JPH0680034A - 四輪駆動型農作業車 - Google Patents

四輪駆動型農作業車

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Publication number
JPH0680034A
JPH0680034A JP28657691A JP28657691A JPH0680034A JP H0680034 A JPH0680034 A JP H0680034A JP 28657691 A JP28657691 A JP 28657691A JP 28657691 A JP28657691 A JP 28657691A JP H0680034 A JPH0680034 A JP H0680034A
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JP
Japan
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transmission
switching clutch
clutch device
drive
rear wheel
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Pending
Application number
JP28657691A
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English (en)
Inventor
Isao Ishida
石田  伊佐男
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Iseki and Co Ltd
Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
Original Assignee
Iseki and Co Ltd
Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Publication date
Application filed by Iseki and Co Ltd, Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd filed Critical Iseki and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 簡単に低コストで前輪増速、或は後輪減速切
替え時の急激な伝動回転の変化をなくし、操作性を向上
する。 【構成】 標準駆動状態と、前輪4、4の駆動速度を後
輪5、5の駆動速度よりも増速する状態とに切替可能な
前輪変速装置45を備えた四輪駆動型農作業車におい
て、前輪増速状態とする伝動経路(HD)に正逆転伝動
可能で入り切り操作可能な主切替クラッチ装置46を設
け、入り作動により標準駆動の伝動経路(SD)を遮断
し、切り作動により復帰するように作動する従切替クラ
ッチ装置47を設け、また、標準駆動状態と、後輪減速
状態とに切替可能な後輪減速装置50を備え、標準駆動
状態とする伝動経路(SD’)に正逆転伝動可能で入り
切り操作可能な主切替クラッチ装置51を設け、切り作
動により後輪減速の伝動経路(LD)を連繋し、入り作
動により遮断するように作動する従切替クラッチ装置5
2を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、トラクタや乗用田植
機などの四輪駆動型農作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、前輪と後輪の駆動速度が略等しい
標準駆動状態と、前輪の駆動速度を後輪の駆動速度より
も増速する前輪増速状態とに切替可能な前輪変速装置を
備えた四輪駆動型農作業車があった。また、前輪と後輪
の駆動速度が略等しい標準駆動状態と、後輪の駆動速度
を前輪の駆動速度よりも減速する後輪減速状態とに切替
可能な後輪減速装置を備えた四輪駆動型農作業車があっ
た。
【0003】そして、上記前輪変速装置或は後輪減速装
置において、入力された動力を、標準伝動経路に伝動す
る状態と、前輪増速経路或は後輪減速経路に伝動する状
態と、に択一的に切替える手段は、実開昭63−148
525号公報に開示されているように、爪クラッチを用
いて伝動経路の切替るものがある。また、実開昭63−
61340号公報に開示されているように、分岐した伝
動経路が再び合流するところにワンウェイクラッチを設
け高速側伝動経路にクラッチを設けて伝動経路を切替る
ものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の前輪変速装置、
或は後輪減速装置において、実開昭63−148525
号公報に開示の爪クラッチを用いた伝動経路の切替手段
は、簡単な構成で低コストになるが、切替え時に急激に
伝動回転数が変わるためショックが大きく操作性が悪
い。これを解消するために多板式の摩擦クラッチを用い
ることが考えられるが、部品点数の多い摩擦クラッチを
2つ設けることになるからコストアップとなって経済的
でない。一方、実開昭63−61340号公報に開示さ
れる、分岐した伝動経路が再び合流するところにワンウ
ェイクラッチを設け高速側伝動経路にクラッチを設けて
伝動経路を切替る手段は、コストアップも小さく抑えな
がら比較的滑らかに伝動経路を切替えることができて有
効である。しかし、通常、ワンウェイクラッチは回転方
向が逆転してしまうと同じ機能は果たせなくなる。即
