JPH0668809U - ランナレス射出成形用ホットノズル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ホットノズル１を薄肉に形成して熱容量を小
さくし、通電および通電停止による温度昇降時間を短縮
するとともに、応答性をよくして温度制御を容易にす
る。 【構成】 ホットノズル１におけるノズル部１Ｂの先端
の一部を残して基端から先端部にかけて分割する二条の
スパイラル状のスリットＳ１，Ｓ２を設けてある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ランナレス射出成形用ホットノズルに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ランナレス射出成形用ホットノズルとして、特公平１ー５９８９５号公 報に記載のものが知られている。 この種のホットノズルによれば、ヒ−タをノズルに内臓させた内部加熱方式や ノズルの外周にバンドヒータを取付けた外部加熱方式と比較して、構造の簡略化 を達成でき、特に、薄肉に形成することにより、熱容量を小さくして通電および 通電停止による温度昇降時間を短縮し、応答性をよくして温度制御の容易化を実 現するとともに、過剰な加熱による樹脂の熱分解を防止でき、熱分解に伴うノズ ル部内での樹脂の滞留および滞留に起因する色替え時の色混ざり等の不都合の発 生を確実に防止することができる種々の利点を有している。

【０００３】 すなわち、図４に示す従来のランナレス射出成形用ホットノズル１は、樹脂成 形用金型のキヤビテイと連通して形成されたノズル孔内に挿入されるノズル部１ Ｂと、射出成形機のノズルから射出される溶融樹脂をノズル部１Ｂ内に導く基部 １Ａとを備え、電気抵抗を有する導電性金属により形成されているとともに、ノ ズル部１Ｂの少なくとも先端の一部を残して基端から先端部にかけて二分割する 長手方向（軸方向）の割溝（スリット）Ｓ１，Ｓ２を設けた構造になっている。 ところが、二分割する長手方向（軸方向）の割溝（スリット）Ｓを設けたホット ノズル１では、射出成形時の射出圧負荷により円周応力よりも大きい軸方向応力 （縦応力）が誘発されることになる。したがって、熱容量を小さくして通電およ び通電停止による温度昇降時間を短縮し、応答性をよくして温度制御の容易化を 実現するために薄肉に形成すると、射出成形時に高い射出圧が負荷された場合、 スリットＳの形成部から開口して割れる事故が発生している。そのために、薄肉 に形成することにより、熱容量を小さくして通電および通電停止による温度昇降 時間を短縮し、応答性をよくして温度制御を容易にすることが期待できない。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

解決しようとする問題点は、射出成形時の射出圧負荷により円周応力よりも大 きい縦応力が誘発されるので、スリットの形成部から開口して割れる事故が発生 するので、薄肉に形成して熱容量を小さくし、通電および通電停止による温度昇 降時間を短縮するとともに、応答性をよくして温度制御を容易にすることが期待 できない点である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、樹脂成形用金型のキヤビテイと連通して形成されたノズル孔内に挿 入されるノズル部と、射出成形機のノズルから射出される溶融樹脂を前記ノズル 部内に導く基部とを備え、電気抵抗を有する導電性金属により形成されていると ともに、ノズル部の少なくとも先端の一部を残して基端から先端部にかけて分割 する二条のスパイラル状のスリットが設けられていることを特徴とし、薄肉に形 成して熱容量を小さくし、通電および通電停止による温度昇降時間を短縮すると ともに、応答性をよくして温度制御を容易にする目的を達成した。

【０００６】

【作用】

本考案によれば、射出成形時の射出圧負荷により縦応力よりも小さい円周応力 が誘発されることになる。したがって、薄肉に形成しても十分な強度が確保され る。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。 図１は本考案の斜視図、図２は図１のアーア線拡大断面図、図３は本考案の使 用状態の一例を示す概略縦断面図であり、これらの図において、ホットノズル１ は、所定の電気抵抗を有する導電性金属により一体に形成された基部１Ａおよび 先細状のノズル部１Ｂを備えている。基部１Ａは、図示していない射出成形機の ノズルから射出された溶融樹脂Ｐを受入れマニホルド２に対して、ボルト３を介 して固定された固定部材４により係止されており、ノズル部１Ｂは金型のキヤビ ティーコア５に形成されたノズル孔６に挿入されている。ホットノズル１の内部 には、溶融樹脂の通路７が設けられ、この通路７の入口がマニホルド２内の樹脂 分配通路８に連通し、通路７の出口９、すなわちノズル部１Ｂの出口９がキヤビ ティー１０に連通している。

【０００８】 また、ノズル部１Ｂの先端の一部を残して基端１Ａから先端部にかけて分割す る二条のスパイラル状スリットＳ１，Ｓ２が設けられている。なお、図中１１は 通電用の導線を示す。

【０００９】 このように、ノズル部１Ｂの先端の一部を残して基端１Ａから先端部にかけて 分割する二条のスパイラル状スリットＳ１，Ｓ２を設けることで、射出成形時の 射出圧負荷により縦応力よりも小さい円周応力が誘発されることになる。 すなわち、ホットノズル１の内径をＤ、肉厚をｔ、射出成形時の射出圧をＰ、 円周応力をσ１、軸方向応力（縦応力）をσ２とすれば、 σ１＝ＰＤ／２ｔ…………………… σ２＝ＰＤ／４ｔ…………………… 式とを比較して σ１＝２σ２…………………… つまり、円周応力σ１は軸方向応力σ２の２倍の大きさを有している。したが って、薄肉に形成しても十分な強度が確保されることになるので、薄肉に形成し て熱容量を小さくし、通電および通電停止による温度昇降時間を短縮するととも に、応答性をよくして温度制御を容易にすることが可能になる。勿論、同質で同 じ肉厚であれば耐圧強度が大きくなることはいうまでもない。

【００１０】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案は、ノズル部の少なくとも先端の一部を残して、 基端から先端部にかけて分割する二条のスパイラル状スリットを設けているから 、射出成形時の射出圧負荷により縦応力よりも小さい円周応力が誘発されること になる。したがって、薄肉に形成しても十分な強度が確保されるので、従来のホ ットノズルと比較して、薄肉に形成して熱容量を小さくし、通電および通電停止 による温度昇降時間を短縮するとともに、応答性をよくして温度制御を容易にす ることが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す斜視図である。

【図２】図１のアーア線拡大断面図である。

【図３】本考案の使用状態の一例を示す概略縦断面図で
ある。

【図４】従来例の斜視図である。

【符号の説明】

１ ホットノズル １Ａ ホットノズルの基部 １Ｂ ホットノズルのノズル部 ６ ノズル孔 ９ ノズル部の出口 １０ キヤビティー Ｐ 溶融樹脂 Ｓ１ スパイラル状のスリット Ｓ２ スパイラル状のスリット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 樹脂成形用金型のキヤビテイと連通して
   形成されたノズル孔内に挿入されるノズル部と、射出成
   形機のノズルから射出される溶融樹脂を前記ノズル部内
   に導く基部とを備え、電気抵抗を有する導電性金属によ
   り形成されているとともに、ノズル部の少なくとも先端
   の一部を残して基端から先端部にかけて分割する二条の
   スパイラル状のスリットが設けられていることを特徴と
   するランナレス射出成形用ホットノズル。