JPH0676320B2 - クロニジン経皮投与マトリツクス - Google Patents

クロニジン経皮投与マトリツクス

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JPH0676320B2
JPH0676320B2 JP3346187A JP3346187A JPH0676320B2 JP H0676320 B2 JPH0676320 B2 JP H0676320B2 JP 3346187 A JP3346187 A JP 3346187A JP 3346187 A JP3346187 A JP 3346187A JP H0676320 B2 JPH0676320 B2 JP H0676320B2
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宗彦 平野
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、クロニジンを持続的に放出するのに好適なク
ロニジン経皮投与マトリックスに関するものである。
[従来技術] 経皮吸収性の全身性薬物であるクロニジンを経皮より投
与しようとする試みが種々なされている。例えば特開昭
54-20129号公報および特開昭57-150614号公報に開示の
経皮投与治療剤(降圧性治療剤)は、薬物貯蔵層より皮
膚と接触する感圧粘着剤層を通じて、場合によっては薬
物透過制御膜を介し制御されたクロニジンの放出を行お
うとする試みである。また、特開昭56-36413号公報にお
いては、経皮製剤中での薬物濃度を変化させ、所定のク
ロニジンの放出を得ようとするものである。さらに特公
昭59-6286号公報、特開昭58-208216号公報においては、
吸収促進剤を併用してクロニジンの吸収を高めようとす
るものなどである。
[発明が解決しようとする問題点] 上記のように各種検討が行われているクロニジン経皮投
与製剤は、1つには複雑な構造のため、その製造に特殊
な工程を必要とし、製造設備が高くなる。他の面では含
有された活性物質は限られた割合しか利用されず生物学
的利用率が低い。さらに経皮吸収促進剤等の添加は、経
日に投与するという面から皮膚刺激の点で問題がある。
以上の問題点に鑑み、本発明者らは 1)シンプルな構造 2)生物学的利用率の向上 3)皮膚刺激の低減 を図ったクロニジン経皮投与マトリックスを提供するこ
とを目的とし、鋭意検討を続けた結果、本発明の完成に
至ったものである。
[問題点を解決するための手段] すなわち本発明のクロニジン経皮投与マトリックスは、 1)マトリックスのベースとして(A−B)nXまたは
(A−B)n−A型弾性重合体[式中、Aは実質的にモ
ノビニル置換芳香族化合物重合体ブロック、Bは実質的
に共役ジオレフィン共重合体ブロック、nは3〜7の整
数、Xはn個の重合体鎖(A−B)が結合している多官
能化合物から誘導された残基を表す]、 2)吸水性高分子、 3)天然ガム質、 4)高級脂肪酸エステル、 を必須成分として含有するものである。
本発明に用いられるクロニジンとは、一般名2,6−ジク
ロロ−N−2−イミダゾリジニリデンベンゼンアミンで
あり、下記の構造式によって示される。
このクロニジンの含有量は、クロニジン経皮投与マトリ
ックス中に1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%、さ
らに好ましくは5〜12重量%である。
本発明において、マトリックスベースとして用いられる
(A−B)nXまたは(A−B)n−A型弾性重合体は、
具体的には市販品として容易に入手できるシェル化学製
のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体
(カリフレックスTR−1101)、スチレン−イソプレン−
スチレンブロック共重合体(カリフレックスTR−1107、
カリフレックスTR−1111)等、フィリップペトロリアム
社製のソルプレン418等が挙げられるが、特にスチレン
−イソプレン−スチレンブロック共重合体が好適に用い
られる。このような、(A−B)nXまたは(A−B)n
−A型弾性重合体をマトリックスベースとして用いるこ
とによって、クロニジンの放出、生物学的利用率の大幅
な向上が図れる。
本発明に用いられる吸水性高分子は、自重の10倍以上の
水を吸水しゲル化膨潤するものであって、例えば水溶性
ポリマーに軽度な架橋結合を導入したものが用いられ、
具体的には(株)三洋化成製サンウエット(IM−300、I
M−300MPS、IM−1000、IM−1000MPS等)、(株)製鉄化
学製のアクキープ(4S、4SH等)、(株)住友化学製ス
ミカゲル(SP−520、SP−540、N−100、NP−1020、NP
−1040等)、(株)荒川化学製のアラソーブ(800、800
F等)が用いられる。
天然ガム質は、天然にある特殊な植物から分泌される樹
脂で、例えばアラビアガム、トラガカントガム、グアガ
ム、カラヤガム、ベンゾインガム等が用いられ、カラヤ
ガム、グラガム等が特に好ましく用いられる。
高級脂肪酸エステルは、酸とアルコールから脱水して生
