JPH0656465U - 木製防火ドア - Google Patents

木製防火ドア

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JPH0656465U
JPH0656465U JP338593U JP338593U JPH0656465U JP H0656465 U JPH0656465 U JP H0656465U JP 338593 U JP338593 U JP 338593U JP 338593 U JP338593 U JP 338593U JP H0656465 U JPH0656465 U JP H0656465U
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retardant
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veneer
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秀夫 月東
厚弘 住田
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Aica Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 寸法安定性に優れ、遮炎性のドアを得る。 【構成】 框3・パネル構造の木製防火ドアにおいて、
少なくともパネルの芯材として、木質単板に窒素とリン
を含有する難燃処理剤を付着処理して難燃処理木質単板
とし、しかる後、難燃処理木質単板を熱圧成形してなる
難燃処理積層板8を用いた木製防火ドア。さらに、難燃
処理木質単板にフェノ−ル・レゾルシノ−ル系樹脂接着
剤を塗布し、熱圧成形する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、建設省告示第1125号に基づく防火戸の試験基準に適合した木製 防火ドアに関する。
【0002】
【従来の技術】
平成2年の建設省告示第1125号の公布以来、木製防火ドアの開発、認可が 進んでいる。これらの木製防火ドアには、窒素・リンを含有する難燃化処理剤に て処理された難燃化処理木材を該木製防火ドアの框、パネルなどの構成部材に用 いられる例がある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、木材は物質中で最も比熱が大きく、しかも熱伝導率が最も低い ことより、特定の厚さがあれば十分な耐火性能を備えていることはよく知られて いるが、防火戸の種類、例えば、甲種防火戸あるいは乙種防火戸によっては該木 製防火ドアを構成する部材をすべて難燃化処理木材とする必要もなく、また、構 成部材をすべて難燃化処理木材とする場合は、多量の難燃化処理剤を必要とし、 該難燃化処理剤を木材内部まで浸透させる手段も容易ではなかった。
【0004】 本考案は、上記の告示に準拠した木製防火ドア、特に遮炎性能20分以上の乙 種防火戸において、上記のような問題点に鑑みなされたもので、框・パネル組構 造及びブロック貼り構造のドアにおいて、要求された耐火性能を備え、しかも多 量の難燃化処理剤を必要とせず、材料として安価でかつ樹脂処理が容易にできる ロ−タリ−単板を使用した木製防火ドアを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本考案は、框・パネル構造の木製防火ドアにおい て、少なくとも、デザイン上材厚が薄くなり遮炎性能上弱点となるパネルの芯材 として、木質単板に窒素とリンを含有する難燃処理剤を付着処理して難燃処理木 質単板とし、しかる後、難燃処理木質単板を熱圧成形してなる難燃処理積層板を 用いることにより前記の課題を解決することができる。
【0006】 本考案に用いる難燃処理剤は、尿素、ジシアンジアミド、メラミン、グアニジ ン、モノエタノ−ルアミン、ジエチレントリアミン、アニリン、N,N−ジメチ ルホルムアミド、アセトアミドなどの塩基性窒素化合物とリン酸との塩、リン酸 アンモニウム類、リン酸アミド類などの塩基性窒素化合物のリン酸塩などの窒素 とリンとを含有するもので、さらに、難燃性を向上させるために塩素、臭素等の ハロゲンが含有されていてもさしつかえない。
