JPH0659799U - 熱処理炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 左右並列した被処理コイル材を均一に加熱が
できて調質処理が良好となり、急速昇温・冷却ができ、
処理時間を短縮化でき、生産性が向上し、省エネルギー
化を図った熱処理炉を提供すること。 【構成】 本考案に係る熱処理炉は、加熱室の天井部に
循環送風機と加熱源を設けると共に、側部ダクトと炉の
高さ方向に垂直に立設した垂直ダクトとを連結連通し、
被処理コイル材を複列で加熱処理できる構成とし、かつ
該側部ダクトと垂直ダクトに炉幅と平行方向に熱風を吹
き出す噴出ノズル群を設けて構成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は主にアルミニウムまたはアルミニウム合金コイルを左右並列して均一 に加熱処理するバッチ式のコイル熱処理炉の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来のバッチ式のコイル熱処理炉は、図４に示すように、炉内隔壁板２０を介 して熱処理炉内に加熱室２１と該加熱室２１を囲む循環室２２を設け、該循環室 ２２に循環送風機２３と輻射管２４，２４を配設し、輻射管２４，２４からの輻 射熱を循環送風機２３で風速５〜１５ｍ／秒のダウンフローで循環させる強制対 流伝熱により被処理コイル材Ａを加熱処理していた。

【０００３】 この輻射管による炉内雰囲気を間接加熱する方法は、加熱目的に適した雰囲気 条件を保って加熱することができること、炉内雰囲気が燃焼ガスにより汚染され ないこと等の利点があることから使用されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、この加熱方式では被処理コイル材Ａの上面から熱風を吹き付け て被処理コイル材を対流伝熱の熱伝達により加熱処理を行っているので、コイル の下面が加熱されにくく、上面と下面の温度偏差が大きく片面加熱になる問題点 があった。

【０００５】 この現象は、特にバーナ燃焼量が多い昇温時に顕著であるばかりか、バーナ燃 焼量が少ない均熱最終時においてはさらにその差が大きく、循環送風機の風量を 大きくしてもその温度偏差を解消することができず、調質処理に問題が生じて均 一な加熱ができないと言う問題点があった。

【０００６】 本考案は上記の問題点を解決することを課題として研究開発されたもので、左 右並列した被コイル材を均一に加熱できて調質処理が良好となり、急速昇温・冷 却ができ、処理時間が短縮化でき、炉の効率がよくなって生産性が向上し、省エ ネルギー化を図ることを目的とした熱処理炉を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決し、その目的を達成する手段として、本考案では、加熱室の 天井部に循環送風機と加熱源を設けると共に、側部ダクトと炉の高さ方向に垂直 に立設した垂直ダクトとを連結連通し、被処理コイル材を複列で加熱処理できる 構成とし、かつ側部ダクトと垂直ダクトに炉幅と平行方向に熱風を吹き出す噴出 ノズル群を設けたことを特徴とする熱処理炉を開発し、採用した。

【０００８】 また、本考案では、上記のように構成した熱処理炉において、側部ダクトに設 けた噴出ノズル群と垂直ダクトに設けた噴出ノズル群を相対向するように配設し てある熱処理炉および噴出ノズル群の外周のノズルに止栓を嵌合できるように構 成した熱処理炉をそれぞれ開発し、採用した。

【０００９】

【作用】

側部ダクト７，７に設けられたノズル群１２から出る熱風と中央ダクト１１に 設けたノズル群１２から噴出される熱風が炉幅方向と平行に流れ左右に並列され た被処理コイル材Ａ，Ａの両側面の全体に直接当り、最も効率のよい衝突による 対流熱伝達と両側面の巻層側からの材料への熱伝導で左右並列された、コイルＡ ，Ａの上下面の温度差が極く小さく、均一加熱ができ、かつ送風機の回転制御に より風量の増加で急速昇温・冷却ができると共に、その制御で熱処理パターンを フレキシブルな制御もできる。

【００１０】

【実施例】

以下に、本考案の実施例を添付図面に基づいて説明すると、１は熱処理炉本体 で、炉本体１の長手方向に所定間隔毎に設けた隔壁板２，２によって三つの制御 帯１ａ，１ｂ，１ｃに区分されている。それぞれの制御帯１ａ，１ｂ，１ｃの天 井部の中央には遠心型循環送風機３を取り付けてあり、この循環送風機３は天板 ４を介して形成される上部循環室５内に設けられている。

【００１１】 ６，６は炉本体１の両側内面に沿って炉の長さ方向に配設した両側壁板で、該 両側壁板６，６により側部ダクト７，７が形成されていると共にその側部ダクト ７，７内に鉛直方向に垂設するＵ字形の輻射管からなる加熱源８，８を配設して ある。９は底板で、該底板９を介して底部ダクト１０，１０が形成され側部ダク ト７，７と連結連通されている。

