JPH0656517A - けい酸カルシウム焼結体およびその製造方法 - Google Patents

けい酸カルシウム焼結体およびその製造方法

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JPH0656517A
JPH0656517A JP21263792A JP21263792A JPH0656517A JP H0656517 A JPH0656517 A JP H0656517A JP 21263792 A JP21263792 A JP 21263792A JP 21263792 A JP21263792 A JP 21263792A JP H0656517 A JPH0656517 A JP H0656517A
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JP21263792A
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Masahiko Shimada
昌彦 島田
Tadashi Endo
忠 遠藤
Makoto Sakamaki
誠 酒巻
Chiharu Wada
千春 和田
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Onoda Cement Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、機械的強度に優れたけい酸カル
シウム焼結体及びその製造方法に関する。 【構成】 けい酸カルシウム焼結体は、βウォラストナ
イトと単斜晶ジルコニアからなり、単斜晶ジルコニアが
1〜40重量%含まれていることを特徴とし、またその
製法は、トバモライト、ゾノトライト、βウォラストナ
イトの中の少なくとも一種からなるけい酸カルシウム結
晶と単斜晶ジルコニアからなる原料混合物で、焼成後の
焼結体に単斜晶ジルコニアが1〜40重量%含まれるよ
うに成形体を形成し、これを1050〜1130℃で焼
成することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、けい酸カルシウム焼
結体及びその製造方法に関し、特に、曲げ強度などの機
械的強度にすぐれたけい酸カルシウム焼結体およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】けい酸カルシウム材料は、比較的低価格
で不燃性、耐火性、保温性、加工性などに優れているた
め、建材、その他の工業材料として広く用いられてい
る。しかし、けい酸カルシウム材料は、いまだ建材以外
の分野で、高度利用されている現状ではない。
【0003】即ち、従来のけい酸カルシウム材料の主な
用途は、けい酸カルシウム板、パイル、耐火被覆材、保
温材などである。これを高度利用可能な付加価値のさら
に高いけい酸カルシウム材料に改善するための努力が現
在なされているが、いまだ十分な状態ではない。
【0004】こうした中で、本願の発明者は、けい酸カ
ルシウム系材料にカサ比重をもたせ、これを高温で焼成
することにより高強度焼結体とし、その加工性を保持し
たままで耐熱性、耐圧強度を大幅に改善させることに成
功し、その結果この焼結体を、熱間成形用型に適用出来
るなど、従来では考えられなかったけい酸カルシウム焼
結体の高度利用のための技術を開発し、これを特開平1
−164767号としてすでに提案した。
【0005】また、けい酸カルシウム焼結体は、確かに
断熱性には優れているが、耐熱衝撃性が劣り、これが改
善されるとその用途が一段と開けることが期待されてい
る。このため特開昭62−143855号は、けい酸カ
ルシウム系材料の耐熱衝撃性の改善を提案している。ま
た別に公開されたものには、ジルコニアを含むけい酸カ
ルシウム焼結体が開示されているが、ここで用いるジル
コニアの特定は焼成温度との関係については必ずしも明
らかにされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、けい酸カ
ルシウム焼結体およびその製造方法であって、曲げ強度
などの機械的性質の改善されたけい酸カルシウム焼結体
を得ようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、βウォラス
トナイトと単斜晶ジルコニアからなり、単斜晶ジルコニ
アが1〜40重量%含まれていることを特徴とするけい
酸カルシウム焼結体(請求項1)、トバモライト、ゾノ
トライト、βウォラストナイトの中の少なくとも一種か
らなるけい酸カルシウム結晶と単斜晶ジルコニアからな
る原料混合物で、焼成後の焼結体に単斜晶ジルコニアが
1〜40重量%含まれるように成形体を成形し、これを
1050〜1130℃で焼成することを特徴とするけい
酸カルシウム焼結体の製造方法(請求項2)、βウォラ
ストナイトと正方晶ジルコニアからなり、正方晶ジルコ
ニアが1〜65重量%含まれていることを特徴とするけ
い酸カルシウム焼結体(請求項3)、トバモライト、ゾ
ノトライト、βウォラストナイトの中の少なくとも一種
からなるけい酸カルシウム結晶と正方晶ジルコニアから
なる原料混合物で、焼成後の焼結体に正方晶ジルコニア
が1〜65重量%含まれるように成形体を成形し、これ
を1130℃を超え1180℃以下で焼成することを特
徴とするけい酸カルシウム焼結体の製造方法(請求項
4)、αウォラストナイトと正方晶ジルコニアからな
り、正方晶ジルコニアが1〜65重量%含まれているこ
とを特徴とするけい酸カルシウム焼結体(請求項5)お
よびトバモライト、ゾノトライト、ウォラストナイトの
中の少なくとも一種からなるけい酸カルシウム結晶と、
正方晶ジルコニアからなる原料混合物で、焼成後の焼結
体に正方晶ジルコニアが1〜65重量%含まれるように
成形体を成形し、これを1180℃を超え1400℃以
下で焼成することを特徴とするけい酸カルシウム焼結体
の製造方法(請求項6)である。以下に、これらの発明
を説明する。
【0008】請求項1の発明はβウォラストナイトと単
斜晶ジルコニアからなり、単斜晶ジルコニアが1〜40
重量%含まれていることを特徴とするけい酸カルシウム
焼結体である。この発明の焼結体はβウォラストナイト
と単斜晶ジルコニアからなりその他のものは含まない。
両者の比率は、単斜晶ジルコニアが1〜40重量%で、
他はβウォラストナイトでその比率は99〜60重量%
である。
【0009】この発明では、単斜晶ジルコニアがβウォ
ラストナイトの粒子間に存在することにより、焼結体の
焼成時にβウォラストナイト結晶の粒成長が抑制されて
結晶組織が微細化されたものとなり、結果的に緻密で高
強度のけい酸カルシウム焼結体となっている。
【0010】一般に、同一物質の焼結体では、焼結体の
比重が高くなれば高強度となり、また、同一比重の焼結
体では、焼結体の結晶粒子が小さく均一である方が高強
度のものが得られる。反対に、焼結反応で結晶が成長し
て大きな結晶粒子が出来ると、粒子の間隙を形成する粒
界き裂や空孔が大きくなり、機械的強度が低下する。単
斜晶ジルコニアがβウォラストナイトの粒子間に存在す
ることで、焼成時にβウォラストナイト結晶の粒成長を
抑制して結晶組織を微細化することができる。
【0011】この発明でβウォラストナイトは、トバモ
ライト、ゾノトライトが焼成時転移したものでもよい
が、初めからβウォラストナイトであったものでもよ
い。ジルコニアは単斜晶ジルコニアとする。
【0012】焼結体中での単斜晶ジルコニアの比率が1
重量%未満ではβウォラストナイト結晶の微細化が十分
でなく、またジルコニアが40重量%をこえると焼結体
の緻密化が十分でなく好ましくない。
【0013】請求項2の発明は、請求項1の発明の焼結
体の製造方法であり、トバモライト、ゾノトライト、β
ウォラストナイトの中の少なくとも一種からなるけい酸
