JPH0663333A - 空気浄化システム - Google Patents

空気浄化システム

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JPH0663333A
JPH0663333A JP22286892A JP22286892A JPH0663333A JP H0663333 A JPH0663333 A JP H0663333A JP 22286892 A JP22286892 A JP 22286892A JP 22286892 A JP22286892 A JP 22286892A JP H0663333 A JPH0663333 A JP H0663333A
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JP
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air
duct
fiber
filter
humidifying
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JP22286892A
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English (en)
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Norio Miyoshi
規雄 三好
Katsuo Baba
勝男 馬場
Fumihiko Sugiyama
文彦 杉山
Toyo Kodama
東洋 兒玉
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Sumitomo Chemical Engineering Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Sumitomo Chemical Engineering Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 イオン交換繊維を通過する空気の湿度を高い
状態に維持し、イオン性物質を効果的に吸着できる空気
浄化システムを提供することにある。 【構成】 空気浄化システムは、イオン交換繊維を含む
繊維集合体によって構成した中性能フィルター2及び高
性能フィルター3と、ミスト除去フィルター1とで構成
するフィルター群4をダクト8内に配設し、この上流側
に、ダクト8内を流れる空気の温度・湿度を検出する検
出器9を配置する。さらにこの上流側には、蒸気を放出
する蒸気ノズル5aを備えており、制御装置10は、検
出器9の検出結果を基に、蒸気ノズル5aによる空気加
湿量を制御し、フィルター群4に到達する空気の絶対湿
度を所定の範囲に維持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空気中に存在するイオ
ン性物質を効率良く除去する空気浄化システムに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】空気中に存在するイオン性物質として
は、海塩、アンモニア、SO2 、SO3 - 2 、SO4
- 2 、NO、NO2 、NO3 - 、Cl2 、Cl- 、H2
S、CaCl2 、CaO、などが揚げられる。また、そ
れ以外に特定の発生源付近に局所的に存在するイオン性
物質として、例えば、Br2 、Br- 、硫酸アンモニウ
ム、硝酸アンモニウム、水酸化アルミニウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カルシウム、塩化鉄、硫酸銅なども挙
げられる。
【0003】従って、空調のため、外気からダクト内に
導かれた空気にも、通常、このようなイオン性物質が数
多く含まれており、例えば、空調用の空気と共にこれら
イオン性物質が、半導体製造工場、液晶製造工場などの
工場内に侵入すると、たとえ微量であっても、製品品
質、生産効率等に悪影響を及ぼすことが知られている。