【0007】 ここで、前記の難燃処理剤に使用されるリン酸は、100℃以上の温度が継続 的に与えられることにより木材中のセルロ−ス等の水酸基と脱水反応を伴うエス テル化反応を生じ、難燃処理木質単板を熱圧成形した後、遮炎性能と寸法安定性 を向上させる。
【0008】 木質単板に該難燃処理剤を付着させる手段としては、塗布法、減圧加圧法、拡 散法などが挙げられるが、特に限定されるものではなく、付着量は木質単板10 0重量部に対して10〜30重量部とするのが望ましく、加熱処理温度は100 〜250℃が適する。
【0009】 難燃処理木質単板を熱圧成形する条件は、該難燃処理木質単板の積層接着と、 該難燃処理剤の硬化、すなわち、リン酸エステル化とを同時に起こさせるもので あれば十分であるが、上述の如くリン酸エステル化には100℃以上の温度が継 続的に必要である一方、高温、高圧、長時間での処理は、木質単板に変色、変形 、劣化等を招き、好ましくない。好ましい熱圧成形条件は、樹種、形状、サイズ 、含水率等、処理される木質単板の状態によって異なるが、概ね、温度130〜 180℃、圧力8〜40kg/cm2、時間5〜30分とするのが望ましい。特に 、圧力を10〜20kg/cm2とし、圧縮率が5〜15%となるように熱圧成形 することにより、遮炎性を著しく向上させることができる。圧縮率が下限に満た ないと遮炎性が得られにくく、上限を超えると、ふくれを生じやすい。
【0010】 また、熱圧成形する際、難燃処理木質単板の繊維方向が交差するように積層す ることにより、火災の際、その各層において、炭化亀裂が一時的に抑えられ、遮 炎性能を向上させることができる。さらに、難燃処理剤を木質単板に添加したあ と、十分な風乾、又は低温(20℃〜60℃)にて乾燥した後、フェノ−ル・レ ゾルシノ−ル系樹脂接着剤を用いて熱圧成形することにより、遮炎性能、並びに 耐水性に優れたものとなり、木製防火ドアの性能を向上させることができる。
【0011】 難燃処理木質単板を、難燃処理剤、又はフェノ−ル・レゾルシノ−ル系樹脂接 着剤を用いて熱圧成形する場合は、温度100〜250℃、圧力3〜50kg/ cm2、時間1〜60分の条件が望ましい。この際、難燃処理単板とパ−ティク ルボ−ド、合板、MDF等の木質材、フェノ−ル樹脂発泡体等の耐火断熱材等と 複合化してもよく、本考案の木製防火ドアのパネル芯材として用いることができ 、本考案の応用例として例示しうる。
【0012】 また、熱圧成形する際、木質単板中の難燃処理剤がフロ−し、各層間で硬化す るため、難燃処理剤の樹脂硬化と同時に積層接着することが可能である。また、 難燃処理剤の高濃度のもの(固形分として50%以上)を各層に塗布してもさし つかえない。
【0013】 本考案の木製防火ドアは、框・パネル組構造のドアにおいては、少なくとも遮 炎性能上弱点となるパネル芯材に、難燃処理木質単板を熱圧成形した難燃処理積 層板を用い、未処理木質材、あるいは難燃処理積層板からなる框、桟等の部材と 接着剤、ダボ等により組み付け、研磨仕上、塗装を施して得ることができる。
【0014】 さらに、窒素とリンを含有する難燃処理剤の木質単板への付着処理は、炭化層 の形成の面から積層する全ての木質単板に必要ではなく、多積層、特に5ply以 上、の場合には、表裏の2〜3plyの木質単板のみ添加するか、交互に付着処理 することにより、該難燃処理剤の使用量を低下させ、全ての木質単板に付着処理 した難燃処理積層板に比べ同等に近い遮炎性が得られる。
【0015】 パネルとするために、難燃処理積層板の表裏に化粧材が接着加工し、意匠が施 されるが、化粧材は、従来より公知のメラミン樹脂化粧板、ジアリルフタレ−ト 樹脂化粧板、ポリエステル樹脂化粧板、突板化粧板等を用いればよい。
【0016】
【作用】
一般に、リン酸の如き強酸を木材に添加することは、木材を劣化させる一要因 ともなるが、本考案に用いられる塩基性窒素化合物は、木材を劣化させる一要因 となる酸の緩衝剤となるばかりでなく、リン酸とセルロ−ス等の水酸基との反応 によりエステル化物を形成する際の触媒となる。
【0017】 また、木材や綿布などのセルロ−スを主体とする材料に窒素とリンを導入する ことにより、上記化合物によって該セルロ−ス系材料に炭化層の形成が促進され 、熱や酸素の供給を阻止する。従って遮炎性が向上する。
