JPH0677977B2 - 制振鋼板及びその製造方法 - Google Patents

制振鋼板及びその製造方法

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JPH0677977B2
JPH0677977B2 JP17043887A JP17043887A JPH0677977B2 JP H0677977 B2 JPH0677977 B2 JP H0677977B2 JP 17043887 A JP17043887 A JP 17043887A JP 17043887 A JP17043887 A JP 17043887A JP H0677977 B2 JPH0677977 B2 JP H0677977B2
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敏範 川野
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車両,船舶,機械等のような振動騒音源とな
る物体の構造部材として使用され、常温ないし常温より
も若干高い温度域で充分な制振効果を有すると共に剪断
強度が高くて優れた加工性を有し、焼付けにも耐える製
造の容易な制振鋼板及びその製造方法に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
従来、上記の如き各種構造部材から発生する振動や騒音
の低減手段として制振鋼板が知られている。この従来の
制振鋼板は、2枚の鋼板間に粘弾性物質をサンドイツチ
した構成を有し(以下、このようにサンドイツチされる
物質を芯材と言うことがある)、それが部材用の材料と
して使用されるときは、振動や衝撃の振動エネルギーを
吸収し更にこれを内部摩擦による熱エネルギーに変換す
る振動吸収能をその材料自身に持たせるようにしたもの
である。このような制振鋼板に使用される粘弾性物質と
しては、一般に酢酸ビニル・エチルアクリレート系,酢
酸ビニル・エチレン系,ポリプロピレン系,ポリアミド
系などの熱可塑性合成樹脂を主体にしたものが主として
用いられてきた。このような芯材の粘弾性は温度によつ
て大きく変化するが、この芯材の温度依存性がそのまま
制振鋼板の温度依存性として表れる。
制振鋼板が使用される環境の温度は広く分布しており、
自動車のエンジン回りやボイラーなどのモーターカバー
のようにかなり高温になる場所もあるが、工場や一般住
宅の建物の床,屋根,壁のように常温ないし常温よりも
若干高い温度(以下、常温付近と言う)の環境が多い。
このような常温付近で使用する制振鋼板としては、その
温度依存性から常温付近を含む広い温度範囲での使用に
適する制振鋼板が無いために、常温付近で最大の制振効
果を発揮する粘弾性物質を芯材とする制振鋼板が従来選
択され使用されてきた。
一般に粘弾性物質の制振効果は損失係数ηで示され、こ
の損失係数ηは温度によつて変化し最大損失係数ηmax
が表れる温度領域(以下、最大損失温度領域と称するこ
とがある)Tmaxは粘弾性物質によつて異なつている。常
温付近で最大の制振効果を発揮する粘弾性物質として
は、常温付近に最大損失温度領域Tmaxのある熱可塑性物
質が使用されるが、このような物質は一般に軟質の材料
である。このように常温付近で使用される従来の制振鋼
板は芯材が軟質の材料であるためその剪断強度は低く、
折曲げやプレス加工時に端部の鋼板間にズレを生じた
り、鋼板間で剥れを生じたりする欠点があつた。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明はこのような従来技術の欠点を解消するため、常
温付近において最大損失係数ηmaxを示ししかも剪断強
度が充分に高くて優れた加工性を有する制振鋼板及びそ
の製造方法を提供することを目的とするものである。
この目的の達成のために、芯材として使用する粘弾性物
質にどのような物質を選び且つどのように使用するかに
ついて検討した。先ず、塩化ビニル樹脂と可塑剤とから
主として成る塩化ビニルゾル塗料から得られる塩化ビニ
ル塗膜は特定の接着剤により鋼板に強固に接着させるこ
とが出来ることに着目すると共に、組成の変化と粘弾性
特性及び剪断強度との関係を検討した結果、可塑剤量を
