JPH067590A - ドラム式洗濯機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温度の洗濯水に耐える流体バランサーを備
えたドラム式洗濯機を得ることを目的とする。 【構成】 金属製のドラム７の前板７ｂに金属製の溝状
環状体２１を水密に装着して環状中空部３０を形成し、
この内周面に仕切り板２５が切起して形設された仕切板
２６を捲着し、環状中空部３０に流体を封入して流体バ
ランサー１９を形成したもので、流体バランサー１９を
金属製にしたことにより高温の洗濯水に耐えることがで
きる。また、仕切り片２５を仕切り板２６から切り起し
て設け、仕切板２６を環状中空部３０の内周面に捲着し
たことにより製造、組立てを容易にすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ドラムの回転によって
衣類を転動させて洗濯、すすぎを行ない、ドラムの高速
回転によって生じる遠心力によって脱水を行なうドラム
式の洗濯機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のドラム式の洗濯機は図３および図
４に示すような構成であった。

【０００３】図に示すように、サスペンション２とダン
パー８とによって上下から弾支された水槽３が設けら
れ、水槽３内には前面が開口し後面が軸受ユニット９に
より回転軸４で枢支され側面に複数の通水孔５および回
転軸４方向と平行なバッフル６を有するドラム７が設け
られている。回転軸４にはモータ１０にベルト掛け１１
されたドラムプーリ１２が取り付けられている。水槽３
の前面には本体１との間に水密性を保持するベローズ１
３が設けられ、テーパ状の蓋１４と嵌合するようになっ
ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような従来のドラ
ム式洗濯機において、洗濯、すすぎを終えて脱水を行な
うと、衣類がドラム７の下部に偏った状態でドラム７が
高速回転するので衣類による偏心荷重のためドラム７が
大きく振動する。この振動を抑制するためにダンパー８
には非常に強い振動減衰能力を有するものが必要とな
り、さらに重量体Ｗを水槽３に取り付けなければならな
かった。このために全体の重量がかなり重たくなり一人
で持ち運びできず、また、日本の一般家庭の木床の上に
設置する場合には、床を補強する必要があった。

【０００５】このようなドラムの振動を抑制するため
に、洗濯槽の底面に回転翼を設けた所謂全自動洗濯機に
用いられている流体バランサーをドラム式洗濯機にも用
いることが容易に考えられる。この全自動洗濯機の流体
バランサーは上下２枚の樹脂部品を溶着して環状の中空
体にし、その中に流体を封入して作成されている。

【０００６】ところで、ドラム式洗濯機は、硬水に対す
る洗剤の活性化や、洗浄力の向上、使用水量の節約、使
用洗剤の節約等の目的で６０℃ないし１００℃に近い温
度の洗濯水が使用されることがある。このような高温の
洗濯水で洗濯が行われると、樹脂製の流体のバランサー
では高温水による樹脂の加水分解劣化や内圧の上昇で破
損することがある。そして、内部の流体が漏れ、流体バ
ランサーの役目を果たさなくなってしまうという問題点
があった。

【０００７】また、脱水起動時にドラムの回転数が共振
周波数に達するまでは流体バランサー内部の流体は偏心
荷重と同方向に集まり、非常に不安定な状態となって、
水槽が大きく振れてしまうので流体バランサー内に流体
バランサーの内部を複数個の部屋に分割する仕切り板が
立設されている。この仕切り板は流体バランサーが金属
製である場合には溶着、絞着等の手段で個々に立設しな
ければならず、製造上に問題があった。

【０００８】本発明は上記問題を解決するもので、洗濯
時の高温水にも耐え得る流体バランサーを備えるととも
に流体バランサー内を仕切る仕切り板の製造、装着が容
易なドラム式洗濯機を提供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために、水平軸回りに回転する金属製のドラムと
前記ドラムの前面に付設された金属製の流体バランサー
とを備え、前記ドラムは、多数の通水孔を有する円筒状
の胴板と前記胴板の一方の開口部に装着され衣類出入口
を有する前板と前記胴板の他方の開口部に装着された後
板とからなり、前記流体バランサーは、前記前板と前記
前板の前面に水密に装着された溝状環状体とで形成され
た環状中空部と、前記環状中空部の内周面に捲着され仕
切り片が切り起して形設された帯状の仕切り板と、前記
中空部に封入された流体とからなる構成としたものであ
る。

【００１０】

【作用】上記構成において、ドラムと流体バランサーを
金属製としたことにより、高温の洗濯水による流体バラ
ンサーの破損がなくなり、仕切り板の製造と流体バラン
サーへの立設が容易なものとなる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例について、図１およ
び図２を参照しながら説明する。

【００１２】なお、従来例に示したものと同一部品には
同じ符号を付して説明を省略する。図において、ドラム
７は、多数の通水孔を有する円筒状の胴板７ａと、胴板
７ａの一方の開口に装着され衣類出入口２０を有する前
板７ｂと、胴板７ａの他方の開口部に装着され軸受ユニ
ット９に枢支される回転軸４が取着された後板７ｃとで
形成されている。そして、ドラム７を形成する各部材７
ａ，７ｂ，７ｃは金属材からなっている。

