JPH0654681A - レシチン化スーパーオキシドディスムターゼ及びそれを有効成分とする医薬 - Google Patents

レシチン化スーパーオキシドディスムターゼ及びそれを有効成分とする医薬

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JPH0654681A
JPH0654681A JP3163723A JP16372391A JPH0654681A JP H0654681 A JPH0654681 A JP H0654681A JP 3163723 A JP3163723 A JP 3163723A JP 16372391 A JP16372391 A JP 16372391A JP H0654681 A JPH0654681 A JP H0654681A
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裕 水島
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理慧 五十嵐
Tsutomu Abe
力 阿部
Toshihide Inomata
俊秀 猪股
Arata Yasuda
新 安田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】スーパーオキシドディスムターゼの安定性を向
上し、その薬理活性を強化する。 【構成】スーパーオキシドディスムターゼとレシチンと
を、直鎖状ジカルボン酸残基からなる化学的橋かけを介
して結合してなる、レシチン化スーパーオキシドディス
ムターゼ、およびそれを有効成分とする薬剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レシチン化スーパーオ
キシドディスムターゼ、およびそれを有効成分とする医
薬に関する。
【0002】
【従来の技術】薬物の効果を高め、副作用を減らす試み
は、古くから行われてきているが、近年応用されて始め
ているものの一つとしてドラックデリバリーシステム
(DDS)がある。DDSとは、薬物を必要とする部位
へ、なるべく選択的に、必要な時間の間移行させ、それ
により薬物の効果を高め全身的な副作用を大幅に減少さ
せる試みである。
【0003】DDSに用いられるキャリアとしては種々
のものがあり、例えばリポソームとリピッドマイクロス
フェアを挙げることができる。リポソームは、天然に存
在する脂質、例えばレシチン、コレステロールなどを有
機溶媒に溶解し、超音波処理などで水に拡散させ、これ
に薬物を封入させたものである。一方、リピッドマイク
ロスフェアは、大豆油をレシチンとともに水に懸濁した
ものであり、レシチンがその表面にあり、内部に薬物が
封入されている。
【0004】両者とも、薬物は主として物理的な結合に
より内部に封入されている。リポソームは、安定性が悪
く、またリピッドマイクロスフェアは、封入する薬物が
脂溶性であることが要求され、その上特殊な製造装置を
使用する必要がある。
【0005】一方、スーパーオキシドディスムターゼ
(以下、これをSODと略記する)は、動物、植物、微
生物などの生体内に広く分布し、遊離(フリー)の反応
性に富む活性酸素であるスーパーオキシドアニオンラジ
カルを分解する酵素として知られている。薬物の面で
は、抗リウマチ剤、心筋梗塞又は臓器移植の際の使用、
抗血栓剤の使用後に生じるラジカルの除去など種々の炎
症への適用が期待されている(抗炎症剤としては、ファ
ルマシア、17巻、411 頁( 1981年) 参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】SODを静脈内投与し
た場合、細胞親和性が低く、かつその血中半減期は僅か
4〜6分とされており、SODは速やかに尿中に排泄さ
れる。SODの血中半減期を増大させるために、SOD
をフィコール、ポリエチレングリコール、ラットアルブ
ミン、デキストランで修飾し、巨大分子化させることが
試みられてきた。
【0007】しかし、フィコールまたはポリエチレング
リコールで修飾されたSODはSODの酵素活性が大幅
に低下しかつ細胞親和性が低いこと、またラットアルブ
ミンで修飾されたSODには抗原性があることが報告さ
れている。また、デキストランによる修飾では、SOD