ち、バック走行にしたときに高速側伝動経路へのクラッ
チが入ってしまうと異なる駆動速度の回転動力が同軸に
合流してしまうことになり、その結果、ギヤ等の伝動要
素が破損することになる。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、以下の手段を講じた。即ち、第一手段として、前
輪4、4と後輪5、5の駆動速度が略等しい標準駆動状
態と、前輪4、4の駆動速度を後輪5、5の駆動速度よ
りも増速する前輪増速状態とに切替可能な前輪変速装置
45を備えた四輪駆動型農作業車において、前記前輪変
速装置45の前輪増速状態とする伝動経路(HD)に正
逆転伝動可能で入り切り操作可能な主切替クラッチ装置
46を設け、標準駆動状態とする伝動経路(SD)に正
逆転伝動可能で前記主切替クラッチ装置46の入り作動
により生じる増速回転を受けて標準駆動の伝動経路(S
D)を遮断し、主切替クラッチ装置46の切り作動によ
り生じる減速回転を受けて標準駆動の伝動状態(SD)
を復帰するように作動する従切替クラッチ装置47を設
けたことを特徴とする四輪駆動型農作業車とした。
【0006】また、第二手段として、前輪4、4と後輪
5、5の駆動速度が略等しい標準駆動状態と、後輪5、
5の駆動速度を前輪4、4の駆動速度よりも減速する後
輪減速状態とに切替可能な後輪減速装置50を備えた四
輪駆動型農作業車において、前記後輪変速装置50の標
準駆動状態とする伝動経路(SD’)に正逆転伝動可能
で入り切り操作可能な主切替クラッチ装置51を設け、
後輪減速状態とする伝動経路(LD)に正逆転伝動可能
で前記主切替クラッチ装置51の切り作動により生じる
減速回転を受けて後輪減速の伝動経路(LD)を連繋
し、主切替クラッチ装置51の入り作動により生じる増
速回転を受けて後輪減速の伝動経路(LD)を遮断する
ように作動する従切替クラッチ装置52を設けたことを
特徴とする四輪駆動型農作業車とした。
【0007】
【第1実施例】まず、請求項1に示される発明の一実施
例を説明する。尚、四輪駆動型農作業車の一例として、
乗用型田植機をここでは採りあげる。はじめに、乗用型
田植機の全体的な構成を、図1〜図4に基づき、詳細に
説明する。
【0008】1は乗用型田植機の走行車体で、この後側
に昇降作動可能なリンク2を介して植付作業機3を装着
している。この走行車体1には、駆動回転する左右一対
の操向用の前輪4、4と駆動回転する左右一対の後輪
5、5を設けている。前輪4、4はフロントデフケ−ス
6の左右に固着の前輪駆動ケ−ス6a、6aの前輪軸6
b、6bに取り付けられ、後輪5、5はリヤデフケ−ス
7の左右に固着の後輪ギヤケ−ス7a、7aの後輪軸7
b、7bに取り付けられている。そして、フロント、リ
ヤの両デフケ−ス6、7の間にミッションケ−ス8を配
し、それぞれのケ−ス(6と8、8と7)を筒状の連結
フレ−ム9a、9bで連結して、走行車体1の基礎的な
フレ−ムを構成している。エンジン10は、フロントデ
フケ−ス6の前側に搭載しボンネット11でカバ−され
ている。また、フロントデフケ−ス6の前側のエンジン
はステアリングギヤケ−ス12を固着していて、そこか
らステアリング軸が上方に延出し、その先端にハンドル
13を取り付けている。一方、ケ−ス12の下側から下
方に突出する軸にピットマンア−ム14を取り付け、前
輪駆動ケ−ス6a、6aの下側回動部のナックルア−ム
6c、6cにタイロッド15、15で連結している。
尚、機体フレ−ム上には、ステップフロア16が付設さ
れおり、また、連結フレ−ム9bに固着された座席支持
枠17aの上側に座席17が取り付けられていて、その
座席17の下方のステップフロア16との間には、空間
Aが設けられていてフロアのスペ−ス効率が高められて
いる。
【0009】ところで、後輪2、2は機体に対して前後
方向の軸回りにロ−リング動するように取り付けられて
いる。即ち、連結フレ−ム9bの後端に伝動ケ−ス18
が固着し、その伝動ケ−ス18の後側に側面視コ字状の
ロ−リング支持枠19が固着し、その支持枠19内にリ
ヤデフケ−ス7がロ−リング自在に枢支される。後輪伝
動ケ−ス18の後側面に形成された筒状の枢支部18a
と支持枠19の内側面に形成された筒状の枢支部19a
とに、リヤデフケ−ス7の前後側に形成したロ−リング
軸部7c、7cを回動自在に係合させて、リヤデフケ−
ス7をロ−リング自在に組み付けているのである。尚、
ここの伝動機構を説明すると、図4で示すように、ま
ず、ミッションケ−ス8の後輪駆動軸20と連結する後
輪伝動軸21が後輪入力軸22に連結している。後輪入
力軸22の軸心位置は、リヤデフケ−ス7のロ−リング
軸上に位置するように設けられており、後輪入力軸に一
体のベベルギヤ22aはリヤデフケ−ス7がロ−リング
動しても後輪差動装置23のリングギヤ23aと常に伝
動状態を維持するよう噛み合う。そして、後輪差動装置
23から左右に伝動して後輪軸7b、7bが伝動回転
し、後輪5、5が駆動回転する。また、ミッションケ−
ス8の植付駆動軸24と連結する植付伝動軸25が伝動
ケ−ス18内の入力軸26に連結している。入力軸26
と一体回転するギヤ26aには、中間軸27に一体のギ
ヤ27aに噛み合う。中間軸27に一体回転且つ軸方向
摺動自在に株間ギヤ27bが組付けられ、そのギヤ27
bに出力軸28に遊転自在に取り付けたギ切換ギヤ28
aが択一的に噛み合う。そして、出力軸28と一体回転
且つ軸方向に摺動自在に組み付けた定位置停止型の植付
クラッチ体28bのクラッチ爪が前記切換ギヤ28aに
