JPH0684065A - カップベンダー吐出ノズル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 雑菌等の繁殖を防止し、害虫等の侵入を防止
することのできるカップベンダー吐出ノズルであって、
全体の温度分布の均一性を高めて加熱することのできる
吐出ノズルを得る。 【構成】 樹脂製の筒状ノズル本体２０の内面２０ｃを
加熱するため、ノズル本体２０内にヒーター２１を設
け、ヒーター２１の少なくとも一方の端子となる端子部
３１を有し、かつヒーター２１からの熱を伝達するため
の伝熱部３２，３３を有する金属製端子板３０を、ノズ
ル本体２０の内部にインサート成形によって一体的に設
ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コーラやジュース等を
紙製等のカップに注入して供給するカップベンダーの吐
出ノズルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】コーラやジュース等を供給するカップベ
ンダーは、カップベンダー本体の吐出口からシロップ及
び炭酸水または水が別々に供給され、本体吐出口に取付
けられた吐出ノズル内でこれらシロップ及び炭酸水また
は水が攪拌され、ノズルから混合液としてカップ内に供
給される。図７は、このようなカップベンダーの従来の
吐出ノズル及びカップベンダー本体吐出口を示す側面図
である。図７を参照して、吐出ノズル１の上方には差し
込み口１ａが設けられており、吐出ノズル１の下方は差
し込み口１ａからやや径が細くなったノズル内面を有
し、ノズル内面の下方端には混合液吐出口１ｂが設けら
れている。図８は、このような吐出ノズル１を示す斜視
図である。

【０００３】カップベンダーの本体吐出口の中央には、
下方に突出したシロップ供給口２ａが設けられている。
このシロップ供給口２ａの回りの台座の部分には下方斜
め外側に向かって開口した炭酸水または水の供給口２ｂ
が形成されている。本体吐出口２の外周にはゴムパッキ
ン３が嵌められており、吐出ノズル１の差し込み口１ａ
に本体吐出口２を挿入して取り付けた際、差し込み口１
ａの内面にこのゴムパッキン３が圧接する。

【０００４】供給口２ｂから吐出ノズル１の内面に供給
された炭酸水または水はノズル内面に当って落下し、シ
ロップ供給口２ａから供給されたシロップと混合され、
混合液として混合液吐出口１ｂから下方のカップに供給
される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなカップベンダーの吐出口においては、混合液を下方
のカップに供給した後、ノズルの内部にシロップを含ん
だ混合液が付着し残ってしまうという問題があった。こ
のような混合液がノズル内部にそのまま放置されると、
糖分を含む液であるため、蟻やゴキブリ等の害虫がノズ
ル内部に入り込んだり、あるいはノズル内部で雑菌が繁
殖するという問題を生じた。従って、このような害虫の
侵入や雑菌の繁殖を防止するためには、カップベンダー
を使用しない夜間に、ノズルを外し、洗浄した後再び使
用する必要があった。しかしながら、このようなノズル
の洗浄を毎日施すことは非常に煩雑であり、各カップベ
ンダーに対してこのような洗浄作業を徹底させることは
困難であった。

【０００６】本発明の目的は、このような洗浄作業を行
わなくとも、害虫の侵入や雑菌の繁殖を防止することの
できるカップベンダー吐出ノズルを提供することにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のカップベンダー
吐出ノズルは、樹脂製の筒状ノズル本体と、ノズル本体
の内面を加熱するためにノズル本体内に設けられたヒー
ターと、端子部及び伝熱部を有する金属製端子板とを備
えている。本発明において、金属製端子板の端子部はヒ
ーターの少なくとも一方の端子となるものであり、また
伝熱部はヒーターからの熱を伝達するためノズル本体の
内面に沿ってノズル本体の内部にインサート成形によっ
て一体的に設けられているものである。

【０００８】本発明に用いられる ヒーターとしては、
正特性（ＰＴＣ）サーミスタ素子が好ましい。ＰＴＣサ
ーミスタ素子は、自己温度制御機能を有するため、安全
性が高く、また必要以上の加熱がなされないので効率的
に加熱することができる。また本発明において用いられ
る金属製端子板は、熱伝導の良好なものが好ましく、そ
の材質は特に制限されるものではないが、例えば、Ａ
ｌ、ＳＵＳ及びＣｕ等の金属を用いることができる。

【０００９】

【作用】本発明のカップベンダー吐出ノズルでは、ノズ
ル本体の内面を加熱するためのヒーターが備えられてい
る。このため、ノズル内部に残った糖分を含む液は、ヒ
ーターによって加熱されて乾燥する。このように乾燥し
て水分を除去することにより、雑菌の繁殖を防止するこ
とができる。またヒーターによりノズル内の内面を加熱
しているため、蟻やゴキブリ等の害虫の侵入も防止する
ことができる。

