JPH0680689U - 花卉用包装具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 花卉を傷めることなく流通や販売を容易に行
うことができ、併せて簡易的な花瓶にもなり、かつ、内
部の酸素あるいは二酸化炭素濃度をコントロールできる
花卉用包装具を提供する。 【構成】 花卉用包装具を、少なくとも一方の端部１１
が開口した筒体１０と、片端部２１が予め密閉された筒
状であり内部に前記筒体１０を有する袋２０とを備え、
袋内部に花卉３０を収容するとともに筒体１０で花卉３
０の茎部を保持できる構造にし、併せて前記袋２０を、
その短手方向で切断したときに、予め密閉された端部２
１を有する側を、前記筒体１０の開口部１１に端部２１
から一部挿入し、かつ残部を筒体１０外部に折り曲げて
筒体の外面を覆うことができ、筒体１０と一体で花瓶と
して使用することができるようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、花卉類を収容するための包装具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、花卉類は一般に、積層した状態で長方形の段ボール箱に収納され流通し ていた。また有底筒状の大型の花立てに、多数の花を差した状態でも流通するこ とがある。これは花の鮮度を維持するためと、花卉の花弁が脆弱で傷つき易いの で、これを保護する必要があるためである。

【０００３】 一方、販売に際しては、花卉の茎下部から花弁付近までをラップで巻いた上で 、購買者に渡されることが多い。 このように、花卉の流通や販売は極めて手間のかかるものであるため、生花専 門店でなければ取り扱うことが困難とされており、花卉類のマーケットを狭める ことにもなっていた。また、このような状態では、携帯しにくく花卉を傷めやす いという問題もあった。このような観点から、近年、細長いビニール袋にガスを 充填し、その中に花卉を収容して販売することが行われている。近年、これらの 袋用に、花卉の鮮度を保持するために種々のガス選択性フィルムが用いられるよ うになってきた。

【０００４】 また、花卉は贈答等の際、直ちに花器に生けるのが望ましいが、場合によって は花器がない場所で受け取ることがある。このような場合、代用のコップ等を用 意するか、あるいはそのままで保管せざるを得ず、花卉本来の価値を生かすこと ができない場合があった。そこで、花卉を容器に収容したまま販売するための販 売容器（実開昭５５−１２３４９０号公報）や、花卉を生ける容器を内部に収容 する袋状の包装具（実開平４−７４６３７号公報）、さらに、２つの筒体からな り内部に切り花を収容する容器であって、筒体が切り花を生ける容器にもなる切 り花の収容容器（実開平３−８７６２９号公報）が開示されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上述したように、花卉の包装には種々のものが開発されているが、生花の鮮度 の保持と、花瓶としての使用が共に可能な花卉用包装具は知られていない。本考 案は、このような観点からなされたものであり、花卉を傷めることなく流通や販 売を容易に行うことができ、併せて簡易的な花瓶にもなり、かつ、内部の酸素や 二酸化炭素濃度をコントロールできる花卉用包装具を提供することを課題とする 。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は前記技術的課題を解決するために、花卉用包装具を以下のような構成 とした。

【０００７】 すなわち本考案は、少なくとも一方の端部１１が開口した筒体１０と、片端部 ２１が予め密閉された筒状であり内部に前記筒体１０を有する袋２０とを備え、 袋内部に花卉３０を収容するとともに筒体１０で花卉３０の茎部を保持する花卉 用包装具１であって、前記袋２０は、その短手方向で切断したときに、予め密閉 された端部２１を有する側を、前記筒体１０の開口部１１に端部２１から一部挿 入し、かつ残部を筒体１０外部に折り曲げて筒体の外面を覆うことができ、筒体 １０と一体で花瓶として使用することができることを特徴とする花卉用包装具１ である。