【００１２】 １１は炉幅の中間部の位置の底部ダクト１０から炉の高さの略中間部に達する 高さの垂直ダクトで、前述の側部ダクト７，７と底部ダクト１０，１０と連結連 通されており、この垂直ダクト１１により被処理コイル材Ａ，Ａを左右並列に熱 処理できるようになっている。側部ダクト７，７と垂直ダクト１１は後述のノズ ル群１２の口部の断面積より大きな断面積を有しており、被処理コイル材Ａに対 し、各ノズル群１２から均等な風速が得られる構造になっている。この垂直ダク ト１１により左右の被処理コイル材Ａ，Ａを同時に均一に加熱処理できるように なっている。

【００１３】 １２は側部ダクト７，７の内面側および中央ダクト１１の両側面側に一定間隔 毎に装着した熱風噴出ノズル群で、２．５ｍの最大コイル径に適合する範囲内で 複数の噴出ノズル１２ａ，１２ｂ……１２ｎが熱風を炉幅と平行方向に流れるよ うに取り付けてある。この噴出ノズル群１２は高風速（３０〜８０ｍ／秒）に対 して圧力抵抗の少ないベルーマウス形状になっている。

【００１４】 この側部ダクト７，７の噴出ノズル１２ａ，１２ｂ……１２ｎと垂直ダクト１ １の両側面側に設けられた噴出ノズル１２ａ，１２ｂ……１２ｎとは相対向する 位置にそれぞれ取り付けられている。 この噴出ノズル群１２の外周ノズル１２ ａ，１２ｎおよび該外周ノズルに近いノズルは図３に示すように、ノズル１２ａ ，１２ｎの先端部に周溝１３を設け、この周溝１３と係合する突部１４を突設し た止栓１５と嵌着できる構造となっている。

【００１５】 このように構成した本考案の使用態様を説明すれば、被処理コイル材Ａはコイ ルトレー１６に載って炉内の加熱室１７内に入り、側部ダクト７，７の噴出ノズ ル１２ａ，１２ｂ……１２ｎから噴出する熱風と垂直ダクト１１のノズル１２ａ ，１２ｂ……１２ｎから出る熱風で被処理コイル材Ａの両側面の巻き付け層に直 接当たり外表面に沿って伝播するものである。

【００１６】 なお、上記実施例においては、被処理コイル材Ａが噴出ノズル群１２と対応す る大きさのもので説明したが、被処理コイル材Ａが小径の場合には、該処理コイ ル材Ａと対応しない外周の噴出ノズル１２ａ，１２ｎ等に止栓１５を嵌着して熱 風を出さなくすることもある。また、垂直ダクト１１は炉幅の中間部の位置に１ 本立設した例で説明したが、必ずしもこれに限ることなく、左右いずれかに寄せ て立設する場合や複数本立設する場合もあるのは勿論のことである。

【００１７】

【考案の効果】

以上のように、本考案の熱処理炉によれば、各ノズル群から噴出される熱風を 最も熱伝達効率のよい被処理コイル材Ａ，Ａの両側面の巻層側の有効伝熱面に直 接当てるので、加熱伝導が早くなり、コイルの上下面の温度差が少なくなり調質 処理が良好となる。さらに、被処理コイル材Ａの両側面に当った熱風は被処理コ イル材Ａの外表面を伝播していくので伝熱が良く、急速昇温が可能となって均熱 時間が従来より短縮でき、炉効率がよくなる。 また、並列された左右の被処理コイル材Ａ，Ａが同時に均一加熱されるので、 生産能率が向上する。

【００１８】 さらに、ノズル群１２は被処理コイル材Ａの径に適合して運転できるから従来 炉のように空間風速がなく、高効率となる。従って、本考案の６コイル装入され る、７０トン炉の均等昇温は従来のマスフロー式の炉に比べると、１チヤージ当 たり４２％の時間短縮ができ、かつ燃料効率は１５％向上した。すなわち、操業 効率は１．７倍の処理能力のアップと省エネルギー効果のアップが実現でき、月 間処理量が同じであれば、炉基数が従来方式の基数３／５でまかなえることがで き設備費を削減できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す簡略縦断正面図である。

【図２】本考案の実施例を示す簡略縦断側面図である。

【図３】ダクトとダクトに嵌着する止栓の側面図であ
る。

【図４】従来の輻射管式熱処理炉の簡略縦断正面図であ
る。

【符号の説明】

３ 循環送風機 ７ 側部ダクト ８ 加熱源 １１ 垂直ダクト １２ 噴出ノズル群 １５ 止 栓 １７ 加熱室

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 加熱室の天井部に循環送風機と加熱源を
   設けると共に、側部ダクトと炉の高さ方向に垂直に立設
   した垂直ダクトとを連結連通し、被処理コイル材を複列
   で加熱処理できる構成とし、かつ側部ダクトと垂直ダク
   トに炉幅と平行方向に熱風を吹き出す噴出ノズル群を設
   けたことを特徴とする熱処理炉。
2. 【請求項２】 側部ダクトに取付けた噴出ノズル群と垂
   直ダクトに取付けた噴出ノズル群を相対向するように配
   設してある請求項１に記載の熱処理炉。
3. 【請求項３】 噴出ノズル群の外周のノズルおよび該外
   周ノズルに近いノズルに止栓を嵌着できるように構成し
   たことを特徴とする請求項１又は２に記載の熱処理炉。