【００１０】さらに、本発明のカップベンダー吐出ノズ
ルでは、ノズル本体内に金属製端子板が設けられてお
り、この金属製端子板の伝熱部は、ノズル本体の内部に
インサート成形により一体的に設けられている。ヒータ
ーからの熱は、この金属製端子板の伝熱部によって速や
かに伝達されるため、ヒーターが取付けられている部分
のみならずノズル本体の全体を加熱することができ、全
体としての温度均一性を向上させることができる。

【００１１】また、この金属製端子板は、ヒーターの少
なくとも一方の端子となる端子部を有しているので、ノ
ズル本体を構成する部品点数が少なくなり、組立工程が
容易になる。さらに、金属製端子板はノズル本体の内部
にインサート成形によって一体的に設けられるものであ
るため、端子部の取付けがインサート成形によってなさ
れ、またこの端子部の保持も確実なものとなるため、全
体としての特性の安定性を向上させることができる。

【００１２】

【実施例】図１は、本発明に従う実施例の吐出ノズル本
体を示す縦断面図である。図１を参照して、ノズル本体
２０の上方には、本体吐出口に挿入するための差し込み
口２０ａが形成されている。差し込み口２０ａの下方は
径がやや狭くなっており、ノズル面２０ｃが形成されて
いる。本体吐出口から供給された炭酸水または水は、こ
のノズル面２０ｃにあたり、シロップ等と混合されなが
ら下方に混合液として落下する。ノズル本体２０の下方
には、混合液吐出口２０ｂが設けられている。

【００１３】ノズル本体２０は樹脂から形成されてお
り、このノズル本体２０の中央の部分には金属製端子板
３０が埋め込まれている。この金属製端子板３０は、ノ
ズル本体２０を成形する際にインサート成形することに
より一体的に設けられている。図２は、この金属製端子
板を示す斜視図である。図２を参照して、金属製端子板
３０には、平板状に突き出た端子部３１が設けられてい
る。またノズル本体に埋め込まれた際ノズル本体の内面
に沿ってノズル本体の内部に埋め込まれる部分である伝
熱部３２，３３が設けられている。

【００１４】図１を参照して、金属製端子板３０の端子
部３１を一方の端子とし、他方の端子としてばね端子２
３を用いて、ＰＴＣ素子２２を挟み付けることにより、
ヒーター２１がノズル本体２０内に構成されている。こ
のヒーター２１には蓋２４が取付けられている。この実
施例の金属製端子板３０としてはアルミウニム製のもの
が用いられている。金属製端子板３０の端子部３１とば
ね端子２３の間に電圧を印加することにより、ＰＴＣ素
子２２が発熱し、この熱が金属製端子板３０の伝熱部３
２，３３を通りノズル本体２０全体に伝達し、ノズル面
２０ｃが加熱される。

【００１５】図３は、本発明に従う他の実施例に用いら
れる金属製端子板を示す斜視図である。この実施例で
は、２つの金属製端子板４０及び５０を組み合わせて用
いる。図４は、このようにして組み合わせてノズル本体
内に配置した状態を示す横断面図である。図４を参照し
て、この実施例のノズル本体６０内には、金属製端子板
４０及び５０の伝熱部４２，５２が埋め込まれている。
金属製端子板４０，５０の端子部４１，５１の間には、
ＰＴＣ素子６１が挟み付けられている。このようにして
形成されたヒーター部には蓋６２が取付けられている。
図５は、このようにして構成されるノズル本体６０を示
す斜視図である。

【００１６】図４を参照して、金属製端子板４０，５０
の端子部４１，５１の間に電圧を印加させることによ
り、ＰＴＣ素子６１が発熱し、この熱が金属製端子板４
０，５０の伝熱部４２，５２を通りノズル本体６０全体
に伝達し、ノズル本体６０の内部が均一に加熱される。

【００１７】図１に示す実施例において、ＰＴＣ素子２
２として、直径６ｍｍ、キュリー点８０℃、Ｒ₂₅＝３０
Ωの素子を用い、金属製端子板４０として、幅８ｍｍ、
厚み０．５ｍｍのアルミウニ系の金属板を用いて、金属
製端子板３０の端子部３１とばね端子２３との間にＤＣ
１２Ｖの電流を６０分間通電し、ノズル本体２０のノズ
ル面２０ｃにおけるヒーター２１に近い側の測温点２５
及び反対側の測温点２６で、温度を測定した。

【００１８】比較として、図６に示すような金属製端子
板を取り付けていないノズル本体についても同様に通電
し、ヒーター側及びその反対側の温度を測定した。図６
に示すこの比較例のノズル本体においても、図４に示す
実施例と同様のＰＴＣ素子１４を用い、端子１２，１３
間に同様に通電し、ノズル本体１０の内部の温度を測定
した。これらの結果を表１に示す。

