JPH0665105A - T2陰性効果を目的とした消化管造影用組成 物 - Google Patents
T2陰性効果を目的とした消化管造影用組成 物Info
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Abstract
撮影を目的とした消化管造影用組成物。 【効果】 MRI法による緩和時間:T2強調画像撮影
時における陰性効果にすぐれた飲食品ないし造影剤とし
て利用できる。
Description
画像撮影における造影効果が優れている組成物、例えば
飲食品、造影剤に関する。
法は、先に開発されたX線−CT(Computed Tomograph
y)法と同様に生体の断層像を撮影する手法である。
透過度をコンピュータで処理し濃淡として画像化したも
ので、特に骨などの硬組織の観察に威力があり、今日で
はなくてはならない医療診断装置となっている。しか
し、近年、検査時におけるX線被曝にともなうリスクが
問題視されてきた。
は硫酸バリウムが使用されている。特に硫酸バリウム
は、X線が透過しにくい特性がありX線撮影画像は白く
(陽性効果)表現され、しかも生体に吸収されないため
に極めて毒性が少ないことから消化管造影剤として使用
されている(「化学大辞典9」共立出版(昭43-1-20)
p.727〜728)。
利用して生体内の水の存在状態の差異を画像化する技法
で、X線法と同様に形態観察ができる以外に生体組織、
特に軟部組織の状況および病巣を識別して観察できる特
長をもつ。
場の中に置き電磁波を照射した場合、水素核は共鳴現象
を起こしその照射されたエネルギーを吸収し、やがてそ
の水素核がそのエネルギーを外部へ放出する現象を言
う。そのエネルギーの放出は主に2種類の経路で行われ
る。その一つは、周辺の格子(lattice)と呼ばれる系
へのエネルギーの放出で、その放出時間を緩和時間:T
1(Spin-lattice relaxation time)、また他の一つ
は、近接する水素核へのエネルギーの放出で、その放出
時間を緩和時間:T2(Spin-spin relaxation time)と
定義されている。したがって水を構成する水素核のT1
およびT2は、それぞれの水が存在している環境、すな
わち水の存在状態により影響されるので、MRI画像は
通常これらT1またはT2を測定することで異なる2種類
の情報が得られるが、これらの内、本発明は、緩和時
間:T2に関係する造影剤に関するものである。
を測定しその時間の短かいほど白く(陽性画像)、逆に
長いほど黒く(陰性画像)表現して画像化する。その場
合、生体中の水の運動が拘束されているほど自由な水に
比べ緩和時間:T1が短かくMRI画像は白くなる。ま
た、鉄の存在で水の緩和時間:T1が短かくなる傾向が
あることから、一般には消化管診断用の経口造影剤とし
ては、生体に対する安全上の立場から鉄化合物が試用さ
れている。また、近年、微量のマンガンがT1陽性効果
に有効であることが発見されている(特願平4−693
70)。他方、血管用の造影剤としては、ガドリニウム
化合物あるいはマンガン化合物としてMn-N, N′-dipyri
doxyl-ethylenediamine-N, N′-diacetate 5,5′bis(ph
osphate)などが使用されている。
類の画像の内、その緩和時間:T1の測定を主眼として
撮影されたものをT1強調画像、そして緩和時間:T2に
注目したものをT2強調画像と呼ばれる、2種類の異な
る画像が撮影される。この測定条件の異なる2種の画像
は、観察する組織ごとに期待される効果は異なり、組織
が他の組織と鮮明に識別できるか否かに依存するが、こ
のT2強調画像用の消化管造影剤はいまだ開発されてい
ない。
トラストの異なるT1強調画像とT2強調画像の2種類の
画像を得て、両者よりそれぞれ得られる画像データに基
づき診断を行うのが常である。したがって経口造影剤
は、各々の画像に対し、診断能を向上せしめるべく働く
物質により作られたものでなくてはならない。
1強調画像用造影剤として試用されている鉄化合物(ク
エン酸鉄アンモニウム)の例(廣橋伸治ら、診断と治療
80、168(1992))では、数百mgの多量を摂取しなけ
ればならない。そのため鉄化合物の味が感じられ、生体
にストレスを与え、また特に胃などの消化管に刺激を与