一体的に形成した爪に噛み合って出力軸28に動力が伝
達する。出力軸28には第二植付伝動軸29が連結し、
植付作業機4に動力が導かれる。
【0010】一方、前輪4、4は機体に固定されてい
る。フロントデフケ−ス6は、図 で示すように、ま
ず、ミッションケ−ス8の前輪駆動軸30がフロントデ
フケ−ス6内まで延設され、その端部に一体回転するよ
うにベベルギヤ31aが組付けられている。そのベベル
ギヤ31aは、前輪差動装置32のリングギヤ32aに
噛み合う。そして、前輪差動装置32から左右に伝動し
て前輪軸6b、6bが伝動回転し、前輪4、4が駆動回
転する。
【0011】リンク2は、油圧シリンダ33の作動によ
り上下に昇降動するようになっている。リンク2のリン
ク構成は、前記支持枠19の上側に固着されたリンク支
持フレ−ム2aに上リンク2b、2bと下リンク2c、
2cが上下に回動自在に連結され、更にその上下のリン
ク2b、2b、2c、2cの後端が縦リンク2dで回動
自在に連結されて平行リンクに構成されている。また、
油圧シリンダ33は、そのシリンダ部の基部が前記支持
枠19の後側部に固着のブラケットに軸支され、ピスト
ン部の先端部がスプリングによる緩衝装置を介して上リ
ンク5b、5bに枢着して、前記リンク部材と連結して
いる。
【0012】植付作業機3は、前記第二植付伝動軸29
が植付入力軸に連結して動力入力される植付伝動ケ−ス
34がその機枠を兼ねている。その植付伝動ケ−ス34
の上側には、苗載台35が、前側が上位になるよう傾斜
した状態で左右摺動自在に設けられ、植付伝動ケ−ス3
4の両側面から突出した左右往復移動棒と連結して左右
に往復作動するようになっている。更に、植付伝動ケ−
ス34には後方に向けて3本の移植伝動フレ−ム36…
が延設され、その伝動フレ−ムの各後端部の左右両側に
駆動軸36a…が突出し、その駆動軸に前記苗載台35
から苗を一株づつ分割して移植する移植装置37…が装
着されて6条植え構成となっている。
【0013】また、各移植伝動フレ−ム36…の下部に
は、中央整地フロ−ト38aと左右整地フロ−ト38
b、38bが、前端が上下に揺動するように装着されて
いる。ここで、中央整地フロ−ト38aは、その揺動可
能な前端側が前記油圧シリンダ33を作動させる油圧バ
ルブ39のスプ−ルと連動連結しているので、植付作業
機4を表土面に対して上下に所定の高さに維持させる自
動昇降制御におけるフロ−トセンサとして機能する。
【0014】尚、Fは側条施肥装置で、肥料タンクF1
とその下側に各条ごとに取り付けられる肥料繰出装置F
2…が苗載台35の前側で座席17の後側に配設されて
いる。繰出装置F2は、筒状の繰出ロ−ルF3が回転す
ることにより肥料タンクF1の肥料を下方に所定量づつ
繰り出す構成になっている。繰出ロ−ルF3の回転軸に
はワンウェイクラッチを介して揺動ア−ムF4が取り付
けられ、その揺動ア−ムF4が連結ロッドF5を介して
前記伝動ケ−ス18の出力軸28の前側突出部に取付け
た駆動ア−ムF6と連結している。これにより、繰出ロ
−ルF3は一定方向に間歇的に伝動回転する。繰出装置
F2…から各条ごとに繰り出された肥料は、その下側に
取り付けられた漏斗F7…で受けられて各条ごとの移送
ホ−スF8…に導かれ、その移送ホ−スF8…内を通っ
てフロ−ト38a、38b、38bに取り付けられた作
溝器F9…に移送されて、各条植付位置の側方に作られ
た溝に施肥される。尚、移送ホ−スF8が長く一部で水
平に近い部分をもあるので、ブロアを設けてエア−タン
クF10に空気を吹き込み、そのエア−タンク10と各
条ごとの移送ホ−スF8…を連繋して、移送ホ−スF8
内を作溝器F9…に向けて圧風を流し肥料を強制的に移
送するようになっている。
【0015】さて、ミッションケ−ス8における伝動構
成を以下に説明する。まず、エッションケ−ス8への動
力入力系について説明する。即ち、エンジン10の出力
軸10aと一体回転するプ−リ10bと油圧ポンプ40
の入力軸40aと一体回転するプ−リ40bとにベルト
41が掛けられていて、エンジン10の回転動力は、ま
ず先に、油圧ポンプ40に伝動される。そして、油圧ポ
ンプ40の入力軸40aと一体回転する割プ−リ42a
とミッションケ−ス8の入力軸8aと一体回転する割プ
−リ42bとの間にベルト42cが掛けられて、ミッシ
ョンケ−ス8内に動力入力される。尚、ここでのベルト
伝動機構は、双方の割プ−リ42a、42bのプ−リ幅
をそれぞれ背反的に調節操作することができるようにな
っていて、ベルト式の無断変速装置42となっている。
また、ミッションケ−ス8側の割プ−リ42bの内側プ
−リ42b’には、多板式の摩擦クラッチ装置43が組
み込まれていて、そのクラッチ装置43により割プ−リ
42bから入力軸8aへの伝動を断続される。よって、
前記無断変速装置42は走行車体1の副変速装置とし
て、前記摩擦クラッチ装置43は主クラッチ装置として
使用される。
【0016】次に、ミッションケ−ス8内の伝動機構を
説明する(図5参照)。即ち、伝動回転する入力軸S0
がミッションケ−ス8の入力ケ−ス部8aにベアリング
を介して支持されていて、その入力ケ−ス部8a内でベ
ベルギヤG1が入力軸S0に一体回転するように取り付
けられている。一方、ミッションケ−ス8の変速ケ−ス
部8bにベアリングを介して支持された変速軸S1の一
端が入力ケ−ス部8a側に突出し、そこにベベルギヤG
2が一体回転するように取付けられ、そのギヤG2が前
記入力軸S0側のベベルギヤG1と噛み合う。変速ケ−
ス部8b内で変速軸S1には、前後進切替ギヤG3a、
