JPH0660787B2 - 多段バンド型乾燥機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は，耐熱性が低くて，加熱による変質を考慮する
必要がある被乾燥物，例えば野菜類，こんにゃく芋，海
産物等の乾燥に主として適用する多段バンド型乾燥機に
関するものである。

（従来の技術） 従来のバンド型乾燥機は，熱風を被乾燥物の搬送方向に
対し平行にまたは搬送方向に対し直角に流して，被乾燥
物を搬送してがら乾燥している。即ち，熱風の対流及び
輻射により，被乾燥物の表面温度を上げ，その熱勾配に
より，熱エネルギーを被乾燥物の内部へ伝達して，被乾
燥物を搬送しながら乾燥している。

（発明が解決しようとする課題） 従来のバンド型乾燥機は，前記のように熱風の対流及び
輻射により，被乾燥物の表面温度を上げ，そねの熱勾配
により、熱エネルギーを被乾燥物の内部へ伝達して，被
乾燥物を搬送しながら乾燥しているが，その際，被乾燥
物の表面温度が高くなることを容認して，被乾燥物内部
への熱エネルギーの伝達を大きくすることにより，乾燥
の能率を向上させているので，耐熱性が高くて，加熱に
よる変質を考慮する必要のない被乾燥物の場合には，格
別問題はないが，耐熱性が低くて，加熱による変質を考
慮する必要がある被乾燥物，例えば野菜類，こんにゃく
芋，海産物等の乾燥には，不向きである。即ち，人参等
の野菜類や海産物は，自然の色調に近い仕上がりを要求
されている上に，加水復元したとき，極めて高い復元値
（自然の状態を１００とした場合，９５以上の復元値）
を要求されている。またこんにゃく芋は，乾燥後，粉
砕，分離されて，マンナン質が抽出されるが，こんにゃ
く芋を乾燥する際には，マンナン質の変質を極力抑える
ことが要求されている。しかし従来のバンド型乾燥機
は，前記のように被乾燥物の表面温度が高くなることを
容認して，被乾燥物内部への熱エネルギーの伝達を大き
くすることにより，乾燥の能率を向上させているので，
耐熱性が低くて，加熱による変質を考慮する必要がある
野菜類，こんにゃく芋，海産物等の乾燥には，不向きで
あるという問題があった。

本発明は前記の問題点に鑑み提案するものであり，その
目的とする処は、耐熱性が低い野菜類，こんにゃく芋，
海産物等の内部から表面までの全体を変質させずに，加
熱，乾燥できる多段バンド型乾燥機を提供とようとする
点にある。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために，本発明は、被乾燥物を連続
的に搬送しながら乾燥する多段バンド型乾燥機におい
て，前段の恒率乾燥期部と，後段の減率乾燥期部とを有
し，前段の恒率乾燥期部に，恒率乾燥期部用搬送コンベ
アと，熱風を同恒率乾燥期部用搬送コンベアの搬送方向
に対し向流に流して被乾燥物を表面から加熱する熱風供
給手段と，遠赤外線を被乾燥物に照射して被乾燥物に熱
運動を励起させることにより被乾燥物の表面温度を抑え
ながら被乾燥物の内部を直接加熱する遠赤外線ヒータと
を設け，後段の減率乾燥期部に，搬送速度を前記恒率乾
燥期部用搬送コンベアの搬送速度よりも遅くして被乾燥
物の仕込み厚さを厚くする減率乾燥期部用搬送コンベア
と，熱風を同減率乾燥期部用搬送コンベアの搬送方向に
直角に流して被乾燥物を加熱する熱風供給手段とを設け
ている。

