JPH0680488A - 光合成増進剤および光合成増進方法 - Google Patents

光合成増進剤および光合成増進方法

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JPH0680488A
JPH0680488A JP4232066A JP23206692A JPH0680488A JP H0680488 A JPH0680488 A JP H0680488A JP 4232066 A JP4232066 A JP 4232066A JP 23206692 A JP23206692 A JP 23206692A JP H0680488 A JPH0680488 A JP H0680488A
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photosynthesis
magnesium
plant
phosphate
phosphoric acid
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Itsuo Kawamura
逸夫 川村
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Koei Chemical Co Ltd
Koei Chemical Industry Co Ltd
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Koei Chemical Co Ltd
Koei Chemical Industry Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C05FERTILISERS; MANUFACTURE THEREOF
    • C05BPHOSPHATIC FERTILISERS
    • C05B9/00Fertilisers based essentially on phosphates or double phosphates of magnesium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C05FERTILISERS; MANUFACTURE THEREOF
    • C05GMIXTURES OF FERTILISERS COVERED INDIVIDUALLY BY DIFFERENT SUBCLASSES OF CLASS C05; MIXTURES OF ONE OR MORE FERTILISERS WITH MATERIALS NOT HAVING A SPECIFIC FERTILISING ACTIVITY, e.g. PESTICIDES, SOIL-CONDITIONERS, WETTING AGENTS; FERTILISERS CHARACTERISED BY THEIR FORM
    • C05G5/00Fertilisers characterised by their form
    • C05G5/20Liquid fertilisers
    • C05G5/23Solutions

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Pest Control & Pesticides (AREA)
  • Fertilizers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燐酸およびマグネシウムの植物体への吸収効
率を向上させて植物体内での光合成作用を増進させる。 【構成】 第1燐酸マグネシウム( Mg(H2
42)の水溶液を、被施用植物の種類や施用時期によ
って適宜の濃度に調整して、植物の葉面に散布する。土
壌中にあって燐酸を難溶性にする鉄やアルミニウムとの
接触が回避されるので、燐酸の吸収効率が向上する。ま
た、土壌中のカリウムによる吸収の阻害が回避されるの
でマグネシウムの吸収効率も向上する。葉緑素の主要成
分であるマグネシウムとエネルギー伝達を担う燐酸とを
効率よく吸収させるので、植物体内における光合成が増
進される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物の光合成作用を増
進させる光合増進剤および有効成分を含む水溶液を植物
