JPH0675381B2 - 陰極線管 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は陰極線管に係り、特にパ
ネル外面形状に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に陰極線管はその外形が実質的に矩
形状で内面に蛍光体スクリーンを有するパネルとこのパ
ネルに延在するファンネル及び電子銃を内在するネック
とから外囲器が構成されている。このような陰極線管は
電子銃からの電子ビームの偏向中心を起点としスクリー
ン走査面各部位までの距離をできるだけ等しくするため
に、パネル外面は外方にふくらんだ曲面形状とされてい
る。このパネル外面形状の設計にあたっては、設計を容
易にすることとパネルガラスの肉厚の関係で垂直軸、水
平軸及び対角軸の対称設計が一般的であり、特殊なもの
としては垂直軸方向のみ平面の円筒面を呈するパネル外
面形状も提案されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このようなパネルを有
する陰極線管は、例えば20型以上の大型管では図１に示
すようにパネル１の曲面状外面２の長辺側３の側壁部高
さｈ₁ が短辺側４の側壁部高さｈ₂ よりも高くなり、真
空排気時の管内外圧力差により極めて爆縮が生じ易くな
る問題がある。即ち爆縮を防止するためにパネル側壁に
巻回緊締される金属帯は管が大型化した場合対角部に比
して辺部での圧縮力を充分均等に作用させることができ
ず、特に長辺側での外気圧による変形歪を充分除去する
ことができない問題を有している。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は曲面状のパネル
の外面の短軸となる垂直軸を含む面での曲率半径Ｒ
_Vと、同じく長軸となる水平軸を含む面での曲率半径Ｒ
_H と、同じく対角軸を含む面での曲率半径Ｒ_D との間に
Ｒ_V ＜Ｒ_H 、且つＲ_V ＜Ｒ_D とし、且つパネル中心から
前記水平軸上でｘだけ離れた位置での前記垂直軸と平行
な方向のパネル外面の曲率半径Ｒ（Ｘ）が、 Ｒ（Ｘ）＝Ｒ_V −［Ｒ_H −｛（Ｒ_H ）² −（Ｘ）² ｝^1/2 ］ によって得られる陰極線管である。

【０００５】

【作用】陰極線管パネルの短軸側ではパネル外面曲率半
径をより小さくすることによりパネル側壁の高さを長軸
側と短軸側とでバランスをとり全体として防爆性能を上
げることができる。さらに、パネルの曲率半径を滑らか
に接続することができる。

【０００６】

【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。図
２は本発明の一実施例を示すパネルの外観図及び各軸断
面図である。図２及び図３において、パネル２１は曲面
状の有効部２２と実質的に矩形状を構成する側壁部２３
及び２４とから構成される。パネルガラス有効部２２の
内面には蛍光体スクリーン（図示せず）が形成されるた
めその面精度は充分に高く保持されると共に、パネルガ
ラス全体として泡や傷等のガラス欠陥も充分な精度で管
理される。内部が真空封止された時に外気圧によって加
えられる応力は有効部２２及びファンネル部（図示せ
ず）に対しては内側方向に、側壁２３及び２４から有効
部境界にかけては外側方向に作用するため、側壁２３及
び２４を金属帯（図示せず）で緊縮して応力をバランス
させる。この時金属帯により引張り応力が全体としてバ
ランスするためには側壁２３及び２４全面が均等に緊締
されることが必要である。このような観点から垂直軸水
平軸及び対角軸における側壁高さＨ_V ，Ｈ_H 及びＨ_D は
重要な要素となり、各軸における側壁高さをほぼ等しく
することにより各側壁特に長辺側での応力歪を緩和する
ことができる。そこで各軸における側壁高さＨ_V ，Ｈ_H
及びＨ_D がほぼ等しくなる、即ち、 Ｈ_V ＝Ｈ_H ＝Ｈ_D ………(1) とするためには各軸におけるパネル有効部２２の外面曲
率半径は、 Ｒ_V ＜Ｒ_H ＜Ｒ_D ………(2) であることが必要である。ここでＲ_V は短軸となる垂直
軸を含む面での曲率半径、Ｒ_H は長軸となる水平軸を含
む面での曲率半径及びＲ_D は対角軸を含む面での曲率半
径である。また大型管では(1) 式を完全に満足していな
くても、 Ｈ_V ≧Ｈ_H ≧Ｈ_D ………(3) 即ち近似的に(3) 式を満足しておればよく、この時実質
的には、 Ｒ_V ＜Ｒ_H 、且つＲ_V ＜Ｒ_D ………(4) となるようにすれば、Ｒ_H ＝Ｒ_D であっても充分な効果
が得られる。即ち(4) 式に示される各軸での外面曲率半
径のパネルを有する陰極線管では特に長辺壁での残留応
力歪を大幅に緩和し側壁全体のバランスをとることがで
きるので、従来に比し約 1.5倍乃至２倍の防爆強度を得
ることができる。このように各軸に渡って異なる曲率半
径を有する曲面状パネルの曲率半径をできるだけ滑らか
に接続するには、図４に示すようにパネル中心から水平
軸（Ｈ）上でｘ地点離れた位置での垂直軸（Ｖ）と平行
な方向の曲率半径Ｒ（ｘ）を、 Ｒ（Ｘ）＝Ｒ_V −［Ｒ_H −｛（Ｒ_H ）² −（Ｘ）² ｝^1/2 ］………(5) となるように接続すればよい。

