JPH0679750B2 - バネ製造装置及びその方法 - Google Patents

バネ製造装置及びその方法

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JPH0679750B2
JPH0679750B2 JP63010896A JP1089688A JPH0679750B2 JP H0679750 B2 JPH0679750 B2 JP H0679750B2 JP 63010896 A JP63010896 A JP 63010896A JP 1089688 A JP1089688 A JP 1089688A JP H0679750 B2 JPH0679750 B2 JP H0679750B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は所定自由長のバネを製造するバネ製造装置及び
その方法に関するものである。
[従来技術] 従来、この種の装置でバネを製造する場合には、バネ製
造に係るパラメータを設定して製造するのが一般的であ
る。
しかしながら、これらバネ製造に関する各種パラメータ
データを設定しても、常に同じ自由長のバネが製造され
るとは限らず、ある程度のばらつきが発生するのが常で
ある。
この理由としては、主として線材の材質変化やその断面
形状(直径等)の不均一さ等の線材特性、更には製造時
の気温等の環境の変化が起因している。特に線材特性は
線材のロツトの相違において変化することは勿論、1つ
のロツト中においても微妙に変化している。
この様な線材特性や気温が変化すると、結局、線材その
ものの弾性力が変化することになる。
例えば、捲回軸に線材を強制的に巻きながらその捲回軸
を軸方向に移動してバネを製造しても、線材そのもの弾
性力によつて微妙ながら元に戻ろうとするものであるか
ら、捲回時のピツチ及び巻数のバネを製造することはで
きない。従つて、バネ製造時に線材の弾性力が時々刻々
と変化することを考慮すれば、一定の自由長のバネを製
造することが如何に困難であるかが理解できるであろ
う。
そこで、目的自由長に対して許容範囲内にあるバネを良
品とした場合、その良品バネ数の製造されたバネ総数に
対する比(良品率)をいかにして高くするか、換言すれ
ば、いかにして歩留りを良くするかが問題となるが、従
来では、作業者の感と熟練度に頼つている面が多々あ
り、確固たる技術が確立していなかつた。
[発明が解決しようとする課題] 本発明はかかる問題点に鑑みなされたものであり、一
旦、最適なバネ製造状態を見出した後は、簡単な制御に
よって目的自由長を持ったバネを多量に製造することを
可能にするバネ製造装置及びその方法を提供しようとす
るものである。
[課題を解決するための手段] この課題を解決するため、本発明のバネ製造装置は以下
の構成を備える。すなわち、 線材を送り出す送り出し手段と、 送り出される方向に位置し、前記線材を当接させて強制
的に所定方向に曲げるコイリングポイントと、 該ポイントによって連続して曲げられていく線材に対
し、その曲げられていく面に対して略垂直方向に往復運
動しながら押し出してコイルピッチをつくる押し出し手
段と、 該押し出し手段の往復運動によって形成された線材を切
断する切断手段と、 製造されたバネの自由長と目的自由長との差の量を検出
する検出手段と、 検出された前記差の量に基づいて前記押し出し手段の押
し出し量を算出する複数のフィードバック算出手段と、 算出されたフィードバック量に基づいて前記押し出し手
段の押し出し量を調整する調整手段と、 1つのフィードバック算出手段を用いて前記調整手段を
制御し、所定数のバネを試験的に製造する試験的バネ製
造手段と、 該試験的バネ製造手段に次々と異なるフィードバック算
出手段をあてはめ、個々の試験的バネ製造手段で製造さ
れるバネの自由長の目的自由長に対する分布を解析し、
前記複数のフィードバック算出手段のうちの最適な算出
手段を特定する特定手段と、 該特定手段によって最適なフィードバック算出手段が特
定された以降、その特定されたフィードバック算出手段
に基づいてバネを製造するバネ製造手段とを備える。
また、上記目的を達成する本発明のバネ製造方法は以下