【０００８】 前記筒体１０は、花卉３０を包装具１内で保持するとともに、袋２０の一部と 一体で花瓶を形成するものであり、筒状であって、開口部１１を上にしてテーブ ル等の平面上置くことができるものであれば特に形状は問わず、例えば断面円形 はもとより、断面が三角形、四角形、六角形等の多角形、あるいは半円状等の異 形にすることができる。また、前記筒体１０は、少なくとも一方の端部が開口し ていれば良く、もう一方の端部は底面があってもなくても良い。この筒体の材質 は、輸送時等に変形しないようにある程度の強度を有していればよく、例えば厚 紙、プラスチック等が挙げられる。尚、厚紙のような適度な吸水性材料を用いる と、花卉３０から放出される過剰の水蒸気が袋２０内で露結するのを防止するこ とができる。

【０００９】 袋２０は、輸送や販売の際に花卉３０の乾燥を防いで適度な雰囲気に保ち、ま た、物理的な障害から花卉３０を保護するためのものであって、かつ袋２０の一 部は、前記筒体１０とともに簡易な花瓶を形成することができる。すなわち、袋 ２０をその短手方向で切断し、予め密閉された端部２１を有する側を、前記筒体 １０の開口部１１に挿入し、かつ残部を筒体１０外部に折り曲げて筒体の外面を 覆うと、装飾性のある花瓶として使用することができる。この袋２０には、その 短手方向で切断しやすいように、袋の短手方向の周上に帯状の切除可能部２３を 設けると、切断端をきれいに切断することができ、またハサミ等を用いなくても 切断が可能となる。更に、この切除を容易にするために、切除可能部に袋外面に 突出する導出帯２５を連結してもよい。

【００１０】 また、袋２０の材質は、販売時等に外部から花卉３０が見えるように、全部ま たは一部が透明であることが好ましい。また、前記袋２０は、密封したときに、 袋内部の気体濃度をコントロールすることができるような気体選択性フィルムを 用いるとよい。

【００１１】 この気体選択性フィルムは、炭酸ガスと酸素の選択透過性を有し、包装具１内 の酸素濃度を３〜１２％、炭酸ガス濃度を５〜１０％程度に調整できるものが望 ましい。材料としては、炭化水素系ポリマー類等が挙げられるが、気体選択性フ ィルムはこれらに限られず、使用する花卉３０の種類等によって適宜選択すれば よい。また、製法等については、例えば特開平２−２７５８０１号公報、特開昭 ６１−２１６６４０号公報、特開昭６３−１０２６３４号公報等に詳しい。

【００１２】 前記袋２０は、最終的には、前述のようにして、筒体１０と一体に花瓶として 使用されるため、耐水性であることが必要である。また花瓶に装飾性を持たせる ために、前記袋２０には、全体あるいは、折り返して筒体１０の外面を覆う部分 等に部分的に印刷等の装飾が施されていても良い。

【００１３】 また、本考案の花卉用包装具１では、花卉３０から放出される水分で、袋２０ 内部が曇って花卉３０が見えにくくなるのを防ぐために、前記袋２０の内部を防 曇加工しておくとよい。この防曇加工としては、例えば、前記袋２０に界面活性 剤を練り込む、前記袋２０の内面に界面活性剤等のコーティングをする、コロナ 放電処理を施すなどの一般的な防曇手段の他、前述したように前記筒体１０に吸 湿性を持たせることなどが挙げられる。

【００１４】 さらに、本考案の花卉用包装具１には、例えばチオ硫酸銀水溶液、硫酸アルミ ニウム水溶液、ハイドロオキシキノリン水溶液等を含む鮮度保持剤を、包装具内 に添加しておくことも可能である。

【００１５】

【作用】

本考案の花卉用包装具１を用いれば、花卉３０の茎部を筒体１０に挿入した状 態で、花卉全体が袋２０内に包装されているので、輸送、販売に際して、花卉３ ０の乾燥を防ぐことができ、物理的な障害から花弁を保護することができる。ま た、袋２０を気体選択性フィルムにすると、花卉３０の鮮度を維持することが可 能となる。

