JPH0673179A - 新規高分子化合物及びそれを用いた強誘電性液晶組成物並びに原料化合物 - Google Patents

新規高分子化合物及びそれを用いた強誘電性液晶組成物並びに原料化合物

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JPH0673179A
JPH0673179A JP14123793A JP14123793A JPH0673179A JP H0673179 A JPH0673179 A JP H0673179A JP 14123793 A JP14123793 A JP 14123793A JP 14123793 A JP14123793 A JP 14123793A JP H0673179 A JPH0673179 A JP H0673179A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 室温を含む幅広い温度範囲でカイラルスメク
チックC相を発現し、電界変化に対して高速に応答する
新規な高分子化合物、その製造原料化合物であるジエン
化合物、並びにこの高分子化合物と低分子のスメクチッ
ク液晶化合物からなり、良好な配向性を有する上に、電
界に対する高速応答性を有する強誘電性液晶組成物を提
供する。 【構成】 下記の繰り返し単位[I]からなる新規高分
子化合物、 (式中、m、nは2〜5の整数、kは1〜13の数、j
は1〜4の整数、aは4〜20の整数、bは0〜3の整
数、cは1〜7の整数、pは1又は2を表わし、*は不
斉炭素原子を表わす。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規高分子化合物及びそ
れを用いた強誘電性液晶組成物並びに新規高分子化合物
の原料化合物に関する。更に詳しくいえば、本発明はオ
プトエレクトロニクス分野、特に電卓、時計などのデジ
タル表示素子、ドットマトリクス型表示素子、室温スイ
ッチング素子、電子光学シャッター、電子光学絞り、光
変調器、光通信光路切替スイッチ、メモリー、液晶プリ
ンターヘッド、焦点距離可変レンズなどに用いられる液
晶素子の材料として好適に用いられる新規な高分子化合
物及びそれを用いた強誘電性液晶組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、低分子液晶化合物を用いた表示素
子は、電卓、時計などのデジタル表示に広く使用されて
いる。これらの利用分野では、通常、従来の低分子液晶
化合物は、間隔をミクロンオーダーで制御した2枚のガ
ラス基板の間に挟んで使用されている。しかしながら、
このような間隔の調整は大型画面や曲面画面では実現が
不可能であった。
【0003】この難点を解決する手段として、液晶を高
分子化し、それ自体を成形可能ならしめることが試みら
れている[J.Polym.Sci.,Polym.L
ett.,Ed.13,243(1975)、Poly
m.Bull.,309(1982)、特開昭56−
21479号公報など]。しかしながら、これら従来の
高分子液晶化合物は、ポリマー自体は室温では液晶とし
ての性質を示さず、ガラス転移温度以上でかつ透明化温
度未満の温度範囲で加熱して液晶化しなければならない
という欠点を有している。
【0004】また、特開昭63−99204号公報に
は、ポリアクリレート系強誘電性高分子液晶化合物の合
成が報告されており、該強誘電性高分子液晶化合物が上
記の高分子液晶化合物よりも優れた性能を示すことが明
らかにされている。しかしながら、この従来の側鎖型強
誘電性高分子液晶化合物においても、なお、応答速度、
使用可能な温度範囲などに問題が残っている。
【0005】更に、特開昭63−254529号公報に
は、光学活性基を有するエポキシモノマーを重合して得
られるポリエーテル系強誘電性高分子液晶化合物[例え
ば、一般式(IV)で表わされるエポキシ化合物を重合
して得られ、一般式(IV′)で表わされる繰り返し単
位{式(IV)及び式(IV′)中のuは1〜30の整
数を示す。}からなる高分子液晶化合物]が開示されて
いる。
【0006】
【化5】 また、国際公開第92/01731号パンフレットに
は、側鎖に芳香環を有し、主鎖に鎖状炭化水素骨格とシ
ロキサン骨格を有する繰り返し単位からなる例えば、下
記式(V)に示される高分子液晶化合物が開示されてい
る。
【0007】
【化6】 しかしながら、これらの従来の側鎖型強誘電性高分子液
晶化合物は、室温付近を含む広い温度範囲で外部電界刺
激に対して応答するという利点はあるものの、その応答
速度が遅く、実用に供するには未だ不十分である。
【0008】一方、液晶組成物として不斉炭素を有する
高分子液晶化合物と低分子液晶化合物からなる高分子液
晶組成物が提案されている(特開昭63−284291
号公報)。しかし、例示されている側鎖型高分子液晶化
合物は通常のアクリレートやシロキサン鎖を主鎖とする
ものであるので側鎖間隔が十分でなく、分子量を大きく
すると低分子液晶化合物を十分に混合できなくなって高
速化が難しくなる。従って従来の高分子性を保ちつつ、
高速応答性を有する組成物を得ることが難しいという問
題点がある。
【0009】また、非液晶性高分子化合物と低分子液晶
化合物からなる組成物で高分子性を保ちつつ、高速応答
性の組成物を得ようとする試みとしては、特開昭61−
47427号公報に低分子液晶化合物に非液晶質ポリマ
ーを配合して自己形状保持能力を付与した組成物が記載
されている。この組成物においては、高分子化合物(樹
脂)マトリックス中に分散して液晶領域が存在するため
長時間放置すると分離してくる可能性があり、また島状
に液晶が分散しているので、コントラストが悪いなどの
問題点があり、分散系なので配向制御も難しい。特開昭
62−260859号公報、特開昭62−260841
号公報には熱可塑性樹脂と低分子液晶化合物を含む強誘
電性複合膜が記載されており、相溶系になる熱可塑性樹
脂が用いられているが、この熱可塑性樹脂と相溶系にな
る低分子液晶化合物の組合わせが難しく、配向制御も難
しい。また、用いる低分子液晶化合物が強誘電性液晶に
限定されるという問題点がある。特開平1−19868
3号公報にはプロトン供与体(又はプロトン受容体)を
持つポリマーとプロトン受容体(又はプロトン供与体)
を持つ低分子液晶化合物からなる組成物が記載されてい
るが、ポリマー、低分子液晶化合物ともプロトン供与体
(又はプロトン受容体)を持たなければならないので、
どちらの構造もかなり限定されるという問題点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、室温を含む
幅広い温度範囲でカイラルスメクチックC相を発現し、
電界変化に対して高速に応答する新規な高分子化合物を
提供することを目的とする。
【0011】本発明はまた、この新規高分子化合物の製
造に用いられる原料化合物であるジエン化合物を提供す
ることを目的とする。
【0012】更に、本発明は前記高分子化合物と低分子
のスメクチック液晶化合物からなり、良好な配向性(配
向が簡単に行える。)を有する上に、電界に対する高速
応答性を有する強誘電性液晶組成物を提供することを目
的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、側鎖に特定の
メソゲン基を有し、かつ主鎖内に柔軟なシロキサン鎖を
有し、側鎖間隔が広く、更にスぺーサー内に回転障壁の
低い炭素−ケイ素結合を有する新規な高分子化合物が室
温域を含む広い温度範囲でカイラルスメクチックC相
(SC *相)を発現するとともに、電界変化に対して高速
応答性を示す優れた強誘電性高分子液晶となり得ること
を見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに
至った。
【0014】すなわち、本発明は下記の一般式で表わさ
れる繰り返し単位[I]からなる新規高分子化合物を提
供するものである。
【0015】
【化7】 (式中、m、nは2〜5の整数、pは1又は2、aは4
〜20の整数、bは0〜3の整数、cは1〜7の整数を
表し、*は不斉炭素原子を表し、Yは
【0016】
【化8】 を表し、ただし、kは1〜13の数、jは1〜4の整数
である。)本発明の高分子化合物は主鎖内に柔軟なシロ
キサン鎖を有し、側鎖間隔が広く、さらにスペーサー内