G3bと株間切替ギヤG4a、G4bが軸方向に摺動自
在で一体回転するように組付けられている。そして、そ
れらのギヤG3a、G3b、G4a、G4bには、シフ
タ軸S2上で定位置に移動可能な位置決め機構が設けら
れたシフタ44a、44bが組まれている。そして、そ
のシフタ44a、44bがそれぞれ移動操作されること
で、株間切替ギヤG4a、G4bが、植付駆動軸24に
一体回転するように組み付けられた株間ギヤG5a、G
5bと択一的に噛み合う。また、前後進切替ギヤG3
a、G3bが、後輪駆動軸20に一体に取付けられた車
輪伝動ギヤG6aと、車輪伝動ギヤG6bに噛み合って
植付駆動軸24で遊転自在に組まれた後進カウンタギヤ
G7とに、択一的に噛み合う。以上のように変速切替可
能にして、入力軸S0に入力された動力を後輪駆動軸2
0に伝動する。そして、後輪駆動軸20から前輪変速装
置45を経由して前輪駆動軸30に伝動する。
【0017】前輪変速装置45は、前輪4、4と後輪
5、5の駆動速度(周速)が略等しい標準駆動状態にす
る伝動経路(SD)と、前輪4、4の駆動速度を後輪
5、5の駆動速度よりも速い前輪増速状態にする伝動経
路(HD)とを備え、各伝動経路(SD)と(HD)と
を切替える主切替クラッチ装置46と従切替クラッチ装
置47を備えている。主切替クラッチ装置46は、前輪
変速装置45の前輪増速状態とする伝動経路(HD)上
に正逆転伝動可能で伝動を入り切りするように設けられ
ている。従切替クラッチ装置47は、標準駆動状態にす
る伝動経路(SD)上に正逆転伝動可能に設けられ、前
記主切替クラッチ装置46が入り作動して前輪増速伝動
経路上を増速回転伝動すると従切替クラッチ47は標準
駆動伝動経路(SD)を遮断し、主切替クラッチ装置4
6が切り作動して前輪増速伝動経路上の増速回転伝動が
遮断されると従切替クラッチ47は標準駆動伝動経路
(SD)をつなぐように設けられている。
【0018】標準駆動状態にする伝動経路(SD)は、
後輪駆動軸20→前輪伝動ギヤG8→標準伝動ギヤG9
→従切替クラッチ装置47→前輪伝動ギヤG10→前輪
駆動ギヤG11→前輪駆動軸30となる。ここで、前輪
標準ギヤG8は後輪駆動軸20に一体に取付けられ、そ
れに前輪変速軸S3上に遊転自在に組まれた定速伝動ギ
ヤG9が噛み合っている。前輪伝動ギヤG10は前輪変
速軸S3に一体に取付けられ、それに前輪駆動軸30に
一体に取付けられている前輪駆動ギヤG11が噛み合っ
ている。
【0019】前輪増速状態にする伝動経路(HD)は、
車輪伝動ギヤG6b→増速伝動ギヤG12→主切替クラ
ッチ装置46→前輪変速軸S3→前輪伝動ギヤG10→
前輪駆動ギヤG11→前輪駆動軸30となる。主切替ク
ラッチ装置46は、油圧式の多板クラッチの構成になっ
ている。即ち、前輪変速軸S3に遊転自在に組まれた増
速伝動ギヤG12とクラッチアウタ46aが一体に設け
られ、そのクラッチアウタ46aの内側に駆動ディスク
46b…と従動ディスク46c…が互い違いに組み込ま
れている。駆動ディスク46b…は、クラッチアウタ4
6aに対し回転方向に一体、且つ軸芯方向に摺動自在に
組み込まれ、従動ディスク46c…は、前輪変速軸S3
に対し回転方向に一体、且つ軸芯方向に摺動自在に組み
付けられている。そして、油圧により軸芯方向にピスト
ン作動するクラッチ作動体46dを設け、そのクラッチ
作動体46dが軸方向の移動して駆動ディスク46b…
と従動ディスク46c…とを互いに圧接するように押圧
すると、増速伝動ギヤG12の回転動力が前輪変速軸S
3へ伝達する状態となる。尚、クラッチ作動体46dの
作動は、そのクラッチ作動体46dと油圧部材46eに
より形成された部屋Rに圧油が流入したときにクラッチ
作動体46dがスプリング46fに抗してクラッチディ
スク46b…、46c…側に移動し、前記部屋R内の圧
油が流出しうる状態のときにクラッチ作動体46dがス
プリング46fで押し戻されてクラッチディスク46b
…、46c…から離れるように移動する。
【0020】従切替クラッチ装置47は、前輪変速軸S
3に遊転自在組まれた筒体の従切替クラッチ体47aが
軸方向に移動することによりクラッチ作動する。詳述す
ると、従切替クラッチ体47aの伝動上手側の端部に第
1係合溝47b…が形成され、その第1係合溝47b…
に標準伝動ギヤG9に一体の大きい爪47c…が従切替
クラッチ体47aの軸方向の移動に係らず常時係合して
いる。一方、従切替クラッチ体47aの伝動下手側の端
部に第2係合溝47d…が形成され、前輪伝動ギヤG1
0に一体の小さい爪47e…が従切替クラッチ体47a
の軸方向の移動により係合状態と離脱状態とに切り替わ
るようになっている。大きい爪47c…と第1係合溝4
7b…の傾斜面は同一角度に設定され、また、小さい爪
47e…と第2係合溝47d…の傾斜面も同一角度に設
定されている。尚、従切替クラッチ体47aの前輪変速
軸S3との間の内側に、従切替クラッチ体47aの伝動
下手側の第2係合溝47d…と前輪伝動ギヤG10に一
体の小さい爪47e…が係合する方向に押圧するようス
プリング47fが設けられている(図6参照)。
【0021】この従切替クラッチ装置47は、増速伝動
経路(HD)側の主切替クラッチ装置46の入り切り作
動による伝動回転の変化に従って標準伝動経路(SD)
を入り切りするように作動する。即ち、主切替クラッチ
装置46が切り状態にあって伝動経路(SD)側が伝動
状態にある標準駆動状態においては、従切替クラッチ体
47aが標準伝動ギヤG9の大きい爪47c…と前輪伝
動ギヤG10の小さい爪47e…と係合し噛み合った状