【0004】そこで、これら空気中に含まれるイオン性
物質を除去するフィルターとして、イオン交換繊維を含
む繊維集合体によって形成した空気浄化フィルターが使
用されている。このフィルターに用られるイオン交換繊
維は、セルロース系、ポリスチレン系、ピニロン系、フ
ェノール系、ニトリル系などの繊維にイオン交換機能を
与える官能基を導入したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなイオン交換
繊維は、イオン吸着官能基を分子内に保有するため親水
性を示す。イオン交換繊維の平均保有水分量は、図9に
示すように、空気中の水分、すなわち絶対湿度の増加に
ともなって増大する傾向にある。
【0006】一方、詳細なメカニズムは不明であるが、
イオン交換繊維の保有水分量が、空気中のイオン性物質
を吸着・分離する速度、及び、平衡吸着濃度に影響を与
えることが知られている。この一例を表1に示す。
【0007】
【表1】
【0008】表1より、温度が一定の条件で、相対湿度
が50%から75%に増加した場合に、SO2 の吸収除
去率が73%から91%に増加しており、イオン交換繊
維は水分を多く含むほど、イオン性物質の吸着捕集効率
が高いことが分かる。
【0009】従って、イオン交換繊維を通過する空気の
湿度が低い場合には、イオン交換繊維の水分含有量が減
少するため、イオン性物質の吸着捕集効率が減少する。
そこで、常時、高効率でイオン性物質を吸着するために
は、イオン交換繊維を通過する空気の湿度を、常時、あ
る程度高い状態に維持することが必要となる。
【0010】さらに、水分が海塩類などのイオン性物質
と接触するとき、潮解、或いは溶解或いは造核凝縮など
により液化することが知られている。水分が多くの水滴
を含む場合は、この現象が加速される。イオン性物質が
溶存する水滴は気化し難くなり、このため、水滴粒子と
して衝突、会合及び肥大化が起こり、フィルターの目詰
りを起こし易く、これがフィルター圧損を増大させる原
因となる。これは、原子力発電施設の吸気浄化システム
などでは、操業継続に支障を来す場合があり、深刻な問
題となる。
【0011】本発明は、このような課題を解決すべく成
されたものであり、その目的は、イオン交換繊維を通過
する空気の湿度を高い状態に維持し、イオン性物質を効
果的に吸着できる空気浄化システムを提供することにあ
る。
【0012】また、本発明の他の目的は、水滴付着によ
るフィルター部の圧損を軽減する空気浄化システムを提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる空気浄化
システムは、ダクト内に配設され、イオン交換繊維を含
む繊維集合体によって形成された空気濾過手段と、ダク
ト内において空気濾過手段の上流側に配設され、このダ
クト内を流れる空気を加湿する加湿手段と、ダクト内に
おいて空気濾過手段の上流側に配設され、このダクト内
を流れる空気の温度及び湿度を検出する検出手段と、検
出手段の検出結果に基づいて、加湿手段による空気加湿
量を制御し、空気濾過手段に到達する空気の絶対湿度を
所定の範囲に維持する制御手段とを備えて構成する。
【0014】また、この検出手段は、前記空気濾過手段
と前記加湿手段との間に配設するか、又は、加湿手段の
上流側に配設しても良い。
【0015】さらに、ダクト内における前記加湿手段の
上流側には、このダクト内を流れる空気の温度を上昇さ
せる空気加熱手段をさらに備えても良い。
【0016】また、加湿手段は、蒸気状態の水分を吹き
込むものであることが好ましい。
【0017】また、繊維集合体に含まれるイオン交換繊
維は、少なくとも陽イオン交換繊維と陰イオン交換繊維
とを含むものであることが好ましい。
【0018】さらに、このイオン交換繊維には、さらに
ガラス繊維を含むものであってもよい。
【0019】
【作用】外気からダクト内に導かれる空気の絶対湿度
は、外気の温度・湿度によって変化する。このため、空
気濾過手段に到達する空気の温度・湿度を検出手段によ
って検出し、制御手段では、この検出結果に基づいて加
湿手段の空気加湿量を制御する。これによって、イオン
