JPH0665577B2 - 線状体の巻込収納装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明、線状体をコイル状に成形しながら収納体内に花
巻き状に巻込み収納する装置に関する。

（従来の技術） 従来、この種線状体の巻込収納装置として、第４図及び
第５図に例示するものが知られている（特開昭60−1966
5号公報参照）。この装置は、キヤプスタン41並びにリ
ングギヤ42が架台43に固定状態に設置され、前記リング
ギヤ42の外周を転動する遊星ギヤ44及びプーリ45を有
し、前記キヤプスタン41を中心に回転するフライヤ46を
備え、該フライヤ46の中空軸47内を通過する線状体Ｗを
ピンチロール48を介して導びき、前記プーリ45に設けた
平ベルト49により前記キヤプスタン41の外周に挟持して
引出すことにより円形に成形しながらパック50内に落し
込むようになっている。そして、線状体Ｗを円形に成形
する操作後に、線状体Ｗを引出速度と同速度で送り出し
ている。

また、線状体の収納効率を高めかつ引出し時のもつれを
防止するため、花巻き状（第３図参照）に収納する装置
として第６図及び第７図に示すものが知られている（例
えば特開昭55−145971号公報参照）。この装置は、供給
ローラ51によって送られてきたワイヤＷが、プーリ52を
介して図外の駆動源により略円錐状の回転運動をするノ
ズル状ガイド53を通り、下方に配置したベイル容器54内
に送り込まれ、ベイル容器54が駆動源55によって回転す
る回転台56上の固定部57に適当な手段で固定されるよう
になっている。そして、前記ガイド53の回転中心C₁と回
転台56の回転中心C₂は略一致させ、回転部57の回転台56
の回転中心C₂から適当長さずらせた位置に設けられてお
り、回転台56を回転させると、固定部57に固定されたベ
イル容器54の軸心C₃は回転中心C₁の回りを公転する。し
たがって、ベイル容器54を固定部56に固定して回転台56
を回転させながら、この容器54内にワイヤＷを送込む
と、第７図に示すように、一定位置で回転するガイド53
の回転軌跡Ａの回転中心C₁に対し、ベイル容器54は一定
の偏心状態で公転し、ワイヤＷの各ループ（又はコイ
ル）は第７図に示すように、徐々に落下位置を変えなが
ら偏心した状態で積層され、花巻き状に収納される。

（発明が解決しようとする課題） ところで、従来装置の前者は、花巻き状に収納できず、
後者にあっては花巻き状に収納しうるがベイル容器54を
偏心的に回転させなければならないので構造が複雑で作
業性に難があるなどの問題があった。

本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、線状体を花巻き状に巻込み収
納できる構造簡単でかつ作業性のよい経済的に得られる
線状体の巻込収納装置を提供するにある。

（課題を解決するための手段） 本発明では、上記目的を達成するために、次の技術的手
段を講じた。

すなわち、本発明は、駆動手段12により竪軸心回りに回
転する中空回転軸６内にその上部から導入した線状体Ｗ
を前記中空回転体６と一体で回転する引出部材８により
中空回転軸６の下部から引出し、該引出した線状体Ｗを
中空回転軸６の直下に備えた送出ドラム10の外周に巻き
付けて成形するとともに、該ドラム10の直下に備えた収
納体２に落下案内して花巻き状に収納する線状体の巻込
収納装置において、 前記中空回転軸６を架台３に支持する軸受ハブ４に第１
太陽歯車14を固着して備え、 前記送出ドラム10は、前記中空回転軸６に相対回転自在
に支持され、かつ、該ドラム10の回転軸心上に第２太陽
歯車30を備え、 前記第１太陽歯車14に対して自転しつつ公転して噛合す
る第１遊星歯車24と、前記第２太陽歯車30に対して自転
しつつ公転して噛合する第２遊星歯車25と、を備え、 更に、前記第１太陽歯車14と第１遊星歯車24に対して前
記第２太陽歯車30と第２遊星歯車25を減速させて前記送
出ドラム10を緩速回転していることを特徴とするもので
ある。

（作用） 本発明によれば、中空回転軸６にその上部から導入した
線状体Ｗは、中空回転軸６と一体に回転する引出部材８
により回転軸６の下部から引出されて送出ドラム10の外
周に巻付けて成形されてから、送出ドラム10の直下に備
えている収納体２に花巻き状に収納される。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。

第１図及び第２図は本発明の実施例を示し、線状体巻込
収納装置１は、前面に収納体２を出入しうる箱形の架台
３と、架台３天板3aに軸受ハブ４に複数の軸受５を介し
て竪軸心回りに回転自在に軸支された中空回転軸６と、
該回転軸６に固着された線状体引取ドラム７及び線状体
引出部材８と、前記軸６の下端に軸受９を介して回転自
在に設けられた線状体送出ドラム10と、押圧部材11と、
回転軸駆動手段12と、収納体２及び線状体送出ドラム10
の変速手段13等により構成されている。

