JPH0678226B2 - 脱水医薬品とその製造方法 - Google Patents

脱水医薬品とその製造方法

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JPH0678226B2
JPH0678226B2 JP27863685A JP27863685A JPH0678226B2 JP H0678226 B2 JPH0678226 B2 JP H0678226B2 JP 27863685 A JP27863685 A JP 27863685A JP 27863685 A JP27863685 A JP 27863685A JP H0678226 B2 JPH0678226 B2 JP H0678226B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、健康増進や傷病の治療、回復促進などのため
の脱水医薬品とその製造方法に関する。
更に詳細には、含水医薬品、その含水原材料および含水
加工中間物から選ばれる含水物に、結晶性無水β−マル
トースおよび非晶質無水マルトースから選ばれる無水マ
ルトースを含有させることにより、この無水マルトース
に含水物の水分を捕捉させて脱水すると共にこの無水マ
ルトースをβ−マルトース含水結晶に変換して、これを
含有せしめた脱水医薬品とその製造方法に関する。
(一般の技術) 従来、健康増進や傷病の治療、回復促進などのために、
栄養剤、生理活性物質剤、殺菌剤などの各種医薬品が用
いられている。
一般に、栄養剤などに含まれる水分は、その物性だけで
なく、その保存期間に大きな影響を与える。含水栄養剤
は、微生物汚染を受け易く、更には、加水分解、酸敗、
褐変などの変質劣化を受け易い。
通常、含水栄養剤の保存期間を延長するため、例えば、
砂糖漬、塩漬、乾燥などの各種脱水方法が採用されてい
る。
しかしながら、砂糖は甘味が強すぎて最近の嗜好に合わ
ず、また、虫歯の主な誘発物質であり、更に、大量摂取
することによって血中コレステロールの増加を招くなど
の欠点を有している。また、食塩についても、その摂り
過ぎが、高血圧、癌などの成人病の主な原因であること
か指摘され、その摂取量をできるだけ低減するように指
導されている。
さらに、乾燥方法は、その工程での品質の劣化が避けら
れず、風味の乏しい栄養剤しか得られないのが現状であ
る。
また、例えば、リンホカイン、ホルモン、ビタミン、生
菌剤、酵素、抗生物質などの生理活性物質剤の場合に
は、高水分共存下では不安定であり、通常、その安定性
向上のために、大量の安定剤を共存させて加熱乾燥、真
空乾燥などの乾燥方法により製品化されている。
この安定剤として使用されているものに、アルブミン、
カゼイン、ゼラチン、ヒドロキシエチルスターチなどの
水溶性高分子化合物がある。
しかしながら、これら水溶性高分子化合物などの安定剤
共存下での乾燥はきわめて困難で、多大のエネルギーを
浪費するのみならず、得られる乾燥物が水難溶性になっ
たり、生理活性物質の活性低下を引き起こしたりする危
険性を孕んでいる。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明者等は、健康増進や傷病の治療、回復促進などの
ための医薬品について、従来脱水方法における欠点を解
消することを目的として、マルトースに着目し、その利
用について鋭意検討した。
その結果、無水マルトース、とりわけ、固形物当り85w/
w%以上のマルトースを含有している無水マルトースを
含水栄養物、含水生理活性物質などの含水物に含有させ
β−マルトース含水結晶に変換せしめることにより、無
水マルトースが強力な脱水剤として作用することを見い
だし、品質の劣化を起さず安定な医薬品を容易に製造し
得ることを確認して、本発明を完成した。
本発明は、従来、脱水剤として全く注目されなかった無
水マルトースに着目したものであり、この無水マルトー
スを脱水剤として含有せしめ、含水物を脱水する方法
は、本発明をもって嚆矢とする。
本発明における含水物の脱水方法は、水分を含有してい
るもの、とりわけ、結晶水のような結合水分とは違った
遊離水分を含有しているものの脱水方法として好まし
く、例えば、乾燥栄養剤などを封入した防湿容器内の雰
囲気に含まれる水分を低減させる場合、更には、例え
ば、栄養剤、生理活性物質剤、殺菌剤などの医薬品、そ
の原材料又は加工中間物など各種含水物の水分を低減さ
せる場合などに有利に適用できる。
これらの含水物に無水マルトースを含有させると、無水
マルトースは、その重量の約5%の水分をβ−マルトー
ス含水結晶の結晶水として含水物から強力に取り込み、
含水物の水分を実質的に低減し脱水することが判明し
た。
例えば、流動食用固体製剤などの乾燥栄養剤を封入した
防湿容器内に、紙製などの透湿小袋に充填した無水マル
トースを共存させておくことにより、また、粉末整腸
剤、顆粒消化剤などの粉末状物に無水マルトースを配合
して包装封入することにより、容器内の相対湿度を極度
に低減させ、乾燥食品、粉末状物など高品質、安定に長
期間維持し得ることが判明した。
この際、無水マルトースは、水分を捕捉してβ−マルト
ース含水結晶に変換される途上、変換された後において
も、べとついたり、流れたりすることがなく、乾燥栄養
剤や防湿容器を汚染する心配はなく、また、粉末状物の
付着、固結を防止できる。
更に、マルトース自体は、無毒、無害の天然甘味料であ
り、何らの危険性もない。
また、例えば、生クリーム、卵黄などの液状、ペースト
状などの高水分栄養物の場合には、無水マルトースを含
有させて、β−マルトース含水結晶に変換せしめること
により、実質的に水分の低減された高品質の脱水栄養
剤、例えば、マスキット状、粉末状などの栄養剤をきわ
めて容易に製造することができる。この方法は、加熱乾
燥などの苛酷な条件を必要としないので、液状又はペー
スト状の高水分栄養物を変質劣化させることなく、風味
良好で水分の低減された脱水栄養剤に容易に変換し得る
特徴を有している。
また、この際、無水マルトースをこれら原材料などに含
まれる水分量に見合う量以上加え、無水マルトースが部
分的にβ−マルトース含水結晶に変換された、換言すれ
ば、β−マルトース含水結晶とともに無水マルトースを
含有している脱水栄養剤を得て、これを防湿容器内に封
入すると容器内雰囲気中の水分が無水マルトースにより
β−マルトース含水結晶として捕捉脱水し、その相対湿
度を極度に低減して、容器内を高度な乾燥状態に維持し
得ることが判明した。
この結果、本発明の方法により得られた脱水栄養剤は、
微生物汚染の防止はもとより、加水分解、酸敗、褐変な
どの変質劣化を防止し、風味良好で高品質な商品を長期
に安定に維持することが判明した。
また、リンホカイン、抗生物質などの水溶液、薬用人参
エキス、スッポンエキスなどのペースト状生理活性物質
の場合にも、これらに無水マルトースを含有させてβ−