の抗炎症作用の増強が認められるが、免疫原性を抑制す
る効果は認められていない。
【0008】従来知られている種々の修飾SODは、す
でに報告されている上記の理由、また巨大分子化に伴う
組織内浸透性の低下などの点でいずれも実用上問題があ
った。従って、いずれの修飾SODも臨床応用には至っ
ていないのが現状である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これら従
来のものとは全く異なり、しかも優れた効果を挙げるこ
とができるSODのDDS化について検討した結果、下
記特定のレシチン化スーパーオキシドディスムターゼを
見い出した。本発明は、この特定のレシチン化スーパー
オキシドディスムターゼである。即ち、本発明は、下記
の特定の化学的橋かけを経てレシチンに結合した特定の
スーパーオキシドディスムターゼ、およびそれを有効成
分とする薬剤である。
【0010】下記式[1]で表わされるレシチン化スー
パーオキシドディスムターゼ。 A-[C(O)-(CH2)nC(O)-B]m ・・・[1] ただし、 A:銅及び/又は亜鉛が配位した、111 位がセリンで示
されるヒト由来のスーパーオキシドディスムターゼの残
基 B:グリセロールの2位に水酸基を有するリゾレシチン
の、その2位の水酸基の水素原子を除いた残基 m :1以上の整数 n :2以上の整数
【0011】本発明のレシチン化スーパーオキシドディ
スムターゼは、従来のSODとは生物体内分布、細胞親
和性が著しく異なり、かつ残存活性が90%以上の極めて
均一な活性を保持したものが得られ、従ってSODの薬
理活性の強化、副作用の低下、吸収促進が期待できる。
【0012】本発明のレシチン化スーパーオキシドディ
スムターゼは、通常、リゾレシチンの残基に化学的橋か
け剤を結合させたレシチン誘導体を、銅及び/又は亜鉛
が配位した、かつ111 位がセリンで示されるヒト由来の
スーパーオキシドディスムターゼ(以下、 Cu-Zn型Ser
111h-SOD という)に1個以上結合させて得られる。
【0013】Bは、下記式[2]で表わされるグリセロ
ールの2位に水酸基を有するリゾレシチンの、その2位
の水酸基の水素原子を除いた残基である。 -O-CH(CH2OR)[CH2OP(O)(O-)(OCH2CH2N+(CH3)3)] ・・・[2] 上記式[2]において、R は脂肪酸残基(アシル基)で
あり、特に炭素数8〜30の飽和〜不飽和の脂肪酸残基が
好ましい。特に好ましいR は、ミリストイル基、パルミ
トイル基、ステアロイル基、その他の炭素数14〜22の飽
和脂肪酸残基である。
【0014】上記式[1]中、-C(O)-(CH2)nC(O)- は化
学的橋かけ剤の残基を表わす。この化学的橋かけ剤の残
基は、HO-C(O)-(CH2)nC(O)-OH で表わされる直鎖状ジカ
ルボン酸、およびその無水物、そのエステル、その他の
そのジカルボン酸の反応性誘導体からなる化学的橋かけ
剤の両水酸基を除いた残基である。以下、この残基を化
学的橋かけという。
【0015】この化学的橋かけは、上記リゾレシチン残
基とエステル結合で結合している。また化学的橋かけの
他端は、 Cu-Zn型Ser111h-SOD のアミノ基とアミド結合
などにより直接結合していると考えられる。この式にお
いて、 nは2以上の整数であり、-(CH2)n-は直鎖アルキ
レン基を表わし、特に nが2〜10の直鎖状アルキレン基
が好ましい。
【0016】上記式[1]で表わされるレシチン化 Cu-
Zn型Ser111h-SOD は、例えば Cu-Zn型組換えh-SOD と式
[3]のリゾレシチン誘導体とにより製造される。 Z−C(O)-(CH2)nC(O)-B ・・・[3]
【0017】上記式中、B、n は式[1]の場合と同様
である。式[3]中Zは水酸基、または活性エステルを
形成する基からカルボニル基を除いた基を表わす。例え
ば、p-ニトロフェノール、1,3,5-トリクロロフェノー
ル、ペンタフルオロフェノール、2,4-ジニトロフェノー
ル、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシピペリ
ジン、N-ヒドロキシ -5-ノルボルネン -2,3-ジカルボン
酸イミド、8-ヒドロキシキノリン、2-ヒドロキシピリジ
ンなどの水酸基含有化合物の水酸基の水素原子を除いた