に示す工程を備える。すなわち、 直前に製造されたバネの自由長と目的自由長との差の量
に基づいて、所定の関数によりフィードバック量を決定
し、決定された量をバネ製造にフィードバックするフィ
ードバック工程と、 1つの関数を用いて所定数のバネを試験的に製造する試
験的バネ製造工程と、 前記試験的バネ製造工程で所定数のバネを製造する毎
に、前記フィードバック量を算出するための関数を変更
する関数変更工程と、 該関数変更工程による所定数の試験的バネ製造工程が完
了した場合に、個々の試験的バネ製造工程で製造された
バネの自由長の目的自由長に対する分布を解析し、最適
な関数を特定する関数特定工程と、 該関数特定工程で最適な関数が特定された以降、前記関
数特定工程で特定された関数に基づいてバネを製造する
工程とを備える。
[作用] かかる本発明の構成或は工程において、1つの関数或は
フィードバック算出手段を用いて試験的にバネを所定数
製造することを、異なる関数或はフィードバック算出手
段を次々とあてはめて行う。そして、個々の関数或はフ
ィードバック算出手段を用いた試験的バネ製造の目的自
由長に対する分布に基づいて、どの関数或はフィードバ
ック算出手段が最適かを特定する。そして、それ以降は
特定した関数或はフィードバック算出手段を用いてバネ
製造を行う。
[実施例] 以下、添付図面に従つて本発明に係る実施例を詳細に説
明する。
第1図は実施例のバネ製造装置の構成概略図である。
図中、1は装置全体を制御するマイクロプロセツサ(以
下、CPUという)である。CPU1は第7図及び第8図に示
すフローチヤートに従つて処理するが、このフローチヤ
ートに係るプログラムはROM1aに格納されている。ま
た、RAM1bはCPU1のワークエリアとして使用するもので
ある。また、2はバネ製造にかかるパラメータ(例えば
自由長の許容範囲等)を設定するためのキーボード、3
はパラメータ設定、或いはバネ製造中に測定されたバネ
自由長に基づく各種グラフを表示する表示部である。こ
の表示部3に表示されたグラフ等はプリンタ4でもつて
印刷することも可能である。5は検長器であつて、バネ
製造機構部6(詳細は後述する)で製造されたバネの先
端と検長器5の検出部5aとの距離を検出する。具体的に
は、検長器5は静電容量検出方式を採用しており、第3
図に示す回路で実現できる。すなわち、バネの先端と検
出部5aとの距離によつて電荷容量が変化するものである
から、これを可変コンデンサ55に対応させるわけであ
る。そして、OUTA,OUTBの電位を検出すれば、可変コン
デンサ55の容量を算出でき、結果的に検出部5aとバネの
先端との距離を検出することが可能となる。尚、コンデ
ンサ51〜52の電荷容量及び抵抗53,54の抵抗値は既知で
あつて、交流電圧発生器56からはE・sinωt(0≦ω
<π)の電圧が発生する。従つて、検長器5を予め固定
しておけば、目的自由長Lに対するばらつきΔLの量を
検出することが可能となる。尚、第3図に示した回路は
一例であつて、これに本発明が限定されるものではな
い。
また、CPU1は製造されたバネの自由長からそのバネが許
容範囲内にある良品か、或いはその許容範囲よりも短い
か長いかを判断する。選別器7はCPU1からこの判断結果
に対応するソレノイド駆動信号を受けて、許容範囲内に
あるバネとそうでないバネとを選別する。
選別器7の具体的構造を第4図に示す。シヤツタ73,74
はソレノイド71,72の駆動により回動するが、CPU1から
出力されるソレノイド駆動信号のレベルが共に“0"の場
合には、各シヤツタは不図示のバネの作用により、実線
で示す位置にある。
さて、検長器5でバネ自由長を検出されたバネはカツタ
ー27で切断されて、共通通路70を落下する。このとき、
CPU1は自由長検出に基づくソレノイド71,72の駆動信号
を出力している。例えば、製造されたバネ自由長が許容
範囲より短いと判断されたときには、CPU1はソレノイド
71のみを駆動する信号を出力する。すると、シヤツタ73
は図中の破線73′の状態にまで回動することになり、共
通通路70を落下したバネは分岐路76を通ることになる。
次にバネ製造機構部6の構成及びその動作原理を第1図