マルトース含水結晶に変換せしめることにより、実質的
に水分の低減された高品質の脱水生理活性物質剤、例え
ば、マスキット状、粉末状などの生理活性物質剤をきわ
めて容易に製造することができる。
この方法は、加熱乾燥などの苛酷な条件を必要とせず、
また、無水マルトースが脱水剤としてのみならず、安定
剤としても作用するので、高品質で安定な脱水生理活性
物質剤を製造することができる。
また、水溶性高分子化合物などの安定剤なども、その乾
燥のためのエネルギー浪費を懸念する必要がないので、
必要に応じて適宜使用することにより、更に高品質で安
定な脱水生理活性物質剤を製造することも有利に実施で
きる。
また、例えば、バイアル瓶に、一定量の無水マルトース
を採り、これに、例えば、リンホカイン、ホルモンなど
の生理活性物質を含有する水溶液をその無水マルトース
がβ−マルトース含水結晶に変換するのに必要とする水
分量よりも少ない量だけ加え、密栓して注射用固形製剤
などを製造することも有利に実施できる。
この場合には、無水マルトースが、生理活性物質を含有
する水溶液を脱水することは勿論のこと、バイアル瓶内
の雰囲気を除湿乾燥し得ることも判明した。
この結果、本発明で得られる脱水医薬品は、その製造工
程が容易であるだけでなく、その高品質を長期に安定に
維持し得ること、更には、使用時に水に速かに溶解する
などの特徴を有していることも判明した。
以上述べたように、本発明の無水マルトースを用いる脱
水剤は、従来知られているシリカゲル、酸化カルシウム
などの脱水剤とは違って、可食性であり、代謝されて栄
養補給し得る糖質脱水剤であるのみならず、各種生理活
性物質などの安定剤としても有利に利用できる。
本発明者等は、本発明に先立って無水マルトース、とり
わけ、無水マルトース粉末の製造方法について研究し
た。
まず、脱水剤として使用するための無水マルトースにつ
いて、詳細に検討を加えた結果、固形物当り85w/w%以
上の高純度マルトースが好適であることを見いだした。
この原料の高純度マルトースは、市販のβ−マルトース
含水結晶を使用してもよいし、常法に従って、澱粉を糖
化して調製してもよい。
高純度マルトースを澱粉から調製する方法としては、例
えば、特公昭56-11437号公報、特公昭56-17078号公報な
どに開示されている糊化又は液化澱粉にβ−アミラーゼ
を作用させ、生成するマルトースを高分子デキストリン
から分離し、高純度マルトースを採取する方法、又は、
例えば、特公昭47-13089号公報、特公昭54-3938号公報
に開示されている糊化又は液化澱粉にイソアミラーゼ、
プルラナーゼなどの澱粉枝切酵素とβ−アミラーゼとを
作用させて高純度マルトースを採取する方法などがあ
る。
更に、これら方法で得られる高純度マルトースに含まれ
るマルトトリオースなどの夾雑糖類に、例えば、特公昭
56-28153号公報、特公昭57-3356号公報、特公昭56-2815
4号公報などに開示されている酵素を作用させてマルト
ースを生成するか、更には、例えば、特開昭58-23799号
公報などに開示されている塩型強酸性カチオン交換樹脂
を用いるカラム分画法により夾雑糖類を除去するなどの
方法によりマルトース純度を更に高めることも好都合で
ある。また、この分画法は、固定床方式、移動床方式、
擬似移動床方式であってもよい。
次に、このようにして得られる固形物当り85w/w%以上
の高純度マルトースから無水マルトースの製造方法につ
いて述べる。
無水マルトースとしては、例えば、結晶性無水α−マル
トース、結晶性β−マルトース、非晶質無水マルトース
などが好適である。
結晶性無水α−マルトース粉末を製造するには、例え
ば、先に出願した特願昭59-156744号明細書に記載して
いるように、これら高純度マルトースを水分約10w/w%
未満、望ましくは、2.0w/w%以上9.5w/w%未満の高濃度
シラップとし、このシラップを種晶共存下で50℃乃至13
0℃の温度範囲に維持しつつ結晶性α−マルトースを晶
出させ粉末化して製造すればよい。
また、結晶性無水β−マルトース粉末を製造するには、
例えば、β−マルトース含水結晶粉末が溶融しない条
件、例えば、約80〜110℃の温度条件で真空乾燥するな
どの方法を採用すればよい。
また、非晶質無水マルトース粉末を製造するには、例え
ば、市販のβ−マルトース含水結晶を原料にするか、ま
たは、固形物当り85w/w%以上の高純度マルトース水溶
液を用いて製造すればよい。
市販のβ−マルトース含水結晶を用いる場合には、それ
が溶融する温度条件、例えば、約120〜150℃の温度で常
圧乾燥又は減圧乾燥した後、粉砕して製造すればよい。
また、高純度マルトース水溶液を用いる場合には、例え
ば、濃度約70〜95w/w%のシラップを真空乾燥又は凍結
乾燥した後、粉砕して製造するか、又は、濃度約50〜85
w/w%のシラップを高圧ノズル法又は回転円盤法などの
噴霧乾燥法により直接粉末を製造することも有利に実施
できる。
このようにして製造される本発明の無水マルトース粉末
は、上品な低甘味を有する白色粉末で、その水分は低く
実質的に無水で、カールフィッシャー法により、通常、
3w/w%未満、望ましくは2w/w%未満で、また、その流動
性は粉末粒子の形状、大きさの違いなどによって多少異
なるが、実質的に流動性である。
更に、本発明でいう無水マルトースは、β−マルトース
含水結晶に変換され強力な脱水作用を発揮する実質的な
無水マルトースであればよく、例えば、無水マルトース
のβ−マルトース含水結晶への変換を促進し脱水剤とし
ての効果を高めるため、種晶としてできるだけ少量、通
常5w/w%未満、望ましくは1w/w%未満のβ−マルトース
含水結晶を共存せしめた実質的非晶質無水マルトース粉
末を利用することも有利に実施できる。
このようにして得られる無水マルトース粉末は、これ
を、例えば、食品、医薬品、化粧品、工業化学品などの
含水物に含有させると、それに含まれる水分をβ−マル
トース含水結晶の結晶水として捕捉し、固定し、含水物
に対して強力な脱水剤として作用することが判明した。
無水マルトースは、従来市販されているβ−マルトース
含水結晶(林原株式会社、登録商標「サンマルト」)と
は違って、水のみならず、有機酸水溶液、塩類水溶液、
蛋白質水溶液、乳化液、アルコール水溶液などの各種水
溶液に速かに高濃度に溶解し得ることが判明した。この
性質は、無水マルトースを脱水剤として利用し、各種含
水物から水分の低減された種々の脱水物品を製造する上
で好都合である。
本発明の脱水剤が有利に適用できるものとしては、防湿
容器内の雰囲気を除湿、乾燥する場合、更には、加熱乾
燥、真空乾燥などの工程で変質劣化を伴い易い含水物又
は乾燥困難な含水物などから高品質のマスキット状、粉
末状などの脱水物品を製造する場合などがある。
除湿、乾燥する場合としては、例えば、乾燥栄養剤など
の吸湿防止に利用できるのみならず、更には、吸湿して
