JPH0668058B2 - ポリアセタ−ル組成物 - Google Patents

ポリアセタ−ル組成物

Info

Publication number
JPH0668058B2
JPH0668058B2 JP11212987A JP11212987A JPH0668058B2 JP H0668058 B2 JPH0668058 B2 JP H0668058B2 JP 11212987 A JP11212987 A JP 11212987A JP 11212987 A JP11212987 A JP 11212987A JP H0668058 B2 JPH0668058 B2 JP H0668058B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
poly
polymer
weight
alanine
polyacetal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP11212987A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63108051A (ja
Inventor
文彦 山元
照之 三角
Original Assignee
旭化成工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 旭化成工業株式会社 filed Critical 旭化成工業株式会社
Publication of JPS63108051A publication Critical patent/JPS63108051A/ja
Publication of JPH0668058B2 publication Critical patent/JPH0668058B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、新規なポリアセタール組成物に関するもので
ある。さらに詳しくいえば、本発明は、熱安定剤として
特定構造のポリ‐β‐アラニン重合体を添加して成る、
熱安定性に優れ、かつ加熱着色のないポリアセタール組
成物に関するものである。
従来の技術 ポリアセタール樹脂は、ホルムアルデヒド又はその環状
オリゴマーであるトリオキサンやテトラオキサンの重合
により、あるいはこれらと共重合可能なモノマーとを共
重合させることにより得られ、通常重合体の末端基から
の解重合を防止するために、エーテル化やエステル化な
どの種々の方法によって末端基処理が施されている。
このポリアセタール樹脂に、例えば酸化防止剤、光安定
剤、滑剤などを配合した組成物は、成形用材料などとし
て幅広く用いられている。
ポリアセタール樹脂の製造において、末端基処理反応と
ともに、熱安定剤を配合することは、その品質の保持向
上のために必要なことであり、従来種々の工夫や提案が
なされている。
例えば、尿素又はその誘導体、ヒドラジン又はその誘導
体、アミド類、ポリアミド類、その他種々の化合物を単
独で、又は酸化防止剤、紫外線吸収剤などと組み合わせ
て用いることが提案されている。
しかしながら、これらの方法においては、多少の安定化
効果があっても、その効果は小さく、例えばポリアセタ
ールの成形加工時に、ある種の低分子量安定剤が蒸発逃
散したり、あるいは成形後ブリーディングを起こすた
め、その安定化効果が著しく低下したり、効果の持続性
がなくなるなど、実用化しうるものは極めて少ない。
これらの中で、例えばヘキサメチレンアジポアミド35重
量%、ヘキサメチレンセバコアミド27重量%及びカプロ
ラクタム38重量%を共重合して得られる三元共重合体
は、ポリアミドの中でもポリアセタールに対して良好な
熱安定化効果を示し、かつ該効果に永続性があるため
に、実用化可能な安定剤である(特公昭34−5440号公
報)。
しかしながら、このような縮合型共重合ポリアミドは、
熱や酸素の作用を受けで着色するために、ポリアセター
ルに配合され、その配合物を成形加工する際に、着色を
起こし製品の品位を低下させるという欠点を有してい
る。一般に、合成樹脂の加工においては、成形効率を上
げるために再生成形が行われる。例えば射出成形におけ
るランナーなどの部分、成形失敗品、破損品などの再生
成形が通常行われ、この際、製品の品位が不変であるこ
とが望ましいが、上記の縮合型共重合ポリアミドを配合
したポリアセタールでは、その着色の度合が著しく、そ
の上成形品の経時変色も観察される。
さらに、該縮合型共重合ポリアミド系熱安定剤において
は、ポリアセタール樹脂に各種の添加剤、例えば顔料、
カーボンブラック、離型剤などとともに配合して、この
配合物を成形する場合、得られる成形品の熱安定性は他
の添加剤を加えない場合に比べ著しく低下する傾向があ
る。
