JPH0662250U - エンジンにおける回転軸部材用ダンパの構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】エンジンにおけるクランクシャフト等の回転軸
部材に装着されるダンパの耐久性を向上する。 【構成】クランクシャフト１０に固定取付される取付板
部１２に環状板部１３を一体成形したハブプレート１４
を設け、環状板部１３の基端部に一端部がスポット溶接
等により固着され、他端部が環状板部１３と所定の間隔
を介して略平行に延びるサブプレート１５を設ける。ハ
ブプレート１４の環状板部１３の先端側の片側板面にゴ
ム等の弾性体１６を固着し、弾性体１６には慣性マス１
７を固着する。サブプレート１５の片側板面にはゴム等
の弾性体１８を固着し、弾性体１８には慣性マス１９を
固着する。これにより、弾性体１６，１８で発する熱が
環状板部１３とサブプレート１５から放出されて発散し
易くなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、エンジンのクランクシャフト等の回転軸部材のねじり振動を低減す るダンパに関し、特に、弾性体の放熱性を向上する技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、エンジンにおいては、シリンダ内におけるガス圧力と慣性力によって生 じるクランクシャフトのねじり振動低減を目的としてダンパの採用が有効視され ている。 このダンパとしては、図４に示すように、クランクシャフト１に固定取付され る取付板部２の外周部両板面にゴム等の弾性体３を介して金属等からなる慣性マ ス４を夫々固着したダブルマスダンパが知られている（実開昭５７−１７４８４ ０号公報，実開昭５８−１８７６４０号公報及び実開昭５８−１８７６４１号公 報等参照）。

【０００３】 ねじり振動がない状況下では、取付板部２と慣性マス４はあたかも一体のユニ ットの如く回転する。エンジン回転数がねじり振動を励振するようなポイントに 変化するに連れて、クランクシャフト１即ち、クランクシャフト１に固定された 取付板部２は主回転上にねじり振動が追加されたような現象が呈する。慣性マス ４はそれ自身の慣性のために一定の回転を続けようとするため、取付板部２と慣 性マス４の間に相対的な回転振動変化が起こり、従って、振動エネルギは弾性体 に吸収され、この際、この振動エネルギは熱エネルギに置換され、クランクシャ フト１の振動が吸収される。

【０００４】 この場合、弾性体３は熱を発し、この熱は慣性マス４を介して放熱される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記のように振動エネルギは熱エネルギに置換されることにより、 弾性体３は熱を発し、この熱は慣性マス４を介して放熱されるが、発熱量が大き い場合は、弾性体３に熱が蓄積して、振動周波数のマッチングにずれを生じて、 ダンパ性能の低下を来すという問題点があった。

【０００６】 このため、慣性マスの表面に放熱フィンを設けて、放熱性を向上することが考 えられたが、充分な効果が得られないのが実情である。 そこで、本考案は以上のような従来の問題点に鑑み、エンジンにおけるクラン クシャフト等の回転軸部材に装着されるダンパにおいて、ゴム等の弾性体により 発生した熱を放出し易くすることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

このため、本考案は、エンジンにおける回転軸部材に装着されるダンパであっ て、前記回転軸部材に固定取付される取付板部の外周部に互いに略平行な複数の 環状板部を設け、該環状板部夫々の一方の板面に弾性体を介して慣性マスを夫々 固着した構成とする。

【０００８】

【作用】

かかる構成において、弾性体の支持部である環状板部が複数に分岐される構成 により、弾性体で発する熱が各環状板部から放出されて発散し易くなり、弾性体 の温度上昇によるダンパの性能変化を防止でき、耐久性の向上を図れる。

【０００９】

【実施例】

以下、添付された図面を参照して本考案を詳述する。 図１において、エンジンにおける回転軸部材、例えばクランクシャフト１０に 装着されるダンパ１１は、クランクシャフト１０に固定取付される取付板部１２ と、該取付板部１２の外周部に略平行な複数の環状板部と、該環状板部夫々の一 方の板面にゴム等の弾性体を介して固着される金属製等の慣性マスと、から構成 される。

【００１０】 本実施例においては、前記取付板部１２に断面略Ｌ字形状の環状板部１３を一 体成形した板金製のハブプレート１４を設け、該ハブプレート１４の環状板部１ ３の基端部に一端部がスポット溶接等により固着され、他端部が環状板部１３と 所定の間隔を介して略平行に延びる環状板部としての断面略Ｌ字形状の板金製の サブプレート１５を設ける。