態で、標準伝動ギヤG9の駆動回転が従切替クラッチ体
47aを介して前輪伝動ギヤG10に伝動する。このと
き、大きい爪47c…は駆動回転側となっているから第
1係合溝47b…の傾斜面に押圧作用し、その押圧力の
軸方向の分力により従切替クラッチ体47aはその第2
係合溝47d…が小さい爪47e…に係合する状態を維
持する(図6参照)。
【0022】次に、主切替クラッチ装置46が入り作動
して伝動経路(HD)が伝動状態に切り替ると、前輪伝
動ギヤG10が標準駆動状態における回転よりも速い速
度に増速回転駆動される。すると、前輪伝動ギヤG10
の小さい爪47e…が駆動回転側となって第2係合溝4
7d…の傾斜面に押圧作用し、その押圧力Fの軸方向の
分力Fxにより従切替クラッチ体47aをスプリング4
7fの押圧力に抗して軸方向に押出す。これにより、第
2係合溝47d…と小さい爪47e…とが互いに係合傾
斜面をスライドし互いの係合が外れる。再び、スプリン
グ47fにより押し戻されて第2係合溝47d…と小さ
い爪47e…とが噛み合おうとするが、従切替クラッチ
体47a側は標準駆動回転し、前輪伝動ギヤG10は増
速駆動回転しているから、前述のように、第2係合溝4
7d…は小さい爪47e…から押し出される。よって、
主切替クラッチ装置46により増速伝動状態にする伝動
経路(HD)が入り状態になっているかぎり、従切替ク
ラッチ47は標準伝動回転が前輪伝動ギヤG10へ伝動
するのを遮断しつづける(図7参照)。
【0023】そして、再び、主切替クラッチ装置46が
切り作動すると、増速伝動経路(SD)への伝動が切れ
て、前輪伝動ギヤG10は従切替クラッチ体47a側か
らの従動回転状態となる。従切替クラッチ体47aは、
スプリング47fにより押し戻されて、第2係合溝47
d…が小さい爪47e…から弾き出されずに噛み合い、
標準伝動状態に復帰する。
【0024】ところで、前記主切替クラッチ装置46の
作動させる圧油の流れは、油圧バルブV1で切替る。そ
して、その油圧バルブV1の切替は、ハンドル13の操
作に連動して左右に回動するピットマンア−ム14の回
動角が所定角度以上になったときにクラッチ装置46の
前記部屋Rに油圧ポンプPで圧送される圧油が流入する
ように切り替わり、所定角度以下に戻っているときは圧
油が部屋Rから油圧タンクTに流出するように切り替わ
るよう構成されている。よって、圃場内の枕時等で旋回
するときに、ハンドル13を切れば自動的に前輪増速状
態に入り切り作動する。
【0025】尚、車体1を後進させるときに、前輪増速
状態になると危険であるので、油圧バルブV1が圧油を
前記部屋Rに流入するように切り替わっても、主切替ク
ラッチ装置46が入りにならないようになっている。即
ち、部屋Rから油圧タンクTに圧油が戻るル−トに油圧
バルブV1を回避するバイパスBPを設け、そのバイパ
スBPに、前進−後進の切替操作する主変速レバ−ML
の操作に連動して圧油の流れを断続させるバルブV2を
設けている。バルブV2は、油圧ポ−トP1とP2の間
の通路の漏斗状部でスチ−ルボ−ルBがスプリングSに
押圧されて塞いでおり、そのボ−ルBを操作ピンPによ
って押し出して流通可能状態に開けることができる構成
になっている。よって、変速レバ−MLが前進位置に操
作されているときは、操作ピンPがボ−ルBを押さない
状態に位置し、ボ−ルBが通路を塞いでバイパスBPで
の圧油の流れを遮断し、部屋Rへの圧油の流出入は油圧
バルブV1によってのみ切替られる状態になる。そし
て、主変速レバ−MLを後進位置に移動操作すると、操
作ピンPがボ−ルBを押すように連動し、ボ−ルBの通
路の塞ぎが解除されてバイパスBPを圧油が流れる状態
になる。この場合、油圧バルブV1が圧油を部屋Rに流
入するように切り替わっても、バイパスBPを通って圧
油は油圧タンクTに戻ってしまい、主切替クラッチ装置
46が入りに作動しない。よって、以上のように、この
四輪駆動型農作業車(乗用田植機の走行車体)は、前輪
変速装置45の前輪増速状態とする伝動経路(HD)に
正逆転伝動可能で伝動入り切り操作可能な主切替クラッ
チ装置46を設け、標準駆動状態とする伝動経路(S
D)に正逆転伝動可能で伝動入り切り作動する従切替ク
ラッチ装置47を設けた。そして、その従切替クラッチ
装置47は、前記主切替クラッチ装置46の入り作動に
より生じる増速回転を受けて標準駆動の伝動経路(S
D)を遮断し、主切替クラッチ装置46の切り作動によ
り生じる減速回転を受けて標準駆動の伝動経路(SD)
を連繋するように作動する。これにより、切替え時の急
激な伝動回転の変化がないのでショックが少なく操作性
がよい。また、それを簡単に低コストで構成することが
できる。
【0026】
【第2実施例】次に、請求項2に示される発明の一実施
例を説明する。まず、全体的な構成は、第1実施例(図
1〜図4)と同様であり重複をさけるため省略し、ミッ
ションケ−ス8’(第1実施例のミッションケ−ス8に
相当する)内の伝動構成について以下に詳述する(図8
参照)。
【0027】エンジン10から伝動されて回転する入力
軸S0がミッションケ−ス8’の入力ケ−ス部8’aに
ベアリングを介して支持されていて、その入力ケ−ス部
8’a内でベベルギヤG1が入力軸S0に一体回転する
ように取り付けられている。一方、ミッションケ−ス
8’の変速ケ−ス部8’bにベアリングを介して支持さ
れた変速軸S1の一端が入力ケ−ス部8’a側に突出
し、そこにベベルギヤG2が一体回転するように取付け
られ、そのギヤG2が前記入力軸S0側のベベルギヤG
1と噛み合う。変速ケ−ス部8’b内で変速軸S1に
