JPH0682703A - 顕微鏡観察のための微調整方法 - Google Patents

顕微鏡観察のための微調整方法

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JPH0682703A
JPH0682703A JP4238571A JP23857192A JPH0682703A JP H0682703 A JPH0682703 A JP H0682703A JP 4238571 A JP4238571 A JP 4238571A JP 23857192 A JP23857192 A JP 23857192A JP H0682703 A JPH0682703 A JP H0682703A
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文男 稲場
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俊一 佐藤
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    • H05H3/04Acceleration by electromagnetic wave pressure
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    • G02B21/32Micromanipulators structurally combined with microscopes

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Abstract

(57)【要約】 【目的】微小試料を非接触で微調整するためのマイクロ
マニュピレーターを提供する。 【構成】非点対称な強度分布(楕円形パターン)を有す
るレーザビーム12は、対物レンズ14により、非点対
称な屈折率分布を有する試料16に集束される。この場
合、レーザビーム12の長軸方向と試料16の長軸方向
とが一致するような状態で試料16が捕捉される。これ
は、レーザビームの非点対称な強度分布に起因して非点
対称な捕捉力が生じるために、非点対称な屈折率分布を
有する試料16に対しては、捕捉状態が力学的に安定な
ためである。従って、レーザビーム12の強度分布の長
軸方向を回転させると、それに伴って捕捉された試料1
6も回転するので、試料を微調整できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は顕微鏡観察のための微
調整方法に関し、例えば生体細胞等の微小な試料を顕微
鏡観察する際に、試料を非接触に微調整するための方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の光学顕微鏡を使用して、様々な方
向から試料を観察しようとする際、光学顕微鏡の光学的
設計の制約により、任意の方向における試料の像を結像
するのが困難な場合がある。一般に光学顕微鏡は、光学
系の光軸方向に垂直をなすステージ面に載置された試料
の像が結像されるように設計されている。
【0003】図10に概略的に示した一般的な光学顕微
鏡13は、試料を載置すべきステージ15を移動せるた
めに、機械的なスX−Yステージ駆動機構17及びZス
テージ駆動機構19を採用している。
【0004】X−Yステージ駆動機構17は、対物レン
ズ21の光軸(Z軸)に垂直な水平面(X−Y平面)に
沿って試料を移動させ、X−Y平面における試料の任意
の部分を視野内に設定することができる。
【0005】試料を光軸方向に移動させるためのZステ
ージ駆動機構19は、焦点調節に利用され、通常の方法
では、光軸方向に沿った面(X−Z平面、Y−Z平面)
における試料の観察のために用いることはできない。
【0006】また一般に、生体細胞などの微小試料は、
生理食塩水などの液体と共にステージ15上のスライド
グラス(図示せず)上に滴下され、カバーグラスにより
固定された状態で観察される。従って、試料を観察でき
る方向は、カバーグラスの垂直上方からの方向のみに制
限され、一旦に試料が固定されれば、他の方向から観察
するのは困難である。
【0007】微小な試料を任意の方向から観察するため
に、微小試料を顕微鏡下で微調整(マイクロマニピュレ
ーション)する技術として、機械的なマイクロマニピュ
レーター(微調整装置)が公知である。
【0008】図11に概略的に示した公知のマイクロマ