【0018】 更に、難燃処理剤を付着処理した難燃処理木質単板を熱圧成形することによっ て、多大なエネルギ−が木材に効率的にしかも均一に与えられ、上記のリン酸エ ステル化反応が促進されるばかりでなく、木材中の水分やエステル化反応に伴い 生成される水分を過熱蒸気化し該木質単板の膨張媒体として働かせるとともに、 細胞内への上記化合物の移送媒体として働かせ、木質単板の表層ばかりでなく組 織内部までリン酸エステル化反応を促進させる。
【0019】 熱圧成形は、一般に蒸気等で加熱された熱板間に難燃処理木質単板を挿入し、 熱板と密着した状態で処理するものであり、その反応系は水分等が逃げにくいク ロ−ズド系となるために上記のような作用、反応が促進されるものである。
【0020】 また、木質単板を熱圧成形すると、該木質単板中のヘミセルロ−ス等の加熱に より分解しやすい成分が分解すると共に、セルロ−スの結晶化が促進され、上記 のリン酸エステル化との相乗効果により、寸法安定性を向上させることができる 。
【0021】
【実施例】
実施例1 メラミン1モル、ジシアンジアミド3モルに対して、pHを7.2に調整し、 60℃以上に加熱したホルムアルデヒド37%溶液を還流中で反応させ、次いで 50〜60℃に冷却した後、0.5モルの85%リン酸を添加して撹拌し、ジシ アンジアミド−ホルムアルデヒド−リン酸からなる難燃処理剤(A)を得た。
【0022】 厚さ3.6mmのロ−タリ−単板(ラジアタパイン)に難燃処理剤(A)を付着 量が15%となるように浸漬し、風乾した難燃処理木質単板(A)を7枚、温度 160℃に設定したホットプレスの熱板間に挿入し、圧力15kg/cm2、時間 20分の条件で熱圧処理し、厚さ21mmに圧縮した難燃処理積層板(A)を得た 。
【0023】 難燃処理積層板(A)を芯材とし、該芯材の表裏に突板化粧材を接着加工して パネルを得、厚さ45mmの未処理材からなる框、桟部材と接着剤、ダボとの併用 により組み付け、研磨仕上、ウレタン樹脂塗装を施し、乙種防火戸の要求性能を 満たす実施例1の木製防火ドアを得た。
【0024】 実施例1の木製防火ドアを建設省告示の防火戸の試験法に従い加熱試験を実施 したところ、21分の遮炎性能を示した。また、難燃処理積層板(A)を恒温恒 湿下に静置し、寸法安定性の指標である抗膨潤能(AntiSwelling Efficiency:A SE)の測定では、一枚板に比べ動きが一定となり、動きの一番大きいR方向で ASE値40%の数値を示した。
【0025】 実施例2 厚さ3.6mmのロ−タリ−単板(ラジアタパイン)に難燃処理剤(A)を付着 量が20%となるように浸漬し、風乾した後、フェノ−ル樹脂接着剤を塗布して 難燃処理木質単板(B)を得た。しかる後、難燃処理単板(B)を7枚、温度1 60℃に設定したホットプレスの熱板間に挿入し、圧力15kg/cm2、時間2 0分の条件で熱圧処理し、厚さ21mmに圧縮した難燃処理積層板(B)を得た。
【0026】 難燃処理積層板(B)を実施例1と同様に加工し、実施例2の木製防火ドアを 得た。
【0027】 実施例1と同様の加熱試験において、実施例2の木製防火ドアは25分の遮炎 性能を示した。実施例1に比べると燃焼時に炭化層の脱落がなく3分の向上が見 られた。また実施例2の難燃処理積層板(B)は、一枚板のR方向においてAS E値で80%の数値を得た。
【0028】 実施例3 厚さ3.7mmのロ−タリ−単板(ラジアタパイン)に難燃処理剤(A)を付着 量が20%となるように浸漬し、風乾した後、フェノ−ル樹脂接着剤を塗布した 難燃処理木質単板(C)4枚と、木質単板3枚とを交互に積層し、温度160℃ に設定したホットプレスの熱板間に挿入し、圧力15kg/cm2、時間20分の 条件で熱圧処理し、厚さ20mmに圧縮した難燃処理積層板(C)を得た。
【0029】 難燃処理積層板(C)を実施例1と同様に加工し、実施例3の木製防火ドアを 得た。
【0030】 実施例1と同様の加熱試験において、実施例3の木製防火ドアは23分の遮炎 性能を示した。実施例1に比べると燃焼時に炭化層の脱落がなく1分の向上が見 られた。また実施例3の積層材(B)は、一枚板のR方向においてASE値で3 5%の数値を得た。
【0031】 比較例1 厚さ21mmバ−スウッド単板に難燃処理剤(A)を付着量が20%となるよう に浸漬し、風乾した後、温度160℃に設定した加熱炉で、時間60分の条件で 処理し、難燃処理木材を得た。しかる後、パネル用の芯材に使用し、比較例1の 木製ドアを得た。遮炎性能は18分30秒で、パネル部より火炎の貫通が認めら れた。また、難燃処理木材のASEは、35%であった。