少なくすることにより塩化ビニル塗膜の剪断強度は充分
に大きくなるが最大損失温度領域Tmaxは常温付近よりも
高温側に以降することが判明した。
そこで更に検討して、常温付近で最大損失係数ηmaxが
表れるようにする目的で、各種ゴムを粉末にしたものや
溶剤等に溶解させた液状のものを塩化ビニルゾルに配合
して粘弾性物質を得て芯材とすることを試みた。その結
果、粉末ゴムを配合することは、最大損失温度領域Tmax
の低温移行には効果がある反面、接着力や焼付け時の耐
熱性の低下を招くばかりでなく塗装作業性,貯蔵安定性
にも問題のあることが判つた。更に、溶剤にゴムを溶解
した液状のものを配合した場合は、溶剤が塩化ビニル樹
脂も溶解して貯蔵安定性が著しく低下することが判つ
た。このように、最大損失温度領域Tmaxの低温移行と接
着力や焼付け時の耐熱性の維持とを両立させる粘弾性物
質を得ることに困難な問題点があつた。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は上記問題点を解決するため、多数の溶質及
び溶媒を試験した結果、ニトリルゴムを可塑剤の1種で
あるジオクチルフタレートに溶解させた液状ゴムを塩化
ビニルゾルに配合して変性することにより、ニトリルゴ
ムの塩化ビニルゾル中での分散が容易であること,得ら
れる変性塩化ビニルゾルは焼付け時の熱に充分耐えるこ
と,接着力は殆んど低下しないこと,しかも得られる粘
弾性物質の最大損失温度領域Tmaxは低温移行して常温付
近で最大の制振効果を発揮することを究明して本発明を
完成した。
すなわち本発明の一つは、 塩化ビニル樹脂100重量部と、 ニトリルゴム3〜10重量部が少なくともその4倍の重
量部のジオクチルフタレートに溶解されているニトリル
ゴム溶液と、 全量40重量部以上から上記ジオクチルフタレートの重
量部を差し引いた重量部の可塑剤と から主として成つていて均一に混練されている組成物か
ら成る粘弾性体層が、その両面に配された2枚の鋼板に
アクリル変性エポキシ樹脂系プライマーから成る接着剤
層に加熱圧着されていることを特徴とする制振鋼板に関
するものである。
本発明の他の一つは、上記制振鋼板を製造する方法に関
するものであつて、2枚の鋼板の各片面に形成されたア
クリル変性エポキシ樹脂系プライマー層の上に、 100重量部の塩化ビニル樹脂と、 ニトリルゴム3〜10重量部が少なくともその4倍の重
量部に焼付け減量分を加えた量のジオクチルフタレート
に溶解されているニトリルゴム溶液と、 全量40重量部以上から上記ジオクチルフタレートの重
量部を差し引いた重量部に焼付け減量分を加えた量の可
塑剤と から主として成る変性塩化ビニルゾル塗料をそれぞれ塗
布し、次いで180℃〜230℃で焼付けして変性塩化ビニル
塗膜を形成させた後、直ちにほぼ焼付け時の温度で該変
性塩化ビニル塗膜同士を接して重ね合わせて圧着するこ
とを特徴とする制振鋼板の製造方法に関するものであ
る。
更に本発明の他の一つは、上記制振鋼板を製造する方法
に関するものであつて、2枚の鋼板の各片面に形成され
たアクリル変性エポキシ樹脂系プライマー層の上に、 100重量部の塩化ビニル樹脂と、 ニトリルゴム3〜10重量部が少なくともその4倍の重
量部に焼付け減量分を加えた量のジオクチルフタレート
に溶解されているニトリルゴム溶液と、 全量40重量部以上から上記ジオクチルフタレートの重
量部を差し引いた重量部に焼付け減量分を加えた量の可
塑剤と から主として成る変性塩化ビニルゾン塗料をそれぞれ塗
布焼付けして、変性塩化ビニル塗膜を形成させた変性塩
化ビニル塗装鋼板を予め造つておき、該変性塩化ビニル
塗装鋼板の2枚をそれぞれ180℃〜230℃に加熱した後、
直ちに該変性塩化ビニル塗装鋼板の変性塩化ビニル塗膜
同士を接して重ね合わせて圧着することを特徴とする制
振鋼板の製造方法に関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明に係る制振鋼板について説明する。
本発明に係る制振鋼板は、次に説明する特定組成の粘弾
性体層がその両側に配された2枚の鋼板にアクリル変性
エポキシ樹脂系ブライマーから成る接着材層に加熱圧着
されている構成を有している。
この粘弾性体層は、 塩化ビニル樹脂100重量部と、 ニトリルゴム3〜10重量部が少なくともその4倍量の