ニピュレーター23は、上述したような光学顕微鏡13
のステージ15と組み合わされている。ステージ15上
には、それぞれホルダー25,27に支持された針29
やホールドピペット31などの微小操作器具が可動に設
置されている。試料を含む液体(図示せず)は、微小操
作器具の先端において、ステージ15上に滴下されてい
る。
【0009】ホールドピペット31はガラス管など管空
状の部材からなる。ホールドピペット31にビニール管
33を通じて接続された微小圧力調整器35が、ホール
ドピペット31中の液体を吸引することにより、ホール
ドピペット31の先端で試料を捕捉できる。微小操作器
具を支持するホルダー25,27は、その駆動機構3
7,39によりX−Y−Z方向へ駆動可能である。
【0010】ホルダー駆動機構37,39は、観察者の
手元に置かれたコントローラ41により駆動指令を与え
られる。コントローラ41は、ジョイスティック、つま
みなどの手動操作要素を有し、この手動操作要素の動作
は、油圧や電気信号によりホルダー駆動機構37,39
に伝達され、その結果、ホルダー25,27が駆動され
る。
【0011】従って観察者がコントローラ41の手動操
作要素を操作することにより、微小操作器具をX軸方
向、Y軸方向、Z軸方向など目的に応じた方向に粗微動
させ、所定の位置に位置決めすることができる。この結
果、ステージ15上の試料を保持操作及び回転操作、即
ち微調整することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、機械的
なマイクロマニピュレーターにおいては、微小操作器具
の所望の粗微動のために手動操作要素を正確に操作する
には、熟練した技術が要求される。これは実際的には困
難な要求である。更に、生体細胞など柔軟な試料に硬い
微小操作器具を直接に接触させるために、試料が損傷、
変形または破壊される危険がある。
【0013】既に検討したように、任意の方向からの試
料の観察は、一般的な光学顕微鏡で実現することは非常
に困難である。この困難を解消するために、上述のよう
な機械的なマイクロマニピュレーターを用いることは、
その操作の困難性に加えて試料の損傷、変形、または破
壊の危険性のために、実用的ではない。
【0014】この発明の目的は、試料を顕微鏡下で任意
の方向から観察するために、試料を非接触に微調整する
ことができ、操作が容易であり、試料に対する悪影響も
少ない微調整方法を提供することである。
【0015】
【課題を達成するための手段】この発明の一つの観点に
よれば、容器内の液体に含まれた試料を、液体を通る光
軸を有する顕微鏡光学系により観察する際に、試料を微
調整するための方法であって、非点対称な空間的特性分
布を有するレーザビームを生成する行程と、レーザビー
ムの空間的特性分布を回転制御する行程と、顕微鏡光学
系の光軸に対して直交する方向に沿って、試料に対して
レーザビームを集束させる行程と、を備える顕微鏡観察
のための微調整方法が提供される。
【0016】
【作用】この発明に係る微調整方法は、観察すべき試料
をレーザビームにより捕捉するための光トラッピング技
術に基づいている。
【0017】先ず光トラッピング技術について説明す
る。光学特性の異なる二つの物体間の境界における反射
または屈折により光ビームの進行方向が変化した際は、
光ビームが運動量を有するために、進行方向の変化量に
応じた力、即ち光圧力が生じる。この光圧力の絶対量は
非常に小さい。しかし、高い空間的コヒーレント性を有
するレーザビームを集束させることにより、大きな光エ
ネルギーを局所的に集中させることができる。その結
果、微小な試料を捕捉可能な大きさの光圧力を発生させ
ることができる。
【0018】次に、観察すべき試料の光学的特性につい
て検討する。顕微鏡観察される生体細胞などの試料は、
一般に非点対称な(異方性の)屈折率分布または反射率
分布を有している。
【0019】この発明は、試料の上述の光学的特性を考
慮して、光トラッピングのためのレーザビームの空間的
特性分布を非点対称に変換している。従って、レーザビ
ームの異方性に起因して捕捉力も異方性を有する。その
結果、レーザビームは、上述のような異方性を持つ試料
を力学的に安定に捕捉でき、レーザビームの空間的特性
分布を回転させることにより、試料を回転制御すること
ができる。
【0020】
【実施例】図1は、この発明に係る微調整方法の概念的
な第1実施例を示す。