【００１９】

【表１】

【００２０】表１から明らかなように、実施例のノズル
本体は、金属製端子板を取り付けていない比較例のノズ
ル本体に比べ、ヒーター側の温度と反対側の温度との差
が小さくなっている。従って、本発明に従い伝熱部を有
する金属製端子板を設けることにより、温度の均一性を
向上させることのできることが確認された。

【００２１】以上のように、本発明に従えば、ノズル本
体の内面を加熱するためのヒーターが備えられているた
め、ノズル内面に付着した液体の水分を蒸発させ、雑菌
等の繁殖を防止することができ、さらにこの加熱をノズ
ル本体全体において均一に行うことができる。なお、上
記の比較例は、従来の吐出ノズルに相当するものではな
く、本発明のヒーターによる加熱の均一性を説明するた
めのものである。

【００２２】本発明においてヒーターによる加熱は、常
時連続して行ってもよく、また夜間等のように使用頻度
の少ない時間帯のみ加熱してもよい。上記の実施例では
ヒーターとしてＰＴＣ素子を用いたが、本発明に用いる
ヒーターはＰＴＣ素子に限定されるものではない。また
上記の実施例では、ノズル内部で液を混合するタイプの
ものを用いて説明したが、本発明はこのような吐出ノズ
ルに限定されるものではなく、予め混合された液が吐出
ノズル内に供給されるタイプのものにも適用することが
できる。

【００２３】

【発明の効果】本発明のカップベンダー吐出ノズルで
は、ノズル本体の内面を加熱するためのヒーターが備え
られているため、ノズル内部に液が残っても、これを加
熱し水分を完全に除去することができる。従って、雑菌
等の繁殖を防止することができる。またノズル内部はヒ
ーターにより加熱されているため、蟻やゴキブリ等の害
虫の侵入を防止することができる。

【００２４】本発明のカップベンダー吐出ノズルでは、
さらにノズル本体内部に、インサート成形により金属製
端子板が設けられており、この金属製端子板にヒーター
からの熱を伝達するための伝熱部が形成されている。こ
のため、ヒーターからの熱をこの伝熱部によって伝達
し、ノズル本体全体に速やかに熱を伝達させることがで
きる。このため、ヒーターが設けられている部分とその
他の部分との温度差を小さくして全体を加熱することが
できる。また、ノズル本体内部において所望の温度分布
で加熱したい場合には、この金属製端子板の伝熱部の形
状を調整し、熱の伝達をコントロールすることにより所
望の温度分布を実現することができる。このように金属
製端子板の伝熱部で熱を伝達させることにより、安定し
た温度特性を得ることができる。また効率良く熱を伝達
することができるので、ヒーターの温度を低くすること
も可能となる。さらにヒーターのサイズを小さくするこ
ともできる。

【００２５】本発明に従えば、金属製端子板には、ヒー
ターの少なくとも一方の端子になる端子部が形成されて
いるため、部品点数を少なくすることができ、製造工程
を容易にすることができると共に、コストダウンを図る
ことができる。また金属製端子板がインサート成形によ
りノズル本体内に一体的に設けられているため、ヒータ
ー等に対する位置のばらつきが小さくなり、特性を安定
化させることができる。さらに、伝熱部はインサート成
形によってノズル本体に埋め込まれているため、その絶
縁性の確保が容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に従う一実施例を示す縦断面図。

【図２】図１に示す実施例に用いられる金属製端子板を
示す斜視図。

【図３】本発明に従う他の実施例に用いられる金属製端
子板を示す斜視図。

【図４】図３に示す金属製端子板を用いた本発明に従う
他の実施例のノズル本体を示す横断面図。

【図５】図４に示す実施例の斜視図。

【図６】比較例の吐出ノズルを示す断面図。

【図７】従来の吐出ノズルを示す側面図。

【図８】従来の吐出ノズルを示す斜視図。

【符号の説明】

２０…ノズル本体 ２０ａ…差し込み口 ２０ｂ…混合液吐出口 ２０ｃ…ノズル内面 ２１…ヒーター ２２…ＰＴＣ素子 ２３…ばね端子 ２４…蓋 ２５，２６…測温点 ３０，４０，５０…金属製端子板 ３１，４１，５１…金属製端子板の端子部 ３２，３３，４２，５２…金属製端子板の伝熱部 ６０…ノズル本体 ６１…ＰＴＣ素子 ６２…蓋

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 樹脂製の筒状ノズル本体と、 前記ノズル本体の内面を加熱するため前記ノズル本体内
   に設けられるヒーターと、 前記ヒーターの少なくとも一方の端子となる端子部を有
   し、かつ前記ヒーターからの熱を伝熱するためノズル本
   体の内面に沿ってノズル本体の内部にインサート成形に
   よって一体的に設けられる伝熱部を有する金属製端子板
   とを備える、カップベンダー吐出ノズル。