JPH065470A - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高圧用アルミニウム電解コンデンサの高温度
における信頼性を増加させる。 【構成】 エチレングリコールを主体とした溶液に側鎖
にアルキル基を有する高級二塩基酸あるいはその塩を溶
解した電解液において、グルコン酸、マンノン酸、ガラ
クトン酸等のヘキソン酸を添加したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電解コンデンサの駆動
用電解液（以下電解液という）に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より高圧用アルミニウム電解コンデ
ンサの電解液にはエチレングリコ−ルを主体とした溶液
にほう酸を溶解した電解液が多用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】アルミニウム電解コン
デンサの高温度での使用においては、従来のエチレング
リコールを主体とした溶液にほう酸を溶解した電解液で
は、エステル化水の発生により、信頼性を十分確保でき
なかった。また炭素数の多い高級二塩基酸の使用も検討
されたが溶解度が低く実用には至っていない。さらに、
側鎖にアルキル基を有する高級二塩基酸の使用が検討さ
れているが、高級二塩基酸は電解液中に水分が存在して
いる条件では、アルミニウムとの錯体形成能力が強いた
め、水分を含まない電解液として使用するか、電解液に
配合する高級二塩基酸の配合量を低く抑える必要があっ
た。しかし、電解液中の水分を含まない条件での電解コ
ンデンサの製造は事実上、不可能であり、また電解液に
配合する高級二塩基酸の配合量を低く抑えることは結果
的には比抵抗の高い電解液しか得ることができないこと
になる。またアルミニウムとの錯体形成は電解コンデン
サにおいては静電容量の著しい減少、損失の著しい増加
をもたらすため根本的な対策を必要としていた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の問題を解
決するためエチレングリコ−ルを主体とした溶液に炭素
数１２〜２２で側鎖にアルキル基を有する高級二塩基酸
またはその塩の中より１種以上を溶解し、グルコン酸、
マンノン酸、ガラクトン酸等のヘキソン酸を０．１重量
％以上添加したことを特徴とする電解コンデンサの電解
液である。

【０００５】

【作用】本発明の電解液は、配合したグルコン酸、マン
ノン酸、ガラクトン酸等のヘキソン酸により高級二塩基
酸とアルミニウムの錯体形成を完全に防止する作用を有
し、電解コンデンサの静電容量の著しい減少、損失の著
しい増加を防止できるものである。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。表１は、エチレングリコールに１０重量％の１，６
−デカンジカルボン酸アンモニウムを配合した電解液総
重量に対し、グルコン酸、マンノン酸、ガラクトン酸等
のヘキソン酸を添加した本発明にかかる電解液と従来の
電解液を用いたアルミニウム電解コンデンサ（定格４０
０Ｖ、２２０μＦ）を１１５℃中で定格電圧を２０００
時間印加した高温負荷試験結果を示すものである。各数
値は試料数１０個の平均値である。

【０００７】

【表１】

【０００８】ヘキソン酸を配合していない電解液を使用
した電解コンデンサ（試料群記号Ａ）と比較して、本発
明の電解液を使用した電解コンデンサ（試料群記号Ｂ，
Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｆ）は静電容量、損失いずれも安定な特性
を示している。また、各種高級二塩基酸においてヘキソ
ン酸について各種配合比において評価したがいずれの組
成においても同様な効果がみられた。しかし、ヘキソン
酸の添加量は０．１重量％未満ではその効果の安定性が
乏しく、０．１重量％以上の配合が必要である。またヘ
キソン酸の飽和溶解量を越える配合は望ましくない。

【０００９】

【発明の効果】以上のように、本発明のエチレングリコ
ールを主体とした溶液に炭素数１２〜２２で側鎖にアル
キル基を有する高級二塩基酸またはその塩のなかより１
種以上を溶解し、グルコン酸、マンノン酸、ガラクトン
酸等のヘキソン酸を０．１重量％以上添加したことを特
徴とする電解液の使用は高温度において安定な高圧用電
解コンデンサが得られ、工業的ならびに実用的価値の大
なるものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エチレングリコ−ルを主体とした溶液に
   炭素数１２〜２２で、側鎖にアルキル基を有する高級二
   塩基酸またはその塩の中より１種以上を溶解し、グルコ
   ン酸、マンノン酸、ガラクトン酸等のヘキソン酸を０．
   １重量％以上添加したことを特徴とする電解コンデンサ
   の駆動用電解液。