ジオクチルフタレートに溶解されているニトリルゴム溶
液と、 全量40重量部以上から上記オクチルフタレートの重量
部を差し引いた重量部の可塑剤と から主として成つていて均一に混練されている組成物か
ら成つており、厚さは50μm〜250μmが好ましい。
以下、本発明においては、配合割合を示すのに塩化ビニ
ル樹脂を、100重量部としたときの重量部(PHR)を以て
示すこととする。
ニトリルゴムの配合割合を3〜10PHRと限定する理由
は、3PHRに満たない場合には最大損失温度領域Tmaxの低
下に効果が無く、また10PHRを超えると制振性は充分に
発揮するが剪断強度の低下を来すので好ましくないから
である。
また、ニトリルゴムを溶解するジオクチルフタレートの
配合割合をニトリルゴムPHRの少なくとも4倍量とする
理由は、ニトリルゴムはジオクチルフタレートに最大20
%程度しか溶解しないからである。
また、ジオクチルフタレートを含む可塑剤全量の配合割
合を40PHR以上とする理由は、塩化ビニル樹脂を可塑化
するためには上記ニトリルゴムを溶解するジオクチルフ
タレートと合わせた可塑剤全量が40PHR以上は必要であ
るからであり、通常その最大量としては150重量部程度
まで使用可能であるが、50〜100程度に押えることが好
ましい。
本発明で使用する塩化ビニル樹脂は、ペースト用レジン
であれば懸濁重合法又は乳化重合法のいずれによつたも
のでも良く、ペースト用レジンである限りにおいて平均
重合度や平均粒径の制約もないが、中でも平均重合度が
1,200〜10,000で平均粒径が0.05μm〜1μmが好まし
い。
可塑剤としては、塩化ビニル樹脂を膨潤,溶融,ゲル化
させる一次可塑剤、例えばDOP(ジオクチルフタレー
ト),n−DOP,DINP(ジイソノニルフタレート),DIDP
(ジイソデシルフタレート),TOTM(トリオクチルトリ
メリテート),混合アルキルなどがいずれも使用可能で
あり、DOS(ジオクチルアジピネート),DOA(ジオクチ
ルアジピネート),TCP(トリクレジルホスフエート),
エポキシ化大豆油などの二次可塑剤の併用も何ら支障は
ない。
ニトリルゴムとしてはアクリロニトリルの含量が5〜20
重量%のブタジエン−アクリロニトリル共重合系合成ゴ
ムが使用される。
以上の主原材料の他、粘弾性体層に含有されるものに安
定剤や顔料等がある。
安定剤としては、塩化ビニルペースト用の汎用安定剤で
良く、例えばPb,Cd,Ba,Zn系などの金属及び金属石けん
類や有機スズ系,ステアリン酸系,エポキシ樹脂系安定
剤などのいずれも使用出来る。
また顔料は一般に塩化ビニル塗膜に色彩を付与するため
に使用されるが、本発明においては粘弾性体層は2枚の
鋼板間に粘弾性材料として使用されるものであるから、
色彩を付与するための顔料としては特に配合する必要は
ない。しかしながら、無機顔料例えば酸化チタンを配合
した場合は粘弾性体層の剪断強度を向上させる効果があ
るので、このような無機顔料の使用は有効である。
これらの原材料のうち、可塑剤量は制振鋼板に重要な性
質すなわち最大損失温度領域Tmaxと接着力とに大きく影
響する。可塑剤量の著しい増加は最大損失温度領域Tmax
を常温付近にまで低温移行させるが接着力を弱める。本
発明においては接着力を弱める可塑剤量増加を抑えると
共にニトリルゴムを配合することによつて、最大損失温
度領域Tmaxを低温移行させ且つ接着力を殆んど低下させ
ることなく維持しようとするものである。
これらの原材料で構成される粘弾性体層は、2枚の鋼板
間にサンドイツチ状にアクリル変性エポキシ樹脂系プラ
イマー(以下、単に接着剤とのみ言うことがある)から
成る接着剤層により強固に接着されている。このプライ
マーは鋼板と上記粘弾性体層との接着に最適なものを求
めて種々試験した結果、最も好ましいものであつた。こ
の接着剤層の厚さは例えば約5μmが適当であるが、こ
れに拘束されない。
鋼板としては、一般に冷延鋼板,溶融亜鉛めつき鋼板,
電気亜鉛めつき鋼板,溶融アルミめつき鋼板,ステンレ
ス鋼板等が用いられる。
次に本発明に係る製造方法について説明する。先ず、予
め接着剤を塗布,焼付けして接着剤層を形成させた鋼板
のコイルを準備する。このコイルを巻き出して通板し、