【0021】光源(図示せず)から射出されたレーザビ
ーム12は、非点対称な強度分布を有するパターン、例
えばレーザビーム12の光路に対して傾きをなす実質的
に楕円形状のパターンを有する。このレーザビーム12
は、開口数の大きな対物レンズ14により集束され、微
小試料16を捕捉する。
【0022】微小試料16は、非点対称な屈折率分布
(以下、異方性屈折率分布と称す)を有する形状、例え
ば偏平形状であり、且つその屈折率が周囲よりも大きい
ものとする。
【0023】図2は、図1の実施例に用いられている光
トラッピングの原理を示す。図2においては、説明の簡
易化のために、点対称な強度分布を有するレーザビーム
12′と、点対称な屈折率分布(以下、等方性屈折率分
布と称す)を有する試料16′とを例として説明する。
【0024】いま、レーザビーム12′のうち、微小試
料16′の図2の右端におけるビーム成分LB1 に着目
する。このビーム成分Aが試料16′に入射する際に
は、試料表面で屈折することにより、試料表面にはベク
トルFA1としての力が作用する。ビーム成分LB1 が試
料16′から射出する際には、試料表面にベクトルFA2
としての力が作用する。これら二つのベクトルFA1とF
A2とをベクトル加算すると、ベクトルFA (=FA1+F
A2)としての力が試料16′に作用する。
【0025】同様に、試料16′の図示の右端における
ビーム成分LB2 によれば、ベクトルFB1とFB2をベク
トル加算したベクトルFB (=FB1+FB2)としての力
が試料16に作用する。
【0026】試料16′の屈折率分布が点対称であり、
ビーム成分LB1 ,LB2 の強度が等しいとすると、ベ
クトルFA とFB の合力Fは、水平成分が打ち消されて
鉛直方向の上向きの力となる。このような関係が光軸と
平行なあらゆる断面で成り立てば、光圧力により生じた
合力により試料は上方に持ち上げられることになり、こ
の力と重力とが釣り合った状態で試料16′が捕捉され
ることになる。
【0027】再度図1を参照して、異方性屈折率分布を
有する試料16を考える。楕円形パターンを有するレー
ザビーム12が、対物レンズ14により試料16に集束
されると、レーザビーム12と試料16の長軸方向が一
致するような状態で試料16が捕捉される。これは、レ
ーザビームの異方性に起因して捕捉力も異方性を有する
ために、異方性屈折率分布を有する試料16に対して
は、上述したような捕捉状態が力学的に安定なためであ
る。従って、レーザビーム12の強度分布の長軸方向を
回転させると、それに伴って捕捉された試料16も回転
するので、試料を微調整(マイクロマニュピレーショ
ン)できる。
【0028】この場合、試料16を観察すべき顕微鏡の
対物レンズ(図1には共に図示せず)の光軸とレーザビ
ーム12の強度分布の回転軸とを互いに直角に設定する
ことにより、任意の方向からの試料の顕微鏡観察が実現
できる。
【0029】図3は、この発明に係る微調整方法を実現
するための更に具体的な第2実施例を示す。この第2実
施例及び以下の各実施例において、「光トラッピング用
顕微鏡」とは、光トラッピングにより微小試料を回転制
御するための顕微鏡光学系を意味し、「観察用顕微鏡」
とは、試料を観察するための顕微鏡光学系を意味するも
のとする。図3に示されるマイクロマニピュレーター2
00は、観察用顕微鏡18と組み合わされている。
【0030】レーザ光源20から発せられたレーザビー
ムは、ビームエキスパンダ22によりビーム径が拡大さ
れて矩形フィルタ24を通過し、光トラッピング用顕微
鏡26の鏡筒28内ヘ入射する。鏡筒28内に入射した
レーザビームは、ハーフミラー30で反射され、水槽3
2内の液体(培養液、生理食塩水等)34に浸漬された
対物レンズ36へ入射する。このレーザビームは、対物
レンズ36により、液体34中に浮遊する微小試料、例
えば生体細胞16へ集束される。微小試料16の光学像
は、対物レンズ36及びハーフミラー30を通じて、結
像レンズ38により結像され、テレビカメラ40aによ
り撮像される。
【0031】観察用顕微鏡18は、水槽32の側面から
水槽内へ挿入され、液体34に浸漬された対物レンズ4
2の光軸(X軸)が光トラッピング用顕微鏡用対物レン
ズ36の光軸(Z軸)と直交するように配置されてい
る。観察用顕微鏡18の対物レンズ42及び接眼レンズ
44により結像された試料の光学像は、テレビカメラ4
0bにより撮像され、セレクタ46を介してモニタテレ
