JPH0674484B2 - 高清浄度鋼 - Google Patents

高清浄度鋼

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JPH0674484B2
JPH0674484B2 JP60239769A JP23976985A JPH0674484B2 JP H0674484 B2 JPH0674484 B2 JP H0674484B2 JP 60239769 A JP60239769 A JP 60239769A JP 23976985 A JP23976985 A JP 23976985A JP H0674484 B2 JPH0674484 B2 JP H0674484B2
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隆文 吉村
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、冷間加工性および疲労特性の優れた高清浄度
鋼、特に超高張力線、極細線、高強度ばね、極薄板ばね
において優れた性能を有する高清浄度鋼に関する。
(従来の技術) 薄板ばねやタイヤコードのように冷間圧延や伸線など強
度の冷間加工を受ける鋼や、弁ばねのように高い疲労強
度を必要とする鋼においては、硬質の非金属介在物は有
害であり、これらの硬質介在物を起点として破壊が起る
ことはよく知られている。この対策として介在物を軟質
化することにより熱間圧延および冷間圧延又は伸線によ
り延伸させ、小型化させることが可能である。例えば特
公昭54−7252号公報では、介在物をスペサライトを主成
分とし、Al2O3/SiO2+Al2O3+MnO=0.15〜0.40とするこ
とが示されている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、前記公報に示された介在物はコランダム
を初晶とする領域にまたがっているため、実際の製造に
おいては極めて硬質で有害なコランダムの発生を防止す
ることが困難であり、十分な効果が得られない。
本発明の目的は、熱間圧延でよく延伸し、冷間圧延又は
伸線で破砕し微細に分散することにより、冷間加工性お
よび疲労特性の優れた高清浄度鋼を提供することにあ
る。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、圧延鋼材のL断面において長さ(l)と幅
(d)の比がl/d≧5の延伸性の小さい非金属介在物の
平均的組成がSiO220〜60%、MnO10〜80%にCaO50%以
下、MgO15%以下の一方又は両方を含むことを特徴とす
る冷間加工性および疲労特性の優れた高清浄度鋼を要旨
とするものである。
本発明における鋼組成は、介在物組成を制御するために
Si,Mnを0.1%以上含むことを必要とするが、その他の元
素については特に制限はなく、必要に応じて合金元素を
加えた低炭素鋼、高炭素鋼およびオーステナイト系ステ
ンレス鋼などに適用することができる。
以下に本発明の内容を具体的に説明する。
熱間圧延鋼材においては、低融点の介在物は圧延温度に
おいて鋼材よりも軟化するために長手方向に延伸する。
従って圧延後の鋼材のL断面において介在物の長さ
(l)と幅(d)の比l/dを測定することにより軟質化
の程度を判定することができる。しかしながら、l/dの
小さい介在物であっても、その後の冷間圧延又は伸線加
工により砕かれ、微細に分散され無害化される介在物
と、そのまま残存する介在物とがあるため、l/dのみで
介在物の良否判定をすることはできない。
本発明者らが詳細に調査した結果、l/d≦5の一見有害
と思われる介在物であっても、これらの介在物の平均的
組成がSiO220〜60%、MnO10〜80%にCaO50%以下、MgO1
5%以下の一方又は両方を含む場合には、10%以上の冷
間圧延、又は伸線において介在物は砕かれ、分散される
ため小型化し、無害化されることが判明した。
更に重要な点は、鋼材のL断面で検査しうるのは、極く
限られた量であるため、製造上のばらつきを考慮する
と、検査では検出されなくても、鋼材中には大型の有害
硬質介在物が存在する可能性があるが、本発明では、熱
間圧延で延伸せずに残存した介在物についてその組成を
軟質なものに限定することにより、熱間圧延のままの状
態でも、大型の有害硬質介在物が存在する可能性を極め
て小さいものとすることができる。
熱間圧延鋼材の全長にわたる詳細な調査の結果、鋳片か
ら抽出した全介在物の平均組成を本発明の組成にしたと
きは、圧延後の鋼材に残存する30μ以上の硬質介在物は
3〜28個/トンとばらついたが、l/d≦5の介在物の平
均組成の場合は、0〜1個/トンと、その効果は明らか
であった。従って、熱間圧延のままでも極めて信頼性の
高い高清浄度鋼を得ることができる。なお、熱間圧延加
工率の大きい鋼や、清浄度が特に良好な鋼においてはl/
d≦3又は2とし、l≧10μ又は5μ(1μ)とするこ
とにより、一層の効果を上げることができる。
介在物の平均組成をこのように限定する理由は、SiO2
60%を越えると硬質のSiO2系介在物が発生し、20%未満
では、CaO又はMgO系の硬質介在物が発生し、共に熱間圧
延および冷間加工で十分小型化させることができない。
本発明における介在物組成は、Si,Mn脱酸によりMn−Sil
icateを生成せしめた後、Ca,Mgを含む合金を適量添加す
ることにより製造することができるが、本発明において
重要な点は、MnOはCa,Mg合金の添加により消滅する傾向
を有するけれども、この添加量を適正に制御することに
よりMnOを10〜80%存在せしめる点にある。この範囲外
では、SiO2,CaO,MgOのいずれかが過剰となり軟質化でき
ない。CaOが50%を越えるとCaO系の硬質介在物が発生
し、MgOが15%を越えるとMgO系の硬質介在物が発生し、
共に、目的を達成できない。
またAl2O3については極力排除することが硬質な介在物
の生成を防止するために望ましいがAlを使用せず、適正
に脱酸方法を制御した場合にもAl2O3は20%程度以下は
生成するものである。本発明の介在物組成では従来技術