及び第2図(A),(B)に従つて説明する。
モータ25の駆動軸には第1のギヤ26aと第1のフイード
ローラ20aが互いに同軸に軸支されている。また、第1
のギヤ26aには、第2のギヤ26bが噛合している。この第
2のギヤ26bには、これと同軸に第2のフイードローラ2
0bが固定されている。ここで、これら第1及び第2のフ
イードローラ20a,20bは、これらの間に線材100を挾持
し、これらの回転に応じて線材100がポイント22に向け
て送り出すことが出来るように構成されている。即ち、
第2図(A)において、モータ25の図中時計方向の回転
駆動により、第1及び第2のフイードローラ20a,20bは
図示の方向に回転するため、線材100がガイド21を介し
てポイント22の方向に送り出されていく。
また、上述したポイント22の当接面には、ガイド溝が形
成されている。この溝は、ここに当接した線材100が、
強制的に図示の如く下方に曲げられていくように、傾斜
している。
一方、上述したモータ25とは別に、バネ1個製造する毎
にその駆動軸を1回転させて、ピツチを形成するためモ
ータ32が設けられている。このモータ32の駆動軸には、
カム33が取り付けられている。このカム33のカム面に当
接する状態で、ドリブン部材30が設けられている。この
ドリブン部材30は、ガイド31によりその軸回転を規制さ
れながら、線材100の送り方向に横切る方向に沿つて、
カム33の1回転に応じて1往復動する。
このドリブン部材30には、押し出しロツド29がこれの延
出方向に沿つて進退自在に螺着されている。そして、こ
のロツド29の先端には、ピツチツール23が、ガイド28に
より回転せずに進退するように取り付けられている。ま
た、第1図はカム33の短径部分がドリブン部材30に当接
した状態を示しており、ピツチツール23は実質的にバネ
のピツチを形成しない位置にある。そして、カム33が回
転して、短径部分から長径部分にドリブン部材30の当接
位置が変化するに従い、ピツチツール23は、徐々に線材
100の走行経路を横切り、ポイント22の溝により捲回さ
れた線材部分を押しやり、上述したピツチを形成するこ
とになる。この状態を第2図(A),(B)に示す。
尚、ポイント22によつて曲げられた直後の線材100は、
モータ32の1回転に同期して駆動されるカツター27によ
つて切断される。
ところで、モータ25に対するモータ32の回転速度によつ
て、大方のバネピツチと線材100の捲回数によるバネの
自由長は予想できる。しかしながら、全く同じ自由長の
バネを製造することはできない。なぜなら、第2図
(B)に示す如く、ピツチツール23を突出量LPでもつて
突出させた場合にも、線材の弾性力が時々刻々と変化す
るが故にバネピツチPが2LPなるとは限らず、変動する
からである。従つて、第2図(B)に示すピツチツール
23の突出量LPを微調整する必要がある。この突出量LP
微調整させるため、実施例ではロツド29を軸回転させ
て、そのロツド29のドリブン部材30への挿入量を変化さ
せることにより、ドリブン部材30とカム33との当接点か
らピツチツール23の先端との長さを微調整する様にし
た。
これを実現させるために、実施例ではウオームホイール
36とその係止部材34、更にはウオームホイール36の回転
を駆動させるモータ9等を設けた。以下、それら構成要
素の関係を説明する。
ロツド29を摺動自在に貫通させ、且つその軸回転を共に
するウオームホイール36は係止部材34によつて、その軸
方向への移動が規制されている。また、ウオームホイー
ル36にはステツピングモータ9の駆動軸に軸支されたウ
オームネジ37が螺合されている。従つて、このステツピ
ングモータ9の駆動軸を所望の方向と必要なだけ回転さ
せることにより、先に説明したピツチツール23の突出量
LPを微調整することができることになる。このステツピ
ングモータ9はドライバ8によつて駆動されるが、ウオ
ームネジ37の回転方向及びその量はCPU1によつて制御さ
れている。
そこで問題となるのが、このピツチツール23の突出量LP
を規定する制御量Cをどの様にして求めるかである。
すなわち、目的自由長Lに対してΔLだけ長いバネが製
造されたときには、ピツチツールの突出量LPを少なくす
