JPH0666513B2 - 半導体レ−ザ - Google Patents

半導体レ−ザ

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JPH0666513B2
JPH0666513B2 JP60078021A JP7802185A JPH0666513B2 JP H0666513 B2 JPH0666513 B2 JP H0666513B2 JP 60078021 A JP60078021 A JP 60078021A JP 7802185 A JP7802185 A JP 7802185A JP H0666513 B2 JPH0666513 B2 JP H0666513B2
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誠二 向井
弘義 矢嶋
正信 渡辺
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、注入電流を制御することにより、放射ビーム
の偏向方向を2次元的に走査およびスイッチ(切換え)
することができるようにした半導体レーザに関する。
[発明の概要] 本発明は放射ビームの偏向機能を有する半導体レーザに
おいて、複数の電流注入用電極により制御される活性領
域内の電子密度分布を素子基板に平行な平面外の方向に
も勾配をつけるようにすることにより、放射ビームを2
次元方向に偏向して走査またはスイッチングができるよ
うにしたものである。
[従来の技術] 半導体レーザは小型化、高効率化、高出力を可能とする
発光素子として光通信用光源に現在使用され出してい
る。光通信用光源には最初気体レーザが用いられ、その
変調には超音波素子、電気光学素子等の外部変調素子が
これまで用いられてきた。
これに対して半導体レーザでは、注入する電流を変調す
ることにより出力光強度を変化させる所謂直接変調が可
能であり、したがってシステム構成の簡素化、信頼性の
向上等が可能となり、実用上極めて有効な手段となり得
る。
一方、以上のような時間域の変調技術に対して空間域に
おける光の変調技術(ビームの偏向、走査等)もまた、
光が画像等の2次元的情報処理技術を得意とするところ
から応用上極めて重要な技術である。
このような空間的光変調技術については従来、ミラーを
回転する方法、超音波偏向素子や電気光学素子を利用す
る方法等が採用されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上述のようなミラーを回転させる方法で
は高速化を図ることができないこと、また超音波偏向素
子や電気光学素子では大きな偏向角を得ることができな
い等の欠点の他に、いずれの方法においても外部変調方
式のため、システム構成が複雑になり、装置の小型化を
図ることができない等の欠点がある。
光の空間的変調が半導体レーザへの注入電流を制御する
ことにより直接実現できるようになれば、システムの小
型化、信頼性の大幅な向上が図れることになり、光情報
処理技術の発展に貢献するところ大であると考えられ
る。
そこでまず、本発明に直接関係する公知の電流注入半導
体レーザの動作原理を述べる。
第1図は利得導波型と呼ばれる半導体レーザの構造例を
示すもので、ここで1はn-GaAs基板である。n-GaAs基板
1には低屈折率層であるn-AlXGa1-XAsバッファ層2、Al
YGa1-YAs活性層3、低屈折率層であるp-AlXGa1-XAsバッ
ファ層4、p-GaAs層5、SiO2絶縁層6が順に積層され、
更にSiO2絶縁層6の一側面にはp側電極8が設けられ、
n-GaAs基板1の一側面には電流注入用電極であるn側電
極7が設けられ、またp側電極8には電極注入部9が設
けられる。
そして、電流注入部9から半導体層へ注入された電流は
AlYGa1-YAs活性層3の中心部3aにおいて光エネルギーに
変換されるが、この光は上下の低屈折率層4,2に挟まれ
て活性層3に閉じこめられ、横方向の光分布は注入電流
密度によって決定される。
第2図は注入電流密度分布が上述の中心部(3a)に沿って
−aからaまで一様に分布した場合の横方向基本モード
(a)、1次モード(b)、2次モード(c)の光強度分布を示
す。また、これら導波モードが半導体レーザ端面から放
射された時の遠視野像を第3図に示す。
第3図で、横軸は半導体レーザ端面から見た放射角度、
縦軸は放射光強度である。基本モードの遠視野像(a)は
中心軸上が最大強度となり、中心軸から周辺へ単調に減
少する光強度分布を持つのに対し、1次モードの遠視野
像(b)は双峰性を示し、2次モードの遠視野像(c)は中央
のピークが小さく、両端のピークが大きい双峰性を示
す。いずれの場合も遠視野像は中心軸に対して対称であ
る。
一方、注入電流密度分布が活性部3a内で非一様に分布す
ると、各導波モードの放射ビームの角度分布も中心軸に