接着剤層の上に後記する変性塩化ビニルゾル塗料を所定
量(例えば粘弾性体層の1/2の厚さの塗膜を形成させる
量)となるようにロールコーターで塗布し、焼付炉で鋼
板の表面が180℃〜230℃、好ましくは200℃〜210℃にな
るように加熱して焼付けを行つて変性塩化ビニル塗膜を
形成させて変性塩化ビニル塗装鋼板とした後に、この2
枚の変性塩化ビニル塗装鋼板を直ちにほぼ焼付け時の温
度で変性塩化ビニル塗膜同士を接して重ね合わせてラミ
ネートロールで圧着して変性塩化ビニル塗膜から成る粘
弾性体層を形成させる。圧着が終れば続いて水冷による
冷却装置で冷却した後、絞りロールで水を切り、制振鋼
板を得るのである。
上記の方法によれば制振鋼板を熱効率良く製造できる
が、上記の方法と同様にして変性塩化ビニル塗装鋼板を
得た後に一旦コイル等にしておいて時間が経過してから
改めて加熱炉で鋼板の表面が180℃〜230℃、好ましくは
200℃〜210℃になるように加熱して直ちに変性塩化ビニ
ル塗膜同士を接して重ね合わせてほぼその温度でラミネ
ートロールによる圧着を行つても良い。
このようにして制振鋼板を製造するに際し、2枚の各鋼
板に形成させる塗膜の各厚さは圧着された後の合計厚さ
が粘弾性体層の所定の厚さとなれば良く、圧着前の各膜
厚の比を特に制限する必要はないが、両膜厚が極端に異
なると塗膜中の残留可塑剤量に差を生じて得られる粘弾
性体層の粘弾性にも影響を及ぼすので好ましくは目標合
計膜厚のほぼ1/2づつとするのが良い。
上記製造方法において使用する変性塩化ビニルゾル塗料
は、前記説明の塩化ビニル樹脂,ニトリルゴム,ジオク
チルフタレート,可塑剤,安定剤,顔料等の諸原材料か
ら次のように調製する。先ず、ニトリルゴムを所定量の
ジオクチルフタレートに溶解してニトリルゴム溶液を造
る。次いでこのニトリルゴム溶液と、所定の全可塑剤全
量から上記ジオクチルフタレートの使用量を差し引いた
残量である所定量の可塑剤(所定の全可塑剤全量分のジ
オクチルフタレートでニトリルゴム溶液を造つた場合は
この残量の可塑剤は無い)と、100重量部の塩化ビニル
樹脂と、適量の安定剤,顔料等とを充分に混練して変性
塩化ビニルゾルを調製する。
ここでジオクチルフタレートを含む可塑剤について所定
量とは、これらは焼付け時の揮発減量が一般に6〜10重
量%とされていることから、最終的に得られる粘弾性体
層中の量に焼付け時の上記減量分を加えた量を言う。
変性塩化ビニルゾル塗料の調製時にTXIB(テキサノール
イソブチレート)や灯油等の希釈剤で粘度調整を行つて
も良い。この場合、これら希釈剤は焼付け時にほとんど
揮散し、塩化ビニル塗膜の粘弾性にはほとんど関与しな
い。なお、既成の塩化ビニルゾル塗料を必要に応じて成
分調整してニトリルゴム溶液以外の主要な原材料として
利用することは可能であり、また実施例で示すようにニ
トリルゴム溶液として市販品を利用することも出来る。
〔実施例〕
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細且つ具
体的に説明する。
第1図は実施例,比較例で得られた制振鋼板の粘弾性体
層中の全可塑剤の配合割合(PHR)と最大損失温度領域T
maxとの関係を示す図、第2図は第1図と同じ制振鋼板
の粘弾性体層中の全可塑剤の配合割合と剪断強度との関
係を示す図、第3図は剪断強度測定用試料の形状を示す
斜視図、第4図は90度プレス曲げ状態及び測定用試料の
寸法を示す説明図、第5図は第4図中A部の試料部分の
拡大図である。
各実施例で使用した変性塩化ビニルゾル塗料及び各比較
例で使用した塩化ビニルゾル塗料の諸原材料の配合割合
を一括して第1表に示す。
ニトリルゴム溶液としてはNBR(ニトリルゴム)とDOP
(ジオクチルフタレート)との重量比が1:5(NBR含有量
約16%)の市販品を使用した。変性塩化ビニルゾル塗料
の配合割合は塩化ビニル樹脂100重量部を基準にして安
定剤,希釈剤,顔料をそれぞれ一定量とし、ニトリルゴ
ム溶液の配合割合はその中に溶解されているNBRが実施
例1では3PHR,実施例2では5PHR,実施例3では10PHR,実
施例4では15PHRにそれぞれなるようにし、全可塑剤量
は実施例1〜3では50PHR,実施例4では75PHRになるよ
うに調整した。