るために、フイードバツク量(=C×ΔL)を算出す
る。そして、その値に応じた分ステツピングモータ9を
駆動してピツチツールの突出量LPを微調整する。
例えば、制御量(フイードバツク比)Cを0.01とし、仮
に目的自由長Lに対して+0.05mmのバネを製造した場合
には、フイードバツク量は5.0×10-4となる。そしてこ
の値に相当する分をステツピングモータ9の駆動軸を回
転させ、ピツチツール23の先端から被ドリブン部材30の
端部までの長さを短くすることになる。換言すれば、ピ
ツチツールの突出量LPを小さくする。
尚、これとは逆に、ΔLが負の場合には、対応するフイ
ードバツク量を算出して、ピツチツール23の突出量を大
きくする。
しかしながら、先に説明した様に、線材100の弾性力は
時々変化するものであるから、それら全ての要因に合う
制御量Cを決定することは不可能であるといつてよい。
そこで本実施例では目的自由長Lのバネを製造する前
に、最適な制御量Cを決定するために、統計を取つて解
析する様にした。
その具体的な処理内容を以下に説明する。
先ず、初期値として制御量C0の関数でもつてN個のバネ
を製造(以下、サンプリング製造という)する。このサ
ンプリング製造中に検出された目的自由長に対する差は
RAM1b内に順次記憶していく。尚、このサンプリング製
造で製造された良品バネを無駄にしない様に、この間に
も選別器7は検出されたバネ自由長に対応して駆動され
ている。
さて、1回のサンプリング製造中、或いはそれが完了し
た後には、許容範囲内のバネ数nに基づく良品率G、目
的自由長に対する差の平均値▲▼及びその標準偏差
値σを算出する。尚、平均値ΔLの替りに平均自由長
としても構わない。
ここで、各値は以下の式で算出される。
2回目以降(i回目)のサンプリング製造における制御
量Ciは、直前のサンプリング製造における制御量にΔC
(例えば、0.01)を加算した値(=C0+ΔC×(i-
1))とし、各回毎に上述した3つの値を算出してい
く。こうして、予め設定されたm回のサンプリング製造
処理を実行した後は、どの制御量におけるサンプリング
製造で一番良い結果が得られるかを判断する。
尚、この最適制御量決定に係る判断基準であるが、実施
例では各要素に対して以下に示す重みを付けて判断する
様にした。
良品率>平均値>標準偏差 すなわち、m回のサンプリング製造中、i番目のサンプ
リング製造時に最大良品率を得ることができたときに
は、C0+ΔC×(i-1)の値を最適制御量として決定す
る。
また、最大良品率の候補が2以上ある場合には第2の判
断要素である“平均値”を基にして決定する。更には、
この平均値によつて1つに絞り込むことができなかつた
場合には第3の判断要素“標準偏差”を基にして判断す
る。
尚、実施例においては、サンプリング製造回数m、及び
各サンプリング製造中において製造されるバネ数Nを特
定しなかつたが、これらの値が小さいと統計の意味を持
たないから、ある程度のまとまつた数が必要である。す
なわち、mを数十回、Nを数百個程度にすることが望ま
しい。このとき、初期制御量C0と各サンプリング製造に
おける加算値ΔCの値の設定も重要となるが、比較的長
い自由長を持つバネを製造するときには、mを大き目、
ΔCの値を小さ目にすることが望ましい。なぜなら、フ
イードバツク量は制御量によつて決定されるが、短い自
由長のバネを製造するときと比較すると、ばらつきが大
きくなるからであり、細かい解析が必要であるからであ
る。
さて、この様に各要素に対して優先順位を設けた理由を
第5図及び第6図に従つて説明する。尚、以下の説明
は、目的自由長に対する差の分布を基にして最適制御量
を決定する手法であるが、製造されたバネの自由長の分
布であつても同様である。
今、自由長が50.00mm、許容範囲として±0.08mmのバネ
を製造することを目的としてn個のバネをサンプル製造
したとしよう。このとき50.00mmに対する差を縦軸に取
り、横軸に頻度を取つて示したグラフが第5図(A),
(B)である。尚、これら図における良品率は共に同じ
であるものとする。また、当然のことながら、各グラフ
における制御量は異なるものである。