成した化合物であり、好ましくは飽和脂肪酸エステルで
あり、更に好ましくは直鎖脂肪酸エステルであり、例え
ばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピ
ル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリス
チン酸ミリスチル等である。
これら、吸水性高分子、天然ガム質、高級脂肪酸エステ
ルを必須成分とする基剤成分を用いることによって、貼
付時の発汗時によるムレ、薬物の刺激等による発赤、気
触れの大幅な低減が図れる。
本発明のクロニジン経皮投与マトリックス中、(A−
B)nXまたは(A−B)n−A型弾性重合体、吸水性高
分子、天然ガム質、高級脂肪酸エステルの好ましい含有
量は以下の通りである。
すなわち、(A−B)nXまたは(A−B)n−A型弾性
重合体、吸水性高分子、天然ガム質、高級脂肪酸からな
る必須成分の含有量の総量は、マトリックス中、20〜99
重量%、さらに好ましくは30〜60重量%である。さらに
各々の成分の含有量は、マトリックス中、(A−B)nX
または(A−B)n−A型弾性重合体5〜20重量%、さ
らに好ましくは8〜10重量%、吸水高分子1〜7重量
%、さらに好ましくは2〜5重量%、天然ガム質0.5〜
5重量%、さらに好ましくは1〜3重量%、高級脂肪酸
エステル0.1〜4重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量
%であり、この範囲の組み合せが最も本発明の効果を現
す。
本発明のクロニジン経皮投与マトリックスには、上記必
須成分に加えて、従来公知の酸化防止剤、流動パラフィ
ン等の軟化剤、粘着付与剤、老化防止剤、無機充填剤等
の配合剤が適宜適量含有される。
また、本発明のマトリックスの支持体としては、例えば
従来公知の各種プラスチックフィルム、不織布、アルミ
ニウムを積層した多層フィルム等が用いられる。
次に、本発明のクロニジン経皮投与マトリックスの製造
方法について説明する。
まず、ヘキサン、ヘプタン、塩化メチレン、クロロホル
ム等の溶剤に基剤成分と薬物(クロニジン)を溶解し、
適当な支持体に途工乾燥後、ライナーで覆い所望の形状
に切断製品となすか、あるいは一旦剥離処理の施された
フィルムに途工後、乾燥させ適当な支持体に転写圧着製
品となすこともできる。
このようにして得られた本発明のクロニジン経皮投与マ
トリックスは、含有薬物であるクロニジンの放出を高
め、生物学的利用率を向上させると共に、連続投与、長
期投与においての皮膚刺激を大幅に軽減せしむるという
効果を有する。さらに、シンプルなマトリックス構造で
あるため、複雑な製造工程が必要なく、バイオアベイラ
ビティの再現性にも非常に優れているものである。
[実施例] 以下、実施例、試験例等を挙げて本発明をより詳細に説
明する。なお、実施例、比較例、参考例中、“部”とあ
るのはすべて重量部を意味する。
実施例1 スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体22.1
4部 (商品名 カリフレックスTR−1107) ブチルヒドロキシトルエン 1.11部 ミリスチン酸イソプロピル 1.01部 流動パラフィン 15.50部 ヘキサン 残部 からなる合計100部を還流冷却器付きセパラブルフラス
コに入れ、60℃にて加熱溶解させた。ついで上記溶液10
0部に対し、 吸水性高分子(デンプン−アクリル酸グラフト共重合
体) 4.55部 (商品名 サンウェットIM−1000 MPS) カラヤガム 2.03部 を加え、その後クロニジン4.25部を溶解させたエタノー
ル8部を添加、混合し、よく分散後、アルミニウム蒸着
させたポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚みが100
μになるように展延し、一夜室温乾燥後、50℃で15分乾
燥し、ライナーで覆い所望の大きさに切断し、クロニジ
ン経皮投与マトリックスとした。
実施例2 スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体10.9
6部 (商品名 カリフレックスTR−1107) ブチルヒドロキシトルエン 0.55部 ミリスチン酸イソプロピル 1.02部 流動パラフィン 5.48部 粘着付与剤(脂環族飽和炭化水素樹脂) (商品名アルコンP−100) 21.92部 ヘキサン 残部 からなる合計100部を還流冷却器付きセパラブルフラス
コに入れ、60℃で加熱溶解させた。ついで上記溶液100
部に対し、 吸水性高分子(ポリアクリル酸塩重合体) (商品名 アラソーブ800F) 4.57部 カラヤガム 2.03部 を加え、その後クロニジン4.27部を溶解させたエタノー
ル8部を添加、混合し、よく分散後、剥離処理の施され
たポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚みが100μに
なるように展延し、実施例1と同様にして乾燥後、塩化
ビニル−ポリエステル積層フィルムに圧着転写し、所望
