JPH0656816A - ε−カプロラクトンの製造方法 - Google Patents

ε−カプロラクトンの製造方法

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JPH0656816A
JPH0656816A JP4210450A JP21045092A JPH0656816A JP H0656816 A JPH0656816 A JP H0656816A JP 4210450 A JP4210450 A JP 4210450A JP 21045092 A JP21045092 A JP 21045092A JP H0656816 A JPH0656816 A JP H0656816A
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caprolactone
reaction mixture
hydrogen peroxide
acid
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JP4210450A
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English (en)
Inventor
Takeshi Miyauchi
雄 宮内
Takeshi Yamagishi
健 山岸
Hiroshi Ogawa
博史 小川
Jun Tajima
純 田島
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シクロヘキサノンと過酸化水素からε−カプ
ロラクトンを製造する。 【構成】 砒素化合物を触媒として用いてシクロヘキサ
ノンと過酸化水素とを反応させるに際し、水を反応系か
ら反応と同時に除き、反応系を不活性ガス雰囲気下に保
つことにより、ε−カプロラクトンを高収率で製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシクロヘキサノンと過酸
化水素からε−カプロラクトンを製造する改良された方
法に関するものであり、更に詳しくは、ジフェニルアル
シン酸類を触媒として用いてシクロヘキサノンと過酸化
水素からε−カプロラクトンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ケトン類に過酸を作用させるとエ
ステルが生成することは知られているが、過酸は高価で
かつ取扱い上危険性があるため、過酸を過酸化水素で代
替することが望まれている。特開昭44ー10243号
公報にはケトン類を、触媒として有機または無機の砒素
化合物の存在下に過酸化水素で酸化する方法が開示され
ており、好ましい触媒として砒酸塩、亜砒酸塩、酸化砒
素等があげられている。特開昭55ー21481号公報
およびJ.Am.Chem.Soc.,Vol.101,p.6938-46,Nov.1979 に
はポリフェニレンを形成するか、ジビニルアリーレンで
架橋したポリメチレン骨格から砒素化合物がペンダント
している粒状またはビーズ状の多孔性重合体を触媒とす
る過酸化水素による酸化方法が開示されている。また、
特公平1ー35814号公報には少なくとも1種のH
F,SbF5 、SnCl4 などのフリーデルクラフツ触
媒の存在下に環状ケトンまたはアルデヒドと過酸化水素
とを反応させカルボキシル化合物を製造する方法におい
て、その液状反応混合物から水を蒸発により連続的に除
去し反応混合物を実質的に無水の状態に保持するカルボ
キシル化合物の製造法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らの検討に依れば、特公昭44ー10243号公報、
特開昭55ー21481号公報およびJ.Am.Chem.Soc.,V
ol.101,p.6938-46,Nov.1979 に開示された方法は、反応
系に水を多量に含有するので副生物が多く、ε−カプロ
ラクトンの収率が低い。また、特公平1ー35814号
公報に開示された方法は高濃度過酸化水素を用いなけれ
ば収率が低く、また、系内を実質的に無水にしているも
のの、腐食性の強い弗化水素を使用したり、加水分解に
より弗化水素や塩化水素を生成する触媒を用いるため、
高価な耐食性材質による反応装置を用いる必要があり、
工業的に実施するには大きな欠点を有する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記問題点
を解決すべく検討した結果、砒素化合物の中でもジフェ
ニルアルシン酸類を触媒として用い、反応系内の水を共