に回転障壁の低い炭素−ケイ素結合を有するため、SC *
相を示す場合、SC *相において電界変化に対して高速に
応答する。また、側鎖間隔の広い構造を有しているの
で、低分子の液晶化合物と混合した場合も、混合物は相
溶系となり、相分離が起こらない。従って、該高分子化
合物が液晶性を示す、示さないにかかわらず、相溶性に
優れたカイラルドーパントとして機能し、配向性の良い
強誘電性液晶組成物を得ることができる。
【0017】本発明の新規高分子化合物の重量平均分子
量(Mw)は、通常、1,000〜1,000,000
であり、好ましくは1,000〜100,000であ
る。Mwが1,000未満であると、該高分子化合物の
フィルム、塗膜としての成形性に支障を生じることがあ
り、一方、1,000,000を超えると応答時間が長
くなるなど好ましくない効果が現れることがある。
【0018】本発明の高分子化合物は、その製造方法と
しては特に制限はなく、どのような方法によって製造し
てもよいのであるが、例えば、下記の一般式(II)で
表されるジエン化合物(化合物II)と下記の一般式
(VI)で表されるシリコン化合物(化合物VI)とを
所定の割合で溶媒中、触媒の存在下、ヒドロシリル化反
応により共重合することによって好適に製造することが
できる。
【0019】
【化9】 (但し、式中のp、m、n、a、b、c及び*は前記と
同じ。)
【0020】
【化10】 (但し、式中のj、kは前記と同じ。)この共重合反応
に供する化合物IIと化合物VIの割合は、得ようとす
る高分子化合物の重合度に依存する。即ち、高重合体を
得ようとすればモル比(化合物II/化合物VI)は1
に近い方が良く、逆に低重合度のものを得ようとすれ
ば、1より大きく又は1より小さくする必要がある。
【0021】前記化合物IIと化合物VIの共重合反応
に使用する溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の不活性芳香族炭化水素、テトラヒドロ
フラン(THF)、ジイソプロピルエーテル等の不活性
なエーテル系溶媒などが好適に使用される。溶媒は、単
独溶媒でも、混合溶媒でもよいが、通常は、重合温度の
関係から沸点が70℃以上のものが好ましく使用され
る。また、前記触媒としては、ヒドロシリル化活性を有
するものが使用され、具体的には例えば、塩化白金酸、
プラチナム(II)アセチルアセトナート、ジシクロペ
ンタジエニルプラチナムクロリド等の白金系触媒が好ま
しく用いられる。
【0022】前記共重合反応を行う際の、各成分の添加
の順序及び方式としては、特に制限はないが、例えば、
化合物IIに、トルエン、THF等の溶媒を添加し、次
いで、所定量の化合物VIと適量の塩化白金酸等の触媒
とを添加する方式などを好ましい例として挙げることが
できる。なお、触媒の添加法については単独で添加して
もよいし、イソプロピルアルコール等の溶媒に溶解して
添加してもよい。
【0023】前記共重合反応は、例えば窒素ガスやアル
ゴン等の不活性雰囲気下で、通常、60〜120℃、好
ましくは80〜100℃の温度範囲で好適に行うことが
できる。反応時間は、通常、3〜30時間程度である。
【0024】以上のようにして目的とする高分子化合物
を合成することができる。こうして得られた高分子化合
物は、公知の方法等によって反応混合物中から分離・回
収され、所望の精製度の高分子化合物として取得するこ
とができる。精製度の高い本発明の高分子化合物は、例
えば、重合反応が終了後、反応混合物を濾過し、その濾
液から溶媒を留去して得られる残渣を例えば塩化メチレ
ン等の適当な溶剤に溶解させ、これを例えばシリカゲル
等を充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって精
製することによって好適に得ることができる。
【0025】以下に、本発明の高分子化合物の製造に好
適に使用される原料化合物である前記化合物II、化合
物VIについて詳細に説明する。 化合物IIの合成例−I ステップ
【0026】
【化11】 化合物VIIとp−ヒドロキシ安息香酸メチルの混合物
を溶媒中、アルカリ試薬の存在下でエーテル化反応を行
い、エーテル化されたエステル体(化合物VIII)を
得る。ステップでは、化合物VIIとp−ヒドロキシ
安息香酸メチルを反応させているが、後者に代えてメチ
ルエステル以外のp−ヒドロキシ安息香酸エステルを使
用することもできる。なお、このステップのエーテル
化反応は、化合物VII、p−ヒドロキシ安息香酸メチ
ル、アルカリ試薬及び溶媒を任意の順序で混合し、通
常、60〜100℃で加熱撹拌することによって好適に
行われる。このステップにおける溶媒としては、例え
ば、アセトン、2−ブタノン等のケトン系溶媒、TH
F、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系不活性溶
媒、あるいはメタノール、エタノール等の低級アルコー
ルなどが好適に使用される。また、ステップにおける
アルカリ試薬としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナ
トリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水酸化カリウム、水
酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物などが好適に
使用される。
【0027】化合物VIIの具体例としては、4−ブロ
モ−1−ブテン、4−ヨード−1−ブテン、4−トシル
−1−ブテン、5−ブロモ−1−ペンテン、5−ヨード
−1−ペンテン、5−トシル−1−ペンテン、6−ブロ
モ−1−ヘキセン、6−ヨード−1−ヘキセン、6−ト
シル−1−ヘキセン、7−ブロモ−1−へプテン、7−
ヨード−1−へプテン、7−トシル−1−へプテン、8
−ブロモ−1−オクテン、8−ヨード−1−オクテン、
8−トシル−1−オクテン、9−ブロモ−1−ノネン、
9−ヨード−1−ノネン、9−トシル−1−ノネン、1
0−ブロモ−1デセン、10−ヨード−1−デセン、1
0−トシル−1−デセン、11−ブロモ−1−ウンデセ
ン、11−ヨード−1−ウンデセン、11−トシル−1
−ウンデセン、12−ブロモ−1−ドデセン、12−ヨ
ード−1−ドデセン、12−トシル−1−ドデセン、1
3−ブロモ−1−トリデセン、13−ヨード−1−トリ
デセン、13−トシル−1−トリデセン、14−ブロモ
−1−テトラデセン、14−ヨード−1−テトラデセ
ン、14−トシル−1−テトラデセン、15−ブロモ−
1−ペンタデセン、15−ヨード−1−ペンタデセン、
15−トシル−1−ペンタデセン、16−ブロモ−1−
ヘキサデセン、16−ヨード−1−ヘキサデセン、16
−トシル−1−ヘキサデセン、17−ブロモ−1−ヘプ
タデセン、17−ヨード−1−ヘプタデセン、17−ト
シル−1−ヘプタデセン、18−ブロモ−1−オクタデ
セン、18−ヨード−1−オクタデセン、18−トシル
−1−オクタデセン、19−ブロモ−1−ノナデセン、
19−ヨード−1−ノナデセン、19−トシル−1−ノ
ナデセン、20−ブロモ−1−エイコセン、20−ヨー
ド−1−エイコセン、20−トシル−1−エイコセン等
が挙げられる。
【0028】ステップ
【0029】
【化12】 ステップでは、ステップで得られたエステル体(化
合物VIII)のエステル結合のみを選択的に加水分解
し、対応するカルボン酸(化合物IX)を得る。この加
水分解は、各種の手法によってなしうるが、通常は、化
合物VIIIをアルカリの存在下、水又は水とアルコー
ルの混合液中で、必要に応じて加熱し、処理することに
よって好適に行われ、化合物IXは得られた反応液に適
当な酸を添加し、pHを酸性に調整することによって効
率よく回収される。なお、この加水分解反応は、アルカ
リ触媒、水のみで加熱してもよいが、更にアルコールを
加えることによって原料であるエステル化合物の溶解性
が向上し、反応が容易に進行する。ここで、アルカリと
しては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等
のアルカリ金属水酸化物などが好適に使用され、アルコ
ールとしては、メタノール、エタノール(EtOH)等
の水溶性低級アルコールなどが好適に使用される。ま
た、pH調整に使用する酸としては、例えば、塩酸、硫