このような添加剤配合品の熱安定性を維持するように改
良することは、製品の品質保持の上で極めて重要なこと
である。
他方において、ポリヘキサメチレンアジパミドをエチレ
ン−アクリル酸メチル共重合体中に分散させたポリアミ
ド−単体樹脂混合物を調製し、ポリアセタールの熱安定
剤として使用することが知られている(特開昭53−7825
5号公報)。
しかしながら、この熱安定剤は、成形加工時における金
型又はダイへの析出物の付着を抑制する効果を有するも
のの、成形時における着色防止及び他の添加剤配合時の
熱安定性については、必ずしも十分とはいえない。
また、本発明者らは、先にポリ−β−アラニン重合体の
微粉末を配合して成るポリアセタール組成物を提案した
(特開昭59−213752号公報)。
しかし、このポリ−β−アラニン重合体は高重合度では
あるが、それを製造する際に第一級アミドを少なくする
ため、アクリルアミド1モル当り0.02モル以上の触媒を
使用するので、重合体中の残存金属量が多く、熱安定性
付与効果及び滞留着色防止効果の点でまだ十分満足しう
るものではなかった。
発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、従来の縮合型ポリアミド系熱安定剤を
用いたポリアセタール組成物が有する欠点を克服し、熱
安定性付与効果、特に顔料やカーボンブラックなどの添
加剤を配合した場合の熱安定性が優れ、かつ加熱着色を
抑制することができる上に、成形時における金型やダイ
などへの析出物の付着を防止しうるポリアセタール組成
物を提供することにある。
問題点を解決するための手段 本発明者らは、ポリアセタール組成物の熱安定剤につい
て鋭意研究を重ねた結果、特定の分子構造を有するポリ
‐β‐アラニン重合体がポリアセタール樹脂に対する熱
安定剤として、優れた安定化効果を示すことを見出し、
この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)ポリアセタール樹脂に対
し、(B)分子中にその1g当り、5.0〜9.0ミリモルの第
一級アミド基を有するポリ−β−アラニン重合体を全組
成物の重量に基づき0.01〜3重量%の割合で含有させて
成るポリアセタール組成物を提供するものである。
本発明組成物において用いられるポリ−β−アラニン重
合体は、主として式 CH2−CH2−CONH …(I) 及び式 で示される構成単位から成るものであって、構成単位
(II)は、該重合体1g当り、5.0〜9.0ミルモルの割合で
含有していることが必要である。この含有量が前記範囲
を逸脱したものでは、熱安定性に優れ、かつ加熱着色の
ないポリアセタール組成物を得ることができない。
このようなポリ−β−アラニン重合体としては、ギ酸可
溶性の低分子量のものから、ギ酸不溶性の高分子量のも
のまで使用可能であるが、通常還元粘度(ηsp/c)0.
5〜15dl/g、好ましくは1〜10dl/g、さらに好まし
くは2〜5dl/gに相当する分子量をもつものが用いら
れる。
このようなポリ−β−アラニン重合体は、例えば触媒と
してアルカリ土類金属のアルコラートを用い、アクリル
アミドを重合させることによって製造することができ
る。特にアクリルアミド1モルに対して、該触媒を1/
50000〜1/500モルの範囲の量で用い重合させると、前
記構成単位(II)の含有量が重合体1g当り、5.0〜9.0ミ
リモルであるポリ−β−アラニン重合体が得られるので
有利である。
この重合反応においては、アクリルアミドの水素転移重
合とビニル重合が同時に起り、β−プロピオラクタム−
アクリルアミドランダム共重合体が生成する。
使用する触媒のアルカリ土類金属アルコラートとして
は、例えばカルシウムプロピラート、カルシウムエチラ
ート、カルシウムメチラート、マグネシウム−t−ブト
キシド、バリウムメトキシドなどを挙げることができ
る。これらの触媒の使用量は、前記したように、アクリ
ルアミド1モルに対して、通常1/50000〜1/500モ
ル、好ましくは1/30000〜1/500モルの範囲で選ばれ
る。この量が1/500モルを超えると共重合体中に触媒
から由来する金属の含量が多くなるため、これを配合し
たポリアセタール組成物の熱安定性が劣化するし、また
1/50000モル未満では重合反応の速度が減少するとと
もに収率が低下し、かつ第一級アミド基の含有量が多く
なるため、これを配合したポリアセタール組成物の熱安
定性が劣化するので好ましくない。
この重合反応は溶媒の不存在下で行ってもよいし、溶媒
の存在下で行ってもよく、溶媒としては、例えばキシレ
ン、トルエン、o−ジクロロベンゼンなどを用いること
ができる。
この重合反応は、例えば脱水精製した溶媒に、所定量の
触媒をよく分散したのち、脱水精製したアクリルアミド