の葉面に散布して有効成分を吸収させる光合成増進方法
に関する。
【0002】
【従来の技術および発明の背景】従来より、燐酸は植物
の体内にATP(アデノシン3燐酸)などの形態で存在
し、光合成、呼吸その他諸物質の代謝などに関連して、
エネルギー伝達の媒体として作用することが知られてい
る。一方、マグネシウムは光合成作用を担う物質である
葉緑素の主要構成要素であるとともに、植物体への燐酸
の吸収および植物体内における燐酸の移動に深く関与す
る物質として知られており、植物へ燐酸を施用する際に
マグネシウムを併用すると、植物による燐酸の吸収およ
び植物体内での燐酸の移行効率が向上することが知られ
ている。また、植物体内のマグネシウムが欠乏すると葉
緑素の生成が不十分となり光合成作用が低下すること
や、燐酸が不足するとATPの生成やATPを介しての
エネルギー伝達が不十分となり光合成作用が低下するこ
とが知られている。さらに、マグネシウムは植物体内に
おける燐酸の代謝にあずかる各種の酵素の働きを活性化
する物質であることも知られている。このように燐酸と
マグネシウムとは植物体内への吸収および植物体内での
働きの面からきわめて深い関係にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、燐酸を土壌
を介して施用すると、燐酸が土壌中の鉄、アルミニウム
等と結合して難溶性の燐酸鉄や燐酸アルミニウム等にな
るために、植物に有効に吸収されるのは施用量の10〜
20%程度となってしまい施用効率が低かった。また、
土壌を介してマグネシウムを施用した場合に、土壌中の
マグネシウムに比べてカリウムが相対的に過剰である
と、カリウムとマグネシウムとの拮抗作用によってマグ
ネシウムの吸収が阻害されることが知られている。この
ため、燐酸とマグネシウムとを併せて植物体に吸収させ
ることでその吸収効率を向上させ、それらの植物体内に
おける各種作用を増進する植物施用剤の開発が期待され
ていたが、いまだ実現されていなかった。また、土壌を
介しての施用では植物体内に効率よく吸収されない成分
でも、葉面散布などの手段によれば吸収効率を向上させ
得る場合もあるが、従来知られていた燐酸マグネシウム
は不溶性あるいは難溶性のものであり、これを溶液とし
て葉面散布することは不可能であった。
【0004】発明者らはこのような植物施用剤の研究を
重ねていたが、水溶性に優れた第1燐酸マグネシウムの
製造が可能となり、これを植物に施用することを目的と
して種々の実験を行った。その結果、水溶性の第1燐酸
マグネシウムを水溶液として植物の葉面に散布すると、
燐酸およびマグネシウムの植物体への吸収効率が向上
し、植物体内における光合成作用が増進されることを知
り、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の目
的とするところは、燐酸およびマグネシウムの植物体へ
の吸収効率を向上させて植物体内での光合成作用を増進
させる光合成増進剤および燐酸およびマグネシウムの植
物体への吸収効率を向上させて植物体内での光合成作用
を増進させる光合成増進方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用】かかる課題を
解決するために本発明は次の手段を採用している。すな
わち、第1の発明である光合成増進剤は、水溶性の第1
燐酸マグネシウムを有効成分とすることを要旨とする。
【0006】また、第2の発明である光合成増進方法
は、第1燐酸マグネシウムの水溶液を植物の葉面に散布
することを要旨とする。以下、第1および第2の発明に
ついてさらに詳細に説明する。なお、光合成増進とは植
物体内における光合成作用の増進をいい、光合成増進剤
とはこれに含有される有効成分を植物体内に吸収させて
前記光合成増進の効果を発揮する組成物であり、そのた
めの方法が光合成増進方法である。
【0007】第1および第2のの発明において有効成分
として使用可能な第1燐酸マグネシウム(Mg(H2
42 )の形態は、結晶状態が取扱や保存に便利であ
り、特に4水物結晶(Mg(H2PO42・4H2O)が
水への溶解性および取扱性に優れている。8水物等の他
の結晶形態では水に不溶あるいは難溶であり、本発明に
用いるには適切ではない。なお、4水物では必要としな
いが、水溶性の第1燐酸マグネシウムを水に溶解する際