【0032】 比較例2 全ての部材が未処理材からなる木製ドアの遮炎性能は12分30秒で、比較例 1と同様にパネル部より火炎の貫通が認められた。また、ASEは、25%であ った。
【0033】 評価結果を表1に示す。
【表1】
【0034】 評価方法は以下の通りとした。 寸法安定性については、40℃−30%RH、40℃−90%RHの恒温恒湿 装槽に平衡になるまで静置し、抗膨潤能(ASE(%))を測定した。 遮炎性能については、建設省第1125号告示に基づき、耐火試験を実施した 。
【0035】
【考案の効果】
本考案の製法によって得られる木製防火ドアは、全ての部材に難燃処理された 材料を使用する必要がないため、多量の難燃処理剤を要せず、安価に生産可能と なる上、難燃処理積層板は耐火性ばかりでなく寸法安定性が向上されるため、木 製ドアでしばしば見られる木材の縮みによるクラックや割れ等の不良が解消され る。
【0036】 また、本考案においては、木質単板として、裏割れのあるロ−タリ−単板を用 いるため含浸材料としては好適で、減圧、加圧含浸装置等の装置を必要とせず、 塗布法、拡散法により木質単板に十分に難燃処理剤を付着することができる。
【0037】 さらに、本考案は難燃処理積層板を芯材に使用することにより、一枚板を難燃 処理したものに比べ、炭化収縮による亀裂が各層で抑制される効果をもたらし、 同時に木材へのリン酸エステル化をさせることにより、遮炎性能を向上させるこ とができる。
【提出日】平成5年9月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、建設省告示第1125号に基づく防火戸の試験基準に適合した木製 防火ドアに関する。
【0002】
【従来の技術】
平成2年の建設省告示第1125号の公布以来、木製防火ドアの開発、認可が 進んでいる。これらの木製防火ドアには、窒素・リンを含有する難燃化処理剤に て処理された難燃化処理木材を該木製防火ドアの框、パネルなどの構成部材に用 いられる例がある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、木材は比熱が大きく、しかも熱伝導率が低いことより、特定の 厚さがあれば十分な耐火性能を備えていることはよく知られているが、防火戸の 種類、例えば、甲種防火戸あるいは乙種防火戸によっては該木製防火ドアを構成 する部材をすべて難燃化処理木材とする必要もなく、また、構成部材をすべて難 燃化処理木材とする場合は、多量の難燃化処理剤を必要とし、該難燃化処理剤を 木材内部まで浸透させる手段も容易ではなかった。
【0004】 本考案は、上記の告示に準拠した木製防火ドア、特に遮炎性能20分以上の乙 種防火戸において、上記のような問題点に鑑みなされたもので、要求された耐火 性能を備え、しかも多量の難燃化処理剤を必要とせず、材料として安価でかつ樹 脂処理が容易にできるロ−タリ−単板等を使用した木製防火ドアを提供しようと するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本考案は、少なくとも、デザイン上材厚が薄くな り遮炎性能上弱点となるパネルの芯材として、木質単板に窒素とリンを含有する 難燃処理剤を付着処理して難燃処理木質単板とし、しかる後、難燃処理木質単板 単独又は難燃処理単板と木質単板とを熱圧成形してなる難燃処理積層板を用いる ことにより前記の課題を解決することができる。
【0006】 本考案に用いる難燃処理剤は、尿素、ジシアンジアミド、メラミン、グアニジ ン、モノエタノ−ルアミン、ジエチレントリアミン、アニリン、N,N−ジメチ ルホルムアミド、アセトアミドなどの塩基性窒素化合物あるいはこれらのホルム アルデヒドとの反応物とリン酸との塩、リン酸アンモニウム類、リン酸アミド類 などの塩基性窒素化合物のリン酸塩などの窒素とリンとを含有するもので、さら に、難燃性を向上させるために塩素、臭素等のハロゲンが含有されていてもさし つかえない。
【0007】 ここで、前記の難燃処理剤に使用されるリン酸は、100℃以上の温度が継続 的に与えられることにより木材中のセルロ−ス等の水酸基と脱水反応を伴うエス テル化反応を生じ、難燃処理木質単板を熱圧成形した後、遮炎性能と寸法安定性 を向上させる。