沸により除去し、反応媒体中の水の濃度を一定量以下の
状態に保ち、かつ不活性ガスの雰囲気下に反応を行なう
ことにより、シクロヘキサノンと過酸化水素との反応を
高い反応速度で行うことができ、高収率でε−カプロラ
クトンが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、触媒として無機また
は有機の砒素化合物を用いてシクロヘキサノンと過酸化
水素からε−カプロラクトンを製造する方法において、
反応と同時に、水を除去することにより反応混合物中の
水の濃度を2重量%以下の状態に保ち、かつ不活性ガス
の雰囲気下に反応を行なうことを特徴とするε−カプロ
ラクトンの製造方法である。本発明において触媒として
用いられる砒素化合物は、下記の一般式(1)で表わさ
れるジフェニルアルシン酸類が好適である。
【化2】 ここでPhはフェニル基を表し、それぞれのフェニル基
の水素は、アルキル基、アルキルオキシ基、水酸基、ス
ルフォン基、ハロゲン原子から選ばれた一種または二種
以上の基または原子で置換されていてもよい。
【0006】一般式(1)におけるフェニル基の水素を
置換しうる具体的な置換基の例としては、アルキル基と
してはメチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基などが、またアルキルオキシ基としてはフェノ
キシ基、メトキシ基、エトキシ基などが、ハロゲン原子
としてはフッ素、塩素、臭素、沃素が挙げられる。
【0007】本発明において、触媒として使用される砒
素化合物のうち好ましいものには、ジフェニルアルシン
酸類、たとえば、ビス(4−クロロフェニル)アルシン
酸、4−クロロフェニル−フェニルアルシン酸、4−メ
トキシフェニル−フェニルアルシン酸、4−メチルフェ
ニル−フェニルアルシン酸およびジフェニルアルシン酸
などがある。使用する触媒は必要に応じて有機または無
機の担体に担持させてもよい。
【0008】触媒の使用量は反応混合物1kg当り0.
05g〜100g、好ましくは0.1g〜75g、さら
に好ましくは0.3〜50gの割合である。本発明にお
いて、触媒は公知の各種の方法で反応系に供給できる。
例えば、固体状態で反応系に供給しても良く、反応原料
または溶媒などにあらかじめ溶解して反応系に供給して
も良い。
【0009】本発明においては、触媒として前記ジフェ
ニルアルシン酸類だけで高活性であるが、他に過酸化水
素の安定性を高めるために、また反応を促進するため
に、さらには生成物の重合、分解を防止するために添加
物を加えることができる。添加物としては過酸化水素の
安定剤、反応促進剤、重合防止剤などがあげられる。添
加物の例としては、たとえば、エチレンジアミン四酢酸
およびその塩、ジエチレントリアミン五酢酸およびその
塩、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミンペ
ンタメチレンホスホン酸およびその塩、各種の燐酸及び
その塩、錫化合物、ヘプタン酸、ステアリン酸、無水フ
タル酸、フタル酸、ニトロソベンゼンなどが例示され
る。これらの添加物は広い範囲で使用できるが、通常は
触媒1g当り0.01〜10g好ましくは0.05〜5
gが用いられる。
【0010】本発明の反応は反応系内に水が多量に存在
すると、反応速度の低下および有機酸を生成する副反応
の増加の原因となる上、生成するε−カプロラクトンが
加水分解し収率の低下を引き起こす。そのために、過酸
化水素の供給とともに反応系内に持ち込まれる水および
反応により生成する水を、反応と同時に除去することが
好ましい。本発明では、反応混合物中の水の濃度を2重
量%以下とし、好ましくは0.5重量%以下、さらには
0.08重量%以下に抑制することが特に好ましい。一
般に上記の水の濃度範囲においては、反応混合物系内で
水が分離相を形成することはない。
【0011】反応系からの水の除去方法としては、水と
未反応シクロヘキサノンなどを含む反応混合物の沸騰が
起きるような温度−圧力条件下にて水を共沸蒸留により
除きながら反応を行なうか、反応混合物の沸騰が起きる
ような温度−圧力条件下にて反応混合物中に不活性なガ
スを吹き込み水蒸気を不活性ガスに同伴させて除きなが
ら反応を行なうか、あるいは、反応混合物の沸騰が起き
ないような温度−圧力条件下にて反応系に不活性なガス
を吹き込み水蒸気を不活性ガスに同伴させて除きながら
反応を行なうか、何れかの方法を選択することができ
る。不活性なガスを吹き込む場合は、吹き込みガス中の
水分はあらかじめ反応条件における飽和水蒸気濃度以下
にしておく。
【0012】本発明で使用される不活性ガスとしては、
窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、水素ガス等が
挙げられるが、窒素ガス、ヘリウムガスが好ましく、窒
素ガスが特に好ましい。また、ε−カプロラクトン、シ
クロヘキサノン等と反応するガスは、収率の低下を引き
起こし望ましくない。例えば、酸素ガスは吹き込みガス
中に1〜2%程度存在するだけで収率の低下を引き起こ
す。そのために、反応系内を不活性ガスで置換すること
が好ましい。
【0013】本発明では、その蒸気が反応混合物ととも
に共沸蒸気を形成することを利用して水の除去を容易に
するため、または、反応系成分の安定化もしくは溶解性
の向上のために、溶媒を加えることができる。溶媒は反
応前および/または反応と同時に、単独で、または、反
応原料もしくは触媒と混合して反応系に供給される。溶
媒には、反応条件下で不活性なものが使用される。この
ような溶媒としては、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、
カルボン酸、カルボン酸エステル、酸アミド、カルボニ
トリル、燐酸エステル等があげられ、これらのうちから
選ばれた一種または二種以上を組み合わせた溶媒が使用
される。
【0014】炭化水素としては炭素数6〜20の脂肪族
または芳香族炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、
シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカ
ン、ウンデカン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼ
ン、キシレン、メシチレンなどがあげられる。ハロゲン
化炭化水素としては炭素数1〜10の脂肪族または芳香
族ハロゲン化炭素で好ましくは塩素および/または弗素
で置換されたハロゲン化炭化水素、例えば、クロロホル
ム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1
−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、
トリクロロエチレン、1,1,1,2−テトラクロロエ
タン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、テトラク
ロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタンなどがあ
げられる。カルボン酸としては炭素数1〜5の脂肪族カ
ルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などがあ
げられる。カルボン酸エステルとしては炭素数2〜12
の脂肪族、脂環式または芳香族エステル、例えば、ギ酸
メチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビ
ニル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸フェニル、プロ
ピオン酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、カプロン酸メチル、ε−カプロ
ラクトン、安息香酸メチル等があげられる。酸アミドと
しては炭素数1〜7の脂肪族または芳香族カルボン酸ア
ミド、例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどがあげられ
る。カルボニトリルとしては炭素数2〜7の脂肪族また
は芳香族ニトリル、例えば、アセトニトリル、アクリロ
ニトリル、ブチロニトリルなどがあげられる。リン酸エ
ステルとしては炭素数3〜21のリン酸エステル、例え
ば、トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェ
ート、トリフェニルフォスフェートなどがあげられる。
【0015】これらのうち、特に反応混合物とともに共
沸蒸気を形成して水の除去を容易にするような溶媒が好
ましく、たとえば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、ノナン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチ
ル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ブチロニトリルなどが
好適に使用される。これらの溶媒を使用する場合、反応