交換繊維がイオン性物質を効率良く吸着できる状態とな
るように、イオン交換繊維の保有水分量を所定の範囲に
維持する。
【0020】また、外気の気温が低い状態では、空気の
空気中の水分量が低下するため、必要に応じ、ダクト内
を流れる空気を加熱手段で加熱して、空気がより多くの
水分を含むことができる状態を形成する。
【0021】さらに、加湿する際、水分を蒸気の状態で
与えるので、水滴状態の水分が空気濾過手段に付着する
のを抑え、空気濾過手段におけるフィルター圧損の変動
が軽減される。
【0022】ここで、このような多湿環境を作り出すこ
とによる作用を詳細に説明する。まず、空気中に含まれ
る海塩などのイオン性物質は、潮解あるいは溶解状態の
粒子としてイオン交換繊維に接触するため、イオンの解
離・吸着が常に容易に起ることになる。また、このよう
な比較的多湿な環境下では、NOX あるいはSOX など
の酸性ガス、或いはNH3 などの塩基性ガスは、水に溶
解しているか、あるいは造核凝縮作用によりミスト化す
るため、上記の繊維集合体に捕集され易い状態となる。
【0023】この結果、繊維集合体上に捕集蓄積された
イオン性物質は、潮解あるいは溶解により液化状態にな
るため、イオン交換繊維により容易に化学吸着され、下
流側に拡散することが防がれる。さらに、イオン性物質
を含まない純粋な成分、特に微小径水滴は、容易に気化
する性質のあることが知られている( Thomson - Gibbs
効果)。しかし、イオン性物質が溶解共有すると、そ
の効果が著しく小さくなり、容易に液滴状態を保つた
め、繊維集合体上の捕集量の増加と共に、急激に水滴粒
の衝突・会合が起こり肥大化する。結果として、これら
が繊維集合体の目詰りを招き、差圧の変動を引き起こし
易い。
【0024】本発明において、繊維集合体上に捕集され
た状態のイオン性物質を含むミストは、イオン交換繊維
によりイオン成分が効果的に化学吸着されるため、水分
の気化が起こり易く、このため、水滴粒の衝突・会合に
より粒子肥大化し難くなるので、フィルター圧損が変動
することも防止される。
【0025】
【実施例】本発明にかかる空気浄化システムを添付図面
に基づいて説明する。
【0026】空気浄化システムは、ミスト除去フィルタ
ー1、中性能フィルター2及び高性能フィルター3で構
成するフィルター群4をダクト8内に備え、その上流側
には空気を加湿するための蒸気ノズル5a、さらにその
上流側には、このダクト8内を流れる空気を加熱する加
熱コイル6、さらにその上流側には、比較的大きな空気
中の埃などを除去する粗塵フィルター7を配している。
また、ミスト除去フィルター1と蒸気ノズル5aとの間
には、このダクト8内を流れる空気の温度・湿度を計測
する検出器9を配設しおり、制御装置10は、この検出
器9の検出結果に基づき、蒸気ノズル5aから与えられ
る水分量を調整すると共に、加熱コイル6の加熱制御を
行う。これら各装置によって空気浄化システムを構成し
ている。
【0027】中性能フィルター2及び高性能フィルター
3は、空気の入口・出口を備えた単位容器に、イオン交
換繊維を含む繊維集合体Aを充填し、その単位容器を複
数組み合わせて形成している。この繊維集合体Aが紙状
物、不織布または織物布のように膜状の場合は、濾過面
積を増加させるために、繊維集合体Aを蛇腹状に折り畳
んで単位容器に充填しフィルターを構成する(図2)。
【0028】ここで、中性能フィルター2及び高性能フ
ィルター3における繊維集合体に含まれるイオン交換繊
維について詳細に説明する。
【0029】このイオン交換繊維は、セルロース系、ポ
リスチレン系、ピニロン系、フェノール系、ニトリル系
などの繊維にイオン交換機能を与える官能基を導入した
ものである。
【0030】イオン交換基として陽イオン交換基と陰イ
オン交換基との2種があり、陽イオン交換基の代表的な
ものとしては、弱酸であるカルボン酸基、強酸であるス
ルホン酸基などが挙げられ、陰イオン交換基の代表的な
ものとしては弱塩基である1〜3級アミノ基、強塩基で
ある4級アミノ基などが挙げられる。
【0031】このような各イオン交換繊維は、広い範囲
