぞれのコドン使用率を
植物のそれに近づけている。その結果、葉において可溶
性タンパク質の0.05-0.1%発現しており、この値は天然
型遺伝子を導入したときの50-100倍に達している。コッ
トンボールワームを用いた飼育検定法でも、70-100% の
レベルで防御している。
【0008】同様にFrederickら(Proc. Natl. Acad. Sc
i., 88, 3324-3328, 1991)は、コドンを変化させると
き、遺伝子のどの部位が植物での発現に効果的か検討し
ている。改変する部位を9ヶ所選び、その数種の組合せ
と完全に改変させた遺伝子を作製し、アグロバクテリウ
ムを介してタバコとトマトに導入し、解析した。結果、
遺伝子の前半700bpの4ヶ所を改変した時が9ヶ所全て
を改変した場合の約80%の効果があり、後半を改変した
時は発現した毒素タンパク質を検出できなかった。前半
の中でも遺伝子5'側の246ー283bpを改変させた時の効果
が1番大きく、全域にわたって改変させた場合の53-80%
であった。
【0009】Monsanto社により、上記の様に遺伝子のコ
ドン使用率を変化させることによって、ワタ、タバコ、
トマトでBtタンパク質の高発現が可能なことが示され
た。また、ルブリゾルジェネテイクス社は殺虫性結晶タ
ンパク質の合成遺伝子についての特許(特開平2-186989
号公報参照)で、同様にコドン使用率について検討を加
えた合成遺伝子に関する報告をしているが、実際に合成
し、発現させた植物はタバコでの例である。
【0010】以上2つの例で明らかであるように、これ
までの報告は双子葉植物の例でありイネ科植物等の単子
葉植物について十分に検出できる程該殺虫性結晶タンパ
ク質を高発現させた報告は未だなされていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、植物中で
Bt毒素遺伝子の発現は、3'末端を切り取り、更にコド
ン使用率がその植物に適合することが重要であることに
着目し、該遺伝子のイネ科植物での発現を検討した結
果、特定の改変遺伝子がBt毒素様のタンパク質をコード
し、かつイネ科植物において発現し得ることを初めて見
い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】即ち本発明の要旨は、イネ科植物の遺伝子
にみられるコドン使用率に適合させて改変された殺虫性
タンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子が導入された
ベクター、該ベクターで形質転換されたイネ科植物およ
びその製造法に存する。以下、本発明につき詳細に説明
する。本発明において対象となる植物はイネ科植物であ
り、イネ科に属するものであれば特に制限はされない。
具体的にはイネ、ムギ(コムギ、オオムギ、ライムギ
等)、ヒエ、アワ、シバ、トウモロコシ等が挙げられ、
本発明においては特にイネが好ましい。本発明の遺伝子
Bt毒素タンパク質と機能的に同等のタンパク質をコー
ドするよう化学的,酵素学的に改変される。この改変遺
伝子は、イネ科植物内で、特にその葉部において天然の
Bt遺伝子よりも高いレベルで発現されるように設計され
ており、さらにその塩基配列は、例えばBt毒素の宿主特
異性を決める領域等を簡単につなぎ変えられるよう約20
0-400bpごとに6bpの制限酵素部位を保持するよう設計さ
れる。ここに示された改変遺伝子の塩基配列は、例えば
天然のBt毒素タンパク質のアミノ酸配列を基にしてアミ
ノ酸配列を変化させることなく、それぞれのアミノ酸に
於けるコドンの種類だけを変化させるように合成され
る。即ち、アミノ酸におけるコドンの変化の度合は、イ
ネ科植物の遺伝子に見られるコドン使用率(植物体組織
の平均値)に合わせられる。このコドン使用率は、次の
3つの視点から考慮される。 全64コドンの内、終止コドン(TAA、TAGおよびTG
A)を除いた61コドンの使用率。 20種類のアミノ酸の内、対応するコドンを1つし
か持たないメチオニンおよびトリプトファンを除いた1
8種類のアミノ酸それぞれのコドン使用率。 双子葉植物と単子葉植物とのコドンXXC/G使用率の
相違を考慮した上記の18種類のアミノ酸それぞれの
コドンXXC/G使用率。 さらにイネ科植物の葉部で高発現することが望まれるBt
毒素タンパク質の遺伝子は、植物の組織によってコドン
使用率が異なることを考慮して、イネ科植物の葉部で高
度に発現していると思われる遺伝子より上記〜の使
用率をそれぞれ求め、これらのコドン使用率に適合させ
ることが好ましい。また、それぞれのアミノ酸コドンの
分布はその合成される遺伝子の全域にわたって均等に分
布していることが望ましい。
【0013】この遺伝子の実際の設計においてはB.t. v
ar kurustaki HD-1(cryIA(b))のアミノ酸配列(J. Bac.,
166, 801-811, 1986)から推定される塩基配列より合成
遺伝子中に取り込み可能な制限酵素部位を設定する。制
限酵素部位はそれぞれのセグメントを連結するのに必要
な部位である。例えば対象とする植物をイネとする場
合、コドンの選択は、現在までに発表されたイネ各組織
の遺伝子から、 全64コドンの内、終止コドンを除いた61コドン
での使用率(図16) 対応するコドンを1つしか持たないメチオニンおよ
びトリプトファンを除いた18種類のアミノ酸それぞれ
のコドン使用率(図21および図22 Riceの項) の18種類のアミノ酸それぞれのコドンXXC/G使
用率(図23 Riceの項)の平均値と、さらにイネの葉
部で高度に発現されていると思われる遺伝子について、 全64コドンの内、終止コドンを除いた61コドン
での使用率(図17) 対応するコドンを1つしか持たないメチオニンおよ
びトリプトファンを除いた18種類のアミノ酸それぞれ
のコドン使用率(図21および図22 Rice-leafの
項) の18種類のアミノ酸それぞれのコドンXXC/G使
用率(図23 Rice-leafの項) をそれぞれ求めた。このとき、それぞれのアミノ酸に対
するコドンの割合を、天然型B.t.δ−エンドトキシンの
アミノ酸配列にイネ遺伝子のコドン使用率(図16)
±4%の範囲内で適合させることが望ましく、またの
コドン使用率(図21および図22 Riceの項)±40
%の範囲内で適合させることがより望ましく、さらには
Bt毒素タンパク質を構成するアミノ酸の中で含有率の高
い上位10種アミノ酸(例えばcryIA(b)の場合はアルギ
ニン、ロイシン、セリン、グリシン、スレオニン、バリ
ン、イソロイシン、アスパラギン、グルタミン酸、フェ
ニルアラニン)をのコドン使用率(図23 Riceの
項)±25%の範囲内で適合させるよう考慮することが
より一層望ましい。本発明においては、イネの葉部で高
度に発現されていると思われる遺伝子のコドン使用率
(図17)、(図21および図22 Rice-leafの
項)、(図23 Rice-leafの項)に近い値で適合す
るように選択することが最も好ましい。また、それぞれ
のアミノ酸に対するコドンの分布は上記のように全塩基
配列中に均等になるよう設計されることが望ましい。
【0014】こうして設計された合成遺伝子の塩基配列
の1例を、配列表の配列番号1に、同配列における全6
4コドンの内終止コドンを除いた61コドンでの使用率
を図18に、メチオニンおよびトリプトファンを除いた
18種類の個々のアミノ酸におけるコドン使用率を図2
1および図22 BTHSyn.の項に、同18種類個々のア
ミノ酸におけるコドンXXC/G使用率を図23 BTHSyn.の
項に示す。この合成遺伝子のコドン使用率をイネにおけ
る61種類のコドンのコドン使用率と比較すると、アス
パラギンのコドンAACで3.51%の差を最大として、その他
のコドンでほぼ2%の差で一致し、さらにイネの葉で高度
に発現していると思われる遺伝子のコドン使用率と比較
すると、アスパラギンのコドンAACで3.33%の差を最大と
して、よりイネの葉部におけるコドン使用率に近づいて
いる。またメチオニンおよびトリプトファンを除いた1
8種類のアミノ酸のアミノ酸ごとのコドン使用率を比較
すると、プロリンのコドンCCGで36.9%の差を最大とし
て、その他のコドンはほぼ20%の差で一致し、さらにイ
ネの葉で高度に発現していると思われる遺伝子のコドン
使用率と比較すると、リジンのコドンAAGで37%の差を最
大として、その他のコドンではよりイネの葉部における
コドン使用率に近づいている。また、各アミノ酸ごとの
コドンXXC/G使用率をこのBt毒素タンパク質を構成する
上位10種のアミノ酸、アルギニン、ロイシン、セリ
ン、グリシン、スレオニン、バリン、イソロイシン、ア
スパラギン、グルタミン酸、フェニルアラニンについて
比較すると、セリンの24.2%を最大にしてその他のコド
ンでは約15%前後で一致し、さらにイネの葉で高度に発
現していると思われる遺伝子のコドンXXC/G使用率と比
較すると、セリンの13.2%の差を最大として、その他の
コドンではよりイネの葉部のコドンXXC/G使用率に近づ
いている。なお、本発明においては、殺虫活性を損なわ
ない範囲で、または殺虫活性を増強する目的で、一部の
塩基を除去、置換あるいは追加する等の改変を行ったも
のもその範囲に含まれる。
【0015】このように設計された遺伝子は、上記の塩
基配列にしたがって、例えば常法で合成された20-100塩
基程度の1本鎖オリゴヌクレオチドとポリメラーゼチェ
インリアクション法(以下PCRと略す(Am. J. Hum. G
enet., 37, 172, 1985))を用いて各セグメントを2本
鎖DNAに合成される。合成方法としては以下のような
方法が例として挙げられる。図1ー3にPCR法により
各セグメントを2本鎖にした模式図の例を示す。 例1 図1に基本的な方法を示した。例えば130bpの2本鎖DNA
を合成する場合、2本の70ntオリゴヌクレオチドをそれ
ぞれの3'末端で約10bp相補鎖を形成するように合成し、
このオリゴヌクレオチドを標準的なPCR法の混合液と合
わせPCR反応を行うことにより目的の2本鎖DNAが
得られる。 例2 かかる方法の応用例を、図2に示す。370bpの2本鎖DNA
を合成する場合、まずオリゴヌクレオチドを例1の
ように処理して130bpのDNAを得る。次に得られたD
NAとオリゴヌクレオチドでPCR反応を行う。最
後に2回目のPCR反応で得られたDNA250bpとオリ
ゴヌクレオチドでPCR反応を行い目的の2本鎖D
NAを得る。この例では長い領域にわたって制限酵素部
位がない場合、一度に長い2本鎖DNAが得られる利点
がある。 例3 図3に別の応用例を示す。例えば260bpの2本鎖DNAを合
成する場合、図のように制限酵素部位がある時、オリゴ
ヌクレオチドと、とそれぞれで例1のようにP
CR反応を行い、130bpの2本鎖DNAを得る。得られ
たDNAをそれぞれの断片が接する制限酵素で切断後、
酵素的に結合し、その産物の1部とオリゴヌクレオチド
で再度PCR反応を行い目的の2本鎖DNAを得
る。この例では短いセグメントを個々にクローニングす
る手間を省き、さらに酵素的に結合した目的のDNAを
すばやく増幅し、クローニングを簡単にする。さらに、
例2および3を組み合わせた方法も利用できる。
【0016】例2もしくは例3により合成された200ー40
0bpの2本鎖DNAセグメントはマルチプルクローニン
グサイトを有する大腸菌ベクター、例えばpUC18、19(Ge
ne,33, 103, 1985)、pHSG298、299、398、399(Gene, 6
1, 63, 1987)、pBSIIKS+/-、pBSIISK+/-(Stratagene
社)、あるいはクローニングサイトを改変した類似のベ
クターにクローニングされる。この後、クローニングさ
れた各々のセグメントはSangerら、(Proc. Natl. Acad.
Sci., 74, 5463-5467, 1977)のジデオキシ法を用いて
配列を決定、確認される。各々のセグメントは常法によ
り、両端に有する制限酵素部位を利用して制限酵素で切
断後、T4DNAリガーゼで結合され最終的に毒素タンパク
質をコードする全長の構造遺伝子となる。
【0017】得られた構造遺伝子はイネ科植物中で発現
するプロモーターとターミネーター、もしくは必要に応
じてイントロンを有するプラスミドベクターに組み込ま
れる。利用するプロモーターとして、例えばCaMV35S(pB
I221: EMBO.J., 6, 3901-3907, 1987)等のカリフラワー
モザイクウイルス由来のプロモーター、rbcS(ribulose1.
