JPH0669755U - 金属溶湯面レベル計 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 支持台と、該支持台に回動自在に取付けられ
た屈曲又は湾曲したアームと、該アームの一方の先端に
取付けられた浮子と、該アームの所定の位置の変位を測
定する変位センサーとを有する金属溶湯面レベル計。 【効果】 小型で使い易く、簡単な構造でありながら十
分な精度を持つ金属溶湯面レベル計であって、しかもそ
のレベル計の主要部を金属溶湯直上又はその付近の熱影
響部を避けて設置することのできる金属溶湯面レベル計
が提供される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は金属溶湯面レベル計に係り、より詳しくは金属の連続鋳造、半連続鋳 造作業において鋳型内又はタンディシュ内の溶湯面を一定レベルに保つための自 動溶湯面調整機構に用いたり、金属溶解炉のポット、タンディシュ等の溶湯面の 位置を検出するために用いたりすることのできるの金属溶湯面レベル計に関する ものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、連続鋳造又は半連続鋳造作業における鋳型内の溶湯面レベルを制御する ための溶湯面レベル計としては、γ線レベル計、渦流レベル計、静電容量型レベ ル計、接触針型レベル計等が用いられている。

【０００３】 しかしながら、γ線レベル計はγ線の管理並びに測定精度に問題があり、渦流 レベル計はプローブの大きさが大きいので小型の鋳型には不適切であり、又透磁 率の低い銅を鋳造する場合には装置が複雑になる。静電容量型レベル計では作業 者や工具がプローブに近付くと誤信号が発生し、また接触針型レベル計ではフラ ックスが固着するという問題やオン・オフ信号のみしか取れないという問題があ る。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は上記のような諸問題を解消すること、即ち、小型で使い易く、 簡単な構造でありながら十分な精度を持つ金属溶湯面レベル計であって、しかも そのレベル計の主要部を金属溶湯直上又はその付近の熱影響部を避けて設置する ことのできる金属溶湯面レベル計を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案の金属溶湯面レベル計は、支持台と、該支持台に回動自在に取付けられ た屈曲又は湾曲したアームと、該アームの一方の先端に取付けられた浮子と、該 アームの所定の位置の変位を測定する変位センサーとを有することを特徴とする ものである。

【０００６】 本考案の金属溶湯面レベル計においては、支持台に回動自在に取付けられた屈 曲又は湾曲したアームの他方の先端（即ち、上記した一方の先端とは逆方向の先 端）がその取付位置付近で終わっていてもよく、あるいはその取付位置から更に 伸びていて、変位センサーがその延長部の所定の位置の変位を測定するようにな っていてもよい。この伸びる方向も上方向、下方向、横方向のいずれでもよい。 また、屈曲又は湾曲したアームが伸縮自在で所定の長さに固定することができ且 つその屈曲角度又は湾曲度を所定の程度に変更、固定することができる構造を有 していてもよい。更に、屈曲又は湾曲したアームと浮子とが回動自在に取付けら れていることが好ましい。

【０００７】 以下に、図面に基づいて本考案を更に詳しく説明する： 本考案の金属溶湯面レベル計は、図１に示すように、支持台１と、該支持台に 回動自在に取付けられた屈曲又は湾曲したアーム２と、該アームの一方の先端に 取付けられた浮子３と、該アームの所定の位置の変位を測定する変位センサー４ とを有するものである。

【０００８】 屈曲又は湾曲したアーム２を支持台１に回動自在に取付ける手段としては回転 軸５を設ける方法がある。この場合に回転摩擦が小さくなるようにベアリング等 を使用して構成することが好ましい。また、浮子３は、金属の連続鋳造、半連続 鋳造作業における鋳型内又はタンディシュ内の溶湯６又は金属溶解炉のポット、 タンディシュ等の溶湯６に浮かして使用するものであり、従って浮子３は溶湯金 属との比重差が大きく、酸化消耗しにくく、溶湯金属に侵されないセラミックス やカーボン等の材料で作ることが好ましい。本考案の金属溶湯面レベル計におい ては浮子３を用いているので、溶湯面上に浮かすカーボン、フラックス、パウダ ー等や、発生する泡、炎等の影響をあまり受けずに、実際の溶湯面が計れ、且つ 溶湯面のさざ波を平均化して計れる利点がある。また、本考案の金属溶湯面レベ ル計において変位センサー４で測定された変位は電気信号として制御機構７に送 信され、溶湯面の調整に利用されるか、あるいは記録計に送信される。

【０００９】 本考案の金属溶湯面レベル計においては、支持台１に回動自在に取付けられた 屈曲又は湾曲したアーム２の他方の先端（即ち、上記した一方の先端とは逆方向 の先端）は、図２に示すように、その回転軸５付近で終わっていて、変位センサ ー４がその回転軸５と浮子３との間でその回転軸５に比較的近い所定の位置の変 位を測定するようになっていてもよく、あるいは図１及び図３に示すように、そ の取付位置から更に伸びていて、変位センサー４がその延長部の所定の位置の変 位を測定するようになっていてもよい。この伸びる方向も図１に示すように上方 向であっても、下方向であっても（図示していない）、あるいは図３に示すよう に横方向であってもよい。屈曲又は湾曲したアーム２は、図１〜図３に示すよう に回転軸５と浮子３との間で２箇所屈曲していてもあるいは図４に示すように１ 箇所屈曲していてもよく、また図５に示すように湾曲していてもよい。