のイオン種を吸着できるように、陽イオン交換繊維と陰
イオン交換繊維とを組み合わせて用いる。
【0032】また、用途に応じて、イオン交換繊維と他
の濾過材用繊維を組み合わせて用いることもできる。濾
過材用繊維としては、有機、無機あるいは金属製繊維が
挙げられる。
【0033】具体的には、有機合成繊維としては、ポリ
アミド、ポノイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化
ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリオ
レフィン、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリカーボネ
ート、ポリエステルエーテルなどがある。また、無機繊
維としては、ガラス繊維、炭素繊維、活性炭繊維、アル
ミナ繊維など、また、金属繊維としてスチールウールな
どが挙げられる。なお、ガラス繊維はサブミクロン径の
ものが比較的容易に作製でき、また充分な強度、剛性を
有し、加工性も良いので実用的である。
【0034】イオン交換繊維と他の濾過材用繊維とを併
用する場合、例えば濾過材用繊維としてガラス繊維を用
いた場合には、イオン交換繊維の比率は重量比率で全濾
過材重量の70%以内にあることが望ましい。さらに、
上記の組み合わせでは、濾過材の寿命などを勘案する
と、イオン交換繊維の比率は50〜70%前後が適当で
ある。
【0035】イオン交換繊維の繊維径は1〜50μm、
望ましくは1〜20μmのものが良い。また、他の濾過
材用繊維の繊維径は、濾過材の目標とする捕集効率、圧
損などによって変化するが、充分な捕集効率を得るため
には、0.1〜10μmであることが好ましい。
【0036】また、濾過材用繊維の径は、その繊維の7
0wt%以上が、イオン交換繊維の平均径の1/10以
下の径を有することが望ましい。これらの繊維の組み合
わせによって、細い濾過材用繊維による捕集効率の向上
と、捕捉したミストのイオン交換繊維への速やかな移動
が起こり、イオン交換機能が最大限に発揮できる。
【0037】繊維集合体の組成は、ポリアクリロニトリ
ル系繊維でカルボン酸基を有する陽イオン交換繊維(繊
維径13μ)25wt%、ビニロン系繊維で4級アンモ
ニウム基を有する陰イオン交換繊維(繊維径30μ)2
5wt%、イオン交換繊維以外の他の繊維としてのガラ
ス繊維(繊維径1μ)43wt%、および熱接着性繊維
状バインダーとしての熱可塑性バインダー繊維(繊維径
10μ)7wt%を用いて湿式の合成繊維紙の製法に準
じて製造したものである。
【0038】また、粗塵フィルター7の性能は重量法捕
集効率75%、中性能フィルター2はDOP法捕集効率
60%程度であり、高性能フィルター3はDOP法捕集
効率95%程度に設定されている。
【0039】次に、蒸気ノズル5aによる加湿機構の概
略を図3に基づいて説明する。本実施例では、電極式蒸
気発生器30を用いて加湿を行う機構を採用する。
【0040】フィルタ31を介して集水カップ32に入
った水は、蒸気シリンダー33内に供給され、この蒸気
シリンダー33内において複数の格子電極34によって
加熱され蒸気に変えられる。ここで発生した蒸気は、蒸
気ホース35を介してダクト8内に配設した蒸気ノズル
5aに達し、ダクト8内を流れる空気中に放出されるも
のである。
【0041】このとき、蒸気ノズル5aから放出された
気体状水分が凝縮を起させないように、蒸気ノズル5a
の吹出面からダクト8の壁面までの距離を250mm以
上に確保することが必要である。さらに、ダクト径の縮
小、拡大、曲がりに対しては、図4(a),(b),
(c)、及び図5における加湿吸収距離を示す表にした
がって、縮小部、拡大部、曲がり部までの距離を確保す
ることが必要となる。
【0042】一方、このような空気加湿量は、制御装置
10によって制御される。検出器9では、ダクト8内を
流れる空気の温度・湿度を常時検出しており、制御装置
10は、検出器9による温度・湿度の検出結果に基づい
て、格子電極34の発熱量を制御する。