固結し易い粉末状物、例えば、粉末酵母エキス、粉末ミ
ルク、粉末ヨーグルト、粉末チーズ、粉末ジュース、粉
末ハーブ、粉末ビタミン、顆粒スープ、顆粒ブイヨン、
魚粉、血粉、骨粉、粉末乳酸菌剤、粉末酵素剤、顆粒消
化剤などの粉末状物に無水マルトースを配合して包装封
入することにより、包装容器内部の相対湿度を低減さ
せ、粉末状物の付着、固結を防止できるので、製造直後
の流動性良好な高品質を長期間維持するなどの目的にも
利用することができる。
また、含水物を脱水する場合としては、例えば、動物、
植物、微生物由来の器官、組織、細胞、摩砕物、抽出
物、成分、又はこれらからの調整物など各種含水物を脱
水する場合に有利に利用できる。
例えば、栄養剤、その原材料又は加工中間物の場合に
は、生果、ジュース、野菜エキス、豆乳、ナッツペース
ト、糊化澱粉ペーストなどの農産品、ウニペースト、カ
キエキス、イワシペーストなどの水産品、生卵、レシチ
ン、牛乳、乳清、生クリーム、ヨーグルト、バター、チ
ーズなどの畜産品、メープルシラップ、蜂蜜などの甘味
料、日本酒、ワイン、薬用酒などの酒類などの液状乃至
ペースト状物から安定で高品質の脱水栄養剤を容易に製
造することができる。
また、生理活性物質剤、その原料又は加工中間物の場合
には、インターフェロン、リンホトキシン、ツモア・ネ
クロシス・ファクター、マクロファージ遊走阻止因子、
コロニー刺激因子、トランスファーファクター、インタ
ーロイキンIIなどのリンホカイン含有液、インシュリ
ン、成長ホルモン、プロラクチン、エリトロポエチン、
卵胞刺激ホルモンなどのホルモン含有液、BCGワクチ
ン、日本脳炎ワクチン、はしかワクチン、ポリオ生ワク
チン、痘苗、破傷風トキソイド、ハブ抗毒素、ヒト免疫
グロブリンなどの生物製剤含有液、ペニシリン、エリス
ロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリ
ン、ストレプトマイシン、硫酸カナマイシンなどの抗生
物質含有液、チアミン、リボフラビン、アスコルビン
酸、肝油、カロチノイド、エルゴステロール、トロフェ
ロールなどのビタミン含有液、リパーゼ、エラスター
ゼ、ウロキナーゼ、プロテアーゼ、β−アミラーゼ、イ
ソアミラーゼ、グルカナーゼ、ラクターゼなどの酵素含
有液、薬用人参エキス、スッポンエキス、クロレラエキ
ス、アロエエキス、甘草エキスなどのエキス類、ウィル
ス、乳酸菌、酵母などの生菌ペースト、ローヤルゼリー
などの液状乃至ペースト状物も、その有効成分、活性を
失うことなく、安定で高品質の脱水生理活性物質剤を容
易に製造できる。
また、前記生卵、レシチン、生クリーム、蜂蜜、甘草エ
キス、香料、着色料、酵素などを脱水すれば、高品質の
脱水美肌剤、美毛剤、育毛剤などとして有利に利用でき
る。
また、乾燥物品が酵素の場合には、食品、医薬品、工業
原料などの加工用触媒として、また、治療剤、消化剤な
どとして、更には酵素洗剤などとしても有利に利用でき
る。
含水物に無水マルトースを含有させる方法としては、目
的の脱水物品が完成されるまでに、例えば、混和、混
捏、溶解、浸透、散布、塗布、噴霧、注入などの公知の
方法が適宜に選ばれる。
含水物に対する無水マルトースを含有させる量は、含水
物に含まれる水分量と目的とする脱水物品の性状によっ
ても変わり、必要ならば、含水物の他の公知の方法で部
分的に脱水または濃縮した後に、無水マルトースを含有
させてもよく、通常、含水物1重量部に対して、0.01〜
500重量部、望ましくは0.1〜100重量部である。この
際、得られる脱水医薬品の品質を更に向上させるため
に、適宜な着香料、着色料、呈味料、安定剤、増量剤な
どを併用することも有利に実施できる。
とりわけ、安定剤について、本発明が無水マルトースに
よる強力な脱水方法であることから、抗酸化剤などの低
分子化合物に限る必要はなく、従来、乾燥が困難とされ
ていた水溶性高分子化合物、例えば、可溶性澱粉、デキ
ストリン、シクロデキストリン、プルラン、エルシナ
ン、デキストラン、ザンタンガム、アラビアガム、ロー
カストビーンガム、グアガム、トラガカントガム、タマ
リンドガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、ヒドロキシエチルスターチ、ペクチ
ン、寒天、ゼラチン、アルブミン、カゼインなどの物質
も安定剤として有利に利用できる。
これら水溶性高分子化合物を用いる場合には、例えば、
液状乃至ペースト状含水物に、予め水溶性高分子化合物
を均一に溶解せしめ、次いで、これに無水マルトースを
混和、混捏などの方法で均一に含有させることにより、
微細なβ−マルトース含水結晶を析出せしめた脱水物品
が得られる。本品は含水物由来の香気成分、有効成分な
どが高分子化合物の皮膜で被膜されているか、又は、該
皮膜で囲まれたマイクロカプセル中に微細なβ−マルト
ース含水結晶とともに内包されており、また、シクロデ
キストリンを用いる場合には包接化合物などを形成し
て、その揮散、品質劣化が防止されることから、含水物
由来の香気成分、有効成分の安定保持にきわめて優れて
いる。シクロデキストリンとしては、高純度のものに限
る必要はなく、乾燥しにくく粉末化の困難な低純度のシ
クロデキストリン、例えば、多量のマルトデキストリン
とともに各種シクロデキストリンを含有した水飴状の澱
粉部分加水分解物なども有利に利用できる。
本発明の脱水物品、とりわけ、粉末状物品を製造する方
法は、種々の方法が採用出来る。例えば、医薬品、その
原材料又は加工中間物などの比較的高水分の含水物に、
無水マルトースを水分約30w/w%以下、望ましくは約5
〜25w/w%になるように均一に含有せしめた後、バット
など約1〜10日間、約10〜50℃、例えば室温に放置し、
β−マルトース含水結晶に変換させて、例えばブロック
状に固化し、これを切削、粉砕などの方法により製造す
ればよい。必要ならば、切削、粉砕などの粉末化工程の
後に乾燥工程、分級工程などを加えることもできる。
また、噴霧方法などにより、直接、粉末品を製造するこ
ともできる。例えば、無水マルトース粉末を流動させな
がら、これに液状乃至ペースト状の含水物を所定量噴霧
して接触せしめて造粒し、次いで、約30〜60℃で約1〜
24時間熟成してβ−マルトース含水結晶に変換せしめる
か、又は、無水マルトースを液状乃至ペースト状含水物
に混和、混捏などした後、これを直ちに、若しくはβ−
マルトース含水結晶への変換を開始させて噴霧し得られ
る粉末品を同様に熟成し、β−マルトース含水結晶に変
換せしめて粉末品を製造する方法は、大量生産方法とし
て好適である。
この噴霧方法の場合に、無水マルトースのβ−マルトー
ス含水結晶への変換を促進するため、無水マルトースと
ともに、種晶としてできるだけ少量のβ−マルトース含
水結晶を共存させて、その熟成期間を短縮させることも
有利に実施できる。
このようにして得られた粉末状脱水医薬品は、そのまま