カルシウム結晶と単斜晶ジルコニアからなる原料混合物
で、焼成後の焼結体に単斜晶ジルコニアが1〜40重量
%含まれるように成形体を成形し、これを1050〜1
130℃で焼成するものである。
【0014】ここでのけい酸カルシウム結晶は天然のも
のでもよいが、公知の方法で製造したものでもよい。例
えば、けい酸原料と石灰原料に水を加え、オ−トクレ−
ブ中で水熱合成することにより製造することができる。
ここでのけい酸原料は、珪石、珪砂、シリカフラワ−、
珪藻土などであり、また石灰原料としては、生石灰、消
石灰、セメントなどである。けい酸カルシウム結晶は、
トバモライト、ゾノトライト、βウォラストナイトの中
の一種または複数の混合物からなるものを用いることが
できる。特にゾノトライトを用いたものは焼結体の緻密
化が進行しやすい。
【0015】上記のけい酸カルシウムと単斜晶ジルコニ
アで、焼成ロスを考慮し焼結体に単斜晶ジルコニアが1
〜40重量%含まれるように成形体を成形する。成形法
は限定されるものではなく、例えば抄造法、湿式プレス
法、乾式プレス法など公知の方法でよい。この成形体
を、次に1050〜1130℃で焼成してけい酸カルシ
ウム焼結体とする。ここでの焼成温度は下限を1050
℃、上限を1130℃とする。下限の1050℃未満で
はβウォラストナイトの緻密化に要する時間が長くなり
生産性がよくない。また1130℃を超えるとβウォラ
ストナイトがαウォラストナイトへと相転移して著しい
組織の粗大化が起こり、しかも粒界き裂や空孔が大きく
なり高強度のけい酸カルシウム焼結体が得られない。
【0016】上記の1050〜1130℃の範囲の温度
で焼成することにより、けい酸カルシウムはβウォラス
トナイトの結晶相となり、粒子間に単斜晶ジルコニアが
存在して粒成長は抑制され、焼結体組織は微細かつ緻密
で高強度の焼結体となる。請求項3の発明はβウォラス
トナイトと正方晶ジルコニアからなり、正方晶ジルコニ
アが1〜65重量%含まれているけい酸カルシウム焼結
体である。
【0017】ここで用いるイットリア固溶ジルコニアな
どの正方晶ジルコニアは、部分安定化ジルコニアを含む
ものとし、これは焼結体の焼成時にウォラストナイト結
晶の粒成長を抑制して結晶組織を微細化するが、さらに
正方晶ジルコニアは、焼結体の破壊時に破壊クラック先
端で応力誘起により正方晶ジルコニアから単斜晶ジルコ
ニアに相転移が起こり破壊エネルギ−を吸収してクラッ
クの進行を抑制する。焼結体中での正方晶ジルコニアの
比率が1重量%未満ではβウォラストナイト結晶の微細
化が十分でなく、また正方晶ジルコニアが65重量%を
超えると焼結体の緻密化が十分でなく好ましくない。
【0018】請求項4の発明は、請求項3の焼結体の製
造方法である。即ち、トバモライト、ゾノトライト、β
−ウォラストナイトの中の少なくとも一種からなるけい
酸カルシウム結晶と、正方晶ジルコニアからなる原料混
合粉末で、焼成後の焼結体中に正方晶ジルコニアが1〜
65重量%含まれるように成形体を成形する。これが1
重量%未満であると結晶の微細化が十分でなく、またこ
れが65重量%を超えると焼結体の緻密化が進行しな
い。一方、原料のけい酸カルシウム結晶は、請求項2の
発明と同様に、トバモライト、ゾノトライト、β−ウォ
ラストナイトの中の少なくとも一種である。ジルコニア
は正方晶ジルコニアを用い、これが焼成後の焼結体中に
1〜65重量%含まれるように原料配合して成形体を成
形する。
【0019】次に、この成形体を1130℃を超え、1
180℃以下の温度で焼成を行う。焼成温度が1130
℃未満では焼結体の緻密化が困難であり、また焼成温度
が1180℃を超えると、焼結体の結晶相がαウォラス
トナイトとなり、目的の焼結体を得ることができない。
請求項5の発明はαウォラストナイトと正方晶ジルコニ
アからなり、正方晶ジルコニアが1〜65重量%含まれ
ているけい酸カルシウム焼結体である。
