JPH0656620A - 印象材用硬化剤 - Google Patents

印象材用硬化剤

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JPH0656620A
JPH0656620A JP4206450A JP20645092A JPH0656620A JP H0656620 A JPH0656620 A JP H0656620A JP 4206450 A JP4206450 A JP 4206450A JP 20645092 A JP20645092 A JP 20645092A JP H0656620 A JPH0656620 A JP H0656620A
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靖生 赤松
Shoichi Narui
昭一 鳴井
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 硫酸カルシウム及び/又はケイ酸鉛100重
量部、オクタン、ベンジルアルコール、流動パラフィン
等の難水溶性液状化合物10〜200重量部、陰イオ
ン、陽イオン、非イオンの各種界面活性剤0.1〜10
重量部及びエロジル972やレオロシールMT−10等
の疎水性微粒子0.1〜10重量部を含有してなること
を特徴とする印象材用硬化剤。 【効果】 本発明の印象材用硬化剤は、アルギン酸塩を
主成分とする基材と練和し、歯牙その他型取りに使用さ
れる。本発明の硬化剤は、界面活性剤と疎水性微粒子の
両方を添加することにより、粉成分と液成分がペースト
の中で分離するという固液分離が生じなく、均一な組成
が保たれる。しかも本発明の硬化剤は流動性が高い。そ
の結果、容器内からスムースにペーストが吐出され、容
器内面にペーストが付着しにくく、容器が透明であれ
ば、ペーストの消費量を明瞭に確認することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は歯牙その他の型取りに使
用される印象材を硬化させるために用いる硬化剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】アルジネート印象材はアルギン酸塩を基
材とし、これに硫酸カルシウム等の硬化剤等を組み合わ
せることによって、ゲル状硬化体が得られることを利用
して歯牙等の型取りに使用されている。
【0003】アルジネート印象材は、その包装の状態か
ら粉末タイプ及びペーストタイプの2種類に分類され
る。
【0004】ペーストタイプはアルギン酸塩等を予め水
と練和してペースト状にしたもので、このペーストの基
材に硫酸カルシウム等の硬化剤をペーストの状態で添加
して実用に供される。
【0005】従来のペーストタイプのアルジネート印象
材の硬化剤に関しては、2価金属塩、反応遅延剤及び流
動性可塑剤からなるペースト状の組成物(特開昭58−
35105号公報)あるいは石膏粉末と界面活性剤また
はグリコール類とからなる硬化剤(歯科材料器械第2巻
第4号435〜445頁(1983年))あるいは石膏
及びノニオン界面活性剤からなる硬化剤(特開昭59−
101410号公報)等が知られている。
【0006】しかし、上記ペーストは硬化体の永久歪の
低下、ゲル化時間の遅延、水分吸収によるゲル化時間の
変化等の問題がある。そこで、上記問題を解決すべく、
硫酸カルシウム等の硬化剤に難水溶性液状化合物と界面
活性剤を共存させたペースト状硬化剤がすでに提案され
た(特開昭62−265210号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記ペースト状硬化剤
は、練和機でアルギン酸塩を主成分とする基材ペースト
と練和して使用される。その際、硬化剤は流動性を低く
すると、容器から練和機への流動がスムースにいかず、
容器内にペーストが残り、しかも容器の壁面にペースト
が付着して残量が確認しにくいという問題があった。一
方、この流動性を高めるためにペーストの粘度を下げる
と、ペースト内で固体成分と液体成分が分離するという
新たな問題が生じた。このように、固液分離を生じな
く、しかも流動性の高いペースト状硬化剤が望まれてい
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる問題
点を解決すべく鋭意研究した結果、硫酸カルシウム等の
硬化剤と難水溶性液状化合物と界面活性剤の系にさらに
疎水性微粒子を共存させることにより、上記問題点を克
服した良好なペースト状硬化剤が得られることを見いだ
し、本発明に至った。
【0009】すなわち、本発明は硫酸カルシウム及び/
又はケイ酸鉛100重量部、難水溶性液状化合物10〜
200重量部、界面活性剤0.1〜10重量部、及び疎
水性微粒子0.1〜10重量部からなる印象材用硬化剤
である。
【0010】本発明に用いられる硫酸カルシウム及び/
又はケイ酸鉛は従来の印象材に用いられる公知のものが
