JPH0677709U - 乳牛の乳房炎治療剤注入補助具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 乳房炎治療剤注入容器の乳頭内挿入用カニュ
ーレに装着することにより、カニューレの挿入深さを正
確に調整し得る乳牛の乳房炎治療剤注入補助具を提供す
る。 【構成】 注入容器８の乳頭内挿入用カニューレ９に外
嵌装着可能で且つ該カニューレ９の長さより短い寸法と
した筒体１０ａの一端に鍔部１０ｂを形成して乳房炎治
療剤注入補助具１０を構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、乳牛の乳房炎治療剤注入補助具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、乳牛の乳房炎は酪農分野において最も被害の大きい病気として知ら れており、乳牛が乳房炎に罹患した場合には、抗生物質等の治療剤を乳房内に注 入する治療が行われている。

【０００３】 図８は前記治療剤を乳房内に注入する治療状態を示すもので、図中１は乳牛の 乳頭、２は乳頭管、３は乳頭槽を示し、注入容器４の乳頭内注入用カニューレ５ を前記乳頭管２内に乳頭１先端から約２２ｍｍの深さまで挿入して治療剤６を乳 頭槽３内に注入するようにしている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、図示の如くカニューレ５を深く挿入して治療剤６の注入を行う 治療は、必ずしも乳頭１の防御機構に適合しておらず、かえって悪影響を及ぼし かねない場合があることが最近の研究で報告されている。

【０００５】 即ち、乳房炎を引き起こす細菌７は乳牛の乳頭管２から侵入するが、乳頭管２ の内壁には抗箘性の塩基性蛋白や脂肪酸からなるケラチンというワックス状の殺 菌力のある物質（図示せず）があり、乳頭管２に侵入した細菌を吸着して、細菌 感染を防御するようになっており、更に前記ケラチンは乳頭１の括約筋とともに 乳頭管２を閉じる役割を担っている。

【０００６】 ところが、ケラチンは全ての細菌に殺菌効果があるわけではなく、乳頭管２の 長さの平均が１ｃｍ前後であることを考慮すると、カニューレ５を乳頭管２内に 深く挿入した場合に、乳頭管２内で細菌７を吸着したケラチンを前記カニューレ ５により乳頭槽３内に押し込むことになって新たな感染を引き起こす虞れがあり 、また、乳頭管２内壁のケラチンを剥離させると共に乳頭管２全域を押し広げる ことになって細菌７の乳頭槽３への侵入を容易にしてしまう虞れもある。

【０００７】 この為、最近ではカニューレ５を乳頭槽３まで到達しない約４ｍｍ程度の浅い 位置に挿入して治療剤６を乳頭管２の中央部分付近から注入し、治療剤６が乳頭 管２中にも残るようにして乳頭管２を保護し、新たな感染を低減することが提案 されているが、カニューレ５を挿入する深さを目分量で決めていたのでは不正確 であり、乳房炎治療効果も期待できない。

【０００８】 本考案は、上述の実情に鑑みてなしたもので、乳房炎治療剤注入容器の乳頭内 挿入用カニューレに装着することにより、カニューレの挿入深さを正確に調整し 得る乳牛の乳房炎治療剤注入補助具を提供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、乳房炎治療剤注入容器の乳頭内挿入用カニューレに外嵌装着可能で 且つ該カニューレの長さより短い寸法とした筒体からなることを特徴とする乳牛 の乳房炎治療剤注入補助具、及び前記筒体の一端に鍔部を形成したことを特徴と する乳牛の乳房炎治療剤注入補助具、に係るものである。

【００１０】

【作用】

従って本考案では、乳牛の乳房炎治療の為に治療剤を乳頭管内に注入する場合 に、カニューレに乳房炎治療剤注入補助具を外嵌装着しておくことにより、該乳 房炎治療剤注入補助具からカニューレの先端部を所要長さ突出させておき、斯か る状態でカニューレの先端部を乳頭管に挿入すると、カニューレの挿入は前記乳 房炎治療剤注入補助具により乳頭槽まで到達しない浅い位置に正確に留り、この 浅い位置で治療剤の注入を行うことが可能となる。

【００１１】 ここで、筒体の一端に鍔部を形成した構成を採用すれば、該鍔部が確実に乳頭 先端に係止されるので、カニューレの挿入を更に確実に浅い位置に留めることが 可能となる。

【００１２】 また、乳頭に損傷を持つ乳牛や治療中にすぐ動いてしまうような神経質な乳牛 等の場合には、カニューレを浅く挿入しただけで治療剤の注入を行うことが困難 である為、乳房炎治療剤注入補助具をカニューレから抜脱して治療を行えば良い 。