【0008】 木質単板に該難燃処理剤を付着させる手段としては、塗布法、減圧加圧法、拡 散法などが挙げられるが、特に限定されるものではなく、付着量は木質単板10 0重量部に対して10〜30重量部とするのが望ましく、加熱処理温度は100 〜250℃が適する。付着量が10重量部未満では、難燃効果が少なく、30重 量部を超えると難燃性能の向上が少ない。また、温度が100℃未満では樹脂の 硬化が不十分で、250℃を超えると木材の劣化が進む。
【0009】 難燃処理木質単板を熱圧成形する条件は、該難燃処理木質単板の積層接着と、 該難燃処理剤の硬化、すなわち、リン酸エステル化とを同時に起こさせるもので あれば十分であるが、上述の如くリン酸エステル化には100℃以上の温度が継 続的に必要である一方、高温、高圧、長時間での処理は、木質単板に変色、変形 、劣化等を招き、好ましくない。好ましい熱圧成形条件は、樹種、形状、サイズ 、含水率等、処理される木質単板の状態によって異なるが、概ね、温度130〜 180℃、圧力8〜40kg/cm2、時間5〜30分とするのが望ましい。特に 、圧力を10〜20kg/cm2とし、圧縮率が5〜15%となるように熱圧成形 することにより、遮炎性を著しく向上させることができる。圧縮率が下限に満た ないと遮炎性の向上が十分に得られにくく、上限を超えると、内部割れや、ふく れを生じやすい。
【0010】 また、熱圧成形する際、難燃処理木質単板の繊維方向が交差するように積層す ることにより、火災の際、その各層において、炭化亀裂が一時的に抑えられ、遮 炎性能を向上させることができる。さらに、難燃処理剤を木質単板に添加したあ と、十分な風乾、又は低温(20℃〜60℃)にて乾燥した後、フェノ−ル系又 はレゾルシノ−ル系樹脂接着剤を用いて熱圧成形することにより、遮炎性能、並 びに耐水性に優れたものとなり、木製防火ドアの性能を向上させることができる 。
【0011】 難燃処理木質単板を、フェノ−ル系又はレゾルシノ−ル系樹脂接着剤を用いて 熱圧成形する場合は、温度100〜250℃、圧力3〜50kg/cm2、時間1 〜60分の条件が望ましい。この際、難燃処理木質単板とパ−ティクルボ−ド、 合板、MDF等の木質材、フェノ−ル樹脂発泡体等の耐火断熱材等と複合化して もよく、本考案の木製防火ドアのパネル芯材として用いることができ、本考案の 応用例として例示しうる。
【0012】 また、熱圧成形する際、木質単板中の難燃処理剤がフロ−し、各層間で硬化す るため、難燃処理剤の樹脂硬化と同時に積層接着することが可能である。また、 難燃処理剤の高濃度のもの(固形分として50%以上)を各層に塗布してもさし つかえない。
【0013】 本考案の木製防火ドアは、少なくとも遮炎性能上弱点となるパネル芯材に、難 燃処理木質単板単独又は難燃処理木質単板と木質単板とを熱圧成形した難燃処理 積層板を用い、框、桟等の部材と接着剤、ダボ等により組み付け、研磨仕上、塗 装を施して得ることができる。
【0014】 さらに、窒素とリンを含有する難燃処理剤の木質単板への付着処理は、炭化層 の形成の面から積層する全ての木質単板に必要ではなく、多積層、特に5ply 以上の場合には、表裏の2〜3plyの木質単板のみ添加するか、交互に付着処 理することにより、該難燃処理剤の使用量を低下させ、全ての木質単板に付着処 理した難燃処理積層板に比べ同等に近い遮炎性が得られる。
【0015】 パネルとするために、難燃処理積層板の表裏に化粧材が接着加工され、意匠が 施されるが、化粧材は、従来より公知のメラミン樹脂化粧板、ジアリルフタレ− ト樹脂化粧板、ポリエステル樹脂化粧板、突板化粧板、天然無垢材等を用いれば よい。
【0016】
【作用】
一般に、リン酸の如き強酸を木材に添加することは、木材を劣化させる一要因 ともなるが、本考案に用いられる塩基性窒素化合物は、木材を劣化させる一要因 となる酸の緩衝剤となるばかりでなく、リン酸とセルロ−ス等の水酸基との反応 によりエステル化物を形成する際の触媒となる。
【0017】 また、木材や綿布などのセルロ−スを主体とする材料に窒素とリンを導入する ことにより、上記化合物によって該セルロ−ス系材料に炭化層の形成が促進され 、熱や酸素の供給を阻止する。従って遮炎性が向上する。