酸等の常用される鉱酸などが好適に使用される。
【0030】ステップ
【0031】
【化13】 ステップでは、ステップで得られたカルボン酸(化
合物IX)を、溶媒を用いず、又は適当な溶媒中で酸ハ
ロゲン化剤を用いて酸塩化物(化合物X)とする。この
酸ハロゲン化反応は、公知の方法に準じて好適に行うこ
とができる。例えば、溶媒としては、通常、トルエン等
の常用されるものを適宜選定して使用すればよいし、ま
た、酸ハロゲン化剤としては、例えば、塩化チオニル、
オキシ塩化リン、五塩化リンなどの公知の酸ハロゲン化
剤が用いられる。また、例えば、ピリジン等の反応促進
剤などを適量添加するのが好ましい。
【0032】ステップ
【0033】
【化14】 酸塩化物(化合物X)とヒドロキシ化合物(化合物X
I)とを溶媒中、適当なハロゲン化水素受容剤の存在下
エステル化反応を行うことで化合物XIIを得る。
【0034】前記化合物XIは、それぞれ、公知の方法
等によって製造することができる。その際、化合物XI
の末端部にある光学活性アルキル基は、例えば、光学活
性アルコール(HO−R1)を用いてエステル化反応等
を利用して容易に導入することができる。
【0035】
【化15】 ここで使用する光学活性アルコール(HO−R1)とし
ては、例えば、(+)−2−メチルブタノール、(−)
−2−メチルブタノール、(+)−2−メチルペンタノ
ール、(−)−2−メチルペンタノール、(+)−3−
メチルペンタノール、(−)−3−メチルペンタノー
ル、(+)−4−メチルヘキサノール、(−)−4−メ
チルヘキサノール、(+)−2−メチルヘプタノール、
(−)−2−メチルヘプタノール、(+)−2−メチル
オクタノール、(−)−2−メチルオクタノール、
(+)−2−ブタノール、(−)−2−ブタノール、
(+)−2−ペンタノール、(−)−2−ペンタノー
ル、(+)−2−ヘキサノール、(−)−2−ヘキサノ
ール、(+)−2−へプタノール、(−)−2−へプタ
ノール、(+)−2−オクタノール、(−)−2−オク
タノールなどを挙げることができる。
【0036】ステップのエステル化反応は、例えば、
前記ステップで得た酸塩化物(化合物X)又はその溶
液に、化合物XIとハロゲン化水素受容剤と適当な溶媒
からなる溶液を導入し、攪拌することによって好適に行
うことができる。その際、反応性の低いときは、例えば
20〜80℃の適当な温度に加熱してもよい。このよう
にして、所望の化合物XIIが効率よく得られる。
【0037】エステル化反応の原料として使用する酸塩
化物(化合物X)は、単離されたものを用いてよく、あ
るいは前記ステップで得られた酸塩化物含有反応混合
物から適宜溶媒及び酸ハロゲン化剤等を除去した反応混
合物を引き続き用いてもよい。ステップのエステル化
反応の溶媒としては、例えば、THF等のエーテル系不
活性溶媒、トルエン、ヘキサン等の炭化水素系不活性溶
媒などが好適に使用される。また、前記ハロゲン化水素
受容剤としては、通常、例えばピリジン、トリエチルア
ミン(Et3N)等の三級アミンなどを好適に使用する
ことができる。
【0038】化合物XIIは上記に述べた方法の他に、
例えば化合物VIIと一般式[XIII]
【0039】
【化16】 (式中、b、c及び*は前記と同じ。)で表わされるヒ
ドロキシ化合物(化合物XIII)とを溶媒中アルカリ
試薬の存在下、エーテル化反応を行うことにより製造す
ることができる。反応は例えば次のように進行する。
【0040】
【化17】 (溶媒、試薬、反応条件はステップに同じ。)
【0041】ステップ −1:p=1の場合
【0042】
【化18】 (i)溶媒中、触媒存在下、化合物XIIとクロルジメ
チルシランの間でヒドロシリル化反応を行うことによ
り、化合物XIVを得、(ii)化合物XIVを水と反
応させることにより化合物XVを得、(iii)化合物
XVを溶媒中、適当なハロゲン化水素受容剤の存在下、
化合物XVIと反応させることにより化合物IIを得
る。
【0043】なお、(i)における溶媒、触媒、温度、
試薬の添加方法等の反応条件は前述の高分子化合物の共
重合反応に用いられるものと同じである。(i)で得ら
れた化合物XIVは分解しやすいので、単離せず、その
まま次の反応(ii)に使用する。(ii)において
は、等モル量の水をTHF等の水と混合可能な溶媒に溶
かし、化合物XIVを含む反応液に加える。反応温度は
0〜80℃の範囲で任意に設定可能であるが、通常室温
又は水冷下で行う。ピリジン、トリエチルアミン等の3
級アミンをハロゲン化水素受容剤として加える。また、
等モル量ではなく、大過剰の水を、THF等の水と混合
可能な溶媒に加え、ここに化合物XIVを含む反応液を
加え、その後、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の
脱水剤で水を除去してもよい。
【0044】(ii)で得られた化合物XVを含む溶液
又はその溶液にTHF等のエーテル系不活性溶媒又はト
ルエン、ヘキサン等の炭化水素系不活性溶媒を加えた溶
液に、化合物XVIをTHF等のエーテル系不活性溶媒
又はトルエン、ヘキサン等の炭化水素系不活性溶媒に溶
解して添加し、更に、ピリジン、トリエチルアミン等の
3級アミンをハロゲン化水素受容剤として加え、攪拌す
ることによって化合物IIを得る。反応はN2、Ar等
の不活性ガス雰囲気下室温で行う。反応性の低いときは
20〜80℃の適当な温度に加熱してもよい。
【0045】クロルジメチルシランの代わりにメトキシ
ジメチルシラン、エトキシジメチルシラン等のアルコキ
シシラン化合物を使用してもよい。
【0046】−2:p=2の場合
【0047】
【化19】 (i)化合物XVIを水と反応させることにより、化合
物XVIIを得る。
【0048】(ii)この化合物XVIIと化合物II
の合成例−1の−1と同様の方法によって得た化合物
XV、更にジクロルジメチルシランを、溶媒中、適当な
ハロゲン化水素受容剤の存在下、反応させることによ
り、化合物IIを得る。
【0049】(i)においては、等モル量の水を、TH
F等の水と混合可能な溶媒に溶かし、化合物XVIに加
える。反応温度は0〜80℃の範囲で任意に設定可能で
あるが、通常、室温又は水冷下で行う。ピリジン、トリ
エチルアミン等の3級アミンをハロゲン化水素受容剤と
して加える。(i)で得られた化合物XVIIを含む溶
液及び化合物IIの合成例−1の−1と同様の方法に
よって得られた化合物XVを含む溶液を混合し、必要に
応じ、THF等のエーテル系不活性溶媒、又はトルエ
ン、ヘキサン等の炭化水素系不活性溶媒を加え、ここ
に、ジクロルジメチルシランをTHF等のエーテル系不
活性溶媒、又はトルエン、ヘキサン等の炭化水素系不活
性溶媒に溶解して添加し、更にピリジン、トリエチルア
ミン等の3級アミンをハロゲン化水素受容剤として加
え、攪拌することによって化合物IIを得る。反応は、
窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、室温又は水冷
下で行う。反応性の低いときは、20〜80℃の適当な
温度に加熱してもよい。
【0050】ステップ 化合物XVIの合成法としては、以下の(i)、(i
i)がある。 (i)
【0051】
【化20】 ジアルケニルジクロルシラン(XVIII)とメチルリ
チウム(M=Li)、メチルマグネシウムブロミド(M
=MgBr)等の有機金属化合物をTHF等のエーテル
系不活性溶媒又はトルエン、ヘキサン等の炭化水素系不
活性溶媒中でほぼ等モル反応させることによって化合物
XVIを得る。反応はN2、Ar等の不活性ガス雰囲気
下で行う。反応温度は−70〜80℃の範囲で任意に設
定可能であるが、通常は0〜30℃で行う。試薬の添加
方法としては、化合物XVIIIを上記溶媒に溶解した
溶液にメチルリチウム等を上記溶媒に溶解した溶液を滴
下する方法が好ましい。
【0052】(ii)
【0053】
【化21】 トリクロルメチルシランと化合物XIX、次いで化合物
XXをほぼ等モルずつ反応させることにより、化合物X
VIを得る。溶媒、反応温度等の反応条件はステップ
の(i)と同じである。化合物XIX、化合物XXとし
ては、ビニルリチウム、アリルリチウム、ビニルマグネ
シウムブロミド、アリルマグネシウムブロミド、3−ブ
テニルマグネシウムブロミド、4−ペンテニルマグネシ
ウムブロミド等が挙げられる。なお、化合物IIの合成