【０００７】尚、以上の説明においては曲率半径は全て
単一の曲率半径で表現しているが、本発明は一つの曲率
半径、例えばＲ_V がパネルフェース部中央から周辺にか
けて曲率半径が徐々に変化する、いわゆる複合曲率半径
の場合も含むことは言うまでもない。このような場合は
例えば複合曲率半径を近似的に級数展開した時の近似平
均曲率半径の値を以って本発明で言う一つの曲率半径と
すればよい。

【０００８】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、パネル側
壁に巻回緊締する金属帯により平衡した応力が加えられ
従来の長辺壁残留引張り応力が低減緩和されるので防爆
強度を向上することができ、特に大型管に好適する。ま
たパネル外周の最大高さが近似的に同じ高さとなりほぼ
同一平面上にあることになるので、画面全体がより平面
に近く感じられ、視感的に非常に見易いパネルとするこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来のパネルを示す概略図

【図２】本発明の実施例を説明するためのパネルの概略
図

【図３】図２の断面図

【図４】本発明の実施例を説明するためのパネルの模式
平面図である。

【符号の説明】

２１…パネル ２２…有効部 ２３…長辺側側壁 ２４…短辺側側壁

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】実質的に矩形状で内面に蛍光体スクリーン
   を有する曲面状パネルを備えた陰極線管において、前記
   曲面状パネルの短軸となる垂直軸を含む面でのパネル外
   面の曲率半径Ｒ_V と、前記曲面状パネルの長軸となる水
   平軸を含む面でのパネル外面の曲率半径Ｒ_H と、前記曲
   面状パネルの対角軸を含む面でのパネル外面の曲率半径
   Ｒ_D との間に、 Ｒ_V ＜Ｒ_H 、且つＲ_V ＜Ｒ_D なる関係を有し、且つパネル中心から前記水平軸上でｘ
   だけ離れた位置での前記垂直軸と平行な方向のパネル外
   面の曲率半径Ｒ（Ｘ）が、 Ｒ（Ｘ）＝Ｒ_V −［Ｒ_H −｛（Ｒ_H ) ² −（Ｘ）² ｝^1/2 ］ によって得られる事を特徴とする陰極線管。
2. 【請求項２】前記垂直軸、前記水平軸及び前記対角軸に
   おける側壁高さをそれぞれＨ_V,Ｈ_H,Ｈ_D とする時、 Ｈ_V ＝Ｈ_H ＝Ｈ_D であることを特徴とする請求項１記載の陰極線管。