JPH0652659B2 - 溶融炭酸塩型燃料電池 - Google Patents

溶融炭酸塩型燃料電池

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JPH0652659B2
JPH0652659B2 JP62247860A JP24786087A JPH0652659B2 JP H0652659 B2 JPH0652659 B2 JP H0652659B2 JP 62247860 A JP62247860 A JP 62247860A JP 24786087 A JP24786087 A JP 24786087A JP H0652659 B2 JPH0652659 B2 JP H0652659B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、単位電池を積層する積層型燃料電池に係り、
特に、電解質マトリックス体の電解質や反応ガスの漏洩
を防止するのに好適なシール構造を有する溶融炭酸塩型
燃料電池に関する。
〔従来の技術〕
電解質を保持する電解質マトリックス体と、この電解質
マトリックス体を介して相対するガス拡散性多孔質のカ
ソード電極およびアノード電極からなる単位電池を、カ
ソード電極に供給される酸化剤が流通する室およびアノ
ード電極に供給される燃料が流通する室を具備したセパ
レータを介して、複数個積層して形成した溶融炭酸塩型
燃料電池が知られている。この電池は、燃料が有する化
学エネルギーを直接電気エネルギーに変換できるので発
電効率が高く、かつ、有害ガスあるいは液体の発生が少
なく、しかも低騒音のため環境調和性に優れており、将
来有望な新電源としてその開発が盛んである。
特に、この溶融炭酸塩型燃料電池は発電効率が高く、か
つ、LNGから石炭に至るまでの燃料の多様化が可能な
ので早期実用化が望まれている。
しかし、実用化に至るまでには数多くの課題が残されて
おり、前記セパレータと前記電解質マトリックス体の外
周端縁との接触部からの電解質および反応ガスの漏洩を
防止するシール構造も重要な技術的課題と云える。
燃料電池のシール構造としては、以下のような種類があ
る。まず第1にあげられるのはウェットシール構造であ
る。電解質の電解液自体の表面張力によって反応ガスの
外部への漏洩とクロスオーバー(漏洩ガスが反対側の電
極に達して短絡する現象)を防止する構造であるが、電
解質マトリックス体の高い保持能力が要求される。
第2にあげられるのはハードシール構造である。これは
電解質マトリックス体の外周端縁とセパレータの間に固
体シール部材を設置し、その存在で外部への反応ガスや
電解質流出を防止する構造である。この構造の例として
実公昭61-44369号公報があり、ガス分離板(セパレー
タ)の各ガス電極に対する周辺シール面に、膨張黒鉛層
と耐熱絶縁シートよりなる複合シール部材を配設するこ
とが示されている。
一般にマトリックス型燃料電池としては、セパレータの
周辺シール面に介在するシール部材として、電解質含浸
マトリックス自体の延長部を利用するものとゴムシート
或はフッ素樹脂シートなどの絶縁シートを用いるものが
知られている。これらのシール部材はいずれも電解液で
ある燐酸に対して比較的安定な材料と云えるが、それで
も長期間の使用で安定なものはフッ素樹脂シートのみで
ある。このフッ素樹脂シートも弾力性に乏しいために、
電池構成材にわずかな寸法変化が生じてもこれを吸収で
きないという問題がある。
膨張黒鉛層は炭素質でできているため長期間安定性を有
し、弾力性、気密性に優れているのでフッ素樹脂シート
などの絶縁シートとの組合せにより耐久性、弾力性のあ
るガスシール部材を形成し得る。
また特開昭58-164155号公報には、ポリ四フッ化エチレ
ンやフッ素ゴムを液状にしたものをシール部に塗布し、
高温状態で一定時間保持して揮発成分を飛ばして固形状
にするシール構造が記載されている。
その他、特開昭58-157063号公報では、熱処理するシー
ル部材として四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共
重合体およびパーフロロアルキルビニルエーテル共重合
体をあげている。
溶融炭酸塩型燃料電池の具体例としては一体化フレキシ
ブルセル構造がある。その構造は第2図に示されるよう
に、セパレータ10の外周端縁に、リザーバ13を設け、こ
のリザーバ13の内周端縁に電極11の外周端縁をはめ込
み、その上をソフトレール14によって囲む構造である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
溶融炭酸塩型燃料電池は、運転温度が650℃という高温
である上に、使用される電解質が腐食性の強いアルカリ
金属炭酸塩であることから、構成部材の選択が非常に難
しく極めて限られた材料しか使用できないのが現状であ
る。
燐酸電解質型燃料電池においてはポリ四フッ化エチレ
ン、膨張黒鉛、フッ素ゴムなどのシートがシール部材と