さて、第5図(A)の目的のバネ自然長に対する平均差
分は約0.008mmであるのに対して、第5図(B)のそれ
は‐0.0145mmであり、明らかに第5図(A)のサンプリ
ング製造に関する制御量の方が優れていることがわか
る。従つて、良品率が同じになる場合を予想して、その
平均値を第2の判断基準として持たせる重要性が理解で
きるであろう。換言すれば、許容範囲をより小さく(例
えば±0.04mm等)して、より高精度のバネを製造するこ
とが可能になるかどうかの目安にもなる。
更に、良品率、そして平均値が同じであつた場合をも想
定して第3の判断基準である標準偏差σ(或いは誤差σ
2)を用いて判断することにした。
第6図(A),(B)に示すのは、同一良品率、及び、
目的自由長に対する誤差が供に0.00mmとなつているケー
スを示すものである。この場合、当然のことながら、誤
差が0.00mmにおける頻度が多い(標準偏差が小さい)ほ
ど良いわけであるから、第6図(B)に示す制御量にお
けるサンプリング製造(標準偏差σ=約0.026)の方が
第6図(A)のそれ(標準偏差σ=約0.039)より優れ
ていることが容易に理解できよう。特に第6図(B)の
場合、標準偏差が小さいことから、バネ自由長にかかる
許容範囲を更に小さくすることも考えられる。
また、上述したグラフや判断基準となる3つの値の時系
列変移を表示部3に表示させることにより、作業者への
現状を把握させることが容易になる。
以上の構成或いは原理から実施例における処理手順を要
約すると第7図(A),(B)に示すフローチヤートの
様になる。
先ず、ステツプS1においてキーボード2よりサンプリン
グ製造回数mを設定する。以下、ステツプS2で各サンプ
リング製造で製造されるバネ数Nを設定し、ステツプS3
で許容範囲、ステツプS4で初期制御量C0、そしてステツ
プS5で制御量の増分値ΔCを設定する。次のステツプS6
では初期値として変数iに“1"を代入する。尚、この変
数iの内容によつてサンプリング製造が終了したか否か
が判断される。
こうして、ステツプS7に移つて、サンプリング製造処理
がなされるが、その詳細は後述する。1回のサンプリン
グ製造処理が終了したときには、ステツプS8で変数iを
1つインクリメントし、次のステツプS9で変数iとサン
プリング製造回数mとを比較する。“i≦m"と判断され
た場合には、ステツプS7に戻つて次のサンプリング製造
処理を実行し、“i>m"と判断されるまで、ステツプS7
〜ステツプS9を繰り返すことになる。
さて、“i>m"であると判断した場合にはステツプS10
に移り、先に説明した判断基準に従つて最適制御量を決
定する。こうして得られた最適制御量に基づいてステツ
プS11でバネ製造を実行することになる。そして、この
処理は予め設定された良品バネ数に達するまで、或いは
装置が停止されるまで実行されることになる。
次にステツプS7のサンプリング製造処理の内容を第8図
(A),(B)に従つて説明する。
ステツプS701ではサンプリング製造における制御量C
を、サンプリング製造の順番を表す変数iに基づき、次
式で求める。
制御量C=C0+(i-1)×ΔC 従つて、第1回目のサンプリング製造時における制御量
は初期設定された値C0になる。
次のステツプS702では、サンプリング製造中の製造され
たバネの個数を表わす変数jに“1"を代入すると共に、
良品のバネ個数を表わす変数A及びばらつきの総和を表
す変数Bを夫々“0"で初期化する。以上の初期設定が終
了した後は、ステツプS703に移つて、実際にバネ1個を
製造する。次のステツプS704では、検長器5で検出され
た目的自由長に対するばらつき量ΔLを検出し、その値
を変数D(j)に一旦格納する。ステツプS705では、そ
のばらつき量D(j)が許容範囲内にあるか否かを判断
し、許容範囲内にあると判断した場合にはステツプS706
で変数Aに“1"を加算してステツプS708に移る。また、
ばらつき量D(j)が許容範囲外であると判断した場合
には、ステツプS707に移り、ばらつき量の符号に基づい
て、選別器7のソレノイド71と72のどちらか一方を所定
時間駆動させ、ステツプS708に移る。
ステツプS708では、変数Bにばらつき量D(j)を加