系の温度をその溶媒を加えた反応混合物の反応操作圧力
における共沸沸点、またはそれ以上とすることによっ
て、溶媒が水を伴って共沸し、水の除去を容易にするこ
とができる。
【0016】溶媒の使用割合は広い範囲で選択できる
が、通常、反応混合物に対して0〜90重量%の範囲で
使用される。また、本発明では、原料のシクロヘキサノ
ンが溶媒を兼ねるため、溶媒を用いないで実施すること
も可能である。
【0017】また、過酸化水素の供給速度も反応収率に
大きく影響する。つまり、過酸化水素の供給速度が過大
であると、触媒の関与しない副反応が相対的に増大し、
有機過酸化物が生成する。生成した有機過酸化物は反応
系内で有機酸類に転化し、この有機酸類が有機過酸化物
の生成をさらに促進する。従って、反応収率を高くする
ためには、ε−カプロラクトンの生成速度が有機過酸化
物の生成速度を大きく上回る様に、反応系内に存在する
触媒当たりの過酸化水素の供給速度を適切に保つ必要が
ある。
【0018】触媒と過酸化水素との適切な量比は次の範
囲である。過酸化水素の供給速度として、触媒モル当
り、600モル/hr以下、好ましくは500モル/h
r以下、更に好ましくは450モル/hr以下に保つこ
とが、高収率を保つ上で必要である。
【0019】本発明では、使用するシクロヘキサノンと
過酸化水素の割合は、反応温度や使用溶媒等により広い
範囲で選択できるが、通常過酸化水素のモル数はシクロ
ヘキサノンのモル数の1.5倍を越えない。
【0020】過酸化水素は、通常、水溶液として入手さ
れるが、そのまま水溶液としてでも、また、有機溶媒と
混合された溶液としてでも使用できる。有機溶媒を使用
する場合は、前記した溶媒が使用される。使用する過酸
化水素溶液の濃度は広い範囲で選択できるが、一般的に
は過酸化水素溶液の過酸化水素濃度は0.5〜90重量
%が好ましく、3〜80重量%がさらに好ましい。この
範囲未満の濃度では反応速度が低く、この範囲を越える
濃度では操作性、安全性面で問題がある。
【0021】本発明は、反応温度が通常150℃以下、
好ましくは50〜130℃、特に好ましくは70〜12
0℃において実施される。反応圧力は反応混合物の蒸気
圧により異なるが、1×103 Pa〜3×105Paの
範囲から選択できる。
【0022】本発明は1個の反応槽でも連続する複数の
反応槽でも、また連続的にも、非連続的にも実施でき
る。更に管式の反応器でも実施することができる。しか
し、ε−カプロラクトンを工業的に高い収率で得るため
には、1個の反応槽を用いる流通連続反応を行なうより
も、2個以上の連続した反応槽を用いる流通連続反応
が、反応の進行とともに副生する有機酸類の蓄積に伴う
反応の選択率の低下、ε−カプロラクトンの収率の低下
を引き起こすことがなく、好適である。すなわち、2個
以上の連続した反応槽を用いる流通連続法は、シクロヘ
キサノンの転化率が低くε−カプロラクトンの反応混合
物中の濃度が低いゾーンを、シクロヘキサノンの転化率
が高くε−カプロラクトンの反応混合物中の濃度が高い
ゾーンから分離することによって、シクロヘキサノンの
転化率の低いゾーンにおける反応の選択率を高くするこ
とができる。
【0023】その際、各反応槽のシクロヘキサノンの転
化率を、換言すれば、ε−カプロラクトンの反応混合物
の濃度を制御することにより、ε−カプロラクトンの収
率が向上する。すなわち、第一段の反応槽においてはε
−カプロラクトンの反応混合物中の濃度を15重量%以
下、好ましくは12重量%以下に、第二段以降の反応槽
においてはε−カプロラクトンの反応混合物中の濃度を
14重量%以下、好ましくは12%重量以下とする。
【0024】その場合の各反応槽の操作条件は、前記し
た操作条件から選ばれる。具体的には、前記した操作条
件において、各反応槽における反応混合物の滞留時間を
30分〜6時間とする。さらに、各反応槽での過酸化水
素の時間当たり供給量を、各反応槽に滞留している触媒
モル当り600モル/hr以下、好ましくは500モル
/hr以下、更に好ましくは450モル/hr以下と
し、かつ、第一段の反応槽においてはシクロヘキサノン
の時間当たり供給量の16モル%以下、好ましくは13
モル%以下に、第二段以降の反応槽においては未反応シ
クロヘキサノンの時間当たり供給量の15モル%以下、
好ましくは13モル%以下とすることにより、ε−カプ
ロラクトンの反応混合物中の濃度制御が達成される。各
反応槽の操作条件は前記した操作条件内であれば、同一
でも異なっていてもよい。
【0025】さらに本発明では、反応を完結させるため
に、および、反応系からの水の除去を完全にすることに