対して非対称になる。第4図は、注入電流密度が非一様
に分布した場合の各導波モードに対する遠視野像の分布
例を示す。
これによれば、遠視野像の変化の仕方は基本モードと高
次モードの間では本質的相違がある。すなわち、基本モ
ードの放射ビームパターン(a)は注入電流密度に勾配を
持たせることになり、その最大強度角度が左右いずれか
に移動する変化を示す。これに対して1次モードの放射
ビームパターン(b)、2次モードの放射ビームパターン
(c)では双峰性の放射ビーム強度のピーク位置は殆んど
変化しない代りに、いずれか一方のピーク強度が減少す
ると、他方のピークが最大強度となる変化を示す。
これ等の結果から一般に次のようなことが言える。すな
わち、半導体レーザ内で基本モードが励振されている場
合に、注入電流密度分布を一様分布からなる勾配をもつ
不均一分布に徐々に変化されると、放射ビーム角度を中
心から連続的に勾配の方向に変化させることができ、し
たがって注入電流分布を変化させることにより放射ビー
ムの空間的掃引(走査)が可能となる。
これに対して、活性層内に高次モードが励振されている
場合、注入電流密度分布に勾配を持たせると、遠視野像
としての双峰性ピークのいずれか一方の強度が増大し、
同時に他方のピーク強度が減少する。
この原理を応用すると、放射ビームの偏向スイッチング
が可能になる。
一方、半導体レーザの活性層内に注入電流の不均一分布
を形成する基本的方法は、第5図に示すように、前述の
p側電極8を2つの電極8a,8bに分け、更に、電極8a,8b
の電流注入部9a,9bをSi02絶縁層6に埋設した構造に
し、この電極8a,8bからの注入電流比を変化させること
により活性層3内の電流分布を制御するものである。し
かし、このような構造では注入電流密度の勾配の方向は
必然的に活性層3(および、基板面1)に対して平行と
なるので、放射ビームの偏向は基板1に平行な方向にの
み生じ、それ以外の方向には偏向しない。従って、上述
の方法では放射ビームの2次元的な偏向が実現できな
い。
また、放射ビームを偏向する機能を考えず、素子構造だ
けに着目すると、基板平面外の方向に並べられ、互いに
独立に電流注入ができるような活性領域と電極を持つ半
導体レーザ構造として既に第6図に示すような報告があ
る(特願昭52-155080号参照)。
第6図で示されているのは、GaAs基板22上に4μm
高抵抗Al0.3Ga0.7As層17,18,19と、導電性
のn型GaAs活性層15,16とを交互に成長させ、本図
の左側から不純物(亜鉛)を拡散してp型領域14を作
り、n型GaAs活性層15,16上に負電極11,12を設け、
p型領域14上に正電極13を設けた半導体レーザである。
この活性層15,16間に高抵抗層18が存在するため、両活
性層は互いに絶縁され、負電極11または12に電流を流す
ことにより、活性層領域20または21を独立に駆動して発
光させることができる。この構造は、複数の活性領域2
0,21を基板22と平行でない方向に配置し、不純物の拡散
境界面の基板14と平行でない部分を利用して、活性層の
一部に横方向のpnホモ接合を形成することを特徴とし
ている。
しかし、この第6図に示す構造では、独立駆動のレーザ
アレイは形成できても、以下の理由で放射ビームを偏向
させることはできない。
高利得と低利得の2つの活性領域を持つレーザにおい
て、放射ビームが偏向するのは、まず第1にレーザ共振
器内で、高利得領域で過剰に発生した光エネルギーが低
利得領域に流入する際に、その両活性領域に挟まれた領
域では光の波面が低利得側に傾くことによる。また、第
2に、この領域の光がレーザ共振器外に放射される時
に、この領域の開口が放射光の波長に比べて十分大きい
と、放射光に共振器内部での波面の傾きが受け継がれ、
放射光は偏向する。つまり、高利得領域から光エネルギ
ーが流出すること、および両活性領域間の距離(波面が
傾いている領域の拡がり)が放射光の波長(約1μm)
よりも大きいことが放射ビームが偏向するための必要条
件である。
後者の条件から、第6図の両活性層15,16の距離を少な
くとも2μm以上に広げなければならず、この2μm以
上離れた場所に光が流入する程度まで、活性層15,16へ
の光の閉じ込めを弱くするには、活性層15,16を極端に
薄くする必要がある。しかし、第6図の構造では、活性
層15,16が、活性領域20,21への通電路として使われてい
るので、この層15,16が極端に薄いと、活性領域20,21へ
の通電が不可能となる。
[課題を解決するための手段] そこで、本発明の目的は、上述の点に鑑みて、特に注入
電流を制御することにより放射ビームの走査あるいは偏
向方向のスイッチングを2次元的に行えるように適切に
構成した半導体レーザを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、独立した2個以上
(一般にn個,n2)の電流を独立に注入できる電極
