JPH0670291U - 電気装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気装置を、製造工程が簡単で防水、防湿が
完全なものとする。 【構成】 内部に電気部品９を収納し、外部に電気部品
ＬＥＤ、ＰＤを装着したインナーケース７、およびこの
インナーケースを内部に収納するアウターケース３を具
備する電気装置において、インナーケースに孔13を設
け、電気部品を密封する封止樹脂16を、インナーケース
に設けた孔を通して、インナーケースの内部およびイン
ナーケースの外部とアウターケース内の間の空間を充填
し、インナーケースの内部に収納された電気部品と外部
に装着された電気部品を密封するようにする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ケース内に電気部品を収納する電気装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

内部に電気部品を収納し、この電気部品に対して電磁シールドと防水、防湿を 行う電気装置においては、電磁シールドの機能を有するインナーケース内に電気 部品を収納し、そのインナーケース内に電気部品を密封する封止樹脂を充填し、 このインナーケースをアウターケースに収納することが行われている。 そのような電気装置の１例としてレインセンサがある。このレインセンサの従 来の構造を図３を用いて説明する。

【０００３】 図において、１は自動車のボンネット２上に取り付けられたレインセンサであ る。レインセンサ１は、アウターケース３を有しており、その内部に雨６を検出 するための１対のＬＥＤ（発光ダイオード）とＰＤ（フォトダイオード）を備え ている。このＬＥＤ、ＰＤは、インナーケース７の表面に装着され、アウターケ ース３の窪み４内に光路５を形成する。インナーケース７の内部には、基板８上 に配置された電気部品９が収納される。なお、アウターケース３はＬＥＤから発 光された光を透過する材料で形成されている。

【０００４】 このインナーケース７は、内部の電気部品９に対して電磁シールドを行うため 鉄等の材料で作られている。このためインナーケース７は、アウターケース３内 に侵入した水により錆びることがある。そして、アウターケース３の底部は水が 内部へ侵入することを防止するため、ゴム蓋２０により封止される。 レインセンサ１を使用する場合には、このゴム蓋２０がボンネット２上に接着 固定される。アウターケース３とＬＥＤ、ＰＤの間には、ＬＥＤ、ＰＤの防水、 防湿のための封止材としてリング状のゴム１２が設けられる。

【０００５】 このような構造では、アウターケース３がゴム蓋２０により封止されているか ら、通常の状態ではアウターケース３内に水が進入することはないが、洗車等の 激しい水流が加えられると、アウターケース３内に水が進入することがあり、イ ンナーケース７にサビが生じたりする。 また、インナーケースの外部に装着されて、封止樹脂１６により密封されるこ とのないＬＥＤ、ＰＤには、水が進入した場合に備えてそれぞれ防水、防湿のた めのシール２１，２２を行わなければならない。

【０００６】 次に、上記のようなレインセンサ１の製造工程を図４および図５を用いて説明 する。 レインセンサ１は、製造工程中は図３の状態と上下が逆にされた状態で組み立 てられる。図４は、図３のレインセンサ１が組み立てられた状態を示している。 組立てに際しては、最初に、インナーケース７の下面にＬＥＤ、ＰＤが取り付 けられ、ＬＥＤ、ＰＤ自体にシール２１，２２がされる。また図示はしないが、 インナーケース７とＬＥＤ、ＰＤの間も封止樹脂により封止される。

【０００７】 この状態で電気部品９を取り付けた基板８がインナーケース７内に収納され、 ＬＥＤ、ＰＤと基板８間の電気的接続１５がされる。その後、インナーケース７ 内に封止樹脂１６が充填され、電気部品９が密封される。そしてこの状態でイン ナーケース７がアウターケース３にネジ２３により固定される。なお前述のよう に、ＬＥＤ、ＰＤがアウターケース３と対向する部分は、リング状のゴム１２が 設けられる。

