JPH0663025B2 - 高強度高靭性熱間鍛造非調質鋼の製造方法 - Google Patents
高強度高靭性熱間鍛造非調質鋼の製造方法Info
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- JPH0663025B2 JPH0663025B2 JP2008014A JP801490A JPH0663025B2 JP H0663025 B2 JPH0663025 B2 JP H0663025B2 JP 2008014 A JP2008014 A JP 2008014A JP 801490 A JP801490 A JP 801490A JP H0663025 B2 JPH0663025 B2 JP H0663025B2
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- kgf
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は優れた強度・靱性及び被削性を有する機械構造
用熱間鍛造非調質鋼の製造方法に関するものである。
用熱間鍛造非調質鋼の製造方法に関するものである。
[従来の技術] 従来、高強度高靱性を必要とする機械部品の製造に関し
ては、所定の形状に熱間鍛造後焼入れ焼き戻しを行うと
いった調質処理が施されていた。しかしながら調質処理
は多くの工程を必要とし、多大な熱エネルギーも要する
ため製造コストの上昇を招くことになる。このため近年
工程数の削減、省エネルギーの観点から調質処理を省略
しうる鋼、即ち非調質鋼の開発が行われてきた。強度向
上を狙うのであればVを含有させた非調質鋼で十分であ
る。しかしこの鋼種は靱性特に低温靱性が悪く、高強度
高靱性が要求される自動車の足廻り部品に用いる素材と
しては不十分であり、被削性もきわめて悪く部品生産性
に欠けていた。また近年部品設計上、降伏強度が重視さ
れる趨勢にあり同一の引張強度に対しなるべく降伏強度
の高いいわゆる高降伏比の材料の開発が望まれている。
ては、所定の形状に熱間鍛造後焼入れ焼き戻しを行うと
いった調質処理が施されていた。しかしながら調質処理
は多くの工程を必要とし、多大な熱エネルギーも要する
ため製造コストの上昇を招くことになる。このため近年
工程数の削減、省エネルギーの観点から調質処理を省略
しうる鋼、即ち非調質鋼の開発が行われてきた。強度向
上を狙うのであればVを含有させた非調質鋼で十分であ
る。しかしこの鋼種は靱性特に低温靱性が悪く、高強度
高靱性が要求される自動車の足廻り部品に用いる素材と
しては不十分であり、被削性もきわめて悪く部品生産性
に欠けていた。また近年部品設計上、降伏強度が重視さ
れる趨勢にあり同一の引張強度に対しなるべく降伏強度
の高いいわゆる高降伏比の材料の開発が望まれている。
これに対して特開昭56-38448号公報には、Si、Mn等を多
くすることによる地鉄の強化と、Ti、V、Nbの析出強化
による鋼材の高強度化を図ると共に鋼中のNを0.29%Ti
以上と多くすることにより、窒化物主体のTi、V、Nbの
析出物を生成させることにより旧オーステナイト粒径を
微細化して、鋼材の高靱性化を図り熱間鍛造のままで、
その後の熱処理を一切行わずに優れた引張強度・靱性の
確保を可能とした材料が示されている。
くすることによる地鉄の強化と、Ti、V、Nbの析出強化
による鋼材の高強度化を図ると共に鋼中のNを0.29%Ti
以上と多くすることにより、窒化物主体のTi、V、Nbの
析出物を生成させることにより旧オーステナイト粒径を
微細化して、鋼材の高靱性化を図り熱間鍛造のままで、
その後の熱処理を一切行わずに優れた引張強度・靱性の
確保を可能とした材料が示されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしこのような材料を用いてもなお十分な降伏強度を
確保するには至っていないというのが現状である。
確保するには至っていないというのが現状である。
本発明の目的は、引張強度85Kgf/mm2以上で、十分な
靱性と優れた被削性を有し、更に70Kgf/mm2以上もの
高い降伏強度を有する熱間鍛造非調質鋼の製造方法を提
供することである。
靱性と優れた被削性を有し、更に70Kgf/mm2以上もの
高い降伏強度を有する熱間鍛造非調質鋼の製造方法を提