基である。活性エステル体の合成法については公知の方
法を用いることができる(泉屋他、「ペプチド合成の基
礎と実験」(1985)丸善(株)発行、を参照)。
【0018】式[3]で表わされるリゾレシチン誘導体
と Cu-Zn型Ser111h-SOD との結合方法としては、例えば
以下のものが挙げられる。
【0019】式[3]においてZが水酸基の場合はカル
ボジイミド法により行われる。カルボジイミド類として
は、ジエチルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジ
イミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3
-(3-ジメチルアミノプロピル) カルボジイミドなどが挙
げられる。例えば、 1〜10wt%の[3]の化合物の水溶
液を塩酸でpH4〜6に調製し、室温または0℃で1-エチ
ル-3-(3-ジメチルアミノプロピル )カルボジイミドを加
え、再度pHを4〜6に調製する。SODを加え室温また
は0℃で1時間pHを4〜6に保持しその後5〜20時間撹
拌し、レシチン化 Cu-Zn型Ser111h-SOD を得る。
【0020】式[3]においてZが活性エステルを形成
する基からカルボニル基を除いた基を表わす場合は、 C
u-Zn型Ser111h-SOD と直接結合させることができる。反
応はホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリ
ウム、重炭酸ナトリウムなどの塩の水溶液中でレシチン
誘導体と Cu-Zn型Ser111h-SOD を混合することによって
行われる。
【0021】必要に応じて、N,N-ジメチルホルムアミ
ド、N-メチルピロリド、N,N-ジメチルアセトアミド、ス
ルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトン、1,4-ジオ
キシサン、メタノールなどの有機溶媒を加えておくこと
ができる。反応温度は -20〜50℃が好ましく、0〜20℃
が更に好ましい。反応時間は反応温度、混合方法により
異なるが通常2〜24時間である。
【0022】式[3]で表わされるレシチン誘導体の仕
込み量は Cu-Zn型Ser111h-SOD のアミノ基に対して 0.2
〜8倍モル量が適当である。この仕込み比によって Cu-
Zn型Ser111h-SOD に結合させるレシチン誘導体(式
[3])の分子数を調整することができる。
【0023】このようにして得られた反応液にはレシチ
ン化 Cu-Zn型Ser111h-SOD と未反応Cu-Zn型Ser111h-SOD
、及び未反応レシチン誘導体が共存するが、反応液を
ゲル濾過及びイオン交換カラムクロマトグラフィーに付
することにより所望のレシチン化 Cu-Zn型Ser111h-SOD
を得ることができる。またこのようにして得られたレシ
チン化 Cu-Zn型Ser111h-SOD は Cu-Zn型Ser111h-SOD に
種々の分子数のレシチン誘導体が結合して得られたもの
の混合物である。
【0024】有効成分化合物として Cu-Zn型Ser111h-SO
D に結合するレシチン誘導体の分子数が均一であるよう
なレシチン化 Cu-Zn型Ser111h-SOD が所望される場合に
は、前記の方法により得られるレシチン化 Cu-Zn型Ser
111h-SOD を更にゲル濾過、イオン交換カラムクロマト
グラフィーなどの操作に付することにより所望のレシチ
ン化 Cu-Zn型Ser111h-SOD を得ることが可能である。 C
u-Zn型Ser111h-SOD 1分子あたりのレシチン結合数(式
[1]におけるm )は、特に限定されるものではない
が、1〜16が好ましく、特に1〜10が好ましい。
【0025】式[3]の化合物の製造法としては、下記
式[4]で表わされる酸無水物をH-Bで表わされるリゾ
レシチンに反応させる方法、または下記式[5]で表わ
されるジカルボン酸ハーフエステル無水物をH-Bで表わ
されるリゾレシチンに反応させる方法により得られる。 [-C(O)-(CH2)nC(O)-]=O ・・・[4] [Z'-O-C(O)-(CH2)nC(O)-]2=O ・・・[5]
【0026】ここでB、n は式[1]の場合と同様であ
る。Z'はカルボキシル基の保護基、例えば、アルキル