を加えて、不活性ガス雰囲気中で加熱することによって
行われる。重合方法としては、バッチ式溶液重合法、バ
ッチ式塊状重合法、連続式溶液重合法、連続式塊状重合
法などを用いることができる。
この際の反応温度は、通常70〜150℃、好ましくは80〜1
30℃の範囲で選ばれるが、塊状重合の場合は、モノマー
の融点以上、すなわち90℃以上の温度を用いるのが望ま
しい。
この反応温度が70℃未満では反応速度が遅すぎて実用的
でない。また、反応温度が高くなるに伴い、構成単位
(II)の含有量は多くなるが、150℃を超えると、反応
生成物中の第一級アミド基が2分子反応して、イミド結
合(−CONHCO−)を形成するようになり、150℃を大き
く超えると、得られる重合体は架橋構造を有するように
なる。
また、このようにして得られたポリ−β−アラニン重合
体を150〜180℃程度の温度で熱処理を行うと、該重合体
は架橋密度の大きなものとなる。
次に、反応に使用するモノマー及び溶剤中の水分は、そ
れぞれ1000ppm以下及び50ppm以下に抑制することが好ま
しい。溶剤中の水分は、例えば乾燥剤による処理や共沸
脱水蒸留などによって除去することができる。一方、ア
クリルアミドモノマーの脱水は、例えば40〜60℃の範囲
の温度に保持された該モノマー中に、脱湿空気を10〜24
時間程度導入するか、又は40〜100トールの真空下にお
いて、該モノマーを40〜60℃の範囲の温度で、5〜10時
間程度保持することなどによって、行うことができる。
重合反応は酸素の不存在下で行うのが好ましいので、通
常酸素が除去されたモノマーを用い、窒素やアルゴンな
どの不活性ガス雰囲気下で行われる。モノマー中の酸素
の除去は、例えば4〜100トール真空下に、40〜60℃の
範囲の温度において、2〜10時間程度加熱する方法、あ
るいは40〜60℃の範囲の温度に保持された該モノマー中
に、窒素を4〜6時間導入することなどによって、行う
ことができる。また、この重合反応には、従来のポリ−
β−アラニンの製造において用いられていたβ−ナフチ
ルアミンのようなラジカル重合禁止剤は用いない方がよ
い。
このような方法によって得られるポリ−β−アラニン重
合体の化学構造は、例えば赤外線吸収スペクトル、示差
走査熱量測定(DSC)及びNMRスペクトルなどによって確
認することができる。第1図及び第3図は、それぞれ本
発明のギ酸可溶性のポリ−β−アラニン重合体[以下、
ポリ−β−アラニン(A)という]の1例及びギ酸不溶
性のポリ−β−アラニン重合体[以下、ポリ−β−アラ
ニン(B)という]の1例の赤外吸収スペクトルであ
り、第2図は該ポリ−β−アラニン(A)の炭素13核磁
気共鳴スペクトルである。
第1図及び第3図から、3290cm-1、1638cm-1、1535c
m-1、1108cm-1及び972cm-1に第二級アミド基(−CONH
−)の特性吸収があり、また、3355cm-1、3190cm-1、16
58cm-1及び1617cm-1に第一級アミド基(−CONH2)の特
性吸収が存在することが分かる。
また、第1表にポリ−β−アラニン重合体の示差熱量測
定結果、及び比較のための通常のポリ−β−アラニンと
ポリアクリルアミドの示差走査熱量測定結果を示す。
この結果から、本発明で用いるポリ−β−アラニン重合
体は、ポリ−β−アラニンとポリアクリルアミドの混合
物ではなく、CH2−CH2−CONHと また、第2図の13C−NMRスペクトルにおけるそれぞれの
シグナルの帰属は、 である。
以上の構造解析の結果、本発明で用いるポリ−β−アラ
ニン重合体は、式 CH2CH2CONH …(I) で示される構造単位と、式 で示される構成単位とを主要単位として有するランダム
共重合体であることが確認された。
このように、分子中に第一級アミド基を有する、本発明
で用いるポリ−β−アラニン重合体は、ポリ−β−アラ
ニンとポリアクリルアミドとの単なる混合物とは本質的
に異なる化合物である。すなわち、ポリ−β−アラニン
とポリアクリルアミドとの混合物を熱安定剤としてポリ
アセタールに混合しても、熱安定性の向上や加熱着色の
防止効果はあまりみられない。
本発明組成物においては、前記のポリ−β−アラニン重
合体は、ポリアセタール樹脂に対して、全組成物の重量
に基づき、0.01〜3重量%、好ましくは0.05〜1重量%
の割合で含有させることが必要である。該ポリ−β−ア
ラニン重合体の配合量が0.01重量%未満では熱安定剤と
しての効果が十分に発揮されず、一方3重量%を超える
とその量の割には本発明の効果は発揮されない。
本発明組成物において用いられるポリアセタール樹脂
は、ホルムアルデヒド又はその環状オリゴマーから得ら
れたポリオキシメチレン、あるいはそれらと共重合可能
なコモノマー、例えばエチレンオキシド、プロピレンオ
