JPH067795B2 - プロテア−ゼの製造法 - Google Patents

プロテア−ゼの製造法

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JPH067795B2
JPH067795B2 JP8302187A JP8302187A JPH067795B2 JP H067795 B2 JPH067795 B2 JP H067795B2 JP 8302187 A JP8302187 A JP 8302187A JP 8302187 A JP8302187 A JP 8302187A JP H067795 B2 JPH067795 B2 JP H067795B2
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晴通 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、プロテアーゼ生産能を有する糸状菌を培養し
て高力価のプロテアーゼを効率良く製造する方法に関す
る。
〔従来の技術〕
糸状菌を液体培養してプロテアーゼ製造するに際し、植
物油及びショ糖脂肪酸エステルを加えた培地に麹菌を接
種、培養し、プロテアーゼを得る方法が提案されている
〔例えば特公昭56-42906号公報等〕。
〔発明が解決しようとする問題点〕
これらの従来法に於いては、植物油の添加量の増加に伴
ない、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤を併用しな
い場合には培地中への酸素の供給が著しく妨げられる
為、得られるプロテアーゼの内、菌体外のプロテアーゼ
の活性低下によりプロテアーゼの総力価の増大はほとん
ど認められないと言う弱点がある。
〔問題点を解決するための手段〕 本発明者等は上記従来法の問題点を解消すべく鋭意検討
を重ねた結果、液体培地に添加する炭素源の一種として
醤油油を用い、しかも、その添加濃度を前記液体培地中
において0.3(W/V)%以上として培養する場合には、上記
従来法において必要とされた界面活性材の併用なしに、
菌体内及び菌体外等のプロテアーゼの種別を問わず、何
れのプロテアーゼ活性をも著しく上昇させ得ることを知
り、本発明を完成した。
即ち、本発明はプロテアーゼ生産能を有する糸状菌を液
体培地で培養してプロテアーゼを製造するに際し、前記
液体培地に炭素源として醤油油を0.3(W/V)%以上の濃度
となるように加えて培養し生成されたプロテアーゼを採
取することを特徴とするプロテアーゼの製造法である。
先ず、本発明において用いられる微生物は、アスペルギ
ルス属、ペニシリウム属、ムコール属、またはリゾプス
属等に属するプロテアーゼ生産能を有する糸状菌であ
り、具体的にはアスペルギルス・ソーヤ(IAM 270
3)、アスペルギルス・ソーヤ(IAM 2631)、アス
ペルギルス・オリゼー(IAM 2609)、アスペルギル
ス・オリゼー(IFO 4176)、アスペルギルス・タマ
リ(IAM 2156)、ペニシリウム・クリソゲナム(H
UT 4019)、ペニシリウム・ルテウム(AHU 802
2)、ムコール・ラセモサス(AHU 6002)、ムコー
ル・ヒエマリス(HUT 1131)、リゾープス・フォル
モサエンシス(IFO 4732)、リゾープス・ジャバニ
カス(IFO 5441)などが挙げられる。
本発明に用いられるプロテアーゼ産生能を有する糸状菌
は雑菌汚染防止の観点から耐塩性を有するものであるこ
とが望ましい(耐塩性の目安としては食塩5%以上、好
ましくは食塩10%以上である)。
本発明に使用する培地としては、従来プロテアーゼ生産
能を有する糸状菌の液体培養法に於いて用いられる液体
培地であれば何れを用いても良い。即ち炭素源としては
グルコース、可溶性澱粉、シュクロース、デキストリ
ン、セルロース、グリセリン、▲麩▼等、窒素源として
は例えば脱脂大豆、大豆粉、ペプトン、肉エキス、ヌ
カ、カゼイン、ポリペプトン、グルテン等、無機塩とし
ては、例えば各種リン酸塩、硫酸塩、塩酸塩等が用いら
れ、必要によりビタミン類、核酸等を適宜加えた液体培
地が用いられる。
本発明に於いては、前記液体培地に、炭素源として前記
通常用いられるもの以外に、醤油油を0.3(W/V)%以上、
好ましくは0.5〜5.0(W/V)%の範囲〔何れも液体培地中
の濃度〕となるように加える。
なお、本発明に於いて炭素源として液体培地に添加する
醤油油は、植物油に比し著しく低粘度で酸素溶解性も秀
れているため、植物油脂の場合と異なり、その添加によ
り培地中への酸素の供給がほとんど妨げられることなく
培養が保持され、得られるプロテアーゼの種別を問わ
ず、プロテアーゼの総力価を著しく上昇させることが出
来るものである。
上記プロテアーゼ活性を増大させる為に加える醤油油
は、如何なる醤油醸造方式により得られるものであって
も使用することが出来、その成分は主として大豆に由来
する脂肪酸のエチルエステルより成り、これに遊離脂肪
酸、ステロイド、サポニン類及び醸造中に麹菌、酵母、