【００１３】

【実施例】

以下本考案の実施例を図面を参照しつつ説明する。

【００１４】 図１〜図４は本考案の一実施例を示すもので、図中図８と同一の符号を付した 部分は同一物を表わしている。

【００１５】 図中８はチューブ形式の注入容器、９は該注入容器８の治療剤吐出口８ａに装 着された乳頭内挿入用カニューレ、１０は該カニューレ９に外嵌装着可能で且つ 該カニューレ９の長さ寸法より所要長さ短い長さ寸法とした筒体１０ａの一端に 鍔部１０ｂを形成してなる乳房炎治療剤注入補助具である。

【００１６】 而して、乳牛の乳房炎治療の為に治療剤６を乳頭管２内に注入する場合には、 図１に示す如く鍔部１０ｂをカニューレ９の先端側に向けた状態で該カニューレ ９に乳房炎治療剤注入補助具１０を外嵌装着しておくことにより、該乳房炎治療 剤注入補助具１０の鍔部１０ｂ側からカニューレ９の先端部を約４ｍｍ程度突出 させておき、斯かる状態で図４に示す如くカニューレ９の先端部を乳頭管２に挿 入すると、カニューレ９の挿入は前記乳房炎治療剤注入補助具１０の鍔部１０ｂ が乳頭１の先端に確実に係止されることにより乳頭槽３まで到達しない約４ｍｍ 程度の浅い位置に正確に留り、この浅い位置で治療剤６の注入を行うことが可能 となる。

【００１７】 また、乳頭１に損傷を持つ乳牛や治療剤中にすぐ動いてしまうような神経質な 乳牛等の場合には、カニューレ９を浅く挿入しただけで治療剤６の注入を行うこ とが困難である為、乳房炎治療剤注入補助具１０をカニューレ９から抜脱して治 療を行えば良い。

【００１８】 従って上記実施例によれば、カニューレ９に乳房炎治療剤注入補助具１０を外 嵌装着することによりカニューレ９の挿入深さを正確に調整することができるの で、治療剤６の注入を乳頭槽３まで到達しない浅い位置から確実に行うことがで き、これによって、乳頭管２内で増殖した細菌７が乳頭槽３内に押し込まれる不 具合や、乳頭管２全域が押し広げられて細菌７の乳頭槽３への侵入を容易にして しまう不具合等を確実に防止することができ、しかも治療剤６を確実に乳頭管２ 中に残して乳頭管２を保護することができるので、乳房炎治療効果を大幅に向上 することができる。

【００１９】 尚、本考案の乳牛の乳房炎治療剤注入補助具は、上述の実施例にのみ限定され るものではなく、図５及び図６に示す如く鍔部のない筒体１０ａ’自体で構成し ても良いこと、また、図７に示す如く注射筒形式の注入容器８’のカニューレ９ ’にも採用できること、その他、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々 変更を加え得ることは勿論である。

【００２０】

【考案の効果】

上記した本考案の乳牛の乳房炎治療剤注入補助具によれば、下記の如き種々の 優れた効果を奏し得る。

【００２１】 （Ｉ）カニューレの挿入深さを正確に調整することができるので、治療剤の注 入を乳頭槽まで到達しない浅い位置から確実に行うことができ、これによって、 乳頭管内で増殖した細菌が乳頭槽内に押し込まれる不具合や、乳頭管全域が押し 広げられて細菌の乳頭槽への侵入を容易にしてしまう不具合等を確実に防止する ことができ、しかも治療剤を確実に乳頭管中にも残るようにして乳頭管を保護す ることができるので、乳房炎治療効果を大幅に向上することができる。

【００２２】 （ＩＩ）筒体の一端に鍔部を形成した構成を採用すれば、該鍔部が確実に乳頭 先端に係止されるので、カニューレの挿入を更に確実に浅い位置に留めることが できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す側面図である。

【図２】図１の乳房炎治療剤注入補助具の断面図であ
る。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ方向の矢視図である。

【図４】本考案の一実施例による治療状態を示す断面図
である。

【図５】本考案の他の実施例を示す断面図である。

【図６】図５のＶＩ−ＶＩ方向の矢視図である。

【図７】注入容器の他の例を示す側面図である。

【図８】従来例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 乳頭 ４ 注入容器 ６ 治療剤 ８ 注入容器 ８’ 注入容器 ９ カニューレ ９’ カニューレ １０ 乳房炎治療剤注入補助具 １０ａ 筒体 １０ａ 筒体 １０ｂ 鍔部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 乳房炎治療剤注入容器の乳頭内挿入用カ
   ニューレに外嵌装着可能で且つ該カニューレの長さより
   短い寸法とした筒体からなることを特徴とする乳牛の乳
   房炎治療剤注入補助具。
2. 【請求項２】 筒体の一端に鍔部を形成したことを特徴
   とする請求項１に記載の乳牛の乳房炎治療剤注入補助
   具。