基、メトキシメチル基、ベンジル基、フェナシル基、t-
ブチルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリメ
チルシリル基などを表わす。
【0027】これら酸無水物やハーフエステル無水物を
用いて式[3]の化合物を製造する反応は、通常溶媒中
で行われ、必要により有機塩基を共存させて行う。反応
溶媒としては、例えば、クロロホルムなどのハロゲン化
炭化水素が用いられ、有機塩基としては、例えば、ピリ
ジン、ピペリジン、トリエチルアミン、4-ジメチルアミ
ノピリジン、4-ピペリジノピリジンなどが用いられる。
反応温度は20〜80℃が好ましく40〜60℃が更に好まし
い。反応時間は、通常2〜24時間である。
【0028】式[5]の製造方法としては、当該するカ
ルボン酸ハーフエステルをベンゼン、トルエン、クロロ
ホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、などの
溶媒中でカルボジイミドと混合させることにより得られ
る。カルボジイミドとしては、例えば、ジエチルカルボ
ジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジシクロヘ
キシカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプ
ロピル)カルボジイミドなどが用いられる。反応温度
は、−20℃から溶媒還流温度までの範囲を用いることが
できるが、好ましくは、0℃から室温程度の温度を用い
る。
【0029】本発明で用いる Cu-Zn型Ser111h-SOD は、
例えばヒト由来のスーパーオキシドディスムターゼのア
ミノ酸配列をコードする塩基配列について、部位特異的
変異法に基づき、111 位のシステイン残基をセリン残基
に変換して得られる(特開昭62-130684 号)。
【0030】本発明における製剤の形態としては注射
剤、直腸吸収剤、経鼻吸収剤などが挙げられる。注射剤
は、例えば本有効成分を緩衝剤、等張化剤、pH調節剤、
安定化剤と適量に溶解した注射用蒸留水に溶解し、除菌
フィルタを通して無菌化したものをアンプルに分注する
か、または本有効成分を増量剤、安定化剤とともに注射
用蒸留水に溶解し、除菌フィルタを通して無菌化したも
のをアンプルに分注するか、バイアル瓶に分注して凍結
乾燥することにより調製される。
【0031】以下に本発明を具体的に説明するが、本発
明はこれら実施例に限られるものではない。
【0032】
【実施例】
[合成例1] 9-ベンジルオキシカルボニル -1-ノナン酸無水物の合成 9-ベンジルオキシカルボニル -1-ノナン酸15g(51 mmo
l) をベンゼン50mlに溶解させ0℃に冷却し、DCC
(1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド 5.8g(28mmol)
を加え、室温で15時間撹拌した。不溶物をセライトで
濾過し、減圧濃縮して、標記化合物を得た。
【0033】[合成例2] 2-( 9-ベンジルオキシカルボニルノナノイル)リゾレシ
チンの合成 グリセロールの2位が水酸基であるリゾレシチン3g
(5.9mmol)のクロロホルム−ピリジン(80ml/20ml)懸
濁液に、DMAP(N,N-ジメチルアミノピリジン) 2.16
g(17.7mmol)、9-ベンジルオキシカルボニル -1-ノナン
酸無水物10.0g(17.7mmol)を加え、60℃で15時間撹拌し
た。その後反応液を減圧濃縮し、残渣にクロロホルム:
メタノール:水=4:5:1(10ml)を加えて溶解し、
同液にて平衡化したイオン交換カラム(Dowex 50W-X8)
に通した。
【0034】TLCにより目的化合物を分画し、溶媒を
減圧濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムにより精製
し、標記化合物3.91g(5.0mmol, 85%)を得た。 1H-NMR (CDCl3) 0.84(t,3H),1.20(brs),1.50-1.70(brs,6H),2.20-2.40(b
rs,6H),3.38(s,9H),3.80-4.00(m,4H),4.20-4.40(m,4H),
5.10(s,2H),5.20(m,1H),7.30(m,5H).