に際しては、化合物XVIを精製する必要はなく、反応
の結果生じた固形物を濾別し、溶液状態のままで使用す
ればよい。
【0054】(i)で使用する化合物XVIIIとして
は、クロルシラン化合物だけではなく、メトキシシラ
ン、エトキシシラン等のアルコキシシラン化合物を使用
することができる。(ii)で使用するトリクロルメチ
ルシランについても、その代わりに、トリメトキシメチ
ルシラン、トリエトキシメチルシラン等のアルコキシシ
ラン化合物を使用することができる。
【0055】化合物IIの合成例−2 化合物IIは、以下に示す方法によっても合成可能であ
る。 ステップ
【0056】
【化22】 化合物VIIとp−ブロモフェノールの混合物を、溶媒
中、アルカリ試薬の存在下反応させ、化合物XXIを得
る。反応条件、試薬等については、化合物IIの合成例
−1のステップにおけるp−ヒドロキシ安息香酸メチ
ルをp−ブロモフェノールに変えた以外は、化合物II
の合成例−1のステップと同様である。なお、p−ブ
ロモフェノールの代りに、p−ヨードフェノール、p−
クロルフェノールを用い、臭化物である化合物XXIの
代りに対応するヨウ化物、塩化物を得、続くステップ
に用いてもよい。
【0057】ステップ ステップ−1:p=1の場合
【0058】
【化23】
【0059】(i)溶媒中、触媒存在下、化合物XXI
とクロルジメチルシランの間でヒドロシリル化反応を行
うことにより、化合物XXIIを得、(ii)化合物X
XIIを水と反応させることにより化合物XXIIIを
得、(iii)化合物XXIIIを溶媒中、適当なハロ
ゲン化水素受容剤の存在下、化合物XVIと反応させる
ことにより化合物XXIVを得る。
【0060】反応条件、試薬等については、化合物XI
Iを化合物XXIに、化合物XIVを化合物XXII
に、化合物XVを化合物XXIIIに、そして化合物I
Iを化合物XXIVに置き換える以外は、化合物IIの
合成例−1のステップ−1と同様である。また、臭化
物である化合物XXIの代りに、対応するヨウ化物、塩
化物を用いることにより、臭化物である化合物XXIV
の代りに対応するヨウ化物、塩化物を得、続くステップ
に用いてもよい。
【0061】−2:p=2の場合
【0062】
【化24】 (i)化合物XVIを水と反応させることにより、化合
物XVIIを得る。
【0063】(ii)この化合物XVIIと、化合物I
Iの合成例−2の−1と同様の方法によって得た化合
物XXIII、さらにジクロルジメチルシランを、溶媒
中、適当なハロゲン化水素受容剤の存在下、反応させる
ことにより、化合物XXIVを得る。
【0064】(i)においては、等モル量の水を、TH
F等の水と混合可能な溶媒に溶かし、化合物XVIに加
える。反応温度は0〜80℃の範囲で任意に設定可能で
あるが、通常、室温又は水冷下で行う。ピリジン、トリ
エチルアミン等の2級アミンをハロゲン化水素受容剤と
して加える。
【0065】(i)で得られた化合物XVIIを含む溶
液及び化合物IIの合成例−2の−1と同様の方法に
よって得られた化合物XXIIIを含む溶液を混合し、
必要に応じ、THF等のエーテル系不活性溶媒、又はト
ルエン、ヘキサン等の炭化水素系不活性溶媒を加え、こ
こに、ジクロルジメチルシランをTHF等のエーテル系
不活性溶媒、又はトルエン、ヘキサン等の炭化水素系不
活性溶媒に溶解して添加し、更にピリジン、トリエチル
アミン等の3級アミンをハロゲン化水素受容剤として加
え、攪拌することによって化合物XXIVを得る。反応
は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、室温又は
水冷下で行う。反応性の低いときは、20〜80℃の適
当な温度に加熱してもよい。
【0066】また、臭化物である化合物XXIの代りに
対応するヨウ化物、塩化物を用いることにより、臭化物
である化合物XXIVの代りに、対応するヨウ化物、塩
化物を得、続くステップに用いてもよい。
【0067】ステップ
【0068】
【化25】 (i)溶媒中、化合物XXIVとマグネシウムを反応さ
せ、グリニャール試薬とし、(ii)さらに二酸化炭素
と反応させることいより、化合物XXVを得る。(i)
の溶媒としては、THF等のエーテル系不活性溶媒が好
適である。反応促進のため、I2、1,2−ジブロモエ
タン等を加えてもよい。反応は窒素、アルゴン等の不活
性ガス雰囲気下、室温又は20〜80℃の適当な温度に
加熱して行う。(ii)においては、(i)の反応溶液
に二酸化炭素をバブリングしてもよいし、(i)の反応
溶液をドライアイスに加えてもよい。
【0069】ステップ
【0070】
【化26】 化合物XXVと化合物XIを、DCC等の縮合剤を用い
て反応させることにより、化合物IIを得る。反応促進
のため、4−ジメチルアミノピリジン等を加えてもよ
い。溶媒としては、トルエン、塩化メチレン等が使用さ
れる。反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下
で行う。反応温度は、0〜80℃の範囲で任意に設定可
能であるが、通常、室温で反応を行う。
【0071】本発明の高分子化合物の製造原料として用
いる前記シリコン化合物(化合物VI)は、2個のSi
−H結合を持った化合物であり、
【0072】
【化27】 の場合、kの値が1、2、3のものはkの値に分布はほ
とんどなく単一なものが用いられるが、kの値が大きな
化合物は重合度(kの値)に分布があるため、kの値
は、平均値で表わされる。したがって、得られた高分子
化合物のkも平均値である。化合物VIの具体例として
は、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,
1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、
1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラ
シロキサン、及びケイ素原子の数が6又は7のα,ω−
ハイドロジェンオリゴジメチルシロキサン、更に、1,
1−ビス(ジメチルシリル)メタン、1,1,4,4−
テトラメチルジシルエチレン、1,3−ビス(ジメチル
シリル)プロパン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ブ
タン等を挙げることができる。これらの化合物VIは、
前記共重合反応に1種単独で使用してもよいし、必要に
応じて、2種以上を併用してもよい。
【0073】以上のように詳細に説明した化合物II及
び化合物VIを製造原料として用い、前述の高分子化合
物の製造例に従うことによって、本発明の新規高分子化
合物を好適に得ることができる。
【0074】本発明はまた、前記の新規高分子化合物と
低分子のスメクチック液晶化合物からなる強誘電性液晶
組成物を提供するものである。
【0075】本発明の強誘電性液晶組成物は前記新規高
分子化合物と低分子のスメクチック液晶化合物を混合す
ることにより得られる。
【0076】本発明において用いられる低分子のスメク
チック液晶化合物については特に制限はなく、従来公知
の化合物の中から任意のものを1種以上選択して用いる
ことができる。該液晶化合物としては、例えば、
【0077】
【化28】
【0078】
【化29】 (式中のR3及びR4は、それぞれ炭素数1〜12の直鎖
状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシ
カルボニル基又はアシルオキシ基であり、それらは同一
であってもよいし、互いに異なっていてもよく、d、e
は2〜5の整数、gは8〜12の整数、hは0〜3の整
数、iは1〜7の整数、*は不斉炭素原子を表わす。)
及び本発明の新規高分子化合物の合成に用いられる一般
式[II]で表わされるジエン化合物などを挙げること
ができる。
【0079】更に、一般式
【0080】
【化30】 で表される化合物なども用いることができる。前記一般
式(XXVI)におけるR5は炭素数7〜12のアルキ
ル基、炭素数6〜15のアルコキシ基又は炭素数6〜1
2のアルコキシカルボニル基又はアシルオキシ基、一般
式(XXVI)及び(XXIX)におけるR6は炭素数
7〜12のアルキル基又は炭素数6〜11のアルコキシ
基である。また、一般式(XXVII)におけるR7
びR8は、それぞれ炭素数4〜14のアルキル基又はア