【００１１】 前記ハブプレート１４の環状板部１３の先端側の片側板面、即ち、該環状板部 １３のサブプレート１５と相対向する面にはゴム等の弾性体１６が固着され、該 弾性体１６には慣性マス１７が固着される。又、前記サブプレート１５の片側板 面、即ち、該サブプレート１５の前記環状板部１３と相対向する面にはゴム等の 弾性体１８が固着され、該弾性体１８には慣性マス１９が固着される。２つの慣 性マス１７，１９は所定の間隔を介して相対向される。

【００１２】 以上の構成のダンパ１１によると、弾性体１６，１８の支持部である環状板部 が２つ（ハブプレートの環状板部１３とサブプレート１５）に分岐される構成に より、弾性体１６，１８で発する熱が環状板部１３とサブプレート１５から放出 されて発散し易くなる。 この結果、弾性体１６，１８の温度上昇によるダンパ１１の性能変化を防止で き、耐久性の向上を図れる。

【００１３】 かかる実施例においては、板金製のハブプレート１４と、該ハブプレート１４ に固着された板金製のサブプレート１５とを設けて、２つの環状板部を形成する ようにしたが、２つの環状板部を鍛造や鋳造で一体成形するようにしても良い。 この実施例を図２及び図３に示す。 図２の実施例においては、クランクシャフト１０に固定取付される取付板部２ ０と、該取付板部２０の外周部に略平行に設けられる２つの断面略Ｌ字形状の環 状板部２１，２２とを鍛造或いは鋳造により一体成形する。

【００１４】 前記環状板部２１，２２夫々の他方の環状板部と相対向する面には、夫々ゴム 等の弾性体２３が固着され、該弾性体２３には夫々慣性マス２４が固着される。 図３の実施例は、クランクシャフト１０に固定取付される取付板部２５と、該 取付板部２５の外周部に、該取付板部２５と略面一に設け延びる環状板部２６と 該環状板部２６と略平行に延びる断面略Ｌ字形状の環状板部２７とを鍛造或いは 鋳造により一体成形する。

【００１５】 前記環状板部２６，２７夫々の他方の環状板部と相反する面には、夫々ゴム等 の弾性体２８が固着され、該弾性体２８には夫々慣性マス２９が固着される。 かかる図２及び図３の実施例のダンパにおいても、弾性体の支持部である環状 板部が２つに分岐される構成により、弾性体で発する熱が環状板部とサブプレー トから放出されて発散し易くなる。

【００１６】 尚、本実施例においては、クランクシャフトに固定取付される取付板部の外周 部に互いに略平行な２つの環状板部を設けるようにしたが、３つ，４つ・・・と 複数設けるようにしても良い。 又、クランクシャフト用のダンパに限らず、エンジンにおけるその他の回転軸 部材に装着されるダンパにも同様に適用することができる。

【００１７】 更に、弾性体及び慣性マスの環状板部に対する固着部位も実施例のものに限ら ない。 尚、以上のように、特定の実施例を参照して本考案を説明したが、本考案はこ れに限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本考案に 添付された実用新案登録請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正 が可能であるとの点に留意すべきである。

【００１８】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案のダンパの構造によれば、エンジンのクランクシ ャフト等の回転軸部材のねじり振動を低減するダンパにおいて、弾性体を介して 慣性マスを夫々固着する部分の分割化によって、振動エネルギが熱エネルギに置 換されることによって弾性体が発する熱が発散し易くなり、弾性体に熱が蓄積す るのを抑えることができ、振動周波数のマッチングにずれを生じるのを防止でき るため、ダンパ性能の低下を抑制でき、ダンパの耐久性の向上を図ることができ る実用的効果大なるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係るダンパ構造の一実施例を示す断
面図

【図２】 他の実施例を示す断面図

【図３】 更に他の実施例を示す断面図

【図４】 従来のダンパ構造の一例を示す断面図

【符号の説明】

１０ クランクシャフト １１ ダンパ １２ 取付板部 １３ 環状板部 １４ ハブプレート １５ サブプレート １６ 弾性体 １７ 慣性マス １８ 弾性体 １９ 慣性マス ２０ 取付板部 ２１ 環状板部 ２２ 環状板部 ２３ 弾性体 ２４ 慣性マス ２５ 取付板部 ２６ 環状板部 ２７ 環状板部 ２８ 弾性体 ２９ 慣性マス

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンにおける回転軸部材に装着される
   ダンパであって、前記回転軸部材に固定取付される取付
   板部の外周部に互いに略平行な複数の環状板部を設け、
   該環状板部夫々の一方の板面に弾性体を介して慣性マス
   を夫々固着した構成を特徴とするエンジンにおける回転
   軸部材用ダンパの構造。