JPH0654607A - 苗移植機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、帯状の苗を切断装置により切断し
て植付体により植付ける場合に、簡単な伝動機構により
複数の切断装置を駆動することができるようにすると共
に切断装置の切断タイミングと植付体の掻取タイミング
とを容易に調整することができる苗移植機を提供せんと
するものである。 【構成】 苗搬送装置の搬送終端部に、左右から進退し
て帯状苗を切断する切断刃と受刃により構成された切断
装置と、切断した苗を圃場に植え付ける植付体とを対設
した苗移植機において、前記切断装置を複数組直列に配
設すると共にチェーン伝動機構により順次連動連繋し、
切断装置の入力軸に取付けるスプロケットを入力軸に対
して切断タイミングが前記植付体の掻取タイミングに適
合するように角度調節可能に装着した苗移植機。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、帯状にした苗を切断装
置により１株分づつに切断し、これを植付体により圃場
に植え付ける苗移植機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、苗搬送装置の搬送終端部に、帯状
苗を切断する切断刃と受刃により構成された複数の切断
装置を横方向に直列に配設し、各切断装置に対応させて
切断された苗を圃場に植え付ける植付体を対設した苗移
植機を既に提案した。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記移植機における各
切断装置に対する伝動装置をチェーン伝動機構により順
次伝動するように構成すると、伝動機構全体を簡略化す
ることができる。しかし、複数のチェーン及び各チェー
ンを張設するスプロケットの製作誤差及びチェーンの緩
み等により、各切断装置の作動タイミングに誤差を生
じ、また、切断された苗を植付ける植付体の駆動機構に
も製作誤差があるため、駆動源側のものの切断タイミン
グと掻取タイミングとを合致させても、それに続くもの
の上記両タイミングが一致せず、それにより掻取タイミ
ングに対して切断タイミングが遅れると切断されていな
い帯状の苗に対して植付体が作用するので掻取ミスとな
り、また、切断タイミングが掻取タイミングに対して早
すぎると植付体が苗掴みミスをなし、それにより欠株や
転び苗を生じたり、詰まりを生じたりした。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、苗搬送装置の
搬送終端部に、左右から進退して帯状苗を切断する切断
刃と受刃により構成された切断装置と、切断した苗を圃
場に植え付ける植付体とを対設した苗移植機において、
前記切断装置を複数組直列に配設すると共にチェーン伝
動機構により順次連動連繋し、切断装置の駆動軸に取付
けるスプロケットを駆動軸に対して切断タイミングが前
記植付体の掻取タイミングに適合するように角度調節可
能に装着することにより前述の課題を解決した。

【０００５】

【作用】苗搬送装置により搬送された複数条の帯状の苗
は、切断刃と受刃とからなる切断装置によりそれぞれ切
断され、各切断装置により切断された１株分の苗は、そ
れぞれ対向する植付体により掻取られて圃場に植付けら
れる。そして、前記切断装置を植付装置に組み付けた
後、又は整備点検する場合、先ず、駆動源側の切断装置
の切断タイミングを植付体の掻取タイミングに合致さ
せ、次いで、それに続く切断装置の駆動軸に装着されて
いるスプロケットをその駆動軸に対して回動調節して止
着することにより切断タイミングをそれに対応する植付
体の掻取タイミングに合致するように調整する。

【０００６】

【実施例】本発明の一実施例を図面について説明する
と、前輪１，１及び後輪２、２を有する機体３上に運転
席４を、前部中央にエンジン５及びトランスミッション
を、その両側に補助苗台６，６を設け、機体３の後部に
は、植付装置７をトップリンク８とロワリンク９とによ
り昇降可能に連結してある。

【０００７】前記植付装置７は、伝動ケース１０、それ
から左右に延出した横軸に連結された３個のプランター
ケース１１・・、各プランターケース１１にそれぞれ１
対づつ装備させた植付体１２・・、それらのプランター
ケース１１の下部に装着したフロート１３・・、苗送り
フレーム１４の後面上部に張設されていて帯状藺草苗を
横倒し姿勢で搬送する第１搬送ベルト１５・・、それら
に連設されていて苗を起立姿勢に変換しながら搬送する
９０度捩れた第２搬送ベルト１６・・、その搬送終端に
臨設した切断装置１７、及び帯状苗を収納する苗箱１８
により構成されており、各対をなす第２搬送ベルト１
６，１６の送出部にはそれぞれガイド杆２０とスターホ
イール状の送出輪２１，２１を設けてあり、これらの掻
出輪２１，２１の突起はそれぞれ後退角を有するので茎
の持ち回りがなく、また、両掻出輪２１，２１の軸間中
心と外周の回転軌跡とが一致しているので、掻出位置が
一定になり、植付体１２による苗の損傷を防止しながら
植付体１２により的確に掻取って植付けることができ
る。