に溶解促進剤等を添加してもよい。さらに、予め第1燐
酸マグネシウムの高濃度の水溶液を調製しておき、これ
を適宜の濃度に希釈して散布することも可能である。
【0008】第1燐酸マグネシウム水溶液の濃度は被施
用植物の種類や施用時期によって調整するのが好まし
い。例えば細胞分裂が盛んな生育初期、澱粉や糖分の蓄
積が活発となる開花前後および収穫前では重量比で50
0倍〜600倍程度で、周年使用する場合は同800倍
〜1000倍程度での施用が適当である。また、植物体
内の燐酸量を適正値に保つことは窒素過多を防止するこ
とになるが、窒素過多を改善する場合には同500倍〜
600倍程度で施用するとよい。なお、カルシウム剤と
混用すると難溶性の燐酸三石灰(Ca3PO4)が生成さ
れるのでカルシウム剤との混用には適していない。同様
に硫黄系の農薬と混用すると硫化水素ガスが発生するの
で、硫黄系の農薬との混用には適していない。これらカ
ルシウム剤および硫黄系の農薬を除き、各種の農薬と混
用可能である。
【0009】この第1燐酸マグネシウムの水溶液を噴霧
器等の適宜の手段を用いて、植物の葉面に散布する。こ
のため燐酸を難溶性化合物とする鉄やアルミニウムなど
の土中成分との接触は回避され、植物体内への燐酸の吸
収効率は向上する。また、植物による燐酸の吸収および
植物体内での燐酸の移行効率を向上させるマグネシウム
を同時に施用することになるので、葉面からの燐酸の吸
収および植物体内での燐酸の移行効率は一層向上する。
さらに、土壌を介さずに施用するので、土壌中のカリウ
ムとの拮抗作用によるマグネシウムの吸収阻害は回避さ
れ、マグネシウムの吸収効率も向上する。したがって、
上記の燐酸の吸収と移行は効率よく行われることとな
る。
【0010】葉緑素の主要成分であり植物体内における
燐酸の代謝に関与する各種酵素を賦活するマグネシウム
と光合成作用においてエネルギー伝達成分として重要な
役割を果たす燐酸とを同時に、しかも効率よく植物体内
に吸収させるので、植物体内に葉緑素を増殖させて光合
成を一層増進させることが可能となる。
【0011】また、植物体内の燐酸およびマグネシウム
を充分な量とすることができるので、前記光合成増進効
果とあわせて、エネルギー代謝の活性化による成長促
進、細胞分裂の増進による収穫増加、花芽分化の促進に
よる次年度の収穫増加、澱粉の砂糖への変換作用の増
進、窒素過多による「つるぼけ」等の改善などの効果も
発揮する。
【0012】なお、葉面散布する第1燐酸マグネシウム
水溶液は弱酸性であることが望ましいが、第1燐酸マグ
ネシウム4水物結晶(Mg(H2PO42・4H2O)を
使用すると弱酸性の水溶液を簡便に調製できる。したが
って、この点でも第1燐酸マグネシウム4水物結晶は、
本発明に用いるのに適している。
【0013】
【実施例】以下に好適な実施例をあげて本発明を詳細に
説明する。 (実施例1)第1燐酸マグネシウムの4水物結晶(Mg
(H2PO42・4H2O)を水に溶解して500倍の水
溶液として光合成増進剤を得た。この光合成増進剤を噴
霧器で、生育初期、開花前後および収穫前の3期にわた
ってトマトやメロン等の果菜類の葉面に散布した。これ
を光合成増進剤を散布しなかった同種の果菜類と比較し
たところ、いずれの種類の果菜類においても、生育状
態、開花数、結実数、果実の着色、果実の糖度および収
量において有意な差異が認められ、光合成増進剤を葉面
散布したものが優れていた。 (実施例2)第1燐酸マグネシウムの4水物結晶(Mg
(H2PO42・4H2O)を水に溶解して800倍の水
溶液として光合成増進剤を得た。この光合成増進剤を噴
霧器で、りんご、ぶどう等の各種果樹類の葉面に周年散
布した。これを光合成増進剤を散布しなかった同種の果
樹類と比較したところ、いずれの種類の果樹類において
も、生育状態、開花数、結実数、果実の着色、果実の糖
度および収量において有意な差異が認められ、光合成増
進剤を葉面散布したものが優れていた。
【0014】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
本発明の光合成増進剤は、燐酸およびマグネシウムの植
物体への吸収効率を向上させて植物体内での光合成作用
を増進させる。また、本発明の光合成増進方法によれ
ば、燐酸およびマグネシウムの植物体への吸収効率を向
上させて植物体内での光合成作用を増進させることが可