キシド、イソブチレンオキシド、スチレンオキシド、シ
クロヘキセンオキシドなどとの共重合体などを末端安定
化処理したものである。これらのポリオキシメチレン樹
脂としては、温度190℃、標準荷重2.16kgの条件(ASTM
−D1238−57T)での溶融指数(MI)が、0.01〜70g/10
分、好ましくは0.1〜65g/10分の範囲にあるような分子
量を有するものが適当である。
本発明組成物には、所望に応じ、従来ポリアセタール組
成物に慣用されている各種添加剤、例えば酸化防止剤、
紫外線吸収剤、滑剤、顔料、無機充てん剤などを単独又
は種々の組合せで、添加することができる。
前記の酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防
止剤、アミジン化合物系酸化防止剤(特公昭40−21148
号公報)、ヒンダードアミン系酸化防止剤などが挙げら
れ、その配合量は通常組成物の全重量に基づき、0.01〜
3重量%の範囲で選ばれる。紫外線吸収剤としては、例
えばベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、オキザ
リックアシッドアニリド系、サリシレート系、ベンゾエ
ート系、アクリレート系紫外線吸収剤や、ニッケル含有
光安定剤などが挙げられ、その配合量は、通常組成物の
全重量に基づき0.01〜3重量%の範囲で選ばれる。
また、滑剤としては、例えばエーテル系、エステル系、
アミド系、ホウ酸エステル系滑剤や、炭素数12〜22の脂
肪族アルコール類、あるいは各種潤滑剤などが挙げら
れ、その配合量は、通常0.01〜8重量%、好ましくは0.
1〜7重量%の範囲で選ばれる。顔料としては、例えばA
l、Ti、Cr、Fe、Co、Znなどの酸化物、硫化物、クロム
酸塩や、金属粉などの種々の無機顔料、さらにペリレン
系、ペリノン系、アントラキノン系、インジゴ系、ジオ
キサン系、キナクリドン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポ
リアゾ系、フタロシアニン系、イソインドリノン系、キ
ノフタロン系、カーボンブラックなどの有機顔料が挙げ
られるが、必ずしも上記顔料に限定されるものではな
い。さらに、無機充てん材としては、従来公知のもの、
例えば特開昭60−22846号公報記載のものなどを挙げる
ことができる。
これらの添加成分が含まれた最終組成物中におけるポリ
アセタール樹脂の含有量としては60〜99.99重量%が適
当である。
本発明のポリアセタール組成物は、例えば粉末状、粒
状、フレーク状のポリアセタール樹脂、第一級アミド基
を有するポリ−β−アラニン重合体の粉末及び必要に応
じて添加される各種添加剤などを、通常の方法により、
ペレット化することによって調製することができる。
本発明のポリアセタール組成物の特徴は、第1に成形加
工中における着色変色が極めて少ないことであり、第2
に熱安定性、特に種々の添加剤をポリアセタール樹脂に
配合した場合の熱安定性が優れていることである。
このように、該ポリ−β−アラニン重合体が縮合重合型
ポリアミドに比べて優れた効果を有する理由について
は、必ずしも明確ではないが、該ポリ−β−アラニン重
合体中に第一級アミド基が含まれていることと、その末
端基が異なることによるものと推定される。
すなわち、縮合重合型ポリアミドの末端基は−NH2及び
−COOHであるのに対し、該ポリ−β−アラニン重合体の
末端基は−CONH2、−CH=CH2及びROCH2CH2−(Rはアル
キル基である)であって活性が異なるため熱安定性及び
着色に悪影響を及ぼさないものと思われる。
発明の効果 本発明のポリアセタール組成物は、従来の縮合重合型ポ
リアミドを配合したポリアセタール組成物に比較して、
熱安定性、特に顔料やカーボンブラックなどの添加剤を
配合した場合の熱安定性に優れる上に、耐加熱着色性に
も優れており、成形材料として各種用途に好適に用いら
れる。
実施例 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本
発明はこれらの例によってなんら限定されるものではな
い。
なお、実施例及び比較例におけるポリマー及び組成物の
物性は、次に示す方法により測定し、評価した。
(1)還元粘度(ηsp/c) ポリマー5gをギ酸100mlに入れ、常温で2時間かきまぜ
て溶解する。次いで減圧下にろ過してギ酸溶液を得る。
このギ酸溶液に500mlのメタノールを加え、ギ酸溶解物
を析出させ、この析出物をろ別したのち、真空乾燥機中
において、80℃で10時間減圧乾燥する。
このようにして得られた試料を、純度99%以上のギ酸に
溶解したのち、200メッシュタイラーふるいを通して、
試料濃度が1g/dlの溶液を調製する。この溶液につい