5-bisphosphate carboxylase)、Cab(chlorophyll a/b b
inding protein)等(Science, 244, 174, 1989)植物中で
発現することが確認されたプロモーターがあげられる。
【0018】ターミネーターとしては、例えばカリフラ
ワーモザイクウイルス由来のターミネーター,NOS(ノパ
リン合成酵素)遺伝子由来のターミネーター等があげら
れる。また、プロモーターと構造遺伝子の間にイントロ
ンを配するベクターも高発現ベクターとして利用でき、
イントロンとしては、例えばトウモロコシAdh1(アルコ
ールデヒドロゲナーゼ)の第一イントロン(Genes&Devel
opment, 1, 1183-1200, 1987)、ヒマCat(カタラーゼ)
の第一イントロン(Tanakaら, Nucleic Acids Research,
18, 6767-6770, 1990)等があげられる。
【0019】本発明においては更に、ハイグロマイシン
フォスフォトランスフェラーゼ遺伝子、ネオマイシンフ
ォスフォトランスフェラーゼ遺伝子、クロラムフェニコ
ールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、β−グルキュ
ロニダーゼ遺伝子等から選ばれる2つ以上の外来遺伝子
を使用し、かつその1つは目的とするコロニーを選択す
る際に有効な、いわゆる選択マーカー遺伝子を使用する
のが好ましい。かかる選択マーカー遺伝子としては、ハ
イグロマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子が
好ましい。
【0020】本発明においては、選択マーカー遺伝子と
他の外来遺伝子を同一のプラスミド中に有するものを使
用してもよいし、選択マーカー遺伝子を有するプラスミ
ドと他の外来遺伝子を有するプラスミドとを併用しても
よい。ベクターはイネ科植物を形質転換するのに用いら
れる。すなわち、イネ科植物由来のプロトプラストを液
体媒体に懸濁し、電気パルスを印加して該ベクターを導
入した後、イネ培養細胞を含有する培地で培養しコロニ
ーを形成させ、該コロニーから植物体を再生させる方法
である(Shimamoto et al., Nature, 337, 274-276, 198
9)。
【0021】プロトプラストは次のようにして調製する
ことができる。例えば、日本晴、コシヒカリ、ササニシ
キ等の栽培イネの完熟及び未熟種子、葉しよう、根の組
織に由来するサスペンジョン細胞あるいはカルスを液体
培地で培養した後、常法に従い、例えばセルラーゼやマ
セロザイム等の細胞壁分解酵素を含む酵素液中25−3
0℃, 0-50spmの条件で3−16時間程度酵素処理す
る。酵素処理終了後、濾過して未消化物を除き、ろ液に
2ー5倍量のKMC液(0.118M 塩化カリウム, 0.0817M 塩
化マグネシウム, 0.085M 塩化カルシウム, pH6.0)(Theo
r. Appl. Genet.,53, 57-63,1978)等を加え遠心分離し
て、精製されたプロトプラストを得ることができる。
【0022】上記のようにして調製した遺伝子を含む発
現ベクター、例えば1-100μg/mlと、上記植物由来のプ
ロトプラスト、例えば(2-10)x106個/mlとを、30-200mM
塩化カリウム, 0-50mM塩化マグネシウム, 0.2-0.6Mマニ
トールを含む緩衝液等の液体媒体中に懸濁し、これに電
気パルスを印加してプラスミドをプロトプラスト中に導
入する。電気パルス処理は,100-1000μFのコンデンサー
を用いて得られる200-1000V/cmの初期電圧の直流パルス
で、パルス幅1-50msec程度の条件で印加するのが好適で
ある(特開平1-181791号公報参照)。
【0023】上述のように電気パルス処理したプロトプ
ラストを、例えばR2培地(Plant.Cell. Physiol., 14,
1113, 1973)の無機成分とMS培地(Murashige and Sk
oog, 15, 473-497, 1962)のビタミン混合液を含む液体
培地(R2/MS)あるいはMS培地で、好ましくは窒素源とし
て硝酸カリウムを0.2-0.5%含有する培地に懸濁し、これ
を1.0ー3.0%程度のアガロースを含むR2/MSあるいはMS培
地等と等量ずつ混ぜ、速やかにシャーレ中に広げて薄く
固める。この時のプロトプラストの濃度は約(5-50)X105
個/mlとなるようにするのが好ましい。
【0024】続いて固化したアガロースを5ー20mm大の大
きさに切断し上記液体培地上で培養する。その際、イネ
科植物由来のプロトプラストを使用した場合には、好ま
しくは培地中にイネ培養細胞を100-300mgFW/シャーレ程
度共存させ、20-50r.p.mの回転でゆっくり振とうしなが
ら、暗条件下23ー27℃で培養する。イネ培養細胞と共存
させる方法は上記の方法のほかに、プロトプラストを含
む液体培地を、底にメンブレンフィルターを設けた容器
内に入れ、その容器をイネ培養細胞と共に液体培地を入
れたシャーレに浸して共存させる方法がある。ここに示
すイネ培養細胞は、旺盛に分裂している細かい細胞塊か
ら成る物が好ましい。このような培養細胞は、例えばイ
ネ植物の種子、茎、根あるいは葯より得られたカルスを
液体培地中に継代して分裂速度の早い細胞を選抜してい
く等の公知の方法に準じて容易に得られる。
【0025】培養後3ー4週間で、0.5-1mm程度のコロニー
が形成される。その際、例えば外来遺伝子として選択標
識遺伝子でもあるハイグロマイシンホスホトランスフェ
ラーゼ遺伝子(hph)を導入しておいた場合、培養開始後
7−20日にハイグロマイシンを10-100μg/ml程度培養
液中に添加し、さらに培養を続けると目的とする形質転
換細胞の選択を効率よく行うことができる。次いでこの
コロニーを増殖培地、例えばR2培地に植物ホルモン、
例えば2.4-ジクロロフェノキシ酢酸(2.4-D)を2mg/l程
度、アガロースを0.1-1.0%加えた寒天培地上で2ー4週
間、照明下(1000-4000lux)、23ー27℃で培養し3ー6mmφの
カルスを得る。個々のカルスを単独に分離し、さらに、
例えば外来遺伝子としてhph遺伝子を導入した場合に
は、ハイグロマイシン20-50μg/mlを含む同増殖培地に
置床して培養し、ハイグロマイシン耐性を確認する。
【0026】このカルスを例えば0.5-1.5%アガロースを
含むR2/MS培地(但しホルモンフリーあるいはサイトカ
イニンを1-10mg/l添加)で23ー27℃, 2000-4000luxの条
件下で培養すれば2ー10週間で不定胚または不定芽の形成
が認められる。さらに2ー3週間ホルモンを含まないR2/MS
培地等で培養することにより、移植可能な幼植物体が得
られる。こうして得られた幼植物体は、バーミュキュラ
イト等に移植して成長させると目的とする形質転換され
たイネの植物体を得ることができる。
【0027】形質転換細胞、もしくは形質転換植物に遺
伝子が組み込まれていることは、これらからDNAを、
例えばMol. Gen. Genet., 211, 27, 1988に準じた方法
で単離し、PCR法(Am. J. Hum. Genet., 37, 172, 19
85)もしくはサザン法(J. Mol. Biol., 98, 505, 1980)
により確認できる。また、形質転換細胞が植物ゲノムに
組み込まれた遺伝子を発現していることは、例えば、導
入した遺伝子をプローブとしたノザン法(Thomas, P. et
al., Proc. Natl. Acad. Sci., 77, 5201, 1980)、導
入した遺伝子産物に対する抗血清を用いたウエスタン法
(Towbin et al.,Proc. Natl. Acad. Sci., 76, 4350, 1
979) により明らかにできる。
【0028】
【実施例】以下、本発明につき実施例を挙げて具体的に
説明するが、その要旨を越えない限り以下に限定される
ものではない。 実施例1 Bt毒素構造遺伝子の化学的、酵素的合成、及
びベクターへの結合 (1)オリゴデオキシヌクレオチドの調整 前述のようにして設計されたBt遺伝子の塩基配列(配列
表の配列番号1)にしたがって各セグメント1ー6に対す
るオリゴヌクレオチドを合成した。オリゴヌクレオチド
の調整は、Matteucciら (1981) J. Am. Chem. Soc. 10
3, 3185-3192およびBeaucageら、(1981) Tetrahedron L
ett. 22, 1859-1862に記載されている一般的な手法にし
たがって実施する。オリゴヌクレオチドはすべて,Appli
ed Biosystems 391形DNA合成装置を用いて、固相ホス
ホアミダイトトリエステル・カップリング法で調整し
た。オリゴマーの個体担体からの脱保護と分離は、標準
法にしたがい28%アンモニア水を用いて行った。粗製オ
リゴヌクレオチド混合物は、オリゴヌクレオチド精製カ
ートリッジ(OPCカラム、Applied Biosystems)を用い、M
cbridgら (1988) Biotechniques, 6; 362-367)に記載さ
れているのと同様にして精製する。 (2)PCR法による2本鎖DNA化 実際に用いた各セグメントごとのオリゴヌクレオチドの
長さ及び配列を図4−9に示した。また、各セグメント
の部位を図11に示す。
【0029】セグメント1は両端にSalI,SpeI部位を持
つ190bpの断片でこれは4本のオリゴヌクレオチドから
作られた(図4)。セグメント1は前述の例2(図2)
のように、まずプライマー1-3および1-4でPCR(Am.
J. Hum. Genet., 37, 172, 1985)を行った。PCRはプ
ライマー濃度各10μM, 10mM Tris-HCl(pH8.3), 1.5mM M
gCl2,50mM KCl, 0.005% Tween20, 0.005% NP-40, 0.001
% Gelatin, dA, dG, dC,dTTP各200μM, REPLITHERM The
rmostable DNA Polymerase (EPISENTRE社) 5unit, 全10
0μlの反応液をDNAサーマルサイクラーPJ1000(PERKI
N-ELMER CETUS社)をもちいて、94℃,1min., 50-55
℃,2min., 72℃,3min. を30回繰り返し反応させて行
った。以後、(2)の項におけるPCR法による2本鎖
DNA化のPCR反応はすべてプライマーの種類とDN
Aが異なる以外は同様の条件で行った。このPCRで得
られた102bpのDNA(PCR反応液)5μlとプライマ
ー1-2および1-4を用いて先の同様の条件でPCRを行
い、163bpのDNAを得た。最後に、この反応液5μlと
プライマー1-1および1-4を用いてPCRを行い196bpの
2本鎖DNAを得た。
【0030】セグメント5は両端にEcoRI,XbaI部位を持
つ405bpの断片で、これは6本の合成オリゴヌクレオチ
ドから作られた(図5)。セグメント5は前述の例2
(図2)の様に、まずプライマー5ー3および5ー4を用いて
同様の条件でPCRを行い145bpのDNAを合成し、続
いて145bpのDNA溶液5μlとプライマー5ー2および5ー5
でPCRを行い287bpのDNAを合成し、最後に287bpの
DNA溶液5μlとプライマー5-1および5-6でPCRを行
い411bpの2本鎖DNAを得た。
【0031】セグメント4は両端にEcoT14I,ScaI部位
を、その中間にBglII部位を持つ277bpの断片で、これは
5本の合成オリゴヌクレオチドから作られた(図6)。
セグメント4は例2および3(図2および3)の様に、
プライマー4ー1および4ー2でPCRを行い両端にEcoT14I,
BglII部位を有する142bpのDNAを合成、プライマー4ー
4および4-5でPCRを行い91bpのDNAを合成、続いて
91bpのDNA5μlとプライマー4ー3および4ー5でPCRを
行い両端にBglII,ScaI部位を持つ151bpのDNAを合成
した。得られた142bp,151bpのDNA全量をそれぞれ常
法通りフェノール・クロロホルム(1:1)100μlで除タン
パクを行い水層を移し、3M NaOAc(pH5.2) 10μlとEtOH
250μlを加えてDNAを沈澱回収した。得られたDNA
を50mM Tris-HCl(pH7.5), 10mM MgCl2, 1mM Dithiothre
itol, 100mM NaCl 100μl中で制限酵素BglII 10unitで
消化した後、1% Seakem GTG Agarose(FMC社), 1xTBE bu
f.で電気泳動しDNAバンドを切り出し,SUPREC-01(Tak
ara社)を用いて精製した。精製したDNAそれぞれ約1/
10量をT4 DNA リガーゼを利用したDNA Ligation Kit(Ta
kara社)を用いてキットのマニュアルに従って全50μlの
反応系で結合し、この結合産物5μlとプライマー4ー1お
よび4ー5を用いてPCRを行い283bpの2本鎖DNAを得
た。
【0032】セグメント2は両端にScaI,SacI部位を、
その中間にStuI部位を持つ414bpの断片で、これは7本
の合成オリゴヌクレオチドから作られた(図7)。セグ
メント2は例2および3(図2および3)の様に、プラ
イマー2ー2および2-3でPCRを行い117bpのDNAを合
成し、続いて117bpのDNAとプライマー2-1および2-3
を用いてPCRを行い両端にScaI,StuI部位を有する179
bpのDNAを合成、プライマー2ー5および2-6で129bpの
DNAを合成し、続いて129bpのDNAとプライマー2-4
および2-7でPCRを行い両端にStuI,SacI部位を持つ25
4bpのDNAを合成した。得られた179bp,254bpのDNA
をセグメント4と同様の方法で沈澱回収した。得られた
DNAを10mM Tris-HCl(pH7.5), 10mM MgCl2, 1mM Dith
iothreitol, 50mM NaCl 100μl中で制限酵素StuIで切断
後,セグメント4と同様の方法で精製、結合し、この結
合産物5μlとプライマー2-1および2-7を用いてPCRを
行い420bpの2本鎖DNAを得た。
【0033】セグメント6は両端にSacI,HindIII部位を
持つ352bpの断片で、これは5本の合成オリゴヌクレオ
チドから作られた(図8)。セグメント6は例2(図
2)の様に、まずプライマー6ー3および6ー4を用いて同様
の条件でPCRを行い146bpのDNAを合成し、続いて1
46bpのDNA溶液5μlとプライマー6ー2および6ー5でPC
Rを行い284bpのDNAを合成し、最後に284bpのDNA
溶液5μlとプライマー6ー1および6-5でPCRを行い354b
pの2本鎖DNAを得た。
【0034】セグメント3は両端にHindIII,BclI部位
を、その中間にPvuI部位を持つ249bpの断片で、これは
5本の合成オリゴヌクレオチドから作られた(図9)。
セグメント3は例2および3(図2および3)の様に、
プライマー3ー1および3ー2でPCRを行い両端にHindIII,
PvuI部位を有する117bpのDNAを合成、プライマー3ー4
および3ー5で88bpのDNAを合成し、続いて88bpのDN
Aとプライマー3ー3および3ー5でPCRを行い両端にPvu
I,BclI部位を持つ150bpのDNAを合成した。得られた1
17bp,150bpのDNAを先のセグメント4と同様の方法で
沈澱回収した。得られたDNAを20mM Tris-HCl(pH8.
5), 10mM MgCl2, 1mM Dithiothreitol, 100mM KCl 100
μl中で制限酵素PvuIで切断後,セグメント4と同様の方
法で精製、結合し、この結合産物5μlとプライマー3-1
および3-5を用いてPCRを行い255bpの2本鎖DNAを
得た。 (3)全長のBt毒素タンパク質遺伝子及び該遺伝子を組
み込んだ高発現ベクターの構築
【0035】PCR法により2本鎖DNAとして得られ
た6つのセグメントは、セグメント4で述べた同様の方
法で回収され、それぞれの両端に配置された制限酵素部
位で切断後、分画、精製された。断片はそれぞれに適し
たクローニングベクターにDNA Ligation Kit(Takara社)
を用いて結合、導入され、E.coli DH5αの形質転換に用
いた。セグメント1はpBSIIKS+(Stratagene社),セグメ
ント2はpMCSC8(pHSG398(Gene, 61, 63, 1987)のクロー
ニングサイトEcoRI,HindIIIで切断した後、図10に示
すクローニングサイトに置き換えたベクター),セグメ
ント3はpMCSA8(pUC18のクローニングサイトEcoRI,Hind
IIIで切断した後、図10に示すクローニングサイトに
置き換えたベクター)セグメント4はpMCSK8(pHSG298(Ge
ne, 61,63, 1987)のクローニングサイトEcoRI,HindIII
で切断した後、図10に示すクローニングサイトに置き
換えたベクター),セグメント5はpUC18(Gene, 33, 10
3,1985),セグメント6はpHSG399(Gene, 61, 63, 198
7),とそれぞれのベクターにクローニングされた。
【0036】セグメント1-6の配列は、それぞれのセグ
メントがクローニングされたプラスミドDNAを単離
し、Sangerら(Proc. Natl. Acad. Sci., 74, 5463-546
7, 1977)のジデオキシ法を用いて配列を決定、確認さ
れ、セグメント1ー6をそれぞれプラスミドpBTH1-6 とし
て得た(図11)。プラスミドの構築は図11に従って
行った。カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモー
ターとヒマ カタラーゼイントロンを含む高発現ベクタ
ーpIG221(Tanakaら, Nucleic Acids Research, 18: 676
7-6770, 1990)のプロモーターからイントロンまでを含
SphI-SalI断片約1000bpを、同制限酵素各々10unitを
用いてプラスミドDNA1μgを消化し、pHSG398にサブ
クローニングしてプラスミドpBT01を作製した。
【0037】次いで前述のプラスミドpBTH1を制限酵素X
baIで消化し、T4 DNA Polymeraseの系を用いたDNA Blun
ting Kit(Takara社)を用いてキットのマニュアルに従っ
て全20μlの反応系で平滑末端にした後、SpeIで消化し
て得たベクターDNAとBt天然型遺伝子(pSY177由来 J.