で、または必要に応じて、増量剤、賦形剤、結合剤、安
定剤などを併用して、更には、顆粒、錠剤、カプセル
剤、棒状、板状、立方体形など適宜な形状に成形して利
用することも自由にできる。
また、顆粒、素錠などの医薬中間物などを芯として、こ
れに無水マルトースの約70〜95w/w%水溶液、望ましく
は、水溶性高分子などの結合剤を適量共存させた水溶液
をコーティングし、次いで、β−マルトース含水結晶に
変換し晶出させて糖衣物を製造することも有利に実施で
きる。
また、高水分含水物に無水マルトースを混和、混捏など
の方法で含有させたものは、無水マルトースがβ−マル
トース含水結晶に変換し脱水する際、β−マルトース含
水結晶への変換につれてその体積を膨張する。膨張が著
しい場合には、約1.5〜4.0倍にも達する。このように、
膨張して固化したものは、膨張の少ないものと比較して
硬度が低く、粉末化が容易であり、切削機、粉砕機など
の摩耗も少なく、動力用電力の消費量も大幅に節約でき
る特徴を有している。
また、この膨張現象を利用して、各種形状の脱水食品が
製造できる。例えば、花、鳥、魚、人形など種々の形状
をしたプラスチック製造器などに、無水マルトースを含
有させた高水分含水物を採り、約5〜90時間、室温に放
置し、膨張、固化させることによって、各種形状の脱水
物品が得られる。必要ならば、この膨張を更に促進する
ために、アルコールなどの気化しやすい溶媒、炭酸ガス
などを発生する発泡剤などを無水マルトースとともに含
有させ、わずかに加熱することも、また、β−マルトー
ス含水結晶への変換を促進しその時間を短縮するため
に、蒸気雰囲気にさらすこともできる。
このようにして得られた各種形状の脱水物品は、その形
状を楽しむことのできる医薬品などに有利に利用でき
る。
また、一般に、澱粉は、その膨潤、糊化のために、多量
の水分を必要としている。従って、糊化澱粉は、きわめ
て微生物汚染を受け易い。無水マルトースは、このよう
な糊化澱粉の脱水剤としても有利に利用できる。例え
ば、求肥などの糊化澱粉は、これに無水マルトースを含
有させβ−マルトース含水結晶に変換させることによ
り、実質的に水分が低減され、微生物汚染を防止するこ
とができる。
また、無水マルトースは、糊化澱粉に対して容易、均一
に混和し、老化防止剤としても作用することから、糊化
澱粉を含有する各種加工栄養剤の商品寿命を大幅に延長
することができる。
また、無水マルトースは、アルコールに対し高い親和性
を示す。この性質から、メタノール、エタノール、ブタ
ノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチ
レングリコールなどのアルコール又はアルコール可溶物
などに含まれる水分の脱水剤としても有利に利用でき
る。例えば、薬用酒などのアルコール含有含水物を無水
マルトースで脱水し、生成したβ−マルトース含水結晶
にその有効成分、香気などを保持したマスキット状、粉
末状などの脱水医薬品を有利に製造することができる。
また、沃素などのアルコール溶液を無水マルトースと混
合し、これに水溶性高分子などを含有する水溶液を加え
てβ−マルトース含水結晶に変換せしめることにより、
沃素などの有効成分を安定に保持し、かつ、適度の粘
度、延び、付着性を有するマスキット状の膏薬などを製
造することも有利に実施できる。
また、無水マルトースは、親水性糖質でありながら、意
外に大きな親油性を示す。
この性質から、無水マルトースは、油溶性物質,乳化
物,ラテックスなどに含まれる水分の脱水剤としても有
利に利用できる。
油溶性物質、例えは、大豆油、ナタネ油、芥子油、ゴマ
油、サフラワー油、パーム油、カカオバター、牛脂、豚
脂、鶏脂、魚油、硬化油などの油脂、甘橘類精油、花精
油、スパイス油、ペパーミント油、スペアミント油、コ
ーラナッツエクストラクト、コーヒーエクストラクトな
どの油溶性香辛料、β−カロチン、パプリカ色素、アナ
トー色素、クロロフィルなどの油溶性着色料、肝油、ビ
タミンA、ビタミンB2酪酸エステル、ビタミンE、ビタ
ミンK、ビタミンDなどの油溶性ビタミン、エストロゲ
ン、プロゲストロン、アンドロゲン、プロスタグランジ
ンなどの油溶性ホルモン、リノール酸、リノレン酸、ア
ラキドン酸、エイコサペンエン酸、ドコサヘキサエン酸
などの高度不飽和脂肪酸などに含まれる微量の水分をも
強力に捕捉する脱水剤として有利に利用できる。
無水マルトースにより脱水された油溶性物質は、高品質
であり、加水分解、変敗などの品質劣化を受けにくい特
徴を有する。
また、無水マルトースに含水油溶性物質、乳化物、ラテ
ックスなどを含浸、混合などして無水マルトースをβ−
マルトース含水結晶に変換せしめ、粉末状の栄養剤、粉
末状のビタミン、ホルモンなどの生理活性物質剤などを
製造することも有利に実施できる。
この場合には、無水マルトースは、脱水剤としてのみな
らず、β−マルトース含水結晶に変換されて安定剤、保
持剤、賦形剤、担体などとしても作用する。
また、チョコレート、サンドクリームなどの水分を嫌う
有用性物質含有食品の場合にも、非晶質無水マルトース
は有利に利用される。この場合には、脱水剤としてのみ
ならず、加工適性、口溶け、風味などが良好になること
が利用される。更に、得られた製品が、その高品質を長
期にわたって安定に維持し得る特徴を有している。
以上述べたように、本発明は、無水マルトースが各種含
水物の水分を強力に脱水することを見いだしことによっ
て達成されたものであり、その無水マルトースを脱水剤
として利用することにより、液状乃至ペースト状などの
含水物から、その風味、香気を劣化、揮散させることな
く、水分の低減された高品質の栄養剤や、有効成分、活
性を分解、低下させることなく、水分の低減された高品
質の生理活性物質剤などの医薬品を有利に製造すること
ができる。
また、無水マルトースは、以上述べた特殊な場合だけで
なく、マルトース本来の天然甘味料であり、虫歯誘発、
血中コレステロールの増加などの懸念もなく、更に、上
品な甘味、ボディの付与、照りの付与、粘性、保水性な
どの性質をも有しているので経口使用される栄養剤の製
造に有利に利用できる。
また、無水マルトースは、マルトース本来の代謝利用さ
れる栄養物である。
注射剤などとして非経口的に利用される場合には、グル
コースと比較して2倍濃度で等張となることから、2倍
濃度でカロリー補給ができることとなり、手術時などの
大カロリーを必要とする際の栄養補給剤として好適であ
る。このようにして得られた脱水医薬品は、それに含ま
れる有効成分によって、公知の用法、用量を適宜採用し
て用いればよい。
以下、本発明を実験を用いて詳細に説明する。
実験1.原料マルトースの比較 原料マルトースは、第1表に示した林原株式会社製造の
各種澱粉糖商品を使用した。
商品名 マルスター 、HM-75などのシラップ品の場合
には、そのまま蒸発釜にとり、減圧下で煮つめて水分4.