ルコキシ基であり、それらは同一であってもよいし、互
いに異なっていてもよい。一方、一般式(XXVII
I)におけるR9は炭素数4〜14のアルキル基、R10
は炭素数5〜14のアルキル基又は炭素数4〜14のア
ルコキシ基である。一般式(XXIX)におけるR
11は、炭素数7〜12のアルキル基又は炭素数6〜20
のアルコキシ基である。R5、R11におけるメチレン基
の一部は、エステル基、酸素原子に置換されていてもよ
い。ただし、エステル基や酸素原子が連続することはな
い。また、R5〜R11は直鎖でも分岐状であってもよ
い。
【0081】これらの液晶化合物の具体例としては、
【0082】
【化31】
【0083】
【化32】 などが挙げられる。
【0084】前記新規高分子化合物は構造上くし型ポリ
マーであるので、混合系である本発明の強誘電性液晶組
成物において、高分子の側鎖の間に低分子のスメクチッ
ク液晶化合物が入り込み相溶系となる。図1はこの様子
を模式的に示した説明図である。
【0085】本発明の強誘電性液晶組成物はこのように
相溶系になるのでコントラスト比もよく、外的因子に対
して高速に応答する。また、高分子化合物を含んでいる
ので配向性がよく、配向制御も容易で簡便に液晶光学素
子を製作することができる。
【0086】また、くし型ポリマーに光学活性基が導入
されているので、混合する低分子のスメクチック液晶化
合物が非カイラルのスメクチック液晶であっても、くし
型ポリマーがカイラルドーパントとしての役割を果た
し、組成物として強誘電性を発現することができ、液晶
組成物を強誘電性液晶組成物とすることができる。
【0087】また、本発明の強誘電性液晶組成物におい
ては、高分子化合物はカイラルドーパントとして機能
し、また組成物に成形性及び良好な配向性を付与する役
割を果せばよいのであって、必ずしもそれ自体がSC *
を有するものでなくてもよい。
【0088】また、本発明の強誘電性液晶組成物には、
構成成分として更に下記繰り返し単位[III]からな
る高分子化合物を加えてもよい。
【0089】
【化33】 (式中、d、eは2〜5の整数、fは1〜6の数、gは
8〜12の整数、hは0〜3の整数、iは1〜7の整
数、*は不斉炭素原子を表す。)この高分子化合物[I
II]は室温域を含む幅広い温度範囲でSC *層を発現す
るとともに、本発明の新規高分子化合物同様に、主鎖内
に柔軟なシロキサン鎖を有し、側鎖間隔が広い。従っ
て、本発明の高分子化合物及び低分子のスメクチック液
晶化合物に添加した場合、組成物の相溶系をくずすこと
なく、良好な成形性及び配向性を有する強誘電性組成物
を得ることができる。
【0090】この高分子化合物[III]は、例えば下
記の一般式で表されるジエン化合物[XXX]とシリコ
ン化合物[XXXI]
【0091】
【化34】 (式中、d、e、f、g、h、i及び*は上記と同じ意
味を有する。)とをほぼ等モルの割合で溶媒中、触媒の
存在下、ヒドロシリル化反応を行うことにより製造する
ことができる。
【0092】化合物[XXX]と化合物[XXXI]の
ヒドロシリル化反応を行う溶媒としては、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の不活性芳香族炭化水素系溶媒及び
THF、ジイソプロピルエーテル等の不活性なエーテル
系溶媒などが好ましく用いられる。また触媒としては、
塩化白金酸、プラチナム(II)アセチルアセトナー
ト、ジシクロペンタジエニルプラチナムクロリド等の白
金系触媒が好ましく用いられる。また、反応は好ましく
は不活性雰囲気下で60〜90℃で5〜20時間行われ
る。
【0093】高分子化合物と低分子のスメクチック液晶
化合物の混合方法としては、特に制限はなく、直接混合
でも溶液混合でもよい。例えば、溶液混合としては、高
分子化合物と低分子のスメクチック液晶化合物の所定量
を容器に入れてジクロルメタン等の溶媒に溶解し混合し
て溶媒を蒸発させる方法が好適である。
【0094】混合比率としては、高分子化合物[II
I]を加えない場合、新規高分子化合物の分率を5〜9
9重量%とすることが好ましい。高分子化合物の分率が
5重量%未満では液晶組成物の製膜性、配向性が低下す
ることがある。また、混合する低分子のスメクチック液
晶化合物が非カイラルの場合、強誘電相を発現しないな
どの不都合を生じることがある。高分子化合物の分率が
99重量%を超えると電界変化に対する応答時間が長く
なることがある。また、高分子化合物[III]を加え
る場合、高分子化合物[I]及び[III]の分率の合
計が5〜99重量%となることが好ましい。また、高分
子化合物中に占める本発明の新規高分子化合物の分率
は、40〜99重量%となることが好ましい。本発明の
新規高分子化合物の分率が40重量%未満では、電界に
対する応答時間が長くなることがある。混合物中には色
素、接着剤等が含まれていてもよい。
【0095】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0096】電界応答時間(τ)は、25℃で±10V
/μmの矩形波状電圧 を印加し、その際の透過光量変化
(10→90%)に要した必要な時間である。測定法は
すべて実施例11の方法により行った。
【0097】なお、相転移挙動を示す式中、各記号は下
記の意味を有する。 glass:ガラス相、SC *:カイラルスメクチックC
液晶相、Iso:等方性液体相、SA:スメクチックA
相、N*:カイラルネマチック相、Cryst:結晶状
態 相転移温度は偏光顕微鏡観察により決定した。測定法は
すべて実施例11の方法により行った。なお、相転移挙
動を示す式中、数字は℃を表わす。また、以下の実施例
においてMwは重量平均分子量を表わし、GPC測定に
よるポリスチレン換算値である。
【0098】実施例1 高分子化合物Aの合成
【0099】
【化35】 化合物(1)の合成
【0100】
【化36】 4−(9−デセニルオキシ)ベンゾイックアシッド8.
0gに、チオニルクロリド4mlを加え、65℃で4時
間攪拌した。過剰のチオニルクロリドを減圧留去した
後、トルエン20mlを加えた。そこへ、(S)−1−
メチルブチル 4−ヒドロキシビフェニル−4′−カル
ボキシレート9.1g、ピリジン2.8gのトルエン2
0ml溶液を室温で滴下し、室温で1日反応させた。生
じた不溶物を濾過により除き、溶媒を減圧留去した。エ
タノールからの再結晶により、目的物(1)11.7g
を得た(収率74%)。
【0101】モノマーaの合成
【0102】
【化37】 ジアリルジクロルシラン 1.0gをTHF10mlに
溶解し、ここにメチルリチウムの1.4Mジエチルエー
テル溶液3.6mlを水冷下、アルゴン雰囲気で滴下し
た。その後、水冷下3時間攪拌した。固形物を除去し、
ジアリルクロルメチルシラン(2)のエーテル系溶液を
得た。
【0103】同時に、化合物(1)1.0gをトルエン
2mlに溶解し、更に、クロルジメチルシラン0.35
g、塩化白金酸・6水和物の4重量%2−プロパノール
溶液20μlを加え、アルゴン雰囲気下100℃で4時
間攪拌し、クロルシラン化合物(3)を得た。この反応
溶液に、水36mg、トリエチルアミン0.20gのT
HF10ml溶液を加え、水冷下10分間攪拌し、シラ
ノール化合物(4)を得た。
【0104】この反応溶液に前記のジアリルクロルメチ
ルシラン(2)のエーテル系溶液及びトリエチルアミン
0.56gのTHF5ml溶液を水冷下、アルゴン雰囲
気で滴下した。その後、室温で2日間反応させた。食塩
水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留
去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精
製し、目的とするモノマーa 0.60gを得た(収率
44%)。モノマーaの1 −NMRチャートを図2
に、諸物性を表1に示す。
【0105】重合 モノマーa 0.40gをトルエン5mlに溶解させた
系をアルゴン置換した。1,1,3,3−テトラメチル
ジシロキサン98mgと塩化白金酸・6水和物の4重量
%2−プロパノール溶液30μlを加え、85℃で17
時間反応させた。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラム
クロマトグラフィーにより精製し、高分子化合物A0.