供することである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは高強度高靱性かつ被削性に優れた熱間鍛造
非調質鋼の降伏強度の向上手法を提供するために鋭意検
討を行った結果、熱間鍛造後に従来行われていなかった
時効処理を施すことにより、引張強度・靱性・被削性を
劣化することなしに降伏強度を上昇させることが可能で
あるという新規な知見を得て本発明をなしたものであ
る。
非調質鋼の降伏強度の向上手法を提供するために鋭意検
討を行った結果、熱間鍛造後に従来行われていなかった
時効処理を施すことにより、引張強度・靱性・被削性を
劣化することなしに降伏強度を上昇させることが可能で
あるという新規な知見を得て本発明をなしたものであ
る。
即ち、第一の本発明に係わる製造方法の要旨とするとこ
ろは、重量%で C :0.10〜0.60% Si:0.80〜3.0% Mn:3.0%以下 S :0.050〜0.30% V :0.030〜0.30% N :0.005〜0.060% を含有し、更に Cr:3.0%以下 Ni:3.0%以下 Mo:1.0%以下 Cu:2.0%以下 の一種または二種以上を含有し、更に Ti:0.001〜0.050% Nb:0.005〜0.10% Al:0.005〜0.10% の一種または二種以上を含有し、残部をFe及び不可避的
不純物からなる鋼を熱間鍛造した後、冷却過程でベイナ
イト主体で残部が少量のマルテンサイトとオーステナイ
トの混合組織を生成させた後、200℃〜600℃に時
効後放冷することにより、引張強度85Kgf/mm2以上、
降伏強度70Kgf/mm2以上を有し、さらに2mmUノッチ
シャルピー吸収エネルギーが−50℃、20℃において
それぞれ3.5Kgf・m/cm2以上、6.5Kgf・m/cm2以上を有す
ることを特徴とするものである。次に、第二の本発明に
係わる製造方法の要旨とするところは、第一の本発明鋼
の組成に加え、更に重量%で Pb:0.005〜0.50% Ca:0.001〜0.050% Te:0.001〜0.20% Se:0.010〜0.50% Bi:0.010〜0.50% の一種または二種以上を含有し、残部をFe及び不可避的
不純物からなる鋼を熱間鍛造した後、200℃〜600
℃に時効後放冷することにより引張強度85Kgf/mm2以
上、降伏強度70Kgf/mm2以上を有する高強度高靱性か
つ被削性の優れた熱間鍛造非調質鋼の製造を可能とする
ことを特徴とするものである。
ろは、重量%で C :0.10〜0.60% Si:0.80〜3.0% Mn:3.0%以下 S :0.050〜0.30% V :0.030〜0.30% N :0.005〜0.060% を含有し、更に Cr:3.0%以下 Ni:3.0%以下 Mo:1.0%以下 Cu:2.0%以下 の一種または二種以上を含有し、更に Ti:0.001〜0.050% Nb:0.005〜0.10% Al:0.005〜0.10% の一種または二種以上を含有し、残部をFe及び不可避的
不純物からなる鋼を熱間鍛造した後、冷却過程でベイナ
イト主体で残部が少量のマルテンサイトとオーステナイ
トの混合組織を生成させた後、200℃〜600℃に時
効後放冷することにより、引張強度85Kgf/mm2以上、
降伏強度70Kgf/mm2以上を有し、さらに2mmUノッチ
シャルピー吸収エネルギーが−50℃、20℃において
それぞれ3.5Kgf・m/cm2以上、6.5Kgf・m/cm2以上を有す
ることを特徴とするものである。次に、第二の本発明に
係わる製造方法の要旨とするところは、第一の本発明鋼
の組成に加え、更に重量%で Pb:0.005〜0.50% Ca:0.001〜0.050% Te:0.001〜0.20% Se:0.010〜0.50% Bi:0.010〜0.50% の一種または二種以上を含有し、残部をFe及び不可避的
不純物からなる鋼を熱間鍛造した後、200℃〜600
℃に時効後放冷することにより引張強度85Kgf/mm2以
上、降伏強度70Kgf/mm2以上を有する高強度高靱性か
つ被削性の優れた熱間鍛造非調質鋼の製造を可能とする
ことを特徴とするものである。
[作用] 以下に本発明を詳細に説明する。
まず、Cは鍛造品の強度を増加させるのに有効な元素で
あるが、0.10%未満では強度が不足し、また0.60%を超
えると、靱性の劣化を招くため、含有量を0.10〜0.60%