【0018】 更に、難燃処理剤を付着処理した難燃処理木質単板を熱圧成形することによっ て、エネルギ−が木材に効率的にしかも均一に与えられ、上記のリン酸エステル 化反応が促進されるばかりでなく、木材中の水分やエステル化反応に伴い生成さ れる水分を過熱蒸気化し該木質単板の膨張媒体として働かせるとともに、細胞内 への上記化合物の移送媒体として働かせ、木質単板の表層ばかりでなく組織内部 までリン酸エステル化反応を促進させる。
【0019】 熱圧成形は、一般に蒸気等で加熱された熱板間に難燃処理木質単板を挿入し、 熱板と密着した状態で処理するものであり、その反応系は水分等が逃げにくいク ロ−ズド系となるために上記のような作用、反応が促進されるものである。
【0020】 また、木質単板を熱圧成形すると、該木質単板中のヘミセルロ−ス等の加熱に より分解しやすい成分が分解すると共に、セルロ−スの結晶化が促進され、上記 のリン酸エステル化との相乗効果により、寸法安定性を向上させることができる 。
【0021】 次に、図面と実施例により説明する。図1は本考案の実施例の正面図、図2は 図1の線A−A´に沿う断面図、図3はパネルの構成断面図をそれぞれ示す。
【実施例】
実施例1 メラミン1モル、ジシアンジアミド3モルに対して、pHを7.2に調整し、 60℃以上に加熱したホルムアルデヒド37%溶液を還流中で反応させ、次いで 50〜60℃に冷却した後、0.5モルの85%リン酸を添加して撹拌し、ジシ アンジアミド−ホルムアルデヒド−リン酸からなる難燃処理剤(A)を得た。
【0022】 厚さ3.6mmのラジアタパインロ−タリ−単板に難燃処理剤(A)を付着量 が20%となるように浸漬し、風乾した難燃処理木質単板(5)を7枚、温度1 60℃に設定したホットプレスの熱板間に挿入し、圧力15kg/cm2、時間2 0分の条件で熱圧処理し、厚さ21mmに圧縮した難燃処理積層板(8)を得た 。
【0023】 難燃処理積層板(8)を芯材とし、該芯材の表裏に突板化粧材(7)を接着加 工して厚さ26mmのパネルを得、厚さ45mmの未処理材からなる框(3)、 桟部材(4)と接着剤、ダボとの併用により組み付け、研磨仕上、ウレタン樹脂 塗装を施し、乙種防火戸の要求性能を満たす実施例1の木製防火ドアを得た。
【0024】 実施例1の木製防火ドアを建設省告示の防火戸の試験法に従い加熱試験を実施 したところ、39分の遮炎性能を示した。また、難燃処理積層板(8)を恒温恒 湿下に静置し、寸法安定性の指標である抗膨潤能(Anti Swelling Efficiency: ASE)の測定では、一枚板の未処理材に比べ動きが一定となり、動きの一番大 きいR方向でASE値40%の数値を示した。
【0025】 実施例2 厚さ3.6mmのラジアタパインロ−タリ−単板に難燃処理剤(A)を付着量 が20%となるように浸漬し、風乾した後、フェノ−ル樹脂接着剤を塗布して難 燃処理木質単板(5)を得た。しかる後、難燃処理木質単板(5)を7枚、温度 160℃に設定したホットプレスの熱板間に挿入し、圧力15kg/cm2、時間 20分の条件で熱圧処理し、厚さ21mmに圧縮した難燃処理積層板(8)を得 た。
【0026】 難燃処理積層板(8)を実施例1と同様に加工し、実施例2の木製防火ドアを 得た。
【0027】 実施例1と同様の加熱試験において、実施例2の木製防火ドアは48分の遮炎 性能を示した。実施例1に比べると燃焼時に炭化層の脱落がなく9分の向上が見 られた。また実施例2の難燃処理積層板(8)は、ASE値で80%の数値を得 た。
【0028】 実施例3 厚さ3.7mmのラジアタパインロ−タリ−単板に難燃処理剤(A)を付着量 が20%となるように浸漬し、風乾した後、フェノ−ル樹脂接着剤を塗布した難 燃処理木質単板(5)4枚と、木質単板(6)3枚とを交互に積層し、温度16 0℃に設定したホットプレスの熱板間に挿入し、圧力15kg/cm2、時間20 分の条件で熱圧処理し、厚さ20mmに圧縮した難燃処理積層板(8)を得た。
【0029】 難燃処理積層板(8)を実施例1と同様に加工し、実施例3の木製防火ドアを 得た。
【0030】 実施例1と同様の加熱試験において、実施例3の木製防火ドアは38分の遮炎 性能を示した。また実施例3の難燃処理積層板(8)は、未処理材に対してAS E値で70%の数値を得た。