(全電極数n+1個)を有し、これらの電極に注入する
電流比を変えて、活性領域内の電子密度分布を素子基板
に平行な平面外の方向にも勾配が生じないように制御す
ることにより、放射光ビームの偏向、またはスイッチン
グを前記平面外にも起こさせる半導体レーザにおいて、
活性層が複数積層され、該活性層間の中間層は該活性層
よりも大きいエネルギーギャップを持つn型電導性の半
導体であり、電流はこれらの中間層からヘテロ接合を横
切って前記活性層に垂直に注入され、各前記活性層への
電流の配分を互いに独立に電流を制御できる2個以上の
p側電極により行うことを特徴とする。
また、本発明は好ましくは前記活性領域は、前記活性層
内に複数形成されることを特徴とすることができる。
さらに説明すると、本発明では、第1図〜第5図を参照
して説明した上述の原理に基づいて放射ビームを基板面
に平行でない方向にも偏向させて放射ビームの2次元的
な偏向をも実現させ、これにより放射ビームの偏向方向
を2次元的に走査およびスイッチングすることができる
ようにしたものであり、特に独立した複数の電流注入用
電極を有する半導体レーザにおいて、活性領域を基板面
に平行でない方向にも十分な距離にわたって分布させ、
その方向に注入電流密度勾配を生じさせるための電極を
具備したことを特徴とするものである。
さらにまた、第6図を参照して説明した上述の問題点を
解決するために、本発明では、複数の活性層の間の中間
層を絶縁膜として利用するのではなく、導電性の高いn
型半導体層(例えばn型AlGaAs層)とし、活性層
に比べて圧倒的に厚く、従ってシート抵抗の低いこの中
間層を、活性層と合わせて通電路とすることにより活性
領域への安定な通電を実現したものである。その結果、
n側の電極は分離できなくなったので、p側の電極を分
離する必要が生じ、不純物拡散を用いた第6図の構造は
本発明に基本的に適用できない。本発明では、第6図の
構造とは対称的に、活性層をはさむ垂直方向にヘテロ接
合(pnヘテロ接合)を形成しているものである。
[作用] 本発明では、以上の構成において基板面に平行でない方
向にも注入電流密度勾配をつけることにより、放射ビー
ムを2次元的な方向に偏向して走査あるいはスイッチン
グを実現することができる。
[実施例] 以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明す
る。
第7図および第8図はそれぞれ本発明の一実施例の半導
体レーザの構成を示す。
まず、第7図に示す構造のものは、2つの活性層を有
し、横方向の電流閉じ込めを逆バイアス層および絶縁膜
を用いて実現したもので、p型半導体基板101上にn型
半導体102を成長させ、その上に電流注入用溝102aを開
け、次にp型半導体103、n型半導体104,105,106、p型
半導体107,108を順次成長させ、更にそのp型半導体108
上に絶縁膜109をつけた後、その絶縁膜109上に電流注入
用溝109aを開けて、電流注入用p側電極110,112および
電流注入用n側電極111をつけたものである。また、上
述の活性層としての半導体104および106の屈折率をバッ
ファ層(低屈折率層)としての各々の両隣の半導体103,
105および105,107よりも大きくしておく。
p型半導体基板101側の電極112とn型半導体106側の電
極111間に電圧をかけると、n型半導体102に開けた溝
(電流注入部)102aから電流が注入されて、その溝の上
方の活性領域113bが発光する。一方、p型半導体108側
の電極110とn型半導体106側の電極111間に電圧をかけ
ると、絶縁膜109に開けた溝(電流注入部)109aから電
流が注入され、その溝の下方の活性領域113aが発光す
る。
上述の活性領域113aおよび113bへの注入電流は独立に制
御できるので、この活性領域間での注入電流密度勾配を
制御することができ、これによりこの半導体層の上下方
向でのビームの偏向が生じる。
第8図に示す実施例の半導体レーザは、第7図に示す構
造のものを複数横方向に対称的に並設したものであり、
第7図と共通の部分の詳細な説明は省略するが、111a,
111bは電流注入用n側電極であり、113a〜113dはそれぞ
れ活性領域である。また、102a,102b,109a,109bは電流
注入部としての溝である。
活性領域113a〜113dへの電流注入は、それぞれ電極対11
0と111a,112と111a,110と111b、112と111bとにより、独
立に制御できるので、注入電流密度の2次元的分布を制
御できる。従って、放射ビームの2次元的偏向が生じ
る。
次に、上述のようにして形成された本発明による放射ビ
ームの2次元的偏向機能を有する半導体レーザの応用例
を述べる。
第9図は、感光面またはスクリーン410上に本発明によ
る半導体レーザ400の放射ビームLBを照射し,走査し
て、画像を記録または表示する画像出力システムを示