能となる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物の光合成作用を増
進させる光合増進剤および有効成分を含む水溶液を植物
の葉面に散布して有効成分を吸収させる光合成増進方法
に関する。
【0002】
【従来の技術および発明の背景】従来より、燐酸は植物
の体内にATP(アデノシン3燐酸)などの形態で存在
し、光合成、呼吸その他諸物質の代謝などに関連して、
エネルギー伝達の媒体として作用することが知られてい
る。一方、マグネシウムは光合成作用を担う物質である
葉緑素の主要構成要素であるとともに、植物体への燐酸
の吸収および植物体内における燐酸の移動に深く関与す
る物質として知られており、植物へ燐酸を施用する際に
マグネシウムを併用すると、植物による燐酸の吸収およ
び植物体内での燐酸の移行効率が向上することが知られ
ている。また、植物体内のマグネシウムが欠乏すると葉
緑素の生成が不十分となり光合成作用が低下すること
や、燐酸が不足するとATPの生成やATPを介しての
エネルギー伝達が不十分となり光合成作用が低下するこ
とが知られている。さらに、マグネシウムは植物体内に
おける燐酸の代謝にあずかる各種の酵素の働きを活性化
する物質であることも知られている。このように燐酸と
マグネシウムとは植物体内への吸収および植物体内での
働きの面からきわめて深い関係にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、燐酸を土壌
を介して施用すると、燐酸が土壌中の鉄、アルミニウム
等と結合して難溶性の燐酸鉄や燐酸アルミニウム等にな
るために、植物に有効に吸収されるのは施用量の10〜
20%程度となってしまい施用効率が低かった。また、
土壌を介してマグネシウムを施用した場合に、土壌中の
マグネシウムに比べてカリウムが相対的に過剰である
と、カリウムとマグネシウムとの拮抗作用によってマグ
ネシウムの吸収が阻害されることが知られている。この
ため、燐酸とマグネシウムとを併せて植物体に吸収させ
ることでその吸収効率を向上させ、それらの植物体内に
おける各種作用を増進する植物施用剤の開発が期待され
ていたが、いまだ実現されていなかった。また、土壌を
介しての施用では植物体内に効率よく吸収されない成分
でも、葉面散布などの手段によれば吸収効率を向上させ
得る場合もあるが、従来知られていた燐酸マグネシウム
は不溶性あるいは難溶性のものであり、これを溶液とし
て葉面散布することは不可能であった。
【0004】発明者らはこのような植物施用剤の研究を
重ねていたが、水溶性に優れた第1燐酸マグネシウムの
製造が可能となり、これを植物に施用することを目的と
して種々の実験を行った。その結果、水溶性の第1燐酸
マグネシウムを水溶液として植物の葉面に散布すると、
燐酸およびマグネシウムの植物体への吸収効率が向上
し、植物体内における光合成作用が増進されることを知
り、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の目
的とするところは、燐酸およびマグネシウムの植物体へ
の吸収効率を向上させて植物体内での光合成作用を増進
させる光合成増進剤および燐酸およびマグネシウムの植
物体への吸収効率を向上させて植物体内での光合成作用
を増進させる光合成増進方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用】かかる課題を
解決するために本発明は次の手段を採用している。すな
わち、第1の発明である光合成増進剤は、水溶性の第1
燐酸マグネシウムを有効成分とすることを要旨とする。
【0006】また、第2の発明である光合成増進方法
は、第1燐酸マグネシウムの水溶液を植物の葉面に散布
することを要旨とする。以下、第1および第2の発明に
ついてさらに詳細に説明する。なお、光合成増進とは植
物体内における光合成作用の増進をいい、光合成増進剤
とはこれに含有される有効成分を植物体内に吸収させて
前記光合成増進の効果を発揮する組成物であり、そのた
めの方法が光合成増進方法である。
【0007】第1および第2のの発明において有効成分
として使用可能な第1燐酸マグネシウム(Mg(H2
42 )の形態は、結晶状態が取扱や保存に便利であ
り、特に4水物結晶(Mg(H2PO42・4H2O)が
水への溶解性および取扱性に優れている。8水物等の他