と異なりこの程度のAl2O3の含有では、硬質のコランダ
ムやスピネルを生成することはなく、Al2O320%以下は
許容される。
本発明はこのように極めて製造安定性に優れた介在物組
成を与えるものである。
なお介在物組成は、SiO2,MnO,CaO,MgO,Al2O3の和を100
として求めた。
次に鋼成分について述べる。本発明の介在物の特性を規
定するものであるから鋼成分については、特に限定する
必要はないが、利用分野を具体的に挙げるならば次の分
野を挙げることができる。
1例として炭素鋼および低合金炭素鋼線材があり、熱間
圧延後伸線され、ワイヤー、ばね等に用いられる。特に
0.3mmφ以下の極細軟線、硬線においては、伸線時およ
び撚り線時の断線防止に効果があり、ばねにおいては疲
労強度の向上に効果がある。
これらの用途に適用される鋼材の成分としては、C1.1%
以下、Si0.1〜2.5%、Mn0.1〜1.5%に、必要に応じてCr
0.1〜2%、Co0.1〜2%の1種又は2種を含むものであ
る。Cを1.1%以下としたのは極細軟線においては、結
束線等の用途において軟質の線が要望されており、0.01
%C程度までCを低くする必要があるからである。1.1
%を越えると鋼が脆化し実用的でない。一方SiとMnは脱
酸と介在物組成コントロールのために必要であり、0.1
%未満では効果がない。また鋼の強化元素としても有効
であるが、Siが2.5%、Mnが1.5%を越えると脆化する。
Crは鋼の強化元素として有効であるが、0.1%未満では
効果がなく、2%を越えると効果が飽和する。Coは鋼の
延性を高めるのに有効であるが、0.1%未満では効果が
なく、2%を越えると効果が飽和する。
他の利用分野としてはオーステナイト系ステンレス鋼が
ある。熱間圧延後冷間圧延され0.3mm以下の極薄板ばね
として用いられるが、ばねの疲労強度の向上に効果があ
る。この用途に適用される鋼材の成分は、C0.15%以
下、Si0.1〜1%、Mn0.1〜2%、Cr16〜20%、Ni3.5〜2
2%に代表される。
他の利用分野として深絞り加工用の低炭素鋼板がある。
熱間圧延後冷間圧延され1.2mm以下の薄板とされ、焼
鈍,スキンパス後、深絞り加工されるが、表面疵防止お
よび深絞り加工性の向上に効果がある。この用途に適用
される鋼材の成分は、C0.12%以下、Si0.3%以下、Mn0.
50%以下に代表される。
(実施例) 250トン転炉で溶製された溶鋼に出鋼時にSi,Mn、その他
必要成分元素を添加した後、Ca,Mgの1種又は2種を含
む合金を添加し、第1表に示す組成の鋼を製造した。こ
れを80%以上の熱間圧延により線材および板とし、L断
面の介在物を調査した。第1表の介在物組成は、l/d≦
5の介在物の平均組成である。
A1〜A6は本発明鋼でありB1〜B6は比較鋼である。
A1とB1は5.5φの線材を1.25mmφまで伸線後、焼鈍熱処
理を施し、更に0.10mmφまで伸線した結果であるが、A1
鋼は断線は皆無であったが、B1鋼は5回/トンの断線率
であった。
A2とB2は5.5φ線材を1.25φまで伸線後、鉛パテンティ
ング熱処理を施し、更に0.25mmφまで伸線した結果であ
るが、A1鋼は断線は皆無であったが、B2鋼は3回/トン
の断線率であった。
B1,B2鋼とも破面には50μ以上の大型介在物がみられ
た。
A3〜5とB3〜5は10φ線材を鉛パテンティング後5mmφ
まで伸線し、回転曲げ疲労試験を行った。試験応力は80
kg/mm2とした。A3〜5は107回以上破断しなかったが、B
3〜5は106回以内に破断した。
A6とB6は1mmの熱間圧延板を0.1mmまで冷間圧延後、繰返
し曲げ疲労試験を行ったところ、A6鋼はB6鋼の2倍の寿
命を有していた。
(発明の効果) 上述の如く、本発明鋼は冷間加工性および疲労特性に優
れており、極薄板ばね、極細線、高強度ばね用鋼として
優れた性能を有するものである。
フロントページの続き (72)発明者 吉村 隆文 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 曾社君津製鐵所内 (72)発明者 宮脇 健児 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 曾社君津製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭59−93856(JP,A) 特開 昭58−130225(JP,A) 特公 昭54−7252(JP,B2)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧延鋼材のL断面において、長さ(l)と
    幅(d)の比がl/d≦5の非金属介在物の平均的組成
    が、SiO2 20〜60%、MnO 10〜80%に、CaO 50%以
    下、MgO 15%以下の一方又は両方を含むことを特徴と
    する冷間加工性および疲労特性の優れた高清浄度鋼。
  2. 【請求項2】C 1.1%以下、Si 0.1〜2.5%、Mn 0.1
    〜1.5%を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる特
    許請求の範囲第1項記載の冷間加工性および疲労特性の
    優れた高清浄度鋼。
  3. 【請求項3】C 1.1%以下、Si 0.1〜2.5%、Mn 0.1
    〜1.5%に加えて、Cr 0.1〜2%、Co 0.1〜2%の1
    種又は2種を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる
    特許請求の範囲第1項記載の冷間加工性および疲労特性
    の優れた高清浄度鋼。
  4. 【請求項4】C 0.15%以下、Si 0.1〜1%、Mn 0.1
    〜2%、Cr 16〜20%、Ni 3.5〜22%を含み、残部Fe
    および不可避不純物からなる特許請求の範囲第1項記載
    の冷間加工性および疲労特性の優れた高清浄度鋼。
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