【0043】また、他の加湿機構の実施例として、アト
マイザー(高圧スプレー式)を用いて超純水を噴霧する
方法がある(図6、図7)。
【0044】アトマイザー20には、制御弁21、流量
計などを介して2kg/cm2 ゲージ圧以上の清浄圧縮
空気が供給されると共に、電導度0.07μs以下の超
純水が供給されている。適用範囲としては、電導度1μ
s以下、好ましくは0.1μs以下の超純水を使用する
ことが好ましい。アトマイザー20内において、清浄圧
縮空気の噴射、吸引効果により超純水を霧状に飛散させ
気化させるものである。霧状の超純水は、配管22を経
由して,ダクト8内に配設したスプレーノズル5bか
ら、ダクト8内を流れる空気中に放出される。なお、こ
のとき、配管22内において霧状に飛散した超純水に希
釈空気を付加する場合もある。
【0045】また、このとき、ダクト8に噴霧される水
分は、実質的に気化状態で供給することが好ましい。実
質的に気体状水分に含まれる水滴粒の許容範囲は、水滴
状水分が全供給水量の2重量%以下、水滴粒径が20μ
m以下、フィルター通風面を通る空気中の水滴粒が10
8 ヶ/m3 以下もしくは107 ヶ/m3 以下、の各条件
のうち、少くとも2つの条件を満たすことが望ましい。
なお、フィルター部での圧損を軽減するため、液滴状粒
子を実質的に取り除く必要があるので、場合によって
は、デミスター、精密フィルター、或いは他の精密濾過
装置と組み合わせた粒子濾過装置を設け、フィルター部
に大きな液滴状粒子が到達しないようにすることが好ま
しい。
【0046】また、この場合にも、このような空気加湿
量は、制御装置10によって制御される。検出器9で
は、ダクト8内を流れる空気の温度・湿度を常時検出し
ており、制御装置10は、検出器9による温度・湿度の
検出結果に基づいて、制御弁21の開度を調整し、スプ
レーノズル5bから噴霧される水分量を制御するもので
ある。
【0047】なお、上記したいずれの加湿機構において
も、この気化を効果的に進めるため、電極式蒸気発生器
30或いはアトマイザー20内部で生成される蒸気は、
この蒸気の生成後、中性能フィルター2に到達するまで
の時間を、0.5秒以上、実用的には1秒以上に保つこ
とが好ましい。また、液滴状粒子を実質的に取り除くた
めにミスト除去フィルター1を配設しているが、発生す
る水滴が上記の各条件を満たすものであれば、このミス
ト除去フィルター1を設けなくても良い。
【0048】図8に温度と空気中の水分量との関係を示
す。従来技術において説明したように、イオン交換繊維
の保有水分量は空気の湿度によって定まり、このイオン
交換繊維が効率的にイオン性物質を吸着するには、絶対
湿度が8(g−H2 O/m3)以上、好ましくは10
(g−H2 O/m3 )以上が必要とされる。従って、検
出器9によって、ダクト8内を流れる空気の温度・湿度
を計測し、絶対湿度がこの数値に満たない場合には、蒸
気ノズル5a又はスプレーノズル5bによって加湿を行
う。なお、図8から分かるように、気温が低い場合、例
えば気温5℃の場合には、相対湿度が100%になるよ
うに加湿制御を行ったとしても、必要な水分量に満たな
い。したがって、この場合には、ダクト8内に配した加
熱コイル6によって、このダクト8内を流れる空気を加
熱した後、蒸気ノズル5a又はスプレーノズル5bによ
って加湿する。この加熱コイル6の加熱制御も、検出器
9の検出結果に基づいて制御装置10によって行われ
る。
【0049】本実施例においては、フィルター通風面の
風速は30及至190m3 /分・m2 、及び、蒸気状水
分はフィルター通風面1m2 当りの通過風量に対して1
00及至2500g/分とし、例えば外気が20℃の場
合では、相対湿度60%以上もしくは70%以上の状態
に保つことが好ましい。
【0050】以上のように構成する空気浄化システムの
性能を評価するため、塩類、酸性ガス及び塩基性ガスな
どのイオン性物質を多く含む沿岸工場地帯において、こ
の空気浄化システムを用いた場合と、外気環境下の場合
とを比較した。
【0051】具体的には、図1に示すシステム構成にお