前記収納体２は、上中下段に配したリング状の横棧2aの
内側に、８本の縦棧2bを等間隔で固着すると共に、中央
には上端に略コーン状ガイド2cを有するガイド部材2dが
立設されており、縦棧2bとガイド部材2dの間にコイル状
に成形された線状体Ｗが収納されるようになっている。

前記軸受ハブ４の架台３内に位置する下端には、変速手
段13を構成する太陽歯車14が固着されている。

前記引取ドラム７は、中空回転軸６の上端に固着され、
線材仕上圧延機や線材処理機等から送出された線状体Ｗ
を引取るもので、架台天板3a上に設けられたガイドロー
ル15、矯正ローラ16を経た線状体Ｗを１回巻した後、前
記ガイドロール15の反対側に位置して架台天板3a上に設
けられた変向ロール17に導びくようになっている。

前記線状体引出部材８は、ボス部18aを備えた回転円板1
8と３個の線状体変向ロール19a,19b,19cと、ピンチロー
ラ群20a,20bとからなり、回転円板18のボス部18aが前記
回転軸６の下部に固着されている。そして、回転円板18
の上面には、前記駆動手段12を構成するリング状の従動
プーリ21が中空回転軸６と同一軸線をもつように固着さ
れており、ボス部18a及び中空回転軸６には、該軸６の
中空部6aに通じる変向ロール装着開口22が設けられ、前
記線状体変向ロール19aが水平軸23を介して回転自在に
装着されている。

また、回転円板18には、変速用遊星歯車24,25が軸受ハ
ブ26、軸受27及び共通歯車軸28を介して、該円板18の上
側及び下側に位置して一体的に回転可能に設けられてお
り、上側の遊星歯車24は前記太陽歯車14に噛合されてい
る。

なお、前記変向ロール19b,19cに並びにピンチローラ群2
0a,20bは、回転円板18の下面に設けられ、線状体Ｗをそ
のねじれを矯正して線状体送出ドラム10に導びくように
なっている。

29は線状体引出案内管で、変向ロール19a,19b間に位置
して前記回転円板18に固着されている。

前記線状体送出ドラム10は、上側にボス部10aが突設さ
れ、該ボス部10aが前記回転軸６の下端に軸受９を介し
て相対回転可能に取付けられており、該ボス部10aの外
周には前記遊星歯車25と噛合する伝動歯車30が固着され
ている。そして、線状体送出ドラム10の下面には８本の
棒状体からなる偏心ガイド31が斜め下方に向って延設さ
れており、該偏心ガイド31は、回転軸中心CSに対して所
定角θをもって同一方向に屈曲され、コイル状に成形さ
れた線状体Ｗが収納体２内に落下したときのコイル中心
CWが、第３図に示す同一円CC上に位置するようにしてあ
る。なお、線状体送出ドラム10の線状体巻付部10bは、
線状体引取ドラム７の線状体巻回部7aと略同一径となっ
ている。

前記押圧部材11は、架台３に取付けられ、先端が線状体
送出ドラム10の線状体巻付部10aの外周面に付勢ばね32
により所定の圧力で押し付けられており、線状体Ｗを前
記ドラム10に押圧し成形するようになっている。

前記回転軸駆動手段12は、前記従動プーリ21と、電動機
33と、減速機34と、減速機出力軸35に固着された原動プ
ーリ36と、両プーリ21,36に巻掛けられた伝動ベルト37
とからなっている。

前記変速手段13は、前記太陽歯車14、遊星歯車24,25、
共通歯車軸28及び伝動歯車30とにより構成されており、
伝動歯車30即ち線状体送出ドラム10が中空回転軸６と同
一方向でしかも若干遅れて回転するようになっている。
即ち、太陽歯車14及び伝動歯車30のピッチ円直径を等し
くすると共に、伝動歯車30の歯数を太陽歯車14の歯数よ
りも若干（例えば１〜３枚）多くし、遊星歯車24,25の
ピッチ円直径を等しくすると共に下側の遊星歯車25の歯
数を上側の遊星歯車24の歯数よりも若干（例えば１〜２
枚）多くすることによって、伝動歯車30の回転速度を中
空回転軸６の回転速度よりも約１％程度遅くすることが
できる。

38は変向ロールで、架台天板3a上に立設したブラケット
39を介して、中空回転軸６の直上に位置するように配さ
れ、変向ロール17からの線状体Ｗを中空回転軸６の中空
部6aを通って変向ロール19aに導びくようになってい
る。