とした。
あるが、0.10%未満では強度が不足し、また0.60%を超
えると、靱性の劣化を招くため、含有量を0.10〜0.60%
とした。
次にSiは固溶体硬化による強度の増加を図ることを目的
として添加するが、0.80%未満ではその効果は不十分で
あり、一方、3.0%を超えるとその効果は飽和し、むし
ろ靱性の劣化を招くので、その含有量を0.80〜3.0とし
た。
として添加するが、0.80%未満ではその効果は不十分で
あり、一方、3.0%を超えるとその効果は飽和し、むし
ろ靱性の劣化を招くので、その含有量を0.80〜3.0とし
た。
また、MnとSは鋼中でMnSとして存在し、組織の微細化
に寄与するが、S:0.050%未満ではその効果は不十分
である。またMn:3.0%超、S:0.30%超ではその効果
は飽和し、むしろ靱性の劣化を招くため、Mn、Sの含有
量をそれぞれMn:3.0%以下、S:0.050〜0.30%とし
た。
に寄与するが、S:0.050%未満ではその効果は不十分
である。またMn:3.0%超、S:0.30%超ではその効果
は飽和し、むしろ靱性の劣化を招くため、Mn、Sの含有
量をそれぞれMn:3.0%以下、S:0.050〜0.30%とし
た。
さらに、V、NはVNの析出挙動を通じて、組織の微細化
に寄与するが、V:0.030%未満、N:0.005%未満では
その効果は不十分であり、一方、V:0.30%超、N:0.
060%超ではその効果は飽和し、むしろ靱性の劣化を招
くので、その含有量をV:0.030〜0.30%、N:0.005〜
0.060%とした。
に寄与するが、V:0.030%未満、N:0.005%未満では
その効果は不十分であり、一方、V:0.30%超、N:0.
060%超ではその効果は飽和し、むしろ靱性の劣化を招
くので、その含有量をV:0.030〜0.30%、N:0.005〜
0.060%とした。
そのほか、Cr、Mo、Ni、Cuは鍛造品の強度を増加させる
のに有効な元素であるが、経済的な観点から、含有量を
Cr:3.0%以下、、Mo:1.0%以下、Ni:3.0%以下、C
u:2.0%以下とした。
のに有効な元素であるが、経済的な観点から、含有量を
Cr:3.0%以下、、Mo:1.0%以下、Ni:3.0%以下、C
u:2.0%以下とした。
この他本発明鋼においては、粒度調整の目的でAl、Ti、
Nbの一種または二種以上を添加してある。しかしなが
ら、Al:0.005%未満、Ti:0.001%未満、Nb:0.005%
未満ではその効果は不十分であり、一方、Al:0.10%
超、Ti:0.050%超、Nb:0.10%超では、その効果は飽
和し、むしろ靱性を劣化させるので、Al:0.005〜0.10
%、Ti:0.001〜0.050%、Nb:0.005〜0.010%とした。
Nbの一種または二種以上を添加してある。しかしなが
ら、Al:0.005%未満、Ti:0.001%未満、Nb:0.005%
未満ではその効果は不十分であり、一方、Al:0.10%
超、Ti:0.050%超、Nb:0.10%超では、その効果は飽
和し、むしろ靱性を劣化させるので、Al:0.005〜0.10
%、Ti:0.001〜0.050%、Nb:0.005〜0.010%とした。
更に本発明に係わる非調質鋼においては、Pb、Ca、Te、
Se、Biの一種または二種以上を添加してあるが、これら
は被削性向上を目的としたものである。ただしPb:0.00
5%未満、Ca:0.001%未満、Te:0.001%未満、Se:0.0
10%未満、Bi:0.010%未満ではその効果は不十分であ
り、Pb:0.50%超、Ca:0.050%超、Te:0.20%超、S
e:0.50%超、Bi:0.50%超ではその効果は飽和し、む
しろ靱性の劣化を招くため、その含有量をPb:0.005〜
0.50%、Ca:0.001〜0.050%、Te:0.001〜0.20%、S
e:0.010〜0.50%、Bi:0.010〜0.50%とした。
Se、Biの一種または二種以上を添加してあるが、これら
は被削性向上を目的としたものである。ただしPb:0.00
5%未満、Ca:0.001%未満、Te:0.001%未満、Se:0.0
10%未満、Bi:0.010%未満ではその効果は不十分であ
り、Pb:0.50%超、Ca:0.050%超、Te:0.20%超、S