の結晶形態では水に不溶あるいは難溶であり、本発明に
用いるには適切ではない。なお、4水物では必要としな
いが、水溶性の第1燐酸マグネシウムを水に溶解する際
に溶解促進剤等を添加してもよい。さらに、予め第1燐
酸マグネシウムの高濃度の水溶液を調製しておき、これ
を適宜の濃度に希釈して散布することも可能である。
【0008】第1燐酸マグネシウム水溶液の濃度は被施
用植物の種類や施用時期によって調整するのが好まし
い。例えば細胞分裂が盛んな生育初期、澱粉や糖分の蓄
積が活発となる開花前後および収穫前では重量比で50
0倍〜600倍程度で、周年使用する場合は同800倍
〜1000倍程度での施用が適当である。また、植物体
内の燐酸量を適正値に保つことは窒素過多を防止するこ
とになるが、窒素過多を改善する場合には同500倍〜
600倍程度で施用するとよい。なお、カルシウム剤と
混用すると難溶性の燐酸三石灰(Ca3PO4)が生成さ
れるのでカルシウム剤との混用には適していない。同様
に硫黄系の農薬と混用すると硫化水素ガスが発生するの
で、硫黄系の農薬との混用には適していない。これらカ
ルシウム剤および硫黄系の農薬を除き、各種の農薬と混
用可能である。
【0009】この第1燐酸マグネシウムの水溶液を噴霧
器等の適宜の手段を用いて、植物の葉面に散布する。こ
のため燐酸を難溶性化合物とする鉄やアルミニウムなど
の土中成分との接触は回避され、植物体内への燐酸の吸
収効率は向上する。また、植物による燐酸の吸収および
植物体内での燐酸の移行効率を向上させるマグネシウム
を同時に施用することになるので、葉面からの燐酸の吸
収および植物体内での燐酸の移行効率は一層向上する。
さらに、土壌を介さずに施用するので、土壌中のカリウ
ムとの拮抗作用によるマグネシウムの吸収阻害は回避さ
れ、マグネシウムの吸収効率も向上する。したがって、
上記の燐酸の吸収と移行は効率よく行われることとな
る。
【0010】葉緑素の主要成分であり植物体内における
燐酸の代謝に関与する各種酵素を賦活するマグネシウム
と光合成作用においてエネルギー伝達成分として重要な
役割を果たす燐酸とを同時に、しかも効率よく植物体内
に吸収させるので、植物体内に葉緑素を増殖させて光合
成を一層増進させることが可能となる。
【0011】また、植物体内の燐酸およびマグネシウム
を充分な量とすることができるので、前記光合成増進効
果とあわせて、エネルギー代謝の活性化による成長促
進、細胞分裂の増進による収穫増加、花芽分化の促進に
よる次年度の収穫増加、澱粉の砂糖への変換作用の増
進、窒素過多による「つるぼけ」等の改善などの効果も
発揮する。
【0012】なお、葉面散布する第1燐酸マグネシウム
水溶液は弱酸性であることが望ましいが、第1燐酸マグ
ネシウム4水物結晶(Mg(H2PO42・4H2O)を
使用すると弱酸性の水溶液を簡便に調製できる。したが
って、この点でも第1燐酸マグネシウム4水物結晶は、
本発明に用いるのに適している。
【0013】
【実施例】以下に好適な実施例をあげて本発明を詳細に
説明する。 (実施例1)第1燐酸マグネシウムの4水物結晶(Mg
(H2PO42・4H2O)を水に溶解して500倍の水
溶液として光合成増進剤を得た。この光合成増進剤を噴
霧器で、生育初期、開花前後および収穫前の3期にわた
ってトマトやメロン等の果菜類の葉面に散布した。これ
を光合成増進剤を散布しなかった同種の果菜類と比較し
たところ、いずれの種類の果菜類においても、生育状
態、開花数、結実数、果実の着色、果実の糖度および収
量において有意な差異が認められ、光合成増進剤を葉面
散布したものが優れていた。 (実施例2)第1燐酸マグネシウムの4水物結晶(Mg
(H2PO42・4H2O)を水に溶解して800倍の水
溶液として光合成増進剤を得た。この光合成増進剤を噴
霧器で、りんご、ぶどう等の各種果樹類の葉面に周年散
布した。これを光合成増進剤を散布しなかった同種の果
樹類と比較したところ、いずれの種類の果樹類において
も、生育状態、開花数、結実数、果実の着色、果実の糖
度および収量において有意な差異が認められ、光合成増
進剤を葉面散布したものが優れていた。
【0014】(実施例3)第1燐酸マグネシウムの4水
物結晶(Mg(H2PO42・4H2O)を水に溶解して
500倍の水溶液として光合成増進剤を得た。この光合
成増進剤を加温ハウス栽培のぶどう(デラウエア)の葉