Bacteriol., (1986) 166, 801-811)の1部(SpeI-EcoRI
断片97bp)をpBSIIKS+にクローニングしたプラスミドpBT
02を制限酵素SpeI,EcoRVで消化して得た、このBt天然型
遺伝子の1部を、DNA Ligation kit(Takara社)を用いて
同様に連結し、プラスミドpBTH101を得た。 プラスミ
ドpBTH101を制限酵素SalI,EcoRIで消化して得られたD
NA281bpを、プラスミドpBT01の制限酵素SalI,EcoRI部
位で同様に連結しプラスミドpBTH111作製した。
【0038】並行してプラスミドpBTH5を制限酵素EcoR
I,XbaIで消化して得られたDNA411bpを、プラスミドp
BTH4の制限酵素EcoRI,EcoT14I(XbaIと同じ粘着末端を有
する制限酵素)部位で同様に連結してプラスミドpBTH102
を作製、次いでプラスミドpBTH2を制限酵素ScaI,SacIで
消化して得られたDNA414bpを、pBTH102の制限酵素Sc
aI,SacI部位で同様に連結してプラスミドpBTH112を作製
した。
【0039】並行して、Bt天然型遺伝子の1部(pSY177
由来 J. Bacteriol., 166, 801-811,1986)BclI-KpnI断
片238bpとノパリンシンターゼのポリ(A)+化配列約300bp
の間にXbaI,SpeIを有するマルチストップリンカーを持
つ断片約550bpをpMCSC8のBclI,KpnI部位に同様にクロー
ニングしてプラスミドpBT03を作製した。プラスミドpBT
H3を制限酵素HindIII,BclIで消化して得られたDNA25
6bpを、pBT03の制限酵素HindIII,BclI部位に同様に連結
してpBTH103を作製した。
【0040】次いでプラスミドpBTH6を制限酵素SacI,Hi
ndIIIで消化して得られたDNA352bpをpBTH103の制限
酵素SacI,HindIII部位に同様に連結してプラスミドpBTH
113を作製した。最終的にpBTH111を制限酵素SphI,EcoRI
で消化して得られたDNA約1300bpと、pBTH112を制限
酵素EcoRI,SacIで消化して得られたDNA約1100bpと、
pBTH113を制限酵素SphI,SacI部位で連結してBt合成遺伝
子及びこの遺伝子の高発現ベクターpBT1291(図11)
が作製された。
【0041】実施例2 合成Bt毒素タンパク質遺伝子の
植物中での発現 (1)イネプロトプラストへの形質転換 ベクターpBT1291はイネ科植物を形質転換するのに用い
られる。すなわち、イネ科植物由来のプロトプラストを
液体媒体に懸濁し、電気パルスを印加して該ベクターを
導入した後、イネ培養細胞を含有する培地で培養しコロ
ニーを形成させ、該コロニーから植物体を再生させる方
法である(Shimamoto et al., Nature, 338: 274-276, 1
989)。プロトプラストは次のようにして調整した。栽培
イネ(品種 日本晴)の完熟胚カルスから作製した植え
継ぎ後3ー5日のサスペンション細胞を、4% セルラー
ゼRS, 1% マセロザイムR-10, 0.4M マニトールを含む酵
素液(pH5.6)で30℃,3ー4時間処理した。酵素処理終
了後、濾過して未消化物を除き、ろ液に4倍量のKMC液
(0.118M 塩化カリウム, 0.0817M 塩化マグネシウム,
0.085M 塩化カルシウム, pH6.0;前述)を加え、遠心分
離して沈降したプロトプラストを集め、更にKMC液で2
回洗浄した。
【0042】得られたプロトプラストを、70mM 塩化カ
リウム, 5mM 塩化マグネシウム, 0.4M マニトール, 0.1
% MESを含むpH5.8の緩衝液に8x106個/mlとなるように懸
濁した。この懸濁液に上記のようにして調製した遺伝子
を含むプラスミドベクター60μg/ml並びにプロモーター
としてCaMV35S、外来遺伝子としてハイグロマイシンホ
スホトランスフェラーゼ遺伝子及びNOS(ノパリンシン
ターゼ)あるいはCaMV由来のターミネーターを有するプ
ラスミド、例えばpGL2(Nature, 338 : 274-276,1989)60
μg/mlを添加し、4℃で5分間冷却した後、滅菌したプ
ラスチックセルに移し並行電極を用い、直流の電気パル
スを印加した。その際、1000μFのコンデンサーを用い
て500V/cmの初期電圧をかけ、パルス幅30msecとした。
パルス印加後、4℃で10分間冷却した後、等量のR2/MS
プロトプラストアガロース培地(Mol. Gen. Genet., 20
6, 408, 1987)と混合し,0.7mmの厚さとなるように固化
させた。この時の細胞密度は約4x106個/mlであった。
【0043】電気パルス処理したプロトプラストを含む
アガロースを10mm大の大きさに切断しR2/MS液体プロト
プラスト培地が5ml入った6cmφのプレートにいれ、更に
約100mg(FW)のイネ培養細胞をナース細胞として入れ
た。プロトプラストの培養は約29℃で約10日間,50
r.p.mの回転でゆっくり振とうしながら、暗条件下で培
養した。
【0044】このイネ培養細胞は次のようにして調製し
た。実生のイネの根に由来するカルスを液体培地中で週
1回植継ぎ、作製した懸濁培養細胞中に存在する分裂旺
盛な細かい細胞(1mmφ)を用いた。10日間培養後、ナ
ース細胞をKMC液で取り除いた。さらに培養2ー4日後
に20μg/mlとなるようにハイグロマイシンBを培地に加
え、2ー3週間培養した。
【0045】次いでこのアガロース片をR2ソフトアガ
ー培地(2.4-ジクロロフェノキシ酢酸(2.4-D)2mg/l, 6%
ショ糖,0.25%アガロース)に置き培養し、2ー4週間後
さらに大きくなったコロニーを個々に分けてR2ソフト
アガー培地に移した。このカルスをR2/MS再生培地(3%ソ
ルビトール,2%ショ糖,1%アガロース,pH5.8)に移し、2
5℃,2000-4000luxの条件下で3ー10週間培養すると、芽及
び根が現れた。芽が2cm程度に成長したところで、R2/MS
再生培地を入れたプラスチックボックスに移し、幼植物
へと成長させた。さらにバーミュキュライトポットに移
植して成育させたところ、成熟した完全な形質転換イネ
植物体が得られた。(2)PCR法による形質転換細胞
のスクリーニング 得られたハイグロマイシン耐性カルスの1部からDNA
を抽出した(Mol. Gen.Genet., 211, 27, 1988)。約2ー3m
mφのカルス2個を1.5mlマイクロ遠心チューブ内でResu
spension buf. (20mM Tris-HCl, 10mM EDTA) 250μlと
共にホモジナイズし、20% SDSを20μl加えて、68℃15分
間加温する。ここに、7.5M AmmoniumAcetate 150μlを
加えて氷上で30分間置く。15000rpm、4℃、15分間遠
心後、上清にEtOH1ml加えて再度同様の条件で遠心して
DNAを沈澱させる。得られたDNAを70%EtOHで洗
い、乾燥させた後、TE buf.(10mM Tris-HCl(pH8.0),1mM
EDTA)30μlに溶かす。
【0046】このDNAをPCR法によるスクリーニン
グに用いた。使用したプライマーの部位を図12に示
す。PCRはプライマー濃度各1μM, 10mM Tris-HCl(pH
8.3),1.5mM MgCl2, 50mM KCl, 0.005% Tween20, 0.005%
NP-40, 0.001% Gelatin, dA,dG, dC, dTTP各200μM, R
EPLITHERM Thermostable DNA Polymerase(EPISENTRE社)
5 unit、先の方法で調整したDNA5μlを合わせて、全
50μlの反応液をDNAサーマルサイクラーPJ1000(PERK
IN-ELMER CETUS社)を用いて、94℃,1min.,50℃,2mi
n., 72℃,3min. を30ー35回繰り返し反応させて行っ
た。PCR反応産物を常法のアガロース電気泳動で分析
したところ、図12に見られるようにプラスミドpBT129
1が組み込まれた形質転換カルスには1.0Kbの位置に増幅
されたDNAが見られた。同様にして多くのハイグロマ
イシン耐性カルスをスクリーニングした結果、47%の効
率でカルスに導入されていた。
【0047】(3)導入した遺伝子全長の検出 スクリーニングして得られた形質転換カルスからDNA
を同様の方法で抽出し、1.5-2μgを制限酵素XbaI,20uni
tで切断し、サザン法(J. Mol. Biol., 98, 505, 1980)
で遺伝子を解析した。プローブはpBT1291のXbaI断片を
マルチプライムDNA標識システム(Amersham社、 Feinb
ergら、Analytical Biochem., 137, 266-267, 1987) 及
びα-32PーdCTP(Amersham社,370MBq/ml, 110TBq/mmol)
を用いて作製した。その結果、図13に示すように、全
ての個体で予想されるBt合成遺伝子とイントロンを合わ
せた大きさの2.5 KbのDNAバンドを検出した。
【0048】(4)導入した遺伝子の転写−mRNAの
検出 先にサザン法により全長の遺伝子が導入された形質転換
カルスから全RNAを抽出(Analytical Biochem., 162,
156-159, 1987)し、各RNA20μgをノザン法(Thomas,
P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 77, 5201, 198
0)で解析した。プローブは先のサザン法と同様に調製し
た。その結果、図14に示すように全ての個体でBt合成
遺伝子から予想される3.0-2.4 KbのmRNAを検出し
た。
【0049】(5)導入した遺伝子の翻訳−Bt毒素タン
パク質の検出 再生したイネの葉からSDS可溶性タンパク質を抽出
し、ウエスタン法(Towbin et. al. Proc. Natl. Acad.
Sci., 76, 4350, 1979)によりBt毒素タンパク質の検出
を試みた。イネの葉、約2x0.5cmを乳鉢中で液体窒素で
凍結後摩砕して粉末にする。直ちに2xSample buf.(25mM
Tris-HCl(pH6.8), 4% SDS, 8mM DTT, 20%グリセロー
ル, 0.004% BPB, 200μM ロイペプシン)100μlで抽出
後、沸騰浴中で5分間加温する。続いて12000rpm, 4℃,
15分間遠心して上清をサンプルとして、常法によりSDS
-PAGEにかけ、Immobilonメンブラン(MILLIPORE社)にBlo
ttingbuf.中で(25mM Tris, 192mM Glycine, 20% MeOH)2
00mA, 35V, 1時間の条件で移した。Bt毒素タンパク質の
検出は、1次抗体としてウサギに免疫された抗Bt毒素タ
ンパク質に対する抗血清から精製されたイムノグロブリ
ンG(IgG)を、2次抗体としてウサギIgGに対するアルカ
リフォスファターゼを結合したヤギIgG(JACKSON社)を用
いた。その結果、図15に示すようにBt毒素タンパク質
に対する抗血清から精製されたイムノグロブリンG(Ig
G)に反応する約72KDのタンパク質が検出された。また、
この発現の程度はSDS可溶性タンパク質の約0.05-0.1%と
推定された。
【0050】(6)次世代への遺伝子の伝達と発現 このようにして得られたBt毒素タンパク質を高発現して
いるイネから種子を得た。次世代(R1世代)への遺伝
子の伝達と分離比を調べるために、これを播種して14
日目の苗の一部から約5x2mmの葉を取り、前記(2)の
項で述べた方法によりDNAを抽出し、PCRを行っ
た。その結果以下の表に示すように、3つの独立の系統
で遺伝子が伝わり、約3:1で分離していることが確認
された。C7−4系統より抽出したDNAのPCR反応
産物を電気泳動で分析した結果を図19に示す。
【0051】
【表1】 ────────────────────────────── 次世代(R1世代)の系統 Bt+ Bt− ────────────────────────────── B2−9 98 28 C7−4 26 10 F2−11 17 6 ────────────────────────────── また播種後約3カ月の個体(F2−11系統)を前記
(5)の項で述べたウエスタン法により同様に解析した
ところ、親の個体とほぼ同程度のBt毒素タンパク質を発
現していた(図20)。
【0052】(7)耐虫性試験 耐虫性試験には、イネの代表的な鱗翅目の害虫である、
コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)を用いた。播
種して14日目の苗(B2−9系統)の根をよく洗い、
直径約2cmの水で湿した脱脂綿で根を包んで、さらにパ
ラフィルムで包み水が蒸発しないようにして苗が枯れな
いようにした。この苗1本を直径約3cm、高さ20cmの半
透明のプラスチックチューブに入れ、体長2−3mm、2
令のコブノメイガ1匹を接種して25℃、昼夜12時間ずつ
の環境で7日間試験を行った。その結果、コントロール
である日本晴および分離してBt遺伝子を持たないイネ(B
tgene(-))と比較して、Bt遺伝子を持つイネ(Bt gene
(+))は明らかに死亡する個体が多く、また生き残った個
体の成長度合いにも差が認められた。
【0053】試験1
【表2】 ────────────────────────────────── コブノメイガの生長ステージ 生存した ─────────────────── ブノメイガの 死亡 2令 3令 4令 5令 6令 平均重量(mg) ────────────────────────────────── 日本晴 1 1 4 8 8 7 3.75 Bt gene(-) 1 4 3 3.13 Bt gene(+) 10 3 10 8 2.67 ──────────────────────────────────
【0054】試験2
【表3】 ────────────────────────────────── コブノメイガの生長ステージ 生存した ────────────────── ブノメイガの 死亡 4令 平均重量(mg) ────────────────────────────────── 日本晴 5 5 1.48 Bt gene(-) 4 4 1.58 Bt gene(+) 20 4 1.0 ────────────────────────────────── このように、導入された遺伝子由来のBt毒素タンパク質
を高度に発現しているイネは、鱗翅目のイネ害虫に対し
て有効であるといえる。
【0055】
【発明の効果】本発明の殺虫性タンパク質をコードする
遺伝子は、Bt毒素様のタンパク質をコードし、イネ科植
物のコドンに適合させて改変されたものであることか
ら、イネ科植物において高発現し、かかる遺伝子を導入
して形質転換されたイネ科植物は、殺虫性を有する作物
としての有用性が期待される。
【0056】