えることになり、消化液を分泌させるので理想的な消化
管診断用の造影剤としては最適とは言えない。また他の
物質を使用しても生体毒性のおそれがある。
体内の他の組織と識別が明確となる物質でなければなら
ない。特に消化管診断用造影剤では、消化管壁との境界
が明瞭となる物質であることが要求される。更に消化管
診断用造影剤は経口摂取されるためその成分の生体毒性
が極めて重要であるため、その成分は食品成分で構成さ
れていることが望ましい。
状態であるため、そのMRI画像は黒く観測される。し
たがって、造影剤の要件としては、より白く表現される
物質(陽性効果)でなくてはならず、そのため造影剤は
水のNMR現象の緩和時間:T1をより短かくさせる成
分または物性で構成されることになる。
強調画像に対して同様な造影効果(陽性効果)を示す場
合、T2強調画像に診断上いくつかの不利益をもたらす
ことになる。その一つとして、生体組織のT2強調画像
における信号強度はT1強調画像よりさらに低いため、
胃、腸管内造影剤が高い信号となる場合、腹壁の呼吸性
移動及び腸管の蠕動運動によるアーチファクト(偽像)
の発生原因となり、画質の低下は免れない。また、T2
強調画像においては、腫瘍性病変などは、一般に白く抽
出される特徴があるため腸管内造影剤とまぎらわしくな
り、診断能が低下する恐れがある。したがって、T1強
調画像では白く表現されるが、T2強調画像では逆に灰
〜黒色に表現されるものがMRI用経口造影剤として望
ましいものと言える。
ルギーの放出の際、緩和時間:T1とT2は同時に短縮お
よび延長する傾向にあることが知られている。したがっ
て期待する効果、すなわちT1を短縮させ、しかもT2を
延長させるこの相反する効果は、一成分では期待できな
いと考えられていたが、敢えてこの理想的な造影剤の開
発に取り組んだ。そこで1種類の造影剤で、同時にT1
強調画像およびT2強調画像でそれぞれ固有の画像を得
る目的で、すなわちT1強調画像では陽性効果を示し、
そのとき同時にT2強調画像では陰性効果を示す造影剤
について研究した。
させる物質として常磁性物質の使用が考えられる。しか
し、常磁性物質である鉄の使用は、前述のごとくその効
果を期待するには多量に使用しなければならないので、
その他の常磁性物質の使用を考えなければならないが、
他の常磁性物質の多用はいずれも生体毒性が考えられ
る。特に消化管造影用を目的とする検査用の飲食品を製
造する場合には、これら常磁性物質の内、すでに試用さ
れている鉄化合物以外は食品添加物として認められてい
ないため使用できない。
水の緩和時間:T1が短かくなる傾向にある点に改めて
着目した。しかしながら常磁性物質としては、銅、マン
ガン、コバルト、クロム等の遷移金属、各種の有機遊離
基、酸素、二酸化窒素等非常に数多くのものが知られて
はいるが、いずれも生体毒性の面で問題があり、食品添
加物として認可されてもいない。
い、敢えてこれらの毒性物質に着目し、微量の摂取であ
れば生体にとっては毒物にはならないとの新しい観点に
たち、莫大な数の常磁性物質についてスクリーニングを
行い、マンガンは多量に摂取すれば毒物となるけれども
微量であればむしろ生体に必要な無機成分でありいくつ
かの食品にも含有されていることから、マンガンに着目
するに至った。
目的で、消化管造影剤としてストレスを与えず飲み易い
ように糖を含む溶液に、それぞれ濃度の異なる塩化マン
ガン水溶液を加えて試料を作成し、MRI装置によりT
1およびT2強調画像のそれぞれの輝度(陰陽度)を実測
した結果、従来より言われているように(特願平4−6
9370)マンガン含量の増加と共に緩和時間:T1が
短かくなる傾向(陽性効果)については再現された。他
方、緩和時間:T2強調画像は、マンガンの添加量が増
大すると共にMRI画像の輝度が低下する、すなわち緩
和時間:T2が長くなる陰性効果を示す新規な現象を発
見した。すなわち、マンガンは極めて少量で緩和時間:
T1の短縮効果による陽性効果が認められるが、さらに
マンガン含量が多くなるとその時の緩和時間:T2の延
長効果を示し、画像は逆に陰性効果を示すとの新規な知
見を得た。この微量のマンガンは本来生体にとって必須
栄養素であり、その過剰症は特殊の例を除き報告されて
いないことから、その生体に対する毒性は極めて低い水
準にあるものと考えられ消化管診断用造影剤として利用
できることがわかった。