いて、平均気温約18°Cの外気を数十日間連続的に流
し続け、相対湿度を常時80%以上に保った状態と、同
じく図1に示すシステム構成において加湿制御を行わ
ず、外気環境のままの状態とを比較した。但し、この両
者の場合、加熱コイル6は作動させなかった。風速は、
双方ともフィルター濾過面あたり150m3 /m2 分の
条件とした。
【0052】気体中の微粒子の粒経及び個数はリオン社
KC01B型パーティクルカウンターにより、また、気
体中のダスト量は濾紙捕集法によって測定した。さら
に、イオン性物質は、超純水100mlを予め入れた石
英製インピンジャーを3つ連結して等速吸引によって吸
気捕集し、所定の分析法で確認する方法を用いた。
【0053】表2に測定結果を示す。表における入口・
出口は測定場所を示しており、それぞれイオン交換繊維
を含む高性能フィルターの入口と出口を示す。
【0054】
【表2】
【0055】表2より、湿度制御を行った方が、フィル
ター出口で検出されるダスト及びイオン性物質の量が少
なくなっていることが分かる。
【0056】また、このとき、高性能フィルター3の前
後に差圧計を配設し、濾過経過中の差圧の変動を測定し
た。
【0057】差圧測定の結果、(測定圧/初期圧)を指
標とすると、外気環境下では降雨に最大値2.8に達し
たが、湿度制御下において1.4であった。後者の場合
においてパーティクルカウンターにより測定した結果、
粒径2μm以下の粒子が10 6 ヶ/m3 以下であった。
【0058】また、このような加湿装置を使用せずに、
代りに3.5kg/cm2 圧力の湿りスチームを供給
し、相対湿度80%以上に保って外気処理を行なった。
その時、差圧測定の結果、(測定圧/初期圧)を指標と
すると、最大値3.1に達した。吸込み水分についてパ
ーティクルカウンターによる測定の結果、粒径20μm
以下の粒子が1010ヶ/m3 以上であった。パーティク
ルカウンターの測定限界の問題もあって、実際は、粒
径、濃度とも測定値を超えていると考えられる。
【0059】これらの測定結果より、本実施例の空気浄
化システムよれば、湿度制御を行った場合には、湿度制
御を行わない外気環境下に比べて、イオン交換繊維から
なる繊維集合体フィルターの特性がより一層効果的に発
揮され、捕集効率が向上すると共に、フィルター差圧の
変動を小さくすることができる。
【0060】以上、本実施例で示した空気浄化システム
は、外気吸入、吸入空気の施設内循環、および排気のい
ずれの工程においても適用できるが、経済的には、外気
吸入或いは、施設内循環経路に適するものである。
【0061】また、本実施例では、加湿方法として、電
極式蒸気発生器を用いて加湿を行う方式と、アトマイザ
ーを用いて超純水を噴霧する方式とを例示したが、この
他に公知の蒸気方式、水噴霧方式或いは気化方式を、適
宜選択して採用することも可能である。水噴霧方式の例
として超音波式、高圧スプレー式、遠心式などが挙げら
れ、気化方式として滴下浸透気化式、回転気化式、浸透
膜式などが挙げられ、蒸気方式の例として間接蒸気式、
電極式、赤外線式、電圧式、蒸気噴霧式などが挙げられ
る。それぞれが工業的に使用する際に特長を備えてお
り、適宜選択することができる。また、この加湿の際、
蒸気の放出方向は、上流方向、下流方向のいずれに限定
するものではなく、適宜選択することができる。
【0062】さらに、本実施例において、温度・湿度を
計測する検出器は、蒸気ノズルなどの加湿装置の下流側
に設置する例を示したが、この例に限定するものではな
く、加湿装置の上流側、即ち、加湿する前の空気の温度
・湿度を計測しても良い。但し、加湿装置によって加湿
された後の空気の温度・湿度を計測した場合、制御装置
によってフィードバック制御を行うことができるため、
より安定した制御を行うことができる。
【0063】また、本実施例では、フィルターとして、
ミスト除去フィルター、中性能フィルター、高性能フィ
ルター及び粗塵フィルターを用いる例を示したが、この
列挙したフィルターと共に、例えば市販のガラス繊維フ
ィルターを組み合わせて使用することもできる。
【0064】
【発明の効果】本発明にかかる空気浄化システムによれ