て、オストワルド粘度計を用いて、35℃の温度における
還元粘度を測定する。還元粘度ηsp/c(dl/g)は下
記の式で計算する。
ηsp/c(dl/g)=(t/t0−1)/c ここで、tは試料溶液の落下秒数(秒)、t0はギ酸の落
下秒数(秒)である。
(2)第一級アミド基の定量 かきまぜ機付フラスコ内に、試料ポリマー0.71gと40重
量%水酸化カリウム水溶液50mlを加え、かきまぜなが
ら、105〜110℃で20分間加熱し、第一級アミド基をアン
モニアに加水分解する。次いで、フラスコ内容物を50℃
以下に冷却したのち、100mlのメタノールを加え、アン
モニアをメタノールとともに留出させて、この留出液を
0.1規定の硫酸水溶液(V0ml)に吸収させる。この吸収
液を指示薬としてメチルレッドを用い、0.1規定の水酸
化ナトリウム水溶液で中和滴定する。この滴定量をVml
とする。第一級アミド基は下記の計算式により求める。
第一級アミド基(mmol/g)=0.148(V0−V) (3)熱安定性テスト(重量減少率) ポリマーの熱安定性は、窒素気流中で250℃で15分間加
熱した際の重量減少率で評価する。試料ポリマー約50mg
を熱重量分析装置[第二精工舎、SSC−560GH、TG/DT
A]で窒素気流中で測定する。
(4)滞留着色 1オンスの射出成形機で、シリンダー中、230℃に加熱
し、20分間滞留させたのち、成形した試験片の色のラン
クを次の記号により表わす。
製造例1 かきまぜ機付の2の反応器に、キシレン1.6を入
れ、触媒として、カルシウムn−プロピラート0.178g
(アクリルアミド1モルに対して1/10000モル)を加
え、溶媒中に良く分散させたのち、アクリルアミド800g
を加え、窒素気流中でかきまぜながら、90℃で4時間反
応させた。反応終了後、溶媒のキシレンを除き、固定物
を粉砕したのちアセトンで洗浄し乾燥した。収量は769
(収量96.1%)であった。成形物を赤外吸収スペクトル
で分析すると3290、1638、1535、1108、972cm-1に第二
級アミド基(−CONH)−の特性吸収があり、3355、319
0、1658、1617cm-1に第一級アミド基(−CONH2)の特性
吸収が存在することが確認された(第1図)。
なお、赤外吸収スペクトルの測定条件は次のとおりであ
る。
装置:日本電子(株)製 JIR−100 FT−IR 測定法:KBr法 さらに、乾燥した生成物の13C−NMRを測定した(第2
図)。各ピークの帰属を次に示す。
なお、13C−NMRの測定条件は次のとおりである。
装置:日本電子(株)製 JNM−QX270型 観測周波数:67.94MHz 観測巾:20000Hz パルス巾:5.8μs 繰返し時間:5.0sec 積算回数:1000回 測定モード:TOSS法 赤外吸収スペクトル及びNMRスペクトルによる構造解析
の結果、生成物は、構成単位(I)CH2CH2CONHと構
成単位(II) から成るランダム共重合体であることが確認された。
この共重合体の分析結果を第2表に示す。
比較製造例1 かきまぜ機付きの300mlフラスコに、200mlのo−ジクロ
ロベンゼンを入れ、触媒としてカルシウムプロピラート
1.49(アクリルアミド1モルに対し、3.3×10-2モル)
を加え、溶媒中に良く分散させる。アクリルアミド20.0
gを加えて、窒素気流中でかきまぜながら、120℃で4時
間反応させた。反応終了後、溶媒のo−ジクロロベンゼ
ンを除いたのち、重合物に水200mlを加え、還流下で2
時間加熱し均一な透明溶液を得た。この重合物溶液をメ
タノール中に滴下し、重合物を析出させた。この重合物
をろ別し、得た粉状体をメタノールで洗浄後、60℃で乾
燥した。得た重合物の収量は14.4g(収率72.0%)であ
った。このものの分析結果を第2表に示す。
比較製造例2 比較製造例1と同様にして反応させて重合物を製造し
た。次いでこの重合物を水による処理を行うことなく、
すなわち残存触媒の除去を行うことなく、そのまま粉砕
し、アセトンで洗浄後乾燥し固形物を得た。得られた固
形物の分析結果を第2表に示す。
製造例2,3 製造例1で用いた装置を使用して、アクリルアミドの
量、溶媒量、溶媒の種類は製造例1と同じ条件で、かつ
触媒の種類、触媒とアクリルアミドのモル比、反応温
度、反応時間を第3表のように変えて実施した。
得られたポリマーの還元粘度、第一級アミド基の含有
量、収率を第3表に示す。このポリマーは、IR及びNMR
スペクトルによる構造解析の結果、構成単位(I)CH
2CH2CONHと構成単位(II) とから成るランダム共重合体であることが確認された。
製造例4 製造例1において、90℃で4時間加熱後、さらに120℃
で4時間加熱して反応させる以外は、実施例1と同一条
件で反応させた。得られたポリマーの還元粘度は13.8で