【0020】ここで用いるイットリア固溶ジルコニアな
どの正方晶ジルコニア(部分安定ジルコニアを含む)
は、焼結体の焼成時にウォラストナイト結晶の粒成長を
抑制して結晶組織を微細化する。さらに、この正方晶ジ
ルコニア粒子は、焼結体の破壊時に破壊クラック先端に
おいて応力誘起より正方晶から単斜晶へ相転移が起こ
り、破壊エネルギ−を吸収し、クラックの進行を抑制す
る。
【0021】焼結体中での正方晶ジルコニアの比率が1
重量%未満であるとαウォラストナイト結晶の微細化が
十分でなく、また正方晶ジルコニアが65重量%を超え
ると焼結体の加工性が低下し好ましくない。
【0022】一般に、けい酸カルシウム焼結体の結晶相
がαウォラストナイトとなると、βウォラストナイトの
焼結体と比較して強度が極度に低下するが、この発明の
ように正方晶ジルコニアが1〜65重量%含有すると、
後記実施例が示すように曲げ強度が向上し、ジルコニア
を含有しないβウォラストナイト単体のものに略等しい
強度を得ることが出来る。請求項6の発明は、αウォラ
ストナイトと正方晶ジルコニアからなる請求項5のけい
酸カルシウム焼結体の製造方法である。
【0023】即ち、トバモライト、ゾノトライト、ウォ
ラストナイトの中の少なくとも一種からなるけい酸カル
シウム結晶と、正方晶ジルコニアからなる原料混合物
で、焼成後の焼結体に正方晶ジルコニアが1〜65重量
%含まれるように成形体を成形する。これが1重量%未
満であると結晶の微細化が十分でなく、またこれが65
重量%を超えると焼結体の加工性が低下する。一方の原
料のけい酸カルシウム結晶は、請求項2の発明と同様
に、トバモライト、ゾノトライト、ウォラストナイトの
中の少なくとも一種である。ジルコニアは正方晶ジルコ
ニアを用い、これが焼成後の焼結体に1〜65重量%含
まれるように原料配合して成形体を成形する。この成形
体を1180℃を超え1400℃以下で焼成する。焼成
温度がここで規定する1180℃未満のときは焼結体が
緻密化しにくく、また1400℃を超えるとウォラスト
ナイトの融点に近くなるため局部的にガラス化が進行し
て好ましくない。以下にこの発明の実施例を説明する。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
【0025】石灰質原料として消石灰を、またけい酸質
原料として珪石を用い、CaO:SiO2 がモル比で
1:1となるように混合した。この原料100重量部に
対し水400重量部を加え、220℃でオ−トクレ−ブ
処理してゾノトライトスラリ−を得た。これを120℃
で乾燥してゾノトライト結晶の乾燥粉末とした。
【0026】このゾノトライト粉末に単斜晶ジルコニア
(TZ−0:東ソ−(株)社商品名)を焼成後の焼結体
中で10重量%となるように添加し、エタノ−ル中で2
4時間ボ−ルミルで湿式混合して、その後エバポレ−タ
を用いて乾燥した。この粉末をラバ−プレスで静水圧成
形し、比重1.2〜1.3の成形体を得た。次いで、昇
温速度1.5℃/分で1100℃まで昇温した後、その
温度で5時間保持し、その後1.6℃/分の降温速度で
冷却し、結晶相がβウォラストナイトの焼結体を得た。
ここに得られた焼結体の比重、曲げ強度およびビッカ−
ス硬度を求めた。ビッカ−ス硬度は荷重5kgf 、保持時
間15秒で求めた。 (実施例2)
【0027】実施例1と同様にして、単斜晶ジルコニア
の配合比を焼結後の焼結体中で1重量%となるようにし
て結晶相がβウォラストナイトの焼結体を得た。これに
ついて実施例1と同様の実験を行った。 (実施例3)
【0028】実施例1と同様にして、単斜晶ジルコニア
の配合比を、焼結後の焼結体中で35重量%となるよう
に加えて結晶相がβウォラストナイトの焼結体を得た。
これについて実施例1と同様の実験を行った。 (実施例4)実施例1と同様にして、焼成温度を105
0℃として結晶相がβウォラストナイトの焼結体を得