ビ48に表示される。セレクタ46は必要に応じてテレ
ビカメラ40aの画像とテレビカメラ40bの画像とを
選択的に切り替える。
【0032】図4に示されるように、矩形フィルタ24
は、その正面から見て長方形状の穴24aが開口され、
レーザビームの空間的形状を非点対称形に変換する。更
に詳しくは、通常の発振状態(TEM00モード)におけ
るレーザビームの形状は点対称なガウス分布であるが、
レーザビームが矩形フィルタ24を通過することによ
り、空間分布の点対称性が破れ、直線的な分布に変換さ
れる。再度図3を参照すると、矩形フィルタ24は、モ
ータドライバ52により制御されたモータ50により、
レーザビームの光軸を中心として回転される。
【0033】マイクロマニュピレータ200は、水槽3
2を支持する移動ステージ54を備えることが好まし
い。ステージ54は、モータドライバ60により制御さ
れるX軸モータ56及びY軸モータ58によりそれぞれ
X軸方向、Y軸方向に駆動される。ステージ54は更に
Z軸方向に駆動可能としてもよい。
【0034】光トラッピング用対物レンズ36と、ステ
ージ54との間のZ軸方向距離は可変であることが好ま
しい。この目的のためにマイクロマニュピレータは、対
物レンズ36を保持したレンズホルダ62をZ軸方向に
駆動するためのレンズ駆動機構64を備えている。モー
タドライバ52,60及びレンズ駆動機構64は、コン
トローラ66からの指令信号により制御される。
【0035】コントローラ66に接続された操作装置6
8は、観察者または操作者の手動操作により微調整のた
めの指令信号をコントローラ66へ伝達するためのジョ
イスティック、レバーその他の手動操作要素を有してい
る。
【0036】第2実施例のマイクロマニピュレーターの
操作ステップは以下の通りである。 i)光トラップ用顕微鏡26による画像をモニタテレビ4
8に表示させるように、セレクタ46によりテレビカメ
ラ40aからの画像信号を選択する。 ii) モニタテレビ48を参照しながらステージ54及び
光トラッピング用対物レンズ36を移動させることによ
り、水槽32内の試料16を探す。 iii)試料16を画面の中央に捕えた時点でレーザビーム
を照射し、試料16を捕捉する。 iV) 観察用対物レンズ42の合焦面に試料16が位置す
るように、試料16を捕捉しながらステージ54及び光
トラッピング用対物レンズ36を移動させる。 v)セレクタ46にテレビカメラ40bからの画像信号を
選択させ、観察用顕微鏡18による画像をモニタテレビ
48に表示させる。 vi) 上述のステップv)の状態で矩形フィルタ24の向き
を制御することにより、試料を回転制御する。
【0037】以上により、モニタテレビ48には、矩形
フィルタ24の向きの制御に応じた方向から見た試料1
6の画像が表示される。従って、矩形フィルタ24を回
転させる比較的に簡単な操作により、任意の方向から試
料16を観察することができる。
【0038】図5は、この発明の第3実施例を示す。こ
の実施例は上述の第2実施例(図3及び図4)と二つの
相違点を有する。第1の相違点は、第2実施例のレーザ
光源20に代えて、高次の横モードを発振するレーザ光
源70を用いることにより、レーザビームの空間的強度
分布の非点対称性が実現されることである。第2の相違
点は、第1の相違点に起因して矩形フィルタ24及びそ
の駆動系50,52が用いられていないことである。こ
れら二つの相違点を除く装置構成は第2実施例と同様で
あるために、その説明及び図示は省略する。
【0039】図5において、レーザ光源70は基本的
に、ファブリー・ペロ共振器を構成する一対の共振器鏡
72,74、エネルギーが与えられることにより光を誘
導放出する固体や気体を含むレーザ媒質76、及びレー
ザ媒質76に光や電場などのエネルギーを与えるポンピ
ング装置78からなる。
【0040】更に、共振器鏡72と74との間には、第
2実施例の矩形フィルタ24の矩形開口24a(図4)
と同様な矩形開口(図示せず)を有する回転部材80が
設置されている。その矩形開口の中心はレーザビームの
光軸に一致されている。この回転部材80は、モータド
ライバ84により駆動されるモータ82によってレーザ
ビームの光軸を中心として回転される。モータドライバ
84は、第2実施例(図3)のモータドライバ52と同
様に、操作装置68による指令に基づいて、コントロー
ラ66により制御される。
【0041】多くの場合、通常のレーザ光源は、0次の
横モード(TEM00)で発振されるように設計されてい