（作用） 本発明のバンド型乾燥機は前記のように構成されてお
り，先ず前段の恒率乾燥期部に設けた恒率乾燥期部用搬
送コンベアにより被乾燥物を搬送する。このとき，熱風
供給手段により熱風を恒率乾燥期部用搬送コンベアの搬
送方向に対し向流に流して，被乾燥物を加熱する一方，
遠赤外線ヒータから被乾燥物へ遠赤外線を照射し，被乾
燥物の熱運動を励起させて，被乾燥物の表面温度を抑え
ながら被乾燥物の内部を直接加熱し，次いで後段の減率
乾燥期部に入って，減率乾燥期部用搬送コンベアにより
搬送する。このとき，同減率乾燥期部用搬送コンベアの
搬送速度が恒率乾燥期部用搬送コンベアの搬送速度より
も遅いので，減率乾燥期部用搬送コンベア上では，被乾
燥物の仕込み厚さが厚くなる。またこのとき，熱風供給
手段により熱風を減率乾燥期部用搬送コンベアの搬送方
向に直角に流して被乾燥物を加熱する。

（実施例） 次に本発明の多段ハンド型乾燥機を第１，２図に示す一
実施例により説明する。先ず乾燥の３期間について説明
する。充分に湿った被乾燥物を乾燥する場合，(I)予熱
期間（準備乾燥期間），(II)恒率乾燥期間，(III)減率
乾燥期間に区別される。充分に湿った被乾燥物をある乾
燥条件下におくと，その温度が乾燥条件と動的平衡を保
つ温度に達するが，それまでが(I)の予熱期間である。
次いで流入熱量の全てが水分蒸発に使用され，水分蒸発
速度（乾燥速度）が一定になる期間が継続するが，それ
までが(II)の恒率乾燥期間である。次いで被乾燥物の表
面に水分が存在しなくなり，被乾燥物温度が上昇して，
流入熱量も減少して，乾燥速度が次第に低減し，遂には
乾燥条件と平衡する含水率及び被乾燥物温度になって，
乾燥が完了する。それまでが(III)の減率乾燥期間であ
る。本発明の多段バンド型乾燥機は，前段の恒率乾燥期
部と，後段の減率乾燥期間とを有している。即ち，(I)
が第１段金網コンベア，(2)が第２段金網コンベア，(3)
が第３段金網コンベア，(4)が第４段金網コンベアで，
これら第１段金網コンベア(1)〜第４段金網コンベア(4)
のうち，第２，第１段金網コンベア(1)(2)が前段の恒率
乾燥期部に設けられ，第３，第４段金網コンベア(3)(4)
が後段の減率乾燥期部に設けられている。またこれら第
１段金網コンベア(1)〜第４段金網コンベア(4)がそれぞ
れ独立した可変速モータ（図示せず）により駆動され，
被乾燥物が乾燥機内に滞留する時間は，恒率乾燥期部
（第１段金網コンベア(1)〜第２段金網コンベア(2)の部
分）で２０〜３０分程度，減率乾燥期部（第３段金網コ
ンベア(3)〜第４段金網コンベア(4)の部分）で６０〜１
２０分程度である。また(5a)が上記第１段金網コンベア
(1)に沿い配設された遠赤外線ヒータ，(5b)が上記第２
段金網コンベア(2)に沿い配設された遠赤外線ヒータ
で，これら遠赤外線ヒータ(5a)(5b)の熱源は，電気，蒸
気，熱媒油等で，遠赤外線ヒータ(5a)(5b)の表面温度が
温度調節器（図示せず）に設定した設定温度１００〜３
５０°に保持されるようになっている。また同遠赤外線
ヒータ(5a)(5b)は，被乾燥物に対する照射距離を任意に
変更できる機構（図示せず）を具えている。同遠赤外線
ヒータ(5a)(5b)は、第１，第２金網コンベア(1)(2)の上
方部位のみに設けても，下方部位のみに設けても，或い
は上下各部に設けても差し支えない。また(6)が恒率乾
燥期部（第１，第２金網コンベア(1)(2)）用送風機，
(7)が恒率乾燥期部用エアフイルター，(8)が恒率乾燥期
部用空気加熱器，(9)が恒率乾燥期部用排風機で，恒率
乾燥期部用エアフイルター(7)から恒率乾燥期部用送風
機(6)へ吸引された外気が恒率乾燥期部用空気加熱器(8)
へ送られ，ここで７０〜８０℃に加熱されて，第２段金
網コンベア(2)→第１段金網コンベア(1)→恒率乾燥期部
用排風機(9)を経て大気へ放出されるようになってい
る。また(10)が原料スライサー（切断機）で，同原料ス
ライサー(10)は，被乾燥物を任意の形状に切断する複数
種類の替え刃を具えており，被乾燥物が例えばこんにゃ
く芋の場合，厚さ２〜３mm，幅５〜１０mm，長さ５０〜
６０mmの薄い細状片に切断される。また(11)が減率乾燥
期部（第３，４段金網コンベア(3)(4)）用循環送風機，
(12)が減率乾燥期部用エアフイルター，(13)が減率乾燥
期部用空気加熱器，(14)が排気量調節用可変ダンパー
で，減率乾燥期部用エアフイルター(12)から減率乾燥期
部用循環送風機(11)へ吸引された外気が減率乾燥期部用
空気加熱器(13)へ送られ，ここで所定温度に加熱され
て，第３段金網コンベア(3)→第４段金網コンベア(4)→
減率乾燥期部用循環送風機(11)へ戻されて，循環するよ
うになっている。またこの循環系では，第３段金網コン
ベア(3)及び第４段金網コンベア(4)上の被搬送物から蒸
発する水蒸気を排出するために，排気量調節用可変ダン
パー(14)の開度が調節されて，一部の循環空気が大気へ
放出されるようになっている。