より生成ε−カプロラクトンを安定化させるために、反
応槽の後段に熟成槽を付設し、熟成を行うことが好まし
い。熟成槽においては過酸化水素溶液の供給は行わな
い。熟成槽における反応混合物の滞留時間は5分〜60
分が好ましく、20分〜40分がさらに好ましい。熟成
槽のその他の操作条件は前記した反応槽の操作条件が適
用され、前記した反応系からの水の除去方法が適用され
る。
【0026】本発明における反応器の材質には、ステン
レス鋼などの一般的な化学装置用材料が好適に使用さ
れ、特にSUS304、SUS304L、SUS31
6、SUS316L、SUS317などが好適に使用さ
れる。
【0027】
【実施例】以下に本発明のε−カプロラクトンの製造方
法を実施例を用いて詳細に説明するが、これは単に本発
明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定す
るものではない。
【0028】実施例1 撹拌機、冷却器、水分離器とを取り付けた反応槽にシク
ロヘキサノン130g、ジフェニルアルシン酸0.04
gを入れ、撹拌下にて均一に溶解し、110℃まで昇温
した。続いて60%過酸化水素水を5時間で15.0g
供給した。この間、反応混合物中に大気圧下、窒素ガス
を継続的に吹き込み、水を除去するとともに反応系を窒
素雰囲気下とした。過酸化水素水の供給速度は触媒モル
当り、346モル/hrであった。反応終了後、反応混
合物中の水分は600ppmであった。また、高速液体
クロマトグラフィで分析したところ、27.5gのε−
カプロラクトンが生成していた。過酸化水素基準の収率
は91%であった。
【0029】実施例2 実施例1と同様な反応槽にシクロヘキサノン130g、
4−クロロフェニル−フェニルアルシン酸0.04gを
入れ、撹拌下にて均一に溶解し、90℃まで昇温した。
続いて60%過酸化水素水を5時間で15.0g供給し
た。この間、反応混合物中に大気圧下、窒素ガスを吹き
込み水を除去するとともに反応系を窒素雰囲気下とし
た。過酸化水素水の供給速度は触媒モル当り、395モ
ル/hrであった。反応終了後、反応混合物中の水分は
650ppmであった。また、高速液体クロマトグラフ
ィで分析したところ、28.1gのε-カプロラクトン
が生成していた。過酸化水素基準の収率は93%であっ
た。
【0030】実施例3 実施例1と同様な反応槽にシクロヘキサノン130g、
4−メトキシフェニル−フェニルアルシン酸0.06g
を入れ、撹拌下にて均一に溶解し、120℃まで昇温し
た。続いて35%過酸化水素水を5時間で25.7g供
給した。この間、反応混合物中に大気圧下、窒素ガスを
吹き込み水を除去するとともに反応系を窒素雰囲気下と
した。過酸化水素の供給速度は触媒モル当り、258モ
ル/hrであった。反応終了後、反応混合物中の水分は
450ppmであった。また、高速液体クロマトグラフ
ィで分析したところ、27.8gのε−カプロラクトン
が生成していた。過酸化水素基準の収率は92%であっ
た。
【0031】比較例1 触媒として三酸化二砒素を使用した以外は実施例1と同
様の条件で反応を行った。反応終了後、高速液体クロマ
トグラフィで分析したところ、3.7gのε−カプロラ
クトンが生成していた。過酸化水素基準の収率は12%
であった。
【0032】比較例2 触媒としてカコジル酸を使用した以外は実施例1と同様
の条件で反応を行った。反応終了後、高速液体クロマト
グラフィで分析したところ、6.0gのε−カプロラク
トンが生成していた。過酸化水素基準の収率は20%で
あった。
【0033】比較例3 反応混合物中への吹き込みガスとして空気を使用した以
外は実施例1と同様の条件で反応を行った。反応終了
後、高速液体クロマトグラフィで分析したところ、1
6.6gのε−カプロラクトンが生成していた。過酸化
水素基準の収率は55%であった。
【0034】比較例4 60%過酸化水素水を1時間で15.0g滴下する以外
は実施例1と同様の条件で反応を行った。過酸化水素の
供給速度は触媒モル当り、1730モル/hrであっ
た。反応終了後、反応混合物中の水分は1000ppm
であった。また、高速液体クロマトグラフィで分析した
ところ、18.4gのε-カプロラクトンが生成してい
た。過酸化水素基準の収率は61%であった。
【0035】実施例4 実施例1と同様な反応槽二槽と熟成槽とを直列につな
ぎ、第一槽の反応混合物をオーバーフローにより第二槽
に移送し、第二槽の反応混合物をオーバーフローにより
熟成槽に移送する反応装置をセットした。第一槽には連
続的にシクロヘキサノン38g/hr、ジフェニルアル
シン酸0.01g/hrおよび60%過酸化水素水2.
