JPH065398Y2 - 溶解炉の溶融金属炉底排出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は溶解炉の溶融金属炉底排出装置に係り、特に炉
底排出式溶解炉の湯出し口内に砂等の充填物を充填して
閉栓する湯出し口の閉栓を容易にかつ確実に行い得る溶
解炉の炉底排出装置に装置に関するものである。

［従来の技術］ 一般に金属の溶解炉としては、主にスクラップを溶解・
精錬するアーク炉や、高炉で出銑した溶銑を精錬する転
炉等が知られている。

近年、第４図に示すような炉底出鋼式アーク炉５が採用
されている。図示するように、炉底出鋼式アーク炉５
は、炉体２及び炉蓋３を鋼板及び耐火レンガで形成し、
球面状に形成された炉底６の一部を径方向外方に延出さ
せて出鋼部７を設け、この出鋼部７に湯出し口８を形成
したものである。この湯出し口８には下方からこれを閉
成する開閉ゲート９が設けられ、その直下には取鍋１０
が設置されるようになっている。この炉底出鋼式アーク
炉５は、炉体２に設けられた傾動装置１１による炉体２
の傾斜角も小さくて済み、且つ炉底６から出鋼するため
取鍋１１内にスラグが混入し難い。

上記湯出し口８を閉成する開閉ゲート９には、第５図に
示すような回動するフラッパーゲート１２と第６図に示
すような水平移動するスライドゲート１３とが採用され
ている。

この湯出し口８の構造は炉底６の鋼板及び耐火レンガを
貫通させて円柱状の貫通孔を形成し、その内壁に黒鉛ブ
ロック１４を内装したものであった。

この湯出し口８の閉栓は、開閉ゲート９を閉成した後、
炉内から湯出し口８内に砂１５を充填することによりな
されていた。

このように湯出し口８を閉栓した炉底出鋼式アーク炉５
の出鋼は、上記開閉ゲート９を開放した後、湯出し口８
の下方から砂１５を排出し、つづいて溶鋼を排出してい
た。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、従来の構造にあっては次の如き課題があっ
た。

湯出し口８内への砂の充填を開閉ゲート９を閉成した
後、炉内から行っていたので、充填装置（図示せず）が
大掛かりになるという問題があった。

特に、転炉のように竪長でかつ炉底耐火物の厚い溶解炉
にあっては湯出し口８への砂の充填が困難であった。

上述の如き課題に鑑みて本考案は、簡単な装置で溶解炉
の炉底に形成された湯出し口への砂の充填を極めて容易
にかつ確実に行うことができる溶解炉の溶融金属排出装
置を提供することを目的とするものである。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成すべく本考案は、炉底に排出口を有する
溶解炉の溶融金属炉底排出装置において、上記排出口の
下部開口端を閉じるために着脱自在に設けられた開閉ゲ
ートと、この開閉ゲート上に載置され、排出口内に臨ん
で起立された案内管と、上記開閉ゲートにその下方から
貫通して一体的に取付けられ上記案内管内に挿通された
充填ノズルと、この充填ノズルに上記排出口内への充填
物を供給する充填物供給手段とからなるものである。

［作用］ 上述の如く構成され、上記開閉ゲートに下方から充填ノ
ズルを貫通させて一体的に取り付け、この開閉ゲート上
に上記案内管を起立させて載置する。この案内管内に
は、上記充填ノズルの先端部が挿通されている。この案
内管及び充填ノズルを具備した開閉ゲートを溶解炉の炉
底に形成された排出口に移動させ、その下部開口端を閉
塞する。このとき、上記案内管は排出口内に臨んで起立
されている。そして、上記充填ノズルに充填物供給手段
を接続するか、或は予め接続しておき、これより砂等の
充填物を供給する。充填ノズルから噴出される充填物は
上記案内管に案内され、開閉ゲートの直上から序々に積
層され湯出し口内に充填される。