【００１６】 さらに、販売後は、袋２０をその短手方向で切断して、先ず包装具１より花卉 ３０を取り出し、更に、切り離された袋下部から筒体１０を取り出して、筒体開 口部１１から筒体内部に、袋の予め密閉された端部２１を先にして、袋下部を適 当な長さだけ挿入し、残った部分を筒体１０の外部に折り曲げて筒体外面を覆う ようにし、筒体１０と一体化させた後、袋下部内に花卉３０と水を入れて簡易的 な花瓶とすることができる。

【００１７】 以上の作用により、花卉類の完全なパッケージ化ができ、花卉を傷めることな く流通や販売を容易に行うことが可能となり、併せて本考案の花卉用包装具を簡 易的な花瓶として使用することができる。

【００１８】 また、前記袋２０の短手方向の周上に帯状の切除可能部２３を設け、袋の側面 に突出する導出帯２５を連結すれば、これを引っ張ることより、袋を２０を上部 と下部に切断することができる。また、花瓶にしたときに見栄えが良くなるよう な切り口や長さに袋を分割することができる。

【００１９】 更に、前記袋２０を気体選択性フィルムにしてこれを密封すれば、流通に際し て、包装具１内のガス成分を花卉３０の保存に適したものに調整することができ るため、商品価値の低下をより抑制することができる。

【００２０】

【実施例】

本考案の実施例を図１から図３に基づいて説明する。 花卉用包装具１は、両端部が開口した筒体１０と、気体選択性フィルム製で片 端部２１が予め密閉された筒状であり内部に前記筒体１０を有する袋２０とから 形成されている。また、前記袋２０内面には界面活性剤による防曇加工が施され ている。

【００２１】 そして、この花卉用包装具１の内部には、前記袋２０で花卉全体３０を収容す るとともに前記筒体１０内部に花卉３０の茎部を収容し保持するかたちで花卉３ ０が収容される。

【００２２】 この袋２０における短手方向の周上には、２本の弱め線２４、２４が平行に形 成されている。即ち、この弱め線２４、２４は、袋の短手方向の周に沿って設け られている。

【００２３】 そしてこの弱め線２４、２４に挟まれた帯状の部分が切除可能部２３となって いる。この切除可能部２３の外側面には、図３に拡大断面図として示すように、 導出帯２５が接着されており、この導出帯２５を前記袋２０の外側面に突出させ てある。この導出帯２５を引くことで弱め線２４、２４を破断し、切除可能部２ ３が切除できるようになっている。これにより、食品等に設けられているバージ ンシールと同様の操作で、袋２０を切除可能部２３の上下で、袋上部と袋下部に 二分割することができる。

【００２４】 花卉包装具１内に花卉３０を収容した後、必要に応じて包装具内に酸素・窒素 または二酸化炭素等のような鮮度保存ガスを充填し、前記袋２０の開口部２２を 熱融着、あるいは紐で結ぶ等の方法で密閉する。

【００２５】 このように花卉３０は、花卉包装具１によりパッケージ化されるため取り扱い が容易であり、取り扱い可能な店舗等を大幅に拡大することができるとともに、 ギフト用としても最適なものとなる。

【００２６】 さらに販売後は、導出帯２５を引くことで切除可能部２３が切断され、前記袋 ２０が二分する。そして、包装具１より花卉３０を取り出し（図２ａ））、更に 、切り離された袋下部から筒体１０を取り出して、筒体開口部１１から筒体内側 に、袋の予め密閉された端部２１を先にして、袋下部を筒体１０とだいたい同じ 長さだけ挿入し、余分な部分を筒体１０の外部に折り曲げて筒体外面を覆うよう にし、筒体１０と一体化させた（図２ｂ））後、袋下部内に花卉３０と水を入れ て、簡易的な花瓶とすることができる（図２ｃ））。

【００２７】 前記袋２０を構成する気体選択性フィルムの特性としては、包装具１内の酸素 濃度を３から１２％、炭酸ガス濃度を５から１０％程度とするものが望ましい。 前記気体選択性フィルムの材料としては、例えば、ポリシロキサン類、ポリオ レフィン、ポリジエン及びポリアセチレンなどの炭化水素系ポリマー類、ポリア ルキルフェニルエーテル類、ポリホスファゼン類などを挙げることができる。