の大きさに切断し、クロニジン経皮投与マトリックスと
した。
比較例1〜3 実施例1と同様にクロニジン経皮投与マトリックスを作
成し、ミリスチン酸イソプロピル、吸水性高分子(ポリ
アクリル酸塩重合体、アラソーブ800F)、カラヤガムを
第1表のように含有させた以外は、実施例1と同様とし
た。
比較例4 ポリイソブチレン 6.12部 (商品名 ビスタネックスMML−100) ポリイソブチレン 7.64部 (商品名 ビスタネックスLM−MS) ミリスチレン酸イソプロピル 0.68部 流動パラフィン 12.23部 ヘキサン 残部 からなる合計100部を還流冷却器付きセパラブルフラス
コに入れ、60℃にて加熱溶解させた。ついで上記溶液10
0部に対し、 吸水性高分子(デンプン−アクリル酸グラフト共重合
体) 3.05部 (商品名 サンウェットIM−1000 MPS) カラヤガム 1.36部 を加え、その後クロニジン2.85部を溶解させたエタノー
ル6.2部を添加、混合し、よく分散後、実施例1と同様
の方法によってクロニジン経皮投与マトリックスを得
た。
参考例1 ポリイソブチレン 5.36部 (商品名 ビスタネックスMML−100) ポリイソブチレン 6.69部 (商品名 ビスタネックスLM−MS) 流動パラフィン 10.71部 ヘキサン 77.24部 からなる合計100部を還流冷却器付きセパラブルフラス
コに入れ、60℃にて加熱溶解させた。更にクロニジンを
2.10部をエタノール4.0部に溶解させたものを添加、混
合し、よく分散後、実施例1と同様にしてクロニジン経
皮投与マトリックスを作成した。
試験例1(水放出試験) 実施例1〜2、比較例4および参考例1を用い、37℃の
条件で水放出試験を行った。その結果を第1図に示し
た。
第1図に示されるように、実施例1〜2は比較例4およ
び参考例1に比較して、明らかにクロニジンの放出が高
いことを示している。これは本発明のマトリックスが、
(A−B)nXまたは(A−B)n−A型弾性重合体を用
いていることに起因するものである。すなわち本発明の
有用性を裏づけるものである。
試験例2(吸水試験および表面pH測定並びに皮膚刺激試
験) 実施例1〜2、比較例1〜3、参考例1を各々0.62%の
生理食塩水に24時間浸漬し、感圧粘着剤層あたりの吸水
力を測定した。また、別個に各実施例、比較例、参考例
の膏体表面のpHを測定した。さらに各製剤を高血圧ラッ
ト12匹の除毛背部皮膚に3日間貼付し、剥離後の皮膚の
状態を観察し吸水率とpH値と皮膚刺激の相関を検討し
た。
結果を第2表に示した。なお、皮膚刺激判定基準は下記
の通りである。
変化なし;− 微弱な発赤;± 明瞭は発赤;+ 重篤な気触; 第2表より明らかな如く、実施例1〜2のクロニジン経
皮投与マトリックスは、弾性重合体(スチレン−イソプ
レン−スチレンブロック共重合体)の他、吸水性高分
子、天然ガム質、高級脂肪酸エステルが必須成分として
含有されており、その1成分だけが欠けた比較例1〜
3、さらに参考例1より際だった吸水力を示した。さら
に天然ガム(カラヤガム)を含有することで、そのpH緩
衝力と相乗して、皮慮刺激を大幅に減少せしめている
(実施例1〜2と比較例3の比較参照)。このことは本
発明の有用性を多大に裏づけるものである。
試験例3(薬効試験) 高血圧成人男子に対し実施例1のクロニジン経皮投与マ
トリックス(クロニジン量5mg/人)を投与し効力試験を
行った。結果を第2図に示した。
第2図より明らかな如く、本発明のクロニジン経皮投与
マトリックスは貼付後すみやかにその作用が発現し、さ
らにその作用が持続し、その効果の有用性を裏づけるも
のであった。さらに剥離後の皮膚の発赤、気触れ等は皆
無であった。
[発明の効果] 以上説明したように、(A−B)nXまたは(A−B)n
−A型弾性体と吸水性高分子、天然ガム質、高級脂肪酸
とを必須成分として含む本発明のクロニジン経皮投与マ
トリックスは、クロニジンの放出に最も適した製剤とな
り、充分な薬効を発現し、しかも発赤、気触れ等のない
まさに理想的なクロニジン経皮投与製剤として、産業上
非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、水放出試験における放出率(%)の時間変化
を示すグラフ、 第2図は、貼付時間に対する血圧値の薬効試験の結果を
示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロニジン経皮投与マトリックスにおい
    て、マトリックスが(A−B)nXまたは(A−B)n−
    A型弾性重合体[式中、Aは実質的にモノビニル置換芳
    香族化合物重合体ブロック、Bは実質的に共役ジオレフ
    ィン共重合体ブロック、nは3〜7の整数、Xはn個の
    重合体鎖(A−B)が結合している多官能化合物から誘
    導された残基を表す]を含み、さらに吸水性高分子、天
    然ガム質、高級脂肪酸エステルが含有されていることを
    特徴とするクロニジン経皮投与マトリックス。
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