【００１３】ドラム７の前面には流体バランサー１９が
一体に付設されてあり、流体バランサー１９は、前板７
ｂの前面に水密に装着された溝状環状体２１と前板７ａ
とで形成される環状中空部３０（以下、中空部という）
と、中空部３０の内周面に捲着され仕切り片２５が切り
起して形設された帯状の仕切り板２６（図１（ｃ）参
照）とで形成され、流体バランサー１９を形成する各部
材７ｂ，２１，２６は金属材からなっている。そして、
中空部３０には流体が封入されている。

【００１４】なお、１５はモータ１０のシャフト、１６
はシャフト１５に取着されたモータプーリー、１７は水
槽３の外側底部に取り付けられた排水ポンプである。

【００１５】ここで、金属製のドラム７とその前面に付
設された流体バランサー１９の付設手段の一例を図１
（ｂ）により説明する。ドラム７の胴板７ａの一方の開
口部に前板７ｂの外周縁と溝状環状体２１の外周縁を重
ね合わせて巻締め２２し、他方、前板７ｂの衣類出入口
２０の内周縁と溝状環状体２１の内周縁を重ね合せて巻
締め２３し、前板７ｂと溝状環状体２１とで中空部３０
を水密に形成している。このような巻締めによる手段の
他に、シーム溶接等により溝状環状体２１を前板７ｂに
水密に溶着してもよいものである。

【００１６】次に、帯状の仕切り板２６について図１
（ｃ）により説明する。帯状仕切り板２６は中空部３０
の内周面、つまり溝状環状体２１の内周縁を捲回する長
さを有する帯状のもので、その要所に複数の仕切り片２
５が切り起されて立設されている。この仕切り片２５は
溝状環状体２１との間に所要の間隙２９（図１（ｂ）参
照）を形成する大きさに設定されている。このように形
成された仕切り板２６は仕切り片２５を外側にしてリン
グ状に捲かれ、その一端に設けた爪２８と他端に設けた
角孔２７とを係合してリング状に形作られる。このリン
グの直径を中空部３０の内周面の直径よりやや小さい目
形成しておくと、中空部３０の内周縁に強制挿入するこ
とにより帯状仕切り板２６を中空部３０の内周面に捲着
することができる。また。両者の直径を同等にし、ある
いは帯状仕切り板２６の長さを中空部３０の内周面の円
周よりもやや短くして捲着し、溶接その他の手段によっ
て固着することもできる。

【００１７】上記構成において、水槽３内の洗濯水はヒ
ーター１８で所望の温度に加熱されるが、硬水に対する
洗剤の活性化等の必要性から１００℃近い温度に加熱さ
れることがある。このような洗濯条件において、ドラム
７と流体バランサー１９は金属で製作されているので対
熱性に強く、特に流体バランサー１９は高温で劣化する
ことがなく、流体バランサーの特性を永く維持すること
ができ信頼性を高めることができる。

【００１８】次に流体バランサー１９内を仕切る仕切り
板２６は帯状の金属板に複数の仕切り片２５を切り起し
によって形成したので、製造が簡単でコストの安い仕切
り板２６を得ることができる。しかも、仕切り板２６を
中空部３０の内周面に捲着することにより流体バランサ
ー１９内に装着できるのでその組立て作業を容易、簡単
なものにすることができる。

【００１９】なお、流体バランサー１９は半径方向に１
重としたが、２重以上の流体バランサーでもよく、その
場合は、さらに、流体バランサーの矯正遠心力を向上さ
せることができて脱水振動をより抑制することができ
る。

【００２０】

【発明の効果】以上の実施例の説明から明らかなように
本発明によれば、金属製のドラムを胴板と前板と後板と
で形成し、ドラムに付設される金属製の流体バランサー
を、ドラムの前板と前板の前面に水密に装着された溝状
環状体とで形成された環状中空部と、環状中空部の内周
面に捲着され仕切り片を切起して形設された帯状の仕切
り板と、環状中空部に封入された流体とで形成したこと
により、高温の洗濯水で洗濯されても流体バランサーは
劣化することなく、流体バランサーの特性を永く維持し
て信頼性を高めることができるとともに、重量体をなく
して本体を軽量化し、脱水振動の低減を図ることができ
る。

【００２１】さらに、流体バランサー内の仕切り板の製
造と装着が容易となり、作業効率を向上させてコストア
ップを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）本発明の一実施例のドラム式洗濯機の側
断面図 （ｂ）同要部の側断面図 （ｃ）同要部の斜視図

【図２】同ドラム式洗濯機の正面断面図

【図３】従来例のドラム式洗濯機の側断面図

【図４】同正面断面図

【符号の説明】

４ 回転軸 ５ 通水孔 ７ ドラム ７ａ 胴板 ７ｂ 前板 ７ｃ 後板 １９ 流体バランサー ２０ 衣類出入口 ２１ 溝状環状体 ２５ 仕切り片 ２６ 仕切り板

フロントページの続き (72)発明者 松田 栄治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】水平軸回りに回転する金属製のドラムと前
   記ドラムの前面に付設された金属製の流体バランサーと
   を備え、前記ドラムは、多数の通水孔を有する円筒状の
   胴板と、前記胴板の一方の開口部に装着され衣類出入口
   を有する前板と、前記胴板の他方の開口部に装着された
   後板とからなり、前記流体バランサーは、前記前板と前
   記前板の前面に水密に装着された溝状環状体とで形成さ
   れた環状中空部と、前記環状中空部の内周面に捲着され
   仕切り片が切り起して形設された帯状の仕切り板と、前
   記環状中空部に封入された流体とからなるドラム式洗濯
   機。