【０００８】 また、図５は図４と異なる製造工程によりレインセンサ１が組み立てられた状 態を示している。 この製造工程を説明すると、図４の例と同様にインナーケース７にＬＥＤ、Ｐ Ｄが取り付けられ、ＬＥＤ、ＰＤにシール２１，２２がされる。この状態でイン ナーケース７がアウターケース３に設けた突起１０によりかしめ固定される。そ の後電気部品９を取り付けた基板８がインナーケース７に取り付けられ、ＬＥＤ 、ＰＤとの間の電気的接続１５がされる。その後、インナーケース７内に封止樹 脂１６が充填され、電気部品９が密封される。最後にアウターケース３に蓋がさ れ、アウターケース３と蓋の間がシール２５される。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

以上説明した従来の電気装置では、インナーケースにサビが生じやすいという ように防水、防湿が不完全である。また製造工程も、シールを何回かに分けて行 わなければならないというように複雑で手間の掛かるものとなっていた。 これに対し本考案は、アウターケースとインナーケースを有する電気装置を、 製造が簡単で防水、防湿が完全なものとすることを目的とし、さらに、アウター ケースとインナーケースの接着補強も目的とするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案は、内部に電気部品を収納し、外部に電気部品 を装着したインナーケース、およびこのインナーケースを内部に収納するアウタ ーケースを具備する電気装置において、前記インナーケースに孔を設け、電気部 品を密封する封止樹脂を、前記インナーケースに設けた孔を通して、インナーケ ースの内部およびインナーケースの外部とアウターケース内の間の空間を充填し 、前記インナーケースの内部に収納された電気部品と外部に装着された電気部品 を密封するようにする。

【００１１】

【作用】

上記構成によれば、インナーケース内部に収納された電気部品と、インナーケ ースの外部に装着された電気部品の密封が、封止樹脂の一度の充填で完成できる 。また、電気装置のケースの防水、防湿が完全なものとなる。

【００１２】

【実施例】

本考案の電気装置を、レインセンサを例として、図１および図２を用いて説明 する。図１は、レインセンサ１の使用状態を示す。レインセンサ１は、図１に示 すように、自動車のボンネット２に取り付けられて使用される。 ＬＥＤが発光した光は、当該光を透過する材料で形成されたアウターケース３ に設けられた窪み４を通してＰＤに投光される。

【００１３】 雨、雪６が降る時は、ＬＥＤとＰＤ間の光路５中を雨、雪６が通過するため、 光路５中の光が散乱されてＰＤの受光量が通常の場合よりも減少する。このＰＤ の受光量の変化をインナーケース７に収納された基板８上に配置された電気部品 ９が構成する電子回路により監視することにより、降雨、降雪が検知される。イ ンナーケース７は、内部に収納した電気部品９に対する電磁シールドを行うため 、鉄等の材料により形成される。

【００１４】 次に、レインセンサ１の製造工程を図２を用いて説明する。レインセンサ１は 、製造工程中においては図２に示すように上下を逆さにして組み立てられる。図 ２は、レインセンサ１が最終的に組み立てられた状態を示している。 レインセンサ１は最初に、インナーケース７の下面にＬＥＤ、ＰＤが取り付け られる。この状態ではＬＥＤ、ＰＤに対するシールはなにもなされない。

【００１５】 そしてこの状態で、インナーケース７がアウターケース３に取り付けられる。 アウターケース３には複数の突起１０が設けられ、インナーケース７の下面には 、突起１０に対応した複数の孔１１が設けられる。アウターケース３の突起１０ がインナーケース７の孔１１に挿入され、突起１０の先端が超音波かしめにより つぶされて、インナーケース７がアウターケース３に固定される。