［実施例］ 以下に本考案の溶解炉の溶融金属炉底排出装置の一実施
例を添付図面に基づいて詳述する。

第１図及び第２図に示す如く、溶解炉２０の炉体は鋼板
２１及び耐火レンガ２２にて形成されている。第１図及
び第２図は、例えば転炉の炉底２３の要部を示すもので
あり、炉底２３には炉内に収容される溶融金属を排出す
るための排出口として湯出し口２４が形成されている。
この湯出し口２４は、上記鋼板２１及び耐火レンガ２２
を貫通させて円柱状に開口された貫通孔２５内に、黒鉛
ブロック２６を内装して形成されている。

また、湯出し口２４の下方に突き出した突出部２８には
開閉ゲート２９が上下左右に着脱自在に設けられてい
る。この開閉ゲート２９は中央部に貫通孔３０を有す
る。この開閉ゲート２９は湯出し口２４の突出部２８に
昇降装置（図示せず）により接するようになっている。
更に、上記開閉ゲート２９の貫通孔３０には充填ノズル
３１が下方からその先端部を貫通させて一体的に取り付
けられている。この充填ノズル３１は円筒体にて形成さ
れ、その一部分にはフレキシブルチューブ部３２が介設
されている。この充填ノズル３１の先端部は開閉ゲート
２９の上方に突き出すように取り付けられている。そし
て、この開閉ゲート２９上には円筒体にて形成された案
内管３３が起立されている。この案内管３３は開閉ゲー
ト２９上に載置されているだけで、固定されていない。
この案内管３３の内径は、上記充填ノズル３１の先端部
の外径よりも大きく形成され、開閉ゲート２９上に案内
管３３が起立されたときに、第３図に示す如く、充填ノ
ズル３１の開閉ゲート２９から上方に突き出した先端部
は上記案内管３３内に挿通されるようになっている。上
記案内管３３の内径と、上記充填ノズル３１の先端部の
外径とを略等しく設定しておけば、案内管３３を開閉ゲ
ート２９上に安定させることができる。この充填ノズル
３１には例えばフランジ３４接続されて充填物供給手段
３５が設けられている。この充填物供給手段３５は砂等
の充填物４０を移送する充填物移送管３６と、この充填
物移送管３６内に充填物４０を供給すべく砂等を貯留す
る充填物ホッパ３７と、このホッパ３７から切り出され
る充填物の量を調節する供給量調節弁３８と、上記充填
物移送管３６内を充填物４０を移送させるべく移送圧力
を発生する圧縮機３９とから構成されている。この圧縮
機３９の圧縮媒体には例えば空気、窒素ガス或はアルゴ
ンガス等が使用されるようになっている。

上記案内管３３は、上記開閉ゲート２９が湯出し口２４
を閉塞したときに、湯出し口２４内に臨んで起立される
ようになっている。この案内管３３の長さについては本
実施例の作用で後述する。

尚、本装置は上記開閉ゲート２９を湯出し口２４の直下
左右へ位置させるべく上記昇降装置及び水平移動装置
（以上図示せず）を備えている。これら昇降装置及び水
平移動装置には、例えば油圧シリンダやピニオン・アン
ド・ラックを用いる。