e:0.50%超、Bi:0.50%超ではその効果は飽和し、む
しろ靱性の劣化を招くため、その含有量をPb:0.005〜
0.50%、Ca:0.001〜0.050%、Te:0.001〜0.20%、S
e:0.010〜0.50%、Bi:0.010〜0.50%とした。
以上が本発明鋼の基本組成である。これらの組成の棒鋼
を用いて熱間鍛造を行い室温まで冷却した場合の組織は
ベイナイト主体でありこれに少量のマルテンサイト、残
留オーステナイトが混在している。このままでは、引張
強度、靱性の点では問題ないが、調質処理鋼に比べ降伏
強度が不足している。そこで時効処理を施しマルテンサ
イト相中の転位の易動度を低減することにより降伏強度
を向上させることに着目した。ただし時効温度が200℃
未満ではその効果は不十分であり、600℃を超えると引
張強度・降伏強度ともに大幅に減少する。従って時効温
度を200℃〜600℃とした。これらの条件に従って時効後
放冷することにより引張強度85Kgf/mm2以上、降伏強
度70Kgf/mm2以上を有する高強度高靱性かつ被削性の
優れた熱間鍛造非調質鋼を製造することが可能である。
を用いて熱間鍛造を行い室温まで冷却した場合の組織は
ベイナイト主体でありこれに少量のマルテンサイト、残
留オーステナイトが混在している。このままでは、引張
強度、靱性の点では問題ないが、調質処理鋼に比べ降伏
強度が不足している。そこで時効処理を施しマルテンサ
イト相中の転位の易動度を低減することにより降伏強度
を向上させることに着目した。ただし時効温度が200℃
未満ではその効果は不十分であり、600℃を超えると引
張強度・降伏強度ともに大幅に減少する。従って時効温
度を200℃〜600℃とした。これらの条件に従って時効後
放冷することにより引張強度85Kgf/mm2以上、降伏強
度70Kgf/mm2以上を有する高強度高靱性かつ被削性の
優れた熱間鍛造非調質鋼を製造することが可能である。
[実施例] 以下に本発明に係わる高強度高靱性かつ被削性に優れた
非調質鋼を製造方法の実施例を示す。
非調質鋼を製造方法の実施例を示す。
実施例−1 第1表に示す、、6、7の組成の鋼を高周波炉にて
溶製し、鋳造後、直径50mmの丸棒に圧延した。これらを
1250℃加熱の後、Iビームに熱間鍛造した。鍛造仕上げ
温度は1050℃であり、この後冷却速度1.0℃/secで室温
まで冷却した。このうち一部は300℃で60分間時効処
理を行った。これらのIビームの中央部より長手方向に
JIS4号引張試験片、及びJIS3号衝撃試験片を採用し引
張強度及び−50℃、20℃におけるシャルピー衝撃値を求
めた。一方、一部のものについては、鋳造した後、厚さ
30mmの鋼板に圧延した。圧延仕上げ温度は1050℃であり
この後、冷却速度1.0℃/secで室温まで冷却した。この
鋼板を用いて時効前、時効後(300℃×60min)の被削性
を評価した。被削性の目安としては、SKH 9(φ5)ド
リルにより切削油なしで、送りを初速0.1mm/revにして
深さ20mmのめくら穴をあけたときのドリル寿命が穴の総
深さ5000mmとなる場合の切削速度(m/min)を用いた。
これらの結果を第2表に示す。
溶製し、鋳造後、直径50mmの丸棒に圧延した。これらを
1250℃加熱の後、Iビームに熱間鍛造した。鍛造仕上げ
温度は1050℃であり、この後冷却速度1.0℃/secで室温
まで冷却した。このうち一部は300℃で60分間時効処
理を行った。これらのIビームの中央部より長手方向に
JIS4号引張試験片、及びJIS3号衝撃試験片を採用し引
張強度及び−50℃、20℃におけるシャルピー衝撃値を求
めた。一方、一部のものについては、鋳造した後、厚さ
30mmの鋼板に圧延した。圧延仕上げ温度は1050℃であり
この後、冷却速度1.0℃/secで室温まで冷却した。この
鋼板を用いて時効前、時効後(300℃×60min)の被削性
を評価した。被削性の目安としては、SKH 9(φ5)ド
リルにより切削油なしで、送りを初速0.1mm/revにして
深さ20mmのめくら穴をあけたときのドリル寿命が穴の総
深さ5000mmとなる場合の切削速度(m/min)を用いた。
これらの結果を第2表に示す。
第2表において、は第一の本発明に係わる高強度高
靱性を有する非調質鋼であり、6、7は比較鋼である。
靱性を有する非調質鋼であり、6、7は比較鋼である。