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:2172 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状: 配列の種類:その他の核酸 合成DNAおよびGenomic DNAの結合体 配列の特徴 特徴を表わす記号:Peptide 存在位置:1..2172 特徴を決定した方法:EおよびS 配列 ATG GAC AAC AAC CCC AAC ATC AAC GAA TGC ATC CCG TAC AAC TGC CTC 48 Met Asp Asn Asn Pro Asn Ile Asn Glu Cys Ile Pro Tyr Asn Cys Leu 1 5 10 15 AGC AAC CCG GAG GTC GAG GTC CTC GGC GGC GAG AGG ATC GAG ACT GGC 96 Ser Asn Pro Glu Val Glu Val Leu Gly Gly Glu Arg Ile Glu Thr Gly 20 25 30 TAC ACC CCG ATC GAC ATC TCC CTC TCC CTC ACC CAG TTC CTC CTC AGC 144 Tyr Thr Pro Ile Asp Ile Ser Leu Ser Leu Thr Gln Phe Leu Leu Ser 35 40 45 GAG TTC GTC CCG GGC GCC GGC TTC GTC CTC GGA CTA GTT GAT ATA ATA 192 Glu Phe Val Pro Gly Ala Gly Phe Val Leu Gly Leu Val Asp Ile Ile 50 55 60 TGG GGA ATT TTT GGT CCC TCT CAA TGG GAC GCA TTT CTT GTA CAA ATT 240 Trp Gly Ile Phe Gly Pro Ser Gln Trp Asp Ala Phe Leu Val Gln Ile 65 70 75 80 GAA CAG TTA ATT AAC CAA AGA ATA GAA GAA TTC GCC CGC AAC CAG GCC 288 Glu Gln Leu Ile Asn Gln Arg Ile Glu Glu Phe Ala Arg Asn Gln Ala 85 90 95 ATC TCC AGG CTC GAG GGC CTC AGC AAC CTC TAC CAG ATC TAC GCC GAG 336 Ile Ser Arg Leu Glu Gly Leu Ser Asn Leu Tyr Gln Ile Tyr Ala Glu 100 105 110 TCC TTC AGG GAG TGG GAG GCC GAC CCG ACC AAC CCG GCC CTC AGG GAG 384 Ser Phe Arg Glu Trp Glu Ala Asp Pro Thr Asn Pro Ala Leu Arg Glu 115 120 125 GAG ATG CGC ATC CAG TTC AAC GAC ATG AAC AGC GCC CTC ACC ACC GCC 432 Glu Met Arg Ile Gln Phe Asn Asp Met Asn Ser Ala Leu Thr Thr Ala 130 135 140 ATC CCG CTC TTC GCC GTC CAG AAC TAC CAG GTC CCG CTC CTC TCC GTC 480 Ile Pro Leu Phe Ala Val Gln Asn Tyr Gln Val Pro Leu Leu Ser Val 145 150 155 160 TAC GTC CAG GCC GCC AAC CTC CAC CTC TCC GTC CTC AGG GAC GTC TCC 528 Tyr Val Gln Ala Ala Asn Leu His Leu Ser Val Leu Arg Asp Val Ser 165 170 175 GTG TTC GGC CAG AGG TGG GGC TTC GAC GCC GCG ACC ATC AAC AGC CGC 576 Val Phe Gly Gln Arg Trp Gly Phe Asp Ala Ala Thr Ile Asn Ser Arg 180 185 190 TAC AAC GAC TTG ACC AGG CTC ATC GGC AAC TAC ACC GAC CAC GCC GTC 624 Tyr Asn Asp Leu Thr Arg Leu Ile Gly Asn Tyr Thr Asp His Ala Val 195 200 205 CGC TGG TAC AAC ACC GGC CTC GAG CGC GTC TGG GGC CCG GAC TCT AGG 672 Arg Trp Tyr Asn Thr Gly Leu Glu Arg Val Trp Gly Pro Asp Ser Arg 210 215 220 GAC TGG GTC AGG TAC AAC CAG TTC AGG AGG GAG CTG ACC CTC ACC GTC 720 Asp Trp Val Arg Tyr Asn Gln Phe Arg Arg Glu Leu Thr Leu Thr Val 225 230 235 240 CTC GAC ATC GTC GCC CTC TTC TCC AAC TAC GAC AGC AGG ACC TAC CCG 768 Leu Asp Ile Val Ala Leu Phe Ser Asn Tyr Asp Ser Arg Thr Tyr Pro 245 250 255 ATC CGC ACC GTC TCC CAG CTC ACC AGG GAG ATC TAC ACC AAC CCG GTC 816 Ile Arg Thr Val Ser Gln Leu Thr Arg Glu Ile Tyr Thr Asn Pro Val 260 265 270 CTC GAG AAC TTC GAC GGC AGC TTC CGC GGC TCC GCC CAG GGC ATC GAG 864 Leu Glu Asn Phe Asp Gly Ser Phe Arg Gly Ser Ala Gln Gly Ile Glu 275 280 285 GGC AGC ATC AGG AGC CCG CAC CTC ATG GAC ATC CTC AAC AGC ATC ACC 912 Gly Ser Ile Arg Ser Pro His Leu Met Asp Ile Leu Asn Ser Ile Thr 290 295 300 ATC TAC ACC GAC GCC CAC AGG GGC GAG TAC TAC TGG TCC GGC CAC CAG 960 Ile Tyr Thr Asp Ala His Arg Gly Glu Tyr Tyr Trp Ser Gly His Gln 305 310 315 320 ATC ATG GCC TCC CCG GTC GGC TTC TCC GGC CCG GAG TTC ACC TTC CCG 1008 Ile Met Ala Ser Pro Val Gly Phe Ser Gly Pro Glu Phe Thr Phe Pro 325 330 335 CTC TAC GGC ACG ATG GGC AAC GCC GCC CCG CAG CAA CGC ATC GTC GCC 1056 Leu Tyr Gly Thr Met Gly Asn Ala Ala Pro Gln Gln Arg Ile Val Ala 340 345 350 CAG CTC GGC CAG GGC GTC TAC AGG ACC CTC AGC TCC ACC CTC TAC AGG 1104 Gln Leu Gly Gln Gly Val Tyr Arg Thr Leu Ser Ser Thr Leu Tyr Arg 355 360 365 AGG CCT TTC AAC ATC GGC ATC AAC AAC CAG CAG CTC TCC GTC CTC GAC 1152 Arg Pro Phe Asn Ile Gly Ile Asn Asn Gln Gln Leu Ser Val Leu Asp 370 375 380 GGC ACC GAG TTC GCC TAC GGC ACC TCC TCC AAC TTG CCG TCC GCC GTC 1200 Gly Thr Glu Phe Ala Tyr Gly Thr Ser Ser Asn Leu Pro Ser Ala Val 385 390 395 400 TAC AGG AAG AGC GGC ACC GTG GAC TCC CTC GAC GAG ATC CCG CCG CAG 1248 Tyr Arg Lys Ser Gly Thr Val Asp Ser Leu Asp Glu Ile Pro Pro Gln 405 410 415 AAC AAC AAC GTC CCG CCG AGG CAG GGC TTC AGC CAC CGC CTC AGC CAC 1296 Asn Asn Asn Val Pro Pro Arg Gln Gly Phe Ser His Arg Leu Ser His 420 425 430 GTC TCC ATG TTC CGC TCC GGC TTC AGC AAC AGC AGC GTC AGC ATC ATC 1344 Val Ser Met Phe Arg Ser Gly Phe Ser Asn Ser Ser Val Ser Ile Ile 435 440 445 AGA GCT CCC ATG TTC TCG TGG ATT CAC CGC TCG GCG GAG TTC AAC AAC 1392 Arg Ala Pro Met Phe Ser Trp Ile His Arg Ser Ala Glu Phe Asn Asn 450 455 460 ATC ATC CCC TCG TCA CAG ATC ACG CAG ATC CCC CTG ACA AAG AGT ACG 1440 Ile Ile Pro Ser Ser Gln Ile Thr Gln Ile Pro Leu Thr Lys Ser Thr 465 470 475 480 AAC CTG GGG TCG GGA ACA TCG GTG GTG AAG GGG CCC GGA TTC ACG GGG 1488 Asn Leu Gly Ser Gly Thr Ser Val Val Lys Gly Pro Gly Phe Thr Gly 485 490 495 GGA GAC ATC CTG CGC CGC ACT TCG CCC GGG CAG ATT TCA ACG CTG CGC 1536 Gly Asp Ile Leu Arg Arg Thr Ser Pro Gly Gln Ile Ser Thr Leu Arg 500 505 510 GTG AAC ATC ACG GCG CCC CTG TCG CAG CGC TAT CGG GTG CGC ATT CGC 1584 Val Asn Ile Thr Ala Pro Leu Ser Gln Arg Tyr Arg Val Arg Ile Arg 515 520 525 TAC GCG TCT ACG ACA AAC CTT CAG TTC CAC ACG TCA ATC GAC GGG CGC 1632 Tyr Ala Ser Thr Thr Asn Leu Gln Phe His Thr Ser Ile Asp Gly Arg 530 535 540 CCC ATC AAC CAG GGG AAC TTC TCG GCG ACA ATG TCG TCG GGG TCG AAC 1680 Pro Ile Asn Gln Gly Asn Phe Ser Ala Thr Met Ser Ser Gly Ser Asn 545 550 555 560 CTT CAG TCG GGA AGC TTC AGG ACC GTC GGC TTC ACC ACC CCG TTC AAC 1728 Leu Gln Ser Gly Ser Phe Arg Thr Val Gly Phe Thr Thr Pro Phe Asn 565 570 575 TTC TCC AAC GGC TCC AGC GTC TTC ACC CTC AGC GCT CAT GTC TTC AAC 1776 Phe Ser Asn Gly Ser Ser Val Phe Thr Leu Ser Ala His Val Phe Asn 580 585 590 TCC GGC AAC GAG GTC TAC ATC GAT CGC ATC GAG TTC GTC CCG GCC GAG 1824 Ser Gly Asn Glu Val Tyr Ile Asp Arg Ile Glu Phe Val Pro Ala Glu 595 600 605 GTC ACC TTC GAG GCC GAG TAC GAC CTC GAG AGG GCC CAG AAG GCC GTC 1872 Val Thr Phe Glu Ala Glu Tyr Asp Leu Glu Arg Ala Gln Lys Ala Val 610 615 620 AAC GAG CTG TTC ACC TCC AGC AAC CAG ATC GGC CTC AAG ACC GAC GTC 1920 Asn Glu Leu Phe Thr Ser Ser Asn Gln Ile Gly Leu Lys Thr Asp Val 625 630 635 640 ACC GAC TAC CAC ATT GAT CAA GTA TCC AAT TTA GTT GAG TGT TTA TCT 1968 Thr Asp Tyr His Ile Asp Gln Val Ser Asn Leu Val Glu Cys Leu Ser 645 650 655 GAT GAA TTT TGT CTG GAT GAA AAA AAA GAA TTG TCC GAG AAA GTC AAA 2016 Asp Glu Phe Cys Leu Asp Glu Lys Lys Glu Leu Ser Glu Lys Val Lys 660 665 670 CAT GCG AAG CGA CTT AGT GAT GAA CGG AAT TTA CTT CAA GAT CCA AAC 2064 His Ala Lys Arg Leu Ser Asp Glu Arg Asn Leu Leu Gln Asp Pro Asn 675 680 685 TTT AGA GGG ATC AAT AGA CAA CTA GAC CGT GGC TGG AGA GGA AAT ACG 2112 Phe Arg Gly Ile Asn Arg Gln Leu Asp Arg Gly Trp Arg Gly Asn Thr 690 695 700 GAT ATT ACC ATC CAA GGA GGC CAT GAC GTA TTC AAA GAG AAT TAC GTT 2160 Asp Ile Thr Ile Gln Gly Gly His Asp Val Phe Lys Glu Asn Tyr Val 705 710 715 720 ACG CTA TTG GGT 2172 Thr Leu Leu Gly
【図面の簡単な説明】
【図1】 オリゴヌクレオチドから2本鎖DNAをPC
R法で得る方法を模式的に表わした図面である。
【図2】 オリゴヌクレオチドから2本鎖DNAをPC
R法で得る方法を模式的に表わした図面である。
【図3】 オリゴヌクレオチドから2本鎖DNAをPC
R法で得る方法を模式的に表わした図面である。
【図4】 PCR法に用いた各プライマー(セグメント
1)の塩基配列を表わす図面である。
【図5】 PCR法に用いた各プライマー(セグメント
5)の塩基配列を表わす図面である。
【図6】 PCR法に用いた各プライマー(セグメント
4)の塩基配列を表わす図面である。
【図7】 PCR法に用いた各プライマー(セグメント
2)の塩基配列を表わす図面である。
【図8】 PCR法に用いた各プライマー(セグメント
6)の塩基配列を表わす図面である。
【図9】 PCR法に用いた各プライマー(セグメント
3)の塩基配列を表わす図面である。
【図10】 プラスミドpMCSC8、pMCSA8およびpMCSK8の
構築の際に置き換えたクローニングサイトを表わす図面
である。
【図11】 プラスミドpBT1291の構築概念を表わす図
面である。
【図12】 形質転換細胞のスクリーニングにおいてP
CR反応産物を電気泳動パターンで表わした図面であ
る。
【図13】 導入された遺伝子の全長をサザン法により
検出した電気泳動パターンを表わす図面である。
【図14】 導入された遺伝子のmRNAをノザン法に
より検出した電気泳動パターンを表わす図面である。
【図15】 導入されたBt毒素タンパク質をウェスタン
法により検出した電気泳動パターンを表わす図面であ
る。
【図16】 イネ遺伝子からのコドン使用率を表わす図
面である。
【図17】 イネの葉で高度に発現されていると考えら
れる遺伝子のコドン使用率を表わす図面である。
【図18】 配列番号1に記載の塩基配列で表わされる
遺伝子のコドン使用率を表わす図面である。
【図19】 形質転換体の次世代におけるPCR反応産
物を電気泳動パターンで表わした図面である。
【図20】 形質転換体の次世代において導入されたBt
毒素タンパク質をウェスタン法により検出した電気泳動
パターンを表わす図面である。
【図21】 イネ遺伝子、イネの葉で高度に発現されて
いると考えられる遺伝子、配列番号1に記載の塩基配列
で表わされる遺伝子および天然のBt毒素タンパク質の遺
伝子にみられる個々のアミノ酸におけるコドン使用率を
表わした図面である。
【図22】 イネ遺伝子、イネの葉で高度に発現されて
いると考えられる遺伝子、配列番号1に記載の塩基配列
で表わされる遺伝子および天然のBt毒素タンパク質の遺
伝子にみられる個々のアミノ酸におけるコドン使用率を
表わした図面である。
【図23】 イネ遺伝子、イネの葉で高度に発現されて
いると考えられる遺伝子、配列番号1に記載の塩基配列
で表わされる遺伝子および天然のBt毒素タンパク質の遺
伝子にみられる個々のアミノ酸(メチオニンおよびトリ
プトファンを除く) におけるコドンXXC/G使用率を表わした図面であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、殺虫性タンパク質の合
成遺伝子、該遺伝子を導入して得られたイネ科植物及び
その製造方法に関し、詳細には微生物農薬として知られ
るバチルス・スリンジェンシス変種クルスタキHD-1(Bac
illus thuringiensis var. kurustakiHD-1)由来の結晶
タンパク質(δーエンドトキシン)様物質をコードする
合成遺伝子及び該遺伝子を導入することによる耐虫性植
物イネ科植物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
微生物そのものまたは微生物が産生する物質を利用した