43gを得た(収率86%)。高分子化合物Aの1
NMRチャートを図3に、諸物性を表2に示す。
【0106】実施例2 高分子化合物Bの合成
【0107】
【化38】 実施例1と同様の方法で得られたモノマーa0.39g
をトルエン5mlに溶解させた系をアルゴン置換した。
α,ω−ハイドロジェンオリゴジメチルシロキサン(重
量平均分子量670)0.16gと塩化白金酸・6水和
物の4重量%2−プロパノール溶液20μlを加え、8
5℃で10時間反応させた。溶媒を減圧留去し、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、高分子化
合物B0.45gを得た(収率82%)。高分子化合物
Bの1 −NMRチャートを図4に、諸物性を表2に示
す。
【0108】実施例3 高分子化合物Cの合成
【0109】
【化39】 化合物(5)の合成
【0110】
【化40】 4−(9−デセニルオキシ)ベンゾイックアシッド4.
0gにチオニルクロリド7mlを加え、65℃で6時間
攪拌した。過剰のチオニルクロリドを減圧留去した後、
トルエン10mlを加えた。そこへ、(S)−1−メチ
ルヘプチル 4−ヒドロキシビフェニル−4′−カルボ
キシレート5.2g、ピリジン1.4gのトルエン15
ml溶液を室温で滴下し、室温で1日反応させた。生じ
た不溶物を濾過により除き、溶媒を減圧留去した。エタ
ノールからの再結晶により、目的物(5)6.2gを得
た(収率73%)。
【0111】モノマーbの合成
【0112】
【化41】 ジアリルジクロルシラン4.7gをTHF35mlに溶
解し、ここにメチルリチウムの1.4Mジエチルエーテ
ル溶液20mlを水冷下、アルゴン雰囲気で10分間で
滴下した。その後、水冷下3時間攪拌した。固形物を除
去し、ジアリルクロルメチルシラン(2)のエーテル系
溶液を得た。
【0113】同時に、化合物(5)5.0gをトルエン
10mlに溶解し、更に、クロルジメチルシラン2.4
g、塩化白金酸・6水和物の4重量%2−プロパノール
溶液70μlを加え、アルゴン雰囲気下100℃で4時
間攪拌し、クロルシラン化合物(6)を得た。この反応
溶液を、THF240ml、水16mlの混合溶液に加
え、10分間室温で放置し、シラノール化合物(7)を
得た。
【0114】硫酸マグネシウムで乾燥後、この反応溶液
に前記のジアリルクロルメチルシラン(2)のエーテル
系溶液及びトリエチルアミン2.1gを水冷下、アルゴ
ン雰囲気で滴下した。その後、水冷下で2日間反応させ
た。固形物を濾過により除いた後、食塩水で洗浄し、硫
酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とす
るモノマーb 0.78gを得た(収率12%)。モノ
マーbの1 −NMRチャートを図5に、諸物性を表1
に示す。
【0115】重合 モノマーb 0.30gをトルエン4mlに溶解させた
系をアルゴン置換した。1,1,3,3−テトラメチル
ジシロキサン97mgと塩化白金酸・6水和物の4重量
%2−プロパノール溶液40μlを加え、85℃で18
時間反応させた。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラム
クロマトグラフィーにより精製し、高分子化合物C
0.32gを得た(収率81%)。高分子化合物Cの1
−NMRチャートを図6に、諸物性を表2に示す。
【0116】実施例4 高分子化合物Dの合成
【0117】
【化42】 メチル 4−(7−オクテニルオキシ)ベンゾエート
(8)の合成 8−ブロモオクテン5.2g、メチル 4−ヒドロキシ
ベンゾエート5.0g、炭酸カリウム14gを2−ブタ
ノン70mlに加え、アルゴン雰囲気下、7時間還流し
た。固形物を濾別後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物
(8)4.9gを得た(収率68%)。
【0118】4−(7−オクテニルオキシ)ベンゾイ
ックアシッド(9)の合成 化合物(8)4.9g、水酸化カリウム3.7gを水5
0ml、メタノール20mlの混合溶媒に加え、5時間
還流した。反応液を水200mlに注ぎ、濃塩酸でpH
を約1とした。生じた固形物を濾取し、水洗後、乾燥
し、化合物(9)4.0gを得た(収率87%)。
【0119】化合物(10)の合成
【0120】
【化43】 化合物(9)3.8gに、チオニルクロリド7mlを加
え、60℃で3時間攪拌した。過剰のチオニルクロリド
を減圧留去した後、トルエン10mlを加えた。そこ
へ、(S)−1−メチルブチル 4−ヒドロキシビフェ
ニル−4′−カルボキシレート4.6g、ピリジン1.
2gのトルエン8ml溶液を室温で滴下し、室温で1日
反応させた。生じた不溶物を濾過により除き、溶媒を減
圧留去した。エタノールからの再結晶により、目的物
(10)4.8gを得た(収率65%)。
【0121】モノマーcの合成
【0122】
【化44】 ジアリルジクロルシラン5.0gをTHF35mlに溶
解し、ここにメチルリチウムの1.4Mジエチルエーテ
ル溶液22mlを水冷下、アルゴン雰囲気で10分間で
滴下した。その後、水冷下5時間攪拌した。固形物を除
去し、ジアリルクロルメチルシラン(2)のエーテル系
溶液を得た。
【0123】同時に、化合物(10)4.7gをトルエ
ン10mlに溶解し、更に、クロルジメチルシラン2.
5g、塩化白金酸・6水和物の4重量%2−プロパノー
ル溶液70μlを加え、アルゴン雰囲気下100℃で5
時間攪拌し、クロルシラン化合物(11)を得た。この
反応溶液を、THF240ml、水16mlの混合溶液
に加え、10分間室温で放置し、シラノール化合物(1
2)を得た。
【0124】硫酸マグネシウムで乾燥後、この反応溶液
に前記のジアリルクロルメチルシラン(2)のエーテル
系溶液及びトリエチルアミン2.2gを水冷下、アルゴ
ン雰囲気で滴下した。その後、水冷下で2日間反応させ
た。固形物を濾過により除いた後、食塩水で洗浄し、硫
酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とす
るモノマーc 1.5gを得た(収率22%)。モノマ
ーcの1H−NMRチャートを図7に、諸物性を表1に
示す。
【0125】重合 モノマーc 0.40gをトルエン5mlに溶解させた
系をアルゴン置換した。1,1,3,3−テトラメチル
ジシロキサン0.12gと塩化白金酸・6水和物の4重
量%2−プロパノール溶液40μlを加え、85℃で1
7時間反応させた。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより精製し、高分子化合物D
0.42gを得た(収率81%)。高分子化合物Dの1
−NMRチャートを図8に、諸物性を表2に示す。
【0126】実施例5 高分子化合物Eの合成
【0127】
【化45】 実施例1と同様の方法で得られたモノマーa0.10g
をトルエン2mlに溶解させた系をアルゴン置換した。
α,ω−ハイドロジェンオリゴジメチルシロキサン(重
量平均分子量670)97mgと塩化白金酸・6水和物
の4重量%2−プロパノール溶液20μlを加え、85
℃で15時間反応させた。更に、モノマーa 0.40
g、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン48m
g、塩化白金酸・6水和物の4重量%2−プロパノール
溶液10μl、トルエン2mlを追加し、85℃で4時
間反応させた。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーにより精製し、高分子化合物E 0.