この第2表から明らかなように、時効前、時効後ともに
本発明鋼、はいずれも、85Kgf/mm2以上の引張強度
を有し、3.0Kgf・m/cm2以上の低温靱性、6.5Kgf・m/cm2
以上の常温靱性を有することがわかる。しかし時効前は
降伏強度が不足している。ところが時効を加えることに
より降伏強度はどれも上昇し70Kgf/mm2以上を有するよ
うになる。これに対し比較鋼6はCの含有量が本発明の
範囲を下回った例であり、靱性は開発鋼と同等であるが
強度が時効前、時効後ともに不足している。一方、比較
鋼7はSの含有量が本発明の範囲を下回った場合であ
り、強度は問題ないが時効前、時効後ともに低温靱性及
び常温靱性が不足している。
本発明鋼、はいずれも、85Kgf/mm2以上の引張強度
を有し、3.0Kgf・m/cm2以上の低温靱性、6.5Kgf・m/cm2
以上の常温靱性を有することがわかる。しかし時効前は
降伏強度が不足している。ところが時効を加えることに
より降伏強度はどれも上昇し70Kgf/mm2以上を有するよ
うになる。これに対し比較鋼6はCの含有量が本発明の
範囲を下回った例であり、靱性は開発鋼と同等であるが
強度が時効前、時効後ともに不足している。一方、比較
鋼7はSの含有量が本発明の範囲を下回った場合であ
り、強度は問題ないが時効前、時効後ともに低温靱性及
び常温靱性が不足している。
実施例−2 実施例1と同様に第1表に示す〜、8〜10の組成
の鋼を高周波炉にて溶製し、鋳造後、直径50mmの丸棒に
圧延した。これらを1250℃加熱の後、Iビームに熱間鍛
造した。鍛造仕上げ温度は1050℃であり、この後冷却速
度1.0℃/secで室温まで冷却した。このうち一部は300
℃で60分間時効処理を行った。これらのIビームの中央
部より長手方向にJIS4号引張試験片、及びJIS3号衝撃
試験片を採用し引張強度及び-50℃、20℃におけるシャ
ルピー衝撃値を求めた。一方、一部のものについては、
高周波炉にて溶製し、鋳造した後、厚さ30mmの鋼板に圧
延した。圧延仕上げ温度は1050℃でありこの後大気中に
て放冷した。この鋼板を用いて時効前、時効後(300℃
×60min)の被削性を評価した。被削性の目安として
は、実施例1の場合と全く同じで、ドリル寿命が穴の総
深さ5000mmとなる場合の切削速度(m/min)を用いた。
これらの結果を第3表に示す。
の鋼を高周波炉にて溶製し、鋳造後、直径50mmの丸棒に
圧延した。これらを1250℃加熱の後、Iビームに熱間鍛
造した。鍛造仕上げ温度は1050℃であり、この後冷却速
度1.0℃/secで室温まで冷却した。このうち一部は300
℃で60分間時効処理を行った。これらのIビームの中央
部より長手方向にJIS4号引張試験片、及びJIS3号衝撃
試験片を採用し引張強度及び-50℃、20℃におけるシャ
ルピー衝撃値を求めた。一方、一部のものについては、
高周波炉にて溶製し、鋳造した後、厚さ30mmの鋼板に圧
延した。圧延仕上げ温度は1050℃でありこの後大気中に
て放冷した。この鋼板を用いて時効前、時効後(300℃
×60min)の被削性を評価した。被削性の目安として
は、実施例1の場合と全く同じで、ドリル寿命が穴の総
深さ5000mmとなる場合の切削速度(m/min)を用いた。
これらの結果を第3表に示す。
第3表において、〜は第二の本発明に係わる非調質
鋼であり、8〜10は比較鋼である。第3表より明らか
なように、〜はどれも時効後、85Kgf/mm2以上の引
張強度、70Kgf/mm2以上の降伏強度を有し、3.0Kgf・m/
cm2以上の低温靱性、6.5Kgf・m/cm2以上の常温靱性を有
することがわかる。比較鋼8はSiの含有量が本発明の範
囲を下回った例であり、靱性は開発鋼と同等であるが強
度が時効前、時効後ともに不足している。一方、比較鋼
9、10はそれぞれS、Nの含有量が本発明の範囲を下
回った場合であり、強度は問題ないが時効前、時効後と
もに低温靱性及び常温靱性が不足している。
鋼であり、8〜10は比較鋼である。第3表より明らか
なように、〜はどれも時効後、85Kgf/mm2以上の引
張強度、70Kgf/mm2以上の降伏強度を有し、3.0Kgf・m/
cm2以上の低温靱性、6.5Kgf・m/cm2以上の常温靱性を有
することがわかる。比較鋼8はSiの含有量が本発明の範
囲を下回った例であり、靱性は開発鋼と同等であるが強