微生物農薬に関する研究が活発に進められている。例え
ばバチルス・スリンジェンシス(Bacillus thuringiensi
s):以下「Bt」と略記することもある)は、幾つもの害
虫に対して高い毒性を有することが見いだされている、
グラム陽性の細菌であり(Angus,T.A, Nature, 174, 54
5, 1954)、産生する毒素として、αーエキソトキシン、
βーエキソトキシン、γーエキソトキシン、δーエンド
トキシンが知られている。中でもδーエンドトキシンは
Bt菌が胞子形成時に産生するタンパク質の結晶封入体と
して特に注目され、現在利用されている。各種のBt菌株
の結晶タンパク質は宿主の範囲が狭く、極めて選択的な
微生物殺虫剤として有用であり、人や環境に対する害作
用が少ないなどの特徴をもつ。Bt菌の宿主の範囲は、鱗
翅目、双翅目、鞘翅目の昆虫であり、産生する結晶タン
パク質の昆虫殺虫スペクトラムによって大きく5つの型
に分類されている。
【0003】かかる結晶タンパク質に関する遺伝子工学
的研究もめざましく進歩しており、植物へ導入すること
による耐虫性作物の育種に関する研究も行われている。
例えば、Plant Genetic Systems社(ベルギー)は、Bt
の殺虫タンパク質遺伝子を組み込んだ耐性タバコの作出
に成功した(Vaeckら, Nature, 328: 33-37,1987)。この
論文では、Btの殺虫タンパク質遺伝子の全域よりも3'末
端側を約半分欠如した遺伝子を導入した方が、効率よく
該タンパク質を発現した。
【0004】またMonsanto社は、ほぼ同様の手法によ
、Btの殺虫タンパク質遺伝子をトマトに導入すること
に成功した(Fischhoff et al., Bio/Technology, 5, 80
7-813,1987)。しかし、これらの論文ではウエスタン法
でタンパク質を検出できておらず、天然のBt殺虫性タン
パク質遺伝子を導入しても十分にBtの殺虫性タンパク質
を発現させることは困難だと思われる。
【0005】ここで遺伝子の翻訳に注目すると、Viotti
ら(Bio-chim. Biophys. Acta, 517,125ー132, 1978)の報
告によれば、グルタミン,ロイシンおよびアラニンが豊
富な貯蔵タンパク質であるゼインを活発に合成するトウ
モロコシの胚乳は、これら3つのアミノ酸に対する翻訳
活性を受容するレベルがトウモロコシの胚のtRNAよりも
高いという特徴がある。このことは、特定の植物組織の
tRNA集団が、ゼインの様な高度に発現されるタンパク質
が最適に翻訳されるように構築されていることを示して
いる。
【0006】Wilburらは高等植物とバクテリアでコドン
使用率の違いについて報告している(PlantPhysiol. 92,
1-11,1990)。高等植物においてコドンXCGとXUA使用率
は双子葉植物でそれぞれ1.8%, 3.2%、単子葉植物でそれ
ぞれ6.3%, 1.4%であり、コドンXXCとXXGの和の使用率
(以下、「コドンXXC/G使用率」と略す。ここでXは同
一または異なっていてもよく、それぞれ独立してA、
G、CまたはTの任意の塩基を表す)が双子葉植物では
45%であるのに対して、単子葉植物では73.5%にも達して
いる。即ち、イネ科植物等の単子葉植物においては、翻
訳される遺伝子中でGC含量が双子葉植物に比較して高い
ことが確認されている。一方バクテリアは種によって偏
りがあるが、Bt毒素遺伝子(δーエンドトキシン)では、
例えばB.t.var kurustaki HD-1(cryIA(b))ではコドンXC
GとXUA使用率がそれぞれ10.4%, 3.3%、コドンXXC/G使用
率は24.4%であり、天然型の遺伝子は植物組織中のtRNA
集団では、十分に翻訳しにくい状態であることが推定さ
れる。
【0007】Monsanto社のFrederickにより(Bio/Techno
logy, 8, 939-942, 1990)、ワタにおいて、3'末端を切
り取り、コドンを改変した遺伝子でBt毒素を多く発現さ
せた最初の報告がなされた。Bt菌の毒素タンパク質(δ
−エンドトキシン)を変化させずに化学合成した遺伝子
をカリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター
(35Sプロモーターの増幅領域を付加した)の下流に
つないでアグロバクテリウムを介して導入された。導入
した合成遺伝子はB.t. var kurustaki HD-1(cryIA(b))
とHD-73(cryIA(c))であり、それぞれのコドン使用率を
植物のそれに近づけている。その結果、葉において可溶
性タンパク質の0.05-0.1%発現しており、この値は天然
型遺伝子を導入したときの50-100倍に達している。コッ
トンボールワームを用いた飼育検定法でも、70-100% の
レベルで防御している。
【0008】同様にFrederickら(Proc. Natl. Acad. Sc
i., 88, 3324-3328, 1991)は、コドンを変化させると
き、遺伝子のどの部位が植物での発現に効果的か検討し
ている。改変する部位を9ヶ所選び、その数種の組合せ
と完全に改変させた遺伝子を作製し、アグロバクテリウ
ムを介してタバコとトマトに導入し、解析した。結果、
遺伝子の前半700bpの4ヶ所を改変した時が9ヶ所全て
を改変した場合の約80%の効果があり、後半を改変した
時は発現した毒素タンパク質を検出できなかった。前半
の中でも遺伝子5'側の246ー283bpを改変させた時の効果
が1番大きく、全域にわたって改変させた場合の53-80%
であった。
【0009】Monsanto社により、上記の様に遺伝子のコ
ドン使用率を変化させることによって、ワタ、タバコ、
トマトでBtタンパク質の高発現が可能なことが示され
た。また、ルブリゾルジェネテイクス社は殺虫性結晶タ
ンパク質の合成遺伝子についての特許(特開平2-186989
号公報参照)で、同様にコドン使用率について検討を加
えた合成遺伝子に関する報告をしているが、実際に合成
し、発現させた植物はタバコでの例である。
【0010】以上2つの例で明らかであるように、これ
までの報告は双子葉植物の例でありイネ科植物等の単子
葉植物について十分に検出できる程該殺虫性結晶タンパ
ク質を高発現させた報告は未だなされていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、植物中で
Bt毒素遺伝子の発現は、3'末端を切り取り、更にコド
ン使用率がその植物に適合することが重要であることに
着目し、該遺伝子のイネ科植物での発現を検討した結
果、特定の改変遺伝子がBt毒素様のタンパク質をコード
し、かつイネ科植物において発現し得ることを初めて見
い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】即ち本発明の要旨は、イネ科植物の遺伝子
にみられるコドン使用率に適合させて改変された殺虫性
タンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子が導入された
ベクター、該ベクターで形質転換されたイネ科植物およ
びその製造法に存する。以下、本発明につき詳細に説明
する。本発明において対象となる植物はイネ科植物であ
り、イネ科に属するものであれば特に制限はされない。
具体的にはイネ、ムギ(コムギ、オオムギ、ライムギ
等)、ヒエ、アワ、シバ、トウモロコシ等が挙げられ、
本発明においては特にイネが好ましい。本発明の遺伝子
Bt毒素タンパク質と機能的に同等のタンパク質をコー
ドするよう化学的,酵素学的に改変される。この改変遺
伝子は、イネ科植物内で、特にその葉部において天然の
Bt遺伝子よりも高いレベルで発現されるように設計され
ており、さらにその塩基配列は、例えばBt毒素の宿主特
異性を決める領域等を簡単につなぎ変えられるよう約20
0-400bpごとに6bpの制限酵素部位を保持するよう設計さ
れる。ここに示された改変遺伝子の塩基配列は、例えば
天然のBt毒素タンパク質のアミノ酸配列を基にしてアミ
ノ酸配列を変化させることなく、それぞれのアミノ酸に
於けるコドンの種類だけを変化させるように合成され
る。即ち、アミノ酸におけるコドンの変化の度合は、イ
ネ科植物の遺伝子に見られるコドン使用率(植物体組織
の平均値)に合わせられる。このコドン使用率は、次の
3つの視点から考慮される。 全64コドンの内、終止コドン(TAA、TAGおよびTG
A)を除いた61コドンの使用率。 20種類のアミノ酸の内、対応するコドンを1つし
か持たないメチオニンおよびトリプトファンを除いた1
8種類のアミノ酸それぞれのコドン使用率。 双子葉植物と単子葉植物とのコドンXXC/G使用率の
相違を考慮した上記の18種類のアミノ酸それぞれの
コドンXXC/G使用率。 さらにイネ科植物の葉部で高発現することが望まれるBt
毒素タンパク質の遺伝子は、植物の組織によってコドン
使用率が異なることを考慮して、イネ科植物の葉部で高
度に発現していると思われる遺伝子より上記〜の使
用率をそれぞれ求め、これらのコドン使用率に適合させ
ることが好ましい。また、それぞれのアミノ酸コドンの
分布はその合成される遺伝子の全域にわたって均等に分
布していることが望ましい。
【0013】この遺伝子の実際の設計においてはB.t. v
ar kurustaki HD-1(cryIA(b))のアミノ酸配列(J. Bac.,
166, 801-811, 1986)から推定される塩基配列より合成
遺伝子中に取り込み可能な制限酵素部位を設定する。制
限酵素部位はそれぞれのセグメントを連結するのに必要
な部位である。例えば対象とする植物をイネとする場
合、コドンの選択は、現在までに発表されたイネ各組織
の遺伝子から、 全64コドンの内、終止コドンを除いた61コドン
での使用率(図16) 対応するコドンを1つしか持たないメチオニンおよ
びトリプトファンを除いた18種類のアミノ酸それぞれ
のコドン使用率(図21および図22 Riceの項) の18種類のアミノ酸それぞれのコドンXXC/G使
用率(図23 Riceの項)の平均値と、さらにイネの葉
部で高度に発現されていると思われる遺伝子について、 全64コドンの内、終止コドンを除いた61コドン
での使用率(図17) 対応するコドンを1つしか持たないメチオニンおよ
びトリプトファンを除いた18種類のアミノ酸それぞれ
のコドン使用率(図21および図22 Rice-leafの
項) の18種類のアミノ酸それぞれのコドンXXC/G使
用率(図23 Rice-leafの項) をそれぞれ求めた。このとき、それぞれのアミノ酸に対
するコドンの割合を、天然型B.t.δ−エンドトキシンの
アミノ酸配列にイネ遺伝子のコドン使用率(図16)
±4%の範囲内で適合させることが望ましく、またの
コドン使用率(図21および図22 Riceの項)±40
%の範囲内で適合させることがより望ましく、さらには
Bt毒素タンパク質を構成するアミノ酸の中で含有率の高
い上位10種アミノ酸(例えばcryIA(b)の場合はアルギ
ニン、ロイシン、セリン、グリシン、スレオニン、バリ
ン、イソロイシン、アスパラギン、グルタミン酸、フェ
ニルアラニン)をのコドン使用率(図23 Riceの
項)±25%の範囲内で適合させるよう考慮することが
より一層望ましい。本発明においては、イネの葉部で高
度に発現されていると思われる遺伝子のコドン使用率
(図17)、(図21および図22 Rice-leafの
項)、(図23 Rice-leafの項)に近い値で適合す
るように選択することが最も好ましい。また、それぞれ
のアミノ酸に対するコドンの分布は上記のように全塩基
配列中に均等になるよう設計されることが望ましい。
【0014】こうして設計された合成遺伝子の塩基配列
の1例を、配列表の配列番号1に、同配列における全6
4コドンの内終止コドンを除いた61コドンでの使用率
を図18に、メチオニンおよびトリプトファンを除いた
18種類の個々のアミノ酸におけるコドン使用率を図2
1および図22 BTHSyn.の項に、同18種類個々のア
ミノ酸におけるコドンXXC/G使用率を図23 BTHSyn.の
項に示す。この合成遺伝子のコドン使用率をイネにおけ
る61種類のコドンのコドン使用率と比較すると、アス
パラギンのコドンAACで3.51%の差を最大として、その他
のコドンでほぼ2%の差で一致し、さらにイネの葉で高度
に発現していると思われる遺伝子のコドン使用率と比較
すると、アスパラギンのコドンAACで3.33%の差を最大と
して、よりイネの葉部におけるコドン使用率に近づいて
いる。またメチオニンおよびトリプトファンを除いた1
8種類のアミノ酸のアミノ酸ごとのコドン使用率を比較
すると、プロリンのコドンCCGで36.9%の差を最大とし
て、その他のコドンはほぼ20%の差で一致し、さらにイ
ネの葉で高度に発現していると思われる遺伝子のコドン
使用率と比較すると、リジンのコドンAAGで37%の差を最
大として、その他のコドンではよりイネの葉部における
コドン使用率に近づいている。また、各アミノ酸ごとの
コドンXXC/G使用率をこのBt毒素タンパク質を構成する
上位10種のアミノ酸、アルギニン、ロイシン、セリ
ン、グリシン、スレオニン、バリン、イソロイシン、ア
スパラギン、グルタミン酸、フェニルアラニンについて
比較すると、セリンの24.2%を最大にしてその他のコド
ンでは約15%前後で一致し、さらにイネの葉で高度に発
現していると思われる遺伝子のコドンXXC/G使用率と比
較すると、セリンの13.2%の差を最大として、その他の
コドンではよりイネの葉部のコドンXXC/G使用率に近づ
いている。なお、本発明においては、殺虫活性を損なわ
ない範囲で、または殺虫活性を増強する目的で、一部の
塩基を除去、置換あるいは追加する等の改変を行ったも
のもその範囲に含まれる。
【0015】このように設計された遺伝子は、上記の塩
基配列にしたがって、例えば常法で合成された20-100塩
基程度の1本鎖オリゴヌクレオチドとポリメラーゼチェ
インリアクション法(以下PCRと略す(Am. J. Hum. G
enet., 37, 172, 1985))を用いて各セグメントを2本
鎖DNAに合成される。合成方法としては以下のような
方法が例として挙げられる。図1ー3にPCR法により
各セグメントを2本鎖にした模式図の例を示す。 例1 図1に基本的な方法を示した。例えば130bpの2本鎖DNA
を合成する場合、2本の70ntオリゴヌクレオチドをそれ
ぞれの3'末端で約10bp相補鎖を形成するように合成し、
このオリゴヌクレオチドを標準的なPCR法の混合液と合
わせPCR反応を行うことにより目的の2本鎖DNAが
得られる。 例2 かかる方法の応用例を、図2に示す。370bpの2本鎖DNA
を合成する場合、まずオリゴヌクレオチドを例1の
ように処理して130bpのDNAを得る。次に得られたD
NAとオリゴヌクレオチドでPCR反応を行う。最
後に2回目のPCR反応で得られたDNA250bpとオリ
ゴヌクレオチドでPCR反応を行い目的の2本鎖D
NAを得る。この例では長い領域にわたって制限酵素部
位がない場合、一度に長い2本鎖DNAが得られる利点
がある。 例3 図3に別の応用例を示す。例えば260bpの2本鎖DNAを合
成する場合、図のように制限酵素部位がある時、オリゴ
ヌクレオチドと、とそれぞれで例1のようにP
CR反応を行い、130bpの2本鎖DNAを得る。得られ
たDNAをそれぞれの断片が接する制限酵素で切断後、
酵素的に結合し、その産物の1部とオリゴヌクレオチド
で再度PCR反応を行い目的の2本鎖DNAを得
る。この例では短いセグメントを個々にクローニングす
る手間を省き、さらに酵素的に結合した目的のDNAを
すばやく増幅し、クローニングを簡単にする。さらに、
例2および3を組み合わせた方法も利用できる。
【0016】例2もしくは例3により合成された200ー40
0bpの2本鎖DNAセグメントはマルチプルクローニン
グサイトを有する大腸菌ベクター、例えばpUC18、19(Ge
ne,33, 103, 1985)、pHSG298、299、398、399(Gene, 6
1, 63, 1987)、pBSIIKS+/-、pBSIISK+/-(Stratagene
社)、あるいはクローニングサイトを改変した類似のベ
クターにクローニングされる。この後、クローニングさ
れた各々のセグメントはSangerら、(Proc. Natl. Acad.
Sci., 74, 5463-5467, 1977)のジデオキシ法を用いて
配列を決定、確認される。各々のセグメントは常法によ
り、両端に有する制限酵素部位を利用して制限酵素で切
断後、T4DNAリガーゼで結合され最終的に毒素タンパク
質をコードする全長の構造遺伝子となる。
【0017】得られた構造遺伝子はイネ科植物中で発現
するプロモーターとターミネーター、もしくは必要に応
じてイントロンを有するプラスミドベクターに組み込ま
れる。利用するプロモーターとして、例えばCaMV35S(pB
I221: EMBO.J., 6, 3901-3907, 1987)等のカリフラワー
モザイクウイルス由来のプロモーター、rbcS(ribulose1.