ば、前述した加湿手段、検出手段及び制御手段を備え、
空気濾過手段に至る空気の絶対湿度を所定の範囲に維持
するので、人工的に、常時、多湿環境を作り出すことが
できる。従って、空気濾過手段に含まれるイオン交換繊
維の吸着効率を高い状態に維持でき、イオン性物質・ダ
ストを効率的に捕集することが可能となる。
【0065】また、加湿手段において加湿する際、水分
を蒸気の状態で与えるので、水滴状態の水が空気濾過手
段に付着するを防止でき、このため水滴付着によるフィ
ルター圧損の変動を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる空気浄化システムを示す概略構
成図である。
【図2】フィルターの要部のみを示す斜視図である。
【図3】電極式蒸気発生器を示す概略構成図である。
【図4】(a),(b),(c)は、それぞれダクト径
の縮小、拡大、曲がり状態を示す説明図である。
【図5】加湿吸収距離と相対湿度の関係を示す表であ
る。
【図6】アトマイザーを用いた噴霧方式を示す概略構成
図である。
【図7】アトマイザーの内部構造を示す要部断面図であ
る。
【図8】温度と空気中に含まれる水分量の関係を示す表
である。
【図9】イオン交換繊維の湿度に対する吸収率を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
2…中性能フィルター(空気濾過手段)、3…高性能フ
ィルター(空気濾過手段)、5a…蒸気ノズル、5b…
スプレーノズル、6…加熱コイル、9…検出器、10…
制御装置。
フロントページの続き (72)発明者 杉山 文彦 東京都千代田区九段北1丁目13番5号 住 友ケミカルエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 兒玉 東洋 千葉県市原市姉崎海岸131 住友ケミカル エンジニアリング株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダクト内に配設され、イオン交換繊維を
    含む繊維集合体によって形成された空気濾過手段と、 前記ダクト内において前記空気濾過手段の上流側に配設
    され、このダクト内を流れる空気を加湿する加湿手段
    と、 前記ダクト内において前記空気濾過手段の上流側に配設
    され、このダクト内を流れる空気の温度及び湿度を検出
    する検出手段と、 前記検出手段の検出結果に基づいて、前記加湿手段によ
    る空気加湿量を制御し、前記空気濾過手段に到達する空
    気の絶対湿度を所定の範囲に維持する制御手段とを備え
    ることを特徴とする空気浄化システム。
  2. 【請求項2】 前記検出手段は、前記空気濾過手段と前
    記加湿手段との間に配設したものであることを特徴とす
    る請求項1記載の空気浄化システム。
  3. 【請求項3】 前記検出手段は、前記加湿手段の上流
    側に配設したものであることを特徴とする請求項1記載
    の空気浄化システム。
  4. 【請求項4】 前記ダクト内における前記加湿手段の上
    流側には、このダクト内を流れる空気の温度を上昇させ
    る空気加熱手段をさらに備えたことを特徴とする請求項
    1乃至3のいずれか一項記載の空気浄化システム。
  5. 【請求項5】 前記加湿手段は、蒸気状態の水分を吹き
    込むものであることを特徴とする請求項1乃至4のいず
    れか一項記載の空気浄化システム。
  6. 【請求項6】 前記空気濾過手段の繊維集合体に含まれ
    るイオン交換繊維は、少なくとも陽イオン交換繊維と陰
    イオン交換繊維とを含むものであることを特徴とする請
    求項1乃至5のいずれか一項記載の空気浄化システム。
  7. 【請求項7】 前記空気濾過手段の繊維集合体に含まれ
    るイオン交換繊維は、さらにガラス繊維を含むものであ
    ることを特徴とする請求項6記載の空気浄化システム。
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