比較例1〜5の塩化ビニルゾル塗料はいずれもニトリル
ゴム溶液を使用せず、その配合割合は、比較例1,2,3,4
及び5の順に可塑剤(DOP)量を30,50,70,100及び130の
各PHRとし、このDOPの量の大小に応じて希釈剤を上記と
同じ順に35,25,5,0及び0の各PHRとして塗料粘度の調製
を行つた。
制振鋼板の製造: 塗装前処理を施した板厚0.5mmの冷延鋼板に、予めアク
リル変性エポキシ樹脂系プライマーを塗装焼付けし、こ
の上に第1表に示す配合割合の変性塩化ビニルゾル塗料
(実施例1〜3)又は塩化ビニルゾル塗料(各比較例)
を使用して目標乾燥膜厚のほぼ1/2である50μmの塗膜
を形成せしめた2組の塗装鋼板を各種塗料毎に準備し、
この2組の塗装鋼板を同時に210℃(到達板温)×60秒
の条件で焼付けした後、直ちに変性塩化ビニル塗膜同士
又は塩化ビニル塗膜同士を接して重ね合わせラミネート
ロールで圧着して制振鋼板(実施例1〜3,比較例1〜
5)を製造した。また、塗装前処理を施した板厚0.5mm
の冷延鋼板に、予めアクリル変性エポキシ樹脂系プライ
マーを塗装焼付けし、この上に第1表に示す配合割合の
変性塩化ビニルゾル塗料(実施例4)を使用して目標乾
燥膜厚のほぼ1/2である50μmの塗膜を形成せしめた2
組の塗装鋼板を同時に210℃(到達板温)×60秒の条件
で焼付けした後、一旦コイルに巻き取り、しかる後にこ
の2組の塗装鋼板を同時に210℃の温度に加熱炉で加熱
して直ちに変性塩化ビニル塗膜同士を接して重ね合わせ
セミネートロールで圧着して制振鋼板(実施例4)を製
造した。
このようにして得られた各制振鋼板について、制振特性
として最大損失係数ηmax及び最大損失温度領域Tmax
を、また接着力として剪断強度を、また加工性として90
°プレス曲げ時の端部鋼板間ズレをそれぞれ測定した。
測定方法を下記に示す。最大損失係数ηmax及び最大損
失温度領域Tmax 測定機器:(株)振研製電磁加振器 G24-903S型 試料の形状:幅15mm×長さ180mm 測定条件:100〜200Hzに発生する共振点より損失係数η
を算出することを測定温度を変えながら行い、最大損失
係数ηmaxを示す時の温度を最大損失温度領域Tmaxとす
る。
剪断強度 測定機器:島津製作所製万能引張試験機 試料の形状:第3図に示す如き幅20mm×長さ150mmのタ
ンザク形(接着面:幅20mm×長さ10mm)で引張りは矢印
方向 測定温度:25℃ 90℃プレス曲げ時の端部鋼板間ズレ 測定機器:岩井製作所製15Tセフテイーパワープレス 試料の形状:幅50mm×長さ100mm 曲げ条件:第4図に示す如く測定機器にセツトし矢印方
向に90°プレス曲げを行う。
測定項目:10mmに折り曲げた側の端部に第5図の如く発
生した鋼板間ズレlを測定する。
結果を第2表,第1図及び第2図に示す。
第2表より明らかなように、粘弾性体層中にNBRを含ま
ない比較例のうち、DOP量が50PHRの比較例2の最大損失
係数ηmaxに対し、同量のDOPにNBRを配合した実施例1
〜3はいずれも最大損失係数ηmaxが高くなつており、N
BRを配合することにより制振作用を大きくさせる効果の
あることが判る。NBRの配合量は3PHRでも効果は認めら
れるが、5〜10PHRが効果が顕著に表れて好ましい。ま
た、DOPにNBRを15PHR配合した実施例4では制振性は更
に向上していて好ましいが、第2図に示すように剪断強
度が低下すると共に90°プレス曲げ時のズレも大きくな
つてプレス曲げ加工性が若干劣つたものとなる。
また、第1図から粘弾性体層中のDOP量と最大損失温度
領域Tmaxとの関係について次のことが判る。すなわち、
比較例1〜5では全可塑剤が増量することによつて最大
損失温度領域Tmaxが下がつているのに対し、実施例1〜
3ではDOPは50PHRのままでNBRを配合することにより最
大損失温度領域Tmaxが下がつている。その程度は、NBR
分を10PHR配合した実施例3は、DOP量が120PHRの比較例
5に四敵する。
このように実施例及び比較例において最大損失温度領域
Tmaxの低温移行させるのに前者はNBRの配合により後者
は可塑剤の増量によることの差は、制振鋼板の剪断強度
の低下の有無にはつきり表れる。すなわち第2図で明ら