【００１６】 インナーケース７がアウターケース３に固定された状態で、ＬＥＤとＰＤはア ウターケース３に設けられた窪み４を介して対向するように配置される。また、 アウターケース３とＬＥＤ、ＰＤの間にはリング状のゴム１２が配置され、ＬＥ Ｄ、ＰＤの発光面および受光面をシールする。 インナーケース７には、アウターケース３の突起１０を通すための孔１１の他 に、後述する封止樹脂を通過させる孔１３が設けられる。また、アウターケース ３には、後述する封止樹脂が充填される空間を規定する壁１４が設けられる。

【００１７】 以上のようにインナーケース７がアウターケース３に固定された状態で、電気 部品９を装着した基板８がインナーケース７に収納固定され、基板８とＬＥＤ、 ＰＤ間の電気的接続１５がされる。その後、封止樹脂１６がディスペンサにより インナーケース７内に充填される。この封止樹脂１６は、インナーケース７に設 けた孔１３を通して、インナーケース７の下面に流れ出す。

【００１８】 このインナーケース７の下面に流れ出した封止樹脂１６は、アウターケース３ 内部の壁１４で囲まれた空間を充填し、ＬＥＤ、ＰＤのシールを行う。さらにこ の封止樹脂１６は、インナーケース７の外側表面をカバーする。 なお、ＬＥＤ、ＰＤの光路５部分は、リング状のゴム１２で囲まれているから 、封止樹脂１６がこの光路５部分に侵入してレインセンサ１の動作の障害となる ことはない。

【００１９】 この封止樹脂１６は、インナーケース７に収納された電気部品９を完全に覆う まで充填され、その後固化される。 以上説明した本実施例の製造工程によれば、一度の封止樹脂の充填でインナー ケース７内に収納された電気部品を密封すると同時に、ＬＥＤ、ＰＤおよびイン ナーケース７の外側表面がシールされる。これにより、従来のもののようにＬＥ Ｄ、ＰＤ自体のシールおよびＬＥＤ、ＰＤとインナーケース７との間のシールを 別工程で行う必要がなくなるため、製造工程が簡略化される。

【００２０】 また、同時にインナーケース７の外側表面の大部分が封止樹脂１６によりカバ ーされるから、インナーケース７がケース内で露出して錆びる部分が少なくなる 。このため、アウターケース３に対する防水、防湿のためのシールは、ごく簡単 なものでよいこととなり、簡単な蓋１７（図１）をするのみでよくなる。なお、 インナーケース７全体を封止樹脂１６によりカバーするようにしても良いもので ある。 さらに、この封止樹脂１６は、アウターケース３とインナーケース７の接着補 強を行う。

【００２１】

【考案の効果】

本考案によれば、電気装置を、完全な防水、防湿なものとし、かつ簡単な製造 工程で得ることができるものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例のレインセンサの使用状態を示
す断面図。

【図２】図１のレインセンサの製造工程を説明するため
の断面図。

【図３】従来例のレインセンサの使用状態を示す断面
図。

【図４】図３のレインセンサの製造工程を説明するため
の断面図。

【図５】図３と異なる従来例のレインセンサの製造工程
を説明するための断面図。

【符号の説明】

１…レインセンサ ３…アウターケース ４…窪み ５…光路 ６…雨、雪 ７…インナーケース ８…基板 ９…電気部品 １０…突起 １１，１３…孔 １２…リング状のゴム １４…壁 １５…電気的接続 １６…封止樹脂 １７，２４…蓋 ２０…ゴム蓋 ２１，２２…シール ＬＥＤ…発光ダイオード ＰＤ…フォトダイオード

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に電気部品を収納し、外部に電気部
   品を装着したインナーケース、およびこのインナーケー
   スを内部に収納するアウターケースを具備する電気装置
   において、前記インナーケースに孔を設け、電気部品を
   密封する封止樹脂を、前記インナーケースに設けた孔を
   通して、インナーケースの内部およびインナーケースの
   外部とアウターケース内の間の空間を充填し、前記イン
   ナーケースの内部に収納された電気部品と外部に装着さ
   れた電気部品を密封するようにしたことを特徴とする電
   気装置。