上記実施例において、ガイドロール15から矯正ローラ16
を経て前記引取ドラム７により引取られた線状体Ｗは、
変向ロール17,38によって中空回転軸６の中空部6a内に
導びかれ、線状体引出部材８に設けた変向ロール19a、
案内管29、変向ロール19b,19c及びピンチローラ群20a,2
0bによって引き出され、線状体送出ドラム10の線状体巻
付部10bに巻付けられると共に押圧部材11により押し付
けられてコイル状に成形されながら下方に移動し、偏心
ガイド31によってコイル中心CWが回転軸中心CSから偏心
するように順次落下される。このとき、収納体２は、そ
の中心が中空回転軸６と同心的に配置されており、線状
体引取ドラム７、線状体引出部材８及び線状体送出ドラ
ム10は夫々同一方向に回転軸駆動手段12によって回転さ
れると共に、変速手段13によって線状体送出ドラム10
が、線状体引出部材８よりも若干遅い速度で回転され
る。したがって、コイル状の線状体Ｗが収納体２内に落
下する位置が、中空回転軸６の回転動中心CSから半径方
向外方にずらされると共に、線状体送出ドラム10の回転
が遅れる分だけ周方向に徐々に変えられながら、偏心し
た状態で第３図に示すように花巻き状に積層され収納さ
れる。

なお、花巻き状の形、大きさ等は、変速手段13を構成す
る各歯車14,24,25,30の歯数を変更し、或いは偏心ガイ
ド31の傾斜角θを変更することによって任意に変えるこ
とができる。

本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、適宜
設計変更しうること勿論である。

（発明の効果） 以上詳述した通り本発明によれば、竪軸心回りに回転す
る中空回転軸６を架台３に支持する軸受ハブ４に第１太
陽歯車14を固着して備え、中空回転軸６の直下に備えた
送出ドラム10は、前記中空回転軸６に相対回転自在に支
持され、かつ、該ドラム10の回転軸心上に第２太陽歯車
30を備え、前記第１太陽歯車14に対して自転しつつ公転
して噛合する第１遊星歯車24と、前記第２太陽歯車30に
対して自転しつつ公転して噛合する第２遊星歯車25と、
を備えているので送出ドラム10を緩速回転させるための
減速手段を省略できて装置高さを低くすることができ
る。

更に、前記第１太陽歯車14と第１遊星歯車24に対して前
記第２太陽歯車30と第２遊星歯車25を減速させて前記送
出ドラム10を緩速回転していることから、該ドラム10の
外周に巻付けて成形される線状体Ｗの成形が正確かつ確
実にできて、収納体２に落下案内して整然とした花巻き
状として収納できる。

即ち、特公昭62−61495号公報で開示の従来技術の如く
ガイドパイプを螺旋形状として成形するものでは、確実
かつ整然と花巻き状に成形するのに長尺のガイドパイプ
を必要とするのに対し、本発明では緩速回転する送出ド
ラム10で成形することから、嵩低い下での正確かつ確実
で整然とした花巻き状に成形できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す中央縦断正面図、第２図
は第１図のII−II線矢視図、第３図は線状体の花巻き収
納状態を示す平面図、第４図は従来例を示す中央縦断正
面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線矢視図、第６図は他の
従来例を示す概略正面図、第７図は第６図におけるノズ
ル状ガイドの回転軌跡とベイル容器の公転軌跡との関係
を示す概念図である。 １……線状体の巻込収納装置、２……収納体、３……架
台、６……中空回転軸、6a……中空部、７……線状体引
取ドラム、８……線状体引出部材、10……線状体送出ド
ラム、11……押圧部材、12……回転軸駆動手段、13……
変速手段、17,19a,38……線状体変向ロール、31……偏
心ガイド、CS……回転軸中心、CW……コイル中心、Ｗ…
…線状体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】駆動手段(12)により竪軸心回りに回転する
   中空回転軸(6)内にその上部から導入した線状体（Ｗ）
   を前記中空回転体(6)と一体で回転する引出部材(8)によ
   り中空回転軸(6)の下部から引出し、該引出した線状体
   （Ｗ）を中空回転軸(6)の直下に備えた送出ドラム(10)
   の外周に巻き付けて成形するとともに、該ドラム(10)の
   直下に備えた収納体(2)に落下案内して花巻き状に収納
   する線状体の巻込収納装置において、 前記中空回転軸(6)を架台(3)に支持する軸受ハブ(4)に
   第１太陽歯車(14)を固着して備え、 前記送出ドラム(10)は、前記中空回転軸(6)に相対回転
   自在に支持され、かつ、該ドラム(10)の回転軸心上に第
   ２太陽歯車(30)を備え、 前記第１太陽歯車(14)に対して自転しつつ公転して噛合
   する第１遊星歯車(24)と、前記第２太陽歯車(30)に対し
   て自転しつつ公転して噛合する第２遊星歯車(25)と、を
   備え、 更に、前記第１太陽歯車(14)と第１遊星歯車(24)に対し
   て前記第２太陽歯車(30)と第２遊星歯車(25)を減速させ
   て前記送出ドラム(10)を緩速回転していることを特徴と
   する線状体の巻込収納装置。