は、前後進切替ギヤG3a、G3bと株間切替ギヤG4
a、G4bが軸方向に摺動自在で一体回転するように組
付けられている。そして、それらのギヤG3a、G3
b、G4a、G4bには、シフタ軸S2上で定位置に移
動可能な位置決め機構が設けられたシフタ44a、44
bが組まれている。そして、そのシフタ44a、44b
がそれぞれ移動操作されることで、株間切替ギヤG4
a、G4bが、植付駆動軸24に一体回転するように組
み付けられた株間ギヤG5a、G5bと択一的に噛み合
う。また、前後進切替ギヤG3a、G3bが、後輪駆動
軸30’に一体に取付けられた車輪伝動ギヤG6aと、
車輪伝動ギヤG6bに噛み合って植付駆動軸24で遊転
自在に組まれた後進カウンタギヤG7とに、択一的に噛
み合う。以上のように変速切替可能にして、入力軸8a
に入力された動力を後輪駆動軸30’に伝動する。そし
て、前輪駆動軸30’から後輪変速装置50を経由して
後輪駆動軸20’に伝動する。
【0028】後輪変速装置50は、前輪4、4と後輪
5、5の駆動速度(周速)が略等しい標準駆動状態にす
る伝動経路(SD’)と、後輪5、5の駆動速度を前輪
4、4の駆動速度よりも遅い後輪減速状態にする伝動経
路(LD)とを備え、各伝動経路(SD’)と(LD)
とを切替える主切替クラッチ装置51と従切替クラッチ
装置52を備えている。主切替クラッチ装置51は、後
輪変速装置50の標準駆動状態とする伝動経路(S
D’)上に正逆転伝動可能で伝動を入り切りするように
設けられている。従切替クラッチ装置52は、後輪減速
状態にする伝動経路(LD)上に正逆転伝動可能に設け
られ、前記主切替クラッチ装置51が入り作動して標準
伝動経路(SD’)上を標準回転伝動しているときは従
切替クラッチ52は後輪減速伝動経路(LD)を遮断
し、主切替クラッチ装置51が切り作動して標準伝動経
路(SD’)上の標準回転伝動が遮断されると従切替ク
ラッチ52は後輪減速伝動経路(LD)をつなぐように
設けられている。
【0029】標準駆動状態にする伝動経路(SD’)
は、車輪伝動ギヤG6b→標準伝動ギヤG12’→主切
替クラッチ装置51→後輪変速軸S3’→後輪伝動ギヤ
G10’→後輪駆動ギヤG11’→後輪駆動軸20’と
なる。ここで、後輪伝動ギヤG10’は後輪変速軸S
3’に一体に取付けられ、それに後輪駆動軸20’に一
体に取付けられている後輪駆動ギヤG11’が噛み合っ
ている。
【0030】後輪減速状態にする伝動経路(LD)は、
前輪駆動軸30’→後輪伝動ギヤG8’→後輪減速ギヤ
G9’→従切替クラッチ装置52→後輪伝動ギヤG1
0’→後輪駆動ギヤG11’→後輪駆動軸20’とな
る。ここで、後輪伝動ギヤG8’は前輪駆動軸30’に
一体に取付けられ、それに後輪変速軸S3’上に遊転自
在に組まれた後輪減速ギヤG9’が噛み合っている。
【0031】主切替クラッチ装置51は、油圧式の多板
クラッチの構成になっている。即ち、後輪変速軸S3’
に遊転自在に組まれた標準伝動ギヤG12’とクラッチ
アウタ51aが一体に設けられ、そのクラッチアウタ5
1aの内側に駆動ディスク51b…と従動ディスク51
c…が互い違いに組み込まれている。駆動ディスク51
b…は、クラッチアウタ51aに対し回転方向に一体、
且つ軸芯方向に摺動自在に組み込まれ、従動ディスク5
1c…は、後輪変速軸S3’に対し回転方向に一体、且
つ軸芯方向に摺動自在に組み付けられている。そして、
油圧により軸芯方向にピストン作動するクラッチ作動体
51dを設け、そのクラッチ作動体51dが軸方向の移
動して駆動ディスク51b…と従動ディスク51c…と
を互いに圧接するように押圧すると、標準伝動ギヤG1
2’の回転動力が後輪変速軸S3’へ伝達する状態とな
る。尚、クラッチ作動体51dの作動は、そのクラッチ
作動体51dと油圧部材51eにより形成された部屋R
に圧油が流入したときにクラッチ作動体51dがスプリ
ング51fに抗してクラッチディスク51b…、51c
…側に移動し、前記部屋R内の圧油が流出しうる状態の
ときにクラッチ作動体51dがスプリング51fで押し
戻されてクラッチディスク51b…、51c…から離れ
るように移動する。
【0032】従切替クラッチ装置52は、後輪変速軸S
3’に遊転自在組まれた筒体の従切替クラッチ体52a
が軸方向に移動することによりクラッチ作動する。詳述
すると、従切替クラッチ体52aの伝動上手側の端部に
第1係合溝52b…が形成され、その第1係合溝52b
…に後輪減速ギヤG9’に一体の大きい爪52c…が従
切替クラッチ体52aの軸方向の移動に係らず常時係合
している。一方、従切替クラッチ体52aの伝動下手側
の端部に第2係合溝52d…が形成され、後輪伝動ギヤ
G10’に一体の小さい爪52e…が従切替クラッチ体
52aの軸方向の移動により係合状態と離脱状態とに切
り替わるようになっている。大きい爪52c…と第1係
合溝52b…の傾斜面は同一角度に設定され、また、小
さい爪52e…と第2係合溝52d…の傾斜面も同一角
度に設定されている。尚、従切替クラッチ体52aの内
側で後輪変速軸S3’との間に、従切替クラッチ体52
aの伝動下手側の第1係合溝52b…と後輪減速ギヤG
9’に一体の大きい爪52c…が係合する方向に押圧し
第2係合溝52d…が小さい爪52e…から離脱するよ
うスプリング52fが設けられている(図9参照)。ま
た、従切替クラッチ体52aの回転に抵抗を与えるブレ
−キ装置52gが設けられていて、従切換クラッチ装置
52が入り作動すべきときにブレ−キ作動するように連
動し、後輪減速ギヤG9’に一体の大きい爪52c…が