5w/w%とした。
商品名 サンマルト 、マルトースH、マルトースHH、
マルトースHHHなどのβ−マルトース含水結晶などの粉
末品の場合には、少量の水で、加熱溶解し、次いで蒸発
釜にとり、減圧下で、煮つめて水分4.5w/w%とした。
このようにして得られた水分約4.5w/w%の高濃度シラッ
プを助晶機に移し、これに予じめ、高純度β−マルトー
ス含水結晶(マルトースHHH)を約50w/v%熱メタノール
溶液から晶出採取した結晶性無水α−マルトースを、種
晶として2w/w%加え、120℃で20分間撹拌助晶し、次い
でアルミ製バットに取り出し、90℃で16時間熟成させブ
ロックを調製した。次いで、室温まで冷却し粉砕して粉
末品を得た。また、β−マルトース含水結晶(商品名
マルトースHHH)を参考例5の方法で真空乾燥して結晶
性無水β−マルトースの粉末品を得た。また、β−マル
トース含水結晶(商品名 マルトースHHH)を少量の水
で加熱溶解し、参考例5の方法で真空乾燥して非晶質無
水マルトースの粉末品を得た。これら粉末品を用いて、
C.C.Sweeley et al.、Journal of American Chemical S
ociety、第85巻、第2497〜2507頁(1963年)に記載され
ている方法に準じてガスクロマトグラフィーを行ない、
マルトース中の光学異性体α−マルトースの含量を求
め、また、F.H.Stodola et al.、Journal of American
Chemical Society、第78巻、第2514〜2518頁(1956年)
に記載されている方法に準じてX線回折装置(理学電機
株式会社製造、商品名ガイガーフレックスRAD-IIB、CuK
α線使用)を用いて粉末X線回折を行ない結晶の有無を
調べた。結果は第1表に示す。そのX線回折図形を第1
〜6図に示す。第1図は、α−マルトース含量48w/w%
である非晶質粉末の、第2図はα−マルトース含量55.6
w/w%である結晶性粉末の、第3図はα−マルトース含
量61.4w/w%である結晶性粉末の、第4図はα−マルト
ース含量68.7w/w%である結晶性粉末の、第5図はα−
マルトース含量74.2w/w%である結晶性粉末の、第6図
は結晶性無水β−マルトース粉末のX線回折図形であ
る。
また、非晶質無水マルトースは第1図と同じX線回折図
形を示した。なお、対照実験として、原料のβ−マルト
ース含水結晶(マルトースHHH)粉末のX線回折では、
第7図のX線回折図形が得られた。
第1表の結果から明らかなように、X線回折により新た
な結晶の析出が認められたものは、光学異性体α−マル
トースの含量が55w/w%以上を示し、その原料マルトー
スとしては、マルトース含量が固形物当り85w/w%以上
が必要であることが判明した。
実験2.各種糖類の脱水力の比較 無水ブドウ糖、砂糖、実験1のテストNo.1〜8で調製し
た各種無水糖類、またはテストNo.5の原料のβ−マルト
ース含水結晶を用いて、その粒径約100〜150μの粉末品
とし、直径5cmのプラスチックシャーレにそれぞれ1gず
つ採り、相対湿度70%に調製された25℃の雰囲気に放置
し、経時的にこれら糖類の水分(%)を測定して、脱水
力の強さを比較した。
結果は、第2表に示す。
第2表の結果から明らかなように、固形物当り85w/w%
以上のマルトースを含有した無水マルトースは、その重
量の約5w/w%の水分を捕捉するまで強力な脱水剤として
作用することが判明した。
また、各サンプルのX線回折図形を経時的に調べて比較
したところ、無水ブドウ糖、砂糖、β−マルトース含水
結晶には変化がなかった。しかし、No.3〜8の無水マル
トースについては、水分を捕捉して変化し、約5%の水
分でβ−マルトース含水結晶に変換され、平衡水分に達
して安定化することが判明した。
また、同様にして、実権1のNo.5で調製した無水マルト
ースを相対湿度92%に調湿された25℃の雰囲気に置き、
経時的にその水分(%)を測定したところ、約5%水分
でβ−マルトース含水結晶に変換した後も水分を取り込
み、約18%水分で平衡に達して安定化することが判明し
た。この場合にも粉末状を維持し、濡れたり、流れたり
する現象は見られなかった。
この性質から、無水マルトースは、栄養剤、生理活性物
質剤などの医薬品、その原材料又は加工中間物などの脱
水剤として有利に利用できることが判明した。
実験3.サンドクリームへの各種糖類の利用 各種糖類を用いてサンドクリームを調製し、その脱水作
用を比較した。
各種糖類としては、無水ブドウ糖、砂糖、実験1のテス
トNo.5で調製した結晶性無水α−マルトース、またはそ
の原料のβ−マルトース含水結晶を使用した。
調製方法は、ミキサーにショートニング425gをとり、こ
れに糖類500gを加えて混合し、次いで、予じめ大豆油
(白絞油)25gとカカオバター50gとを混合した溶融液を
加えてホイップしサンドクリームとした。
なお、糖類として、β−マルトース含水結晶を使用した
ものは、混合できず、サンドクリームが製造できなかっ
た。
得られたサンドクリームを相対湿度92%に調湿された29
℃の苛酷な雰囲気に放置し、経時的にその水分(%)を
測定し、サンドクリームの状態を観察した。
結果は、第3表に示す。
第3表の結果から明らかなように、相対湿度92%に調湿
された29℃の苛酷な条件下においても、無水マルトース
を使用したサンドクリームは型くずれせず、使用した無
水マルトースがβ−マルトース含水結晶に変換され、雰
囲気条件と平衡に達して安定化されることが判明した。
この事実から、調製したサンドクリームは、例えば、ク
ッキー、ビスケッなどにはさんで防湿容器などに保存す
ることにより、雰囲気中の水分を捕捉し、脱水して、雰
囲気の相対湿度を低減するだけでなく、サンドクリーム
自身の品質劣化を起こすことなく、長期に安定に維持し
得ることも判明した。
この性質は、油溶性物質を含有する医薬品の製造に有利
に利用できる。
実験4.糊化澱粉に対する糖質の比較 もち粉400gを水600mlで溶いて、木枠に濡れ布きんを敷
いたものに流し込み、これを105℃で10分間蒸して糊化
澱粉とする。
これに、実験1のテストNo.5で調製した結晶性無水α−
マルトース、またはその原料であるβ−マルトース含水
結晶の800gをミキサーで混和し、均一になったら、更に
水飴200gを加え十分に捏ねて成形し、更に40℃の温風で
2時間軽く乾燥して求肥を得た。
本品を25℃の室温に開放して放置したところ、β−マル
トース含水結晶を使用したものは、12日後に黒かびのコ
ロニーの発生を見たが、結晶性無水α−マルトースを使
用したものは、20日後においても微生物の汚染が見られ
なかった。
また、20日後のものを切断して、その断面を観察したと
ころ、結晶性無水α−マルトースを使用したものは、表
層部がやや硬化して結晶が析出しているものの、内部は
製造直後と同様に半透明で、適度な艶、粘度を有してい
た。なお表層部の結晶は、X線回折図形から結晶性無水
α−マルトースがβ−マルトース含水結晶に変換してい
るものであることが判明した。
これに対して、β−マルトース含水結晶を使用したもの
は、表面にかびが発生したばかりか、その断面も全層に
わたって白濁しており、艶もなかった。
この結果、無水マルトースは、糊化澱粉の脱水剤として
作用し、微生物汚染を防止し、更に糊化澱粉の老化を防
止することが判明した。
この性質は、糊化澱粉を含有する医薬品の製造に有利に
利用できる。
以下、無水マルトース粉末の製造方法を参考例で述べ
る。
参考例1 馬鈴薯澱粉1重量部と水10重量部との懸濁液に市販の細
菌液化型α−アミラーゼを加え90℃に加熱糊化し、直ち
に130℃に加熱して酵素反応を止め、DE約0.5の液化液を
得た。この澱粉液化液を55℃まで急冷してシュードモナ
ス・アミロデラモサ(pseudomonas amyloderamosa)ATC
C21262の培養液から調製したイソアミラーゼ(EC 3.2.