【0031】 比較例1 厚さ26mmのバ−スウッド単板に難燃処理剤(A)を付着量が15%となる ように浸漬し、風乾した後、温度160℃に設定した加熱炉で、時間60分の条 件で処理し、難燃処理木材を得た。しかる後、パネル用の芯材に使用し、比較例 1の木製ドアを得た。遮炎性能は30分で、パネル部より火炎の貫通が認められ た。また、難燃処理木材のASEは、35%であった。
【0032】 比較例2 全ての部材が未処理材からなる木製ドアの遮炎性能は21分で、比較例1と同 様にパネル部より火炎の貫通が認められた。
【0033】 評価結果を表1に示す。
【表1】
【0034】 評価方法は以下の通りとした。 寸法安定性については、40℃−30%RH、40℃−90%RHの恒温恒湿 装槽に平衡になるまで静置し、抗膨潤能(ASE(%))を測定した。 遮炎性能については、建設省第1125号告示に基づき、耐火試験を実施した 。
【0035】
【考案の効果】
本考案の製法によって得られる木製防火ドアは、全ての部材に難燃処理された 材料を使用する必要がないため、多量の難燃処理剤を要せず、安価に生産可能と なる上、難燃処理積層板は耐火性ばかりでなく寸法安定性が向上されるため、木 製ドアでしばしば見られる木材の縮みによるクラックや割れ等の不良が解消され る。
【0036】 また、本考案においては、木質単板として、裏割れのあるロ−タリ−単板を用 いるため含浸材料としては好適で、減圧、加圧含浸装置等の装置を必要とせず、 塗布法、拡散法により木質単板に十分に難燃処理剤を付着することができる。
【0037】 さらに、本考案は難燃処理積層板を芯材に使用することにより、一枚板を難燃 処理したものに比べ、炭化収縮による亀裂が各層で抑制される効果をもたらし、 同時に木材へのリン酸エステル化をさせることにより、遮炎性能を向上させるこ とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例における木製防火ドアの正面
図。
【図2】図1のA−A′部分で実施例1の断面図。
【図3】図3は、難燃処理木質単板と未処理の木質単板
とを交互に積層し、熱圧成形した芯材の表裏に化粧材を
接着加工したパネルの構成断面図を示す。
【符号の説明】
1 木製防火ドア 2 パネル 3 框 4 桟 5 難燃処理木質単板 6 木質単板 7 化粧材 8 難燃処理積層板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年9月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【考案の名称】 木製防火ドア
【実用新案登録請求の範囲】
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例における木製防火ドアの正面
図。
【図2】図1のA−A′部分で実施例1の断面図。
【図3】図3は、難燃処理木質単板5と未処理の木質単
板6とを交互に積層し、熱圧成 形した芯材の表裏に突板化粧材7を接着加工したパネル
の構成断面図を示す。
【符号の説明】 1 木製防火ドア 2 パネル 3 框 4 桟部材 5 難燃処理木質単板 6 木質単板 7 突板化粧材 8 難燃処理積層板

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 框・パネル構造の木製防火ドアにおい
    て、少なくともパネルの芯材として、木質単板に窒素と
    リンを含有する難燃処理剤を付着処理して難燃処理木質
    単板とし、しかる後、難燃処理木質単板を熱圧成形して
    なる難燃処理積層板を用いたことを特徴とする木製防火
    ドア。
  2. 【請求項2】 難燃処理木質単板にフェノ−ル・レゾル
    シノ−ル系樹脂接着剤が塗布されていることを特徴とす
    る請求項1記載の木製防火ドア。
JP338593U 1993-01-12 1993-01-12 木製防火ドア Pending JPH0656465U (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011157766A (ja) * 2010-02-02 2011-08-18 Ntt Facilities Inc 防火扉
JP2015113687A (ja) * 2013-12-16 2015-06-22 洋二 花井 木製構造体

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