【０００８】次に、前記切断装置１７を図４乃至図８に
ついて説明すると、この実施例の移植機は６条植えであ
って、２条分の切断刃２２，２２’及び受刃２３，２
３’を組として併設した駆動ケース２４・・を３個横方
向に直列に設けてあり、刃縁が山形状をなす切断刃２
２，２２’が上部に螺着された切り刃アーム２５，２
５’の基部を取付けた切り刃支軸２６，２６’と、上部
に受刃２３，２３’が螺着された受刃アーム２７，２
７’の基部を取付けた受刃支軸２８，２８’とを、前記
駆動ケース２４の両側部に併設し、該駆動ケース２４の
中間部に支承した駆動軸３０に、ローラ３１付のピン３
２を有する駆動アーム３３と開き駆動カム３５を一体回
動するように装着してある。

【０００９】また、前記入力軸３０と一方の受刃支軸２
８との間にカム軸３６を支架し、該カム軸３６に、弧状
カム面を有していて先端が前記駆動軸３０の下方へ向う
共に前記開き駆動カム３５が摺接する開き従動カム３７
の基部と、前記ローラ３１が下面に摺接するへ字状の閉
じ従動カム３８の基部寄りとを固定し、該閉じ従動カム
３８を前記ローラ３１の上昇軌跡と対向する部位の上方
まで延出させると共にカム面の先端側を大きな曲率半径
とし、軸支部寄りは小さな曲率半径になっており、閉じ
従動カム３８の上方の折曲部と他方の切り刃支軸２６’
から垂下した下向きアーム３９とをリンク４０にて連動
連結し、上記他方の切り刃支軸２６’から起立した上向
きアーム４１と、一方の切り刃支軸２６から上記上向き
アーム４１と平行に起立した上向きアーム４２とをリン
ク４３により連動連結し、前記閉じ従動カム３８のカム
軸３６より下方へ延出したアーム部３８ａと、一方の受
刃支軸２８から垂下した下向きアーム４５をリンク４６
にて連動連結し、一方の上記受刃支軸２８から起立した
上向きアーム４７と他方の受刃支軸２８’から起立した
上向きアーム４８をリンク５０にて連動連結してある。

【００１０】更に、中央及びそれに続く駆動ケース２
４，２４の前記入力軸３０，３０の突出部には、それぞ
れ２個のスプロケット５１，５２を取付け、一側の入力
軸３０の突出部には１個のスプロケット５３を取付け、
苗供給部の一側に支承した中間軸５５に取付けたスプロ
ケット５６によりチェーン５７，５８，５９及び前記ス
プロケット５１，５２，５３を介して各駆動軸３０・・
を同一方向（図において反時計方向）に回動するように
なし、中間の駆動軸３０に装着する前記スプロケット５
１，５２は、図７に示す如く駆動軸３０に回動自在に嵌
装されたパイプ６０に固定され、このパイプ６０の外端
に熔接されていて複数の丸孔６１・・を有する円盤６２
と、駆動軸３０に挿脱可能であるが回転しないように嵌
装された筒体６３に熔接されていて複数の円弧状の長孔
６４・・を有する円盤６５とは長孔６４の長さの範囲内
で回動調節可能にボルト６６及びナット６７により重合
締着し、前記筒体６３はワッシャ６８及びナット６９に
より入力軸３０に装着されている。

【００１１】また、切刃アーム２５のボスから垂下した
ステー７０に螺着したストッパー７１は、切断作用時に
受刃アーム２７の下端に当接して切断刃２２と受刃２３
の最大重合位置を規制しており、上記ステー７０の下端
と受金７２のピンに張設した戻しスプリング７３は切断
刃２２，２２’及びそれに連動する受刃２３，２３’を
開き方向に付勢している。