え、次のステツプS709でD(j)の値や先に説明したグ
ラフを表示する。
ステツプS710においては、フイードバツク量Fを算出す
る。このフイードバツク量の算出関数は既に説明してい
るが、ここでもう一度引用すれば、以下の式になる。
F=C×D(j) そして、ステツプS711では、得られたフイードバツク量
Fの大きさ、及び符号に基づいてステツピングモータ9
を駆動させる。
次のステツプS712では変数jを1つインクリメントし、
ステツプS713で変数jと設定値Nとを比較する。
このとき、“j≦N"と判断された場合には、未だN個の
バネを製造していないことになるから、ステツプS703に
戻る。
こうして、N個のバネが製造されると、ステツプS713で
“j>N"と判断されることになり、ステツプS714以下の
処理を実行することになる。従つて、このとき、変数A
には許容範囲内にあるバネの数が格納されていることに
なる。また、変数BにはN個のバネのばらつきの総和値
が、そして変数D(1)〜D(N)には各々のバネのば
らつき量が格納されていることになる。
そして、これらの値を基にして、ステツプS714〜S716で
i番目のサンプリング製造における良品率G(i)、平
均値X(i)、σ(i)を算出し、次のステツプS717で
得られたこれらの値をRAM1bにストアする。以上の処理
を1回のサンプリング製造毎に実行することにより、各
サンプリング製造固有の良品率、平均、標準偏差が得ら
れることになる。従つて、先に説明したステツプS10で
は、得られた変数G(i),X(i),σ(i)に従つて
最適制御量を決定することになる。
以上説明した様に本実施例によれば、バネを製造する前
段階に、バネ製造にかかる最良の状態を検知することに
より、良品率の最も良い状態でバネを製造することが可
能となる。
更に、この一連の処理は全て自動的に行なわれるので、
バネ製造の経験が少ない人であつても、確実に良好な自
由長を持つたバネを製造することが可能となる。
尚、線材1巻を全て使用してしまつて、新たな線材を設
置するとき、或いは、途中で長さの異なるバネを製造す
るとき等においても、同様の前処理を実行することが望
ましい。何故なら、線材のロツトが違うとその材質や径
等が微妙に変化があるからである。
また、実施例では良品率を設定した許容範囲内にあると
きに、カウンタアツプすることで算出したが、標準偏差
値を算出し、その値からも許容範囲を設定したときの良
品率を算出することが数学上可能であるので、必ずしも
1つ1つカウントする必要はない。すなわち、最適制御
量は各サンプリング製造中の自由長の分布からのみで
も、決定できる。
また、実施例では関数によつてその都度フイードバツク
量を算出したが、これをROM1a内にテーブルとして記憶
しておいて、導き出す様にして構わない。
また、サンプリング製造の回数を横軸に、そして良品率
を縦軸にとつたとき、例えば第9図に示す様な関係のグ
ラフが得られた場合には、それ以後のサンプリング製造
を中止し、線材の不用意な浪費を防ぐ様にすることもで
きる。但し、良品率が最大となつたかどうかの判断は次
のサンプリング(B点)の良品率を測定しないと検知で
きないから、実際には最大の良品率を検出した時のサン
プリング回数+1回のサンプリング回数が必要となつく
る。
更に、第9図において、C点で最大の良品率が得られた
場合、厳密にはC点を挟むA点とB点との間に最大の良
品率となる設定(環境)があると判断される。従つて、
最大の良品率が検知できたサンプリングの1つ前のサン
プリングの状態(図中のA点)に戻つて、今度はΔC′
(但しΔC′<ΔC)を増分値とし、B点まで第7図、
第8図に示したフローチヤートを実行する様にすれば、
更に良品率の良いバネ製造環境が検知できることにな
る。
更には、本実施例においては主にピツチツール23を制御
することのみを説明したが、例えばポイント22の位置も
バネの自由長に少なからぬ影響をもたらす。従つて、こ
のポイント22の位置も微調整する様にして同様に解析処
理する様にしても構わない。
更にまた、実施例ではモータ25とモータ32とを区別した
が、1つのモータの駆動によつてバネの送りとバネピツ
チを生成する様にしても構わない。