あり、ギ酸に不溶なものが少量生成した。また、第一級
アミド基の含有量は6.06mmol/g(43モル%)であっ
た。
製造例5 内径1.0cm、外径1.3cm、長さ30cmのステンレス鋼製内
管、内径3.0cm、外径3.5cm、長さ30cmのステンレス鋼製
外管から成る二重管式重合機を用い、内管と外管との空
間に熱媒体としてシリコンオイルを循環し、次のように
して重合を行った。
すなわち、アクリルアミドモノマー20gとカルシウムジ
プロポキシド0.0044g(モノマーに対して1/10000モ
ル)とを均一に混合して内管に仕込み、内管の系内を真
空ポンプで60トール前後に減圧したのち、窒素ガスで置
換する。内管と外管との空間に90℃のシリコンオイルを
循環してモノマーを完全にメルトする。次いで、循環す
る熱媒のシリコンオイルの温度を100℃に1.5時間、110
℃に1.5時間、120℃に1.5時間、130℃に1.5時間保持
後、最後に170℃で3時間保ったのち冷却する。
次ぎに、ステンレス鋼製内管中の棒状重合体を取り出し
て粉砕し、アセトンで洗浄したのち、約5トールの真空
下、70℃で24時間乾燥した。モノマーからポリマーへの
転化率を、式 で計算すると、98%であった。
また、分析の結果、重合体中の第一級アミド基の含有量
は6.41mmol/g(46モル%)であり、ギ酸溶解物は60
%、不溶解物は40%であった。なお、ギ酸可溶部分の還
元粘度は6.1であった。
実施例1 粉末状の末端アセチル化されたポリオキシメチレン樹脂
(ASTM−D−1238−57Tによる標準荷重2.16kg、温度190
℃でのメルトインデックスが15.4g/10分)100重量部、
酸化防止剤[2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−
t−ブチルフェノール)]0.25重量部、製造例1〜7で
製造した、第一級アミド基を含有するポリ−β−アラニ
ン重合体それぞれ0.5重量部(全組成分の0.496重量%に
相当)をヘンシェルミキサーで混合して、押出機で200
℃で押し出し、ペレタイズした。このペレットを80℃で
14時間熱風乾燥した。乾燥したペレットの熱安定性及び
滞留着色を測定した。その結果を第4表に示す。
比較例1 第一級アミド基を含有するポリ−β−アラニン重合体の
代りに、ヘキサメチレンアジポアミド、ヘキサメチレン
セバコアミド、カプロラクタムの三元共重合ポリアミド
を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりペレット
を作り、同様の評価を行った。その結果を第4表に示
す。
比較例2 第一級アミド基を含有するポリ−β−アラニン重合体の
代りに、エチレンとアクリル酸メチル共重合体に分散さ
せたポリヘキサメチレンアジポアミド(ナイロン66)混
合物をポリアミドとして0.5重量部を用いた以外は、実
施例1と同様の方法によりペレットを作り、同様の評価
を行った。その結果を第4表に示す。
比較例3 製造比較例1のポリ−β−アラニンを用い、実施例1と
同様の方法によりペレットを作り、評価を行った。結果
を第4表に示す。
比較例4 製造比較例2のポリ−β−アラニンを用い、実施例1と
同様の方法によりペレットを作り、評価を行った。結果
を第4表に示す。
実施例2 粉末状の末端アセチル化されたポリオキシメチレン樹脂
100重量部、酸化防止剤[2,2′−メチレンビス(4−メ
チル−6−t−ブチルフェノール)]0.25重量部、製造
例1及び製造例2で合成した第一級アミド基を含有する
ポリ−β−アラニン重合体0.5重量部(全組成物の0.494
重量%に相当)と、添加剤としてカーボンブラック0.2
重量部又は酸化チタン0.2重量部をヘンシェルミキサー
で混合して、押出機で200℃で押出し、ペレタイズし
た。このペレットを80℃で14時間熱風乾燥し、実施例1
と同じ方法で重量減少率を測定した。その結果を第5表
に示す。
比較例5 第一級アミド基を含有するポリ−β−アラニン重合体の
代りに、比較例1で用いた三元共重合ポリアミドを使用
した以外は、実施例2と同様に実施した。その結果を第
5表に示す。
比較例6 第一級アミド基を含有するポリ−β−アラニン重合体の
代りに、比較例2で用いたポリアミドを使用した以外
は、実施例2と同様に実施した。結果を第5表に示す。
実施例3 製造例7で得られたポリマー1重量部に、ギ酸10重量部
を加えてかきまぜたのち、ろ過してギ酸不溶物を分離
し、このギ酸不溶物を100℃で真空乾燥した。このもの
の赤外吸収スペクトルを第3図に示す。
このスペクトルより、ギ酸不溶物は第一級アミド基 及び第二級アミド基CH2CH2CONHを含むことが確認さ
れた。さらに、第一級アミド基を定量すると6.06mmol/