次に前記第１，２図に示す多段バンド型乾燥機の作用を
具体的に説明する。第１段金網コンベア(1)〜第４金
網コンベア(4)を可変装モータにより駆動し、恒率乾
燥期部用エアフイルター(7)から恒率乾燥期部用送風機
(6)へ吸引した外気を恒率乾燥期部用空気加熱器(8)へ送
り，ここで７０〜８０℃に加熱して，第２段金網コンベ
ア(2)→第１段金網コンベア(1)→恒率乾燥期部用排風機
(9)を経て大気へ放出し，減率乾燥期部用エアフイル
ター(12)から減率乾燥期部用循環送風機(11)へ吸引した
外気を減率乾燥期部用空気加熱器(13)へ送り，ここで所
定温度に加熱して，第３段金網コンベア(3)→第４段金
網コンベア(4)→減率乾燥期部用循環送風機(11)へ戻し
て循環させ，遠赤外線ヒータ(5a)(5b)の表面温度を温
度調節器に設定した設定温度１００〜３５０°に保持し
ているときに，被乾燥物（原料）を原料スライサー(11)
へ投入して，被乾燥物が例えばこんにゃく芋の場合，厚
さ２〜３mm，幅５〜１０mm，長さ５０〜６０mm程度の薄
い細状片に切断した後，同原料スライサー(11)の排出口
から恒率乾燥期部の第１段金網コンベア(1)上へ細状片
を１枚並べ程度の状態になるように落下，送出して，同
第１段金網コンベア(1)により搬送する。このとき，遠
赤外線ヒータ(5a)から第１段金網コンベア(1)上の被乾
燥物へ遠赤外線を照射し、被乾燥物の熱運動を励起させ
て，被乾燥物の表面温度を抑えながら被乾燥物の内部を
直接加熱するとともに，恒率乾燥期部用排風機(9)に向
かう向流の熱風により同被乾燥物の表面を変質させない
温度に加熱する。また第１段金網コンベア(1)の搬送方
向下流側端部から第２段金網コンベア(2)上へ落下，送
出して、同第２段金網コンベア(2)により搬送する。こ
のとき，遠赤外線ヒータ(5b)から第２段金網コンベア
(2)上の被乾燥物へ遠赤外線を照射し，被乾燥物の熱運
動を励起させて，被乾燥物の表面温度を抑えながら被乾
燥物の内部を直接加熱するとともに，第１段金網コンベ
ア(1)に向かう向流の熱風により同被乾燥物の表面を加
熱する。次いで減率乾燥期部に入る。即ち，上記第２金
網コンベア(2)の搬送方向下流側端部から減率乾燥を行
う第３段金網コンベア(3)上へ積層状態となるように落
下，送出して，同第３段金網コンベア(3)により搬送す
る。このとき，第３段金網コンベア(3)と第４段金網コ
ンベア(4)とのコンベア面を直角に通気する熱風により
同被乾燥物の表面を加熱する。また同第３段金網コンベ
ア(3)の搬送方向下流側端部から第４段金網コンベア(4)
上へ落下，送出して，同第４段金網コンベア(4)により
搬送する。このとき，下段金網コンベア用循環送風機(1
1)に向かう熱風により同被乾燥物の表面を加熱する。こ
の段階になると，被乾燥物の乾燥は完了しており，第４
段金網コンベア(4)の配送方向下流側端部から乾燥機外
へ排出される。