面に散布した。このぶどうの果実とこれを光合成増進剤
を散布しなかった同種の加温ハウス栽培のぶどうの果実
とについて糖度および酸度の比較実験を行った。その分
析結果を表1に示す。なお、この比較実験に使用したぶ
どうについての土壌を介しての施肥その他の栽培条件
は、散布区、無散布区ともに実質的に同じである。また
光合成増進剤の散布は、対象果実採取前14週間〜11
週間にかけて4回行った。 分析方法:糖度−Brix糖度計を使用 酸度−0.1N-NaOHで中和滴定、クエン酸として算出
【0015】
【表1】
【0016】注)上中下:房の軸を上にして上部、中
部、下部から5粒前後ずつとり混合して分析 縦2列:房の軸を上にして縦に2列とり混合して分析
【0017】表1から明らかなように、実施例3の光合
成増進剤を散布したぶどう果実は、無散布のぶどう果実
よりも糖度が高く酸度が低い。すなわち、実施例3の光
合成増進剤を散布したぶどう果実の方が味が良好といえ
る。また、上記ぶどう果実の粒張り状態(1粒当りの重
量)を比較した。この結果を表2に示す。
【0018】
【表2】
【0019】表2から明らかなように、実施例3の光合
成増進剤を散布したぶどう果実は、無散布のぶどう果実
よりも1粒当りの重量が大きい傾向にある。このよう
に、実施例3の光合成増進剤を散布したぶどう果実の方
が糖度、酸度および粒張りにおいて優れており、光合成
増進剤の作用によって果実の品質が向上されることが確
認された。
【0020】(実施例4)第1燐酸マグネシウムの4水
物結晶(Mg(H2PO42・4H2O)を水に溶解して
500倍の水溶液として光合成増進剤を得た。この光合
成増進剤を加温ハウス栽培のぶどう(デラウエア種)の
葉面に散布した。このぶどうの葉について葉緑素計(ミ
ノルタカメラ(株)製、SPAD−502)によるSP
AD(スパッド)値を測定して、光合成増進剤を散布し
なかった同種の加温ハウス栽培のぶどうの葉のスパッド
値と比較した。その比較結果を表3に示す。なお、この
比較実験に使用したぶどうの土壌を介しての施肥その他
の栽培条件は、散布区、無散布区ともに実質的に同じで
あり、測定対象とした葉は、いずれも第2果房の次の葉
である。また光合成増進剤の散布は、測定日前60日〜
40日にかけて3回実施した。
【0021】
【表3】
【0022】表3から明かなように、光合成増進剤を散
布したぶどうの葉のスパッド値は無散布のぶどうの葉の
スパッド値よりも高い傾向にある。これは光合成増進剤
を散布したぶどうの葉の緑が濃いこと、すなわち葉緑体
が豊富であることを示しており、光合成増進剤の効果が
優れていることを示すものである。また上記光合成増進
剤を散布したぶどうの葉と無散布のぶどうの葉とについ
て成分分析試験を実施した。その結果を表4に示す。
【0023】
【表4】
【0024】表4から明かなように、光合成増進剤を散
布したぶどうの葉は、全窒素、粗蛋白、炭水化物、Mg
O、P25のいずれも、無散布のぶどうの葉を上回って
おり、光合成増進剤の有効性を示している。
【0025】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
本発明の光合成増進剤は、燐酸およびマグネシウムの植
物体への吸収効率を向上させて植物体内での光合成作用
を増進させる。また、本発明の光合成増進方法によれ
ば、燐酸およびマグネシウムの植物体への吸収効率を向
上させて植物体内での光合成作用を増進させることが可
能となる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性の第1燐酸マグネシウムを有効成
    分とすることを特徴とする光合成増進剤。
  2. 【請求項2】 第1燐酸マグネシウムの水溶液を植物の
    葉面に散布することを特徴とする光合成増進方法。
JP4232066A 1992-08-31 1992-08-31 光合成増進剤および光合成増進方法 Expired - Lifetime JPH0816037B2 (ja)

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JP4232066A JPH0816037B2 (ja) 1992-08-31 1992-08-31 光合成増進剤および光合成増進方法

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