gであった。これらの分析結果から、該ギ酸不溶物は、
CH2CH2CONHと、 とを構成単位とするポリマーであることが確認された。
ギ酸不溶物を実施例1と同様の条件でポリアセタール樹
脂にブレンドし、この組成物の熱安定性と滞留着色を測
定した結果、重量減少率は0.22%であり、着色のランク
はAであった。これらの結果よりギ酸不溶物はポリアセ
タール樹脂の安定剤として非常に優れていることが明ら
かである。
実施例4 −CH2CH2O−基2重量%を含有する粉末状ポオキシメチ
レン共重合体(MI=9.0g/10分)に対し、全組成物重量
に基づき製造例7で得られたポリ−β−アラニン重合体
0.5重量%、メラミン0.1重量%及びフェノール系酸化防
止剤(IRGANOX 1010、チバガイギー社製)0.25重量%
をヘンシェルミキサーで混合したのち、この組成物を押
出機を用いて、200℃でペレット化し、得られたペレッ
トを80℃で14時間、加熱空気で乾燥した。この乾燥ペレ
ットの熱安定性及び耐熱エージング(140℃)引張降状
強度を測定し、その結果を第6表に示す。
なお、耐熱エージング引張降状強度は、ASTM638に準じ
て、測定した。
比較例7 実施例4において、ポリ−β−アラニン重合体を用いな
かったこと以外は、実施例4と同様にしてペレットを作
成し、評価した。その結果を第6表に示す。
実施例5 粉末状ポオキシメチレン共重合体(ASTM−D−1238−57
Tによる標準荷重2.16kg、温度190℃でのメルトインデッ
クスが9.0g/10分)に対し、全組成物重量に基づき製造
例7で得られたポリ−β−アラニン重合体0.5重量%、I
RGANOX 1010 0.25重量%、チヌビン320 0.5重量%及
びCHIMA SSORB 944LD 0.2重量%をヘンシェルミキサ
ーで混合したのち、この組成物を押出機を用いて、200
℃でペレット化し、得られたペレットを80℃で14時間乾
燥した。この乾燥ペレットについて、耐候促進試験を行
い、クラック発生時間を求めた。その結果を第7表に示
す。
なお、耐候促進試験は、サンシャインウエザーメーター
(スガ試験機;WEL−SUN−HCH−D型)を用い、63℃でwe
tの条件で行った。
比較例8 実施例5において、ポリ−β−アラニン重合体を用いな
かったこと以外は、実施例5と同様にしてペレットを作
成し、評価した。その結果を第7表に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第3図は、それぞれ本発明で用いるギ酸可溶
性ポリ‐β‐アラニン重合体の1例及びギ酸不溶性ポリ
‐β‐アラニン重合体の1例の赤外吸収スペクトル図、
第2図は該ギ酸可溶性ポリ‐β‐アラニン重合体の炭素
13核磁気共鳴スペクトル図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリアセタール樹脂に対し、(B)
    分子中にその1g当り、5.0〜9.0ミリモルの第一級アミド
    基を有するポリ‐β‐アラニン重合体を全組成物の重量
    に基づき0.01〜3重量%の割合で含有させて成るポリア
    セタール組成物。
JP11212987A 1986-05-09 1987-05-08 ポリアセタ−ル組成物 Expired - Fee Related JPH0668058B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61-105890 1986-05-09
JP10589086 1986-05-09

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63108051A JPS63108051A (ja) 1988-05-12
JPH0668058B2 true JPH0668058B2 (ja) 1994-08-31

Family

ID=14419512

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11212987A Expired - Fee Related JPH0668058B2 (ja) 1986-05-09 1987-05-08 ポリアセタ−ル組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0668058B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0388809B1 (en) * 1989-03-17 1996-04-24 E.I. Du Pont De Nemours And Company Polyacetal resins containing non-meltable polymer stabilizers or cellulose stabilizers