次に上記実施例における作用を述べる。

溶解炉２０内にスクラップ等を投入する前に上記湯出し
口２４を開閉ゲート２９で閉塞し、炉内から湯出し口２
４内にこれを閉栓すべく砂等の充填物４０を充填する。

予め開閉ゲート２９の貫通孔３０にその下方から充填ノ
ズル３１の先端部を貫通させ、その先端部を開閉ゲート
２９上に突き出させて一体的に取り付けておく。そし
て、この開閉ゲート２９上に上記案内管３３を起立させ
て載置する。上記充填ノズル３１の先端部は、第３図に
示した如く案内管３３内に挿通された状態となり、案内
管３３は開閉ゲート２９上に安定して起立される。この
ように充填ノズル３１及び案内管３３を具備した開閉ゲ
ート２９を昇降装置（図示せず）で上昇させて湯出し口
２４の直下に位置させ、開閉ゲート２９を湯出し口２４
の突出部２８に接して湯出し口２４の下部開口端を閉塞
する。開閉ゲート２９が湯出し口２４を閉塞すると、上
記案内管３３は湯出し口２４内に臨んで起立される。爾
後、上記充填ノズル３１に充填物供給手段３５を接続。
或は、予め充填ノズル３１に充填物供給手段３５を接続
しておく。そして、充填物供給手段３５の充填物タンク
３７から供給量調節弁３８により充填物移送管３６内に
所望の量の砂等の充填物４０を切り出し、これと同期し
て圧縮機３９により空気、窒素ガス或はアルゴンガスを
圧縮して移送圧力を与える。すると、充填物供給手段３
５から充填ノズル３１に充填物４０が供給される。充填
ノズル３１から噴出された充填物４０は上記湯出し口２
４内に臨んで起立された案内管３３により案内され、上
記へと吹き上げられる。湯出し口２４内に吹き上げられ
た充填物４０は案内管３３の外周の開閉ゲート２９の直
上から積層されていく。そして、湯出し口２４内全体に
積層された後、案内管３３内にも充填物が侵入して充填
されるものである。これにより、充填物４０が湯出し口
２４内に確実に充填されるものである。この案内管３３
の長さは充填物４０が極端に飛散しない程度の充填圧力
を設定し、その圧力との関係から経験的に求めるもので
ある。

溶解・精錬工程完了後、溶融金属を排出するに際してま
ず湯出し口２４から充填物４０を排出する。このとき
は、開閉ゲート２９を昇降装置により下降させ、水平移
動装置により水平移動させる。開閉ゲート２９は、案内
管３３と分離できる着脱構造となっており、わずかに下
降するだけで、水平移動させて待避させることが可能で
あり、工程の時間短縮が図れる。

更に、本装置は水平移動装置（図示せず）を備えている
ので、溶解炉２０と取鍋（図示せず）との間隔を小さく
することができる。

また更に、案内管３３には特別の構造を必要せず材質も
金属・紙等種々のものが利用できる上交換品も多くそろ
えることができる。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば次の如き優れた効果を発揮
する。

(1)溶解炉の炉底に形成された排出口への砂等の充填物
の充填を極めて容易にかつ確実に行うことができる。

(2)装置の構造が簡単である。

(3)炉底の下方から排出口内に砂等の充填物を充填する
ことができるので、竪長で炉底耐火物の厚い転炉や、排
出口が炉芯から偏芯して設けられた溶解炉の排出口にも
容易に充填物を充填することができ、汎用性に富む。

(4)排出口内に充填物を吹込むための案内管と開閉ゲー
トとが分離できる構造のため、溶融金属排出時ゲートの
下降距離が少なく、退避時間が短縮される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の溶解炉の溶融金属の炉底排出装置の一
実施例を示す概略図、第２図は第１図の要部拡大図、第
３図は第２図のＡ部拡大図、第４図は炉底出鋼式アーク
炉を示す概略図、第５図及び第６図は従来の排出口の構
造を示す要部概略図である。 図中、２０は溶解炉、２３は炉底、２４は湯出し口、２
９は開閉ゲート、３１は充填ノズル、３３は案内管、３
５は充填物供給手段である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】炉底に排出口を有する溶解炉の溶融金属炉
   底排出装置において、上記排出口の下部開口端を閉じる
   ための着脱自在に設けられた開閉ゲートと、該開閉ゲー
   ト上に載置され、排出口内に臨んで起立された案内管
   と、上記開閉ゲートにその下方から貫通して一体的に取
   付けられ上記案内管内に挿通された充填ノズルと、該充
   填ノズルに上記排出口内への充填物を供給する充填物供
   給手段とからなることを特徴とする溶解炉の溶融金属炉
   底排出装置。