（発明の効果） 本発明のバンド型乾燥機は前記のように先ず前段の恒率
乾燥期部に設けた恒率乾燥期部用搬送コンベアにより被
乾燥物を搬送する。このとき，熱風供給手段により熱風
を恒率乾燥期部搬送コンベアの搬送方向に対し向流に流
して，被乾燥物を加熱する一方，遠赤外線ヒータから被
乾燥物へ遠赤外線を照射し，被乾燥物の熱運動を励起さ
せて，被乾燥物の表面温度を抑えながら被乾燥物の内部
を直接加熱し，次いで後段の減率乾燥期部に入って，減
率乾燥期部用搬送コンベアにより搬送する。このとき，
同減率乾燥期部用搬送コンベアの搬送速度が恒率乾燥期
部用搬送コンベアの搬送速度よりも遅いので，減率乾燥
期部用搬送コンベア上では，被乾燥物の仕込み厚さが厚
くなる。またこのとき，熱風供給手段により熱風を減率
乾燥期部用搬送コンベアの搬送方向に直角に流して被乾
燥物を加熱するので，耐熱性の低い野菜類，こんにゃく
芋，海産物等の内部から表面までの全体を変質させず
に，加熱，乾燥できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係わるバンド型乾燥機の一実施例を示
す縦断側面図，第２図はその縦断正面図である。 (1)(2)…恒率乾燥期部用搬送コンベア，(3)(4)…減率乾
燥期部用搬送コンベア，(5a)(5b)…遠赤外線ヒータ，
(6)…恒率乾燥期部用送風機，(7)…恒率乾燥期部用エア
フイルター，(8)…恒率乾燥期部用空気加熱器，(9)…恒
率乾燥期部用排風機，(10)…原料スライサー，(11)…減
率乾燥期部用循環送風機，(12)…減率乾燥期部用エアフ
イルター，(13)…減率乾燥期部用空気加熱器，(14)…排
気量調節用可変ダンパー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】被乾燥物を連続的に搬送しながら乾燥する
   多段バンド型乾燥機において，前段の恒率乾燥期部と，
   後段の減率乾燥期部とを有し，前段の恒率乾燥期部に，
   恒率乾燥期部用搬送コンベアと，熱風を同恒率乾燥期部
   用搬送コンベアの搬送方向に対し向流に流して被乾燥物
   を表面から加熱する熱風供給手段と，遠赤外線を被乾燥
   物へ照射して被乾燥物に熱運動を励起させることにより
   被乾燥物の表面温度を抑えながら被乾燥物の内部を直接
   加熱する遠赤外線ヒータとを設け，後段の減率乾燥期部
   に，搬送速度を前記恒率乾燥期部用搬送コンベアの搬送
   速度よりも遅くして被乾燥物の仕込み厚さを厚くする減
   率乾燥期部用搬送コンベアと，熱風を同減率乾燥期部用
   搬送コンベアの搬送方向に直角に流して被乾燥物を加熱
   する熱風供給手段とを設けたことを特徴とする多段バン
   ド型乾燥機。