1.68)を澱粉瓦当り100単位と、大豆由来のβ−アミラ
ーゼ(EC3.2.1.2)(長瀬産業(株)製、商品名#150
0)を同じく50単位とを加えpH5.0に保って40時間糖化
し、マルトース含量が固形物当り92.5w/w%の高純度マ
ルトース液を得、これを活性炭で脱色し、イオン交換樹
脂で脱塩精製した。本マルトース溶液を濃度75%に濃縮
した後、助晶缶にとり、β−マルトース・モノハイドレ
イト結晶の粉末種晶1%を加え40℃とし、ゆっくり攪拌
しつつ徐冷して、2日間要して30℃まで下げ、バスケッ
ト型遠心機で分蜜し、結晶を少量の水でスプレーし洗浄
して純度99.0%の高純度β−マルトース含水結晶を得
た。
このようにして得られた高純度マルトースを少量の水で
加熱溶解し、次いで蒸発釜にとり、減圧下で煮つめ、水
分5.5w/w%のシラップとした。次いで、助晶機に移し、
これに実験1、テストNo.6の方法で得た結晶性無水α−
マルトースをシラップ固形物当り1w/w%加え、100℃で
5分間攪拌助晶し、次いで、プラスチック製バットに取
り出し、70℃で6時間晶出熟成させてブロックを調製し
た。
次いで、本ブロックを切削機にて粉砕し、流動乾燥し
て、光学異性体α−マルトース含量が73.3w/w%、水分
0.42w/w%の結晶性無水α−マルトース粉末を、原料の
高純度β−マルトース含水結晶に対して約92w/w%の収
率で得た。
本品は、本発明の医薬品、その原材料又は加工中間物な
どの含水物の脱水剤として有利に利用できる。
参考例2 参考例1の方法で調製したマルトース含量が固形物当り
92.5w/w%の高純度マルトース水溶液を、水分20w/w%に
減圧濃縮し、次いで噴霧乾燥塔の上部より高圧ポンプに
てノズルから噴霧し、100℃の熱風にて乾燥しつつ、乾
燥塔底部の移動金網コンベア上で、予じめ、流動させて
いる結晶性無水α−マルトース粉末上に落下せしめ、コ
ンベアの下より70℃の温風を送りつつ、乾燥塔外に徐々
に移動させ、60分を要して取り出した粉末を熟成塔に充
填して70℃の温風を通気しつつ4時間晶出熟成させ、光
学異性体α−マルトース含量が66.2w/w%、水分0.55w/w
%の結晶性無水マルトース粉末を原料の高純度マルトー
スに対して約94%の収率で得た。
本品は、参考例1の方法で得られた無水マルトース粉末
と同様に、各種含水物の脱水剤として有利に利用でき
る。
参考例3 コンスターチ2重量部と水10重量部との懸濁液に、市販
の細菌液化型α−アミラーゼを加え、90℃に加熱糊化し
た後、130℃に加熱して酵素反応を止め、DE約2の液化
液とし、この澱粉液化液を55℃に急冷してシュードモナ
ス・アミロデラモサ(Pseudomonas amyloderamosa)ATC
C21262の培養液から調製したイソアミラーゼ(EC 3.2.
1.68)を澱粉瓦当り120単位と、大豆由来のβ−アミラ
ーゼを同じく30単位とを加え、pH5.0に保って36時間糖
化し、参考例1と同様に精製して、マルトース含量が8
8.6w/w%の高純度マルトース溶液を得、次いで、減圧濃
縮して水分3.5w/w%のシラップとした。
次いで、助晶機に移し、これに参考例2の方法で得た結
晶性無水α−マルトースを、シラップ固形物当り2.5w/w
%加え、120℃で10分間攪拌助晶し、次いで、アルミ製
バットに取り出し、70℃で18時間晶出熟成させ、以後、
参考例1と同様に粉砕、乾燥し、光学異性体α−マルト
ース含量が63.9w/w%、水分0.60w/w%の結晶性無水α−
マルトース粉末を、原料の高純度マルトースに対して約
94%の収率で得た。
本品は、参考例1の方法で得られた無水マルトース粉末
と同様に各種含水物の脱水剤として有利に利用できる。
参考例4 マルトース含有量79.6%の澱粉糖液(林原株式会社製
造、商品名HM-75)を濃度45w/w%水溶液にして原糖液と
した。分画用樹脂は、アルカリ金属型強酸性カチオン交
換樹脂(東京有機化学工業社製造、商品名 XT-1022E、
Na+型)を使用し、内径5.4cmのジャケット付ステンレス
製カラムに水懸濁液状で充填した。この際、樹脂層長5m
のカラム4本に充填し、その液が直列に流れるようにカ
ラム4本を連結して樹脂層全長20mとした。
カラム内温度を55℃に維持しつつ、原糖液を樹脂に対し
て5v/v%加え、これに55℃の温水をSVO.13の流速で流し
て分画し、マルトース高含有画分を採取し、マルトース
含量固形物当り94.4w/w%の高純度マルトース溶液を得
た。
上述の分画処理を20回行って集めた高純度マルトース溶
液を減圧濃縮して水分4.0w/w%のシラップとし、助晶機
に移し、参考例2の方法で得た結晶性無水α−マルトー
スをシラップ固形物当り2.0w/w%を加え、110℃で20分
間攪拌助晶し、次いで、スクリュー型押出し造粒機にか
けて顆粒状粉末とし、乾燥室に移し80℃の熱風で2時間
乾燥させながら晶出熟成させ、光学異性体α−マルトー
ス含量が69.2w/w%、水分0.48w/w%の結晶性無水α−マ
ルトース粉末を、原料の高純度マルトースに対して約93
%の収率で得た。
本品は、参考例1の方法で得られた無水マルトース粉末
と同様に、各種含水物の脱水剤として有利に利用でき
る。
参考例5 参考例1の方法で得たβ−マルトース含水結晶を95℃で
2日間真空乾燥し、水分0.36w/w%の結晶性無水β−マ
ルトース粉末を製造した。
本品は、参考例1の方法で得られた無水マルトース粉末
と同様に、各種含水物の脱水剤として有利に利用でき
る。
参考例6 参考例3の方法で得た高純度マルトース水溶液を水分25
w/w%に減圧濃縮し、次いで、噴霧乾燥塔の上部より高
圧ポンプにてノズルから噴霧して160℃の熱風にて乾燥
し、乾燥塔底部に集め、これを塔外に取り出し、水分0.
40w/w%の粉末を得た。この粉末に対して、種晶とし
て、参考例1の方法で得たβ−マルトース含水結晶を約
0.1w/w%混合して実質的非晶質無水マルトース粉末を製
造した。
本品は、参考例1の方法で得られた無水マルトース粉末
と同様に、各種含水物の脱水剤として有利に利用でき
る。
参考例7 参考例4の方法で得た高純度マルトース水溶液を水分30
w/w%に減圧濃縮し、次いで、参考例6と同様に噴霧乾
燥して水分0.45w/w%の非晶質無水マルトース粉末を製
造した。
本品は、参考例1の方法で得られた無水マルトース粉末
と同様に各種含水物の脱水剤として有利に利用できる。
以下、本発明の実施例、及び優れた効果について述べ
る。
実施例1 そぼろ風求肥 餅粉4kgを水6000mlで溶いて本枠に濡れ布きんを敷いた
ものに流し込み、これを100℃で20分間蒸した後、これ
に参考例7の方法で得た無水マルトース粉末8kgおよび
砂糖1kgを涅り込み、次いで水飴1kgを加えて充分に捏ね
た後に成形し、更に、室内に16時間放置して、本品の表
層部分において無水マルトースをβ−マルトース含水結
晶に変換させ、これを軽くロール掛けして表面をひび割
れさせ、そぼろ風の求肥を得た。
本品は、風味良好で、微生物汚染を受けにくく、高品質
を長時間にわたって維持した。
本品は、消化吸収もよく、病後の栄養補給剤などとして
好適である。
実施例2 粉末卵黄 生卵から調製した卵黄を、プレート式加熱殺菌機で60〜
64℃で殺菌し、得られる液状卵黄1重量部に対して、参
考例6の方法で得られた無水マルトース粉末4重量部の
割合で混合し、バットに移し2日間放置してβ−マルト
ース含水結晶に変換させブロックを調製した。本ブロッ
クを切削機にかけて粉末化し、分級して粉末卵黄を得
た。
本品は、経口流動食、経管流動食などの栄養剤として有
利に利用できる。
また、美肌剤、育毛剤などとしても有利に利用できる。
本品を、流動食用固体製剤の栄養剤として利用する場合
を例示すれば、次の通りである。
参考例1の方法で得られた無水マルトース粉末500重量
部、この実施例2で得られた粉末卵黄270重量部、脱脂
粉乳209重量部、塩化ナトリウム4.4重量部、塩化カリウ
ム1.85重量部、硫酸マグネシウム4重量部、チアミン0.