52gを得た(収率81%)。高分子化合物Eの1
NMRチャートを図9に、諸物性を表2に示す。
【0128】実施例6 高分子化合物Fの合成
【0129】
【化46】 実施例3と同様の方法で得られたモノマーb 80mg
をトルエン2mlに溶解させた系をアルゴン置換した。
α,ω−ハイドロジェンオリゴジメチルシロキサン(重
量平均分子量670)70mgと塩化白金酸・6水和物
の4重量%2−プロパノール溶液20μlを加え、85
℃で15時間反応させた。更に、モノマーb 0.32
g、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン36m
g、塩化白金酸・6水和物の4重量%2−プロパノール
溶液10μl、トルエン2mlを追加し、85℃で4時
間反応させた。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーにより精製し、高分子化合物F0.4
3gを得た(収率85%)。高分子化合物Fの1 −N
MRチャートを図10に、諸物性を表2に示す。
【0130】実施例7 高分子化合物Gの合成
【0131】
【化47】 モノマーa0.40gをトルエン4mlに溶解させた系
をアルゴン置換した。1,1,4,4−テトラメチルジ
シルエチレン44mgと塩化白金酸六水和物の4重量%
2−プロパノール溶液20μlを加え、85℃で3時間
反応させた。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィーにより精製し、高分子化合物G 0.3
9gを得た(収率88%)。高分子化合物Gの1H−N
MRチャートを図11に、諸物性を表2に示す。
【0132】実施例8 高分子化合物Hの合成
【0133】
【化48】 化合物(13)の合成
【0134】
【化49】 4−(10−ウンデセニルオキシ)ベンゾイックアシッ
ド4.0gに、チオニルクロリド3mlを加え、70℃
で4時間攪拌した。過剰のチオニルクロリドを減圧留去
した後、トルエン30mlを加えた。そこへ、(s)−
1−メチルブチル 4−ヒドロキシビフェニル−4′−
カルボキシレート3.7g、ピリジン1.3gのトルエ
ン15ml溶液を室温で滴下し、室温で1日反応させ
た。生じた不溶物を瀘過により除き、溶媒を減圧留去し
た。エタノールからの再結晶により、目的物(13)
4.3gを得た(収率55%)。
【0135】モノマーdの合成
【0136】
【化50】 ジアリルジクロルシラン2.6gをTHF40mlに溶
解し、ここにメチルリチウムの1.4Mジエチルエーテ
ル溶液10mlを水冷下、アルゴン雰囲気で滴下した。
その後、水冷下3時間攪拌した。固形物を除去し、ジア
リルクロルメチルシラン(2)のエーテル系溶液を得
た。
【0137】同時に、化合物(13)4.0gをトルエ
ン8mlに溶解し、更に、クロルジメチルシラン1.4
g、塩化白金酸六水和物の4重量%2−プロパノール溶
液80μlを加え、アルゴン雰囲気下、100℃で3時
間30分間攪拌し、クロルシラン化合物(14)を得
た。この反応溶液に、水0.13g、トリエチルアミン
0.73gのTHF40ml溶液を加え、水冷下、10
分間攪拌し、シラノール化合物(15)を得た。
【0138】この反応溶液に前記のジアリルクロルメチ
ルシラン(2)のエーテル系溶液及びトリエチルアミン
1.5gのTHF40ml溶液を水冷下、アルゴン雰囲
気で滴下した。その後、室温で2日間反応させた。食塩
水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留
去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精
製した後、エタノールより再結晶を行い、目的とするモ
ノマーd 1.5gを得た(収率28%)。モノマーd
1H−NMRチャートを図12に、諸物性を表1に示
す。
【0139】重合 モノマーd 0.29gをトルエン4mlに溶解させた
系をアルゴン置換した。1,1,4,4−テトラメチル
ジシルエチレン24mgと塩化白金酸六水和物の4重量
%2−プロパノール溶液20μlを加え、85℃で3時
間反応させた。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーにより精製し、高分子化合物H 0.
32gを得た(収率92%)。高分子化合物Hの1H−
NMRチャートを図13に、諸物性を表2に示す。
【0140】実施例9 高分子化合物Iの合成
【0141】
【化51】 モノマーeの合成
【0142】
【化52】 ジアリルジクロルシラン5.2gをTHF40mlに溶
解し、ここにメチルリチウムの1.4Mジエチルエーテ
ル溶液20mlを水冷下、アルゴン雰囲気で滴下した。
その後、水冷下2時間攪拌した。固形物を除去し、ジア
リルクロルメチルシラン(2)のエーテル系溶液を得
た。ここに、水冷下、水0.52g及びトリエチルアミ
ン2.9gのTHF50ml溶液を加え、アルゴン雰囲
気で10分間攪拌することによりシラノール化合物(1
6)のエーテル系溶液を得た。
【0143】同時に、化合物(1)5.2gをトルエン
10mlに溶解し、更にクロルジメチルシラン1.8
g、塩化白金酸六水和物の4重量%2−プロパノール溶
液50μlを加え、アルゴン雰囲気下、100℃で2時
間30分間攪拌し、クロルシラン化合物(2)を得た。
この反応溶液に、水0.17g、トリエチルアミン0.
96gのTHF50ml溶液を加え、水冷下10分間攪
拌し、シラノール化合物(3)を得た。この反応溶液と
前記のシラノール化合物(16)のエーテル系溶液を混
合し、更にトリエチルアミン3.9gのTHF50ml
溶液とジクロルジメチルシラン2.5gのTHF50m
l溶液を水冷下、アルゴン雰囲気で滴下した。その後、
室温で2日間反応させた。食塩水で洗浄し、硫酸マグネ
シウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより精製した後、エタノールよ
り再結晶を行い、目的とするモノマーe 2.5gを得
た(収率32%)。モノマーeの1H−NMRチャート
を図14に、諸物性を表1に示す。
【0144】重合 モノマーe 0.20gをトルエン3mlに溶解させた
系をアルゴン置換した。1,1,4,4−テトラメチル
ジシルエチレン16mgと塩化白金酸六水和物の4重量
%2−プロパノール溶液15μlを加え、85℃で3時
間反応させた。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーにより精製し、高分子化合物I 0.
21gを得た(収率97%)。高分子化合物Iの1H−
NMRチャートを図15に、諸物性を表2に示す。
【0145】実施例10 モノマーaの合成 ブロモ体(17)の合成 ジアリルジクロルシラン5.8gをTHF20mlに溶
解し、ここにメチルリチルムの1.4Mジエチルエーテ
ル溶液23mlを水冷下、アルゴン雰囲気で滴下した。
その後、水冷下2時間攪拌した。固形物を除去し、ジア
リルクロルメチルシラン(2)のエーテル系溶液を得
た。
【0146】同時に、4−(9−デセニルオキシ)ブロ
モベンゼン(18)4.0gをトルエン8mlに溶解
し、更に、クロルジメチルシラン2.4g、塩化白金酸
六水和物の4重量%2−プロパノール溶液140μlを
加え、アルゴン雰囲気下、100℃で3時間30分間攪
拌し、クロルシラン化合物(19)を得た。この反応溶
液に、水0.26g、トリエチルアミン1.4gのTH
F40ml溶液を加え、水冷下、10分間攪拌し、シラ
ノール化合物(20)を得た。
【0147】この反応溶液に前記のジアリルクロルメチ
ルシラン(2)のエーテル系溶液及びトリエチルアミン
3.3gのTHF40ml溶液を水冷下、アルゴン雰囲
気で滴下した。その後、室温で2日間反応させた。食塩
水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留
去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精
製し、目的とするブロモ体(17)3.2gを得た(収
率49%)。
【0148】モノマーaの合成 ブロモ体(17)1.0g、マグネシウム71mg、
1,2−ジブロモエタン42mgをTHF40mlに加
え、5時間還流した。これをドライアイス33gに加
え、室温となるまで放置した後、塩化メチレンを加え
た。2N塩酸水溶液及び食塩水で洗浄し、硫酸マグネシ
ウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、カルボン酸化合物
(21)を得た。
【0149】化合物(21)0.7g、(s)−1−メ
チルブチル 4−ヒドロキシビフェニル−4′−カルボ
キシレート0.42g、DCC0.33g、4−ジメチ
ルアミノピリジン36mgをトルエン10mlに溶解
し、室温で8時間攪拌した。析出物を除去した後、溶媒
を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにより精製した後、エタノールより再結晶を行