【0035】[合成例3] 2-( 9-ヒドロキシカルボニルノナノイル)リゾレチンの
合成 合成例2で得られた2-( 9-ベンジルオキシカルボニルノ
ナノイル)リゾレシチン3.91g(5.00mmol)をメタノール
−水(225ml/25ml)に溶解させ、水酸化パラジウム 3.0
gを加えた。水素置換後15時間1気圧、室温で撹拌し
た。セライトで濾過し減圧濃縮した後、残渣をシリカゲ
ルカラムにより精製して、標記化合物2.37g(3.41mmol,
61%)を得た。
【0036】[合成例4] 2-( 9-ヒドロキシカルボニルノナノイル)リゾレチシン
の活性エステル体の合成 合成例3で得られたカルボン酸 2.0g(2.98mmol)をジク
ロロメタン50mlに溶解させて0℃に冷却し、N-ヒドロキ
シスクシンイミド343mg(2.98mmol)、テトラゾール209m
g(2.98mmol)をこの順で加えた。次にDCC769mg(3.73
mmol)をジクロロメタン8mlに溶解した。溶液をゆっく
り滴下し、室温で15時間撹拌した。不溶物をセライトで
濾過し、活性エステル体のジクロロメタン溶液を得た。
【0037】[合成例5] 11-ベンジルオキシカルボニル -1-ウンデカン酸無水物
の合成 合成例1と同様に 11-ベンジルオキシカルボニル -1-ウ
ンデカン酸より合成した。
【0038】[合成例6] 2-(11-ベンジルオキシカルボニルウンデカノイル) リゾ
レシチンの合成 合成例2と同様に合成例5で得られた酸無水物より合成
した。
【0039】[合成例7] 2-(11-ヒドロキシカルボニルウンデカノイル) リゾレシ
チンの合成 合成例3と同様に合成例6で得られたベンジルエステル
体より合成した。
【0040】[合成例8] 2-(11-ヒドロキシカルボニルウンデカノイル) リゾレシ
チンの活性エステル体の合成 合成例4と同様に合成例7で得られたカルボン酸より合
成した。
【0041】[合成例9] 6-ベンジルオキシカルボニル -1-ヘキサン酸無水物の合
成 合成例1と同様に6-ベンジルオキシカルボニル -1-ヘキ
サン酸より合成した。
【0042】[合成例10] 2-( 6-ベンジルオキシカルボニルヘキサノイル) リゾレ
シチンの合成 合成例2と同様に合成例9で得られた酸無水物より合成
した。
【0043】[合成例11] 2-( 6-ヒドロキシカルボニルヘキサノイル) リゾレシチ
ンの合成 合成例3と同様に合成例10で得られたベンジルエステ
ル体より合成した。
【0044】[合成例12] 2-( 6-ヒドロキシカルボニルヘキサノイル)リゾレシチ
ンの活性エステル体の合成 合成例4と同様に合成例11で得られたカルボン酸より
合成した。
【0045】[合成例13] 2-( 4-ヒドロキシカルボニルブチロイル) リゾレシチン
の合成 合成例3と同様に無水グルタル酸より合成した。精製は
ODS(オクタデシルシラン)を充填したカラムにより
行った。 1H-NMR (CDCl3) 0.84(t,3H),1.20(brs),1.52-1.60(brs,2H),1.80-1.95
(m,2H),2.20-2.42,(m,6H),3.35(s,9H),3.78(m,4H),3.90
-4.35(m,4H),5.20(m,1H).