後記するところから、使用時の溶液中のマンガン濃度が
5〜80μg/ml好ましくは5〜50μg/mlとなるように
調製するのが好適であることが判明した。したがって本
発明に係る消化管造影用組成物を製造するには、マンガ
ン化合物及び/又はマンガン含有物を有効成分として、
常法にしたがって造影剤ないし飲食品タイプに調製すれ
ばよい。
硫酸マンガンその他の無機又は有機のマンガン化合物が
広く使用できる。また本発明において更に特記すべきこ
とは、マンガン量は極く微量で充分所期の目的を達成し
うることを新規に発見したことであり、マンガン成分と
してマンガン含有物も自由に使用できることである。マ
ンガン含有物としては、天然物由来及び人工物由来を問
わずマンガンを所定量含有する物質であればすべての物
質が使用可能である。したがって、例えばマンガン含有
食品、特にマンガンに富んだ食品をそのままマンガン源
として利用することができるので、その結果、マンガン
を使用することによる安全上の問題も完全に解消され、
この点においても本発明はまさに画期的である。マンガ
ン含有食品としては、抹茶、紅茶といった茶類、大豆等
の豆類、ブルーベリー等の果実類が挙げられるが、マン
ガンに富んだ飲食品であればすべてのものが適宜使用で
きる。マンガン含有食品は、飲食品タイプの組成物を調
製するのに有効なことはもちろんのことであるが、造影
剤タイプの組成物に使用しても何ら差し支えない。
食餌からのマンガンの摂取源は、穀類、野菜および豆類
などの植物性食品で大部分を占めるが、特にお茶の葉あ
るいはブルーベリー果汁の含有率が高い。食餌からの1
日摂取量は約2〜6mg程度である。
性マンガンを使ったラットでの経口投与では、その吸収
率は3〜4%とされている。また、ホエーに54Mnを添
加し摂取した際の人体内残留率からの結果では、そのマ
ンガンの吸収率は数%であり、最高15%であったと報
告されているので、生体内吸収率は低いものと考えられ
る。また、その際のマンガンの吸収部位は小腸上部とさ
れている。したがって消化管下部においてもマンガンの
造影効果は持続するものと推定される。なお、マンガン
の安全性については、マンガン中毒の報告例は極めて少
なく、慢性マンガン中毒としてはマンガン鉱山で働く労
働者の例に見られる。その場合は、マンガンは酸化物の
ダストの形で肺を通じて体内に入った例である。したが
って、本発明は、開発中の消化管造影剤中のマンガン含
有率は食品あるいは通常の茶水程度であるため、マンガ
ンに関しては安全性を問題にする量ではない。
ルーベリー果汁あるいは抹茶抽出液などに含有され、消
化および吸収の影響をほとんど受けることなく、また消
化管に対する刺激に伴う消化液分泌による希釈の影響も
少ない状態で下部消化管に移行するため、下部消化管用
の造影剤としても使用することが出来る。
体内の水の緩和時間:T2を延長し、その結果としてM
RI画像を灰〜黒色に表現する造影効果(陰性効果)を
示す。
エコー法、繰り返し時間:500msec、エコー時間:T
E=20msec)およびT2強調画像(スピンエコー法、
繰り返し時間:2000msec、エコー時間:TE=70
msec)の撮像を行った。その時の蒸留水のMRI画像の
輝度の値を100としてマンガン含量の異なる塩化マン
ガン水溶液の各試料のT1およびT2強調画像の輝度の測
定値を相対値で下記表1に示した。MRI装置はGenera
l Electric社製SIGNA(パフォマンス プラス1.5T)
を用いた。
量が増加することにより、T1強調画像の画像はより白
くなる陽性効果を示し、同時にその時のT2強調画像は
灰〜黒色となる陰性効果を示したことから、マンガン含
量組成物は造影剤として機能することが判明した。
レン容器(直径6cm、高さ9cm)に約200mlの
調製した飲食品及び造影剤を入れ横に倒した状態でバン
ドで固定しMRI装置を用いT1強調画像(スピンエコ
ー法、繰り返し時間:500msec、エコー時間:TE=
20msec)およびT2強調画像(スピンエコー法、繰り
返し時間:2000msec、エコー時間:TE=70mse
c)の撮像を行った。
化マンガンなどの食品添加物以外のマンガン化合物の使
用が可能であるが、検査用の飲食品として製造する場
合、マンガン化合物の添加はできない。しかしながら本
発明により微量のマンガンで効果があることが判明した