DE69028206T2 (de) * 1989-06-15 1997-03-20 Du Pont Stabilisierte polyacetalzubereitungen
CN1046541C (zh) * 1994-02-21 1999-11-17 旭化成工业株式会社 甲醛共聚物树脂组合物
DE19681563T1 (de) * 1995-09-07 1998-10-01 Asahi Chemical Ind Polyoxymethylen-Harzzusammensetzung

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63108051A (ja) 1988-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4217430A (en) Graft copolymer of neutralized acid copolymer trunk and polyamide oligomeric branches and method for making such copolymer
CS197279B2 (en) Shaping material based on polyoxymethylene
JPS62288648A (ja) ポリアセタ−ルの安定化組成物
JPH0717810B2 (ja) ポリアセタ−ルの安定化組成物
US3980734A (en) Thermoplastic moulding compositions based on poly (oxymethylene)
US5079330A (en) Polyoxymethylene multi-copolymer and its resin composition
US4757112A (en) Single step bulk process for high impact polyamide masterbatches, products thereof and blends with polyamides
TWI354682B (en) Process for preparing a melt-processable polyamide
US5015707A (en) Preparation of poly-β-alanine from acrylamide
JPH01126355A (ja) プロピレン重合体組成物
US4181685A (en) Thermoplastic molding compositions on the basis of polyoxymethylenes
CA1235246A (en) Oxymethylene polymer molding compositions having enhanced resistance to speck formation
US4070415A (en) Thermoplastic molding compositions on the basis of polyoxymethylenes
JPH0668058B2 (ja) ポリアセタ−ル組成物
US3646159A (en) Polycarbonate/polyacetal thermoplastic resin compositions
EP1828286B1 (en) Process for preparing trioxepane composition and use thereof in crosslinking polymers
JPS642131B2 (ja)
JPH0757838B2 (ja) ポリオキシメチレン樹脂組成物
US4666995A (en) Oxymethylene polymer molding compositions having enhanced resistance to black speck formation
JPS59213752A (ja) ポリアセタ−ル組成物
JPH02283750A (ja) ポリオキシメチレン塑造成形材料
US4101502A (en) Interpolymers of poly (butylene terephthalate)
US5567797A (en) Polyamide composition and process for its production
US5356992A (en) Compatibilized blends of PPE/polyethylene copolymer
WO2008078571A1 (ja) ポリアセタール樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees