JPH0653859U - 金属積層形ガスケット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 フランジ面間に締結されるときに、ビードの
つぶれ代分の逃げにより金属ガスケット部材の組立部位
に生じる歪み変形を吸収しうる金属積層形ガスケットを
提供することにある。 【構成】 少なくともビード加工を施された金属ガスケ
ット部材２の組立部位４に隣接した位置にスリット孔６
を設ける。スリット孔は組立部位に対して総体的に内方
側に位置するかまたは、組立部位を総体的に囲繞するよ
うに設けられる。 【効果】 フランジ面間に締結されたときに生じるビー
ドのつぶれ代分の逃げは、ビードの位置からガスケット
面方向へ移動し、組立部位に指向する逃げはスリット孔
において吸収され、金属ガスケット部材に歪み変形が生
じるのを防止できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は金属積層形ガスケットに関し、特に、ビード加工を施された金属ガス ケット部材を有する金属積層形ガスケットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

周知の如く、金属積層形ガスケットは金属薄板を所定の形状に打抜き成形した 金属ガスケット部材を重ね合わせ、各金属ガスケット部材間を歯止めやスポット 溶接やタガー等の結合手段により所定の組立部位で連結して形成されている。一 方、主として面圧確保の目的から、近年の金属積層形ガスケットは、金属薄板を 打抜き成形する際に所定の開口等の周縁にビードを形成した金属ガスケット部材 が採用されている。

【０００３】 このようなビードを備えた金属積層形ガスケットは、フランジ面間に締結され るときに、ビードのつぶれ代分の逃げが金属ガスケット部材の内外に発生する。 しかしながら、従来の金属積層形ガスケットでは、このビードのつぶれ代分の逃 げが結合手段によって拘束された形となり、金属ガスケット部材に内外応力とし て残留して締付け面圧のバラツキや偏り等の要因となっていた。そのため、設計 上における面圧分布や寸法関係等をそのまま実現するのが困難となり、思わぬ箇 所でのシール漏れや耐久性の不足等を生じていた。

【０００４】 加えて、近年の金属積層形ガスケットは、例えば、ビードの有無や開口の寸法 形状の相違等のように、異なった形状金属ガスケット部材を複数枚組み合せ、面 圧の有効な分布を行なうように構成されている。そのため、ビードのつぶれ代分 の逃げによる歪み変形も複合的なものとなり、設計段階でそれに対処することは 繁雑であり、非常に困難なものであった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 本考案は、ビードのつぶれ代分の逃げを吸収し、面圧分布のバラツキや偏り等 が生じるのを防止でき、それにより設計上における好適な面圧分布や寸法関係等 を維持して不測のシール漏れや耐久性不足等を回避しうる金属積層形ガスケット を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案による金属積層形ガスケットは、少なくとも１枚のビード加工を施され た金属ガスケット部材と、別の少なくとも１枚の金属ガスケット部材とから構成 される金属積層形ガスケットである。少なくともビード加工を施された金属ガス ケット部材には各金属ガスケット部材間を結合するための組立部位に隣接してス リット孔が設けられる。

【０００７】 組立部位が金属積層形ガスケットの周縁位置にあるとき、スリット孔を組立部 位に対して総体的に内方側に位置するように設ければよい。また、組立部位が金 属積層形ガスケットの内方位置にあるとき、スリット孔は組立部位を総体的に囲 繞するように設ければよい。

【０００８】

【作用】

本考案によるビードを備えた金属積層形ガスケットでは、フランジ面間に締結 されたときに生じるビードのつぶれ代分の逃げは、ビードの位置からガスケット 面方向に移動し、組立部位に指向する逃げはスリット孔において吸収される。

【０００９】 すなわち、組立部位に設けられる結合手段は、ビードのつぶれ代分の逃げに対 し、組立部位に隣接して設けられたスリット孔によって実質的に分離または遊離 した関係となり、ビードのつぶれ代分の逃げはガスケット面方向に自由に移行す る。これにより、ガスケットを設計する上において、ビードのつぶれ代分の逃げ は結合手段を使用しない場合と実質的に同等に扱うことが可能となる。

【００１０】

【実施例】 本考案の実施例による金属積層形ガスケットは、図１および２に示すように、 流体が流動するための開口１を備えた所要の平面形状を有する複数枚、図示の場 合、５枚の金属ガスケット部材２から構成される。金属ガスケット部材２の少な くとも１枚、図示の場合、上下の２枚には開口１を囲繞するようにビード３が設 けられる。各金属ガスケット部材２はその所定の組立部位４において、歯止めや スポット溶接やタガー等の結合手段５によって相互に結合されている。金属ガス ケット部材２の組立部位４の近傍にはスリット孔６が形成される。

【００１１】 スリット孔６の配設位置は組立部位４の位置によって異なり、例えば、図３お よび４に例示するように、組立部位４が金属積層形ガスケットの周縁位置にある ときと、図５に例示するように、金属積層形ガスケットの内方位置にあるときと で異なっている。

【００１２】 組立部位４が図３および４に示すような周縁位置にあるとき、スリット孔６は 組立部位４に対して総体的に内方側に位置して、組立部位４をガスケットの本体 Ｇ側から実質的に分離するように設けられる。一方、組立部位４が図５に示すよ うな内方位置にあるとき、スリット孔６は組立部位４を総体的に囲繞するように 設けられ、組立部位４をその回りのガスケットの本体Ｇから実質的に分離するよ うに設けられる。

【００１３】 スリット孔６は少なくともビード３を形成された金属ガスケット部材２に設け られていれば十分である。しかしながら、ビードを有する金属ガスケット部材か らのビードのつぶれ代分の逃げにより、ビードを有しない金属ガスケット部材に 変形応力が生じるのを防止するために、図２に示すように、全金属ガスケット部 材２を貫通する穴の形状でスリット孔６を設けるのが好ましい。

【００１４】

【考案の効果】

本考案によれば、組立部位４に隣接して設けられたスリット孔６を有すること により、使用時のビード３のつぶれ代分の逃げはスリット孔６により吸収され、 金属ガスケット部材２の歪み変形による面圧分布のバラツキや偏り等が発生する のを確実に防止できるものである。

【００１５】 更に、スリット孔６により組立部位に設けられる結合手段をガスケット本体Ｇ 側から実質的に分離または遊離することができるため、設計上における好適な面 圧分布や寸法関係等を容易に現出でき、不測のシール漏れや耐久性不足等を回避 できるものである。

【００１６】 また、スリット孔６の配設位置を、組立部位４が金属積層形ガスケットの周縁 位置にあるとき、組立部位４に対して総体的に内方側に位置するように設け、組 立部位４が内方位置にあるとき、組立部位４を総体的に囲繞するように設けるこ とにより、金属ガスケット部材２の強度を無用に脆弱にすることなく、ビード３ のつぶれ代分の逃げを吸収できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例による金属積層形ガスケットを
模式的に示す部分平面図である。

【図２】図１の線Ａ−Ａにおける拡大断面図である。

【図３】本考案の実施例における組立部位とスリット孔
の位置関係を説明するための図である

【図４】組立部位とスリット孔の別の位置関係を示す図
４と同様な図である。

【図５】組立部位とスリット孔の更に別の位置関係を示
す図４と同様な図である。

【符号の説明】

２ 金属ガスケット部材 ３ ビード ４ 組立部位 ６ スリット孔

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも１枚のビード加工を施された
   金属ガスケット部材と、別の少なくとも１枚の金属ガス
   ケット部材とから構成される金属積層形ガスケットであ
   って、少なくともビード加工を施された金属ガスケット
   部材には各金属ガスケット部材間を結合するための組立
   部位に隣接してスリット孔が設けられていることを特徴
   とする金属積層形ガスケット。
2. 【請求項２】 組立部位が金属積層形ガスケットの周縁
   位置にあるとき、スリット孔は組立部位に対して総体的
   に内方側に位置するように設けられることを特徴とする
   請求項１記載の金属積層形ガスケット。
3. 【請求項３】 組立部位が金属積層形ガスケットの内方
   位置にあるとき、スリット孔は組立部位を総体的に囲繞
   するように設けられることを特徴とする請求項１または
   ２記載の金属積層形ガスケット。