5-bisphosphate carboxylase)、Cab(chlorophyll a/b b
inding protein)等(Science, 244, 174, 1989)植物中で
発現することが確認されたプロモーターがあげられる。
【0018】ターミネーターとしては、例えばカリフラ
ワーモザイクウイルス由来のターミネーター,NOS(ノパ
リン合成酵素)遺伝子由来のターミネーター等があげら
れる。また、プロモーターと構造遺伝子の間にイントロ
ンを配するベクターも高発現ベクターとして利用でき、
イントロンとしては、例えばトウモロコシAdh1(アルコ
ールデヒドロゲナーゼ)の第一イントロン(Genes&Devel
opment, 1, 1183-1200, 1987)、ヒマCat(カタラーゼ)
の第一イントロン(Tanakaら, Nucleic Acids Research,
18, 6767-6770, 1990)等があげられる。
【0019】本発明においては更に、ハイグロマイシン
フォスフォトランスフェラーゼ遺伝子、ネオマイシンフ
ォスフォトランスフェラーゼ遺伝子、クロラムフェニコ
ールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、β−グルキュ
ロニダーゼ遺伝子等から選ばれる2つ以上の外来遺伝子
を使用し、かつその1つは目的とするコロニーを選択す
る際に有効な、いわゆる選択マーカー遺伝子を使用する
のが好ましい。かかる選択マーカー遺伝子としては、ハ
イグロマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子が
好ましい。
【0020】本発明においては、選択マーカー遺伝子と
他の外来遺伝子を同一のプラスミド中に有するものを使
用してもよいし、選択マーカー遺伝子を有するプラスミ
ドと他の外来遺伝子を有するプラスミドとを併用しても
よい。ベクターはイネ科植物を形質転換するのに用いら
れる。すなわち、イネ科植物由来のプロトプラストを液
体媒体に懸濁し、電気パルスを印加して該ベクターを導
入した後、イネ培養細胞を含有する培地で培養しコロニ
ーを形成させ、該コロニーから植物体を再生させる方法
である(Shimamoto et al., Nature, 337, 274-276, 198
9)。
【0021】プロトプラストは次のようにして調製する
ことができる。例えば、日本晴、コシヒカリ、ササニシ
キ等の栽培イネの完熟及び未熟種子、葉しよう、根の組
織に由来するサスペンジョン細胞あるいはカルスを液体
培地で培養した後、常法に従い、例えばセルラーゼやマ
セロザイム等の細胞壁分解酵素を含む酵素液中25−3
0℃, 0-50spmの条件で3−16時間程度酵素処理す
る。酵素処理終了後、濾過して未消化物を除き、ろ液に
2ー5倍量のKMC液(0.118M 塩化カリウム, 0.0817M 塩
化マグネシウム, 0.085M 塩化カルシウム, pH6.0)(Theo
r. Appl. Genet.,53, 57-63,1978)等を加え遠心分離し
て、精製されたプロトプラストを得ることができる。
【0022】上記のようにして調製した遺伝子を含む発
現ベクター、例えば1-100μg/mlと、上記植物由来のプ
ロトプラスト、例えば(2-10)x106個/mlとを、30-200mM
塩化カリウム, 0-50mM塩化マグネシウム, 0.2-0.6Mマニ
トールを含む緩衝液等の液体媒体中に懸濁し、これに電
気パルスを印加してプラスミドをプロトプラスト中に導
入する。電気パルス処理は,100-1000μFのコンデンサー
を用いて得られる200-1000V/cmの初期電圧の直流パルス
で、パルス幅1-50msec程度の条件で印加するのが好適で
ある(特開平1-181791号公報参照)。
【0023】上述のように電気パルス処理したプロトプ
ラストを、例えばR2培地(Plant.Cell. Physiol., 14,
1113, 1973)の無機成分とMS培地(Murashige and Sk
oog, 15, 473-497, 1962)のビタミン混合液を含む液体
培地(R2/MS)あるいはMS培地で、好ましくは窒素源とし
て硝酸カリウムを0.2-0.5%含有する培地に懸濁し、これ
を1.0ー3.0%程度のアガロースを含むR2/MSあるいはMS培
地等と等量ずつ混ぜ、速やかにシャーレ中に広げて薄く
固める。この時のプロトプラストの濃度は約(5-50)X105
個/mlとなるようにするのが好ましい。
【0024】続いて固化したアガロースを5ー20mm大の大
きさに切断し上記液体培地上で培養する。その際、イネ
科植物由来のプロトプラストを使用した場合には、好ま
しくは培地中にイネ培養細胞を100-300mgFW/シャーレ程
度共存させ、20-50r.p.mの回転でゆっくり振とうしなが
ら、暗条件下23ー27℃で培養する。イネ培養細胞と共存
させる方法は上記の方法のほかに、プロトプラストを含
む液体培地を、底にメンブレンフィルターを設けた容器
内に入れ、その容器をイネ培養細胞と共に液体培地を入
れたシャーレに浸して共存させる方法がある。ここに示
すイネ培養細胞は、旺盛に分裂している細かい細胞塊か
ら成る物が好ましい。このような培養細胞は、例えばイ
ネ植物の種子、茎、根あるいは葯より得られたカルスを
液体培地中に継代して分裂速度の早い細胞を選抜してい
く等の公知の方法に準じて容易に得られる。
【0025】培養後3ー4週間で、0.5-1mm程度のコロニー
が形成される。その際、例えば外来遺伝子として選択標
識遺伝子でもあるハイグロマイシンホスホトランスフェ
ラーゼ遺伝子(hph)を導入しておいた場合、培養開始後
7−20日にハイグロマイシンを10-100μg/ml程度培養
液中に添加し、さらに培養を続けると目的とする形質転
換細胞の選択を効率よく行うことができる。次いでこの
コロニーを増殖培地、例えばR2培地に植物ホルモン、
例えば2.4-ジクロロフェノキシ酢酸(2.4-D)を2mg/l程
度、アガロースを0.1-1.0%加えた寒天培地上で2ー4週
間、照明下(1000-4000lux)、23ー27℃で培養し3ー6mmφの
カルスを得る。個々のカルスを単独に分離し、さらに、
例えば外来遺伝子としてhph遺伝子を導入した場合に
は、ハイグロマイシン20-50μg/mlを含む同増殖培地に
置床して培養し、ハイグロマイシン耐性を確認する。
【0026】このカルスを例えば0.5-1.5%アガロースを
含むR2/MS培地(但しホルモンフリーあるいはサイトカ
イニンを1-10mg/l添加)で23ー27℃, 2000-4000luxの条
件下で培養すれば2ー10週間で不定胚または不定芽の形成
が認められる。さらに2ー3週間ホルモンを含まないR2/MS
培地等で培養することにより、移植可能な幼植物体が得
られる。こうして得られた幼植物体は、バーミュキュラ
イト等に移植して成長させると目的とする形質転換され
たイネの植物体を得ることができる。
【0027】形質転換細胞、もしくは形質転換植物に遺
伝子が組み込まれていることは、これらからDNAを、
例えばMol. Gen. Genet., 211, 27, 1988に準じた方法
で単離し、PCR法(Am. J. Hum. Genet., 37, 172, 19
85)もしくはサザン法(J. Mol. Biol., 98, 505, 1980)
により確認できる。また、形質転換細胞が植物ゲノムに
組み込まれた遺伝子を発現していることは、例えば、導
入した遺伝子をプローブとしたノザン法(Thomas, P. et
al., Proc. Natl. Acad. Sci., 77, 5201, 1980)、導
入した遺伝子産物に対する抗血清を用いたウエスタン法
(Towbin et al.,Proc. Natl. Acad. Sci., 76, 4350, 1
979) により明らかにできる。
【0028】
【実施例】以下、本発明につき実施例を挙げて具体的に
説明するが、その要旨を越えない限り以下に限定される
ものではない。 実施例1 Bt毒素構造遺伝子の化学的、酵素的合成、及
びベクターへの結合 (1)オリゴデオキシヌクレオチドの調整 前述のようにして設計されたBt遺伝子の塩基配列(配列
表の配列番号1)にしたがって各セグメント1ー6に対す
るオリゴヌクレオチドを合成した。オリゴヌクレオチド
の調整は、Matteucciら (1981) J. Am. Chem. Soc. 10
3, 3185-3192およびBeaucageら、(1981) Tetrahedron L
ett. 22, 1859-1862に記載されている一般的な手法にし
たがって実施する。オリゴヌクレオチドはすべて,Appli
ed Biosystems 391形DNA合成装置を用いて、固相ホス
ホアミダイトトリエステル・カップリング法で調整し
た。オリゴマーの個体担体からの脱保護と分離は、標準
法にしたがい28%アンモニア水を用いて行った。粗製オ
リゴヌクレオチド混合物は、オリゴヌクレオチド精製カ
ートリッジ(OPCカラム、Applied Biosystems)を用い、M
cbridgら (1988) Biotechniques, 6; 362-367)に記載さ
れているのと同様にして精製する。 (2)PCR法による2本鎖DNA化 実際に用いた各セグメントごとのオリゴヌクレオチドの
長さ及び配列を図4−9に示した。また、各セグメント
の部位を図11に示す。
【0029】セグメント1は両端にSalI,SpeI部位を持
つ190bpの断片でこれは4本のオリゴヌクレオチドから
作られた(図4)。セグメント1は前述の例2(図2)
のように、まずプライマー1-3および1-4でPCR(Am.
J. Hum. Genet., 37, 172, 1985)を行った。PCRはプ
ライマー濃度各10μM, 10mM Tris-HCl(pH8.3), 1.5mM M
gCl2,50mM KCl, 0.005% Tween20, 0.005% NP-40, 0.001
% Gelatin, dA, dG, dC,dTTP各200μM, REPLITHERM The
rmostable DNA Polymerase (EPISENTRE社) 5unit, 全10
0μlの反応液をDNAサーマルサイクラーPJ1000(PERKI
N-ELMER CETUS社)をもちいて、94℃,1min., 50-55
℃,2min., 72℃,3min. を30回繰り返し反応させて行
った。以後、(2)の項におけるPCR法による2本鎖
DNA化のPCR反応はすべてプライマーの種類とDN
Aが異なる以外は同様の条件で行った。このPCRで得
られた102bpのDNA(PCR反応液)5μlとプライマ
ー1-2および1-4を用いて先の同様の条件でPCRを行
い、163bpのDNAを得た。最後に、この反応液5μlと
プライマー1-1および1-4を用いてPCRを行い196bpの
2本鎖DNAを得た。
【0030】セグメント5は両端にEcoRI,XbaI部位を持
つ405bpの断片で、これは6本の合成オリゴヌクレオチ
ドから作られた(図5)。セグメント5は前述の例2
(図2)の様に、まずプライマー5ー3および5ー4を用いて
同様の条件でPCRを行い145bpのDNAを合成し、続
いて145bpのDNA溶液5μlとプライマー5ー2および5ー5
でPCRを行い287bpのDNAを合成し、最後に287bpの
DNA溶液5μlとプライマー5-1および5-6でPCRを行
い411bpの2本鎖DNAを得た。
【0031】セグメント4は両端にEcoT14I,ScaI部位
を、その中間にBglII部位を持つ277bpの断片で、これは
5本の合成オリゴヌクレオチドから作られた(図6)。
セグメント4は例2および3(図2および3)の様に、
プライマー4ー1および4ー2でPCRを行い両端にEcoT14I,
BglII部位を有する142bpのDNAを合成、プライマー4ー
4および4-5でPCRを行い91bpのDNAを合成、続いて
91bpのDNA5μlとプライマー4ー3および4ー5でPCRを
行い両端にBglII,ScaI部位を持つ151bpのDNAを合成
した。得られた142bp,151bpのDNA全量をそれぞれ常
法通りフェノール・クロロホルム(1:1)100μlで除タン
パクを行い水層を移し、3M NaOAc(pH5.2) 10μlとEtOH
250μlを加えてDNAを沈澱回収した。得られたDNA
を50mM Tris-HCl(pH7.5), 10mM MgCl2, 1mM Dithiothre
itol, 100mM NaCl 100μl中で制限酵素BglII 10unitで
消化した後、1% Seakem GTG Agarose(FMC社), 1xTBE bu
f.で電気泳動しDNAバンドを切り出し,SUPREC-01(Tak
ara社)を用いて精製した。精製したDNAそれぞれ約1/
10量をT4 DNA リガーゼを利用したDNA Ligation Kit(Ta
kara社)を用いてキットのマニュアルに従って全50μlの
反応系で結合し、この結合産物5μlとプライマー4ー1お
よび4ー5を用いてPCRを行い283bpの2本鎖DNAを得
た。
【0032】セグメント2は両端にScaI,SacI部位を、
その中間にStuI部位を持つ414bpの断片で、これは7本
の合成オリゴヌクレオチドから作られた(図7)。セグ
メント2は例2および3(図2および3)の様に、プラ
イマー2ー2および2-3でPCRを行い117bpのDNAを合
成し、続いて117bpのDNAとプライマー2-1および2-3
を用いてPCRを行い両端にScaI,StuI部位を有する179
bpのDNAを合成、プライマー2ー5および2-6で129bpの
DNAを合成し、続いて129bpのDNAとプライマー2-4
および2-7でPCRを行い両端にStuI,SacI部位を持つ25
4bpのDNAを合成した。得られた179bp,254bpのDNA
をセグメント4と同様の方法で沈澱回収した。得られた
DNAを10mM Tris-HCl(pH7.5), 10mM MgCl2, 1mM Dith
iothreitol, 50mM NaCl 100μl中で制限酵素StuIで切断
後,セグメント4と同様の方法で精製、結合し、この結
合産物5μlとプライマー2-1および2-7を用いてPCRを
行い420bpの2本鎖DNAを得た。
【0033】セグメント6は両端にSacI,HindIII部位を
持つ352bpの断片で、これは5本の合成オリゴヌクレオ
チドから作られた(図8)。セグメント6は例2(図
2)の様に、まずプライマー6ー3および6ー4を用いて同様
の条件でPCRを行い146bpのDNAを合成し、続いて1
46bpのDNA溶液5μlとプライマー6ー2および6ー5でPC
Rを行い284bpのDNAを合成し、最後に284bpのDNA
溶液5μlとプライマー6ー1および6-5でPCRを行い354b
pの2本鎖DNAを得た。
【0034】セグメント3は両端にHindIII,BclI部位
を、その中間にPvuI部位を持つ249bpの断片で、これは
5本の合成オリゴヌクレオチドから作られた(図9)。
セグメント3は例2および3(図2および3)の様に、
プライマー3ー1および3ー2でPCRを行い両端にHindIII,
PvuI部位を有する117bpのDNAを合成、プライマー3ー4
および3ー5で88bpのDNAを合成し、続いて88bpのDN
Aとプライマー3ー3および3ー5でPCRを行い両端にPvu
I,BclI部位を持つ150bpのDNAを合成した。得られた1
17bp,150bpのDNAを先のセグメント4と同様の方法で
沈澱回収した。得られたDNAを20mM Tris-HCl(pH8.
5), 10mM MgCl2, 1mM Dithiothreitol, 100mM KCl 100
μl中で制限酵素PvuIで切断後,セグメント4と同様の方
法で精製、結合し、この結合産物5μlとプライマー3-1
および3-5を用いてPCRを行い255bpの2本鎖DNAを
得た。 (3)全長のBt毒素タンパク質遺伝子及び該遺伝子を組
み込んだ高発現ベクターの構築
【0035】PCR法により2本鎖DNAとして得られ
た6つのセグメントは、セグメント4で述べた同様の方
法で回収され、それぞれの両端に配置された制限酵素部
位で切断後、分画、精製された。断片はそれぞれに適し
たクローニングベクターにDNA Ligation Kit(Takara社)
を用いて結合、導入され、E.coli DH5αの形質転換に用
いた。セグメント1はpBSIIKS+(Stratagene社),セグメ
ント2はpMCSC8(pHSG398(Gene, 61, 63, 1987)のクロー
ニングサイトEcoRI,HindIIIで切断した後、図10に示
すクローニングサイトに置き換えたベクター),セグメ
ント3はpMCSA8(pUC18のクローニングサイトEcoRI,Hind
IIIで切断した後、図10に示すクローニングサイトに
置き換えたベクター)セグメント4はpMCSK8(pHSG298(Ge
ne, 61,63, 1987)のクローニングサイトEcoRI,HindIII
で切断した後、図10に示すクローニングサイトに置き
換えたベクター),セグメント5はpUC18(Gene, 33, 10
3,1985),セグメント6はpHSG399(Gene, 61, 63, 198
7),とそれぞれのベクターにクローニングされた。
【0036】セグメント1-6の配列は、それぞれのセグ
メントがクローニングされたプラスミドDNAを単離
し、Sangerら(Proc. Natl. Acad. Sci., 74, 5463-546
7, 1977)のジデオキシ法を用いて配列を決定、確認さ
れ、セグメント1ー6をそれぞれプラスミドpBTH1-6 とし
て得た(図11)。プラスミドの構築は図11に従って
行った。カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモー
ターとヒマ カタラーゼイントロンを含む高発現ベクタ
ーpIG221(Tanakaら, Nucleic Acids Research, 18: 676
7-6770, 1990)のプロモーターからイントロンまでを含
SphI-SalI断片約1000bpを、同制限酵素各々10unitを
用いてプラスミドDNA1μgを消化し、pHSG398にサブ
クローニングしてプラスミドpBT01を作製した。
【0037】次いで前述のプラスミドpBTH1を制限酵素X
baIで消化し、T4 DNA Polymeraseの系を用いたDNA Blun
ting Kit(Takara社)を用いてキットのマニュアルに従っ
て全20μlの反応系で平滑末端にした後、SpeIで消化し
て得たベクターDNAとBt天然型遺伝子(pSY177由来 J.