01重量部、アスコルビン酸ナトリウム0.1重量部、ビタ
ミンEアセテート0.6重量部及びニコチン酸アミド0.04
重量部からなる配合物を調製し、この配合物25gずつを
防湿性ラミネート小袋に充填し、ヒートシールとして流
動食用固体製剤を製造することができた。
この固体製剤は、小袋内雰囲気の水分を低減し、低温貯
蔵の必要もなく、室温下で長期間安定である。
また、水に対する分散、溶解は良好である。
この固体製剤は、1袋分を約150〜300mlの水に溶解して
流動食とし、経口的、または鼻腔、胃、腸などへの経管
的投与により利用される。
実施例3 粉末薬用酒 薬用酒2000mlにプルラン10gを溶解し、これに参考例1
の方法で得た無水マルトース粉末10kgを混合し、以後、
実施例2と同様にブロック化し、粉末化して粉末薬用酒
を得た。
本品は、薬効も充分で携帯に好都合である。
また、本粉末を顆粒成形機、打錠機にかけて成形して利
用することも有利に実施できる。
実施例4 粉末バター バター10kgに参考例2の方法で得られた無水マルトース
粉末20kgをミキサーで混合した後、実施例2と同様にブ
ロック化し、粉末化して粉末バターを得た。
本品は、経口流動食、経管流動食などの治療用栄養剤な
どとして有利に利用できる。
実施例5 粉末クリーム 生クリーム2kgに参考例3の方法で得られた無水マルト
ース粉末8kgを混合した後、実施例2と同様にブロック
化し、粉末化して粉末クリームを得た。
本品は、風味良好な粉末クリームで、経口流動食、経管
流動食などの治療用栄養剤などとして有利に利用でき
る。
また、美肌剤、美毛剤などとしても有利に利用できる。
実施例6 粉末ヨーグルト プレーンヨーグルト2kgに参考例4の方法で得られた無
水マルトース粉末10kgを混合した後、実施例2と同様に
ブロック化し、粉末化して粉末ヨーグルトを得た。
本品は、風味良好であるだけでなく、乳酸菌を生きたま
ま長期に安定化し得る。従って、本品は生菌整腸剤とし
て、また、経口流動食、経管流動食など治療用栄養剤と
して有利に利用できる。
さらに、本粉末を顆粒成形機、打錠機などで成形して乳
酸菌製剤とし、整腸剤などとして利用することも有利に
実施できる。
実施例7 粉末薬用人参エキス 薬用人参エキス500gに参考例6の方法で得られた無水マ
ルトース粉末1.5kgを混捏した後、実施例2と同様にブ
ロック化し、粉末化して粉末薬用人参エキスを得た。
本品を適量のビタミンB1およびビタミンB2粉末とともに
顆粒成形機にかけ、ビタミン含有顆粒状薬用人参エキス
とした。
本品は、疲労回復剤、強壮、強精剤などとして有利に利
用できる。また、育毛剤などとしても利用できる。
実施例8 固体製剤 新生児のハムスターに、ウサギから公知の方法で調製し
た抗血清を注射して、ハムスターの免疫反応を弱めた
後、その皮下にBALL-1細胞を移植し、その後通常の方法
で3週間飼育した。皮下に生じた腫瘤を摘出して細切
し、生理食塩水中で分散させてほぐした。得られた細胞
を血清無添加のRPMI1640培地(pH7.2)で洗浄し、同培
地に約2×106/mlになるよう懸濁し、35℃に保った。
これに部分精製したヒトインターフェロンを200U/mlの
割合で加えて約2時間保った後、更に、センダイウィル
スを約300赤血球凝集価/mlの割合で添加し、20時間保
ってヒトインターフェロンを抗体させた。これを、約4
℃、約1,000gで遠心分離して沈殿物を除去し、得られた
上清を、更に精密濾過し、その濾液を、公知の方法に従
って、抗インターフェロン抗体を固定化している抗体カ
ラムにかけ、非吸着画分を除去した後、その吸着画分を
溶出し、膜濃縮して濃度約0.01w/v%、比活性約1.5×10
8Uの濃縮液をハムスター一匹当りの約4mlの収率で得
た。
参考例5の方法で得られたパイロゲンフリーの無水マル
トース8gずつを100ml溶防湿性プラスチックボトルに採
り、これに先きに得られたインターフェロン濃縮液0.2m
l(約300万U)ずつを入れ、無菌的にゴム栓、キャップ
シールして固体製剤を得た。
本製造方法は、インターフェロン含有液を無水マルトー
ス粉末にたらすだけで脱水されるので、凍結乾燥などの
ための処理、装置、エネルギーなどを必要としないばか
りか、インターフェロンの安定化にも効果的である。
本品は、水に対して易溶であることから、検査用試薬
や、抗ウィルス剤、抗腫瘍剤などとして、皮下、筋肉、
静脈などへの注射剤として有利に利用できる。また、本
品を、内服用剤、口腔用剤などに利用することも有利に
実施できる。
なお、ヒトインターフェロンの活性は、FL細胞を使用す
る公知のプラーク半減法で測定した。赤血球凝集価は、
J.E.Salk、The Journal of Immunology、第49巻、第87
〜98頁(1944年)の方法に準じて測定した。
実施例9 固体製剤 新生児のハムスターに、ウサギから公知の方法で調製し
た抗血清を注射してハムスターの免疫反応を弱めた後、
その皮下に、SV-40ウィルスで処理した培養株化された
ヒト由来の単核細胞を移植し、通常の方法で1週間飼育
した後、BCGの生細胞を腹腔内に107個注入し、更に2週
間飼育した。皮下に生じた約15gの腫瘍を摘出し細切し
た後、トリプシン含有の生理食塩水に懸濁して細胞を分
散分取した。この細胞をヒト血清5v/v%含有するpH7.2
のEagleの最小基本培地で洗浄し37℃に保った同じ組成
の培地に細胞濃度が約5×106/mlになるよう希釈し、
これにE.coli由来のエンドトキシンを約10μg/mlの割合
で加えて16時間保ってツモア・ネクロシス・ファクター
を誘導生成させた。
これを4℃、約1,000gで遠心分離し、沈澱物を除去し、
得られた上清をpH7.2、0.01Mリン酸塩緩衝液を含有する
生理食塩水で21時間透析し、更に精密濾過を濃縮し、凍
結乾燥してツモア・ネクロシス・ファクター活性を含有
する粉末を得た。得られた粉末をG.Bodoの報告(Sympos
ium on Preparation,Standardization and Clinical Us
e of Interferon,11th International Immunobiologica
l Symposium 8 & 9 June 1977,Zagreb,Yugoslavia)に
準じてイオン交換体への吸脱着、ゲル濾過による分子量
分画、濃縮および精密濾過の手段によりインターフェロ
ンを除去し、更に硫安塩析、ConA−セファロースアフィ
ニティークロマトグラフィーにより精製濃縮し、Meth A
肉腫出血性壊死能を有し、かつ正常細胞に何らの悪影響
も及ぼさないことを特徴とする高純度ツモア・ネクロシ
ス・ファクターを含有する濃度約0.01w/v%の濃縮液を
ハムスター一匹当り約30mlを得た。このようにして得ら
れたツモア・ネクロシス・ファクターは、用いた誘導剤
の混入もなく、比活性約3.5×105Uを有する糖蛋白質で
あった。
参考例4の方法で得られたパイロゲンフリーの無水マル
トース50gずつを、600ml容のガラス製ボトルに採り、こ
れに先きに得られたツモア・ネクロシス・ファクター濃