何ら制限なく使用される。特に好適に使用されるものを
具体的に例示すると、硫酸カルシウム2水塩、硫酸カル
シウム半水塩、硫酸カルシウム無水塩等が使用される。
また、硫酸カルシウムと併用してあるいは単独でケイ酸
鉛を使用することもできる。
【0011】本発明に用いられる難水溶性液状化合物
は、硬化剤をペースト化するための溶剤であり、20℃
の水100gに対する溶解度が5g以下の液体であれ
ば、どのような化合物でもよい。該難水溶性液状化合物
としては、炭化水素化合物、脂肪族アルコール、環式ア
ルコール、脂肪酸、その塩またはそのエステル、疎水性
重合体等が挙げられ、特に、炭化水素化合物が好適に使
用される。この難水溶性液状化合物としては、揮発を抑
制する理由で炭素数が6以上のものであることが好まし
い。
【0012】上記炭化水素化合物としては、鎖式化合
物、環式化合物のいずれも使用できる。本発明において
好適に使用し得る炭化水素化合物を具体的に例示すると
次の通りである。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカ
ン、テトラデカン、ペンタデカン、ケロシン、2,7−
ジメチルオクタン、1−オクテン等の脂肪族鎖状炭化水
素化合物;シクロヘプタン、シクロノナン、流動パラフ
ィン等の脂環式炭化水素化合物等が挙げられる。
【0013】脂肪族アルコールとしては、例えば1−ヘ
キサノール、1ーオクタノール等の飽和脂肪族アルコー
ル;シトロネロール、オレイルアルコール等の不飽和脂
肪族アルコールが挙げられる。環式アルコールとして
は、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール等が例示さ
れる。
【0014】脂肪酸としては、ヘキサン酸、オクタン酸
等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂
肪酸が挙げられる。また、脂肪酸の塩としては、オクチ
ル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等が挙げられる。さらに脂肪
酸エステルとしては、オクタン酸エチル、フタル酸ジブ
チル、オレイン酸グリセリド;オリーブ油、ゴマ油等の
植物油;肝油、鯨油等の動物油等が例示される。
【0015】疎水性重合体としては、ポリシロキサン等
が挙げられる。具体的にはポリジメチルシロキサン、ポ
リメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジエ
ンシロキサン、ポリフェニルハイドロジエンシロキサン
等が挙げられる。上記の難水溶性液状化合物の使用量
は、均一なペーストを得、流動性が良好でありかつ基材
との練和性を良好に保つために、硫酸カルシウム及び/
又はケイ酸鉛100重量部に対して10〜200重量部
であり、さらに50〜150重量部であることが好まし
い。
【0016】本発明の硬化剤に用いられる界面活性剤
は、公知のものが何ら制限されることなく使用が可能で
あり、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性
界面活性剤及び非イオン界面活性剤のいずれも使用でき
る。該界面活性剤を具体的に例示すると、陰イオン界面
活性剤として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等が挙
げられる。陽イオン界面活性剤としては、アルキルアミ
ン塩、四級アンモニウム塩等が、また両性界面活性剤と
しては、アミノカルボン酸塩等が挙げられる。また、非
イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロ
ックポリマ−、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピ
レン脂肪酸エステル、ショ糖エステル、ポリオキシジエ
チレンアルキルアミン、ポリシロキサン類とポリオキシ
エチレン類とのブロックポリマー等が挙げられる。
【0017】上記の界面活性剤の使用量は、硫酸カルシ
ウム及び/又はケイ酸鉛100重量部に対して0.1〜
10重量部であり、さらに0.5〜5重量部であること
が好ましい。
【0018】本発明で使用される疎水性微粒子は、一次
粒子径が0.1μ以下の粉体である。
【0019】具体的には、レオロシール(徳山曹達
(株)製)、エロジル(日本エアロジル(株)製)等の
商品に代表される乾式シリカ、乾式アルミナ、乾式チタ
ニア等を疎水化処理したものである。
【0020】疎水化処理には、公知の方法が限定されず
に採用される。具体的には、メチルトリクロルシラン、
メチルトリメトキシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシランなど公知のシランカップ
リング剤を用い、通常の方法にて疎水化処理を行う。
【0021】疎水性微粒子の添加量は、硫酸カルシウム
及び/またはケイ酸鉛100重量部に対して0.1〜1