Bacteriol., (1986) 166, 801-811)の1部(SpeI-EcoRI
断片97bp)をpBSIIKS+にクローニングしたプラスミドpBT
02を制限酵素SpeI,EcoRVで消化して得た、このBt天然型
遺伝子の1部を、DNA Ligation kit(Takara社)を用いて
同様に連結し、プラスミドpBTH101を得た。 プラスミ
ドpBTH101を制限酵素SalI,EcoRIで消化して得られたD
NA281bpを、プラスミドpBT01の制限酵素SalI,EcoRI部
位で同様に連結しプラスミドpBTH111作製した。
【0038】並行してプラスミドpBTH5を制限酵素EcoR
I,XbaIで消化して得られたDNA411bpを、プラスミドp
BTH4の制限酵素EcoRI,EcoT14I(XbaIと同じ粘着末端を有
する制限酵素)部位で同様に連結してプラスミドpBTH102
を作製、次いでプラスミドpBTH2を制限酵素ScaI,SacIで
消化して得られたDNA414bpを、pBTH102の制限酵素Sc
aI,SacI部位で同様に連結してプラスミドpBTH112を作製
した。
【0039】並行して、Bt天然型遺伝子の1部(pSY177
由来 J. Bacteriol., 166, 801-811,1986)BclI-KpnI断
片238bpとノパリンシンターゼのポリ(A)+化配列約300bp
の間にXbaI,SpeIを有するマルチストップリンカーを持
つ断片約550bpをpMCSC8のBclI,KpnI部位に同様にクロー
ニングしてプラスミドpBT03を作製した。プラスミドpBT
H3を制限酵素HindIII,BclIで消化して得られたDNA25
6bpを、pBT03の制限酵素HindIII,BclI部位に同様に連結
してpBTH103を作製した。
【0040】次いでプラスミドpBTH6を制限酵素SacI,Hi
ndIIIで消化して得られたDNA352bpをpBTH103の制限
酵素SacI,HindIII部位に同様に連結してプラスミドpBTH
113を作製した。最終的にpBTH111を制限酵素SphI,EcoRI
で消化して得られたDNA約1300bpと、pBTH112を制限
酵素EcoRI,SacIで消化して得られたDNA約1100bpと、
pBTH113を制限酵素SphI,SacI部位で連結してBt合成遺伝
子及びこの遺伝子の高発現ベクターpBT1291(図11)
が作製された。
【0041】実施例2 合成Bt毒素タンパク質遺伝子の
植物中での発現 (1)イネプロトプラストへの形質転換 ベクターpBT1291はイネ科植物を形質転換するのに用い
られる。すなわち、イネ科植物由来のプロトプラストを
液体媒体に懸濁し、電気パルスを印加して該ベクターを
導入した後、イネ培養細胞を含有する培地で培養しコロ
ニーを形成させ、該コロニーから植物体を再生させる方
法である(Shimamoto et al., Nature, 338: 274-276, 1
989)。プロトプラストは次のようにして調整した。栽培
イネ(品種 日本晴)の完熟胚カルスから作製した植え
継ぎ後3ー5日のサスペンション細胞を、4% セルラー
ゼRS, 1% マセロザイムR-10, 0.4M マニトールを含む酵
素液(pH5.6)で30℃,3ー4時間処理した。酵素処理終
了後、濾過して未消化物を除き、ろ液に4倍量のKMC液
(0.118M 塩化カリウム, 0.0817M 塩化マグネシウム,
0.085M 塩化カルシウム, pH6.0;前述)を加え、遠心分
離して沈降したプロトプラストを集め、更にKMC液で2
回洗浄した。
【0042】得られたプロトプラストを、70mM 塩化カ
リウム, 5mM 塩化マグネシウム, 0.4M マニトール, 0.1
% MESを含むpH5.8の緩衝液に8x106個/mlとなるように懸
濁した。この懸濁液に上記のようにして調製した遺伝子
を含むプラスミドベクター60μg/ml並びにプロモーター
としてCaMV35S、外来遺伝子としてハイグロマイシンホ
スホトランスフェラーゼ遺伝子及びNOS(ノパリンシン
ターゼ)あるいはCaMV由来のターミネーターを有するプ
ラスミド、例えばpGL2(Nature, 338 : 274-276,1989)60
μg/mlを添加し、4℃で5分間冷却した後、滅菌したプ
ラスチックセルに移し並行電極を用い、直流の電気パル
スを印加した。その際、1000μFのコンデンサーを用い
て500V/cmの初期電圧をかけ、パルス幅30msecとした。
パルス印加後、4℃で10分間冷却した後、等量のR2/MS
プロトプラストアガロース培地(Mol. Gen. Genet., 20
6, 408, 1987)と混合し,0.7mmの厚さとなるように固化
させた。この時の細胞密度は約4x106個/mlであった。
【0043】電気パルス処理したプロトプラストを含む
アガロースを10mm大の大きさに切断しR2/MS液体プロト
プラスト培地が5ml入った6cmφのプレートにいれ、更に
約100mg(FW)のイネ培養細胞をナース細胞として入れ
た。プロトプラストの培養は約29℃で約10日間,50
r.p.mの回転でゆっくり振とうしながら、暗条件下で培
養した。
【0044】このイネ培養細胞は次のようにして調製し
た。実生のイネの根に由来するカルスを液体培地中で週
1回植継ぎ、作製した懸濁培養細胞中に存在する分裂旺
盛な細かい細胞(1mmφ)を用いた。10日間培養後、ナ
ース細胞をKMC液で取り除いた。さらに培養2ー4日後
に20μg/mlとなるようにハイグロマイシンBを培地に加
え、2ー3週間培養した。
【0045】次いでこのアガロース片をR2ソフトアガ
ー培地(2.4-ジクロロフェノキシ酢酸(2.4-D)2mg/l, 6%
ショ糖,0.25%アガロース)に置き培養し、2ー4週間後
さらに大きくなったコロニーを個々に分けてR2ソフト
アガー培地に移した。このカルスをR2/MS再生培地(3%ソ
ルビトール,2%ショ糖,1%アガロース,pH5.8)に移し、2
5℃,2000-4000luxの条件下で3ー10週間培養すると、芽及
び根が現れた。芽が2cm程度に成長したところで、R2/MS
再生培地を入れたプラスチックボックスに移し、幼植物
へと成長させた。さらにバーミュキュライトポットに移
植して成育させたところ、成熟した完全な形質転換イネ
植物体が得られた。 (2)PCR法による形質転換細胞のスクリーニング 得られたハイグロマイシン耐性カルスの1部からDNA
を抽出した(Mol. Gen.Genet., 211, 27, 1988)。約2ー3m
mφのカルス2個を1.5mlマイクロ遠心チューブ内でResu
spension buf. (20mM Tris-HCl, 10mM EDTA) 250μlと
共にホモジナイズし、20% SDSを20μl加えて、68℃15分
間加温する。ここに、7.5M AmmoniumAcetate 150μlを
加えて氷上で30分間置く。15000rpm、4℃、15分間遠
心後、上清にEtOH1ml加えて再度同様の条件で遠心して
DNAを沈澱させる。得られたDNAを70%EtOHで洗
い、乾燥させた後、TE buf.(10mM Tris-HCl(pH8.0),1mM
EDTA)30μlに溶かす。
【0046】このDNAをPCR法によるスクリーニン
グに用いた。使用したプライマーの部位を図12に示
す。PCRはプライマー濃度各1μM, 10mM Tris-HCl(pH
8.3),1.5mM MgCl2, 50mM KCl, 0.005% Tween20, 0.005%
NP-40, 0.001% Gelatin, dA,dG, dC, dTTP各200μM, R
EPLITHERM Thermostable DNA Polymerase(EPISENTRE社)
5 unit、先の方法で調整したDNA5μlを合わせて、全
50μlの反応液をDNAサーマルサイクラーPJ1000(PERK
IN-ELMER CETUS社)を用いて、94℃,1min.,50℃,2mi
n., 72℃,3min. を30ー35回繰り返し反応させて行っ
た。PCR反応産物を常法のアガロース電気泳動で分析
したところ、図12に見られるようにプラスミドpBT129
1が組み込まれた形質転換カルスには1.0Kbの位置に増幅
されたDNAが見られた。同様にして多くのハイグロマ
イシン耐性カルスをスクリーニングした結果、47%の効
率でカルスに導入されていた。
【0047】(3)導入した遺伝子全長の検出 スクリーニングして得られた形質転換カルスからDNA
を同様の方法で抽出し、1.5-2μgを制限酵素XbaI,20uni
tで切断し、サザン法(J. Mol. Biol., 98, 505, 1980)
で遺伝子を解析した。プローブはpBT1291のXbaI断片を
マルチプライムDNA標識システム(Amersham社、 Feinb
ergら、Analytical Biochem., 137, 266-267, 1987) 及
びα-32PーdCTP(Amersham社,370MBq/ml, 110TBq/mmol)
を用いて作製した。その結果、図13に示すように、全
ての個体で予想されるBt合成遺伝子とイントロンを合わ
せた大きさの2.5 KbのDNAバンドを検出した。
【0048】(4)導入した遺伝子の転写−mRNAの
検出 先にサザン法により全長の遺伝子が導入された形質転換
カルスから全RNAを抽出(Analytical Biochem., 162,
156-159, 1987)し、各RNA20μgをノザン法(Thomas,
P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 77, 5201, 198
0)で解析した。プローブは先のサザン法と同様に調製し
た。その結果、図14に示すように全ての個体でBt合成
遺伝子から予想される3.0-2.4 KbのmRNAを検出し
た。
【0049】(5)導入した遺伝子の翻訳−Bt毒素タン
パク質の検出 再生したイネの葉からSDS可溶性タンパク質を抽出
し、ウエスタン法(Towbin et. al. Proc. Natl. Acad.
Sci., 76, 4350, 1979)によりBt毒素タンパク質の検出
を試みた。イネの葉、約2x0.5cmを乳鉢中で液体窒素で
凍結後摩砕して粉末にする。直ちに2xSample buf.(25mM
Tris-HCl(pH6.8), 4% SDS, 8mM DTT, 20%グリセロー
ル, 0.004% BPB, 200μM ロイペプシン)100μlで抽出
後、沸騰浴中で5分間加温する。続いて12000rpm, 4℃,
15分間遠心して上清をサンプルとして、常法によりSDS
-PAGEにかけ、Immobilonメンブラン(MILLIPORE社)にBlo
ttingbuf.中で(25mM Tris, 192mM Glycine, 20% MeOH)2
00mA, 35V, 1時間の条件で移した。Bt毒素タンパク質の
検出は、1次抗体としてウサギに免疫された抗Bt毒素タ
ンパク質に対する抗血清から精製されたイムノグロブリ
ンG(IgG)を、2次抗体としてウサギIgGに対するアルカ
リフォスファターゼを結合したヤギIgG(JACKSON社)を用
いた。その結果、図15に示すようにBt毒素タンパク質
に対する抗血清から精製されたイムノグロブリンG(Ig
G)に反応する約72KDのタンパク質が検出された。また、
この発現の程度はSDS可溶性タンパク質の約0.05-0.1%と
推定された。
【0050】(6)次世代への遺伝子の伝達と発現 このようにして得られたBt毒素タンパク質を高発現して
いるイネから種子を得た。次世代(R1世代)への遺伝
子の伝達と分離比を調べるために、これを播種して14
日目の苗の一部から約5x2mmの葉を取り、前記(2)の
項で述べた方法によりDNAを抽出し、PCRを行っ
た。その結果以下の表に示すように、3つの独立の系統
で遺伝子が伝わり、約3:1で分離していることが確認
された。C7−4系統より抽出したDNAのPCR反応
産物を電気泳動で分析した結果を図19に示す。
【0051】
【表1】 ────────────────────────────── 次世代(R1世代)の系統 Bt+ Bt− ────────────────────────────── B2−9 98 28 C7−4 26 10 F2−11 17 6 ────────────────────────────── また播種後約3カ月の個体(F2−11系統)を前記
(5)の項で述べたウエスタン法により同様に解析した
ところ、親の個体とほぼ同程度のBt毒素タンパク質を発
現していた(図20)。
【0052】(7)耐虫性試験 耐虫性試験には、イネの代表的な鱗翅目の害虫である、
コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)を用いた。播
種して14日目の苗(B2−9系統)の根をよく洗い、
直径約2cmの水で湿した脱脂綿で根を包んで、さらにパ
ラフィルムで包み水が蒸発しないようにして苗が枯れな
いようにした。この苗1本を直径約3cm、高さ20cmの半
透明のプラスチックチューブに入れ、体長2−3mm、2
令のコブノメイガ1匹を接種して25℃、昼夜12時間ずつ
の環境で7日間試験を行った。その結果、コントロール
である日本晴および分離してBt遺伝子を持たないイネ(B
tgene(-))と比較して、Bt遺伝子を持つイネ(Bt gene
(+))は明らかに死亡する個体が多く、また生き残った個
体の成長度合いにも差が認められた。
【0053】試験1
【表2】 ────────────────────────────────── コブノメイガの生長ステージ 生存した ─────────────────── ブノメイガの 死亡 2令 3令 4令 5令 6令 平均重量(mg) ────────────────────────────────── 日本晴 1 1 4 8 8 7 3.75 Bt gene(-) 1 4 3 3.13 Bt gene(+) 10 3 10 8 2.67 ──────────────────────────────────
【0054】試験2
【表3】 ────────────────────────────────── コブノメイガの生長ステージ 生存した ────────────────── ブノメイガの 死亡 4令 平均重量(mg) ────────────────────────────────── 日本晴 5 5 1.48 Bt gene(-) 4 4 1.58 Bt gene(+) 20 4 1.0 ────────────────────────────────── このように、導入された遺伝子由来のBt毒素タンパク質
を高度に発現しているイネは、鱗翅目のイネ害虫に対し
て有効であるといえる。
【0055】
【発明の効果】本発明の殺虫性タンパク質をコードする
遺伝子は、Bt毒素様のタンパク質をコードし、イネ科植
物のコドンに適合させて改変されたものであることか
ら、イネ科植物において高発現し、かかる遺伝子を導入
して形質転換されたイネ科植物は、殺虫性を有する作物
としての有用性が期待される。
【0056】
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:2172 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状: 配列の種類:その他の核酸 合成DNAおよびGenomic DNAの結合体 配列の特徴 特徴を表わす記号:Peptide 存在位置:1..2172 特徴を決定した方法:EおよびS 配列 ATG GAC AAC AAC CCC AAC ATC AAC GAA TGC ATC CCG TAC AAC TGC CTC 48 Met Asp Asn Asn Pro Asn Ile Asn Glu Cys Ile Pro Tyr Asn Cys Leu 1 5 10 15 AGC AAC CCG GAG GTC GAG GTC CTC GGC GGC GAG AGG ATC GAG ACT GGC 96 Ser Asn Pro Glu Val Glu Val Leu Gly Gly Glu Arg Ile Glu Thr Gly 20 25 30 TAC ACC CCG ATC GAC ATC TCC CTC TCC CTC ACC CAG TTC CTC CTC AGC 144 Tyr Thr Pro Ile Asp Ile Ser Leu Ser Leu Thr Gln Phe Leu Leu Ser 35 40 45 GAG TTC GTC CCG GGC GCC GGC TTC GTC CTC GGA CTA GTT GAT ATA ATA 192 Glu Phe Val Pro Gly Ala Gly Phe Val Leu Gly Leu Val Asp Ile Ile 50 55 60 TGG GGA ATT TTT GGT CCC TCT CAA TGG GAC GCA TTT CTT GTA CAA ATT 240 Trp Gly Ile Phe Gly Pro Ser Gln Trp Asp Ala Phe Leu Val Gln Ile 65 70 75 80 GAA CAG TTA ATT AAC CAA AGA ATA GAA GAA TTC GCC CGC AAC CAG GCC 288 Glu Gln Leu Ile Asn Gln Arg Ile Glu Glu Phe Ala Arg Asn Gln Ala 85 90 95 ATC TCC AGG CTC GAG GGC CTC AGC AAC CTC TAC CAG ATC TAC GCC GAG 336 Ile Ser Arg Leu Glu Gly Leu Ser Asn Leu Tyr Gln Ile Tyr Ala Glu 100 105 110 TCC TTC AGG GAG TGG GAG GCC GAC CCG ACC AAC CCG GCC CTC AGG GAG 384 Ser Phe Arg Glu Trp Glu Ala Asp Pro Thr Asn Pro Ala Leu Arg Glu 115 120 125 GAG ATG CGC