【0046】[合成例14] 2-( 4-ヒドロキシカルボニルブチロイル)リゾレシチン
の活性エステル体の合成 合成例4と同様に合成例13で得られたカルボン酸より
合成した。
【0047】[実施例]上記合成例で製造した化合物を
用いてレシチン化 Cu-Zn型Ser111h-SOD を下記のA〜C
の方法を用いて製造した。
【0048】方法A:活性エステル溶液のジクロロメタ
ンを留去し、50mMホウ酸緩衝液(pH8.5) に溶解した Cu-
Zn型Ser111h-SOD として、銅及び亜鉛が配位した、111
位がセリンで示されるヒト由来のスーパーオキシドディ
スムターゼ(以下r-h-SOD)を添加し、0℃で1時間、
更に室温で2時間反応させる。反応液を濾過し、セファ
クリルS-300(ファルマシア社製)を担体としたゲル濾
過カラムに付し、反応緩衝液と同一の緩衝液で溶出す
る。次いで、レシチン化r-h-SOD溶出分画を集め、限外
濾過により濃縮する。
【0049】方法B:活性エステル溶液のジクロロメタ
ンを留去し、DMFに溶解させた。これを50mMホウ酸緩
衝液(pH8.5) に添加し、不溶物を濾過後同一緩衝液に溶
解して0℃に冷却したr-h-SOD溶液に滴下する。この時
r-h-SOD溶液にDMFを50%加えておく。0℃で15時
間撹拌後、方法Aと同様に精製する。
【0050】方法C:50mMホウ酸緩衝液(pH8.5)に溶解
したr-h-SOD溶液に、20%のDMFを加え0℃に冷却
し、方法Bと同様に調製した活性エステルのDMF溶液
をゆっくりと滴下する。0℃で15時間撹拌後、方法Aと
同様に精製する。
【0051】[実施例1] r-h-SOD1分子あたりレシチン誘導体が平均2個結合し
たレシチン化r-h-SODの合成 50mMホウ酸緩衝液(pH8.5)に溶解させたr-h-SODと、r
-h-SODの全アミノ基に対して0.4 倍モル量の合成例4で
合成した活性エステルとを方法Aに従って反応させた。
反応溶液をゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィーに
より精製した。タンパク質濃度をローリー法(Lowry,O.
h.ら、(1951). J.Biol.Chem.,193,265)、r-h-SODの残存
アミノ基をTNBS法(トリニトロベンゼンスルホン酸
塩、Goodwin,J.F.ら、(1970).Clin.Chem.,16,24)でおこ
なうことによりr-h-SOD 1分子あたりのレシチン誘導体
の結合数を求めたところ、平均 2.0個であった。
【0052】[実施例2] r-h-SOD1分子あたりレシチン誘導体が平均4個結合し
たレシチン化r-h-SODの合成 50mMホウ酸緩衝液(pH8.5) に溶解させたr-h-SODと、r
-h-SODの全アミノ基に対して0.8 倍モル量の合成例14
で合成した活性エステルとを方法Bに従って反応させ
た。実施例1と同様に精製し、r-h-SOD1分子当たりの
レシチン誘導体の結合数を求めたところ、平均 4.0個で
あった。
【0053】[実施例3] r-h-SOD1分子あたりレシチン誘導体が平均8個結合し
たレシチン化r-h-SODの合成 50mMホウ酸緩衝液(pH8.5) に溶解させたr-h-SODと、r
-h-SODの全アミノ基に対して2.0 倍モル量の合成例8で
合成した活性エステルとを方法Cに従って反応させた。
実施例1と同様に精製し、r-h-SOD1分子当たりのレシ
チン誘導体の結合数を求めたところ、平均 8.0個であっ
た。
【0054】[実施例4] Forssman抗血清による呼吸抵抗に及ぼすレシチン化r-h
-SODの抑制効果 Hartley 系雌性モルモット(体重 280g 〜390g)を日本
医科学動物資材研究所より購入し、実験に用いた。
【0055】呼吸抵抗は Mead らのオッシレーション法
を一部改変したモルモット呼吸抵抗測定装置(Type PMR
-2、シズメメディカル)を用い、無麻酔、自発呼吸下に
て測定した。すなわち、プラスチック製チャンバーボッ
クス内にモルモットを入れ、頭部をボックス外に出し、
ボックス内を密閉した後、20Hzの正弦波を増幅器および
スピーカーで体表面に加えた。この時生ずる気流速度