ことからマンガン含量に富む食品成分、例えばブルーベ
リー果汁あるいは抹茶などを加えて製造することができ
ることが明らかになった。その時の蒸留水のMRI画像
の輝度の値を100として各試料のT1およびT2強調画
像の輝度の測定値を相対値で下記の表2に示した。MR
I装置はGeneralElectric社製SIGNA(パフォマンス プ
ラス1.5T)を用いた。
100ml当たりブルーベリー果汁15mlを加えて調
製した組成物は、T1強調画像において充分な輝度の陽
性効果を示した。また、その時のT2強調画像の画像は
灰〜黒色となる陰性効果があり、理想的な造影剤として
機能することが判明し、食品タイプの消化管造影剤が完
成した。
によって極く微量のマンガン使用量で、非常にすぐれた
MRI画像撮影における造影効果が得られる。またマン
ガンの使用量は極く微量で充分であるので、マンガン成
分としては、マンガン化合物のほかマンガン含有食も使
用することができ、安全性の面でも極めてすぐれてい
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 MRI法による緩和時間:T2強調画像
撮影時における陰性効果用成分として、マンガンを含有
することを特徴とする消化管造影用組成物。 - 【請求項2】 使用時の溶液中のマンガン濃度が5μg
〜80μg/mlとなるようマンガンを含有してなることを
特徴とする請求項1に記載の組成物。 - 【請求項3】 マンガンがマンガン化合物及び/又はマ
ンガン含有飲食品であることを特徴とする請求項1又は
請求項2に記載の組成物。 - 【請求項4】 該組成物が飲食品及び/又は造影剤であ
ることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項
に記載の組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23411092A JP3490468B2 (ja) | 1992-08-11 | 1992-08-11 | T2陰性効果を目的とした消化管造影用組成物 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP23411092A JP3490468B2 (ja) | 1992-08-11 | 1992-08-11 | T2陰性効果を目的とした消化管造影用組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0665105A true JPH0665105A (ja) | 1994-03-08 |
JP3490468B2 JP3490468B2 (ja) | 2004-01-26 |
Family
ID=16965791
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23411092A Expired - Lifetime JP3490468B2 (ja) | 1992-08-11 | 1992-08-11 | T2陰性効果を目的とした消化管造影用組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3490468B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007204413A (ja) * | 2006-02-01 | 2007-08-16 | Hiroshima Pref Gov | 医療用検査食およびその製造方法 |
-
1992
- 1992-08-11 JP JP23411092A patent/JP3490468B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007204413A (ja) * | 2006-02-01 | 2007-08-16 | Hiroshima Pref Gov | 医療用検査食およびその製造方法 |
Also Published As
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---|---|
JP3490468B2 (ja) | 2004-01-26 |
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