乳酸菌等の微生物により生産された脂質成分を含有する
ものである。
本発明に於いて、上記醤油油を液体培地に添加する時期
としては、該培地の調製時ないし培養途中の何れの時期
でも良く、又培養法としては通常の連続培養法、流加培
養法もしくは回分培養法の何れを用いても良いが、特に
連続培養法を利用すれば、培養効率を向上させる上で有
効である。
又、前記プロテアーゼ生産能を有する糸状菌の液体培養
条件としては、使用する菌株、培地組成等に多少異なる
が、通常培養温度は25〜40℃、培地のpHは6〜8程度、
通気量は0.1〜2V.V.M.程度である。
上記のようにして得られる培養終了液よりプロテアーゼ
を回収する手段としては、例えば常法により培養液を濾
過して菌体を除去し、必要により透析、塩析、イオン交
換樹脂、ゲル濾過等により精製する方法等が挙げられ
る。
〔発明の効果〕
本発明によれば、プロテアーゼの種別を問わず、著しく
高力価のプロテアーゼを効率良く得ることが出来るの
で、本発明は産業上極めて有意義である。
〔実施例〕
実施例I 3容ジャーファメンターに、2.5%(W/V)大豆粉、
0.8%(W/V)丸大豆を原料とする通常の濃口醤油醸造
法により得られる醤油油、0.5%(W/V)KH2PO4、0.05%
(W/V)MgSO4、0.03%(W/V)酵母エキス及び10%(W/V)食塩
を含有する液体培地(pH7.0)を120℃で10分間加熱殺
菌したもの2を入れ該培地に、マルトエキス斜面培養
培地より採取したアスペルギルス・ソーヤIAM 2703
の胞子懸濁液を接種(胞子数:1.0×106/mし、30
℃、通気量1V.V.M.、撹拌数500r.p.m.で培養を開始し
た。なお、培養途中のpHは、5NのH2SO4及び5NのNaO
Hを用いて常時7.0に保持される様に調整を行なった。
培養開始後、48時間経過した時点(増殖末期)より、該
培養液に、液体培地〔1.0%(W/V)分離大豆蛋白、0.5%
(W/V)KH2PO4、1.2%(W/V)醤油油(前述)、0.05%(W/V)
MgSO4、0.03%(W/V)酵母エキス、10%食塩を含有する液
体培地(pH7.0)を、120℃で10分間加熱殺菌したもの〕
を希釈率0.02(V/V・hr)で連続的に添加しつつ、温度30
℃、培養液のpH7.0、通気量1V.V.M.、撹拌数400〜600r.
p.mで培養し、該ジャーファメンターの取付口より、連
続的に添加した液体培地量と同容量のプロテアーゼ含有
培養液を連続的に得た。
採取した培養液中のプロテアーゼ力価(P.U./m)を
アンソン−萩原変法により測定した。
なお、アミノペプチダーゼ力価(U/m)は、中台等の
方法(醤研Vol.11,No.2,67,1985)により測定した。
このようにして得られた培養液のプロテアーゼ力価を第
1表に示す。
実施例2 3容ジャーファメンターに、1.0%(W/V)大豆粉、0.6%
(W/V)脱脂大豆を原料とする通常の濃口醤油醸造法によ
り得られる醤油油、0.5%(W/V)澱粉、0.5%(W/V)KH2P
O4、0.05%(W/V)MgSO4、0.03%(W/V)酵母エキス及び10%
(W/V)食塩を含有する液体培地(pH7.0)を120℃で10分
間加熱殺菌したもの2を入れ、該培地に、マルトエキ
ス斜面培養培地より採取したアスペルギルス・オリゼー
IAM 2609の胞子懸濁液を接種(胞子数:1.0×106
m)し、30℃、通気量1V.V.M.、撹拌数500r.p.m.で培
養を開始し、5日間培養を行なった。なお、培養途中の
pHは、5NのH2SO4及び5NのNaOHを用いて常時6.5
に保持される様に調整を行なった。
得られた培養液中のプロテアーゼ力価は800P.U./m)
であった。又、アミノペプチダーゼ力価は6.6U/mで
あった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 晴通 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 (72)発明者 深瀬 哲朗 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗田 工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロテアーゼ生産能を有する糸状菌を液体
    培地で培養してプロテアーゼを製造するに際し、前記液
    体培地に炭素源として醤油油を0.3(W/V)%以上の濃度と
    なるように加えて培養し生成されたプロテアーゼを採取
    することを特徴とするプロテアーゼの製造法。
  2. 【請求項2】培養を連続培養法で行なうことを特徴とす
    る特許請求の範囲第(1)項記載のプロテアーゼの製造
    法。
  3. 【請求項3】液体培地に醤油油を0.5〜5.0(W/V)%とな
    るように加えることを特徴とするである特許請求の範囲
    第(1)項記載のプロテアーゼの製造法
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