縮液0.5ml(約1.75×103U)ずつを入れ、無菌的にゴム
栓、キャップシールして固体製剤を得た。
本製造方法は、ツモア・ネクロシス・ファクター含有液
が、無水マルトース粉末に脱水されるので、凍結乾燥な
どの処理を必要としないばかりか、ツモア・ネクロシス
・ファクターの安定化にも効果的である。
本品は、水に対して易溶であることから、抗腫瘍剤、栄
養補給剤などとして、点滴などへの注射剤として有利に
利用できる。また、本品を、内服用剤、口腔用剤などに
利用することも有利に実施できる。
なお、ツモア・ネクロシス・ファクターの活性は、E.Pi
ck編、Lymphokines、第2巻、第235〜272頁、「Tumor N
ecrosis Factor」、Academic Press社発行(1981年)に
報告されているツモア・ネクロシス・ファクター感受性
L-929細胞を使用して、一定時間培養後の生残細胞数を
測定する公知の方法を用いた。
実施例10 外傷治療用膏薬 参考例7の方法で得られた無水マルトース500gに、沃素
3gを溶解したメタノール50mlを加えて混合し、更に10w/
w%プルラン水溶液200mlを加えて混合し、室温下で一夜
放置してβ−マルトース含水結晶に変換させ、適度の延
び、付着性を示す外傷治療用膏薬を得た。
本品は、創面に直接塗るか、またはガーゼ、油紙などに
塗るなどして使用することにより、切傷、すり傷、火
傷、水虫による潰瘍などの外傷を治療することができ
る。
また、本品は、沃素による殺菌作用のみならず、マルト
ースによる細胞への栄養補給剤などとしても作用するこ
とから、治癒期間が短縮され、創面もきれいに治る。
(発明の効果) 上記したことから明らかなように、本発明の無水マルト
ースを、栄養剤、生理活性物質剤などの医薬品、その原
材料又は加工中間物などに含有させβ−マルトース含水
結晶に変換せしめて脱水することによる医薬品を製造す
る方法は、加熱乾燥などの苛酷な条件を必要としないの
で、有効成分の分解、活性の低下などの劣化を起こさ
ず、安定で高品質の医薬品を容易に製造することができ
る。
得られた脱水医薬品は、微生物汚染が防止され、加水分
解、酸敗、褐変などの変質、劣化が防止され、その商品
の寿命を長期にわたって安定に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、α−マルトース含量48.0w/w%である非晶質
粉末のX線回折図形を示す。 第2図は、α−マルトース含量55.6w/w%である結晶性
粉末のX線回折図形を示す。 第3図は、α−マルトース含量61.4w/w%である結晶性
粉末のX線回折図形を示す。 第4図は、α−マルトース含量68.7w/w%である結晶性
粉末のX線回折図形を示す。 第5図は、α−マルトース含量74.2w/w%である結晶性
粉末のX線回折図形を示す。 第6図は、結晶性無水α−マルトース粉末のX線回折図
形を示す。 第7図は、β−マルトース含水結晶(マルトースHHH)
粉末のX線回折図形を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 20/22 Z 7202−4G C07H 3/04

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】含水医薬品、その含水原材料および含水加
    工中間物から選ばれる含水物に、結晶性無水β−マルト
    ースおよび非晶質無水マルトースから選ばれる無水マル
    トースを添加し、その無水マルトースに含水物の水分を
    捕捉させて脱水すると共にその無水マルトースをβ−マ
    ルトース含水結晶に変換して、これを含有せしめた脱水
    医薬品。
  2. 【請求項2】無水マルトースが、固形物当り85w/w%以
    上のマルトースを含有する高純度マルトースであること
    を特徴とする特許請求の範囲第(1)項に記載の脱水医薬
    品。
  3. 【請求項3】無水マルトースが、粉末であることを特徴
    とする特許請求の範囲第(1)項又は第(2)項記載の脱水医
    薬品。
  4. 【請求項4】無水マルトースが、水分3w/w%未満である
    ことを特徴とする特許請求の範囲第(1)項、第(2)項又は
    第(3)項記載の脱水医薬品。
  5. 【請求項5】脱水医薬品が、糊化澱粉、アルコール、油
    溶性物質又は生理活性物質を含有していることを特徴と
    する特許請求の範囲第(1)項、第(2)項、第(3)項又は第
    (4)項に記載の脱水医薬品。
  6. 【請求項6】生理活性物質が、リンホカイン、ホルモ
    ン、エキス類であることを特徴とする特許請求の範囲第
    (5)項記載の脱水医薬品。
  7. 【請求項7】脱水医薬品が、経口的又は非経口的に使用
    される医薬品であることを特徴とする特許請求の範囲第
    (1)項、第(2)項、第(3)項、第(4)項、第(5)項又は第(6)
    項記載の脱水医薬品。
  8. 【請求項8】含水医薬品、その含水原材料および含水加
    工中間物から選ばれる含水物に、結晶性無水β−マルト
    ースおよび非晶質無水マルトースから選ばれる無水マル
    トースを添加することにより、その無水マルトースに含
    水物の水分を捕捉させて脱水すると共にその無水マルト
    ースをβ−マルトース含水結晶に変換して、これを含有
    せしめることを特徴とする脱水医薬品の製造方法。
  9. 【請求項9】無水マルトースが、固形物当り85w/w%以
    上のマルトースを含有する高純度マルトースであること
    を特徴とする特許請求の範囲第(8)項記載の脱水医薬品
    の製造方法。
  10. 【請求項10】無水マルトースが、粉末であることを特
    徴とする特許請求の範囲第(8)項又は第(9)項記載の脱水
    医薬品の製造方法。
  11. 【請求項11】無水マルトースが、水分3w/w%未満であ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第(8)項、第(9)項又
    は第(10)項記載の脱水医薬品の製造方法。
  12. 【請求項12】脱水医薬品が、糊化澱粉、アルコール、
    油溶性物質又は生理活性物質を含有していることを特徴
    とする特許請求の範囲第(8)項、第(9)項、第(10)項又は
    第(11)項記載の脱水医薬品の製造方法。
  13. 【請求項13】生理活性物質が、リンホカイン、ホルモ
    ンまたはエキス類であることを特特徴とする特許請求の
    範囲第(12)項記載の脱水医薬品の製造方法。
  14. 【請求項14】脱水医薬品が、経口的又は非経口的に使
    用される医薬品であることを特徴とする特許請求の範囲
    第(8)項、第(9)項、第(10)項、第(11)項、第(12)項又は
    第(13)項記載の脱水医薬品の製造方法。
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