度が時効前、時効後ともに不足している。一方、比較鋼
9、10はそれぞれS、Nの含有量が本発明の範囲を下
回った場合であり、強度は問題ないが時効前、時効後と
もに低温靱性及び常温靱性が不足している。
なお被削性については、第2表と第3表を比べるとわか
るように被削性元素(Pb、Ca、Te、Se、Bi)を含有した
、、の方が全く含有しない、よりも被削性が
優れていることがわかる。
るように被削性元素(Pb、Ca、Te、Se、Bi)を含有した
、、の方が全く含有しない、よりも被削性が
優れていることがわかる。
[発明の効果] 以上述べたごとく、本発明鋼を用いることにより、85Kg
f/mm2以上の高い引張強度を有し、高靱性かつ優れた被
削性を得ることが可能であり、更に熱間鍛造後の時効に
より、70Kgf/mm2以上という高い降伏強度を得ることが
できる。これにより、従来必要とした調質処理の省略と
それにともなう製造コスト低減が可能となり、産業上の
効果は極めて顕著なものがある。
f/mm2以上の高い引張強度を有し、高靱性かつ優れた被
削性を得ることが可能であり、更に熱間鍛造後の時効に
より、70Kgf/mm2以上という高い降伏強度を得ることが
できる。これにより、従来必要とした調質処理の省略と
それにともなう製造コスト低減が可能となり、産業上の
効果は極めて顕著なものがある。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で C :0.10〜0.60% Si:0.80〜3.0% Mn:3.0%以下 S :0.050〜0.30% V :0.030〜0.30% N :0.005〜0.060% を含有し、更に Cr:3.0%以下 Ni:3.0%以下 Mo:1.0%以下 Cu:2.0%以下 の一種または二種以上を含有し、更に Ti:0.001〜0.050% Nb:0.005〜0.10% A:0.005〜0.10% の一種または二種以上を含有し、残部をFe及び不可避
的不純物からなる鋼を熱間鍛造した後、冷却過程でベイ
ナイト主体で残部が少量のマルテンサイトとオーステナ
イトの混合組織を生成させた後、200℃〜600℃に
時効後放冷することにより、引張強度85Kgf/mm2以
上、降伏強度70Kgf/mm2以上を有し、さらに2mmUノ
ッチシャルピー吸収エネルギーが−50℃、20℃にお
いてそれぞれ3.5Kgf・m/cm2以上、6.5Kgf・m/cm2以上を
有することを特徴とする高強度高靱性熱間鍛造非調質鋼
の製造方法。 - 【請求項2】重量%で、更に鋼成分として Pb:0.005〜0.50% Ca:0.001〜0.050% Te:0.001〜0.20% Se:0.010〜0.50% Bi:0.010〜0.50% の一種または二種以上を含有する、被削性も優れている
ことを特徴とする請求項1記載の高強度高靱性熱間鍛造
非調質鋼の製造方法。
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JP2008014A JPH0663025B2 (ja) | 1990-01-17 | 1990-01-17 | 高強度高靭性熱間鍛造非調質鋼の製造方法 |
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JP2008014A JPH0663025B2 (ja) | 1990-01-17 | 1990-01-17 | 高強度高靭性熱間鍛造非調質鋼の製造方法 |
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JP2008014A Expired - Lifetime JPH0663025B2 (ja) | 1990-01-17 | 1990-01-17 | 高強度高靭性熱間鍛造非調質鋼の製造方法 |
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-
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- 1990-01-17 JP JP2008014A patent/JPH0663025B2/ja not_active Expired - Lifetime
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