[発明の効果] 以上説明した様に本発明によれば、一旦、最適なバネ製
造状態を見出した後は、簡単な制御によって目的自由長
を持ったバネを多量に製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例におけるバネ製造システムの構成概略
図、 第2図(A),(B)は本実施例におけるバネ製造の原
理を説明するための図、 第3図は実施例における検長器を実現するための電気回
路の一例を示す図、 第4図は実施例における選別器の外観を示す図、 第5図(A),(B)及び第6図(A)(B)は実施例
における制御量を変化させたときの、バネ製造時のばら
つきとその頻度の関係を示すグラフ、 第7図(A),(B)は実施例におけるCPUの処理概要
を示すフローチヤート、 第8図(A),(B)は実施例におけるサンプリング製
造時のCPUの処理内容を示すフローチヤート、 第9図は本実施例における良品率とサンプリング製造と
の関係の一例を示す図である。 図中、1……CPU、2……キーボード、3……表示部、
4……プリンタ部、5……検長器、5a……検出部、6…
…バネ製造機構部、7……選別器、8……ドライバ、9
……ステツピング、20a,20b……フイードローラ、21,2
8,31……ガイド、22……ポイント、23……ピツチツー
ル、25,32……モータ、26a,26b……ギヤ、27……カツタ
ー、29……ロツド、30……ドリブン部材、33……カム、
34……係止部材、36……ウオームホイール、37……ウオ
ームネジである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】線材を送り出す送り出し手段と、 送り出される方向に位置し、前記線材を当接させて強制
    的に所定方向に曲げるコイリングポイントと、 該ポイントによって連続して曲げられていく線材に対
    し、その曲げられていく面に対して略垂直方向に往復運
    動しながら押し出してコイルピッチをつくる押し出し手
    段と、 該押し出し手段の往復運動によって形成された線材を切
    断する切断手段と、 製造されたバネの自由長と目的自由長との差の量を検出
    する検出手段と、 検出された前記差の量に基づいて前記押し出し手段の押
    し出し量を算出する複数のフィードバック算出手段と、 算出されたフィードバック量に基づいて前記押し出し手
    段の押し出し量を調整する調整手段と、 1つのフィードバック算出手段を用いて前記調整手段を
    制御し、所定数のバネを試験的に製造する試験的バネ製
    造手段と、 該試験的バネ製造手段に次々と異なるフィードバック算
    出手段をあてはめ、個々の試験的バネ製造手段で製造さ
    れるバネの自由長の目的自由長に対する分布を解析し、
    前記複数のフィードバック算出手段のうちの最適な算出
    手段を特定する特定手段と、 該特定手段によって最適なフィードバック算出手段が特
    定された以降、その特定されたフィードバック算出手段
    に基づいてバネを製造するバネ製造手段と を備えることを特徴とするバネ製造装置。
  2. 【請求項2】直前に製造されたバネの自由長と目的自由
    長との差の量に基づいて、所定の関数によりフィードバ
    ック量を決定し、決定された量をバネ製造にフィードバ
    ックするフィードバック工程と、 1つの関数を用いて所定数のバネを試験的に製造する試
    験的バネ製造工程と、 前記試験的バネ製造工程で所定数のバネを製造する毎
    に、前記フィードバック量を算出するための関数を変更
    する関数変更工程と、 該関数変更工程による所定数の試験的バネ製造工程が完
    了した場合に、個々の試験的バネ製造工程で製造された
    バネの自由長の目的自由長に対する分布を解析し、最適
    な関数を特定する関数特定工程と、 該関数特定工程で最適な関数が特定された以降、前記関
    数特定工程で特定された関数に基づいてバネを製造する
    工程と を備えることを特徴とするバネ製造方法。
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