【００２８】 ポリシロキサン類としてはポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン ポリカーボネイト共重合体、あるいはポリシロキサン含有ポリ尿素、ポリシロキ サン含有ポリアミドなどを例示することができる。

【００２９】 また、炭化水素系ポリマー類の例としては、ポリメチルベンテン、ポリメチル ヘキセン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリアルキル置換アセチレン等やポリ メチルアルリシラン、ポリメチルビニルシラン、ポリメチルシリルアセチレンな どのアルキルシリル基含有ポリマーなどを挙げることができる。

【００３０】 さらに、ポリアルキルフェニルエーテル類としては、ポリ−２.６ジメチルフ ェニルエーテル、ポリ−２.６ジエチルフェニルエーテルなどを例示することが できる。

【００３１】 ポリホスファゼンとしてはポリジエトキシホスファゼン、ポリジ（P-メチルフ ェノキシ）ホスファゼン、ポリＮ−プロピルＮ’−ジエチルホスファゼンなどを 挙げることができる。

【００３２】 袋２０内面の防曇加工に用いる界面活性剤としては、高級脂肪酸の金属塩、高 級アルコール硫酸エステル塩、α−オレフィン硫酸エステル塩、アルキルベンゼ ンスルホン酸塩等のアニオン型界面活性剤、高級アルコールエチレンオキシド付 加物、アルキルフェノールエチレンオキシド付加物、脂肪酸ジェタノールアミド 、ブルロニック型非イオン洗剤等の非イオン型界面活性剤、アミノ酸型両性洗剤 、ベタイン型両性洗剤、ウルトラボン型両性洗剤等の両性型界面活性剤などを挙 げることができる。

【００３３】

【考案の効果】

以上のように本考案の花卉用包装具を用いれば、花卉を傷めることなく流通や 販売を容易に行うことができ、併せて販売後は包装具の一部を簡易的な花瓶とし て使用することができる。

【００３４】 また、花卉包装具を構成する袋に切除可能部と導出帯を設ければ、容易にかつ 花瓶にしたときに見栄えが良くなるような切り口や長さに袋を分割することがで きる。

【００３５】 更に、花卉包装具を構成する袋に気体選択性フィルムを用いれば、内部の酸素 あるいは二酸化炭素濃度をコントロールすることができ、花卉の商品価値の低下 をより抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す流通状態の斜視図

【図２】本考案の一実施例を示す使用状態の斜視図

【図３】図１に示す本考案の一実施例における切除可能
部分を拡大して示す断面図

【符号の説明】

１・・花卉用包装具 １０・・筒体 １１・・筒体開口部 ２０・・袋 ２１・・予め密閉された袋の端部 ２２・・袋のもう一方の端部 ２３・・切除可能部 ２４・・弱め線 ２５・・導出帯 ３０・・花卉

フロントページの続き (72)考案者 間宮 憲司 静岡県静岡市弥生町６番48号ポーラ化成工 業株式会社内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも一方の端部が開口した筒体
   と、片端部が予め密閉された筒状であり内部に前記筒体
   を有する袋とを備え、袋内部に花卉を収容するとともに
   筒体で花卉の茎部を保持する花卉用包装具であって、 前記袋はその短手方向で切断したときに、予め密閉され
   た端部を有する側を、前記筒体の開口部に端部から一部
   挿入し、かつ残部を筒体の外部に折り曲げて筒体外面を
   覆うことができ、筒体と一体で花瓶として使用すること
   ができることを特徴とする花卉用包装具。
2. 【請求項２】 前記袋は、その短手方向の周上に帯状の
   切除可能部を設け、この切除可能部に袋外面に突出する
   導出帯を連結したことを特徴とする請求項１記載の花卉
   用包装具。
3. 【請求項３】 前記袋は、気体選択性フィルムからな
   り、密封したときに袋内部の気体濃度をコントロールす
   ることができることを特徴とする請求項１又は２記載の
   花卉用包装具。