す。本発明の半導体レーザ400は放射ビームLBが2次元
的に偏向するので、半導体レーザ400を感光面またはス
クリーン410に対抗して固定できるので、機械的に丈夫
で信頼性の高いシステムが得られる。
第10図は、光ファイば束411への光信号入力を半導体
レーザ400上の電極110,111a,111b,112への注入電流を変
化させることにより、スイッチ(切換え)する様子を示
す。半導体レーザ400を動かすことなく、2次元的に放
射ビームLBが動くので、非常に多数の光ファイバ411へ
の光信号入力を、簡便にまた信頼性高くスイッチするこ
とができる。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、複数の電流注入
用電極により制御される活性領域内の電子密度分布を素
子基板に平行な平面外の方向にも勾配をつけるようにし
たので、放射ビームの偏向やスイッチングを2次元方向
で行うことができる半導体レーザが得られる。特に、本
発明は、活性層の間の中間層を絶縁膜として利用するの
ではなく、活性層よりも大きいエネルギーギャップを持
つn型電導性の半導体として電流がこれらの中間層から
ヘテロ接合を横切って活性層に注入されるように、中間
層を活性層と合わせて通電路とするようにしたので、活
性領域への安定な通電が実現できるという顕著な効果が
得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は単一電極を有する利得導波型半導体レーザの原
理構成図、 第2図(a),(b),(c)は同上の利得導波型半導体レーザの
各発振モードの横方向光強度分布図、 第3図(a),(b),(c)は同上の各導波モードがレーザ端面
から出射したときの遠視野像の一例を示す図、 第4図(a),(b),(c)は活性層内の注入電極密度分布が不
均一な場合の各導波モードに対する出射ビームの遠視野
像の一例を示す図、 第5図は活性層中に不均一な注入電流分布を生じさせる
ための独立した2つの電流注入用電極を有する半導体レ
ーザの原理構成図、 第6図は独立駆動可能な2個の活性領域が上下に配置さ
れた公知技術に基づく構造の一例を示す構成図、 第7図は上下に出射ビームを偏向させるための2つの活
性層を有する本発明の実施例の半導体レーザの構成図、 第8図は2次元的なビーム偏向を行わせるために第7図
の半導体レーザを横方向に集積して構成した本発明の他
の実施例の半導体レーザの構成図、 第9図および第10図はそれぞれ、本発明の半導体レーザ
が適用できる応用例を示す模式図である。 101…p型半導体基板、 102…n型半導体、 102a,102b,109a,109b…溝(電流注入部)、 103,107…バッファ層(p型半導体)、 105…バッファ層(n型半導体)、 104,106…活性層(n型半導体)、 108…p型半導体、 109…絶縁膜、 110,112…電流注入用p側電極、 111,111a,111b…電流注入用n側電極、 113a,113b,113c,113d…活性領域、 400…半導体レーザ、 410…感光面(スクリーン)、 411…光ファイバ束。
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 日出男 茨城県新治郡桜村梅園1丁目1番4号 電 子技術総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭58−56489(JP,A) 特開 昭57−162483(JP,A) 特開 昭57−164590(JP,A) 特開 昭52−155080(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2個以上(一般にn個,n2)の電流を
    独立に注入できる電極(全電極数n+1個)を有し、こ
    れらの電極に注入する電流比を変えて、活性領域内の電
    子密度分布を素子基板に平行な平面外の方向にも勾配が
    生じるように制御することにより、放射光ビームの偏
    向、またはスイッチングを前記平面外にも起こさせる半
    導体レーザにおいて、 活性層が複数積層され、 該活性層間の中間層は該活性層よりも大きいエネルギー
    ギャップを持つn型電導性の半導体であり、 電流はこれらの中間層からヘテロ接合を横切って前記活
    性層に垂直に注入され、 各前記活性層への電流の配分を互いに独立に電流を制御
    できる2個以上のp側電極により行うことを特徴とする
    半導体レーザ。
  2. 【請求項2】前記活性領域は、前記活性層内に複数形成
    されることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の半
    導体レーザ。
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