る。しかし、この実施例のレーザ光源70のように、共
振器内に矩形開口を設けることにより、高次の横モード
(TEM10,TEM20など)で発振させることができ
る。
【0042】図6は、各横モードの空間強度分布の概念
図を示す。図示から明らかなように、TEM00が点対称
のガウス分布であるのに対し、TEM10やTEM20は非
点対称の分布を示す。
【0043】レーザ光源70から射出されたレーザビー
ムは、第2実施例と同様に、ビームエキスパンダ22
(図3)によりビーム径が拡大された後、光トラップ用
顕微鏡26に導かれる。
【0044】観察者は、第2実施例の矩形フィルタ24
と同様に、矩形開口を有する回転部材80を回転制御す
ることにより、任意の方向から微小試料16を観察でき
る。この第3実施例の利点は、第2実施例と同様に、試
料16の回転操作のための装置構成が比較的に単純であ
ることの他、レーザビーム自体の非点対称性を用いてい
るのでレーザパワーを効率良く利用できることである。
【0045】図7は、この発明の第4実施例を示す。こ
の実施例は上述の第2実施例(図3及び図4)と二つの
相違点を有する。第1の相違点は、第2実施例のレーザ
光源20に代えて、偏光状態が直線偏光にされたレーザ
ビームを発するレーザ光源86が用いられていることで
ある。一般に物質の境界面における光の反射率は偏光成
分によって異なる。従って、直線偏光のレーザビームを
微小試料に照射することにより、光圧力の空間分布に異
方性を生じさせることができる。第2の相違点は、回転
可能な矩形フィルタ24に代えて、第1の1/4波長板
100及び第2の1/4波長板102が使用されている
ことである。これら二つの相違点を除く装置構成は第2
実施例と同様であるために、その説明及び図示は省略す
る。
【0046】図7において、気体レーザ光源86は基本
的に、共振器鏡88,90、Ar+ やHe−Ne,Kr+
などの気体が封入されて光を誘導放出させるための放
電管92、放電管92内に放電を発生させるための電力
を供給する放電装置94、及び共振器鏡88,90の損
失を軽減するために、放電管92の両端面に設置された
ブリュースター窓96,98からなる。
【0047】ブリュースター窓96,98は、放電管9
2内を通過してきたレーザビームがブリュースター窓9
6,98に対して或る特定の角度(偏光角)で入射され
るように設計されることにより、共振器内を光が往復し
ても反射の損失を生じない偏光成分(p成分)の光だけ
を発振させる。これは、ガラスのような誘電体に偏光角
で光を入射させると、入射面に対して垂直な偏光成分
(s成分)と平行な偏光成分(p成分)とのうち、反射
光はs成分のみになる原理を応用したものである。
【0048】従って、気体レーザ光源86は直線偏光の
レーザビームを射出する。この射出されたレーザビーム
は、第2実施例と同様に、ビームエキスパンダ22によ
りビーム径が拡大される。次にレーザビームは、第1の
1/4波長板100を通過することにより一旦に円偏光
に変換されてから、第2の1/4波長板102を通過す
ることにより再び直線偏光に変換される。第2の1/4
波長板102はモータドライバ106により駆動される
モータ104によって回転される。モータドライバ10
6は、第2実施例(図3)のモータドライバ52と同様
に、操作装置68による指令に基づいて、コントローラ
66により制御される。
【0049】第2の1/4波長板102の回転制御に応
じて、任意の方向に直線偏光成分を有するレーザビーム
が光トラッピング用顕微鏡に導かれる。このようにレー
ザビームの偏光特性を直線偏光にすることにより、トラ
ッピング光の空間的力学特性が非点対称になる。
【0050】観察者は、第2実施例の矩形フィルタ24
と同様に、第2の1/4波長板102を回転制御するこ
とにより、任意の方向から微小試料16を観察すること
ができる。
【0051】この実施例の利点は、第2実施例と同様に
試料16の回転操作のための装置構成が比較的に単純で
あることの他、偏光成分の違いにより屈折率などの光学
特性が大きく異なるような試料に対しても適用性が高い
ことである。
【0052】代替的に、第1と第2の1/4波長板10
0,102は、モータ104により回転される一枚の1
/2波長板(図示せず)に置き換えても本実施例と同様
な効果が達成される。
【0053】また、レーザ光源86は、気体レーザ光源
に限定されるものではなく、例えば固体レーザ光源を用
いても直線偏光のレーザビームを射出させることができ
る。図8は、この発明の第5実施例を示す。この実施例
は、主として観察用顕微鏡及び光トラッピング用顕微鏡
の配置及び構成に関するものである。これら顕微鏡を除
く構成は、特に断らない限り第2乃至第4実施例と同様
であるため、その説明は省略する。
【0054】水槽32の上方から水槽内へ挿入された観
察用顕微鏡108は、液体34に浸漬された対物レンズ
110を有する。この対物レンズ110の光軸は、実質
的に鉛直線(Z軸方向)にアライメントされている。
【0055】二つの光トラッピング用顕微鏡112a,
112bは、水平方向(X軸方向)に互いに対向するよ
うに水槽32内へ挿入され、それぞれ液体34に浸漬さ
れた対物レンズ114a,114bを有する。互いに対
向する対物レンズ114a,114bの光軸は、実質的
に水平方向(X軸方向)にアライメントされている。光
源(図8には示されていない)から射出されたレーザビ
ームは、着脱自在なミラー116によって、観察用顕微
鏡108と光トラッピング用顕微鏡112とへそれぞれ
選択的に入射される。
【0056】ミラー116が、仮想線で示すように、レ
ーザビームの光路から外されている場合には、レーザビ
ームは、観察用顕微鏡108の鏡筒118内のハーフミ
ラー120により対物レンズ110に入射される。この
のレーザビームは、観察対象の微小試料16を最初に選
択して捕捉するためのトラップ光として用いられる。鏡
筒118内のハーフミラー120の上方には、接眼レン
ズ122が設けられている。対物レンズ110及び接眼
レンズ122より結像された試料16の光学像は、鏡筒
118の上部に装着されたテレビカメラ124により撮
像される。テレビカメラ124による顕微鏡画像は、モ
ニタテレビ126に表示される。
【0057】一方、ミラー116が、実線で示すよう
に、レーザビームの光路中に設置されている場合には、
レーザビームは二つの光トラップ用顕微鏡112a,1
12bへ入射される。更に詳しくは、レーザビームの半
分の強度のビームがハーフミラー128により対物レン
ズ114aへ導かれ、他方の半分の強度のビームがミラ
ー130,132,134により対物レンズ114bへ
導かれる。
【0058】対物レンズ114aと114bとは、互い
に同じ仕様の光学材料からなる。また、対物レンズ11
4a,114bの開口数は対物レンズ110の開口数に
比較して小さく、光圧力が微小試料16を押圧する力と
して働く。開口数の小さい対物レンズ114a,114
bは作動距離が長いので、微小試料16を比較的に遠い
位置から捕捉することができる。従って、観察用対物レ
ンズ110を試料16に一層に近づけることが可能にな
【0059】微小試料16は、二つの光トラッピング用
対物レンズ114a,114bからの二つのレーザビー
ムによって水平方向に押し合う力が釣り合い、また垂直
方向には二つのレーザビームによって生じる上向きの力
と重力とがつり合った位置で捕捉されることになる。
【0060】観察用対物レンズ110を保持するレンズ
ホルダー136は、第2実施例(図3)のトラッピング
用対物レンズ36を保持するホルダー62と同様に、対
物レンズ駆動機構66(図8には示されていない)によ
りZ軸方向へ移動可能である。第5実施例の操作ステッ
プは以下の通りである。 i)着脱自在ミラー116をレーザビームの光路から予め
外しておく。 ii) 観察用顕微鏡108による画像をモニタテレビ48
に表示させる。
【0061】iii)モニタテレビ126を参照しながらス
テージ54(図8には示されていない)及び観察用対物
レンズ110を移動させることにより、水槽32内の試
料16を探す。 iv) 試料16をモニタテレビ126の画面の中央に捕え
た時点でレーザビームを照射し、試料16を捕捉する。 v)捕捉された試料16をトラッピング用対物レンズ11
4a,114bで捕捉可能な位置までレーザビームによ
り移動させる。 vi) 着脱自在ミラー116をレーザビームの光路上に設
置し、試料16を対物レンズレンズ114a,114b
で捕捉する。 vii)第2乃至第4実施例の何れかの方式を用いてレーザ
ビームの空間特性を制御し、試料16を回転制御する。 以上により、モニタテレビ126には、レーザビームの
空間特性の制御に応じて、任意の方向から見た試料16
の画像が表示される。
【0062】この実施例によれば、第2乃至第4実施例
に比較して、開口が大きく倍率の高い観察用対物レンズ