た。これについて実施例1と同様の実験を行った。 (実施例5)実施例1と同様にして、焼成温度を113
0℃として結晶相がβウォラストナイトの焼結体を得
た。これについて実施例1と同様の実験を行った。 (実施例6)
【0029】実施例1と同様にして、焼成温度を115
0℃とし、かつジルコニアとして正方晶ジルコニア(T
Z−3Y:東ソ−(株)社商品名)を用い、結晶相がβ
ウォラストナイトの焼結体を得た。これについて実施例
1と同様の実験を行った。 (実施例7)
【0030】実施例1と同様にして焼成温度を1150
℃とし、かつジルコニアとして正方晶ジルコニア(TZ
−3Y:東ソ−(株)社商品名)を、焼結後の焼結体中
で40重量%となるように加え、結晶相がβ−ウォラス
トナイトの焼結体を得た。これについて実施例1と同様
の実験を行った。 (実施例8)
【0031】実施例1と同様にして、焼成温度を120
0℃としその温度での保持時間を24時間とした。また
ジルコニアは正方晶ジルコニアを用いて結晶相がαウォ
ラストナイトの焼結体を得た。これについて実施例1と
同様の実験を行った。 (実施例9)
【0032】正方晶ジルコニアを、焼結後の焼結体中で
1重量%となるように加えた以外は実施例8と同様にし
て、結晶相がαウォラストナイトの焼結体を得た。これ
について実施例1と同様の実験を行った。 (実施例10)
【0033】正方晶ジルコニアを、焼結後の焼結体中で
65重量%となるように加えた以外は実施例8と同様に
して、結晶相がαウォラストナイトの焼結体を得た。こ
れについて実施例1と同様の実験を行った。 (実施例11)
【0034】実施例1と同様にして、焼成温度を130
0℃とし、またジルコニアは正方晶ジルコニアを用いて
結晶相がαウォラストナイトの焼結体を得た。これにつ
いて実施例1と同様の実験を行った。 (実施例12)
【0035】実施例1と同様にして、焼成温度を140
0℃とし、またジルコニアは正方晶ジルコニアを用いて
結晶相がαウォラストナイトの焼結体を得た。これにつ
いて実施例1と同様の実験を行った。実施例1〜12の
結果をまとめて表1に示した。
【0036】
【表1】 (比較例1)ジルコニアを添加しない点を除き実施例1
と同様にして結晶相がβウォラストナイトの焼結体を得
て、実施例1と同様の実験を行った。 (比較例2)
【0037】単斜晶ジルコニアを、焼結後の焼結体中で
本願発明の範囲を超える50重量%となるように加えた
こと以外は実施例1と同様にして結晶相がβウォラスト
ナイトの焼結体を得て、実施例1と同様の実験を行っ
た。 (比較例3)ジルコニアとして正方晶ジルコニアを用い
た以外は実施例1と同様にして結晶相がβウォラストナ
イトの焼結体を得て、実施例1と同様の実験を行った。 (比較例4)焼成温度を1000℃とした以外は実施例
1と同様にして結晶相がβウォラストナイトの焼結体を
得て、実施例1と同様の実験を行った。 (比較例5)
【0038】焼成温度が1200℃で、ジルコニアを添
加しないこと以外は実施例1と同様にして結晶相がαウ
ォラストナイトの焼結体を得て、実施例1と同様の実験
を行った。 (比較例6)焼成温度が1400℃であること以外は実
施例1と同様にして結晶相がαウォラストナイトの焼結
体を得て、実施例1と同様の実験を行った。比較例1〜
6の結果をまとめて表2に示した。
【0039】
【表2】
【0040】表1から分かるように、実施例1〜5の結
晶相がβ相である焼結体は、ジルコニア無添加の比較例
1と比較すると、曲げ強度が大幅に向上していることが
認められる。しかしながら、比較例2に見られるよう
に、単斜晶ジルコニアの添加量が本願発明の範囲を超え
るものは曲げ強度の向上がみられない。
【0041】実施例6,7に示すように、正方晶ジルコ
ニアを添加したものは、焼成温度が1150℃で高温の
場合でも焼結体の結晶相はβ相となり、強度も良好な結
果を得ている。しかしながら、この場合には比較例3に
示すように、焼成温度が1100℃の場合には良好な結