ATC CAG TTC AAC GAC ATG AAC AGC GCC CTC ACC ACC GCC 432 Glu Met Arg Ile Gln Phe Asn Asp Met Asn Ser Ala Leu Thr Thr Ala 130 135 140 ATC CCG CTC TTC GCC GTC CAG AAC TAC CAG GTC CCG CTC CTC TCC GTC 480 Ile Pro Leu Phe Ala Val Gln Asn Tyr Gln Val Pro Leu Leu Ser Val 145 150 155 160 TAC GTC CAG GCC GCC AAC CTC CAC CTC TCC GTC CTC AGG GAC GTC TCC 528 Tyr Val Gln Ala Ala Asn Leu His Leu Ser Val Leu Arg Asp Val Ser 165 170 175 GTG TTC GGC CAG AGG TGG GGC TTC GAC GCC GCG ACC ATC AAC AGC CGC 576 Val Phe Gly Gln Arg Trp Gly Phe Asp Ala Ala Thr Ile Asn Ser Arg 180 185 190 TAC AAC GAC TTG ACC AGG CTC ATC GGC AAC TAC ACC GAC CAC GCC GTC 624 Tyr Asn Asp Leu Thr Arg Leu Ile Gly Asn Tyr Thr Asp His Ala Val 195 200 205 CGC TGG TAC AAC ACC GGC CTC GAG CGC GTC TGG GGC CCG GAC TCT AGG 672 Arg Trp Tyr Asn Thr Gly Leu Glu Arg Val Trp Gly Pro Asp Ser Arg 210 215 220 GAC TGG GTC AGG TAC AAC CAG TTC AGG AGG GAG CTG ACC CTC ACC GTC 720 Asp Trp Val Arg Tyr Asn Gln Phe Arg Arg Glu Leu Thr Leu Thr Val 225 230 235 240 CTC GAC ATC GTC GCC CTC TTC TCC AAC TAC GAC AGC AGG ACC TAC CCG 768 Leu Asp Ile Val Ala Leu Phe Ser Asn Tyr Asp Ser Arg Thr Tyr Pro 245 250 255 ATC CGC ACC GTC TCC CAG CTC ACC AGG GAG ATC TAC ACC AAC CCG GTC 816 Ile Arg Thr Val Ser Gln Leu Thr Arg Glu Ile Tyr Thr Asn Pro Val 260 265 270 CTC GAG AAC TTC GAC GGC AGC TTC CGC GGC TCC GCC CAG GGC ATC GAG 864 Leu Glu Asn Phe Asp Gly Ser Phe Arg Gly Ser Ala Gln Gly Ile Glu 275 280 285 GGC AGC ATC AGG AGC CCG CAC CTC ATG GAC ATC CTC AAC AGC ATC ACC 912 Gly Ser Ile Arg Ser Pro His Leu Met Asp Ile Leu Asn Ser Ile Thr 290 295 300 ATC TAC ACC GAC GCC CAC AGG GGC GAG TAC TAC TGG TCC GGC CAC CAG 960 Ile Tyr Thr Asp Ala His Arg Gly Glu Tyr Tyr Trp Ser Gly His Gln 305 310 315 320 ATC ATG GCC TCC CCG GTC GGC TTC TCC GGC CCG GAG TTC ACC TTC CCG 1008 Ile Met Ala Ser Pro Val Gly Phe Ser Gly Pro Glu Phe Thr Phe Pro 325 330 335 CTC TAC GGC ACG ATG GGC AAC GCC GCC CCG CAG CAA CGC ATC GTC GCC 1056 Leu Tyr Gly Thr Met Gly Asn Ala Ala Pro Gln Gln Arg Ile Val Ala 340 345 350 CAG CTC GGC CAG GGC GTC TAC AGG ACC CTC AGC TCC ACC CTC TAC AGG 1104 Gln Leu Gly Gln Gly Val Tyr Arg Thr Leu Ser Ser Thr Leu Tyr Arg 355 360 365 AGG CCT TTC AAC ATC GGC ATC AAC AAC CAG CAG CTC TCC GTC CTC GAC 1152 Arg Pro Phe Asn Ile Gly Ile Asn Asn Gln Gln Leu Ser Val Leu Asp 370 375 380 GGC ACC GAG TTC GCC TAC GGC ACC TCC TCC AAC TTG CCG TCC GCC GTC 1200 Gly Thr Glu Phe Ala Tyr Gly Thr Ser Ser Asn Leu Pro Ser Ala Val 385 390 395 400 TAC AGG AAG AGC GGC ACC GTG GAC TCC CTC GAC GAG ATC CCG CCG CAG 1248 Tyr Arg Lys Ser Gly Thr Val Asp Ser Leu Asp Glu Ile Pro Pro Gln 405 410 415 AAC AAC AAC GTC CCG CCG AGG CAG GGC TTC AGC CAC CGC CTC AGC CAC 1296 Asn Asn Asn Val Pro Pro Arg Gln Gly Phe Ser His Arg Leu Ser His 420 425 430 GTC TCC ATG TTC CGC TCC GGC TTC AGC AAC AGC AGC GTC AGC ATC ATC 1344 Val Ser Met Phe Arg Ser Gly Phe Ser Asn Ser Ser Val Ser Ile Ile 435 440 445 AGA GCT CCC ATG TTC TCG TGG ATT CAC CGC TCG GCG GAG TTC AAC AAC 1392 Arg Ala Pro Met Phe Ser Trp Ile His Arg Ser Ala Glu Phe Asn Asn 450 455 460 ATC ATC CCC TCG TCA CAG ATC ACG CAG ATC CCC CTG ACA AAG AGT ACG 1440 Ile Ile Pro Ser Ser Gln Ile Thr Gln Ile Pro Leu Thr Lys Ser Thr 465 470 475 480 AAC CTG GGG TCG GGA ACA TCG GTG GTG AAG GGG CCC GGA TTC ACG GGG 1488 Asn Leu Gly Ser Gly Thr Ser Val Val Lys Gly Pro Gly Phe Thr Gly 485 490 495 GGA GAC ATC CTG CGC CGC ACT TCG CCC GGG CAG ATT TCA ACG CTG CGC 1536 Gly Asp Ile Leu Arg Arg Thr Ser Pro Gly Gln Ile Ser Thr Leu Arg 500 505 510 GTG AAC ATC ACG GCG CCC CTG TCG CAG CGC TAT CGG GTG CGC ATT CGC 1584 Val Asn Ile Thr Ala Pro Leu Ser Gln Arg Tyr Arg Val Arg Ile Arg 515 520 525 TAC GCG TCT ACG ACA AAC CTT CAG TTC CAC ACG TCA ATC GAC GGG CGC 1632 Tyr Ala Ser Thr Thr Asn Leu Gln Phe His Thr Ser Ile Asp Gly Arg 530 535 540 CCC ATC AAC CAG GGG AAC TTC TCG GCG ACA ATG TCG TCG GGG TCG AAC 1680 Pro Ile Asn Gln Gly Asn Phe Ser Ala Thr Met Ser Ser Gly Ser Asn 545 550 555 560 CTT CAG TCG GGA AGC TTC AGG ACC GTC GGC TTC ACC ACC CCG TTC AAC 1728 Leu Gln Ser Gly Ser Phe Arg Thr Val Gly Phe Thr Thr Pro Phe Asn 565 570 575 TTC TCC AAC GGC TCC AGC GTC TTC ACC CTC AGC GCT CAT GTC TTC AAC 1776 Phe Ser Asn Gly Ser Ser Val Phe Thr Leu Ser Ala His Val Phe Asn 580 585 590 TCC GGC AAC GAG GTC TAC ATC GAT CGC ATC GAG TTC GTC CCG GCC GAG 1824 Ser Gly Asn Glu Val Tyr Ile Asp Arg Ile Glu Phe Val Pro Ala Glu 595 600 605 GTC ACC TTC GAG GCC GAG TAC GAC CTC GAG AGG GCC CAG AAG GCC GTC 1872 Val Thr Phe Glu Ala Glu Tyr Asp Leu Glu Arg Ala Gln Lys Ala Val 610 615 620 AAC GAG CTG TTC ACC TCC AGC AAC CAG ATC GGC CTC AAG ACC GAC GTC 1920 Asn Glu Leu Phe Thr Ser Ser Asn Gln Ile Gly Leu Lys Thr Asp Val 625 630 635 640 ACC GAC TAC CAC ATT GAT CAA GTA TCC AAT TTA GTT GAG TGT TTA TCT 1968 Thr Asp Tyr His Ile Asp Gln Val Ser Asn Leu Val Glu Cys Leu Ser 645 650 655 GAT GAA TTT TGT CTG GAT GAA AAA AAA GAA TTG TCC GAG AAA GTC AAA 2016 Asp Glu Phe Cys Leu Asp Glu Lys Lys Glu Leu Ser Glu Lys Val Lys 660 665 670 CAT GCG AAG CGA CTT AGT GAT GAA CGG AAT TTA CTT CAA GAT CCA AAC 2064 His Ala Lys Arg Leu Ser Asp Glu Arg Asn Leu Leu Gln Asp Pro Asn 675 680 685 TTT AGA GGG ATC AAT AGA CAA CTA GAC CGT GGC TGG AGA GGA AAT ACG 2112 Phe Arg Gly Ile Asn Arg Gln Leu Asp Arg Gly Trp Arg Gly Asn Thr 690 695 700 GAT ATT ACC ATC CAA GGA GGC CAT GAC GTA TTC AAA GAG AAT TAC GTT 2160 Asp Ile Thr Ile Gln Gly Gly His Asp Val Phe Lys Glu Asn Tyr Val 705 710 715 720 ACG CTA TTG GGT 2172 Thr Leu Leu Gly
【図面の簡単な説明】
【図1】 オリゴヌクレオチドから2本鎖DNAをPC
R法で得る方法を模式的に表わした図面である。
【図2】 オリゴヌクレオチドから2本鎖DNAをPC
R法で得る方法を模式的に表わした図面である。
【図3】 オリゴヌクレオチドから2本鎖DNAをPC
R法で得る方法を模式的に表わした図面である。
【図4】 PCR法に用いた各プライマー(セグメント
1)の塩基配列を表わす図面である。
【図5】 PCR法に用いた各プライマー(セグメント
5)の塩基配列を表わす図面である。
【図6】 PCR法に用いた各プライマー(セグメント
4)の塩基配列を表わす図面である。
【図7】 PCR法に用いた各プライマー(セグメント
2)の塩基配列を表わす図面である。
【図8】 PCR法に用いた各プライマー(セグメント
6)の塩基配列を表わす図面である。
【図9】 PCR法に用いた各プライマー(セグメント
3)の塩基配列を表わす図面である。
【図10】 プラスミドpMCSC8、pMCSA8およびpMCSK8の
構築の際に置き換えたクローニングサイトを表わす図面
である。
【図11】 プラスミドpBT1291の構築概念を表わす図
面である。
【図12】 形質転換細胞のスクリーニングにおいてP
CR反応産物を電気泳動パターンで表わした図面であ
る。
【図13】 導入された遺伝子の全長をサザン法により
検出した電気泳動パターンを表わす図面である。
【図14】 導入された遺伝子のmRNAをノザン法に
より検出した電気泳動パターンを表わす図面である。
【図15】 導入されたBt毒素タンパク質をウェスタン
法により検出した電気泳動パターンを表わす図面であ
る。
【図16】 イネ遺伝子からのコドン使用率を表わす図
面である。
【図17】 イネの葉で高度に発現されていると考えら
れる遺伝子のコドン使用率を表わす図面である。
【図18】 配列番号1に記載の塩基配列で表わされる
遺伝子のコドン使用率を表わす図面である。
【図19】 形質転換体の次世代におけるPCR反応産
物を電気泳動パターンで表わした図面である。
【図20】 形質転換体の次世代において導入されたBt
毒素タンパク質をウェスタン法により検出した電気泳動
パターンを表わす図面である。
【図21】 イネ遺伝子、イネの葉で高度に発現されて
いると考えられる遺伝子、配列番号1に記載の塩基配列
で表わされる遺伝子および天然のBt毒素タンパク質の遺
伝子にみられる個々のアミノ酸におけるコドン使用率を
表わした図面である。
【図22】 イネ遺伝子、イネの葉で高度に発現されて
いると考えられる遺伝子、配列番号1に記載の塩基配列
で表わされる遺伝子および天然のBt毒素タンパク質の遺
伝子にみられる個々のアミノ酸におけるコドン使用率を
表わした図面である。
【図23】 イネ遺伝子、イネの葉で高度に発現されて
いると考えられる遺伝子、配列番号1に記載の塩基配列
で表わされる遺伝子および天然のBt毒素タンパク質の遺
伝子にみられる個々のアミノ酸(メチオニンおよびトリ
プトファンを除く)におけるコドンXXC/G使用率を
表わした図面である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 5/10 15/83 //(C12N 5/10 C12R 1:91) (72)発明者 山本 幹博 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 株 式会社植物工学研究所内 (72)発明者 島本 功 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 株 式会社植物工学研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イネ科植物の遺伝子にみられるコドン使用
    率に適合させて改変された殺虫性タンパク質をコードす
    る遺伝子。
  2. 【請求項2】イネ科植物の遺伝子のコドン使用率±4%
    の範囲内で適合させて合成された請求項1に記載の遺伝
    子。
  3. 【請求項3】イネ科植物の遺伝子にみられる個々のアミ
    ノ酸におけるコドン使用率±40%の範囲内で適合させ
    て合成された請求項1に記載の遺伝子。
  4. 【請求項4】天然型殺虫性タンパク質を構成するアミノ
    酸の内、含有率の高い上位10種のアミノ酸をイネ科植
    物の遺伝子にみられる個々のアミノ酸におけるコドンX
    XCとXXG(Xはそれぞれ独立にA、G、CまたはT
    の任意の塩基を表す)の和の使用率±25%の範囲内で
    適合させて合成された請求項1に記載の遺伝子。
  5. 【請求項5】配列表の配列番号1に記載の塩基配列で表
    されることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子。
  6. 【請求項6】イネ科植物で機能するプロモーターの下流
    に、請求項1に記載の遺伝子及びターミネーターが導入
    されていることを特徴とするベクター。
  7. 【請求項7】請求項6に記載のベクターをイネ科植物由
    来のプロトプラストに導入し、コロニーを形成させた後
    該コロニーから植物体を再生させて得られたイネ科植
    物。
  8. 【請求項8】請求項6に記載のベクター及びイネ科植物
    由来のプロトプラストを液体媒体に懸濁し、電気パルス
    を印加して該ベクターを導入した後、イネ培養細胞を含
    有する培地で培養しコロニーを形成させ、該コロニーか
    ら植物体を再生させることを特徴とするイネ科植物の製
    造方法。
JP4304926A 1991-11-29 1992-10-16 殺虫性タンパク質の遺伝子、該遺伝子で形質転換されたイネ科植物及びその製造方法 Pending JPH0684A (ja)

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