して有用であるが、溶融炭酸塩型燃料電池においては使
用不可能である。
そのため、一般的にこの型の燃料電池はシール構造とし
てウェットシール構造を適用しているが問題点が多い。
電解質マトリックス体は多孔質体であり、その細孔内に
電解質を貯えるものであるが、その保持能力には限界が
あって電解質の外部流出は従来の構造では避けることが
極めて難しい。電解質の外部流出によって電解質マトリ
ックス体中の電解質が不足し、ピンホールやクラックが
発生して燃料ガス、酸化剤または生成ガスが反対側の電
極に達するクロスオーバ現象が発生する。あるいは、ウ
ェットシールがきかずに反応ガスが外部へリークする。
また、流出した電解質によりセパレータ自体が腐食して
局部電池を形成し、電池効率の低下を招くパレスティッ
クリアクションもおこる。
ハードシール構造としてはセラミックまたは電池運転温
度以下で融解状態を形成したのちに固体状態に変化する
材料、例えばアルカリ金属および/またはアルカリ土類
金属の水酸化物又は燐酸リチウムおよびポリ燐酸塩の前
駆体等をシール部材として用いる方法がある。
この構造の問題点としては、ひとたび固体状態になると
長期運転中に電極部に加圧がきかない点である。ウェッ
トシール構造の積層型電池ではこの点に関しては自由で
あり、締付け圧力の増加によって低下した性能を再び上
昇させることができる。
本発明の目的は、運転温度において耐熱性と電解質に対
する耐腐食性を有するシール部材で電解質マトリックス
体の外周端縁を包囲し、電解質と反応ガスの漏洩を防止
するようにした溶融炭酸塩型燃料電池のシール構造を提
供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
前記の目的を達成するために、本発明は、電解質を保持
する電解質マトリックス体を該電解質マトリックス体よ
り小面積でガス拡散性多孔質のカソード電極及びアノー
ド電極で挟持してなる単位電池を、カソード電極に供給
する反応ガスを流通する室及びアノード電極に供給する
反応ガスを流通する室を具備したセパレータを介して複
数個積層し、前記電解質マトリックス体と前記セパレー
タとの接触部で電解質及び反応ガスを封止する溶融炭酸
塩型燃料電池において、前記セパレータは外周端部に前
記電解質マトリックス体の厚さを超えてセパレータ平面
に対して垂直方向に突出する凸部を有すると共に、該凸
部の突出側と反対側に凹部を有し、前記凹部と凸部の少
なくとも一方は表面を電気絶縁処理されており、前記凸
部は前記電解質マトリックス体を包囲して隣接するセパ
レータの前記凹部に嵌合密着されたものであることを特
徴とするものである。
〔作用〕
本発明によれば、溶融炭酸塩型燃料電池の電解質マトリ
ックス体の外周端縁を隣接するセパレータと凹凸嵌合す
るセパレータ凸部で包囲するので電解質および反応ガス
が外部へ漏洩することがない。
特に、一方のセパレータの凸部を隣接するセパレータの
凹部に嵌合密着させたシール構造であるので、シール面
は水平のシール面と垂直のシール面の組み合わせとな
る。したがって、例えば水平シール面の一部に加工上の
問題があってわずかな隙間が生じたとしても残った垂直
のシール面でシールが確保される等、2種類のシール面
が互いに補い合うので確実なシールを行うことができ
る。また、凹凸嵌合構造としたのでシール面の接触面積
が大きくなり、シール効果も大きい。
〔実施例〕
本発明の実施例を第1図を参照しながら説明する。
第1図に示されるように、隣接するセパレータ6のそれ
ぞれの外周端面にその外周端面と平行でかつ同一方向に
突出する凸部8とその凸部8の反対側に凹部9とを配置
し、凸部8が電解質マトリックス体1を包囲して隣接す
る凹部9に嵌合密着し封止する構成とする。
セパレータ6の外周端面に設けた凸部8および凹部9の
相対するそれぞれの端部に等しい角度のテーパを設けて
もよい。
また、セパレータ6の外周端面の凸部8および凹部9に
設けたテーパの相対する一方の角度を変えてもよい。こ
れによって隣接するセパレータ6の間の接触によるハー
ドシールよりも一層強力なシールが得られる。
次に本実施例の実験例について説明する。
実験に用いた部材は以下の通りである。電解質マトリッ
クス体1は、γ−リチウムアルミネート粉末およびアル
ミナ繊維(粉末/繊維=80/20,重量比)を電解質保持材
とする平均細孔径0.1μm、気孔率45%の基板に電解質
である混合炭酸塩(炭酸リチウム/炭酸カリウム=62/3
8,モル比)を含浸したものを用いた。その形状は130mm
角、厚さ1.5mmとした。
カソード電極2は酸化ニッケルに銀を(5atom%)含有
させたものをSUS310に添着したガス拡散性多孔質焼
結体を用いた。アノード電極3はニッケルにコバルトを
(5atom%)含有させたものをニッケル金網に添着した
ガス拡散性多孔質焼結体を用い、電極の形状はいずれも
80mm角、厚さはカソード電極が0.65mm、アノード電極は
0.60mmのものを用いた。