従切替クラッチ体52aを軸方向に押し出さずに付き回
りするのを防止するようになっている。ブレ−キ装置5
2gは、硬質ゴム等の可撓性の制動接触部材B1がバネ
材からなる制動ア−ムB2の内側に固着され、その制動
ア−ムB2は一端が支軸B3に揺動可能に取り付けら
れ、他端がスプリングB4と作動ピストンB5の先端に
挾まれて支持されている。作動ピストンB5は作動シリ
ンダB6内の部屋rに圧油が流入すると突出し、部屋r
から流出すればスプリングB4により引っ込む。圧油の
流出入は、主切換クラッチ装置51の油圧作動と同期
し、主切換クラッチ装置51が入り作動しているときは
制動接触部材B1は従切替クラッチ体52aから離間し
て非制動状態となり、主切換クラッチ装置51が切り作
動しているときは制動接触部材B1はスプリングB4に
よって従切替クラッチ体52aに押し付けられて制動状
態となる。(図11参照) この従切替クラッチ装置52は、標準伝動経路(S
D’)側の主切替クラッチ装置51の入り切り作動によ
る伝動回転の変化に従って後輪減速経路(LD)を入り
切りするように作動する。
【0033】即ち、主切替クラッチ装置51が入り状態
にあって伝動経路(SD’)側が伝動状態にある標準駆
動状態においては、従切替クラッチ装置52は従切替ク
ラッチ体52aがスプリング52fによって第2係合溝
52d…が小さい爪52e…から離脱させられているか
ら切り状態となっていて、後輪減速経路(LD)の伝動
は遮断されて標準駆動状態となる。(図9参照)。
【0034】次に、主切替クラッチ装置51が切り作動
して伝動経路(SD’)の伝動が遮断されると、ブレ−
キ装置52gが作動して従切替クラッチ体52aの回転
が制動される。すると、後輪減速ギヤG9’の大きい爪
52e…が従切替クラッチ体52aの第1係合溝52b
…の傾斜面に押圧作用し、その押圧力の軸方向の分力に
より従切替クラッチ体52aをスプリング52fの押圧
力に抗して軸方向に押出す。そして、従切替クラッチ体
52aが第1係合溝52b…と大きい爪52e…との係
合傾斜面がスライドしながら軸方向に移動し、第2係合
溝52d…と小さい爪52e…とが係合し噛み合う。こ
れにより、従切替クラッチ装置52が入りとなり後輪減
速状態となる。(図10参照)。
【0035】そして、再び、主切替クラッチ装置51が
入り作動すると、標準伝動経路(SD’)への伝動が入
りとなり、従切替クラッチ体52aを駆動回転する側が
後輪伝動ギヤG10’側に反転する。すると、後輪伝動
ギヤG10’の小さい爪52e…が従切替クラッチ体5
2aの第2係合溝52d…の係合傾斜面に押圧作用し、
その押圧力の軸方向の分力により、第2係合溝52d…
が小さい爪52e…から離脱する方向に従切替クラッチ
体52aが押し出され移動する。これにより、従切換ク
ラッチ装置52が切り状態となり、標準伝動状態に復帰
する。
【0036】ところで、前記主切替クラッチ装置51の
作動させる圧油の流れは、ソレノイドで作動する油圧バ
ルブV1’で切替る。そして、その油圧バルブV1’の
切替作動は、ハンドル13の操作に連動するピットマン
ア−ム14の回動角が所定角度以上になったときに油圧
バルブV1’を切換作動させるソレノイドの作動スイッ
チSW、SWがONとなり、クラッチ装置51の前記部
屋Rに油圧ポンプPで圧送される圧油が流入するように
切り替わる。ピットマンア−ム14の回動角が所定角度
以下に戻っているときは、油圧バルブV1’のソレノイ
ドの作動スイッチSW、SWがOFFとなり、圧油が部
屋Rから油圧タンクTに流出するように切り替わるよう
構成されている。尚、前記作動スイッチSW、SWの位
置は、操作レバ−Lにより調節することができ、後輪減
速状態に切り替わるときのハンドル13の切り角を操縦
者により適宜の調節することができるようになっている
(図12参照)。よって、圃場内の枕時等で旋回すると
きに、ハンドル13を切れば自動的に後輪減速状態に入
り切り作動する。また、独立したペダルの踏み込みによ
り作動するように構成し、操縦者が適宜作動操作するよ
うにしてもよい。
【0037】尚、車体1を後進させるときに、後輪減速
状態になると危険であるので、油圧バルブV1’が圧油
を前記部屋Rに流入するように切り替わっても、主切替
クラッチ装置51が入りにならないようになっている。
即ち、部屋Rから油圧タンクTに圧油が戻るル−トに油
圧バルブV1’を回避するバイパスBPを設け、そのバ
イパスBPに、前進−後進の切替操作する主変速レバ−
MLの操作に連動して圧油の流れを断続させるバルブV
2を設けている。バルブV2は、油圧ポ−トP1とP2
の間の通路の漏斗状部でスチ−ルボ−ルBがスプリング
Sに押圧されて塞いでおり、そのボ−ルBを操作ピンP
によって押し出して流通可能状態に開けることができる
構成になっている。よって、変速レバ−MLが前進位置
に操作されているときは、操作ピンPがボ−ルBを押さ
ない状態に位置し、ボ−ルBが通路を塞いでバイパスB
Pでの圧油の流れを遮断し、部屋Rへの圧油の流出入は
油圧バルブV1’によってのみ切替られる状態になる。
そして、主変速レバ−MLを後進位置に移動操作する
と、操作ピンPがボ−ルBを押すように連動し、ボ−ル
Bの通路の塞ぎが解除されてバイパスBPを圧油が流れ
る状態になる。この場合、油圧バルブV1’が圧油を部
屋Rに流入するように切り替わっても、バイパスBPを
通って圧油は油圧タンクTに戻ってしまい、主切替クラ
ッチ装置51が入りに作動しない。
【0038】よって、以上のように、この四輪駆動型農
作業車(乗用田植機の走行車体)は、後輪変速装置50