【００１２】切断刃２２は刃部をナイフ状に形成してあ
り、その刃縁を有する裏面を研削することにより凹部に
形成し、この凹部に耐摩耗性を有する物質７５、例え
ば、セラミックス、又はサーメットを溶射することによ
り平面に形成してあり、これにより切断刃の耐久性を著
しく向上させることができた。

【００１３】而して、帯状の藺草苗を植付ける場合、各
苗箱１８に入れた帯状苗を第１搬送ベルト１５・・によ
り横倒し姿勢で搬送しながら引き出すと、第２搬送ベル
ト１６はそれを引き継いで搬送しながら起立させ、搬送
終端では、茎部を左右の送出輪２１，２１が掻き出し、
ガイド杆２０がそれを案内し、根部側では、切断刃２
２，２２’・・と受刃２３，２３’が閉じ作用して根及
びその近傍の茎部に貼着されたテープ並びにテープに巻
きつけた糸等を切断する。

【００１４】その際、駆動軸３０と共に図において反時
計方向に回動するローラ３１は閉じ従動カム３８の下面
の曲率半径の大きな面に重合して押上作動するが、該閉
じ従動カム３８は駆動軸３０を越えて反対側まで延出し
ていてローラ３１の接触点とカム軸３６との間隔が大で
あること及び案内面の曲率半径が大であることとが相俟
ってゆっくり反時計方向に回動し、それにより一方では
リンク４０、下向きアーム３９を介して切り刃支軸２
６’を時計方向に回動させ、同時に上向きアーム４１，
４２及びリンク４３を介して切り刃支軸２６を時計方向
へ回動させ、他方ではアーム部３８ａはリンク４６及び
下向きアーム４５受刃支軸２８を反時計方向へ回動さ
せ、同時に上向きアーム４７はリンク５０を介して他方
の上向きアーム４８及び受刃支軸２８’を反時計方向に
回動させるので、切断刃２２，２２’と受刃２３、２
３’とが閉じ作用をなし、閉じ従動カム３８の曲率半径
の大なる部分で図１２にａで示すようにように既に提案
したもののｂよりも低速度で所定位置まで閉じ、ストッ
パー７１により規制される。それに続く曲率半径の小な
る部分で短い間最も閉じた状態を保持し、この間に植付
体１２が１株分の苗を掻取り、下降して圃場に植付け
る。次いで、開き駆動カム３５が開き従動カム３７に摺
接してそれを時計方向に回動させるので、切断刃２２，
２２’と受刃２３，２３’とが戻しスプリング７３に付
勢された状態でリンク４６及び５０を介して開き作動す
る。このような切断行程において前記閉じ従動カム３８
の先端部側の曲率半径の大なる閉じ行程では作動速度が
低速であるので、騒音を防止しながら無理なく切断する
ことができ、それに続く植付体１２が苗を掻取った後の
開き時には急速に開く。

【００１５】また、前述の帯状苗を切断する時、切断刃
２２，２２’は２枚の板からなる受刃２３，２３’で受
け止められている帯状苗の根側のテープが貼着されてい
る部分に先端から侵入して切断するが、その際、切断刃
２２，２２’の刃縁に根、茎、テープ等が引っかかった
状態で侵入することがあり、そのような場合でも、切断
刃２２，２２’の受刃２３，２３’に対して最も深く重
合した状態では、切断刃２２，２２’の刃縁の大部分が
受刃２３，２３’の基部の側の幅が狭くなった部分から
突出されるので、上記引っ掛かったテープ等を押し出す
こととなり、それにより受刃２３，２３’に詰まりを生
ずることがなく常にかつ長期間切れ味の良い状態で苗の
切断を行うことができる。