(ΔV)は、円錐型ゴムマスクの先端の400 メッシュス
クリーンを通過して生ずる圧差をポリグラフ上に記録す
ることにより求め、同時にボックス内圧と口腔内圧との
差(ΔP)も求め、ΔP/ΔVより呼吸抵抗値(Rrs )
を算出した。表示した値はForssman抗血清惹起前の呼吸
抵抗値からの増加率で表わした。
【0056】惹起物質として、40倍希釈したforssman抗
血清( 抗ヒツジ赤血球血清、cappel) を1ml/kg 耳静脈
より投与し、30分間経時的に呼吸抵抗を測定した。被験
薬剤として、注射用生理食塩液(対照群)、それぞれ注
射用生理食塩液に溶解して3000U/mlとし、r-h-SODを 3
000U/kg 含む混合液、実施例2で合成したレシチン化r
-h-SODを 3000U/kg 含む混合液、及びr-h-SOD 3000U/k
g と合成例13で合成した化合物( 2-(4-ヒドロキシカ
ルボニルブチロイル) リゾレシチン) 123μg/kgとを含
む混合液をそれぞれ惹起5分前より3ml/kg耳静脈より投
与した。
【0057】統計学的処理として Mann-Whitney のU検
定を用いて有意差検定を行った。P<0.05 を有意差あ
りと判定した(図1参照)。この試験結果を図1に示
す。その結果より、実施例2のレシチン化r-h-SOD 300
0 U/kg投与群は control(非投与群)に対してP<0.01
で差が見られ効果があったと判定された。また、r-h-S
OD 3000 U/kg 投与群と比較しても全ての測定点におい
てP<0.05で差が見られ、実施例2のレシチン化r-h-S
ODは、r-h-SODよりフリーラジカルを有意に低減するこ
とから、効果的であったと判定された。
【0058】以上のように、実施例2のレシチン化r-h
-SODは、forssman抗血清によるモルモットの呼吸抵抗に
対して有意な抑制効果が見られた。また、レシチン化r
-h-SODをモルモット(1群5匹)に6000U/kg静脈注射し
た結果、いずれも死亡例はみられなかった。
【0059】
【発明の効果】本発明のレシチン化スーパーオキシドデ
ィスムターゼは、スーパーオキシドディスムターゼと化
学的橋かけを経てレシチンに結合させたものである。従
来の修飾体と比較すると生体内分布、細胞親和性が著し
く異なることが期待でき、薬理活性の強化が図られたと
いう効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例4の試験結果を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水島 裕 東京都世田谷区梅丘一丁目1番11号 (72)発明者 五十嵐 理慧 神奈川県川崎市多摩区南生田三丁目3番12 号 (72)発明者 阿部 力 静岡県三島市芙蓉台1丁目16−18 (72)発明者 猪股 俊秀 東京都中央区日本橋本町二丁目1番5号 生化学工業株式会社内 (72)発明者 安田 新 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式[1]で表わされるレシチン化スー
    パーオキシドディスムターゼ。 A-[C(O)-(CH2)nC(O)-B]m ・・・[1] ただし、 A:銅及び/又は亜鉛が配位した、111 位がセリンで示
    されるヒト由来のスーパーオキシドディスムターゼの残
    基 B:グリセロールの2位に水酸基を有するリゾレシチン
    の、その2位の水酸基の水素原子を除いた残基 m :1以上の整数 n :2以上の整数
  2. 【請求項2】n が2〜10の整数である、請求項1のレシ
    チン化スーパーオキシドディスムターゼ。
  3. 【請求項3】m が平均して1〜16である、請求項1また
    は2のレシチン化スーパーオキシドディスムターゼ。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか一のレシチン化ス
    ーパーオキシドディスムターゼを有効成分として含む医
    薬。
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