2g/hrとを、第二槽には60%過酸化水素水2.2
g/hrを連続的に供給した。ジフェニルアルシン酸は
シクロヘキサノンに溶解して供給した。反応は各槽とも
大気圧下、110℃で行い、反応混合物の滞留時間を各
2.5時間とした。熟成は大気圧下、110℃で行い、
反応混合物の滞留時間を30分とした。各反応槽および
熟成槽の反応混合物中には窒素ガスを吹き込み水を除去
するとともにそれぞれの系を窒素雰囲気下とした。各反
応槽での過酸化水素の供給速度は反応槽に滞留する触媒
モル当り、407モル/hrであった。熟成槽から流出
した反応混合物中の水分は700ppmであった。ま
た、この反応混合物を高速液体クロマトグラフィで分析
したところ、平均7.6g/hrのε−カプロラクトン
が生成していた。全過酸化水素基準の収率は86%であ
った。なお、第一槽から流出した反応混合物中のε−カ
プロラクトン濃度は10.7重量%、第二槽から流出し
た反応混合物中のε−カプロラクトン濃度は20.0重
量%(第二槽での反応混合物中のε−カプロラクトン濃
度の上昇分は9.3重量%)であった。
【0036】実施例5 実施例1と同様な反応槽三槽と熟成槽とを直列につな
ぎ、第一槽の反応混合物をオーバーフローにより第二槽
に、第二槽の反応混合物をオーバーフローによりに移送
し、第三槽の反応混合物をオーバーフローにより熟成槽
に移送する反応装置をセットした。第一槽には連続的に
シクロヘキサノン38g/hr、ジフェニルアルシン酸
0.01g/hrおよび60%過酸化水素水1.47g
/hrを、第二槽と第三槽にはそれぞれ60%過酸化水
素水1.47g/hrを連続的に供給した。ジフェニル
アルシン酸はシクロヘキサノンに溶解して供給した。反
応は各槽とも大気圧下、110℃で行い、反応混合物の
滞留時間を各1.67時間とした。熟成は大気圧下、1
10℃で行い、反応混合物の滞留時間は40分とした。
各反応槽および熟成槽の反応混合物中には窒素ガスを吹
き込み水を除去するとともにそれぞれの系を窒素雰囲気
下とした。各反応槽での過酸化水素の供給速度は反応槽
に滞留する触媒モル当り、407モル/hrであった。
熟成槽から流出した反応混合物中の水分は650ppm
であった。また、この反応混合物を高速液体クロマトグ
ラフィで分析したところ、平均8.0g/hrのε−カ
プロラクトンが生成していた。全過酸化水素基準の収率
は90%であった。なお、第一槽から流出した反応混合
物中のε−カプロラクトン濃度は7.1重量%、第二槽
から流出した反応混合物中のε−カプロラクトン濃度は
15.0重量%(第二槽での反応混合物中のε−カプロ
ラクトン濃度の上昇分は7.9重量%)、第三槽から流
出した反応混合物中のε−カプロラクトン濃度は20.