の標準駆動状態にする伝動経路(SD’)に正逆転伝動
可能で伝動入り切り操作可能な主切替クラッチ装置51
を設け、後輪減速状態とする伝動経路(LD)に正逆転
伝動可能で伝動入り切り作動する従切替クラッチ装置5
2を設けた。そして、その従切替クラッチ装置52は、
前記主切替クラッチ装置51の切り作動により生じる減
速回転を受けて標準駆動の伝動経路(SD’)を遮断
し、主切替クラッチ装置51の入り作動により生じる増
速回転を受けて標準駆動の伝動経路(SD’)を連繋す
るように作動する。これにより、切替え時の急激な伝動
回転の変化がないのでショックが少なく操作性がよい。
また、それを簡単に低コストで構成することができる。
【0039】
【発明の作用及び効果】この発明の四輪駆動型農作業車
は、前輪変速装置45或は後輪変速装置50における標
準伝動経路と増速伝動経路或は減速伝動経路の両経路
[(SD)と(HD)、或は、(SD’)と(LD)]
の一方側に主切換クラッチ装置[46、或は、51]を
設け、他方側に従切換クラッチ装置[47、或は、5
2]を設けたものである。この従切換クラッチ装置[4
7、或は、52]の切換作動は、主切換クラッチ装置
[46、或は、51]の入り作動による伝動回転変化を
受けて従動的に切り状態に切り替わり、主切換クラッチ
装置[46、或は、51]の切り作動による伝動回転変
化を受けて従動的に入り状態に切り替わる。
【0040】これにより、切替え時の急激な伝動回転の
変化がないのでショックが少なく操作性がよい。また、
それを簡単に低コストで構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用田植機の側面図。
【図2】乗用田植機の平面図。
【図3】走行車体の平面図。
【図4】走行車体の伝動機構図。
【図5】ミッションケ−ス内の伝動機構を示す断面平面
図。
【図6】伝動機構の要部を示す断面平面図。
【図7】伝動機構の要部の別の作動状態を示す断面平面
図。
【図8】別実施例のミッションケ−ス内の伝動機構を示
す断面平面図。
【図9】別実施例の伝動機構の要部を示す断面平面図。
【図10】別実施例の伝動機構の要部の別の作動状態を
示す断面平面図。
【図11】別実施例での従切換クラッチ装置の構成を示
す断面平面図。
【図12】別実施例での作動スイッチの調節機構を示す
平面図。
【符号の説明】
1:乗用型田植機の走行車体 2、2:前輪 3、3:後輪 45:前輪変速装置 46:主切替クラッチ装置 47:従切替クラッチ装置 SD:標準駆動状態とする伝動経路 HD:前輪増速状態とする伝動経路 50:後輪変速装置 51:主切替クラッチ装置 52:従切替クラッチ装置 SD’:標準駆動状態とする伝動経路 LD :後輪減速状態とする伝動経路

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪4、4と後輪5、5の駆動速度が略
    等しい標準駆動状態と、前輪4、4の駆動速度を後輪
    5、5の駆動速度よりも増速する前輪増速状態とに切替
    可能な前輪変速装置45を備えた四輪駆動型農作業車に
    おいて、前記前輪変速装置45の前輪増速状態とする伝
    動経路(HD)に正逆転伝動可能で入り切り操作可能な
    主切替クラッチ装置46を設け、標準駆動状態とする伝
    動経路(SD)に正逆転伝動可能で前記主切替クラッチ
    装置46の入り作動により生じる増速回転を受けて標準
    駆動の伝動経路(SD)を遮断し、主切替クラッチ装置
    46の切り作動により生じる減速回転を受けて標準駆動
    の伝動経路(SD)を連繋するように作動する従切替ク
    ラッチ装置47を設けたことを特徴とする四輪駆動型農
    作業車。
  2. 【請求項2】 前輪4、4と後輪5、5の駆動速度が略
    等しい標準駆動状態と、後輪5、5の駆動速度を前輪
    4、4の駆動速度よりも減速する後輪減速状態とに切替
    可能な後輪変速装置50を備えた四輪駆動型農作業車に
    おいて、前記後輪変速装置50の標準駆動状態とする伝
    動経路(SD’)に正逆転伝動可能で入り切り操作可能
    な主切替クラッチ装置51を設け、後輪減速状態とする
    伝動経路(LD)に正逆転伝動可能で前記主切替クラッ
    チ装置51の切り作動により生じる減速回転を受けて後
    輪減速の伝動経路(LD)を連繋し、主切替クラッチ装
    置51の入り作動により生じる増速回転を受けて後輪減
    速の伝動経路(LD)を遮断するように作動する従切替
    クラッチ装置52を設けたことを特徴とする四輪駆動型
    農作業車。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018000090A (ja) * 2016-06-30 2018-01-11 株式会社クボタ 作業機の伝動装置
JP2018183115A (ja) * 2017-04-27 2018-11-22 井関農機株式会社 移植機

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JP2018000090A (ja) * 2016-06-30 2018-01-11 株式会社クボタ 作業機の伝動装置
JP2018183115A (ja) * 2017-04-27 2018-11-22 井関農機株式会社 移植機

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