0重量部であり、さらに0.3〜1.0重量部であるこ
とが好ましい。
【0022】本発明の印象材の硬化材には上記成分以外
に従来公知の添加物を加えることもできる。具体的に
は、ケイソウ土等の充填材、酸化亜鉛、酸化マグネシウ
ム、フッ化チタンカリウム、ケイフッ化カリウム等の無
機化合物が挙げられる。
【0023】石膏との分離性を高めるために、アミノ
酸、その塩、またはアミノ酸/ホルムアルデヒド縮合体
等のアミノ酸化合物を添加してもよい。
【0024】上記に説明した本発明の印象材の硬化剤の
各成分を混合する方法は何ら制限なく、どの様な順序で
混合してもよい。
【0025】上記した印象材用硬化剤との練和に用いら
れる基材として、本発明において好適に用いられるもの
の組成を具体的に示せば、次のとおりである。
【0026】(A)アルギン酸塩 100重量部、 (B)硬化遅延剤 3〜30重量部、および (C)水 1000〜2000重量部 上記のアルギン酸塩としては、従来の印象材で公知のア
ルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリウム等が何ら制限
なく採用される。また、上記の硬化遅延剤としては、ア
ルカリ金属のリン酸塩、蓚酸塩、炭酸塩等が用いられ
る。また、上記主成分以外に、不飽和カルボン酸重合体
を5〜150重量部配合してもよい。
【0027】
【発明の効果】本発明の印象材用硬化剤は、アルギン酸
塩を主成分とする基材と練和し、歯牙その他型取りに使
用される。
【0028】本発明の硬化剤は、界面活性剤と疎水性微
粒子の両方を添加することにより、粉成分と液成分がペ
ーストの中で分離するという固液分離が生じなく、均一
な組成が保たれる。しかも本発明の硬化剤は流動性が高
い。その結果、容器内からスムースにペーストが吐出さ
れ、容器内面にペーストが付着しにくく、容器が透明で
あれば、ペーストの消費量を明瞭に確認することができ
る。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるもの
ではない。なお、硬化剤の流動性と固液分離性は下記の
方法に従って評価した。
【0030】(1)流動性 硬化材6gを取り、95度に立てたアクリル製の平板上
にのせ、10秒間硬化材が流動する距離(以下、流動距
離と称する)を測定した。測定温度は23℃とした。距
離が長い程、流動性が高い事を示す。
【0031】(2)固液分離 硬化剤6gを直径10mm、深さ25mmのポリエチレ
ン製の容器に取り、37℃に1ヶ月間保存し、硬化剤表
面に液体成分が分離して浮き上がってくるかどうかを肉
眼観察した。
【0032】実施例1 硫酸カルシウム2水塩100重量部に表1に示す所定量
の難水溶性液状化合物、界面活性剤、及び疎水性微粒子
を添加し、混合を十分に行った。表1中のアルミニウム
オキサイドC(日本エアロジル社製)とチタニムジオキ
サイドP25(日本エアロジル社製)は一次粒子平均径
がそれぞれ約20nm、約30nmで、通法によりメチ
ルトリメトキシシランで疎水化処理を施した。エロジル
R972(日本エアロジル社製)、レオロシールMT−
10(徳山曹達社製)は、それぞれ一次平均粒子径が1
6nm、15nmのシリカで、既に疎水化処理が施され
たものである。また、表1中のNO.10は硫酸カルシウム
2水塩100重量部の代わりにケイ酸鉛100重量部を
用いた。
【0033】その硬化剤の流動性と固液分離性を調べ
た。その結果を合わせて表1に示した。全て高い流動性
があり、固液分離は生じなかった。
【0034】
【表1】
【0035】実施例2 表2に示す組成の硬化剤を作製し、硬化材の性状を観察
した。その結果も表2に合わせて示した。全て高い流動
性があり、固液分離は生じなかった。
【0036】
【表2】
【0037】比較例1 実施例2のNO.1において疎水性微粒子であるレオロシー
ルMT−10を除いた硬化剤を調製した。この硬化剤
は、固液分離が生じ、さらに流動距離が1mmとなり、
流動性が劣ることがわかった。
【0038】比較例2 実施例2のNo.1において界面活性剤であるデカグリセリ
ルトリオレートを除いた硬化剤を調製した。この硬化剤
は固液分離が生じた。
【0039】比較例3 実施例1のNo.4においてレオロシールMT−10に代え
てレオロシールQSー102(表面未処理シリカ)を同
量用いた以外は同様にして硬化剤を調製した。この硬化
剤は固液分離を生じ、流動距離は3mmで流動性も余り
改善されなかった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸カルシウム及び/又はケイ酸鉛10
    0重量部、難水溶性液状化合物10〜200重量部、界
    面活性剤0.1〜10重量部及び疎水性微粒子0.1〜
    10重量部を含有してなることを特徴とする印象材用硬
    化剤。
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