かなように、常温付近が最大損失温度領域Tmaxである実
施例3と比較例5とでは剪断強度が大きく異なり、DOP
量の少ない実施例3の方が、剪断強度はかなり高い。こ
の剪断強度の差は加工性によく表れており、第2図に示
す如く各実施例は過酷な90度プレス曲げ時においてもい
ずれも鋼板端部でズレがみられず優れた加工性を示して
いる。
〔効果〕
以上詳述した如く本発明に係る制振鋼板は、常温付近で
最大の制振効果を発揮させるために塩化ビニル樹脂とDO
Pを含む可塑剤とから主として成る粘弾性体層中にニト
リルゴムをDOPに溶解した状態で均一に含有させること
により、可塑剤を増量して対処する場合に比較し、接着
力を弱めることなく従つて加工性を低下させることがな
く、且つ充分な制振効果を有しており、また焼付け時の
熱にも耐えて製造は容易である。
また、本発明に係る制振鋼板の製造方法は、上記効果を
有する制振鋼板を容易に製造できる方法であり、かかる
本発明の工業的価値は非常に大きなものがある。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例,比較例で得られた制振鋼板の粘弾性体
層中の全可塑剤の配合割合(PHR)と最大損失温度領域T
maxとの関係を示す図、第2図は第1図と同じ制振鋼板
の粘弾性体層中の全可塑剤の配合割合と剪断強度との関
係を示す図、第3図は剪断強度測定用試料の形状を示す
斜視図、第4図は90度プレス曲げ状態及び測定用試料の
寸法を示す説明図、第5図は第4図中A部の試料部分の
拡大図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル樹脂100重量部と、 ニトリルゴム3〜10重量部が少なくともその4倍の重
    量部のジオクチルフタレートに溶解されているニトリル
    ゴム溶液と、 全量40重量部以上から上記ジオクチルフタレートの重
    量部を差し引いた重量部の可塑剤と から主として成つていて均一に混練されている組成物か
    ら成る粘弾性体層が、その両面に配された2枚の鋼板に
    アクリル変性エポキシ樹脂系プライマーから成る接着剤
    層に加熱圧着されていることを特徴とする制振鋼板。
  2. 【請求項2】粘弾性体層の厚さが50μm〜250μmであ
    る特許請求の範囲第1項に記載の制振鋼板。
  3. 【請求項3】2枚の鋼板の各片面に形成されたアクリル
    変性エポキシ樹脂系プライマー層の上に、 100重量部の塩化ビニル樹脂と、 ニトリルゴム3〜10重量部が少なくともその4倍の重
    量部に焼付け減量分を加えた量のジオクチルフタレート
    に溶解されているニトリルゴム溶液と、 全量40重量部以上から上記ジオクチルフタレートの重
    量部を差し引いた重量部に焼付け減量分を加えた量の可
    塑剤と から主として成る変性塩化ビニルゾル塗料をそれぞれ塗
    布し、次いで180℃〜230℃で焼付けして変性塩化ビニル
    塗膜を形成させた後、直ちにほぼ焼付け時の温度で該変
    性塩化ビニル塗膜同士を接して重ね合わせて圧着するこ
    とを特徴とする制振鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】2枚の鋼板の各片面に形成されたアクリル
    変性エポキシ樹脂系プライマー層の上に、 100重量部の塩化ビニル樹脂と、 ニトリルゴム3〜10重量部が少なくともその4倍の重
    量部に焼付け減量分を加えた量のジオクチルフタレート
    に溶解されているニトリルゴム溶液と、 全量40重量部以上から上記ジオクチルフタレートの重
    量部を差し引いた重量部に焼付け減量分を加えた量の可
    塑剤と から主として成る変性塩化ビニルゾル塗料をそれぞれ塗
    布焼付けして変性塩化ビニル塗膜を形成させた変性塩化
    ビニル塗装鋼板を予め造つておき、該変性塩化ビニル塗
    装鋼板の2枚をそれぞれ180℃〜230℃に加熱した後、直
    ちに該変性塩化ビニル塗装鋼板の変性塩化ビニル塗膜同
    士を接して重ね合わせて圧着することを特徴とする制振
    鋼板の製造方法。
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