果が得られていない。さらに、比較例4にみられるよう
に、焼成温度が1000℃で本願発明で規制する範囲を
外れると曲げ強度の向上は図られない。実施例8〜12
は、焼成温度範囲を1180〜1400℃の高温領域と
して結晶相がα相の焼結体としたものである。
【0042】結晶相がα相のけい酸カルシウム焼結体
は、β相の焼結体と比較してもともと曲げ強度は大幅に
低下することが知られている。しかし、実施例8〜12
から分かるように、そうしたα相のけい酸カルシウム焼
結体であっても、ここに正方晶ジルコニアが含有された
ものは、比較例5のジルコニアを含まないα相単独のも
のと比較して、曲げ強度が大幅に向上することが分か
る。実施例8〜12の曲げ強度の値は、比較例1の結晶
相がジルコニアを含まないβウォラストナイト単独のも
のに匹敵する値となっていることが分かる。
【0043】比較例6は、結晶相としてα相の焼結体に
単斜晶ジルコニアを含有するものであるが、その場合は
効果なく、α相の焼結体には正方晶のジルコニアでなけ
ればならないことが理解される。
【0044】
【発明の効果】本願発明によれば、けい酸カルシウム焼
結体において、単斜晶ジルコニアまたは正方晶ジルコニ
アを含有させ、結晶相がα相或いはβ相のいずれの場合
も焼結体の曲げ強度を大幅に向上することが出来るよう
になった。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 βウォラストナイトと単斜晶ジルコニア
    からなり、単斜晶ジルコニアが1〜40重量%含まれて
    いることを特徴とするけい酸カルシウム焼結体。
  2. 【請求項2】 トバモライト、ゾノトライト、βウォラ
    ストナイトの中の少なくとも一種からなるけい酸カルシ
    ウム結晶と単斜晶ジルコニアからなる原料混合物で、焼
    成後の焼結体に単斜晶ジルコニアが1〜40重量%含ま
    れるように成形体を成形し、これを1050〜1130
    ℃で焼成することを特徴とするけい酸カルシウム焼結体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 βウォラストナイトと正方晶ジルコニア
    からなり、正方晶ジルコニアが1〜65重量%含まれて
    いることを特徴とするけい酸カルシウム焼結体。
  4. 【請求項4】 トバモライト、ゾノトライト、βウォラ
    ストナイトの中の少なくとも一種からなるけい酸カルシ
    ウム結晶と正方晶ジルコニアからなる原料混合物で、焼
    成後の焼結体に正方晶ジルコニアが1〜65重量%含ま
    れるように成形体を成形し、これを1130℃を超え1
    180℃以下で焼成することを特徴とするけい酸カルシ
    ウム焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 αウォラストナイトと正方晶ジルコニア
    からなり、正方晶ジルコニアが1〜65重量%含まれて
    いることを特徴とするけい酸カルシウム焼結体。
  6. 【請求項6】 トバモライト、ゾノトライト、ウォラス
    トナイトの中の少なくとも一種からなるけい酸カルシウ
    ム結晶と、正方晶ジルコニアからなる原料混合物で、焼
    成後の焼結体に正方晶ジルコニアが1〜65重量%含ま
    れるように成形体を成形し、これを1180℃を超え1
    400℃以下で焼成することを特徴とするけい酸カルシ
    ウム焼結体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001049420A (ja) * 1999-06-23 2001-02-20 Sulzer Metco Us Inc ケイ酸二カルシウムの溶射粉末とその被覆およびその製造
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