い、目的とするモノマーa0.56gを得た(ブロモ体
からの収率38%)。1H−NMR及び相転移温度の測
定により、実施例10で得られたモノマーaが実施例1
で得られたモノマーaと同一であることを確認した。
【0150】
【表1】
【0151】
【表2】
【0152】実施例11 実施例4で得られた高分子化合物Dとチッソ石油化学
(株)製の強誘電性液晶CS−1015を重量比8:2
の割合で混合し、組成物を得た。 混合方法 実施例4の高分子化合物D 40mgとCS−1015
10mgを計りとり、溶媒(ジクロロメタン)5ml
に溶解し、お互いによく撹拌した後、約100℃で溶媒
を蒸発させた。
【0153】上記組成物をITO電極付ガラス基板(電
極面積0.2cm2、ITOの厚さ1000オングスト
ローム)に狭持し、偏光顕微鏡下(倍率400倍)で観
察し、相の同定を行った(セル厚、3μm)。必要に応
じて上下電極間に±10Vの電圧を印加した。 液晶状態では分散系特有の島状構造は観察されず一様に
液晶相となっており、相溶系になっていることが確認で
きた。続いて上記セルに79℃において上下基板間に剪
断応力を数回かけて(剪断法による配向)液晶を配向さ
せた。これに25℃において±30Vの矩形波状電圧を
印加し、応答時間を測定したところ 0.46msであ
った。
【0154】実施例12 実施例1で得られた高分子化合物Aと下記液晶P100
8(みどり化学(株)製)を重量比8:2の割合で混合
した。
【0155】
【化53】 混合方法は実施例11と同じとした。 25℃での応答時間0.63ms 相転移、応答時間の測定方法、条件は実施例11と同じ
とした。(但し、配向温度は87℃) 液晶状態では分散系特有の島状構造は観察されずに一様
に液晶相となっており相溶系となっていることが確認で
きた。
【0156】実施例13 実施例6で得られた高分子化合物Fと液晶P1008
(みどり化学(株)製)を重量比8:2の割合で混合し
た。混合方法は実施例11と同じとした。 25℃での応答時間0.23ms 相転移、応答時間の測定方法、条件は実施例11と同じ
とした。(但し、配向温度は67℃) 液晶状態では分散系特有の島状構造は観察されずに一様
に液晶相となっており相溶系となっていることが確認で
きた。
【0157】実施例14 実施例2で得られた高分子化合物Bと下記低分子強誘電
性液晶(一般に公知であり常法により合成した。)
【0158】
【化54】 (SX はSC 相より高次のスメクチック相) を表3のような割合で混合した。混合方法は実施例11
と同じにした。
【0159】
【表3】 相転移、応答時間の測定方法は実施例11と同じとし
た。但し、配向温度は8:2のものは106℃、6:4
のものは121℃とした。
【0160】実施例15 実施例12と同じ組成の液晶組成物を用いて液晶光学素
子を作製した。上記組成物を20重量%のトルエン溶液
とし、ITO電極付のポリエーテルスルホン(PES)
基板の電極面上にマイクログラビアコーターを用いて厚
み3μmに製膜した。溶媒乾燥後、直ちに何も塗布して
いない同種の基板を液晶層と電極面が接するようにラミ
ネートし、配向処理前の未配向素子原反(幅150m
m、長さ3m)を作製した。
【0161】次いで、図16に示すような4本の加熱ロ
ール群からなる配向装置を用いて、上記の未配向素子4
の曲げ配向処理を行った。各加熱ロール3は直径80m
mのクロムメッキを施した鉄製であり、幅300mmの
ものを用いた。表面温度はT1=90℃、T2=88℃、
3=86℃、T4=82℃にコントロールし、ライン速
度はv=8m/分とした。この配向装置によって未配向
素子4の液晶は曲げ変形による剪断を与えられながら等
方相から液晶相へ冷却され、最終的には基板長手方向と
垂直な方向に一軸水平配向し、配向済素子5が得られ
た。
【0162】上記素子の上下に偏光板を、偏光軸が互い
に直交するように配し、電極間に±20Vの電圧を印加
し、コントラスト比を測定したところ22であり、良好
なコントラストが得られた。
【0163】よってこの組成物は上記のような簡便な方
法を用いて液晶光学素子を連続生産するために好適であ
ることが実証された。
【0164】実施例16 実施例7で得られた高分子化合物Gと液晶P1008
(みどり化学(株)製)を重量比8:2の割合で混合し
た。混合方法は実施例11と同じとした。得られた液晶
組成物の相転移挙動及び応答時間を以下に示す。 25℃での応答時間 0.69ms 相転移、応答時間の測定方法、条件は実施例11と同じ
とした。但し、配向温度は88℃とした。
【0165】液晶状態では分散系特有の島状構造は観察
されずに一様に液晶相となっており、相溶系となってい
ることが確認できた。
【0166】実施例17 実施例7で得られた高分子化合物Gと下記高分子化合物
J、液晶P1008(みどり化学(株)製)を重量比
5:2:3の割合で混合した。
【0167】
【化55】 混合方法は実施例11と同じとした。得られた液晶組成
物の相転移挙動及び応答時間を以下に示す。 25℃での応答時間 0.62ms 相転移、応答時間の測定方法、条件は実施例11と同じ
とした。但し、配向温度は86℃とした。
【0168】液晶状態では分散系特有の島状構造は観察
されずに一様に液晶相となっており、相溶系となってい
ることが確認できた。
【0169】
【発明の効果】本発明の新規高分子化合物は優れたカイ
ラルドーパントであり、またカイラルスメクチックC相
を発現する場合には室温を含む幅広い温度範囲でカイラ
ルスメクチックC相を発現し、電界変化に高速に応答す
る。
【0170】また、本発明の強誘電性液晶組成物は配向
が簡単に行なえる良好な配向性を有する上に、電界に対
する高速応答性を有している。
【0171】本発明の原料化合物であるジエン化合物は
本発明の新規高分子化合物の原料として有用な新規化合
物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の強誘電性液晶組成物中で高分子化合物
と低分子のスメクチック液晶化合物とが相溶系を形成し
ている様子を示した説明図。
【図2】実施例1で得たモノマーaの1 −NMRチャ
ート。
【図3】実施例1で得た高分子化合物Aの1 −NMR
チャート。
【図4】実施例2で得た高分子化合物Bの1 −NMR
チャート。
【図5】実施例3で得たモノマーbの1 −NMRチャ
ート。
【図6】実施例3で得た高分子化合物Cの1 −NMR
チャート。
【図7】実施例4で得たモノマーcの1 −NMRチャ
ート。
【図8】実施例4で得た高分子化合物Dの1 −NMR
チャート。
【図9】実施例5で得た高分子化合物Eの1 −NMR
チャート。
【図10】実施例6で得た高分子化合物Fの1 −NM
Rチャート。
【図11】実施例7で得た高分子化合物Gの1H−NM
Rチャート。
【図12】実施例8で得たモノマーdの1H−NMRチ
ャート。
【図13】実施例8で得た高分子化合物Hの1H−NM
Rチャート。
【図14】実施例9で得たモノマーeの1H−NMRチ
ャート。
【図15】実施例9で得た高分子化合物Iの1H−NM
Rチャート。
【図16】実施例で用いた配向装置の説明図。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式で表わされる繰り返し単
    位[I]からなる新規高分子化合物。 【化1】 (式中、m、nは2〜5の整数、pは1又は2、aは4
    〜20の整数、bは0〜3の整数、cは1〜7の整数を
    表し、*は不斉炭素原子を表し、Yは 【化2】 を表し、ただし、kは1〜13の数、jは1〜4の整数
    である。)
  2. 【請求項2】 カイラルスメクチックC相を示す請求
    項1記載の新規高分子化合物。
  3. 【請求項3】 下記の一般式[II]で表わされるジ
    エン化合物。 【化3】 (式中、m、nは2〜5の整数、pは1又は2、aは4
    〜20の整数、bは0〜3の整数、cは1〜7の整数を
    表わし、*は不斉炭素原子を表わす。)
  4. 【請求項4】 請求項1記載の新規高分子化合物と低
    分子のスメクチック液晶化合物からなる強誘電性液晶組
    成物。
  5. 【請求項5】 低分子のスメクチック液晶化合物が強
    誘電性液晶化合物でである請求項4記載の強誘電性液晶
    組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の新規高分子化合物、下記
    の一般式で表される繰り返し単位[III]からなる高
    分子化合物及び低分子のスメクチック液晶化合物からな
    る強誘電性液晶組成物。 【化4】 (式中、d、eは2〜5の整数、fは1〜6の数、gは
    8〜12の整数、hは0〜3の整数、iは1〜7の整
    数、*は不斉炭素原子を表す。)
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