【００１０】 また、本考案の金属溶湯面レベル計は、金属の連続鋳造、半連続鋳造に用いる 鋳型又はタンディシュ、金属溶解炉のポット、タンディシュ等の溶湯面測定対象 物の形状変化及び設置位置の変更に対処できるように、屈曲又は湾曲したアーム ２が伸縮自在で所定の長さに固定することができ且つその屈曲角度又は湾曲度を 所定の程度に変更、固定することができる構造を有していてもよい。更に、屈曲 又は湾曲したアーム２と浮子３とが、図６に示すように回転軸８により回動自在 に取付けられていることが好ましい。

【００１１】 本考案の金属溶湯面レベル計においては、上記のように構成されているので、 溶湯面の上下動の変化、即ち浮子３の上下動の変化をアーム２により、温度の高 い溶湯面の直上ではなくて溶湯面から離れた温度の低い位置に、溶湯面の上下動 の変化に比例した変化で伝達し、そこで変位センサー４により検知させるので、 比較的狭い場所においても精度良く溶湯面を検知することができる。

【００１２】 本考案の金属溶湯面レベル計においては、変位センサーとしていかなるものも 使用することができるが、変位をアナログ値でリニアーに出力するものであれば 溶湯面制御機として利用できるので好適である。このような変位センサーとして リニア近接センサー、ＬＥＤ変位センサー、レーザー変位センサー、超音波変位 センサーを用いることができる。この中でもリニア近接センサーは測定距離が他 より短くて１０mm以下であるので装置をコンパクトにすることができ、また耐環 境性に優れている。例えば、リニア近接センサーを用いる場合には、支持台に回 動自在に取付けられた屈曲又は湾曲したアームの一部に、リニア近接センサーの 仕様を満たす磁性金属製、例えば鉄製の平面部、例えば表面積が数cm² 以上で厚 さが１mm程度の平面部を設け、その平面部に対面する位置にリニア近接センサー を設けることが好ましい。たの変位センサーを用いる場合にはこのように大きな な平面部は必要ではないが、精度を高めるためにはアームの一部を削る等して平 面部を作ることが望ましい。

【００１３】

【実施例】

図１に示す形式の金属溶湯面レベル計を用いて、銅合金の半連続鋳造中の鋳型 （断面形状６３０mm×１４５mm）中の溶湯面を検知し、銅合金溶湯の注入量を制 御した。この場合に用いた浮子３はカーボン製で直径４０mm、高さ２０mmの円筒 形であり、アーム２はステンレス製で直径６mmのパイプであり、シールドタイプ のベアリングを用いて回転軸５により支持台１に回動自在に取付けられており、 回転軸５と浮子３の中心部までの距離は約２５０mmであった。又、変位センサー ４は市販のリニア近接センサーであり、該変位センサーが対面しているアームの 延長部には３０×３０×１mmの鉄板が設けられており、この鉄板の中心部と回転 軸５との間の距離は４０mmであった。従って、この金属溶湯面レベル計において は、［回転軸５と鉄板の中心部までの距離］／［回転軸５と浮子３の中心部まで の距離］の比、即ち，てこ比は４０／２５０（約１／６）であり、溶湯面レベル の変位を約１／６に縮小した鉄板の変位として、感度の良いリニア近接センサー で検知し、記録紙に記録した。その結果を図７に示す。図７において縦軸は溶湯 面の変動を表し、横軸は経過時間を表す。図７の（Ａ）は、変位センサーでの検 知を電気信号として制御機構７に送信し、その制御機構７からの制御信号により 銅合金溶湯の注入ストッパーの開閉を制御して溶湯面を制御した場合を示す。ま た図７の（Ｂ）は変位センサーでの検知を目で読み取り、手動で銅合金溶湯の注 入ストッパーの開閉を実施して溶湯面を制御した場合を示す。

【００１４】

【考案の効果】

本考案により、小型で使い易く、簡単な構造でありながら十分な精度を持つ金 属溶湯面レベル計であって、しかもそのレベル計の主要部を金属溶湯直上又はそ の付近の熱影響部を避けて設置することのできる金属溶湯面レベル計が提供され る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の金属溶湯面レベル計の概略説明図であ
る。

【図２】本考案の金属溶湯面レベル計のアーム部の変形
例を示す概略説明図である。

【図３】本考案の金属溶湯面レベル計のアーム部の変形
例を示す概略説明図である。

【図４】本考案の金属溶湯面レベル計のアーム部の変形
例を示す概略説明図である。

【図５】本考案の金属溶湯面レベル計のアーム部の変形
例を示す概略説明図である。

【図６】本考案の金属溶湯面レベル計において、アーム
部と浮子とが回動自在に取付けられている場合を例示す
る概略説明図である。

【図７】本考案の金属溶湯面レベル計による検知結果を
示すグラフである。

【符号の説明】

１ 支持台 ２ アーム ３ 浮子 ４ 変位センサー ５ 回転軸 ６ 溶湯 ７ 制御機構 ８ 回転軸

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持台と、該支持台に回動自在に取付け
   られた屈曲又は湾曲したアームと、該アームの一方の先
   端に取付けられた浮子と、該アームの所定の位置の変位
   を測定する変位センサーとを有することを特徴とする金
   属溶湯面レベル計。
2. 【請求項２】 支持台に回動自在に取付けられた屈曲又
   は湾曲したアームの他方の先端がその取付位置から更に
   伸びていて、変位センサーがその延長部の所定の位置の
   変位を測定するようになっていることを特徴とする請求
   項１記載の金属溶湯面レベル計。
3. 【請求項３】 支持台に回動自在に取付けられた屈曲又
   は湾曲したアームの一部に磁性金属製の平面部が形成さ
   れており、その平面部に対面する位置にリニア近接セン
   サーが設けられていることを特徴とする請求項１又は２
   記載の金属溶湯面レベル計。