110を使用できるので、一層に高倍率、高分解能な顕
微鏡画像を任意の方向から観察できる。
【0063】図9は、この発明の第6実施例を示す。こ
の実施例と第2実施例とは二つの相違点を有する。第1
の相違点は、光トラッピング用顕微鏡26の配置位置で
ある。この実施例の光トラッピング用顕微鏡26は、第
2実施例と逆に、水槽34の下方から水槽内へ挿入され
ている。この光トラッピング用顕微鏡26の対物レンズ
36の光軸(Z軸)は、実質的に鉛直線にアライメント
されている。
【0064】第2の相違点は、第5実施例と同様に、光
トラッピング用顕微鏡26の対物レンズ36の開口数が
比較的に小さく、観察用顕微鏡18の対物レンズ42の
開口数が比較的に大きいことである。これら二つの相違
点を除く装置構成は、第2乃至第4実施例と同様である
から、その説明は省略する。
【0065】小さな開口数を有する光トラッピング用対
物レンズ36によれば、第5実施例と同様に、光圧力が
微小試料16を押圧する力として働く。従って微小試料
16はレーザビームにより上方へ押し上げられ、重力と
釣り合った位置で捕捉される。
【0066】本実施例によれば、第2実施例と全く同様
な操作ステップにより、任意の方向から試料16を観察
することができる。この場合、第5実施例と同様に、高
倍率、高解像力の顕微鏡画像を表示できる。更に有利な
ことには、第5実施例に比較して、装置構成を単純化で
きる。
【0067】本発明の方法は、点対称な屈折率分布また
は反射率分布を有する微小試料に対しては適応が困難で
ある。しかし実際には、例えば生体細胞などは、その形
状や内部構造により屈折率分布または反射率分布に異方
性を有する場合が殆どであるから、本発明の適用範囲は
広いことが明らかである。
【0068】
【発明の効果】この発明の方法によれば、試料がレーザ
ービームにより微調整されるので、任意の方向から試料
を観察することが可能となる。
【0069】レーザービームを用いた微調整によれば、
試料は機械的に非接触な状態で微調整できるので、機械
的な微調整方法に比較して、操作が容易であり、且つ試
料に与える損傷が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係る微調整方法の原理
を説明するための模式的な光路図である。
【図2】この発明に用いられた光トラッピング技術の原
理を説明するための模式的な光路図である。
【図3】この発明の方法を達成するための第2実施例の
マイクロマニュピレーターを全体的に示すブロック図で
ある。
【図4】第2実施例における矩形フィルタをレーザービ
ームの進行方向に沿って見た正面図である。
【図5】第3実施例におけるレーザー光源を模式的に示
すブロック図である。
【図6】図5のレーザー光源の説明のために横モード
(TEM00,TEM10,TEM20)の空間強度分布を概
念的に示す図である。
【図7】第4実施例におけるレーザー光源を模式的に示
すブロック図である。
【図8】第5実施例のマイクロマニュピレーターにおけ
る観察用顕微鏡と二つの光トラッピング用顕微鏡との配
置関係を示す図である。
【図9】第6実施例のマイクロマニュピレーターにおけ
る観察用顕微鏡と光トラッピング用顕微鏡との配置関係
を示す図である。
【図10】従来の光学顕微鏡を模式的に示す側面図であ
る。
【図11】図10の光学顕微鏡を従来のマイクロマニュ
ピレーターと共に模式的に示す正面図である。
【符号の簡単な説明】
16…試料、18,108…観察用顕微鏡(顕微鏡光学
系)、20,70,86…レーザ光源、24…矩形フィ
ルタ、26,112a,112b…光トラッピング用顕
微鏡、32…水槽(容器)、34…液体、50,82…
モータ、80…回転部材、114a,114b…対物レ
ンズ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器内の液体に含まれた試料を、液体を
    通る光軸を有する顕微鏡光学系により観察する際に、試
    料を微調整するための方法であって、 非点対称な空間的特性分布を有するレーザビームを生成
    する行程と、 レーザビームの空間的特性分布を回転制御する行程と、 顕微鏡光学系の光軸に対して直交する方向に沿って、試
    料に対してレーザビームを集束させる行程と、を備える
    顕微鏡観察のための微調整方法。
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