4重量%(第三槽での反応混合物中のε−カプロラクト
ン濃度の上昇分は5.4重量%)であった。
【0037】比較例5 実施例1と同様な反応槽一個と熟成槽とを直列につな
ぎ、第一槽の反応混合物をオーバーフローにより熟成槽
に移送する反応装置をセットした。反応槽には連続的に
シクロヘキサノン38g/hr、ジフェニルアルシン酸
0.01g/hrおよび60%過酸化水素水4.4g/
hrを連続的に供給した。ジフェニルアルシン酸はシク
ロヘキサノンに溶解して供給した。反応は大気圧下、1
10℃で行い、反応混合物の滞留時間を各5時間とし
た。熟成は大気圧下、110℃で行い、反応混合物の滞
留時間を30分とした。反応槽および熟成槽の反応混合
物中には窒素ガスを吹き込み水を除去するとともにそれ
ぞれの系を窒素雰囲気下とした。反応槽での過酸化水素
の供給速度は反応槽に滞留する触媒モル当り、407モ
ル/hrであった。熟成槽から流出した反応混合物中の
水分は500ppmであった。また、高速液体クロマト
グラフィで分析したところ、6.65g/hrのε−カ
プロラクトンが生成していた。過酸化水素基準の収率は
75%であった。
【0038】実施例6 実施例1と同様な反応槽にシクロヘキサノン65g、ト
ルエン65g、ジフェニルアルシン酸0.04gを入
れ、撹拌下にて均一に溶解し、110℃まで昇温した。
続いて60%過酸化水素水15.0gを5時間で供給し
た。この間、反応混合物中に大気圧下、窒素ガスを継続
的に吹き込み、水を除去するとともに反応系を窒素雰囲
気下とした。過酸化水素水の供給速度は触媒モル当り、
346モル/hrであった。反応終了後、反応混合物中
の水分は400ppmであった。また、高速液体クロマ
トグラフィで分析したところ、27.4gのε−カプロ
ラクトンが生成していた。過酸化水素基準の収率は91
%であった。
【0039】実施例7 実施例1と同様な反応槽にシクロヘキサノン130g、
ジフェニルアルシン酸0.04gを入れ、撹拌下にて均
一に溶解し、110℃まで昇温した。続いて60%過酸
化水素水15.0gを5時間で供給した。この間、反応
系を窒素ガス雰囲気下、圧力を8×104 Paに保ち、
共沸蒸留により水を除去した。過酸化水素水の供給速度
は触媒モル当り、346モル/hrであった。反応終了
後、反応混合物中の水分は450ppmであった。ま
た、高速液体クロマトグラフィで分析したところ、2
6.8gのε−カプロラクトンが生成していた。過酸化
水素基準の収率は89%であった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、ε−カプロラクトンを
高収率で得ることができる。また、本発明は高価で取扱
い上危険性のある過酸や高価な耐食性材質による反応装
置を必要としないので、安全で工業的に有利にε−カプ
ロラクトンの製造ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田島 純 大阪府豊中市神洲町2丁目12番地 三菱瓦 斯化学株式会社大阪工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒として無機または有機の砒素化合物
    を用いてシクロヘキサノンと過酸化水素からε−カプロ
    ラクトンを製造する方法において、反応と同時に、水を
    除去することにより反応混合物中の水の濃度を2重量%
    以下の状態に保ち、かつ不活性ガスの雰囲気下に反応を
    行なうことを特徴とするε−カプロラクトンの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 砒素化合物が下記の一般式(1)で表わ
    されるジフェニルアルシン酸類を用いることを特徴とす
    る請求項1記載の製造方法。 【化1】 ここでPhはフェニル基を表し、それぞれのフェニル基
    の水素は、アルキル基、アルキルオキシ基、水酸基、ス
    ルフォン基、ハロゲン原子から選ばれた一種または二種
    以上の基または原子で置換されていてもよい。
  3. 【請求項3】 ジフェニルアルシン酸類が、ビス(4−
    クロロフェニル)アルシン酸、4−クロロフェニル−フ
    ェニルアルシン酸、4−メトキシフェニル−フェニルア
    ルシン酸、4−メチルフェニル−フェニルアルシン酸お
    よびジフェニルアルシン酸から選ばれた一種であること
    を特徴とする請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 2個以上の連続する反応槽を用い連続的
    に反応を行なうことを特徴とする請求項1記載の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 第一段の反応槽においては反応混合物中
    における生成ε−カプロラクトンの濃度を15重量%以
    下とし、第2段以降の反応槽においては反応混合物中に
    おける生成ε−カプロラクトンの濃度の上昇分を14重
    量%以下とすることを特徴とする請求項4記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 過酸化水素の供給速度を触媒モル当り、
    600モル/hr以下に保持しながら反応を行なうこと
    を特徴とする請求項1記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 反応混合物の共沸蒸留により水を除去す
    ることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 反応混合物への不活性ガスの吹き込みに
    より水を除去することを特徴とする請求項1記載の製造
    方法。
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