【００１６】而して、切断装置１７の切断タイミングを
調整する場合、最初に中間軸５５側の切断装置１７に対
応する植付体１２を掻取姿勢になし、この状態でそれに
付随する駆動軸３０を回動調節して切断タイミングを調
整し、スプロケット５１，５２を駆動軸３０に締着す
る。次いで、その次ぎの植付体１２を適正掻取位置と
し、それに対応する切断装置１７の駆動軸３０に付随す
るボルト６９及びナット６７・・を緩めた状態で駆動軸
３０を回動して切断刃２２と受刃２３が最も閉じて状態
を一時持続する状態にタイミング調節し、この状態でナ
ット６７・・及びボルト６９を締め付ける。以下それに
続く切断装置１７にタイミング調節する。このような調
整を行うと、植付体１２及びその伝動装置等に製作誤差
があっても、また、切断装置１７及びそれに伝動する機
構に製作誤差等があっても多条植えタイプの移植機にお
いて各切断装置１７・・の切断タイミングとそれに対応
する植付体１２の掻取タイミングをいずれも適正にする
ことができる。

【００１７】

【発明の効果】本発明は、苗搬送装置の搬送終端部に、
左右から進退して帯状苗を切断する切断刃と受刃により
構成された切断装置と、切断した苗を圃場に植え付ける
植付体とを対設した苗移植機において、前記切断装置を
複数組直列に配設すると共にチェーン伝動機構により順
次連動連繋し、切断装置の駆動軸に取付けるスプロケッ
トを駆動軸に対して切断タイミングが前記植付体の掻取
タイミングに適合するように角度調節可能に装着したの
で、各植付体１２・・及びそれらを駆動する伝動系、又
は切断装置１７及びそれを駆動する伝動系等に製作誤差
等があっても、対をなす切断装置１７の切断タイミング
と植付体１２の掻取タイミングとを、切断装置１７の駆
動軸３０に装着するスプロケットを駆動軸３０に対して
個別に回動調節することによりすべて適性タイミングに
調整することができ、多条植え型であってもすべての植
付体１２・・が掻取ミス又は掴みミスすことがなく、植
付精度を著しく向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】藺草苗移植機の概略を示す側面図である。

【図２】苗供給搬送装置の斜視図である。

【図３】苗掻取部の平面図である。

【図４】切断装置の駆動部の横断面図である。

【図５】カム部の正面図である。

【図６】切断装置の平断面図である。

【図７】伝動調節部の断面図である。

【図８】同上調節部の正面図である。

【図９】切断部の正面図である。

【図１０】同上平面図である。

【図１１】切断装置を３連にしたものの横断面図であ
る。

【図１２】切断装置の作動を示す図面である。

【符号の説明】

７ 植付装置 １２ 植付体 ２２ 切断刃 ２３ 受刃 ３０ 駆動軸 ３１ ローラ ３３ 駆動アーム ３６ カム軸 ３８ 閉じ従動カム ５１，５２，５３ スプロケット ６０，６３ 筒体 ６２，６５ 円盤 ６６ ボルト ６７ ナット

【手続補正書】

【提出日】平成５年３月１５日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１７

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１７】

【発明の効果】本発明は、苗搬送装置の搬送終端部に、
左右から進退して帯状苗を切断する切断刃と受刃により
構成された切断装置と、切断した苗を圃場に植え付ける
植付体とを対設した苗移植機において、前記切断装置を
複数組直列に配設すると共にチェーン伝動機構により順
次連動連繋し、切断装置の駆動軸に取付けるスプロケッ
トを駆動軸に対して切断タイミングが前記植付体の掻取
タイミングに適合するように角度調節可能に装着したの
で、各植付体１２・・及びそれらを駆動する伝動系、又
は切断装置１７及びそれを駆動する伝動系等に製作誤差
等があっても、対をなす切断装置１７の切断タイミング
と植付体１２の掻取タイミングとを、切断装置１７の駆
動軸３０に装着するスプロケットを駆動軸３０に対して
個別に回動調節することによりすべて適性タイミングに
調整することができ、多条植え型であってもすべての植
付体１２・・が掻取ミス又は掴みミスすることがなく、
植付精度を著しく向上することができる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 苗搬送装置の搬送終端部に、左右から進
   退して帯状苗を切断する切断刃２２と受刃２３により構
   成された切断装置と、切断した苗を圃場に植え付ける植
   付体１２とを対設した苗移植機において、前記切断装置
   １７を複数組直列に配設すると共にチェーン伝動機構に
   より順次連動連繋し、切断装置１７の駆動軸３０に取付
   けるスプロケットを駆動軸３０に対して切断タイミング
   が前記植付体の掻取タイミングに適合するように角度調
   節可能に装着したことを特徴とする苗移植機。