セパレータ6はSUS316鋼に、アルミナ化処理を行っ
たものであり、外形寸法130mm角、電極配設部80mm角、
厚さ約6mmのものを使用した。
セパレータ凸面のウェットシール面からの縦方向の長さ
lmmは電解質マトリックス体1の厚みをt1mm試験後の
厚みの減少量をΔt1mm、セパレータ6の厚みをt2mmと
すると、 Δt1≦t2/2として t1−Δt1≦l≦t1−Δt1+1/2t2 の範囲であることが望ましい。
アルミナ化処理はアルミパック法でアルミニウム−塩化
アンモニウム−アルミナを主成分とするコーティング剤
の中に試料を埋め込み加熱処理することによって行う。
アルミパック処理条件は下記のとおりである。
(1)コーティング処理 コーティング剤組成:25%Al,1.5%NH4Cl,73.5%Al2O3 コーティング処理条件:750℃,4時間 (Ar雰囲気) (2)拡散処理 拡散処理条件:1050℃,1時間 この処理をした試料の表面には、SEM面分析の結果か
らγ−Al2O3およびCr2O3などが形成されていることがわ
かっている。また、炭酸塩(LiCO3:K2CO3=62:38)を
塗布し、カソード模擬ガス(CO2:Air=30:70)雰囲気
で750℃、480時間の腐食試験を行った結果、アルミナパ
ック処理試料の腐食量はSUS(ステンレス)316鋼の
約1/9およびSUS310鋼の約1/5であることがわかって
いる。
これを組立てて5単位電池積層型燃料電池とし、以下の
実験を行った。
この積層電池を約0.5kg/cm2の電池締付圧力で締め付
け、常温から50℃/hの昇温速度で650℃まで昇温し
た。途中150℃、400℃でそれぞれ4hその温度を保持し
た。この場合ベルジャ内のガス雰囲気は窒素ガス雰囲気
とし、電池内部にはアノード電極、カソード電極とも0.
5l/minの速度で炭酸ガスを流通した。650℃になってか
ら2kg/cm2まで締付圧力を増し2h保持した後、出入ガ
ス流量を計測することによりシール特性を調べた。
実験初期におけるガスシール率はカソード側が99.5%、
アノード側が99.5%で優れたシール特性を示した。
また、連続試験においても600時間実験を行った範囲に
おいてはシール率はカソードで99.5%、アノードで99.3
%であり、あまり低下しなかった。
〔発明の効果〕
本発明によれば、溶融炭酸塩型燃料電池のセパレータの
外周端部に凸部及び凹部を設けたことによって、電解質
の流出および反応ガスの漏洩とクロスオーバを防ぎ、こ
れらの現象による性能劣化を防止して長寿命化をはかる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す溶融炭酸塩型燃料単位電
池の外周端部の拡大断面図、第2図は従来例を示す外周
端部の拡大断面図である。 1…電解質マトリックス体、2…カソード電極、3…ア
ノード電極、4…反応ガス(酸化剤)が流通する室、5
…反応ガス(燃料)が流通する室、6…セパレータ、8
…凸部、9…凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩本 一男 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 三次 浩一 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 黒江 聡 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 加茂 友一 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−246570(JP,A) 特開 昭58−164153(JP,A) 特開 昭62−5569(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電解質を保持する電解質マトリックス体を
    該電解質マトリックス体より小面積でガス拡散性多孔質
    のカソード電極及びアノード電極で挟持してなる単位電
    池を、カソード電極に供給する反応ガスを流通する室及
    びアノード電極に供給する反応ガスを流通する室を具備
    したセパレータを介して複数個積層し、前記電解質マト
    リックス体と前記セパレータとの接触部で電解質及び反
    応ガスを封止する溶融炭酸塩型燃料電池において、 前記セパレータは外周端部に前記電解質マトリックス体
    の厚さを超えてセパレータ平面に対して垂直方向に突出
    する凸部を有すると共に、該凸部の突出側と反対側に凹
    部を有し、前記凹部と凸部の少なくとも一方は表面を電
    気絶縁処理されており、前記凸部は前記電解質マトリッ
    クス体を包囲して隣接するセパレータの前記凹部に嵌合
    密着されたものであることを特徴とする溶融炭酸塩型燃
    料電池。
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